つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2008.10.06
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カテゴリ: 近代日本文学
太宰治は昔の新潮文庫版で読むに限る、と思うのは中年男性の感傷で、今の若い読者はあの表紙を見て購入するのだろう。それはそれでいい。ジャケットはどうあれ、名作に違いないのだから。

久々に読み返してみると、やっぱり太宰はうまい。ただ昔読んだときの疼くような共感はもう感じない。年をとってしまったのだろうか。代わりに生じるのは憐憫と同情の念である。けれども罪と罰、無垢と原罪の問題、神へのプロテストにも似た主人公の問いかけは、相変わらず胸を打つ。文学とは不幸から生じるものだ、と昔大学の講義で言われた荒川洋治先生の言葉を思い出した。

『人間失格』が太宰の弱弱しい「仮面の告白」だとすれば、『如是我聞』はもうひとつのプロテストとしての告白である。ヒステリックで八方破れではあるが、『人間失格』の裏返しとしてのエネルギー、末期の灯火のきらめきを感じた。

『グッド・バイ』についてはなんともいえない。ただ完成していたら軽妙なユーモア小説になっていただろうと思う。


【古本】人間失格/太宰治





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Last updated  2008.10.18 11:07:10
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