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春愁や やつれもあらず 鳩の恋消灯の 闇にくさめの つづけざま屋上の 鳩見下ろせり 雲を割り寄書の くせ字に泪 卒業す卒業の 子よりも母の 涙ぐむ
2024.08.31
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屋上の 鳩の口づけ 春うらら鼻ひくき 犬を愛しみ 春の泥春を待つ 夫の臀肉に 目を逸らす男湯に 臀肉落ちて 夕焼雲春の日や 臥して見上げる 鳩の恋
2024.08.30
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質問の なき夫となり 梅雨ごもり読み疲る 目にほのぼのと 桃の花口づさむ 句に湯のたぎり 桜餅うたたねの 夢に匂えり 桃の花解体に 巣箱離れむ 夫婦鳩
2024.08.29
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手を抜けば たちまち萎おる 水仙花マニキュアを 捨てて幾とせ 春を待つ松の枝 鵯の二羽来て 下熱せり頬杖の 夢の中まで 桃匂う退院の 庭に明るし 桃の花
2024.08.28
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一すじに 炎ゆる蔦(つた)あり 峡しぐれしぐるる夜 女の宿の はなやげる夫独り 置けば毛布の からまれり妻の手の 弛む水仙 葉のしなう流氷の 一夜に目覚め 波の舌
2024.08.27
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かわく胸に 慈雨のごとしや 薔薇咲きてはずむ日の 薔薇園の前 立ち止まり対岸に 越す八月の 新しき荷疲れの 夕べ紫陽花 息づけり軍毛布 干す黒蝶の 影よぎり
2024.08.26
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冬の犬 戸をゆさぶりつ 人を恋う風花や 心に賭けの 悲哀満つ知らぬ街々 訪うて吹雪の 夜汽車の隅一夜積む 雪を糧とし 失対策労務者の いさかい散れり 落葉寒
2024.08.25
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棘の道 なかりし如く 薔薇咲けり炎えつくす 鶏頭に午後の 陽の愛撫強霜や 汚職家族の 二重窓巻き急ぐ 白菜に佇ち 他人の土地未収地に 早霜針の ごと光る
2024.08.24
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野分にも 心騒ぎぬ 身弱な身高価なる 冬の太陽 ビルの谷ちんまりと 寒菊並べ 叔母逝けり頭痛しきり 冬の香水 こもりおり闇を手探る 花火静かに 闇に負け
2024.08.23
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意地悪く なりたき日なり 河凍る傷心に ぽっかりと咲く シクラメン胸つまる 肉親の愛 河凍る愛されし 記憶大事に 年惜しむ短日の 出会いし言葉 短くす
2024.08.22
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風邪髪の 荒立ち鏡 青ざめて春灯に 人間くさく 犬病めり水禍後の 橋桁に水 澄みており薔薇咲いて 因習の髪 短く切る注射痕 ふやし短き 見て過ごす腕組んで 五月の若さ 通り過ぐ
2024.08.21
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青き遠景 忽ちくずれ うつろな雲ボケの花 水面に散れり 白昼夢停電の 寒さ集めて 一人の刻よき妻と ならむ夜の桃 彩放つすがもりの 天井の地図 風邪三日
2024.08.20
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春吹雪 熱き眼中 にて消ゆる 耕して 一人の昼飼 舌に甘し 薔薇の苗 植えて約束 ごと信ず リラ祭 夫ひとり出し きままな刻 空き巣増し 川波刃物 めく光り
2024.08.19
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喪のつづく 一月の谿 蒼ざむる喪つづきの しろ足袋洗う 鼻寒し骨上げを 待つ白菊の 艶失せぬ抜歯待つ 氷柱(つらら)の中の 煮沸音雪底を 出す沢庵の 黄に和む
2024.08.18
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こきざみに 影が影追う 十二月寒林の 青さ眼に溜め 他郷なる悲しみも なき高齢の 雪の葬寝難(いねがた)き 寒さ夜警の 鈴ひびく寒き春 夜警の鈴や 通夜帰り
2024.08.17
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烈風の 白木蓮や 姪病めり三夫婦 守り爛漫と 婆笑う呆け頭 北の寒さを 口ばしり風蝕の 墓に声かけ 花菜の黄竹林は 筍梅雨や 銀閣寺
