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「学ばない探偵たちの学園」(感想)のシリーズ第二弾今回は野球がテーマです。でも、大丈夫。親切に書いてあるので、野球に詳しくない私でも問題なく理解できました。のんきを絵に描いたような鯉ヶ窪学園。敗退を続ける弱小野球部のグラウンドから、ある日ベースが盗まれてしまう。オレ(=赤坂通)が唯一の下級生として在籍する探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、相手校のグラウンドで行われた練習試合の終盤に事件は起きた。白昼堂々、バックスクリーンで発見された野球部監督の死体に騒然となる両校関係者と捜査陣。死体の近くにはグローブとボール、そして盗まれたベースが置かれていた。動機は不明、球場ではアリバイ実験も行われるなど混迷をきわめる事件に、オレたち探偵部三人が事件に首を突っ込んだ。しょうもない推理合戦の先に待つものは…。 探偵部三人組のとぼけた味とギャグのすべり具合は相変わらずですが、学園の外が舞台となっているせいか、そのテンションは少々抑え気味です。そのため、前作より読みやすいのですが、実はそれがちょっと寂しかったりもします。私は東川さんの作品のまったりとしたユーモラスな会話が、結構好きかもしれないです。ぬるいギャグに気を取られてしまいがちですが、ちゃんと伏線も張ってあり、手がかりも残されていて、そこから探偵が推理を組み立てる(時に間違うことはあっても)というように、しっかり本格ミステリなのも特徴です。さらに、真相にいたるまでは意外なことが……。前作から少しだけ時は流れ(多分3ヶ月くらい)、あきれるほどミステリのことに無知だった赤坂君も、ほんの少し成長していることがわかって、微笑ましかったです。そこは爆笑ポイントでもあるのですが。なかなか楽しい一作。 殺意は必ず三度ある :東川篤哉
2006年06月28日
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本格推理という言葉にひかれて読んだこの作品、表紙のかわいい絵からわかるように、ライトノベルでした。 小中高一貫の大型校、木ノ花学園で事件は起きた。学園でいちばん古い校舎にある音楽室に、死んだはずの女の人が現れたという…。怪談の中心にいるのは、春休みに母を亡くした少女だった。事件を調べるのは、美人で巨乳の理事長木ノ花あざみによって作られた「本格推理委員会」だ。メンバーは学園一の知識を持つ委員長・桜森鈴音、空手部エースの先輩・楠木菜摘。そして委員会の最終兵器、全てを見通す「ただの勘」を持った木下椎である。あとは、俺・城崎修。普通の高校生、ただの使いっ走りだ。学校の怪談はやがて、過去の事件へとつながり、少女たちは心の歯車を狂わされていく。そして、理事長は言った。あなたが事件を解決するのだ、と。使いっ走りのこの俺が―。第1回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。 主人公の高校生・城崎修は、あることが原因で推理能力を封印しているのですが、そこで「春期限定いちごタルト事件」を思い浮かべました。ライトノベル初心者だったこともあり、小市民を目指す彼らを気味悪く感じたものでしたが、今回はどうだったかと言うと、相当イライラが募りました。この男の子は煮え切らなくて、逃げてばかりで、ウダウダ言うし、だらしなさすぎます。彼をそうさせている過去のトラウマが明らかにはなるのですが、何だかあざとく感じられて、同情できるまでの気持ちにはならなかったのが残念。多分、自分にもそういうところがあるので、なお更嫌だったのかもしれません。手際よく料理ができるところは長所だと認めます。それと、登場人物には変わったキャラクターが多く、やたら美少女がでてきます。「萌え」という言葉が頭に浮かび、ちょっと引いてしまいかねない所でもありました。ま、ぎりぎり大丈夫でしたが……。ただし、最後のミステリに関してはすっかりだまされました。あとで確認してみたら、伏線はちゃんと記されていました。とてもフェアです。帯に書かれていたという言葉とは反対に、多少居心地の悪い思いをしましたが、後味は悪くなかったです。 本格推理委員会 :日向まさみち
2006年06月26日
