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2017.06.15
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カテゴリ: 小説

フランケンシュタインが作った醜い怪物は善良な心をもっていたのに外見のせいで人間にいじめられたので、創造主のフランケンシュタインの家族を殺して復讐する話。

●あらすじ北極を探検する航海をしているロバート・ウォルトン隊長はイングランドの姉(サヴィル夫人)に手紙を書き、航海中に犬ぞりで死に掛けていた訳ありの男を保護して、男から聞いた奇妙な身の上話を書き記す。

父親はスイスで破産した友人の娘を世話して結婚してヴィクター・フランケンシュタインが生まれ、女の子がほしかった母親は孤児のエリザベスを引き取って、フランケンシュタインの妹兼許婚として仲良く育つ。フランケンシュタインは自然科学に興味を持ってアグリッパやパラケルススの理論がすでに論破されているとも知らずに彼らの本を熱心に勉強して大学に行ったら、クレンペ教授に無駄な勉強で千年時代遅れだと軽蔑されてがっかりしたところ、彼を軽蔑しなかったヴァルトマン教授に出会って弟子になり、人体や生き物の構成に興味を持って解剖学を研究するうちに物体に生命を与える力を手に入れたので、体格の大きい人間を作る研究をすると二年後に怪物が動き出して失踪する。故郷の友人のヘンリー・クラーヴァルが訪ねてきて再会するものの、フランケンシュタインは怪物におびえて寝たきりになり、クラーヴァルに看病してもらって回復したところ、父親から弟のウィリアムが殺されたと手紙が来たので故郷に帰ると、殺害現場に怪物がいて犯人だと確信するものの、皆に話しても誰も信じずに狂人扱いされるだろうと思って怪物のことを黙っておく。しかし召使いのジュスティーヌ・モリッツが殺人の罪を着せられてしまい、嘘の自白をして死刑になる。フランケンシュタインが山で怪物と会うと、怪物は今までの体験を話し始める。
怪物は創造されてフランケンシュタインの部屋を出た後に村で貧乏なド・ラセー家を観察して言葉と文字を覚えて薪の調達をこっそり手伝ってやり、長男のフェリックスが不当に死刑判決を受けたトルコ人を助けて恩を仇で返されて一家が国外追放され、このやさしい一家なら自分を受け入れてくれるだろうと訪ねてみたら殴られて、おぼれた少女を助けたら銃で撃たれて人間を憎むようになり、偏見のない子供を手懐けようと思ったら相手がフランケンシュタイン一族の子供だったので殺したという。
怪物は自分のために伴侶の女を創造したら二度と姿は見せないというのでフランケンシュタインは条件を飲む。フランケンシュタインは父親からエリザベスとの結婚をせかされたものの、こっそり女の怪物を作るためにクラーヴァルとイギリスに行って、やっぱり作るのをやめたら怪物が怒って婚礼の夜に会いに行くといって去っていく。その後フランケンシュタインがアイルランドに行くと殺人事件の容疑者扱いされて、クラーヴァルが殺されていたのでショックで寝込んで、アリバイがあったので釈放されて、帰宅してエリザベスと婚礼して船旅に出るとエリザベスが怪物に殺され、フランケンシュタインは判事に怪物の存在を打ち明けて、復讐のために怪物の痕跡を追って放浪の旅をして北極まで追って来た。

ウォルトンの船は氷河に囲まれて船員が怖気づいたせいで引き返すことになり、船の中でフランケンシュタインが死ぬと怪物が嘆いていて、地球の最果てで自殺するために去って行く。

●感想
ロバートの手紙の中にフランケンシュタインが語った話が書いてあり、その話の中で怪物が独白するという入れ子構造の一人称。フランケンシュタインは自己紹介をしないままいきなり両親が出会ったいきさつから話し始めて回りくどく、父親の友人の名前は言うのに父親の名前は言わず、苗字がフランケンシュタインだと判明するのが63ページで情報を出すのが無駄に遅く、古い小説なので洗練されてなくても仕方がないとはいえ情報の出し方の手際のわるさにイライラする。
内容もあちこち雑で、フランケンシュタインは何も証拠がないのに怪物がウィリアムを殺したと信じたり、ジュスティーヌの裁判でも無罪を主張しておきながら保身のために怪物の存在を証言していなかったりして、フランケンシュタインの行動のひとつひとつがおかしい。そもそもなんでフランケンシュタインは人造人間をイケメンにしないで怖がられる外見にしたのか謎だし、戦争用の強靭な兵士とか過酷な環境で働ける労働力とか何かしら目的があって人造人間を作ったのかと思ったら、作れそうだからなんとなく作ってみたというレベルの雑さで、自分で醜い大男を作ったくせに完成したら怖がって寝込むなんてアホかと思ってしまう。ホラーは幽霊であれ殺人鬼であれサメであれエイリアンであれ、殺戮をする相手と意思疎通できず人間側の論理が相手に通用せず説得しようがないうえに物理攻撃があまり効かないところに怖さがあるのだけれど、この小説では怪物と意思疎通できて人間を恨む動機を切々と語っていて、フランケンシュタインがひどすぎて怪物がフランケンシュタインを恨んで当然だし、怪物に同情してしまってホラーとしては怖くなくなってしまう。それに怪物は銃でかなりダメージをくらってるし、いくら怪力とはいえ物理攻撃が効くならたいして怖くもないのに、フランケンシュタインが武装しないのもおかしい。フランケンシュタインは弟や召使や友人が殺されてもかたくなに怪物の存在は秘密にしていたのに、エリザベスが殺されてようやく判事に話して怪物に復讐する気になるというのも対応が遅すぎて何やってんだぁとあきれてしまう。
フランケンシュタインの怪物は魔女やドラキュラや狼男と並んでハロウィンの定番古典モンスターになっていて、知名度がある割には原作は読まれていないし、私も読んでなかったので読んでみたけれど、人造人間のアイデアで後世のフィクションに影響を与えた古典としての功労はあるとはいえ、現代人の読み物としては物足りない。一人称の入れ子構造になっている構図は独特だけれど技術的には特に面白い点がなく、テーマとしては興味本位で怪物を作ってはいけないことと、人を見た目で判断してはいけないという倫理の問題提起をしている点が見所といえば見所だけど、現代人はそういう倫理の話はもう通過してしまっている。
最近は「フランケンシュタインの恋」というドラマをやっているらしく、私はテレビを見ないので内容は知らないけれど、変な博士が作った怪物が恋をするという話らしい。AIが話題になっているときになんでロボットやサイボーグでなく怪しい研究者という古典ネタにしたのか目の付け所が謎で、テレビ関係者は感覚が一世紀古いんじゃないかと思う。そんでプロレス技のフランケンシュタイナーはスコット・スタイナーが開発した技で、フランケンシュタインとは関係なさそうだけれど、なんか強そうな感じがよい。もしフランケンシュタインの怪物がプロレスをやっていたらヒール役で人気者になったかもしれない。フランケンシュタインの怪物のフランケンシュタイナーを見てみたいので、プロレスラーはハロウィンにコスプレマッチをやってほしい。

★★★☆☆

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最終更新日  2017.06.15 13:29:28
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