2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全10件 (10件中 1-10件目)
1

今日も山の中今夜もケタケタ鳴くナニモノカの鳴き声と熱帯のジャングル特有の熱気でなかなか寝付けない夜であった。いや寝付けないのは今日の船便が心配だったからか?それとも酒を飲まない夜であったからか?やや寝不足で起床したジャングルの上にはやや青みがかった空が広がっていてとりあえず雨が降っていないことにほっとする。これなら下から観光客を乗せた船が来そうである。その船が何時に来るものなのか皆目検討着かないがとにかく、朝食に残ったソーセージ1本とチーズ一個を腹に入れ9時をめどに船着き場へと降りて行く。8:50に船着き場の桟敷の上で体育座りをそて船が来るのを待つ。川面は昨日と同じく静かに静寂の中にある。はたして船はくるのだろうか?無人島に取り残された人の気持ちもかくやである。やっぱ9時じゃ無理かなあ?こんな早い時間からジャングルに踏み込む奴なんていないだろうしなあ・・・やっぱ10時頃までだめかなあ・・・もう燃料の使い切ってしまったしお茶を飲んでゆったり待とうというわけにもいかんし。僕はサックを桟敷に投げたままさあこれからどうしようかなどどなかば自虐的な気持ちになっていたところである。するとどうだ。このジャングルの静寂を切り裂くように屈曲した川の下流から「タンタンタタタンタンタンタタタタ」といった不整脈様のそれでいて力強いエンジン音が響いて来るではないか!僕はまるで漂流者のように期待満面に桟敷に立つと下流の岩陰からそのたくましい船は現れたのであった。「船がきたぞ~!」僕は心の中で叫んだ。遊覧船には4名ほどの登山客らしい風貌の男女が乗っており、まるで未開の人種を眺めるような視線でこちらを眺めていた。船はまもなく桟敷に着岸し、彼らは重そうなザックを背負って山の方へと消えていった。これから東西横断道を歩くのだろう。まったくご苦労様であるが彼らのおかげで船はここに着き、そして僕はその船に乗ることができるのだった。「お客様、縦断道を歩いてこられたのですか?」若い船の運転手はそう訪ねた。横断道のようなハイキングコースではなくどっぷりと西表の沢を歩いてきましたと思いつつめんどくさい説明をさけて「ええそうです」などと生返事で答える・「片道でも往復運賃の1500円かかりますがよろしいでしょうか?」と兄ちゃんは言った。もちろんこちらに拒む権利はない。船はすぐに岸を離れ河口へと進んでいった。スピードボートは大河をひた走りたった15分で河口へと着いた。 河口の遊覧船事務所に着いた僕は周囲の観光客や登山客あるいは船会社の人たちに何か尋ねられるわけでもなく、ただ料金を払って事務所を離れ、バス道路に出た。まったくあっけない山旅の終了である。とにもかくにも下界に到着。これでとにかく今日中には東京に無事たどり着けそうである。さて昨日シャワーを浴び損なったところで今日はなんとしても頭を洗いたい。そんな下山客のためにこの島には西表温泉なる日本最南端の温泉があるのである。船の着いた浦内から15キロ。1日5本のバスはすでの出てしまっていたのでタクシーを呼ぶことにする。しかしこのときから再びの後悔が始まっていたのである。タクシーに20分ゆられた結果。タクシー代金は5000円になんなんとした。レンタカー3時間3000円のこの島ではタクシー代5000円をどう思う?しかもたどり着いた西表島温泉はなんと営業12:00から。ただいま10:00で12:50の船で石垣に戻なればならん身で何ができる?せめて併設ホテルのレストランで空きっ腹に何かいれてこうと思ってもここも営業は12:00から・・・じゃあ海辺でも散歩でもしようかと思えばスコールのようなにわか雨。あああああその後11:20のバスにて大原港に戻った。結局、3日間ジャングルを歩いて汚いかっこのまま帰りの船に乗り込んだのである。たった4日のジャングルの島がまた遠ざかる。曇り空の下でも海は熱帯の美しさ。そして遠ざかる島の輪郭には深い緑が沈んでみえる。なんだかんだありながら2泊3日の山旅が心の中に輝いて蘇る。天気もいまいちだったし。人もそんな愛想もよくなく物価も高くてなんだかこんな短い期間では西表のほんとの良さに触れることはできなかったのかもしれないけれど・・・でもあの深いジャングルの中をとうとうと流れる川に沿って旅した思い出はいつまでも消えることなく心の中に輝き続けるのだろうなあ。東京行きの空の人になりつつそんな風に思ってみるのであった。
