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2015.05.21
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カテゴリ: 小説
転時能力者の元製薬会社勤務の作家の速水洋介は、分身して江戸時代にタイムスリップして治療をして仙人扱いされていて、仙術としてカメラで写真をとってやったり、潮干狩りに行ったりして楽しくすごす話。
三人称。私はエンタメには疎いのでこの作者は知らないものの、巷で売れているシリーズものの第7作らしい。シリーズものというだけあって文章は書きなれているらしくて読みやすいものの、時代小説かと思って読み始めた私のような初見の読者には何の説明もなく、当然の事のように主人公がタイムスリップしている冒頭部分にまずつまづく。江戸の説明がやたらと多く、物語がなかなか展開しないのにもつまづく。江戸の街を散歩するだけのシーンが数十ページあり、しかもそれがプロットにまったく関連しておらず、作者が調べたことを垂れ流すだけの押し付けがましい説明になっている。
タイムスリップものの時代SF小説として何か面白い点はあるかというと、カメラで写真を撮って江戸時代の人を驚かせているだけなので、SFとしてはつまらない。タイムスリップして現代の知識で医療をほどこすという設定もどっかで聞いたことがあるやつで目新しさはない。この設定でなければ書けない部分は、東京にいるもう一人の自分と記憶が入れ替わりつつ妻の流子と江戸の愛人のいな吉と交互にセックスする場面くらいしかない。
登場人物たちが楽しく過ごしている場面の合間に江戸の説明があるだけで、プロットも伏線もなく、長編小説なのに物語が展開しない。もしこの小説がシリーズものでなく誰か新人が書いた長編小説だとしたら、小説未満の資料集もどきとしてボツになっていそうな出来栄え。それでも刊行されるというのは、現代人向けの江戸観光案内と若干の濡れ場がこの小説の見所で、ストーリーの面白さよりも時代物のエロ小説に興味がある年配の男性読者向けに需要があるのだろう。なぜ私が自分の趣味から大幅に外れているこの小説をわざわざ読んだかというと、エンタメ小説がどんなもんかという市場調査で親父の本棚にある小説を適当に読んでいるのである。こんなプロットのない資料集もどきの小説でも小説として売れているのだから不思議なものだ。たぶんエロシーンのおかげなのだろう。

★★☆☆☆






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最終更新日  2015.05.22 04:05:13
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