2024.08.16
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アルプスを 翼下に犯し 眩しき秋鈴虫に 覚めて妻篭の 黒格子虫の音に 行灯暗き 妻篭宿種頒ち 夢七色に 寝落ちたり雪しろに 覚めしばかりの 獣魂碑
2024.08.15
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山枯れて 夜は糸滝の すすり泣き河童橋 揺れてしぐれを 誘いけり 紅葉の リスの口ふくらみ 巣に帰り 人力の 韋駄天飛騨の 蕎麦うまし人力の 汗爽やかに 古家並
2024.08.14
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旅五日 一葉残さぬ 風の音榾火受け 継ぐ合掌小舎の 土間の冷え朴葉味噌 香り小春の 飛騨の里藤村も くぐりし格子 蔦紅葉嫁かざる 横顔白し 菊の前
2024.08.13
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空手習う 孫の構えに 菊反れり冬ぬくし 画布をあふれる 獣たち乳癌や 残菊色を とどめ得ず菊枯れて 夫婦に溜まる 水の垢初冬の 雲駆け抜けて ストの貨車
2024.08.12
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足の裏 乾く一月 風邪長し風邪の身に ゆらりと重し もらい水犬の瞳の 炎ゆる三月 荒れ通す母の忌の 淡雪呆け 芦に降る抜歯後の 晩秋の沼 隙だらけ
2024.08.11
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木の椅子の きしきしきしみ 春を待つ春兆す 今ひとたびの 瞳ひらく冬木に 恥づ女の愚痴の 多ければホテルに灯 増えて悪性 風邪はやる凍結の 水道でくの 坊めけり
2024.08.10
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ぼろ出して 縫わず終わりの 姑の冬暖炉冷え 夜は別るゝ 親子部屋待春の あごひげ伸ばし 老やもめ寒き海鳴り 病者敗者として 幕開けり校門を 出しが吹雪の 海の紺
2024.08.09
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寒灯下 魚臭に染まり 女工の顔坂越して にわかに寒き 海見ゆる子に和して 歌う最後の 卒業歌待春の 息やわらかく 玻瑠みがく卒業の どの子も親し 笑み交わす
2024.08.08
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春の泥 政界汚職 農泣かす鰊不漁 待ち受けしゴメ 夜は何処に春灯や 今日終わりたる 膝の瘤書き疲る 身を夕焼けに 染にいづ春愁の 眉長く引く 眼のくぼみ
2024.08.07
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夫子ある 心ゆるびに 冴え返る夕焼けに 今日も素手なる 渡り漁夫土を割る 水仙の芽に 無心の刻不揃いと なりし夫の歯 ヨモギ餅子を愛す 間も春愁の 翳濃ゆし
2024.08.06
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鰊かす 四囲に魚裂く 乳房張るひばり野を わが庭となし 目覚めけり黙々と 耕す馬を まぶしめりひばり野を 遠回りして 商家の妻都会線 出て海つばめ 急速に
2024.08.05
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よもぎ摘む 古風な妻と しての日々海に出て 蝶の微力が 地に還る夕雲省 憂さ晴したる 顔もどる赫土に 移り種子蒔く こと止めず春めく街へ 給料以後の 主婦等出る
2024.08.04
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病窓に 届く武骨な 樹々芽吹く明日は発つ 夜空に赤き 星ひとつ住み古し 庭に今年も 鉄線花明け易し 丹念に塵 拾う爺ひばり野に 若さ羨しむ 姑誘う
2024.08.03
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壁厚き 部屋より出でず 春吹雪く春の葱 しむ泪とて いつわれり冬花火 消え掌底の 冷えきびし雪洞に 置く身の影の けものめく招かれし 大雪山の 風かおる
2024.08.02
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雪国の 旅館の女将 情もてり愛ならず 寒夜のしとね 清潔に冬長し 怠惰の背に 貧極む輪を重ね 水凍てる夜の 渇きかな芽柳に ふれてなほ思慕 募るなる
2024.08.01
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