2003.10.31
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ほとんどの観客はリズムに合わせて手拍子をしたり、リフレインのたびに人差し指を突き上げたりしている。興奮しているように見える客は、本当に興奮しているようにはオレには見えない。周囲につられて立ち上がり、右に習えで踊ってる。取り残されたくない一心だ。手拍子のリズムが最低だ。挙げる手がくにゃくにゃ折れ曲がっている。戸惑いがちだ。どちらかというとステージよりむ自分自身に陶酔している女が、声高に「布袋」と叫んでいる。顕かに浮いているが、誰もいぶかしげな顔を女に向けていない。アリーナは規則正しく同じところで全員が手を挙げたりするから全体がひとかたまりの生き物のようにも見える。オレには盆踊りにしか見えない。全ての客は演奏者に媚びている。演奏者が機嫌を悪くして帰ってしまわないように、熱狂を伝えつづけている。


開始から立て続けに演奏された数曲は全て知らない曲だった。
「失敗や挫折や、これまでいろんなことがありましたけれども、やっとこのアルバムにたどり着いたって感じ?えー色々あったけど、最近ホテイ最近丸くなったんじゃねえの?っていわれちゃったりよくするんだけれども、丸くなったっていいじゃない!?」
といった内容のMCの後、「GLORIOUS DAYS」の演奏が始まった。この曲は布袋がソロになって初めて出した「GUITARHYTHM」というアルバムの中に収められていて、オレもCDを持っている。買ったのは高校生のころだから、かれこれ15年も前に書かれた曲なのに、全く色あせていないように感じる。
2つぐらい隣の席には親子連れがいる。娘は中学生ぐらいでまだ幼さが残っている。母親は40を超えたぐらいの身なりや顔つきをしていて上品そうだった。どちらかというと母親の方がもとからの布袋ファンで、娘は母親の影響で布袋を好きになってしまった、というような印象をその親子から受けた。オレが高校生のころに撒き散らしていた精液がヒットしてもし子どもが生まれていたら、オレにも中学生の娘がいることになる。確かに昔よりは角がとれて丸くはなったと思うし、生きるためのスキルを身に付けてきたことででっぷりと肥えてしまってはいるが、信条や理念をつかさどる土台となる部分は高校生ぐらいからまるで変わっていない。記憶は連続しているから、高校生だった昔のことも割と鮮明に思い出せる。「GLORIOUS DAYS」のようにオレの記憶はまるで色あせていないし、信条も精神構造も古ぼけてはいないはずだ。しかしそこには、赤ん坊が中学生になるほどの時間の流れがある。この15年、充実していたような気もするし、無駄に時間を浪費していただけだったような気もする。子どもが子どもの親になって過ごす15年もアリだったかな、とアタマの中で過去を造り替えて苦笑いする。隣の親子連れを見てふとそんなことを思った。

次に演奏された2枚目のアルバム「GUITARHYTHMⅡ」の中の「さよならアンディーウォーホル」は布袋の曲の中でも特に好きな曲だ。何がいいかというと森雪之丞作による歌詞が独特の世界観をかもし出しているし、You gotta run found a new time a tide (?)のところがめちゃめちゃかっこいいし気持ちいい。ここでは演奏されなかったが「MERRY-GO-ROUND」も同じ理由で好きな曲の一つ。
「さらば青春の光」では大合唱が起こり、「ロシアンルーレット」では今日一番の盛り上がりを記録した。フルインストのギターソロでライブは終わってしまった。この静かな終わり方はアリなのか、とも思ったが、結果としてとても充実した時間を過ごすことができた。布袋の新しいCDを買おうとは思わないが、ライブならあと何度か行ってもいい。





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最終更新日  2003.11.02 02:56:17
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