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2013.05.22
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カテゴリ: 小説
子供の頃に仲良しだった貴子と永遠子が25年ぶりに再会して別荘を片付ける話。
三人称で、永遠子と貴子を交互に書く構成。事件がおきず、登場人物間の対立もなく、物語に緊迫感がないままのっぺりと展開していく。文章自体は下手ではなく、描写の量も十分なものの、内容にまったく面白みがない。描写に強弱をつけずに改行しないまま均一にだらだら出来事を書いているので、何の物語を描こうとしているのか主題がはっきりせず、メンタルモデルが形成できない。つまりは印象に残らない。プロットや登場人物や文飾に面白いと思える点、魅力に思える点がひとつもなく、ただ文章が書いてあったという曖昧な記憶しか残らない。子供の頃に仲良しだった貴子と永遠子が、その後の25年をどういう思想を持ってどういう生き方をしてどういう決断をしてきたのかという人生のメインエベントをすっ飛ばして、子供の頃はあーだったこーだったという仲良しの二人の些細な回想に逃げ込んでしまい、登場人物に魅力がなく共感しようもない。
ロマン主義の古典文学が今でも読みつがれているのは恋、復讐、殺人、不倫、戦争といった極限状況にある人間の波乱万丈の人生を書いていて面白いからだけれど、この小説にはそういった物語を面白くする要素がまったくない。ただでさえ別荘を片付けるだけの退屈な物語なうえに興味がない人間の過去の話を聞かされてもますます退屈するだけなのだけれど、作者はそんなことにはお構いなしで、読者を楽しませようとする工夫も気遣いもない。
純文学的な仕掛けは貴子と永遠子が共に何かに髪をひっぱられた感じがして危険を逃れたというエピソードで、これは生まれてくるはずだった永遠子の妹が危機を知らせようと髪を引っ張った心霊現象として解釈したのだけれど、物語の本筋にかかわる部分でもなく、なんでこの仕掛けを投入したのか、これで何をしたいのか意味がわからない。
作者は時間が流れていくことをテーマにして書いたらしいけれど、そのテーゼに対してアンチテーゼもなく、時間が流れたから何なの?という疑問を残したまま、読者にとっては無駄な時間が流れた。これは読書して無駄な時間をすごしているうちに時が流れて皆死んでしまうことを読者に自覚させることを目的にした虚無主義の前衛文学なんだろうか。もしそうなら体を張って読書の無意味さを訴えたすごく出来のいい無意味な小説だとほめてあげたい。

★★★☆☆

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最終更新日  2013.05.23 02:49:44
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