2007年01月17日
コメント(4)
南の島より帰宅しました。いや~一時はどうなるかと思ったが、無事に帰れてよかったよかった・・・詳細はまた後日。さあ気持ちを切り替えて明日から仕事だ~
2007年01月17日
コメント(3)

高巻き道に戻った僕はさらに下流の方に目をやった。川の下流左岸側壁は大きな岸壁となっていて下降するにはその壁をさらに越えて大きく越えて高巻いていかねばならない。はるか眼下のマヤグスクの滝の下には午後の日差しに照らされて川面がきらきらとのんびりと輝いている。距離にしてせいぜい100mくらいの距離がなんと遠いことだろう。しかしそののびやかな下流の左岸に小沢が流れ込んでいるのが見えた。あの沢に出られれば楽に下流に降りられるかもしれない。前方には大きな壁があって危険なのでしばらくは高いところを目指して藪をこぐ。30分ほど藪をこいだところから小沢を目指して急峻な泥壁を下降する。もう歩いて進めそうな斜面がとぎれたところで急な3m程度の垂直の壁となっていた。しかし案ずることなはい。木登り名人の僕は木さえ生えていればこの程度の壁はロープなくとも降りられる。さらに下るとさらに垂直10m程の泥壁。そこを懸垂下降で下る。するとまだまだ泥壁が続く。いい加減にしてくれと思うよりもいつしかこの難所を突破することを楽しんでいる自分がいる。最後の高い泥壁の上から下に向かってロープを投げおろすとロープの末端が川面にたどりついたのが見えた。15mいっぱいの懸垂下降で念願の水面にたどり着く。そしてそこからイタジキ川までは歩いてすぐであった。じめじめした藪の中から一転、光まぶしい河原にでた。上を見上げればマヤグスクの滝が日射しにきらきらと反射して美しい。さっきまでもがいていたゴルジュは滝の上の方から不気味に水をはき出している。3時間かけてようやくマヤグスクの滝を降りることができたのであった。ここから先は登山道があってあとははどうやったって帰ることが出来る。この滝の下降でジャングルの旅も実質ここで終了である。久々の太陽がジャングルの旅の終わりを祝福しているようであった。しかしここでほっとした僕にはさらなる最後の難関があらたにクローズアップされてくるのであった。時すでに14:40浦内川を下る船着き場までの所要時間は2時間半。推定最終便は16:30頃と予想された。ここまでの道程に比べて遙かに歩きやすくなった道を急いでかけ下る。20分ほどで東西縦断道に合流!この道を右に行けば2時間で船着き場左に行けば8時間で大原の港に着く。当然右手に進路を取ったのであるが、船着き場のリスクを考えればここは右手をとるべきだったろう。登山道はよく整備されていて内地のハイキングコース並み。特に登山技術を必要とするところはないが小さなアップダウンがうんざりするほど続くのでかなり体力を消耗する。走るように歩いてカンビレーの滝に出る。ここは西表島有数の観光地であり大変に美しいところだ。しかしそんな風景を眺める余裕もなく走り続ける。歩きながら今後起こるべく最悪の事態を想定する。もし今日船に乗れなければ、今夜は船着き場でビバークとなる。明日は午後の便で帰郷だというのにジャングルに取り残される。それだけは避けたい。食料も燃料も残り少ない。しかも最大の問題として今夜飲む酒がないのである。燃料切れはともかくオイル切れは致命的だ。なんとしても今日中にはふもとの酒屋にたどりつかねばならん。まもなくこれまた超観光地のマリウドの滝に出るが無視。こんな有名な観光地に観光客が1人もいないことがますます僕を絶望的な気分にさせた。何故かって?観光客がいればまだ船があるということだから。マリウドの滝を過ぎると船着き場が遠望できた。やはりというか当然、船の姿はない。不安が諦念へと変わるこ16:40に船着き場に到着である。ずいぶんと幅広くなった川辺にいかだのような桟敷がぽつんと浮いていた。周囲は急速に薄暗くなって行く。もう今日これから船が着くことはあるまい。最後に至って不安が現実のものとなる。明日は石垣島発15:30の飛行機を予約してあるからそれまでに下山できればいい。しかし明日午前中に必ず船がくるという保証はない。この船は定期船ではないのである。しかも明日の天気予報は雨。もし明日誰もここに来る観光客が来なければ迎えの船もこないのだ。そのリスクはなんとしても避けたいところだ。