つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2013.04.27
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カテゴリ: SF
題名からフランケンシュタインものを連想しましたが、違いました。確かに生肉を食料としたりと多少グロテスクな面もないではないのですが、そして開発者が怪獣の危機に際して自分の片腕を提供したりする場面もあるにはあるのですが、それがメインではないのです。

むしろ開発者が怪獣を掘削など平和利用しようとしているのに、政府は軍用を検討し…というような物語構造で、それをどうやって出し抜くか、裏をかくかというお話なのです。ついでにいうと開発者の助手は反体制運動の一員であったりして、それがまたアクセントになっています。

もちろんこれは旧ソビエトのSFですから、体制側はファシスト、反体制側は共産主義です。しかしまあそういったことを抜きにして楽しんでも何ら差支えない本でしょう。

なおこの物語に固有名詞はほとんど登場しません。出てくるのは「人間」「見習工」「科学芸術院総裁」という具合で、全体主義国家へのアイロニーであることはすぐわかりますが、かえってそれが物語を寓話的にしていまして、今日ではむしろ共産主義社会への風刺として読解可能だと思うのであります。

同時収録の短編『実験』(リンマ・カザコーワ)は、ある実験の申請のために青年が担当の女性に許可を迫るというお話です。女性は前例がない事なので悩み、夢にまで見ます。そしてほとんど許可してもよいと思うところまでいきます。しかし実はその夢自体、青年の実験によって作り出されたものでした、というオチです。








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Last updated  2013.04.27 08:33:34
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