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医学ミステリということで、かた苦しく重いのかと思いきや、決して難解ではありません。専門用語もポンポン出てきますが、分かりやすく読みやすかったですね。東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門チーム「チーム・バチスタ」を作り、次々に成功を収めていた。ところが今、三例続けて術中死が発生している。しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。バチスタ手術は、学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りがよい。拡張型心筋症に対する手術術式である。肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。大型量販店に行くと、電化製品の進歩に驚かされ、いつも全部欲しくなるのですが、医学も確実に進歩しているのですね。大きくなりすぎた心臓なら、小さくすればいいというラテンののりのバチスタ手術、「医龍」にも登場します。手術の様子や、医局での勢力争いなどがリアルに描かれていますが、それもそのはず、作者の海堂尊(かいどう・たける)さんは、現役の勤務医です。この作品がデビュー作で、『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しました。ミステリとしての驚きはそれほどないものの、最終選考で、数十秒で満場一致の決定をみた、というのはうなずける作品です。とにかくキャラクターの描き方が鮮やかです。内部調査に駆り出された田口は患者の愚痴を聴くのが仕事の万年窓際講師ですが、ちょっとすねた感じも面白いと思っていたら、後半すごいのが出てきます。厚生労働省大臣官房秘書課付技官の白鳥圭輔。人がついてこれないくらい頭が切れ、とにかく強烈。彼が登場してから、俄然吹き出すくらいコミカルな場面が多くなります。そのほかの人物も個性的に生き生きと描き分けられています。同じ人から話を聞くのに、田口と白鳥の調査の結果は違っていて、そのあたりの二人の掛け合いも楽しく、加速度がつくように面白くなります。もう途中でやめられなくなるくらいでした。白鳥には、今回名前だけ出てきた「氷姫」こと姫宮という部下がいるらしいのです。優秀であるらしい彼女にも是非会いたいです。インタビューによると、海堂さんは「続編も構想中」らしいので、そのうち期待できるかもしれません。兎に角面白い作品。これはおすすめです。 チーム・バチスタの栄光 : 海堂尊2007年文庫化されました。
2006年06月24日
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二日目は立山黒部アルペンルートへ行きました。トロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスと乗り継いだ標高2450メートルの室堂が目的地です。最初の乗り換え地点である黒部ダムで、すでに雄大さと、周りの山々の姿に感動しましたが、登るに連れてますます景色は違ってきます。ついに立山をくぐり抜け室堂に着くとなんと一面が白。みくりが池も、写真のように凍っていました。毒ガスが出ているので立ち止まってはいけないと書いてある地獄谷の近くも、滑りそうで早く歩けなくてあせりました。それでも雷鳥にも出会えました。寒くない雪歩きはテンションが上がり、妙に笑いたくなって困ります。三日目は八方尾根。まずゴンドラとリフト二つを乗り継いで1825メートルの八方池山荘へ。そこから往復1時間半のトレッキングをしましたが、ヘロヘロになりました。目的地の八方池は、予想通り凍っていました。そこで反対側を向いて撮ったのがこの写真です。白馬などの山々、のはずです。結局二日間とも、乗り物である程度高い所まで運んでもらっているわけで、ちょっとずるをした気分です。途中、遭難者の碑があって、本来私などの来るところではないというのもよくわかりました。でも、おかげで私のように体力が無い者も、今は天空の景色を見ることができます。有り難いことですが、甘んじずにこれから体力をつけて、富士登山も目指したいです。ともかくこのヘロヘロ体力では、夏のライブも乗り切れるかどうか危ぶまれるので、スクワットと腹筋を毎日少しずつ増やしていくことにします。それでダイエットにもなればラッキーですが、世の中そんなに甘くはないですね。
2006年06月22日