携帯電話はもちろん圏外だしさあどうする?泳いで下ることもちらりと考えたがこの深くて広い川にそれが不可能であることをしる。どこかに壊れたカヌーでもおっこていないものか?じゃあイカダでもつくるかと真剣に考えたが、浮きそうな木材がない。桟敷の鎖を外して乗っていっちゃったら怒られるだろうなあ・・・じゃあいっそこれから縦断道を東に歩いて大原港まで歩こうかとも真剣に考えた。普通1泊2日で歩く12時間行程を夜通し1人で歩いて行こうってか?別にむずかしい道ではないしたかが12時間で安全が帰るのならば安いものであったのだが。その折りにそんなバカなことやめとけとばかりににわか雨が降ってきたのでそれもあきらめた。そして決心した。もうここまで来たらじたばたしても仕方がない。今夜はここに泊まることにして、明日の船便に掛けよう。雨が降って船がこなかったらそのときはそのときだ。 船着き場の上流に広い休憩所があったのでその下にテントを張った。酒のない夜は暇である。あんまり暇なので誰も来ない水場で汚れた服を洗濯し、砂だらけになった頭を洗った。そして今夜も山の中である。
2007年01月16日
コメント(4)

大きく美しいナメ滝を下っていくとまもなく前方に深いゴルジュを現れた。懸案の「マヤグスクの滝」は近い。開けた風景が一転、狭く高い陰惨な光景へと変わってゆく。時間はすでに12:00近く予定より少しオーバー気味だ。しかしこの滝の下には登山道があり、登山道に出てしまえばもはや山は終わったも同然だ。つまりこの滝が最後の難所と言うことになる。右岸のバンドを下ってゆくとやがて行き止まりとなって1本の大木が生えていた。木につかまってこわごわと下を覗きこむと7~8mの高さ。記録にある懸垂下降ポイントはここだろうか?だがこの程度なら楽勝である。立木を支点にロープを回し懸垂下降で下のバンドに降りてみた。懸垂下降とはロープを支点に回して、それを伝って急な壁を下降する技術である。下に降りたところでロープのかたっぽを引っ張って回収するので下降距離に対して2倍超のロープの長さが必要になる。バンドに降りてロープを回収する前にロープそこに残したままさらに下流の偵察に行く。10mほど下流にはさらに強烈なゴルジュが待ちかまえていて段状の滝からはさらに20m程の懸垂下降が必要だった。しかしこの中段バンドからだと支点がとれないので下降は少々困難である。一応ハーケンを持ってきてはいるけれどハーケンの打てそうなしっかりしたリスもなさそうだった。戻るしかない。さっき残して置いたロープを伝ってプルージックで上段バンドまで登り返す。結構垂直なんで疲れる。登り返したところで思案する。このまま上段バンドからの懸垂下降は30mロープでは不可能だ。だとしたらどうする?高巻いて降りるしかない。この沢は下降する人だけではなく登る人もいるはずだ。懸垂下降で降りれる滝も登るときは高巻くしかない。ということはかならず高巻きはできるはずだ。一旦ゴルジュの入り口に戻り両岸をきょろきょろすると左岸の藪の中に続く踏み跡を発見した。そこにはしっかりとした踏み跡が側壁の上の方へと続いていた。「何だよ。こんな立派な道があるじゃん。心配することもなかったな」ほっとして歩く。どうやらこの踏み後を使えば簡単に滝の下へとたどり着けそうな気がしたのだ。だがしかし第2の関門は想像以上に手強かった。このまま下流まで続くと思われた道は途中で消え、そこに一本の木が生えていた。下をのぞき込むとさらに下の方に木の生えたテラスが見えた。ここから懸垂下降でテラスまで降りてさらにもう一回懸垂下降をすれば降りられるかもしれない。他の登山者もそうしているのかもしれない。他に選択肢がないさそうなのでとりあえず懸垂下降で下テラスまで降りてみた。そこからさらに下をのぞき込んで再び絶望する。そこから水面までの高さは20m前後。ロープが足りるかどうかはロープを投げてみれば分かるが投げる為には今降りてきたロープを回収しなければならない。回収してしまうともはや引き返すことができなくなるので、やっぱりだめだったということになった場合大変である。だからリスクは避けて他の手段を考えようと、僕は今下ったロープを伝って再び巻き道へと登り返した。すでに時間は午後1:30。2時間かかってこの難関を突破できずにいる。朝の内曇っていた空はいつしか晴れ上がって南国の太陽がじりじりと照りつける。さあここをどうやって突破する?
