2003.02.18
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誰の家かわからない一軒家。日当たりがいい。空が青い。
廊下の床の光沢や室内の翳りや、廊下を中心にした間取りには
記憶がある。玄関から向かって左手には洋室があって、
プラスティックのシャンデリアがぶら下がっている。8畳程度。
この家はオレの持ち物ではないが、この部屋に住んでいる。
シャワーを浴びることにした。
洗面所からは隣の家が見える。20メートル離れた隣の家は、黒い。
ここと隣の黒い家の間には庭があり、芝や雑草が生えている。
区画を仕切る柵はない。庭として機能しているのかわからない。

外に人が見えたからだ。
芝生で、見知らぬ女が遊んでいた。
女は、裸だった。
誰だかわからない。
隣の家には、テルとノブという男の兄弟が住んでいる。
彼らの親戚かもしれない。
オレは服を脱ぐのを止め、裸の女を見つめた。
誰もいないと思っているのだろうか。
あるいは、気が痴れているのか。
胸は小さく、陰毛は薄い。
肌が白くて透明だ。日の光に反射して眩しい。

しかし二重のつり目と、淡い笑顔を湛えた顔は、非常に美しい。
控えめな笑顔。気だるそうでもあるし、欲情的でもある。
洗面所の窓ガラスはマジックミラーになっていて、あちら側から中にいる
オレを見ることはできない。
幼い身体や動作と、エロティックな顔の表情が、アンバランスだ。

女は、オレが見ていることを知らずに、裸で日の光を浴びながら、
芝生や動物と戯れている。
オレは性的欲求の対象を見て興奮しているのか、
美しいものを見て心を奪われているのか、どちらかわからない。

テルとノブが遊びに来た。
シャワーを浴びていたから、勝手に2階へ上がっていてくれ、といった。
オレはまだあの、裸の女の映像が頭から離れない。勃起が、静まらない。
200㎡もある2階は、ほとんど物置として使われている。
屋根裏部屋がある。
縦に長い10畳ほどの、薄暗い部屋。
屋根裏部屋へ入ったとき、オレは息が止まりそうになった。
さっき裏の庭で、裸のまま遊んでいた肌の白い女がいたのだ。
ちゃんと服を着て、コタツに小さく収まっている。
女はオレに向かって、さっきと同じ気だるく欲情的な表情で、曖昧に首を傾げた。
初対面の挨拶かもしれなかったが、テルもノブも、この女の説明はしなかった。
もう1人女がいた。
オレは再度狼狽した。
オレは、この女を知っている。
カラコだ。
なぜカラコが、ここにいるのかわからない。
テルとノブの親戚だとは、聞いていない。
2人の女は、よく似ている。
姉妹なのかも知れないが、カラコにみせてもらったことのある姉の写真とは、
似ていない。裸だった女のほうが、カラコよりも攻撃的な顔をしている。
やっぱり姉妹なのかもしれない。
カラコは妹。なんとなく、そう確信した。

2階の屋根裏部屋には、コタツとパイが用意されていた。
マージャンをしに来たらしい。
「なんだよこれ雀マット、汚れてるし折れてるし、使えねえよ」
テルが、麻雀用のマットを広げて、汚れを拭いたり折れを伸ばしたりし始めた。
「そんなの気にするなよ、早く始めようぜ」
オレは急かしたが、テルは汚れを気にしてマットを磨きつづけた。
テルとノブ、カラコ姉妹とオレ。全部で5人いる。
しかし麻雀は、4人しかいらない。
裸だった女、つまりカラコの姉は、「わたし誰かと一緒にやる」といって、
ノブの隣に小さく座ったはいいものの、なかなかゲームが始まらず、
テーブルにアゴをつけて、退屈そうに暇をもてあましていた。
オレはカラコと話をした。
「なんで麻雀?」 「さあ」 「はじまんないね」 「そうだね」
テルはまだ、マットを磨いている。10分以上、磨いている。
「退屈だから、キスしようか」 「うん、ちょっとだけね」
カラコへ顔を近づけた。カラコも少し近づいてきて、唇が触れた。
ほんの少し。
「ホントにちょっとだけだな」 「だってちょっとだけっていったじゃん」 「ケチ」
濡れた唇の感触が残っている。
テルはまだ、マットを磨いている。

「ねぇ、わたしもキスしたげよっか」
「え?」
オレが返答に窮しているうちに、姉がコタツから這い出てきて近づき、
オレに絡みついた。
そのままオレは唇を塞がれ、もたれるように覆い被さられて倒された。
押し倒されると今度は、オレの腕を押さえ馬乗りになった。
そのまま唇を吸われ続け、舌や足が絡み合っていて逃れることが出来ない。
もとより、逃れなければならない理由が希薄だから、あまり逃れるほうに
力は使っていない。
オレがずっと下になったまま、彼女のキスはだいぶ長く続いた。





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最終更新日  2003.02.18 17:00:06
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