2003.11.12
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インターネットの自転車仲間が多く集まる宴会が、去年だったか一昨年だったか忘れたが「忘年会」という名目で都内某所で開かれていて、古くからの仲間の一人に呼ばれていたから行くかどうするかだいぶ迷ったが、結局参加することにした。そこで初めて出会った女が「練りからし」なわけだが、この時点ではまだ彼女には名前がなく、「ねりわさび」というハンドルネームを持つ男の彼女、という属性しかこの女にはなかった。「ねりわさび」に対して「ねりからし」という安直な名前を強要したのはオレだというふうに本人は記憶しているらしいが、そんなダサい名前を付けた覚えはオレにはない。酔っぱらっていたということも自身の記憶を曖昧にしている要因の一つだとは思うが、そもそも誰が名づけたかということはあまり重要ではなく、つまり彼女は「ねりわさび」の彼女として、その属性も同時に表現している「ねりからし」という固有名詞をこのとき初めて持ったということだ。

このときオレはすでに自転車に関する情報をあまり必要としておらず、自転車仲間と自転車の話をするためにやってきた他の仲間とは話をしにくい立場にいた。ねりわさびの彼女としてこの場にいた練りからしも同じような境遇だったに違いなく、自転車の話や2ちゃんの話で派手に盛り上がっている両サイドにはさまれて、大人しく鍋なぞをつついたりしていた。男女合わせて20名近くいる集団の中にあって、女性2人が隣同士横並びでいるという非常に不健全な位置取りの丁度真ん中にオレは割って入るようにして座り込んだ。わかりやすくいうと、両サイドがおねいちゃんのその中央にオレが座したのだった。そのとき隣に座っていたのが、「練りからし」ということになる。
練りからしの彼氏にあたるねりわさびはこのとき黒いトックリ、今風にいうとタートルネックを着ていて、確か上着は黒い革のコートだったように思う。インテリ風な話し方や黒淵のめがねなどがオレに与える印象とそのファッションがクロスして一つの職業カテゴリが浮かび上がった。「クリエイター」である。建築デザイナー、ライター、イベントプロデューサー、エディター等々、そういったタイプの人間かもしれないという「ねりわさび」の印象がオレの中にセットされた。

このとき「ねりわさび」とも「練りからし」ともオレは初対面だった。このときの忘年会の出会いが契機となり、わさびの方とは1シーズンに2度も一緒にスキーに行くという縁が生まれたし、彼らが集うネットサイトはすでにオレの主戦場ではなくなっていたが、2人と一緒に凧揚げをする機会にも恵まれたことなどから、オレの日記サイト「リバース」にも、適宜書き込んでもらっているという関係になって定着した。こすりつけとカラコの誘いで入ったチャットに「練りからし」がいたことから、メッセンジャーでの通信が始まり、強く勧めたこともあって先般、彼女もついにネット上で日記を書き始めることになったのは周知の通り。そして現在に至る。

1ヶ月ほど前、オレがコーヒー豆を挽く文化を身につけたという日記を受けた「練りからし」が、オレにコーヒー豆を贈りたいといってくれた。スタバあたりの豆買って大喜びしてるぐらいじゃまだまだ甘いわよ、あたしはもっと最高においしい豆を知っているんだからね、とは言わなかったが、コーヒーショップチェーンの味に感動していたオレを見るに見かねてのことだったに違いないと予測している。
時を同じくして、ねりわさびからもメールが届いていた。八重洲地下街に関する日記を書いたとき、「とんかつ和幸」という店にも触れていたことから、仲間内で食事したときに貰った今後使う予定のない食事券を、オレにくれるのだといってきた。大方、ランチの席で「ナカムラが八重地下によく行くって日記に書いてたよな」という話にでもなったのだろう、せっかくの好意をありがたく頂戴つかまつらない手はなかったが、返事は後回しにしておいて、まず今日の日記を書く作業に没頭していた。

「練りからし」のほうからメッセージが届いたのは、ちょうどその日の日記を書き終えたあたりの時間だった。そしてそこで彼女から、コーヒー豆を贈りたい旨の話があり、オレは住所を伝えた。そういえば「ねりからし」からも住所を聞かれていたことをこの時思い出し、じゃあ彼にも伝えといてくれる?という意味のことをオレは言ったのだった。
彼女は同時に彼氏である「ねりわさび」とも接続していて、オレの住所はからし経由でわさびにも、ほぼ同時通訳的なタイミングで伝わっていた。
ところがこの練りからしを中継地点とした情報伝達経路は混乱した。文字だけで伝わる言葉が誤解を生んだ。両翼に位置していたオレとねりわさびは対外的に見て一触即発の状態になった。

からしを経由して伝送される情報の一端をオレが受信した。
「捨てるもん送ろうとするな!」
飛び交うそうした呪いの言葉を管制室は制御しきれずパニックに陥った。
からしは、慌てた。

そういった些細なトラブルを経て、今日の昼休み、練りからしに会った。本当はゆっくり酒でも飲みたかったが、バイトもあり彼氏もいるから、酒場へたどり着くにはかなりの障害を乗り越えなければならないだろう。もはやトラブルは概ね解消されたといっていい。飯田橋のペデストリアンデッキを降りて改札のほうに近づくと、不安そうにたたずんでいる練りからしを見つけた。スタイルのいいジーンズに茶色のジャケットを重ねてタイトにまとまっていた。凧揚げした依頼会う彼女ホの髪の毛は肩より下のあたりまで伸びていて、シルエットや全体の印象がだいぶ大人びた感じに変わっていた。ただ感情を読み取り難い表情はあいかわらずだったし、くりっとした目はまるで犬のようだったが、誰かに媚びたりすることを絶対にしないような強い光を湛えた目でもあった。
オレは媚びるような笑みを浮かべながら近づいた。
あれ髪のびた?はいこれ本。
「うん、伸ばしてる。この豆、すっごいおいしいと思うから。」
和幸のチケットが10枚ほど入ったアラビカ珈琲店の袋を受け取った。
どうもありがとう。



浮気、セックス、恋愛謳歌と続いてきて今回のテーマは、「出会い」。
反対側からたどり来た挙句のゼロ点復帰の意味も込められています。
どしどしご参加ください。





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最終更新日  2003.11.12 20:55:25
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