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2016.04.20
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カテゴリ: 小説
美人の未亡人ワンダに惚れた変態マゾ男ゼヴェリーンがワンダの奴隷になる話。

●あらすじ
私は毛皮を着たヴィーナスと愛について会話する夢を見て、変人貴族ゼヴェリーンにその夢を話すと、夢で見たヴィーナスが鞭を持ってゼヴェリーンを踏んでいる絵が部屋に飾ってあった。ゼヴェリーンは女を革鞭で躾けて飼いならしていて、私に「ある超官能者の告白」を読ませる。

「ある超官能者の告白」の内容。ゼヴェリーンはティツィアーノの「鏡に向かうヴィーナス」の写真を本に挟んだまま保養地の館の女主人に本を貸してしまうと、絵に生き写しの24歳の美人の未亡人ワンダ・フォン・ドゥナーエフが私に興味を持ったので一緒に住み、女専制君主のようなワンダをどうしても自分のものにしたいので奴隷になることにして、昔縁戚の毛皮を着たゾボール伯爵夫人に鞭で打たれたことを話して、鞭で打ってもらって喜ぶ。本格的に奴隷になるために契約書を作ると、いったん躊躇するもののワンダに捨てられそうになったので奴隷になることにして、ワンダの従僕グレゴールとしてフィレンツェに行く。ワンダは若いドイツ人画家に自画像を描かせることにして、ワンダに惚れた画家を縛って鞭で打って最高の絵を描いてもらう。
ある日ワンダは美青年のギリシア人アレクシス・パパドポリスに一目ぼれして結婚したがるものの、ゼヴェリーンはワンダに見捨てられてもフィレンツェを去れずにワンダにすがりついてついに逆上してワンダを引き倒すと、ワンダはゼヴェリーンの男らしさを認めて今までのは演技だったのだといってゼヴェリーンと普通の関係に戻ることになる。そしてフィレンツェを去ることになってゼヴェリーンがワンダに呼ばれて部屋に行くと、ワンダはゼヴェリーンを縛り、部屋に隠れていたパパドポリスが出てきてゼヴェリーンを鞭で打って、ワンダとアレクシスはゼヴェリーンを置き去りにして行ってしまう。

ゼヴェリーンはこの話の教訓は、女は男の奴隷になるか暴君になるかいずれかで、絶対にともに肩を並べた朋輩とはなり得なく、女が男の同行者になれるとすれば、女が権利において男と同等となり、教養も労働も男に匹敵するときがきてはじめて可能で、鞭を打たれるものは鞭を打たれるのにふさわしい人間でしかないと私にいう。

●感想
私の一人称で、作中作のゼヴェリーンの告白を展開する形式。私の夢からゼヴェリーンの本につなげるやり方が強引で、私もゼヴェリーンの告白もどちらも一人称の私で展開していて構成がわかりにくい。私の存在意義がほとんどなく、シンプルにゼヴェリーンの告白だけにしたほうがましだったかもしれない。一行あきが多くて場面が飛び飛びになっていて、描写も雑になっている。ワンダに対するゼヴェリーンの崇拝で小説が成り立っているので、ワンダの描写を手抜きしているのはよくない。マゾヒズムというテーマはよいとしても、描写の雑さで面白さを損ねているので、もっとねちっこく描写したほうがいい小説になっただろう。
物語の見所はゼヴェリーンが奴隷になるか否かという葛藤を書いているところで、途中でちょくちょくゼヴェリーンとワンダが正気にもどって主従関係を続けるか否か迷ったりして、それがゼヴェリーンがワンダに弄ばれて捨てられるというどんでん返し的なクライマックスにつながっている。しかしその一方でゼヴェリーンが奴隷になりたがったり普通の恋人扱いされたがったりして態度が一貫しておらず、結局ゼヴェリーンがどうしたいのかよくわからない。あるいは常識と非常識に葛藤する性的倒錯者の心理を書いたのだととらえることもできるかもしれないけれど、私にとってはゼヴェリーンの一貫性のなさがつまらない。ワンダがゼヴェリーンを夫に値しないとして見捨てたように、読者としてもゼヴェリーンのような人間的魅力がなくてめんどくさいかまってちゃんを見捨てたくなる。


★★★☆☆








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最終更新日  2016.04.20 21:40:20
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