2007年01月16日
コメント(4)

やや飲み過ぎ気味の頭を抱えて起きたのは午前7時。こんな時間だというのにテントの外は薄暗い。ハブにしてもイリオモテヤマネコにしてもジャングルには夜行性動物が多い。そのため出発は意図的にやや遅らせて出発は9:10。再びジャングルの沢を下降開始する。今日はこの支流を下りイタジキ川に出会ったところで川を下降して浦内川沿いの縦断登山道に出る。そこから縦断道を西に歩いて浦内川の船着き場まで歩こうという計画である。計画はたてたものの不安要素3つあった。ひとつはイタジキ川の下降である。古い記録によるとイタジキ川はアマゾン川のような屈曲した大河であって、とても河原をほいほいと歩けるような川ではないという。歩けないのならどうやって下るのか?泳ぐのだろうか?二つ目の心配事は川の下流にある「マヤグスクの滝」の存在である。この滝の上にはまだ誰も登ったことのない深いゴルジュの中に2段の滝があるという。記録によればそのゴルジュは右岸から20mの懸垂下降で通過するようであるが、それを知っていながら僕は30mのロープしか持ってきていなかった。30mロープでは15mしか下降できないではないか。まあ何とかなるやろとは思いつつも不安は残る。さらに3つ目最大の心配は浦内川の船の時間である。この船は遊覧船であり定期船ではない。だから人数や気象によって出たり出なかったりする。だから出航の時間も読めないし船が走るのかどうかも分からない。もし船に乗れなかったら大河を泳いで帰るしかないのか・・・だがと思い直す。心配事をあげたらきりがない。歩を進めればいずれ事態に直面するのだからそのときに順次解決してゆけばよいのだ。支流の下降はまったく問題はなかった。途中にプールみたいな大トロはあったが簡単に巻けた。支流を下降するにしたがって川幅も広くなり、ジャングルの合間から空も広がり始めた。イタジキ川への出会いが近づいたあたりでふと右手に大きな黒い動物の気配!すわクマ!かと思ったがこんな島にクマがいるはずがない。もしやイリオモテヤマネコか?と思って目を凝らすとジャングルの中から2匹のイノシシが現れ川を横断して逃げていった。山登りの長い僕も山で野生のイノシシに出会うのは初めてのことだ。イノシシ年の年初にイノシシに出会うとは幸先がいいような気がするぞ。広がりはじめた空に幾分か気をよくして歩いていると、まもなく川は瀞になってそのまま前方に深い、そして広い川の光景が広がり始めた。心の中一杯に第一の不安が広がってゆく。そしてイタジキ川に出会った時にその不安が現実のものとなったのである。イタジキ川はまさに大河であった。川幅は10m以上あろうか。出会った地点から上流下流に見渡す限り深い緑色の水を満々とたたえて悠々と流れてゆく。両岸からは深い木々が川を覆うように密生しており水縁にはシダが密生している。記録の通り川辺といったものは存在しない。川辺が無ければじゃあどこを進んでいけばよいのだ?ってもちろん水の中か水の上を進んでいくしかない。泳げってのか?今にもワニや大ナマズでも出てきそうな深い緑色をした大河を。100mや200mならいざ知らず下流まで2キロも泳げってのか?さあどうするどうするどうする?一瞬引き返すことも考えたがそれも結構大変なので避けたいところ。かといってアマゾンの遠泳はもっとやだ。考えあぐねて山に目をやると川の側壁を登る踏跡があった。もしや巻き道か?とたどってみるが直ぐに道は途絶えてしまったのである。巻き道の途中から川の下流を俯瞰することができた。するとこの深いトロの下流に河原のようなものが見えた。「もしかしたら深いトロ場はここだけかもしれない」そう期待してもう一度川に降りた。下流は屈曲していて先が見えないが、とにかく少しでも下ってみよう。そう思って意を決して下流をめざしてみた。深く底の見えない川の縁をシダ植物につかまりながら腹まで水につかって下ってゆく。すると川が曲がった先に河原が見えた。やった!あそこまでいけば何とかなる。川かわあがった僕はほっと一息ついて広いナメの上で緊張をほぐしていた。振り返るとやはりアマゾン川のような流れ。そして下流には川幅一杯の浅いナメ床とさらにその先に深いトロ場が交互に続いていた。アマゾン川もずっと続いているわけではなくて、河原やトロやナメを交互に繰り返しながらゆったりと流れてようである。これなら何とか下れそうだった。ここから先、深いトロには巻き道がたどり、巻き道が無いときは川辺を腹まで水につかって通過できた。、ナメは川の上を気持ちよく歩けた。滝もほとんどなく困難もないこの深いジャングルの中をとうとうと流れるイタジキ川は何て美しいのだろう。深いトロには手長エビが泳ぎ木登りトカゲが水と戯れその頭上に熱帯の森が風にさわさわと揺れている。 広い川瀬には水がさらさらと流れ時折そそぐ太陽にきらきらと輝いている。広い川幅一杯に時に満々と時にしめやかにトロとなりナメとなり悠然と流れる川はそこかしこに自然の息吹を発散させていた。 僕は多少時間の遅れを気にしながらものんびりと風景を楽しむように下っていたのである、そしてそんな僕にまもなく第二の関門が立ちふさがってきたのである。