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白馬に来ています。 夫が仕事を変わるので、わずかにできた隙間を活用しての小旅行です。 こちらの方面に来るのは初めてですが、未だ雪を頂く日本アルプスの高さと美しさに圧倒されます。 山を見上げつつ露天風呂に入り、欲張って宿のお風呂にも入り、限りないだるさの中で、これからサッカーを見ます。 そういう事で、申し訳ありませんが、新刊更新、お返事が2、3日遅れます。
2006年06月19日
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右手には招霊木、顔には真っ黒なサングラスといういでたち。盲目で難聴の人気霊導師、能城あや子は、バラエティ番組で小さな相談コーナーを持っていただけでしたが、百発百中だと評判を呼び、今では押しも押されぬ人気です。彼女の霊視が百発百中なのには秘密がありました。実は仲間たちが綿密な調査をして彼女を支える、チームプレイのおかげだったのです。さて、調査を担当するのはたった二人だけれどこれが優秀。不法侵入やハッキングと犯罪すれすれの行為、というかまさに犯罪なんですが、普通の調査では決してわからないようなことまで、きっちり調べ上げてくれます。そのおかげで、霊視はバッチリ大成功。のみならず、警察でもわからなかったような事件の真相や犯罪までが次から次へと明るみに出ることになります。もちろんインチキだと決めつけて、からくりを暴こう熱意を燃やす人もいます。相談事の解決だけでなく、そういう人達との対決や、TEAM自身のことまで語られる連作風の短編集となっています。霊媒師とか、占い師を心から信じることができません。言われた事は、きっとすごく気にしてしまうとは思いますが、自分の人生が左右されるなどありえないのです。それでも、こういう夢のような話ならあって欲しいと思えます。TEAMの面々がとても魅力的で、お金や名声にしがみついたりしないところも、好感が持てます。最後もちょっとかっこ良過ぎるくらいです。できるなら彼らにもう一度会ってみたいと思います。作者の井上夢人さんは、徳山諄一さんとコンビで岡嶋 二人として活躍されていた方です。1989年 『クラインの壺』刊行を最後に、コンビを解消。結成から解散までの経緯は『おかしな二人』に書かれています。結構せつなくなる内容でした。 The team 井上夢人2009年文庫化されました。
2006年06月18日
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頑張って電話をかけ続け、やっとを手に入れたチケットです。休日は全て売り切れだったので、それ以外の日にちを考えていず、あせってえいっと適当に入力したのが6月15日でした。天候は雨。娘と二人、靴に水がしみこむのを感じながらたどり着きました。舞台の形状が普通と違うことはわかっていましたが、真ん中の一番低いところにソファや机が置かれた部屋があり、そこが舞台でした。四方を客席が囲む形なので、四方から見られる役者さんも大変だと思いながら、舞台の端を通って席に行きました。ニューイングランドの小さな大学の構内住宅の居間、という設定です。本来壁のあるべきところには特設の客席が並べてあり、観客の目の前の床でラブシーンが演じられたりもするわけです。そして、真ん中の丸い部分が、なぜか時々90度から180度回転します。結婚23年目の大学教授夫妻ジョージとマーサが、マーサの父である大学総長主催のパーティーから帰宅した深夜、新任の助教授夫妻ニックとハネーが招かれてやってきます。ジョージとマーサは喧嘩したりののしりあったり、初めから過激です。それにだんだんとニックとハネーも巻き込まれ、お酒を飲みながら、互いに欠点をあげつらったり、秘密を暴いたり暴かれたりと悪夢のような夜が過ぎ、やがて夜明けへ……。マーサ………大竹しのぶジョージ……段田安則ニック………稲垣吾郎ハネー………ともさかりえ4人の俳優の迫力に圧倒されました。セリフもすごく多いし。特に大竹しのぶさん、この人は生まれながらの女優ではないかというくらいすごいです。これまではそれほど関心はなかったのですが、すっかり魅了されました。吾郎ちゃんのラブシーンもあり、若い女の子は目を塞ぎたくなるだろうな、と思いました。余り前の方ではなかったので、私は時々双眼鏡を取り出して見たりもしていました。吾郎ちゃんはいい顔をしていますが、後姿もしっかり演技していました。ドームやスタジアムでのライブを見に行くことが多いので、比較するのはおかしいけれど、劇場というものはとても小さく感じます。肉眼でちゃんと表情もみえるのもうれしかったです。悪趣味な場面もありながら、笑える場面もとても多く、笑ってあきれて、後で考えさせる、という感じでした。ですが、後味は悪く無かったです。意外に暖かい物が胸に残りました。娘にとっては初めての演劇鑑賞でした。(小学校の体育館などでは見たことがあるようですが)3時間以上でしたが、集中力は衰えませんでした。座っているだけなのに、すごくエネルギーを使った気がします。それくらい引き込まれました。吾郎ちゃんが出ることがきっかけで知った舞台でしたが、忘れられない体験になりました。
