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2022年06月15日
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テーマ: 実習(23)
カテゴリ: 病院
おはようございます



今日は社会福祉士取得のための実習時間が追加になったことに関しての話です



これまでは社会福祉士の国家資格要件として180時間の現場実習が必要となっていましたが、今の大学2年生の代からこれまでの180時間に加えて、もう一か所別の施設で60時間の実習を追加で行うことになりました



その関係で先日北海道内の社会福祉士養成大学の説明会に参加しました



その時の説明の概要も含めて、実習時間が増えることの意義と今後学生に求められることについて私見を述べていこうと思います




1.実習時間180~240時間へ変更


社会福祉士なるためには福祉系の大学や専門学校等を卒業して国家試験に合格する必要がありますが、




その養成カリキュラムの中に 現場実習 が含まれています


受験資格取得ルート(社会福祉士振興・試験センターHPより)





これまでは必要な実習時間は180時間(1施設以上)でしたが、今の大学2年生から240時間(2以上の施設)へと変更になることが決まっています






これまでは基本的に1か所の施設での実習だったので、ソーシャルワークの展開過程に関してみてもらったり実際に援助計画を立案してもらったりは可能でしたが、その後のフィードバックや修正は大学に戻ってからの事後学習で補ってもらうことが一般的でした





180時間ではソーシャルワークの基礎を実践の場で理解して、学んだものを実際に一度活用することまでは出来ても、 「実際にやってみて上手くいかなかったことを次の支援に生かす」 という所までは出来なかったように感じます




また社会福祉士が働くフィールドや対象の幅の広さが見えづらかったことも課題だったと指導者の立場からも感じていました




例えば私の病院へ実習へ来た学生にとってはMSWとしての業務や求められる役割は180時間の中で充分に理解してもらえると思います




しかし病院以外で働く社会福祉士の役割や業務内容に関しての学びは深まりません





他機関との連携でケアマネや包括、社協、高齢者施設、児相、障害福祉サービスの管理責任者等との連携場面は見られるかもしれませんが、それだけで他の分野で働く社会福祉士の役割が理解できるわけではありません





そのため時間数が増えて2つ以上の施設を見ることが原則となったので、社会福祉士の仕事の幅の広さが見られる点は今回の改定の大きなポイントだと思います





学生時代に現場に出向くことはなかなかある経験ではないので、どうしても 「実習先での体験」





その中で一つの機関しか見ていないのと、複数の機関を見たことがあるのとでは後者の方が圧倒的に学生にとってのメリットは大きいと思います





またソーシャルワークという 答えが一つではない学問 (社会科学)において(基盤となる部分は同じだとしても)、一人の指導者からだけ指導を受けることで学生の視点が偏ることのリスクは大きいと個人的には思っていました





複数の機関で実習を行うことで複数の指導者から教わることができることも学生にとってはメリットが大きいと思います






学生からすると 「指導者によって言うことが違う」





むしろ ​様々な視点がある中から自分らしい援助の仕方や視点を見つけていく作業​ こそが 社会福祉士の醍醐味」 であると思うので、いろいろな人と関わって様々な意見を聞きながら代えの利かない唯一無二の存在になっていってください






2.実習時間が増えることの意義




実習時間が増えて、複数の機関で実習を行えることの意義は先に述べたとおりです





では実習時間が増えることの意義とはなんでしょうか





結論から言うと、 社会福祉士の実習時間は少ないので実習期間中に教えられることにも限界があったが、時間が延びたことでより高いレベルでソーシャルワークを学ぶことが出来る と思います





これまでは180時間の中で職場理解、地域特性の理解、職種理解、ソーシャルワーク理解、他職種連携、他機関連携、ソーシャルワーク技術の確認、ケアプランの作成と実施とおおまかにこれだけのことを詰め込んで教えていました




180時間ではこれらを全体的に触れていくので、どうしても本題であるソーシャルワークを学んでもらえる時間は180時間中の半分か良くて2/3程度でした




ここに60時間が追加されると、前半部分の説明は一度受けているものとして、追加になった60時間分はほぼそのままソーシャルワークの理解と実践に費やすことが出来ます





一度実践した学生であればその内容をふまえて、自分の苦手な部分がどこかうまくいったところはどこかを考えながら望むことで、初回よりももっと深く自身のソーシャルワーク実践について学ぶことが出来ます( 理論としてだけではなくて




