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ミステリの世界で、編み物をしながら関係者から話を聞きだす老婦人といえば、誰を思い出しますか?もちろん、アガサ・クリスティーが生んだ、偉大なおばあちゃん探偵、ミス・マープルですよね。この作品の主人公、ミス・モード・シルバーも編み物をする上品な独身の老婦人ですが、ミス・マープルと違うのは、プロの私立探偵だというところです。そして、ミス・マープルが初登場した「牧師館の殺人」より、2年早い1928年に、脇役ながらすでにミステリ界に登場していたのです。そして、またこのくだりを言わなければなりません。欧米ではミス・マープルと肩を並べる人気だというこのシリーズですが、日本ではこれまで紹介されていませんでした。今回、論創社から出された本書によって、やっと代表作を読むことができるようになったというわけです。大金持ちのルイス・ブレイディングは、新しく建てた特殊な構造の別館に、歴史的にいわれのある宝石の数々を収納し、秘書とともにそこで寝泊りをしていました。ある日、ブレイディングは私立探偵ミス・モード・シルヴァーの家を訪れ、身辺に何かが起きそうな気配を感じる、と相談を持ちかけます。過去のあやまちをねたに秘書を縛り付けていることに好感を持てず、ミス・シルバーは仕事を断りますが、二週間後、ブレイディングが、別館で銃で撃たれて死んでいるのが発見されます。ミス・モード・シルバーの、私立探偵の報酬と年金で快適に暮らす元家庭教師、という設定は50年以上前に書かれたとは思えないくらい魅力的です。捜査を担当するランダル・マーチ州警察本部長は、かつての彼女の教え子で、ミス・モード・シルヴァーの能力を信じながらも、時々彼女を煙たく感じる様子が微笑ましくもあります。彼のおかげで、ミス・モード・シルバーは関係者の聴取にも同席させて貰えるのですが、やや旧式なかっこうと編み物で、相手をすっかり油断させ、時には落ち着かせて話を引き出します。関係者のキャラクターもはっきりしていてわかりやすく、ミス・モード・シルバーには威厳があってかっこいいくらいです。登場人物のロマンスも絡んできますが、適量で、読後感がよりいいものになっています。こういう「コージー・ミステリ」を、もっと読みたいんですけどね……。 ブレイディング・コレクション :パトリシア・ウェントワース
2006年07月29日
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「しゃばけ」、「ぬしさまへ」、「ねこのばば」、(感想)「おまけのこ」(感想)に続く、シリーズ第5弾。今回は久々の長編です。日本橋の大店の若だんな・一太郎は、摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいました。その上、頭に怪我まで負ったため、若だんなに大甘の二人の手代、兄・松之助と共に箱根へ湯治に行くことになります。にぎやかにお見送りを受けて出立した一行、まずは快適なはずの船旅でしたが、しょっぱなからハプニングが起きます。仁吉と佐助が船上のどこを探してもみつからないのです。二人の兄やは、片時も若だんなのそばを離れるはずがないのに……。それだけでは終わらず、次から次に大変なことが起こります。若だんな達を連れ去ろうとする侍たちに、天狗の襲撃、なぜか若だんなに反発する不思議な少女。ただでさえ世間知らずで身体が弱い若だんななのに、雲行きは怪しくなるばかり。どうなることかと、ちょっとハラハラしました。今回、腹立たしい人たちも登場します。自分のことに精一杯で、人のことまで思いやることが出来ない人々。若だんなは、そんな人たちに対しても、優しく暖かいのです。お金持ちの家に生まれ、何不自由ない暮らしをして、その上みんなに大事にされ、かわいがられている若だんなですが、一人前になりたい、何かの役に立ちたいという強い思いがあります。このままの自分ではいけないと思っているからこそ、弱い者の気持ちもわかるのでしょうか。のんびり湯治するはずが、とんでもないことになりましたが、若だんなは、身体は弱くても、心まで弱くはないことがわかりました。不安につぶされそうな者に、勇気を与えることもできました。そうそう、競争を勝ち抜いて、連れて来てもらえた3匹の鳴家(やなり)たちも、それなりに活躍します。かわいいです。それに、松之助お兄ちゃんも、心配症なくらい若だんなには大甘だということも発覚しました。かなり危険な目にもあったし、とにかく、みんな頑張りすぎるくらい頑張りました。だから、色んなことが一段落して、今頃はみんなでゆっくり温泉に浸かっていられればいいな、と思います。 うそうそ :畠中恵