2006年06月16日
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ある人のすすめで読むことになった作品。どういう話かわからないまま図書館に予約していました。舞台は15世紀末のミラノです。タイトルにある旧宮殿コルテ・ヴェッキアとは何でしょう。ほぼ円形をなす都市ミラノの中心部で建築途中の大聖堂を正面に望む豪華な建物と、美しい鐘楼を持つサン・ゴッタルド教会を含めた一帯。この地区を総称して旧宮殿と呼んでいたそうです。そこは、かつてはミラノの支配者ヴィスコンティ家の居城でしたが、彼らは30年前に追放され、現在の主人はミラノ公と彼の親族であるスッフォルツァ家です。その町で宰相閣下と呼ばれるのがルドヴィコ・スフォルツァ、通称イル・モーロです。物語は、彼が旧宮殿に一人の男を訪ねていくところから始まります。その男は、画家、建築家、彫刻家、そして音楽家でもあり、マエストロの称号を持つ、レオナルド・ダ・ヴィンチです。この作品はレオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役となって、謎解きをする短編集でした。サブタイトルは「15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦」。愛だけが思い出させる/窓のない塔から見る景色/忘れられた右腕/二つの鍵/ウェヌスの憂鬱イル・モーロ、レオナルドと共に、色々な事件の謎解きに関わるのが、チェチリア・ガッレラーニ。ミラノの廷臣ファツィオ・ガッレラーニの末娘で、美貌で楽才もあり、打てば響くような知性あふれる若い女性で、レオナルドをミラノに招くことを提言したと言われています。レオナルドが生涯でたった三作しか書いていない肖像画(一つはモナリザですよね)のうちの一作 、「白貂を抱く貴婦人」に書かれているのがチェチリア・ガッレラーニです。 ポーランドの美術館にあり、何年か前、日本にも貸しだされています。残念ながら観たことはありませんが。三雲岳斗さんの作品を読むのは初めてですが、とても読みやすかったです。レオナルド・ダ・ヴィンチの様々な才能や知識からくる発想によって謎を明らかにしていく点が とてもユニークで、面白く読めます。特に「二つの鍵」は、論理で追いつめていくといった展開で私好みでした。堅いことは言わずに、レオナルド・ダ・ヴィンチのいた時代に思いをはせ、活気あるミラノの雰囲気を味わい、ロマンを感じつつ楽しむことができれば、それでいいのだと思います。この作品には前作「聖遺の天使」があることを知り、是非読みたくなりました。旧宮殿にて :三雲岳斗
2006年06月14日
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昨日と較べると、ずーっと気楽に、韓国・トーゴ戦を観ています。昨日の日本・オーストラリアの試合終了時には、さすがに限りなく落ち込みました。呆然としていたら、家の前の通りを、男の子(推定20歳くらい)が「悔しいな~」と叫びながら通り過ぎていきました。「若者よ、君の気持ちはよくわかる。」とひそかに共感しました。さて、私はかの有名な「ドーハの悲劇」を生中継で観ていました。あの時はショックが大きくて、しかもしばらく尾を引いたという経験があります。今回もショックは大きいと思っていましたが、一日経った今、すっかり気持ちを切り替えています。それはブログのお陰です。色んな人のブログを見ていると、大多数が同じ気持だということがわかって、少し気持ちがやすらぎました。さらに、サッカーに詳しい方の意見や、様々な情報を読んでいるうちに、だんだんと冷静になることができました。昨日は喜ぶヒディンク監督が憎らしいと思っていましたが、今はなかなかやるなと認めつつあります。そして「まだ終わったわけじゃない」んですね。昨日はソーセージとザワークラウトを買って来ましたが、オーストラリア料理を用意するのが正解だったのだろうか、クロアチアの料理が何か調べようか、と思えるくらい気持ちは前向きになってきました。また、応援します!
