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夢ひとつ 育ちすくすく ねむの花 巡礼の 古き写真や 父の国 白鳥の 沼飛び渡る 風清し 改築の 夢は果たせず 春逝けり 逃げ水に 疲れ果てたる ボロ車
2024.04.30
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梅雨寒し 個室のベッド 空白に 陽炎に 抱いて赤子の 眩しがる 桃の葉の 湯に外泊の 許可の夫 タンポポに 犬も赤子も ころがされ 生く証し ビデオに収め 花菖蒲
2024.04.29
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寝そびれし 夜をいきいきと 窓あかり 草笛の 少年遠き 山を見て 献体の 案内状や 若葉風 医学部の 白衣ちらほら ツツジ萌ゆ ひと日ずつ 天に近づき 花辛夷(はなこぶし)
2024.04.28
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夜は夫の 帰りし布団 まだぬくし トンネルを 出て一望に 夏のダム 洗濯の 山々くずし 風かおる つばくらや 目で追う地図の 旅果てて 電線で 和し鵯や 祭り笛
2024.04.27
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婚の日の 鏡も古りぬ にらの花 リラ冷えや 古き鏡に 齢の顔 一石を 投じし沼の 夏はじめ 転院の 婆の消息 とりかぶと 生きのびし 事の善し悪し 鉄線花
2024.04.26
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万緑の 山に吸われて 小鳥たち 万緑の 森に小鳥の 敵味方 濃き紅の 似合わぬ齢の 更衣室 札幌は 第二の故郷 リラ祭り 愛鳥碑 とりまく丘の 花リンゴ
2024.04.25
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嫁きたる 名前すらすら リラ匂う 献体の 名籍とどけり 茄子の花 石狩へ 流るゝ川や 余花の雨 一石を 投せし沼より 夏はじめ 一石に 波紋ひろげて 沼の夏
2024.04.24
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明け易し 丹念に塵 拾う爺 カーテンに 透けてほんのり 八重桜 子を産みし 姪の笑顔に 風かおる 春風や 生れて間のなき 虫笑い 父と子の いびき健やか 宵祭り
2024.04.23
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雪洞に 置く身の影の けものめく 招かれし 大雪山の 風かおる 病窓に 届く武骨な 樹々芽吹く 明日は発つ 夜空に赤き 星ひとつ 住み古し 庭に今年も 鉄線花
2024.04.22
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輪を重ね 水凍てる夜の 渇きかな 芽柳に ふれてなほ思慕 募るなる 壁厚き 部屋より出でず 春吹雪く 春の葱 しむ泪とて いつわれり 冬花火 消え掌底の 冷えきびし
2024.04.21
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薄氷や 門戸は固く 閉ざされて めらめらと 燃ゆ過去帖や 除夜の鐘 雪国の 旅の出逢いの 情もてり 愛ならず 寒夜のしとね 清潔に 冬長し 怠惰の背に 貧極む
2024.04.20
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冬月の 出ては真白く 葬られ 冬至南瓜の 腐食抉(えぐ)るも 転移せり 冬の蠅(はえ) 力抜けたる まゝすがる 夫知らぬ 涙一すじ 冬しとね 暖冬や ずしりと雪の 軒深し
2024.04.19
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雨空に 柿の明るさ 伊勢路越え 秋冷の 海女の足裏 嘆き笛 短日の 耳八方に メモ増ゆる 梨の木の 無骨に枯れて 男ごゑ 男ごゑ 霙(みぞれ)に混じり 灯油入る
2024.04.18
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沼涸れて 生きとし生くる 音滅ぶ 鍬だこの 指あたたかし 冬晴るる 白衣ぬぐ 帯くれなゐに 冬の薔薇 女人高野へ 白足袋替えて 従へり 白菊や 青年僧の 凛々しさや
2024.04.17
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水洟と ばかりは言えず 悲しき瞳 亡き兄も 並びし夢の カルタ会 一月の 眉を正して 男達 薄氷や 火の見櫓の 男の目 重ね着の 奥より炎ゆる 紅の衿
2024.04.16