2006年07月26日
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この作品は、先日紹介した「毒入りチョコレート事件」(感想)の作者、アントニイ ・バークリー の探偵小説処女作ですが、77年経ってやっと日本で発刊されました。この種の驚きも何回か繰り返すと、日本における海外ミステリの扱いは、結構偏っていたに違いないと確信しますね。ただ、最近では、国書刊行会から世界探偵小説全集が出され、黄金期のミステリがどんどん紹介されています。本書もその中の一冊です。2500円しますが……。それでも読むことができるんですから、幸せです。図書館もありますし(笑)ジーブスのシリーズが二種類の出版社から同時に出されたり、論創社海外ミステリ・シリーズにおいては、翻訳されてこなかった名作の掘り起こしがなされたりと、ようやく日本が遅れを取っていた部分が挽回されるのではないかと期待しています。ある夏の日の朝、レイトン・コートの主人スタンワース氏の額を撃ち抜かれた死体が、書斎で発見されます。現場は密室状況にあり、遺書も発見されたことから、警察の見解は自殺に傾いていましたが、不可解な死体の状態や滞在客の不審な行動を目にとめた作家のロジャー・シェリンガムは、自殺説に疑問を感じ、素人探偵の名乗りをあげます。気の進まない友人アレックをワトスン役に指名し、自信満々で調査に取りかかったロジャーでしたが…。この作品は当初 “?” 名義で発表されたそうです。シェリンガム2作目の「ウィッチフォード毒殺事件」では、 “『レイトン・コートの謎』の著書による” という匿名で発表したそうですが、何とも人を食った名前ですね。ホームズを追いかけるように登場した名探偵の多くが、エキセントリックな性格の人間離れした能力を持つものになって行ったのに反して、バークリーは、ごく普通の人間を探偵役に持ってきたかったようです。それは父親に宛てた序文にも書かれています。(探偵小説好きな父にささげるこの素直な文が、バークリーらしくないと言われているようです。どうも、後にはかなりひねくれた人だという評価になるらしいのですが……。)ロジャー・シェリンガムは三十代半ばの人気小説家です。並外れた好奇心を持ち、快活で、とにかくおしゃべり。趣味が犯罪学で頭の回転も速いのですが、ごく普通の人間だから失敗もあります。次々に推理を繰り出しては、突進し、迷走するというユーモラスな展開です。余りのドタバタぶりに笑ってしまうくらい、おかしい場面もありました。終盤には解決できるのだろうかと危ぶんでいたら、おっとこれは、呆然とする結末へ。時代を感じさせず、非常に面白く読むことができました。この事件に自信を得たシェリンガムは、以後積極的に探偵仕事に乗り出していくそうな。後期になるほど、ユーモアだけでなく皮肉もしっかりきいてくるらしいのですが、迷走探偵ぶりがどうなっていくのか見てみたい気がします。 レイトン・コートの謎 :アントニイ ・バークリー
2006年07月24日
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久しぶりの新作。珍しく、ゆっくりゆっくり読みました。あわてて読むともったいない気がして…。学生アリスの新作が出るという噂も、本当だといいのですが……。友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた臨床犯罪学者の火村英生は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまいます。通称・烏島と呼ばれるそこは、その名の通り、数多の烏が乱舞する絶海の孤島でした。俗世との接触を絶って隠遁する作家、謎のIT長者をはじめ、次々と集まり来る人々。そして奇怪な殺人事件が……。作家アリスはまっとうな、いい人です。火村先生と共に、子供になつかれます。孤高の探偵も好きだけど、子供に好かれる探偵もいいものです。優しい視点から語られる文章が、私には心地よく、絶対、有栖川さんはロマンチストだ、と思いながら読みました。あとがきに書かれているように、 「本来はそこから書き始めるべきであろう起点が隱蔽され」ています。謎の重心がいつもと違うところにあるようです。そのため、孤島が舞台ではあっても、一般的に期待されるような本格ミステリの趣ではありません。動機にもやや不満が残るし、明かされる謎もそれほど意外に思われないかもしれませんが、島の情景と隠遁作家がかもしだす雰囲気の中、ポーの「大鴉」をモチーフとして、物哀しい余韻の残る物語が紡がれています。とはいっても、壊れた時計について論じる場面では、とことん論理でこだわり抜きます。さすがです。読み終えて、かなえてはいけないとわかっている願いでも、かなうかもしれないと思ってしまったら、そこから逃れるのはどんな人でも難しいのかもしれない、と感じました。だからこそ、最後のアリスのセリフが心にしみます。 乱鴉の島 :有栖川有栖 楽天では品切れ
