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2016.03.02
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カテゴリ: 小説
死刑囚が最後の日の様子を書いた話。

●あらすじ
若い侯爵が裁判で終身懲役よりは死刑のほうがましだと思って死刑になり、他の囚人を観察したり、移送中に他の死刑囚に上着を強奪されたり、子供のときに14歳の少女ペパとキスした思い出を回想したり、3歳の娘のマリーに1年ぶりに面会したら娘は父親が死んだものと思っていてもう父親を覚えていなかったりして悔いはなくなったつもりになるものの、死刑直前まで特赦に期待しながら死刑時刻が来る話。

●感想
死刑囚の手記形式。1829年、ユーゴーが28歳のときに死刑廃止や刑罰の改定を主張するために匿名で出版して、話題になった後で正体を明らかにして長い序文を付け加えて意見表明したらしい。何の犯罪をして死刑になったのか、原因が書いてないあたりは物足りない。
「序」には下手糞な死刑執行人が受刑人を5度切りつけてもなかなか首を切り落とせずに群集に石を投げられてテーブルの下に隠れてしまい、別の若い助手が首を切ってやったというエピソードが書いてあって、ユーゴーはその死刑に立ち会った裁判官を批判している。死刑執行人をテーマにした 坂本眞一の漫画『イノサン』 に似た場面があったと思うけれど、『イノサン』に興味がある人には死刑囚側の様子を書いたこの小説も面白いかもしれない。ユーゴー自身は、責め道具がなくなって死刑が温和になりつつあるとして断頭台を進歩ととらえて、ジョセフ・ギヨタンを仁者だと言っていて、そしてその断頭台もフランスから立ち去るだろう、罪悪はひとつの病気と見られるだろう言っていて、ユーゴーの言うとおりに断頭台はなくなり、現代では犯罪の動機や原因によっては病気として病院で治療されることになった。ユーゴーは激動の19世紀前半のフランスで生きながら、目の前の出来事だけに翻弄されずに長期的に人類の行方を見る目があるのはさすがである。

★★★☆☆


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最終更新日  2016.03.03 00:46:32
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