そもそも社会福祉士はほかの専門職に比べて実習時間が少ないということは、私が学生時代(10数年前)から感じていました




私は北海道にある名寄市立大学というところで当時は社会福祉学科、看護学科、栄養学科の3学科連携(2年生短大の児童学科も当時はありました)を売りにしていたので、看護師を目指す学生と管理栄養士を目指す学生と4年間同じ大学で過ごしました




社会福祉士は現場実習は基本的には4年間で1度だけです(1日、2日の見学くらいの職場体験なら何度かありました)



社会福祉学科は基本座学がメインでこれといった実習のようなものはほとんどありませんでした




栄養学科も同様でしたが大学内にある給食センターのような所で、実際に給食を作ったりなどの学内実習を毎週のように行っていました





看護学科の学生に至っては1年生の時から実習が組まれていて、それに向けた学内での実習も盛んに行われていました





社会福祉学科では高校の教員免許なども取れたため、教員免許取得希望者は4年次に教育実習などもありましたが、社会福祉士としての実習は3年次の実習だけでした




私は当時病院実習がなかったので4年生の時に2週間程度の自主実習を帯広と名寄の病院でもさせてもらいましたが、正規の実習(社協)だけでは到底MSWの業務も社会福祉士の業務も理解できなかったです





今回実際に他の資格の実習時間を調べてみましたが、 社会福祉士の実習時間は少ない ことがわかります





看護師 は大学1年生の時から4年時まで何回にも分けて 3千時間近く の実習をこなしている





社会福祉士に最も近い資格である 精神保健福祉士 210時間 で、 病院と地域の2か所の実習に行く こととなっています





精神保健福祉士の実習を受ける学生は大抵社会福祉士も受ける人が多いと思うので、実際に私の職場へ来る精神保健福祉士受験予定の学生たちも、社会福祉実習で来る学生よりも広い視点でものを見られる子が多いと思います(社会福祉士は3年生、精神保健福祉士は4年生での実習)





学生にとって実習を通して学べることは非常に多いです





理論としてソーシャルワークの展開過程や相談援助技術としての面談技術を理解したとしても、実際の面接場面で援助を実践できるかということは全く別の問題になります





なぜなら 理論は面接の場面を切り取って、時間をかけて持っている知識の中から「こういう場面ではどうしたらよいか」を考える作業 ですが




実践ではその一瞬一瞬の場面で理論を頭の中でフル回転しながら、その時々で瞬時に答えを出す「反射神経」が求められる からです



理論としては知識を身に付ければよいですが、実際にスキルを生かして働くためには実践の中でトライ&エラーを繰り返すしかありません




学生のうちからこの貴重な経験を体験をできる場は基本的には実習しかありません




今回60時間追加されたことで、初回の実習の中で実際にトライして、うまくいったことやうまくいかなかったことを事後学習で振り返ってもらい、再度2回目の実習でトライできることになったことはとても大きな変化だと思います




2回目の実習ではより目的意識をもって実習に臨んでもらえると思うのと同時に、 ​実習指導者の立場としても​ 1回目の実習での最後に行う評価では 2回目へ向けての具体的な課題も意識できるようなフィードバックが必要になる なと思っています




逆に2回目の実習を受ける時には 一回目の課題も踏まえた目標設定 が必要になると思います




3.学生に求められること


実習指導者の立場からすると当然、2回目の実習を受ける際には ある程度の基礎は出来ているもの として接します




初回の実習では自施設の説明や施設内でのソーシャルワーカの役割、業務の理解、面談場面のロールプレイ、ソーシャルワーク実習と時間をかけながら行いますが、二回目の実習に関しては前半の説明にかける時間は圧倒的に省くと思います




領域は違ってもソーシャルワーカーの仕事に対する理解はある程度あるものだと考えるからです





学生に事前学習で求められることは、これまでの「ソーシャルワークに関する基礎知識」に加えて「ソーシャルワーカーが働く領域とその対象の理解」に関してもより幅広く学ぶ必要があります