2006年07月21日
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連城三紀彦さんの作品を読むのは初めてでした。これまで恋愛小説のイメージの方が強かったのですが、ミステリとしても評判が高いらしいので、手にとってみました。殺人事件が起こり、その顛末が描かれ、ミステリではあるのですが、この読後感は何でしょう。次々と姿を変える景色に翻弄されて、どれが本当の姿かわからなくなり、眩暈のような感覚が……。ある夏の昼下がり。一軒家の小さな庭で、その家に預けられていた一人の少女が死体となって発見された。嫁の聡子が娘を連れて歯医者に出かけたわずかの間に何があったのか。死んだのは聡子の妹である幸子の娘、直子だった。留守番をしていたのは直子と、痴呆の気がある舅だけ。舅は戦時中の南洋の島での記憶が時々よみがえり、過去と現実が入り混じる事が多くなっていた。直子は誰に、なぜ殺されたのか?小学生の一人娘を持つ夫婦と舅が暮らす一見平凡な家庭において起こった事件。何の罪もない少女が殺されなければならなかった理由は何か。聡子夫婦、幸子夫婦、舅、それぞれが順に胸のうちを明かすたびに、新しい事実がわかり、事件の様相が変わっていきます。自分勝手な思い込みや、誰かをかばうためにつく嘘に惑わされながらも、誰もが抱えていた心の闇が、次第に浮き彫りになっていき、犯人だと思える人物さえ二転三転していきます。そして唖然とする真相。同じ場面が見方によって少しずつズレながら、重なりあっていくその構造がすごいです。一つの事件を、こういう複雑な見せ方で描く手腕にはうならされました。一度読んでみる価値がある作品だと思います。 白光(びゃっこう) :連城三紀彦
2006年07月19日
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「第四の扉」(感想)に次ぐ、犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズの第二作です。 前作では、ツイスト博士シリーズだと銘打ちながら、なかなかツイスト博士が出てきませんでしたが、今回は冒頭から登場します。ロンドン警視庁の若き部長刑事サイモン・カニンガムは、ある夜、ミステリ作家であるハロルド・ヴィカーズの邸宅を訪れます。ヴィカーズの娘の婚約者でもあるカニンガムは、その日ヴィカーズから秘密の夕食会に招待されていたのです。ところが夫人はそんな予定があることなど聞いていないし、ヴィカーズも前日から部屋にこもったままだと言います。ノックしても返事がないので不審に思った人々が鍵のかかったドアを打ち破ると、テーブルの上には晩餐の支度がなされ、ヴィカーズが煮えたぎる鍋に顔と両手を突っ込み銃を握りしめて死んでいました。奇妙なのは、料理からは湯気が出ているのに、死体はすでに死後24時間が経過しいること。しかも、この現場の状況は、作家が構想中の小説『死が招く』の設定とそっくり同じでした。密室ですね~。現場は異様な状況ですし、初めから話に引き込まれていきました。そのうえ、エキセントリックな作家、追い詰められた夫人、奇術師、薄気味悪い娘、双子の兄弟、屍衣を纏った謎の老人……曰くありげな人物たちが登場しますし、怪奇な雰囲気もたっぷりあり、ページ数が少なめな割に、内容は盛りだくさんです。大サービスです。これでもかという仕掛けの連続、二転三転する話の筋、意外な結末と一気に楽しめます。やはり1作目に続いてあっと言わせられました。舞台はロンドン、登場人物もイギリス人、ディクスン・カーを思わせる本格推理ながら、フランスミステリだというところも珍しいですね。ポール・アルテについては、二階堂黎人さんが解説で語っておられますが、その熱さにも驚きます(笑) 死が招く :ポール・アルテ
2006年07月16日