2006年06月13日
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「毒入りチョコレート事件」は、英国の作家、アントニー・バークリーが1929年発表した、ミステリファンの間では有名な作品です。何で有名かというと、1つの事件に対して複数の解決が示される、徹底した多重解決ものの名作だからです。私も名前だけは何度も聞いたことがあったので、機会があれば読みたいと思っていましたが、愚者のエンドロール(感想)がきっかけで読むことに。犯罪学に造詣が深いだけでなく、応用することができる知性を持ち合わせた人間だけがのみが入会を許されるという「犯罪研究会」。その会合の席で、ゲストとして招かれたスコットランド・ヤード主席警部モレスビーは、未解決の『毒入りチョコレード事件』について報告します。その事件とは……あるクラブで、チョコレート製造会社からユーステス卿あてに送られてきた新製品を、卿の友人、ベンディックス氏が偶然譲り受けます。持ち帰ったチョコレートを食べたベンディックス夫妻は中毒症状を起こし、妻が死亡してしまいます。チョコレートからは、毒薬であるニトロベンゼンが検出されますが、会社ではそれを送っておらず、警察の捜査も暗礁に乗り上げていました。ロジャー・シェリンガムは自身が会長を務める「犯罪研究会」で会員ひとりひとりが事件の真相を推理し合うことを提案します。そこで6人の推理が次々に披露されるのですが、まず一人が自分の推理を述べ、次の人がそれを超える推理を発表してはひっくり返していきます。解説にあるように「解決場面だけが続くようなミステリーがあったら……と空想する人にはたまらない」といった展開です。事件に関するデータは案外少なく、単純にも見えていたのですが、メンバーの推理はそれぞれ違う角度から論じられており、なかなか説得力があります。ただし、十分な捜査の結果というわけではないので、憶測にすぎないものも含まれるのはしょうがないのでしょう。「ああでもないこうでもない」と言えば、西澤保彦さんのタックシリーズを思い出します。「麦酒の家の冒険」(感想)など、まさに多重解決ものでしたが、その原点はこんなところにあったんですね。ただしこの作品では酩酊はしませんがw誰もが自分の説こそ「真相」だと自信を持っており、芝居がかった演出をする者までいますが、二転三転した結果、果たして「真相」は……。この作品が、一人の探偵が一つだけの結果を出す推理小説に対する皮肉、と捉えられているのもわかる気がしました。 毒入りチョコレート事件 :アントニー・バークリー
2006年06月11日
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家中に酢の香りが漂っています。人生2度目のらっきょう漬けを作りました。とは言っても、主人の母が塩漬けのらっきょうを送ってくれたので、私がやった事は、ビンに入れて酢に氷砂糖を煮溶かしてさましたものを注いだだけです。大変なところはすべてやってもらったのです。前回はビンまで贈ってもらうという過保護ぶりでした。それなのに夫は、知り合いにおすそわけして、「うちのが漬けました。」なんて言ったとか。親に手伝ってもらった夏休みの宿題の絵が、作品展で入賞したような後ろめたさがあります。でも、酢1.8リットルと氷砂糖1キロを買ってくることに頑張ったので、まあいいかな、なんて……やっぱりだめでしょうね。
2006年06月10日
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「氷菓」(感想)に次ぐ、省エネがモットーの奉太郎ら古典部が活躍する、シリーズ第二弾。タイトルを見たときからワクワクしたのは「これはきっとあの有名女性作家の作品に関係あるに違いない。」と思い込んだから。それが正しかったかどうかは、あとがきにハッキリと記されていました。「○○○○○は実は□□□です。」結果はどうあれ、私のワクワク感が消えることはありませんでした。自分の高校生の頃を思うと、自意識過剰だし、見かけばかり気にして、とても不器用な生き方しかできなかったような気がします。もしも今の精神状態で高校時代に戻ったらうまくやれるのに、と思うこともありますが、この作品に登場する高校生達は、ちょっとそんな感じ、何だか老成したところがあります。そしてそれが独特の雰囲気を出しています。学園ものはもとから好きな私ですが、そういうところも気に入りました。文化祭に出展するためにあるクラスで映画を製作していました。テーマはミステリー。ところがこれから解決編というところで脚本家が倒れたため、撮影を中断したままで締め切りが迫っていました。そこでまとめ役の入須から依頼され、奉太郎たち古典部員は、結末についての関係者の推論を聞くことになります。