つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2016.09.17
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カテゴリ: SF
映画

はじめのうち、読者はヒトラーを笑う。彼が本物だと知っているから、現代社会にまだ適応できていない彼が可笑しいのである。次に、ヒトラーのことをあくまで芸人と認識しているほかの登場人物との会話の齟齬に笑う。かみ合っていないのに、かみ合っているように見える可笑しさ。「喜劇の誕生は本質の取り違えである」とはよく言ったものだ。

「スターリンは生きておるかね?」
「いえ、死にました」
「ではルーズベルトは? チャーチルは?」
「死んでいます」
「では私は?」
「生きてます」
「それはなぜだか、私は確信している。私が菜食主義者だからだ!」

だがそのうち、背筋に冷たいものが流れてくる。ヒトラーはあらゆる状況を利用した。かつてのナチスの「残党」をこき下ろしたのも、こんなものはナチズムではないという罵倒だったが、世間はそれをナチズム否定ととらえた。ネオナチに襲撃されて手を出さなかったのも「非暴力主義」と礼賛された。神の立場にいるはずの読者ですら、「人間」ヒトラーに引き込まれそうになるかもしれない。

映画に出てきたあのユダヤ人の祖母はどうか。小説には直接登場しない。だがおそらく「芸人」ヒトラーに<洗脳>されたであろうことが行間から読み取れる。映画監督が彼女を認知症に設定したのは正解だった。何しろこの男は「優秀な人間は死んだ人間だ。生き残ったのはクズばかりだ」と豪語するあの 『ヒトラー』 なのだから。

まかり間違っても、良識ある人間ならヒトラー究極の思想に共感することはないだろう。だが人々の良識はどこまで信じられるのか。強固なものなのか。その試金石ともいえる本書を、ブラックなユーモア小説にするか、海外文学にするか、はたまたディストピア小説に分類するか、正直言って迷った。しかしその諷刺性と思弁性を鑑み、タイムスリップ小説でもあることから、SFの範疇に入れることにした次第である。


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Last updated  2016.09.19 23:47:06 コメントを書く


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