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「氷菓」(感想)「愚者のエンドロール」(感想)と続く、古典部シリーズ第3弾です。「氷菓」で解明された真相や、「愚者のエンドロール」での2-Fの映画も登場して、ここで終結します。できれば順番に読んだ方が楽しめるでしょう。今回は4人それぞれの視点で話が順に語られるので、彼らの個性がよく表れています。今まで出てこなかった意外な一面も知ることができます。いよいよ文化祭がやってきました!古典部も文集「氷菓」を販売します。ところが、古典部の文化祭はトラブルなしには終わらないという伝統の通り、30部発行の予定だった文集は、何かの手違いで200部も出来上がってしまいました。さあどうする?山と積まれた文集を売り切ることができるのか、というのが一つの軸。古典部の面々はそれぞれの方法で頑張ります。奉太郎は文集販売にかこつけて、「誰かがいなければ」と部屋に居座りますが、訪れてくる人たちとの物々交換で、いつしかわらしべ長者もどきの展開になるところが面白い。それが意外に役に立つことになろうとは……。もう一つは十文字と名乗る犯人が繰り返す奇妙な盗難。碁石、タロット、おたまなどが一定の順番で盗まれ、犯行声明が残されています。犯人は?その意図は?タイトルにあるクドリャフカとは、1957年旧ソ連の人工衛星スプートニク2号に乗った犬です。初めて宇宙へ出た生き物ですが、回収されるように設計されていなかったため、地球に戻ってくることはなかったそうです。クドリャフカが宇宙から地球を見て何を考えていたのか、わかりませんが、その気持ちが事件の真相に少し関係あるかもしれません。青春ミステリは、やっぱりほろ苦い結末でした。それにしても、メンバーがそれぞれ体験する文化祭の描写が、とても楽しそうです。ぶつかりながら、みんなで作り上げていく感じも、「いいよねー」とノスタルジックに思います。○×クイズがあったり、お料理大会があるというのもうらやましい。自分の高校時代の文化祭を久々に思い出しました。こういう参加型のイベントはなかったのですが、お化け屋敷が評判でした。私は、部長がお気に入りの女の子をひいきにするという余り楽しくもない部活の一大行事である英語劇に出なくてはいけないので、お化け屋敷には行ませんでした。少しだけ懐かしく、ほろ苦い思い出です。 クドリャフカの順番 :米澤穂信 2008年文庫化されました。 クドリャフカの順番:米澤穂信 楽天ブックスでは品切れ
2006年07月14日
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先日DVDレコーダーの調子が悪くなり、ディスクが出て来なくなってあせりました。なぜならGLAYさんが、いよいよ活動し始めるからです。半年前に修理したばかりなのに、やっぱり値段は正直なのでしょうか?そのときは、部品を取り替えた方がいいと言われたのですが、金額をきいて断念。でも、同情してくれたのか、修理に来てくれた方に秘策を教わりました。それをすっかり忘れていることがわかり、とてもあせりました。夜はふけるし、かえって壊しそうだし、あきらめかけたのですが、次の日ネットで検索したら、ちゃんと書いてありました。もう大丈夫。秘策でも何でもないですね。久しぶりのシングル「G4」発売は明日です。今日のうちに手に入れますが……。そして今日の夜、10時54分からTBSで一回限り、120秒のスポットが流れます。何とかそれが録画できそうなので、ほっとしています。今週はラジオ、テレビとたくさんたくさん出てくれます。今もラジオを聴きながら書いています。今日は秋のツアーも発表されたので、もう涙がでそうです。スポットのキーワード「リバース」という言葉のように、私も再生し、ミーハーの本領を存分に発揮したいと思っています。気持ちが上ずっています。すいません。
2006年07月11日
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コロラド州の山間の町アスペン・メドウが舞台で、離婚したのち、料理の腕を生かしてケータラーを営むゴルディを主人公としたシリーズです。毎回ケータリングの最中に事件が起こり、ゴルディが探偵役となり事件を解決するという流れです。これまで毎年1冊ぐらいのペースで刊行されていて、本書が12冊目です。2,3作目当たりから、油が乗ってきます。ゴルディはややふっくらめで小柄な30過ぎのブロンドの女性。常に迷惑をかけられる元亭主を、ひそかに、げす野郎と呼んでいます。暴力亭主だったのに、ハンサムな産婦人科医であることから、ほかの人にはなかなかその正体がわかってもらえません。何より一人息子のアーチーにとっては父親なので、まったく縁を切るというわけにもいかないのがつらいところです。彼は親友のマーラにとっても元夫です。マーラとは、同じ苦労をさせられた仲間としてだけでなく、今は固い友情で結ばれています。シリーズの初めにはシュルツ刑事との素敵な出会いがあります。離婚当時はまだ小さかったアーチも次第に成長し、思春期の息子を抱える母親としての気苦労も経験する、というように、ゴルディの人生の様々な側面も、巻を重ねる毎に進行していきます。ケータラーの仕事は苦労も多いのですが、ゴルディが歯を食いしばって頑張るのは、心から料理が好きだからです。