三角猫の巣窟

三角猫の巣窟

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

コメント新着

三角猫@ Re[1]:戦争反対について考える(04/02) 四角いハムスターさんへ 四角いハムスタ…
四角いハムスター@ Re:戦争反対について考える(04/02) お久しぶりです。 コメントはしておりま…
三角猫 @ Re[1]:善本位制について考える(08/02) 四角いハムスターさんへ 善本位制がうま…
四角いハムスター@ Re:善本位制について考える(08/02) 三角猫さんへ 中国は国家安全ために自国…
三角猫 @ Re[1]:善本位制について考える(08/02) 四角いハムスターさんへ 私は宗教国家の…
2015.10.20
XML
カテゴリ: 小説
テムジン(チンギスカン)の出生から死までを書いた伝記小説。

●あらすじ
西暦1162年、モンゴルの遊牧民の娘ホエルンはメルキト部族の若者に掠奪された後にボルジギン氏族の汗のエスガイに掠奪されてエスガイの妻になって父親がわからない子供を産み、産んだ子供の名前として戦捷記念にエスガイが殺した敵の首領の名をとってテムジン(鉄木真)と名付ける。テムジンは異母兄弟と共に育って、モンゴル人の祖先が蒼き狼と惨白い牝鹿だという話に惹かれる。やがてエスガイがタタル族に殺され、実権はボルジギン氏族からタイリュウト氏族に移ってホエルン一家はのけ者にされ、テムジンが一家の長となって過酷な環境を生き延びるものの、言うことを聞かない異母兄弟を一人殺す際にエスガイの子ではないといわれて動揺するものの、自分はモンゴルの血をひくと信じることにする。16歳のときにタイリュウト氏族が襲撃してきて、テムジンは捕まるものの逃げ出して家族と合流して暮らし始め、幕舎の人員を増やして強力にするために17歳でボルテと結婚して、友人ボオルチュたちを呼んで戦の訓練をしてすごしていると、24歳のときにメルキト部族が襲撃してきてボルテが掠奪されてしまう。ボルテを奪還する際に、父の盟友トオリル・カンが2万、弟分のジャダラン族のジャムカが2万の軍勢を出してボルテを奪還するものの、ボルテは妊娠していて、テムジンは父親不明のその子供にジュチ(客人)と名付ける。テムジンが同じボルジギン氏族のジャムカと安達の盟約を交わしたことで、かつてのボルジギン氏族の部衆たちがタイチュウトから離れて集まってくるようになると、利益を一律に分配するジャムカよりも労力に応じて分配するテムジンを慕うものが増えて、テムジンはジャムカに季節外れの猟に誘われたのを不穏に思って断り、妊娠したボルテの意見で移動する。
テムジンがモンゴルの汗の地位につくと、蒙古高原の部族はトオリル・カン、ジャムカ、テムジン、タタル部の4つの陣営に吸収された。突如ジャムカが3万の兵で襲撃してきて守戦が苦手なテムジンは敗走するものの、ジャムカの残忍さを嫌った人たちがテムジン側に加わる。テムジンは帳幕の統一に務めて、35歳のときに金がタタル部を攻撃したのをきっかけに、トオリル・カンを誘ってタタル部を攻撃して滅ぼし、39歳のときにテムジンとトオリル・カンの同盟軍がジャムカと戦って勝つ。1202年、40歳のときにタタル部の残党を倒し、ジャムカに味方したナイマン部族のグチュグト氏族を倒した後、かつての恩返しにトオリル・カンの息子を助けてやると、トオリル・カンの娘をジュチと婚約させるという罠をしかけてきたので、トオリル・カンと戦って倒す。ナイマン遠征から戻ってメルキトの残党も倒すと、クランという娘に惚れて側室にして、またナイマンに行ってジャムカを殺す。
1206年にテムジンはナイマンから戻って蒙古高原の部族を平定したモンゴルの汗としてチンギスカン(成吉思汗)と呼ばれ、部下に褒美と権限を与え、母の死後は金を攻めることにして、クランと息子のガウランも従軍させる。金を倒した後は今までのやり方と違って特殊な技能を持った男は残すことにして、契丹人で金の文官だった耶律楚材を側近にする。金の農耕技術やホラズムの商隊でモンゴルの民の生活も豊かになる。
ナイマン王グルチクが自国の滅亡後にカラ・キタイの王になっていたので、1218年にジェペ軍がカラ・キタイに侵攻して、宗教の自由を宣言して迫害されていた回教徒を開放するものの、ホラズムに派遣した商隊が殺されたことでチンギスハンはホラズムに出兵し、ホラズムの回教徒を虐殺しながら進軍する。1224年にはチンギスハンはインドに侵攻する計画をたてると行軍中にクランが死に、チンギスハンは角端という乱世に現れる動物が夢に出たことで全部隊を蒙古高原に戻すことにするものの、ジュチが命令に反して戻らないで狩猟しているという報告に怒り、ジュチ征討軍をキプチャクに送るとジュチが病死していた事実を知る。その後西夏に進軍中にチンギスカンは病死する。

●感想
三人称で、テムジンの出生から時系列順に展開する形式。
チンギスカンがモンゴルを統一する話なので、丁寧に史料を調べて普通に物語るだけでも話としては十分面白くなるはずである。しかし戦争部分の描写があっけなく、数万の兵が戦う戦争が主人公の活躍の場面もないままわずか1-5ページ程度であっさり終わってしまう。血わき肉踊る戦闘場面は歴史小説の一番の見せ場なので普通に考えたら端折ったらいけないのだけれど、井上靖は他の歴史小説でも戦争部分とかの山場を端折る傾向があって、何をしたいのかよくわからない。

あとがきでは乏しい資料から人物像を推定したり地名がわからなかったりすることへの苦労が書いてあるけれども、資料が乏しいからといって戦争場面を書かないならそもそもチンギスカンを主人公にするべきではないだろう。完璧な歴史の資料などないのだし、史実にこだわって小説としての面白さを損なうのなら小説という形にする必然性もないかもしれない。ちなみに最近の研究だと、1200年ごろに世界の北部の気温が急激に下がったせいで遊牧民の生活環境が厳しくなって集落を維持するために南部の土地を侵略せざるを得なかったという説があり、チンギスカン個人の征服欲の元を探ろうと考えた井上靖の出発点自体が間違っているかもしれない。
チンギスカンの生涯を知りたいという人には概観を知る手がかりとしてある程度役に立つかもしれないものの、どういう戦局をどういう策で攻略したかを知りたい軍事戦略マニアには「それら諸城市を攻略し、住民を屠り、城を壊し、城を焼いた」というような漠然とした記述ではまったく見所がないだろうし、迫真の戦闘シーンを書いた歴史系の娯楽を探している読者はマンガの『キングダム』や『龍狼伝』を読んだほうが面白いだろう。

★★★☆☆




ところで私はジン、ジン、ジンギスカーンの歌が好きなのである。ウッ、ハッという掛け声とか、微妙に優雅なおっさんのダンスとかがかっこいいのである。韃靼人の踊りにもひけをとらないかっこよさである。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.02.10 23:59:45
コメントを書く
[小説] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: