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剪定の 桃や梨の木 壺に活く 就職の 子の泣き言や せん定す 春泥に 着飾れる娘の 立ちすくむ 名付けびと 病みて遠嶺の 夕霞 春眠の 片耳ひらき 婆の愚痴
2024.03.31
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鍋蓋の ひびき余寒の 朝な夕 暖かや ビルの屋上 鳩の恋 記念樹の 芽吹きさかんに 医学生 春眠し 夫の腕に 熱計る 隙あらば 戸を揺すれり 春一番
2024.03.30
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五十年 過ぎし母の忌 春の雪 汽車を見に 行きし迷子に 夕焼雲 不揃いと なりし夫の歯 ヨモギ餅 春霞む 海を通過す 子の生地 春泥や 洗濯干場の かくれんぼ
2024.03.29
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勘鈍く 不意のツララに ひやりとす 公園の 雪解ベンチの 汚れきる はらはらと 軒下通る 雪庇かな 水仙の 口先に出て 名を忘る 子を産みし 地を通過せり 春霞
2024.03.28
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雨の薔薇 唇に触れ ひとを恋う 梨桜 咲いて帰心に うずく夫 紅梅や 婚の話の はづみけり雪を割る 近隣の皆 老い始め
2024.03.27
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卒業の 肩幅広く 父と歩す 付添の エビ寝に夜の 雪解風 母の日の 赤飯の湯気 眉濡らす 年金の 重み父の日 輝かす 浄錬忌 十薬生きて 寺の裏
2024.03.26
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天井に とどく子の丈 卒業す 卒業証 持ちてかしこみ 写される 大学に 行く子行かぬ子 卒業す 卒業の 子の大股に 父と歩す 無口なる 子も和しにけり 卒業歌
2024.03.25
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春愁や やつれもあらず 鳩の恋 消灯の 闇に草芽の つづけざま 屋上の 鳩見下ろせり 雲を割り 寄書の くせ字に泪 卒業す 卒業の 子よりも母の 涙ぐむ
2024.03.24
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屋上の 鳩の口づけ 春うらら 鼻ひくき 犬を愛しみ 春の泥 春を待つ 夫の臀肉に 目を逸らす 男湯に 臀肉落ちて 夕焼雲 春の日や 臥して見上げる 鳩の恋
2024.03.23
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質問の なき夫となり 梅雨ごもり 読み疲る 目にほのぼのと 桃の花 口づさむ 句に湯のたぎり 桜餅 うたたねの 夢に匂えり 桃の花 解体に 巣箱離れむ 夫婦鳩
2024.03.22
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手を抜けば たちまち萎おる 水仙花 マニキュアを 捨てて幾とせ 春を待つ 松の枝に 鵯の二羽来て 下熱せり 頬杖の 夢の中まで 桃匂う 退院の 庭に明るし 桃の花
2024.03.21
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一すじに 炎ゆる蔦(つた)あり 峡しぐれ しぐるる夜 女の宿の はなやげる 夫独り 置けば毛布の からまれり 妻の手の 弛む水仙 葉のしなう 流氷の 一夜に目覚め 波の舌
2024.03.20
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かわく胸に 慈雨のごとしや 薔薇咲きて はずむ日の 薔薇園の前 素通す 対岸に 越す八月の 新しき 荷疲れの 夕べ紫陽花 息づけり 軍毛布 干す黒蝶の 影よぎり
2024.03.19
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冬の犬 戸をゆさぶりつ 人を恋う 風花や 心に賭けの 悲哀満つ 知らぬ街々 訪うて吹雪の 夜汽車の隅 一夜積む 雪を糧とし 失対策 労務者の いさかい散れり 落葉寒
2024.03.18
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棘の道 なかりし如く 薔薇咲けり 炎えつくす 鶏頭に午後の 陽の愛撫 強霜や 汚職家族の 二重窓 巻き急ぐ 白菜に佇ち 他人の土地 未収地に 早霜光る 銀の原
2024.03.17
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野分にも 心騒ぎぬ 身弱な身 価値たかき 冬の太陽 ビルの谷 ちんまりと 寒菊並べ 衣替え 頭痛くせ 冬の香水 こもりおり 手探りの 花火静かに 闇に負け