彼女は困難にぶち当たった時でも、突っ立って辛さをかみしめるよりは、料理することを選びます。さて、その料理ですが、毎回何種類も登場します。今回その香りで、家の外に待ち構えるレポーターたちに白旗を揚げさせたのが、クロワッサンサンド。アーティーチョークを刻み、カニの身をほぐし、チーズをおろす。これをマヨネーズであえてクロワッサンで挟んだ。最後の仕上げにニンニクを潰しておろしたてのパン粉と一緒にバターで炒め、刻んだパセリとドライハーブを適量加え、これをカニの身の和え物の上からかけてオーブンに入れた。チーズが融けてグツグツいいはじめるころには、クロワッサンの端っこがカリッとキツネ色に焼けていた。さてその味は……この世のものと思えぬ味。肉厚なカニとクリーミーなマヨネーズと融けたチーズが、サクサクのクロワッサンとハーブで風味付けしたカリカリのパン粉と絶妙のハーモニーを奏でている。こんな調子で、おなかがすいているときに読んだらよだれがでてしまいそうな描写が、毎回たっぷりでてきます。そして必ず幾つかの料理のレシピがついています。シリーズ途中では低脂肪料理を開発したりしますし、聞いたことがないような料理もあったり、甘いものもたくさんあって、是非作ってみたくなります。そんなゴルディの欠点は好奇心旺盛で、何でも一人でやってしまおうとする事。多少の怪我にはめげずに首を突っ込んでいく、というのがいつものパターンです。しかし、今回の事件は、人生の大きな転機になりそうです……。これはコージーです。こんな田舎なのに殺人事件が起こり過ぎだよ、とか言わずに、実際に料理を作ってみたりしながら、ゆったり楽しめばいいのではないかと思います。クッキング・ママは名探偵クッキング・ママの名推理クッキング・ママの捜査網クッキング・ママの事件簿クッキング・ママの召喚状クッキング・ママの検屍書クッキング・ママの依頼人クッキング・ママの真犯人クッキング・ママの告訴状クッキング・ママの超推理クッキング・ママの供述書クッキング・ママの鎮魂歌 最新作です。
2006年07月10日
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その日、横須賀基地は桜祭りでにぎわっていた。基地内が市民に開放され、多くの民間人が訪れていたところに、海の中から現れたのはザリガニに似た巨大甲殻類だった。突然出現した怪物は人々を襲い、食べはじめる。機動隊が救助に走り回るが、歯が立たない。一方、逃げ場をなくし、海上自衛隊の潜水艦「きりしお」に避難した13人の少年少女と2人の若き自衛官は、艦内にたてこもることになる。ここまで読んで、巨大なザリガニが襲ってくる、なんて荒唐無稽な、と思った方も多いでしょう。私も友人に薦められた時に「え~っ!?」と思いましたが、それだけの話ではありませんでした。読み進めるに連れ、ページを繰る手が止まらなくなりました。ザリガニ(本当はエビ?)が、人を襲うシーンは残酷だしおぞましく苦手でしたが、彼らに立ち向かう、警察や自衛隊の描写にはかなりのリアリティがありました。日本の政治的要因や、抱える問題点さえ見えてくるので、緊急事態に陥ったときには、本当にきちんと対処ができるのだろうかと、ミサイルが飛んでくるような今だからこそ、切実に心配になりました。機動隊は頑張りました。たかが甲殻類とはいえ、とても太刀打ちできないのですが、機動隊員たちは負け戦と承知していながら、作戦を遂行しようとするのです。人が命を賭けて、人を助けようとする姿にはぐっときます。平行して進行する、横須賀港に閉じ込められた潜水艦の乗組員と子供たちのことが、この物語の中心といってもいいでしょう。そこには、自衛官への反発、子供同士の対立、親子の関係や、少年期の心の問題まで、様々なテーマが詰まっています。作者があとがきで、初めは「潜水艦で十五少年漂流記」というコンセプトのはずだったと明かしています。結局、漂流はしませんが、互いにぶつかったり協力し合ったりしながら、少年たちの関係が変わっていき、成長していくところには、その面影(?)があります。作者は男性なのに女性特有のことまで詳しく書かれているな、と思っていましたが、有川浩、という名前は、ありかわひろし、ではなくて、ありかわひろ、という女性(しかも主婦)だったのでした。なるほど……。ついでに紹介すると、この方は2003年「塩の街」で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。同年同作にてデビューされています。 他には「空の中」「図書館戦争」という作品があります。こういう状況の中ですが、青春も、恋もあります。最後のシーンが、とてもさわやかなんですが、そこは好き嫌いがあると思います。私は結構好きでした。これはミステリではありませんが、有川さんの他の作品も読んでみたいと思わせる作品でありました。薦めてくれた友人に感謝! 海の底 :有川浩
