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マックス・ヴェーバーの伝記で、「新潮45」に連載されたものを本にしたらしい……。
●まとめヴェーバーは脳膜炎になるものの頭がよくて教師に対して反抗的でキリスト教に懐疑的な子供で、大学ではっちゃけて決闘したり飲んだくれたりして、志願兵役でたるんだ体を鍛えて、マリアンネと結婚するもののセックスレスで、ハイデルベルク大学の教授になるもののうつ病になって講義を中止して旅行療養して、回復して雑誌に論文を載せるようになる。
●感想
500ページほどあるけれど内容がそれほど充実しているわけではない……。著者は1934年生まれの高齢の人で、ヴェーバーの研究をしたくて早稲田大学に入ったものの中退した作家のようで、そのせいか知らないけれど、論文の書き方を知らないんじゃなかというくらい論旨が定まっていない……。日本の学者によくあるような先行研究書をまとめて自分なりに解釈するだけで独自研究がないやり方で、しかも原典を自分で読まずに翻訳に頼っているのはよくない……。三点リーダーを多用する文章の癖が目につくし、引用の仕方も論文の規則に従っていなくて「」でくくらずに──と……でくくる独自の引用方法で、どこからどこまでが引用かわかりにくいし、何ページから引用したかも書いていないし、日本では云々……というヴェーバーに関係のない脱線も多いし、伝記なのに西暦何年にヴェーバーが何歳のときの出来事なのかがはっきり書かれていないし、おまけに年表さえないのは読者に対して不誠実で、これは本来は編集者が指摘して修正するべき点だろう……。徹底的に事実に即したヴェーバーの伝記にするとか、思想を解説するとか、焦点を絞ればもっといい内容になったかもしれないけれど、作者が書きたいことをあちこち脱線しながら書いていて読者のことを考えていない独りよがりになっている……。巻末で京都大学名誉教授の野田宣雄が「父親と母親との葛藤、夫人マリアンネとの結婚生活、執拗な神経疾患との闘い等々、ヴェーバーの伝記に欠かせないテーマは、慰労なく取り上げられている。長部氏は、これらのテーマを扱う場合、過度のドラマ化を避け、自己抑制の利いた筆致で叙述を運ぶ。また、日本の読者に親しみやすくするために、同時代のドイツを訪れた日本人(森鴎外、伊藤博文など)の描写を随所に挟むなどの工夫も凝らしている。こうした手法が効果をあげ、読者は、本来なら恐ろしく難解なヴェーバーの人間像や思想的発展を比較的容易に知ることができる。そして、二十世紀の運命をあれほど鋭く見抜くことができたヴェーバーとは一体何者であったかについて、一つのまとまったイメージを得ることができるだろう。」……とお世辞をいっているけれど、その一方で「本書は学術書ではないから、ここの叙述を今日のヴェーバー研究の水準に照らして批判することは、あまり意味のあることではない」……と、学術書としてはこれじゃだめだぞと仄めかしている……。ドラマ化を避けて抑制の利いた筆致で書くというのは褒めるところではなくてむしろ欠点で、副題にマックス・ヴェーバー物語とつけたからには物語として面白くなるように書かないといけないはずで、物語として面白くないのでは一般人向けの本としては失敗だろう……。大学生の卒論ならがんばったで賞としてなんとか及第点がもらえるレベルで、著者は年の割にはがんばったけど、引用の仕方さえ直せない編集者は落第点……。
どういうわけかamazonのレビューだと面白い本として評価がいいようで、私の頭がおかしくて面白さが理解できていない可能性も大いにあるので、ヴェーバーに興味がある人はとりあえず読んでみればいいよ……。
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