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バスを待つ 影重なりて 凍てつのる 冬木立 青く描かれ 少女病む 水仙に 新たな光 血の通う 埋火(うずみび)や 女の膝の ペルシャ猫 風邪七日 約束ごとの 通り過ぐ
2024.04.15
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カーテンを みどりに染めて 青葉騒 雲一つ なき大寒の 裏表 真冬日の 口火切りたる 黄のインコ 真冬日の 軒を連ねて 音もなし 寒椿 耳底に声 滞り
2024.04.14
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花冷えや もらい手のなき 迷い犬 招かれし 牧の夕焼に 身を焦がす コロコロと 笑う看護婦 風薫る 山寺に 詣でて仰ぐ 鯉のぼり 明け易し 何やら婆の 探し物
2024.04.13
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春雨に 草木は垢を 落しけり 青木踏む 透析患者 杖を持ち 地獄楽 この世にありて 桜散る サミットに 東京の空 花曇り 母の日の 机に赤き 紙袋
2024.04.12
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稲妻や 風にのりたる 原子雲 青空に 白散りばめて 花こぶし 夕焼けに 鳶と見まがう 飛機過ぐる 春愁や 胸に手を置く くせ抜けず 一つ咲く 水仙切るを ためらへり
2024.04.11
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花冷えの 机に遠き 友を恋う 病む人の 帰心一途に 花冷ゆる メーデーに 遠く病窓 閉ざさるる メーデーの 空薄曇り 薬ビン 杉花粉 咳と涙で 喉飴を
2024.04.10
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桜咲き 帰心一途の 夫の杖 桜前線 指でたどりて 逢いがたし 母の日の 話ばかりや 婆の咳 引き取り手 なき伝書鳩 春浅し 土手に子ら 並びて写生 風かおる
2024.04.09
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転勤で 銅婚の財布の 春惜しむ 銅婚や 泣くも笑うも 蕗の薹 銅婚や まな板傷に 水温む 燈台を めざす砂丘も 瀧となる 春昼の 幻想に起ち 二度童子
2024.04.08
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雪白や プランはすでに 組まれおり 負け犬の 退きし路地裏 雪解急 外泊の 病者羨しむ 花の昼 鵯に詫ぶ 剪定容赦 進みゆく 草萌ゆる 跡形もなし 鴉とぶ
2024.04.07
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宿に着き 風に匂える 梅林 待ち合わす 人影動き おぼろ月 灯台を 目指す砂丘の 霞けり ゆく年を 海におくりて 除夜の鐘 膝上に 息ずく本や 万愚節
2024.04.06
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青き目の 青年連れ来 盛夏の候 子を産みし 小さき町の 海霞む 船酔いの 覚めて白梅 三分咲 片隅に 苦を押しやりて 風ひかる 鳩百羽 一斉に翔ち 風かおる
2024.04.05
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履歴書の 肩書き多し 弥生かな 土産屋の 上げ底軽し 紅葉狩り 上げ底の 羊羹うすし 万愚節 銅婚の 湯船出づれば おぼろ月 銅婚の 土産の土鈴や 風かおる
2024.04.04
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骨肉や 玉葱の芽の からみ合い 点滴の 寝言に応へ 四月馬鹿 犬小屋の 奥に目があり 春の雷 片耳に 雑語入り来る 春の雷 肩書きの 十指に余り 万愚節
2024.04.03
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鵯に 詫びつ剪定 進めけり 亡き母に 卒業認書 奉げけり 春雷の 犬の眼ひかる 闇の中 犬の眼の 闇にひかりて 春の雷 ツバメ翔ぶ 山を境の 町と村
2024.04.02
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池の端 家鴨片寄りて 春一番 荒びたる 心に春の 土鈴鳴る 風薫る 開店茶屋に 客のなし 剪定に いつも来る鳥 とまどえり 剪定や 鳥に詫びたる ひとりごと
2024.04.01
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