具体的には病院であればその病院の有する機能(「急性期なのか回復期なのか、療養なのか」「救命救急を受けているのか」「都会で資源が多いのか、田舎で資源が少ないのか」「がん相談支援センターや認知症疾患利用センター等の特別な役割も担っているか」等)




ソーシャルワーカーの対象となる患者はどのような人が多いのか(年齢層はどのくらいか、住んでいる地域はどのあたりか、どんな疾患が多いのか等)




2回目の実習ではこれら領域と対象理解に関しての説明時間は圧倒的に省かれることが予想されるので、60時間と言う限られた時間の中でスムーズに実習に入るためにはこれらは事前学習である程度理解しておく必要があります





ただ対象の理解に関してはホームページ等で見て出てくるものでもないので、 過去に実習機関へ行った先輩に聞いたり、実習前の事前打ち合わせで実習指導者に聞いてみる のも良いでしょう





また2か所目での実習先では 「初回の実習先でソーシャルワークの基礎は学んできているだろう」 という目で見られるのは不可避だと思うので、より高いレベルでのプランの立案や実施後の評価・フィードバックまでを求められることもあるかもしれない





そのため初回の実習の中でソーシャルワークに関して基礎の部分での理解が足りないと感じた点があるのであれば、しっかりと学内での講義の中で振り返っておく必要があるでしょう





まとめると 社会福祉士が働くフィールドについて広く理解すること、初回の実習で学んだソーシャルワークの展開を今度は実習生主体で行えるように事前学習や初回実習後の事後学習で取り組むべき課題 だといえます





学生自身からすると 実習時間が増えて大変 だと思うかもしれませんが、複数の実習機関を見られることで自身の職業選択の幅が広がることや学生の内からより実践的な能力と経験値を詰めることは 間違いなくあなたにとってプラスになる ことなので、事前学習・事後学習大変だと思いますがしっかり学んで実習をあなたの糧にしてください




*まとめ*

これまでは社会福祉士の国家資格を得るために必要な実習は180時間(1施設)だったが、今の大学2年生から240時間(2以上の施設)へと変更



これまでは1か所の施設で180時間以上の実習のみだったので、社会福祉士の幅の広さが見えづらかった



複数の施設を見ることで社会福祉士の仕事の幅の広さが見られて、学生の就職における選択肢も広がると思う



他の資格に比べて社会福祉士の実習はあまりにも少ない




看護師は大学1年生の時から4年時まで何回にも分けて3千時間近くの実習をこなしている




似たような資格の精神保健福祉士も210時間で、病院と地域の2か所の実習に行くこととなっています




今回のカリキュラム改正で実習にかける時間も増えたことや異なる領域の施設を複数見ることが出来るようになったことは



学生の今後の職業選択や就職後の社会福祉士としての質の担保を考えた時にプラスに働くと考えられる




学生に事前学習で求められることは、これまでの「ソーシャルワークに関する基礎知識」に加えて「ソーシャルワーカーが働く領域」に関してもより幅広く学ぶ必要がある




また2か所目での実習先では「初回の実習先でソーシャルワークの基礎は学んできているだろう」という目で見られるのは不可避だと思うので、より高いレベルでのプランの立案や実施後の評価・フィードバックまでを求められることもあるかもしれない



社会福祉士が働くフィールドについて広く理解すること、初回の実習で学んだソーシャルワークの展開を今度は実習生主体で行えるように初回実習後の事後学習で取り組むべき課題だといえる




私の働く病院でも毎年社会福祉士と精神保健福祉士の実習生を受けているので、これまでも多くの学生と接してきましたが実習期間を通して本当に目に見えて1日1日成長していきますし、最初は「大変だったり、緊張したり、帰りたい」と思うこともあるかもしれませんが、最後は実習に来てよかったと思ってくれたり、なんなら「時間が足りません」と言う子も少なくありません




国家資格の受験資格を満たすこと以上に、実習ではこれまでにない挑戦の連続で人間的にも大きく成長できるのが実習の良いところだと思っていますし、実習指導者は一番身近で学生の成長を見守れる特等席だとも思います




私のもとへ実習へ来てくれる学生さんだけではなく、実習を控えるすべての学生さん、未来のSWの皆さんを応援しています!!




何か気になることや知りたいことがあればコメント欄に書き込んでくれれば返信しますね。





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最終更新日  2023年06月30日 06時45分08秒
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