2024.03.16
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意地悪く なりたき日なり 河凍る 傷心に ぽっかりと咲く シクラメン 胸つまる 肉親の愛 河凍る 愛されし 記憶大事に 年惜しむ 短日の 出会いし言葉 短くす
2024.03.15
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春灯に 人間くさく 犬病めり 水禍後の 橋桁に水 澄みており 薔薇咲いて 因習の髪 短くす 注射痕 ふやし短き 見て過ごす 腕組んで 五月の若さ 通り過ぐ
2024.03.14
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呆けた花 水面に散れり 白昼夢 停電の 寒さ集めて 一人の刻 よき妻と ならむ夜の桃 彩放つ すが漏りの 天井の地図 風邪三日 風邪髪の 荒立ち鏡 青ざめて
2024.03.13
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耕して 一人の昼飼 舌に甘し 薔薇の苗 植えて約束 ごと信ず リラ祭 夫ひとり出し きままな刻 空き巣増し 川波刃物 めく光り 青き遠景 忽ちくずれ うつろな雲
2024.03.12
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喪つづきの しろ足袋洗う 鼻寒し 骨上げを 待つ白菊の 艶失せぬ 抜歯待つ 氷柱(つらら)の中の 器具の音 雪底を 出す沢庵の 黄に和む 春吹雪 熱き眼中 すぐ消ゆる
2024.03.11
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店先を はみ出す鮭や 年の暮 母の日や 口中に蕪(かぶ) 甘く溶け 眠剤に 初夢逃す 窓明かり 火のごとき 一月の斧 山こだま 喪のつづく 一月の谿 蒼ざむる
2024.03.10
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遺されし 胡桃ふたつや 艶も失せ 少年の 口笛冬の 雲を切る 木枯に 身を細うして 樹ぎの影 水木の実 ひとつ残さず 鵯去れり 秋の風 くすり袋の 数多し
2024.03.09
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工煙の 空に熔けゆく 冬至かな 寝汗拭く ベットのきしみ 一葉忌 犬猫に 運不運あり 枯野星 枯野より 集めし牛の 尻を押す 文あまた 心に通い 冬ぬくし
2024.03.08
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玩具めく 猫との冬の 暖かし 猫愛し 師走追いつつ 追われおり 検眼の 闇よりい出て 冬の虹 柿サラダ 舌にとろけて 世過ぎ下手 父の忌の 枯菊に日の 渡りけり
2024.03.07
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ひとりぼっちの 友が去りたる 雪の街 乳配る 音を混へて 冬の雷 姑の忌に 集うひとなし 秋桜 亡き姑の 髪梳きしごと 萩なだれ シソの香に 亡き姑が居り 七年忌
2024.03.06
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売れ残る 本棚狭き 春寒し 春の灯に 疲れし夫 つつまねば 春葱の 眼鏡重たく 犬散歩 白菊の 心誰にも 犯されず 逢えぬ日々 眼に光りなき 秋鏡
2024.03.05
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つかまりし ものおぼつかな 春の地震 買いまどう 春着いくたび 肩にかけ 自我つよく 二月の空の 枝硬し 厳冬の 知恵を集めて 官舎住み 合格の 名がなく葱の 香の沁みぬ
2024.03.04
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石の亀 空を仰ぎて 雪解急 暖かや 医院の前を 通り過ぐ 喪の庭の 夕べ連翹(れんぎょう) 明るすぎ ススキノの 昼さむざむと 紙桜 赤い木爪 追わるるごとく 荷を作る
2024.03.03
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黙深き 雪の夜警の 尿長し 熟睡の 月の凍港 廃墟めく 転勤の 噂寒鴉の 巣にさわぐ 氷紋に 心はいれず 壁なせり 春分の 遺影何やら 呟ける
2024.03.02
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こきざみに 影が影追う 十二月 寒林の 青さ眼に溜め 他郷なる 悲しみも なき高齢の 雪の葬 寝ね難き(いねがたき) 寒さ夜警の 鈴ひびく 春寒き 夜警の鈴や 通夜帰り
2024.03.01
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