2006年07月06日
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高校時代のソフトボール部の仲間チーズ(知寿子)が死んだ。通夜の席で、昔のチームメイト7人が7年ぶりに顔を合わせる。彼女達それぞれの視点で語られる、それぞれの人生、悩み、夢、そして亡くなった仲間への思い。虹の色に彩られた七つの連作短編集。サマー・オレンジ・ピール/スカーレット・ルージュ/ひよこ色の天使/緑の森の夜鳴き鳥/紫の雲路/雨上がりの藍の色/青い空と小鳥 装丁がおしゃれです。目次も素敵。各話の扉のページにに描かれたイラストも少しずつ違うので、細かいところですが、見てください。7人のうちの1人で、ソフトボール部のキャプテンとして登場するのは、なんと『月曜日の水玉模様』の主人公だった、片桐陶子さんです。彼女のキャプテンぶりや、高校生のころの素顔も少しだけ、新たに知ることができます。そして、ほんのちょっとだけ萩君も元気な姿を見せてくれます。あのころから変わらない二人にほっとしました。ソフトボールのチームは9名いたのですが、本書には7編分の短編しかありません。一人は亡くなっていますが、もう一人はいったい……。中には総合職について第一線で働いている女性もいれば、主婦もいます。看護士、栄養士、保育士もいれば、無職の女性もいます。読んでいるうちに、彼女たちの中の同じ思いをしたことがある誰かに、いつしか自分を重ね合わせています。確かに感じたことのある微妙な人間関係や、劣等感、強がっていた自分を思い出しました。同じ年代である24、5才の人ならば、もっと共感できるところも多いのではないでしょうか。それぞれの作品に小さな日常の謎が織り込まれています。さらに全体を通してもうひとつの謎が次第に明らかになっていきます。ミステリ色は虹色。でもごく淡いです。はっきり解決のつかない謎もあります。殺人もおこらないし、悪人も出てきません。他人から見ればささいなことで悩んだり、迷ってたりしながらも頑張っている、その姿を見ているうちに、自分の物語は何色だろう、と考えています。そして、いつしか明日への元気が湧いてきます。いざという時に、よりどころをくれそうな、大切にしたい一冊。 レインレイン・ボウ : 加納朋子
2006年07月03日
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政界のボスとして悪名高い上院議員が、選挙を控え、自宅で刺殺されていた。家の者をわざわざ外出させているのも奇妙なら、犯行現場にいわくありげな小箱が置かれていたのも奇妙だった。出てきた手紙から、怪しげな婦人との交際が明らかになるが、事件の様相を一変させたのは、脅迫状だった。アーロン・ドウなる囚人からのもので、復讐をにおわせる文面だった。しかもこの男は最近出所したばかりだったのだ…。サム警部の美しい娘ペーシェンス・サムが老探偵ドルリイ・レーンと共に、事件解決に乗り出す。ドルリー・レーンの4部作、「Xの悲劇」(感想)、「Yの悲劇」(感想)、に次ぐ3作目です。今回は、サム警部の娘であるペーシェンス・サムが探偵役であり、語り手となっています。若い女性の探偵というのは、書かれた当時ではかなり斬新なことだったようです。それでも、自分の若さと容貌に自信を持っており、それを利用しているとしか思えない若い女性の姿に、恋愛もからんでくるなど、これまでとかなり違う雰囲気に戸惑います。好き嫌いが分かれるでしょうね。スマートなエラリー・クイーンもいいけれど、聴覚を失った元名優ドルリー・レーンの深みのある言動も魅力的だと感じていたのですが、ドルリー・レーンが老い込んでいて、活躍するシーンが少ないのが悲しかったです。とはいえ、死刑執行までに事件を解決しなければならないというタイムリミットがあるため、後半は緊迫感がひしひしと感じられます。そして死刑執行のシーンの細かな描写には、独特の雰囲気飲み込まれてしまうような迫力があります。今回のレーンの推理は消去法です。消去法を使うには、あいまいな点があっては成り立たないのですが、与えられた情報を整理して、もれのない納得できる論理を展開するところに感心しました。この作品の内容が、4作目の「レーン最後の事件」の伏線にもなっているらしいので、忘れないうちに4作目も読もうと思います。Zの悲劇新版:エラリ・クイーンZの悲劇:エラリ・クイーン
2006年07月01日
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