2007年01月16日
コメント(4)

ツアー客と別れて、ヒナイ川の奥へと足を運ぶととたんに山の気配が濃厚になった。どこからか聞いたことのない鳥の声が聞こえてくる。ジャングルは空の上から覆い被さるように圧倒的に繁茂し、その中を流れる川は淀んで何か得体のしれない生き物でも泳いできそうだった。ピナイサーラの上流ですぐに大きなトロにでくわした。水を満々とたたえ、両岸にはシダのような植物が繁茂している。今日は天気が曇りとはいえ、足下からの熱気ですでに体は汗ばんでいる。内地の山の美しく澄んだトロならば喜び勇んでトロに飛びこんで泳いで突破するところであるが、この西表島のジャングルの中のまるでオオウナギでもすんでいそうな淀んだトロに喜んで飛び込む勇気はなく、両岸を巻いて通過した。思ったよりも巻き道がしかりしているのでそれほど困難は感じない。沢登りで何が困難かって、事前の情報がないことが一番の困難だ。ある程度の情報があれば、どの支流をどういけば、先はどんなになっていて、どれくらいの時間がかかってどれくらいの技術や装備が求められるかってわかるであろうが、今回はとにかく情報量が少ないので先の見通しが立たないところがある。一応出発前にネットで情報収集は行ったのであるが、ヒットしたのは大学の探検部やワンゲル部などの記録いくつかのみ。それも学生は学生らしく果てしなく許された時間内で行ってるから日程の限られる社会人登山者にはあまり役に立たないし、内輪むけに書かれた文章は非常に難解で記録として役に立つものは皆無であった。だからこそ面白いかもしれない。まもなく10mの直瀑が前方をふさいだ。80年代の記録によると「リビングストンの滝」と記されているなかなかに美しい滝である。これは右から簡単に高巻いた。人が入っていない割には高巻きは簡単で、困難は感じない。沢そのものも水流は少なく流されるような淵も、突破困難な滝も全くない。技術的には、相当易しい部類に入るだろう。そんな西表の沢に困難があるとしたら、源流部の複雑な地形と、一度迷ったら出てこれないジャングルの存在であるのだろう。だから沢は易しくてもいつも以上にルートファインディングには気を使い地図とコンパスをにらめっこしながら沢を詰めてゆく。地図上の二股をわけ記録にある5m滝を登り標高が250mくらいになるとすでに源流部の趣になってきた。このまま分水嶺を目指し、標高280mのコルを目指して奥の二股を右手に入りこむ。やがて10mほどの涸れ滝をこえ分水嶺に向かう藪となる。藪こぎとはいえ、本州のクマ笹や北海道のハイマツなんかの藪こぎに比べるとはるかに易しいのであるが熱帯雨林に複雑にからまったつたが進行を邪魔して非常に歩きにくくはある。分水嶺のコルに出たのは午後2時半。なかなか良いペースである。しかしこの標高は280mのはずだが高度計は330mをさして少々不安になるが、まあとにかう東に向かって降りて行けば目指すイタジキ川水系に出るはずだ。そう思って尾根を越えて反対側に降りて行く。この辺が慎重を期したいところ。しかしコンパスの鍼は東から北東→北→北西→西とまったく逆の方向を差し始めていた。おかしい!絶対におかしい。降りる沢を間違えているとしてもイタジキ川水系の枝沢ならば問題はない。しかし北の西田川水系に降りているとしたら大きな問題だ。あるいはもしかして尾根を踏み違えて登ってきたヒナイ川に向かって降りている可能性もある。迷った時はわかるところまで引き返すのが定石だが、いずれにしても現在地が特定できない限り戻るのもさらにリスクがある。そうこう思いつつなおも下っているとどうも見覚えのある地形。もしややはり登ってきた沢を下っているような気がしてなおも下ると、疑念は確信になり確信は現在地の特定という安心になった。やはり登ってきた沢を下っていたのである。コルから反対側の沢に下ったつもりが同じ水系内で尾根を越えてしまっただけ。源流部の複雑な地形のもとではよくあることである。