ところが、少ない手がかりから打ち立てられた彼らの推論は、一つ一つ否定されていきます。この作品はアントニィ・バークリーの「毒入りチョコレート事件」のオマージュとして書かれていますが、その推論たるや、余りに単純だったり、物足りなかったり、かなり突飛なものだったりします。名言も飛び出したし……。まあ、普通の高校生ですから無理も無いところ。そして、ミステリ好きな人にはたまらない言葉がたくさん出てきます。密室、倒叙、ノックスの十戒、それに、館(?)の見取り図はあるし、設計者の名前が……だし。(ノックスの十戒とは、ロナルド・A・ノックスが著した、推理小説を書くにあたっての十の戒めで、たとえば、犯人は物語の始めのほうで登場している人物でなければならない、とか、探偵自身が犯人であってはならない、とか、読者の知らない手がかりによって解決してはいけない、など、つまり推理小説はフェアプレイでないといけないという内容です。既に古臭くなって、時代を感じさせる物もあります。)この作品は、チャットルームから幕を開けます。そして最後もチャットルームで終わります。初めは誰が会話しているのかわからないのですが、ハンドルネームや会話の内容から、最後には誰だか類推することができます。「あ・た・し♪」さん、やっぱりいいですね。登場人物では、男言葉で話し、女帝とあだ名される入須さんが魅力的ですし、脚本家さんの気持ちもよくわかりました。(私はミステリ好きなんですけどね……)でも、今回は、古典部のメンバーがしっかりと自分の得意な観点から、自分なりの考えを示すところが一番よかったかな、と思います。この次が楽しみになりますし……。ほろ苦さも含んでいるものの、読後感もとても爽やかな作品で、ますます米澤穂信さんから、目が離せなくなりそうです。 愚者のエンドロール :米澤穂信
2006年06月08日
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久々に友人と、古書店めぐりをしてきました。目当ての本をメモして勇んで出かけましたが、なかなか希望の本にはめぐり合えませんでした。(予算と折り合わず、なくなくあきらめることもしばし。)それでも、4階建ての大きなお店では、絶版部屋で小さな頃読んだSFの「新世界遊撃隊」を発見したり、洋書部屋をのぞいたり、ミステリマガジンが50円だったり、アニメの同人誌なるものを初めて見たり、普段見ないものがたくさんあって楽しかったです。結局、購入したのは[雑誌] ミステリマガジンこのミステリーがすごい!2冊今日の料理(夏に笑う!メリハリダイエット)[漫画] コミカル・ミステリー・ツアー 2と3 いしいひさいち[ミステリ] 「A先生の名推理」津島誠司そして友人に借りたのが[漫画] 「百鬼夜行抄」14 今市子「世界で一番優しい音楽」小沢真理[ミステリ]「花嫁人形」佐々木丸美「神南署安積班」今野敏たくさん歩き回って、たくさん話せて、収穫もあって、いい一日でした。
2006年06月07日
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ついに時間はかかりましたが、苦戦していた「サタンの僧院」を読み終わりました。物語はコーカサス山脈のふもとにある聖ベルナルディス神学校から始まります。一面雪の白い庭を移動する、黒い法衣の学生達。敬虔なカトリックである彼らの前に、緑の甲冑に身を固めた「僧正」が馬にまたがって姿を現します。彼は、伝説の剣を岩から抜き去り、学院長の息子である甲斐・クレメンスに、自らの首をはねさせるのです。そして、復活を約束し、落とされた自分の首を持ち帰ります。後には「僧正」の居場所をしるした暗号文が残されていました。甲斐は暗号を解いて「僧正」のもとへ単身旅立ち、入れ違いに帰った兄アーサーも彼を助けるために後を追うのでした。首なし騎士も不思議ですが、他にも奇跡や不可能な謎が幾つも登場します。七百年前におきた不可思議なできごと……周囲に足場が何もないのに、姫君は足跡一つない広場の真ん中で墜死し、同じ時に、その姉は高い塔の上の密室で、護衛と共に殺されていた。誰も近づけなかったはずの時鐘塔に一瞬の間に出現する死体。人々が見守る中で見えない凶器に刺される、自称「聖者」。目には見えない魂の重さをはかる天秤。などなど。これらの謎は、合理的に解明されるのですが、それがやや肩透かしに思えます。まるで、手品の種明かしをされたかのような気持ちになってしまいました。そんなちょっとちゃちにも感じられる真相を補うのが、重厚な神学論争であり、中世的雰囲気なのです。(中世的雰囲気だけど現代のお話だということに気づいたのは、いよいよ終わりごろでした。)私にはその神学論争が今一つ楽しめなかったので、大変疲れることになってしまいました。前作の「3000年の密室」(感想)では、考古学のロマンに酔うことができたのに、なぜ今回はできなかったのか?多分私が神学には興味がなかったからです。「円卓の騎士」を甦らせたこの物語は、神学、宗教がバランスのいい問答として配置されているので、興味が持てる方なら、とても楽しめることと思います。ただし、アーサーが、かなりかっこいいのですよ。のど元過ぎれば何とやら、次回アーサーが出てくるのなら、読んでみてもいいかななどと思っております。※なるほど、と感心する謎解きもありました。特に、龍伝説の解釈は見事でした。これまでの言い伝えが、解釈一つで鮮やかに変わってしまうんですから。このことを付け加えておきます。 サタンの僧院 :柄刀一
