つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2005.04.30
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カテゴリ: イチロー
日記を読み返していると、気がつく事がある。
誰かに伝えたいという気持ちが強いときは敬体(ですます調)になり、どちらかといえば自分に言い聞かせる気持ちが強いとき、少なくとも自分自身を第一の読者に想定しているときは、自然に常体(だである調)になるのだ。

『ICHRO 2』は、イチローが華々しくメジャーデビューした年に刊行された『ICHIRO』の続編に当たる。

この手の本は朝日新聞社より文藝春秋社から刊行されるのがふさわしいような気もするのだけれど、それはまあ気にしない事にしよう。

内容について覚書を残す前に、気になるのは誤字脱字の方だ。
『ICHIRO』にも多少はあったが、今回のほうが目につく。
「バッティング」を「バティング」としてあるのが複数ある。あるところではダンとなっている同一人物の人名が、別の所ではドン。「年商最多安打」は「年少最多安打」と打つつもりだったのだろうが、どちらも間違いだ。正しくは「年間最多安打」である。

まだまだあるが、このぐらいにしておこう。

なぜこういうことをくどくどいうかというと、あまりにもやっつけ仕事だからだ。シャーウィン氏が3月に脱稿したものを1月足らずで訳しあげるのは、二人がかりでも大変だったに違いない。その点は翻訳者にご同情申し上げる。



それはなぜか。もちろん読むため、というのが第一義だが、別の意味もある。記念品としてとって置きたかったのだ。それなのに中身が誤字脱字だらけでは、折角買った喜びも半減するというものだ。

だが、マイナス面に焦点を当てるのはこれくらいにして、ポジティブに感想を書いておこう。

もしも昨年、イチローが年間最多安打のメジャー記録を塗り替えなかったら、この本は生まれなかった。『ICHRO 2』のオープニングは衝撃のデッドボールで幕を開け、イチローが記録を更新するまで年間最多安打記録保持者だったジョージ・シスラーを褒め称えながら、4月=第4章、5月=第五章と、月ごとにその活躍を追っていく。

イチローが記録を更新する場面の描写はもちろん感動的だ。けれども本書を読みながらもっとも心を動かされたのは、イチローが日米通算2000本安打を達成したときの、アメリカのファンの祝福の場面である。

メジャーにデビューした年、「公式的」には、イチローは「新人」だった。「新人」として認められたからこそ「新人王」がとれたのだ。異論はもちろんあった。「日本で7年間も連続して首位打者を取ったベテラン選手を、新人として認めてよいものか」。

日本人にとってこれは自尊心をくすぐられる台詞かもしれない。だがそれならそれでこちらにも云いたいことがある。王貞治の本塁打記録を「世界記録」として公式に認めて欲しいし、新人王を剥奪しても良いから、日米通算10年以上にもわたって一軍(メジャー)で活躍しているイチロー選手を、アメリカの野球殿堂入りの有資格者として「今すぐ」(殿堂入りの条件はメジャーで10年にわたって卓越した実績と記録と数字を残すこと)認めてほしい、などなど。

けれども、こういう面倒な事は、その道の「専門家」とやらに論議させておけばよい。
地元のファンは純粋だった。日本でプレーしたとアメリカでプレーしたとに関わらず、素直にイチローの達成した数字を称え、業績を評価してくれた。
理屈ぬきで。

そう、理屈ぬきで。それでこそ、ファンだと思う。イチローは国境を越え、世界一広い海を越えて2つの国にまたがるヒーローになった。個人の功績ではあるけれど、一日本人としてやはり彼の事を誇らしく思う気持ちに偽りは、ない。





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Last updated  2005.05.02 15:25:27
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