現在地が特定できればあとは本来の目的地に軌道を修正させるだけ。いま下ってきた沢を登り返し、今度こそ間違えずにコルを反対側に越えてイタジキ川水系へと下っていった。しかし時すでに16:10である。明日の船の時間を考えるとどうしてもイタジキ川までは下っておきたいところである。しかしこのジャングルの中ではテントを張るようなスペースを見つけるのも困難そうだ。そう思いつつ、どうと言うことのない沢を下り続けると左岸から小沢が流入するところでテントを張るには格好の台地をみつけた。時間がすでに17:00を回っていたしこの先にテントを張れそうな場所があるかもわからなかったのでその台地に泊まることにした。後になって思えば、源流部で道に迷い1時間半ロスしたこと。今日中にイタジキ川に下れなかったことが翌日の後悔を招くことになるのであるが・・・標高140mの台地にテントを設営。川で冷やしたビールはたいして冷たくもならず。薪をあつめてつけたたき火はなんだか暑苦しいだけ。今日の沢は全く困難はなかったが明日の行程は少々心配である。なんだかいつもと勝手がちがうがそれでも山にいる幸福をひとりかみしめ昨日石垣で買った泡盛「いりおもて」500mlをすべて飲み干しふらふらになりながら山の夜は更けていったのである。夜の森にはカタカタとカスタネットのような声でナニモノカが鳴いている。西表の夜は動物たちの声でにぎやかである。
2007年01月15日
コメント(4)

朝になると雨はやんではいたが空はどんよりと雲って海も山も寂しげな表情をしていた。これから山に向かうのにはいまいち気乗りしない空の色ではある。前日に電車3本、飛行機2本、バス2本を乗り継いでやってきたのは西表島。今日はここから1泊2日で西表島のジャングルを旅する予定である。西表島と言えば大学の探検部やワンダーフォーゲル部の聖地のようなところで毎年春休みになると大挙してやってきて数週間南のビーチや山の中にテントを張ってあちこちを徘徊する。西表はそんな放浪指向の旅が似合うところである。しかし、大学の春休み前のこの時期には彼らの姿もなく、ましてや山にわけいる個人旅行者の陰もなく、石垣島に来たついでに何となくきたのだけどという少人数の旅行者をちらほらみかける程度である。そんな山の中にこれから一人で入っていこうとしていた。西表の山には唯一の登山道である東西縦断道路というのがあって、比較的多くの登山者を迎えているのであるが、実際はただのジャングルにつけられたこれといって見所のない道である。そんなトレイルに登山者が群がるのはひとえに他に道がないからである。しかし逆に「道のないところを歩く」という発想でこの島をみわたせば実に魅力に富んだフィールドになる。だからこそ西表は道なき道をこよなく愛する登山者の永遠のあこがれの土地なのである。さて、前日は移動の疲れから島の西の中心地上原の民宿に泊まり(1泊3000円)宿前の食堂でたいしてうまくないトーフチャンプルを食べた。沖縄はあまり味覚が期待できなさそうだ。スーパーで泡盛を買い足し、ガソリンスタンドでガソリンを0.33L買った。今回は日程が詰まっているので山の準備はすべて東京で済ませてきたのである。上原から海岸線を歩いて船浦へ。そこから、すぐの海中道路で海に降りる。今回のジャングルの旅はこの海がスタート地点だ。まず目指すは西表島最大の滝「ピナイサーラの滝」である。ピナイサーラの落ちるヒナイ川の河口は海に面する潮干帯となっていて、潮がひいたときにだけ歩くことができる。西表の沢はみんなそうだ。だからこの島の旅にはタイドグラフが欠かせない。事前に潮見表で確認したところ本日この時間は「若潮」で潮位100cm。この程度なら行けると事前判断をしていたが実際の潮はかなり引いていて問題なく、膝下程度の海をじゃぶじゃぶと歩いて河口までたどり着くことができた。河口とはすなわちマングローブ林の入り口で、ここからいよいよマングローブの中に突入である。 林の下にはヤドカリみたいな貝が無数にうごめいて多少気持ちが悪い。マングローブ帯をすぎるとジャングルの中のぬかるみに道は続いていた。ピナイサーラの滝上までは結構な観光地なので登山道もあるはずだが、この道はあまり歩かれていないようだ。頭上から覆い被さってくるようなジャングルに相当汗ばんでいると、右手に深い川が現れ下流から4艘のカヌーが現れた。今日日の観光客はジャングルなんか歩かず、カヌーで川を遡上して、終点から滝を目指すらしい。近頃はやりの「エコツアー」という奴である。そうなのである。