2006年06月05日
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「イン・ザ・プール」(感想)「空中ブランコ」(感想)に次ぐ、伊良部先生シリーズの第三弾です。前2作がツボのはまる面白さだったので、かなり期待してしまいます。が、今回は患者の様子が違っていました。4編中3編において、患者のモデルは有名人。しかもあからさまに誰だかわかるのです。「オーナー」暗所恐怖症の球団オーナー……野球のことは詳しくない私でも、こういう人がいることは知っていますし、テレビで顔も見たはずです。「アンポンマン」平仮名を思い出せなくなった若きIT社長……今では元IT社長です。「カリスマ稼業」太ることを極端に恐れる女優……歌劇団出身でいつまでも若々しい方です。しかし女優さんには手きびしい書き方。本人が見たら怒るでしょう。こんなこと書いて大丈夫だろうかと不安になりながら読みました。これらの患者が伊良部先生のところにきて、いつものように注射を打たれ、そして大体いい方に向かいます。でも、それは伊良部先生が導いたからというより、ほとんど自分で立ち直るという感じです。患者が余りに強烈すぎるので、伊良部先生がはじけきれないのもしょうがないでしょう。最後の「町長選挙」これにもモデルがあるんでしょうか?ある離島に伊良部先生が赴任しますが、そこは、島を二分して争われる町長選挙の真っ最中。しかも、当選した側は異常な厚遇になるけれど、落選したら悲惨な状況を耐えるしかないという4年に一度の選挙。選挙違反やり放題のその騒動に伊良部先生も巻き込まれてしまいます。ここでやっと伊良部先生も本領を発揮しています。でも、主役はやっぱりキャラクターの濃い島民ですね。幼稚園児なみの伊良部の発想に乗っかりつつ、どろどろした選挙戦をくり広げていくのですが、最後には青春小説のような爽快さが感じられます。今回は、伊良部先生の印象が弱めだった代わりに、マユミちゃんの存在感が大きかったです。謎めいた正体の一端もあきらかに……。これまでのように、読者までが癒されるほどのハチャメチャぶりは見られませんでしたが、番外編という感じで楽しむことができました。今回一番気に入ったフレーズは「いやだよーん」です。 2009年文庫化
2006年06月03日
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もうおなじみです。今日も元気に寝込んでいる病弱な若だんなと、様々な妖(あやかし)たちが織り成す、人情あふれる推理帖。『しゃばけ』『ぬしさまへ』『ねこのばば』(感想)に続く、シリーズ第四弾です。 【目次】こわい/畳紙/動く影/ありんすこく/おまけのこ 「こわい」 ほかの妖と交わらない狐者異(こわい)が初登場。人からも妖からも忌み嫌われるなんて寂しすぎると、若だんなは気がかりな様子。私も気になります。「畳紙」 前作にでてきた厚化粧のお雛さんには悩みがありました。ここでは屏風のぞきの意外な一面が見えます。「動く影」 一太郎坊ちゃんと栄吉がであった5歳のころの思い出。やっぱり小さい頃から体が弱かった若だんな、それでも栄吉たちと一緒に行動したいという気持ちが伝わってきます。「ありんすこく」 若だんなが突然吉原の禿を足抜けさせ、一緒に逃げると言い出します。酒を飲むだけとはいえ吉原の遊郭に行くとは、若だんなも成長したというべきなんでしょうが、ちょっと寂しいような気もします。「おまけのこ」 一匹の鳴家の小さな大冒険。かわいいです。決してうちのこは「おまけのこ」なんかじゃない、と言ってあげたくなります。今回、普段は脇役の妖にもスポットライトがあてられていたのが興味深く、楽しめました。どろどろした嫌な事件もあるし、若だんなの気持ちが届かない妖もいましたが、読んだ後は暖かくてほっとした気持ちになります。若だんなを取り巻く妖たちは、若だんなの優しさに包まれて幸せです。もう家族同然ですね。これは、ずっと読み続けていきたいシリーズになりました。 おまけのこ :畠中恵第5弾が発売されました。 うそうそ :畠中恵
2006年06月01日
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