ここ西表島と言えばエコツアーがさかんなのである。エコツアーとは何かといえば山を歩いて滝を見に行ったり、古い道を歩いたり、海や川をカヌーで移動したるすることらしい。滝を見たりカヌーに乗ったりすることが何故「エコ」なのか理解に苦しむところではあるのだが、まあ要するに体験型の旅に流行りの題目をつけただけのことだ。しかし今まで登山者しか入れなかった山奥の川や滝にまで遊歩道がつけられて「エコ」ツアー客が大挙して押し寄せてくるのは純粋な山屋にはありがたくないことである。本来はその風景を眺める苦労をいとわない者だけに許される体験をお手軽にあじあわせてくれるのだから要するにエコツアーというものは「自然に優しい」のではなく「人間に優しい」旅の形ということだ。「でもでも、そういった旅の中から本当に自然を好きになる人が現れるかもしれないじゃないか!」という意見もあろう。でもね・・・・ってこの話をすると長くなるので辞めておこう。ちなみに僕は自然破壊肯定派だけどね。だってもともと人間が自然を破壊せずには存在できないのだから。そんな人間の汚い業を無視して「エコ」とか「自然保護」とかいうレトリックでごまかす風潮がきらいなのだ。・・・って話が脱線しそうなのでやっぱり先にすすもう。ピナイサーラの滝下に着くと下から続々とカヌーがあがってきた。さすがはエコツアー聖地である。下から歩いてきた僕にむかって自然ガイドらしいおっちゃんが言った。「歩いてきたのか?もったいないな~。カヌーでくりゃいいのに」(いや沢旅なんでそういうわけには。それに滝を見にきたというわけじゃないし・・・)と心中「あっそこわたっちゃだめだよ。もうちょっと上流からわたらないと濡れるぞ」(えっいや沢登りだから。濡れにきたようなもんだけど・・・)「どこまで行くんだ」「いえちょっと上流の方にね」と言葉を濁す僕。観光登山がさかんな土地ではよくあることなのだが、たかが縦断道路を歩くのでさえ、やれ登山計画がどうだ、装備がどうだやれ日程がどうだ。やれ単独行は禁止だと大騒ぎする土地柄にあって、ガイドさえも入り込んだことのない沢の奥地に、しかも単独で登ろうとはあまりにインパクトがありすぎて口がさけても言えなかった。もし言ったら止められるどころかそれこそ警察に通報されかねん。「ああ滝の上か。ならそっちの道」とおっちゃんは指さしてそして会話は終わった。さっきのジャングルとは比べ者にならないくらい歩きやすい道を20分ほどで滝の上に出た。お~これはすばらしい眺めだ。これなら観光客が大挙してくるのもわかる。眼下にジャングル。その中に一本の川。その先に蒼い海・・・しかし観賞するまもなく背後からわさわさとツアー客が現れて写真を撮りだしたので退散。というかいよいよここから山の奥に突入である。僕はツアー客を背後に川の上流のジャングルへと歩き出した。さあここからはツアー客はもちろん地元のガイドだって入り込まない山の世界である。さあここからが自分の山の始まりなのである!
2007年01月15日
コメント(4)
窓の外から虫の鳴く声と寄せては返す波の音が聞こえてきます。 外から流れこむ涼しい風はどこかしっとりと甘くここが南の島であることを教えてくれます… そういうわけで予定通り西表島にやって参りました〓朝早くに自宅を発って、モノレールと鉄道〓と飛行機2本〓と船〓とバスを乗り継いで西表島に着いたらもう夕方。所要9時間。ハワイより遠いなこりゃ。 本日は星砂ビーチでキャンプの予定でしたが時間が遅いので民宿に泊まっています。 緯度はすでに台北より南。気温は22度でTシャツがちょうどいい。 明日はピナイサーラの滝を越えてジャングルに突入する予定です〓 天候がやや不安ですがさてどうなることやら…
2007年01月14日
コメント(2)

先日ユナイテッド航空発券課に頼んどいた全日空のチケットが届きました。何故ユナイテッド(UA)で全日空(ANA)かって?マイレージ通の方なら説明するまでもありませんが、ユナイテッド航空と全日空はともにスターアライアンスに属しているのでマイレージサービスで提携しております。主にユナイテッドでマイルを貯めている私はユナイテッド経由で全日空を使用するというわけです。日本国内線をフォローするマイレージサービスはたくさんありますが、UAのサービスが最強無比であります。何故かって?それはUA以外は国内といえば東京←→沖縄往復 東京←→札幌往復といったように1区間往復しか対応していないのに対して、UAは札幌→東京→沖縄の往復といった2区間往復に対応しているからであります地方モンにとっては最大の恩恵でしょう。東京モンにとって一見その恩恵は関係なさそうですが、私のように遠く離れた所を愛してやまない者にとっては最強のサービスなのであります。だって例えば沖縄経由の石垣島とか、稚内経由の利尻島とか、福岡経由の隠岐とか直行便のない島にただで飛べるんですなんだか陸マイラーみたいな内容で長々と前置きしてしまいましたがそういうわけで来週からの休みを利用して石垣島までのチケットをとりました。ただし山屋の私は石垣島はそのままスルー。石垣から船で1時間。西表島を目指します。西表島は最近エコツアーなどがさかんな通り、島のほとんどをマングローブ林に覆われ鬱蒼としたジャングルに大河流れる「アマゾン」のようなところであります最近はジャングルトレッキングや、ちよっと山なれた人には東西縦断登山道トレッキングなどが可能です。もちろん私がそんなエコツアーなんかに参加するはずがありません。折角のジャングルに行くのにそのような手垢のついた商業主義的な道程をたどるのはあまりといえばあまりにもったいない。観光名所になっている滝をよじ登って、さらにその上にとうとうと流れる川のさらに上流へとつっこむ予定であります。要するに沢登りなのであります。しかるに亜熱帯のジャングルの沢はまずは一筋縄ではいかない予感である。なんだかネットでちらりと調べたら、ジャングルにはさすがにクマはいないけどハブやらサソリやらヒルやらが普通にいるらしい蛇よけに藍染めの脚絆が必要だ。毒吸いだし用のポイズンリムーバーも携行するようにと地元のHPに書かれていた。山用の食料だってどこまで手にはいるかわからんし、第一燃料はガスが無理そうだからガソリンコンロを用意することだ。八重山の沢に生息するという体長2mのヤエヤマオオウナギ(?)是非蒲焼きにして食べてみたいが普通の釣り具で大丈夫だろうか?う~んなんだかほんとに秘境に行くみたいだな。今日はとにかく25000分の1地形図を買いにはるばる新宿まで出かけたのだけどなかなかおいてる店がなくて何件か回った。都会は疲れる。高度計と方位計のついた新しい時計を買った。西表島の海岸は潮がひかないと歩けない所もあるというからタイドグラフもほしかったが・・・全然関係ない話だけど、新宿あたりに出かかると全く現金使わないですむのね電車賃はSUICAで払って、地図代は図書カードで払って、時計はEDYで買って、小腹がすいたのでマックに入るとそこでもEDY決済。電子マネーもPASUMOとNANACOの参入で今年は爆発的にはやりそうな予感がする・・・ともあれ、そんな便利さを感じつつ、数日後に亜熱帯のジャングルの山の中にいる自分を思うとなんだか少し滑稽な感じがしてしまいました。いろいろ雑想書きましたが、まあそうゆうわけで南の島の情報収集に励んで参ります。※写真は竹富町観光協会から転載
2007年01月09日
コメント(4)
3連休も終わって世の中はやっと正月気分から新しい年に向けてスタートしたようです。学校も今日からかな。市場も今日からいよいよ本格的にスタートです。正月が終わってほっと一息。かくいう私は年末からほとんど休みなく働きづくめで今日は久々のお休みです。正月中は通勤経路上にある大型ショッピングセンターが邪魔して毎日大渋滞でイライラ。。。役所などもお休みなので手続き関係の仕事も一向に進まず。家に帰ってテレビなど見ようにもつまらんバラエティ番組ばかりで観る気もせず。食材買おうにもどこも正月価格で高いのだそんな憂鬱な正月がやっと終わってやれやれです。しかし久々の休みだからとて休んではいられないのだ。まだまだ年末にできなかった家の内装工事(子供対策仕様)が進んでいないのだ。これから市役所と銀行行ってそれからだな~あそういえばさっき女友達からメールが来て思い出したのだが今日は私の誕生日であったこの年になると別に誕生日をどうも思わなくなるが人に覚えていてもらえるのはうれしいものだ。妻子ともまだ実家に帰省中だし、今日はひとりでケーキでも焼こうかな・・・それからそれから私の正月休みは実は来週から。正月旅行の準備もしなければばらないのだ。今回はかなり遠い所に行くので準備も大変だ。えっどこに行くかって。南の島ですよ南の島と行ってもバカンスではないですよ。山に登りに行くのであります最近、山に行く機会減ったのでいきなり冬山に行くのもはばかられる。だから今年一発目の山は南国の山に行くのである。南国に山なんかあったっけ~
2007年01月09日
コメント(5)
全10件 (10件中 1-10件目)
1


