全54件 (54件中 1-50件目)
新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴス共和国に入りを抜け、ジョバ河をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。アコンカグワ地下古代都市で人類創世の神が復活した。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3341gu/25/新人類戦記第三章聖域第26回 ビザゴスにいる新人類、超能力戦士たちは、神の命令に従い種々の作戦を策動させようとしていた。新人類戦記 第三章 聖域 第25回作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)■ビサゴス協和国 首都ボグラ ヨルバ族のトゥレはなぜ、今、、こんな装傭を付けて、軍列に加わっているのが自分でも理解できなかった。 トゥレはアコンカグワ山の近くに住んでいたヨルバ族の若者で、狩りの最中、プクラの森の中で、イアテ族の姿を目にした時、その時から、トゥレの運命は急変したのだ。ヨルバ族のそばに居住するイアテ族は先祖代々、アコン=カクワの山麓にあった古代神殿を守る事を自らの使命としてきた部族であった。 アメリカの爆撃機から原爆が、魔の山、アコン=カグワヘ投下された瞬間、トゥレは空がオレンジ色に変化ずるのを感じた。そして意識を失なってしまったのだ。 再び目覚めた時は、何か彼の意識の中に解け込んでいるような気分だった。 彼は意識を失なった時、ヨルバ族の集落の近くの樹の側にいた。ヨルパ族の集落には、イアテ族の不信な動きを見張るために、首都ポグラから大統領の一族であるヴァリド族が大部分を占める軍隊進駐してきていた。 トゥレが村へ辿り着いた時、村の者全員が意識を回復しており、隊列を作り、軍のトラックに乗り込んでいた。 トクレは自分の飼っていた家蓄の事を思い出したが、それよりも、「神の国」を作り出さねばならないという意識が強かった。 軍のトラツクに兵士と共に乗り込んだヨルバ族の彼らはヽ家や。家蓄をほおり出し首都・ボグラヘ向かっていた。 首都ボグラはピザゴスの各所から集まった人々でごったがえしていた。すでに解放戦線との間に停戦が行なわれている。 彼らピナゴス人の中には大きな共同体意識が存在していた。それは「神の国」を作るという意識だった。 やがて、トゥレは、隣国の英領ポートモレスビーを占領するための軍隊の一員としてポグラを出発している自分に気づいた。 ジョバ川添いの国道を西に向かい、やがて英領ポートモレスビー側の軍隊と戦闘状態にはいった。 ピザゴス軍の士気は恐るべきものであった。殺しても殺しても彼らは攻めてくるのだ。彼らには死への恐れはなく。ただ「神の国」を作るという連帯意識だけがあった。彼らは戦友の屍を越えてやってくる。武器も優秀なものが多い。ポグラ政府軍の西欧各国の武器に放戦線側のソ連、東欧製の。武器も使用されているのだから。■ビサゴス協和国 首都ボグラ大統領官邸首都ボグラ。バリエテの岡にあるビザゴス共和国大統領官邸では、全世界向けの放送を終えたラオメ大統領を向かえる数名の男女の姿があった。『ごくろうでした。ラオメ大統領。一日も早く我らが「神の国』がこの現世に現われんことを」東郷竜が言った。側にいるのは、ジウ、秀麗、陳、ルン、島井、そして、イアチ族長のエピネである。超能力戦士の一団であり、神の聞いた使徒である。 今、ラオメ大統領が、全世界に向けて放送で述べたコメントは竜たちが作りあげたものである。「彼らがどんな反応をとるか楽しみね」 ジウがいった。笑顔をうかべている。つまりは新人類対全世界の戦いになるはずだ。「いよいよ本格的な戦いになるはずだ」 ルンがいった。「私が今、一番恐れているのはアメリカのカイザー部隊なのだ」デューク島井が言った。「でも、カイザー部隊はあなたを除いて、全員死亡したのではないの」 秀麗が尋ねた。「いや、私が率いていたのは一個部隊にすぎない。隣国ガニタに他に一部隊カイザー少将が率いる部隊があったのだ。」 デューク島井が答える。「それにソ連の超能力戦士にも気をつけなければならない」 ベトナム人のルンが言った。彼はテレポートした先、ソ連のピロピジャンで発見され、ソ連の超能力戦士となっていたのだ。ルンは続けた。「幸いに、ノプゴロドフ号に乗っていた超能力戦士は我々の手の内なのだが、他にも多勢いるようだからな」「手がたりないわ。もっと仲間を集めなければ」 ジウが心配そうにいった。「加えて、元PLOのダレルだ。指導者は彼を大宇宙の邪悪な力の影響を受けていると言っていたが」 嶽ば考え込んでいるふうであった。「東郷竜王官、時間です」 元、秘密警察長官ラギドが部屋へはいってきた。彼ら超能力人類の人々は主官という名前で呼ばれていた。「もう、そんな時間か、それじゃ、島井、あとの事は頼んだぞ」 竜とルンは「オペレーション=デモクレス」を始動させるため、ボゴタ空港へ向かわねばならぬ。神の王官である東郷竜は新人類の仲間皆にいった。「さて、我々は、神と神の神殿をテレポートしなければいけない。それは、月の裏側だ。わが神は、最初に月に到着し、それから地球に移動した。残って最初の宇宙船の装備が、月の裏側に残っている。地球の旧人類から攻撃を防御するための安全処理だ。この地球上のビサゴス共和国領土部分では危険なのだ」(続く)20210429改訂新人類戦記 第三章 聖域 第25回 作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)
2021.04.29
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/69/源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。源義経黄金伝説■第70回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1198年(建久9年)鎌倉/大江広元屋敷「危ういところであった、文覚が鬼一を処分してくれたとしては」大江広元は呟く。が、広元は疑心に捕らわれる。 いかん、もし、、、「よいか、至急に牢を見て参れ」と雑色に命ずる。「源義行殿、牢におられませぬ」 雑色が顔色を変えて報告した。「何と…、そうか、あの磯野師めが」大江広元は、禅師の控え部屋にいく。「禅師、お主、義行殿を逃がしたな」声高かに叫ぶ広元に対して磯禅師は、ゆっくりとお茶をたしなんでいる。ふくいくたるお茶の香りが磯禅師のいる部屋にたちこめている。「大江様、どうかお許しください。あの者、最初からこの世には存在せぬものです」「磯禅師、お前、静と連絡をとっていたのか。静はまだ生きていると聞く。あの義行を静の元に走らせたのか」大江広元は、ある事にはたと気づく。苦笑しながら言う。「そうか、磯禅師、お主、西行に惚れておったのか。それを見抜けなんだのは、私が不覚。西行の想いが、自分の黄金である源義行を逃しよったか。くくっ、まあ、良い。 いずれは、静のところに向かうであろう」源義行は、磯禅師にとっては孫にあたるのだ。大江広元は憎々しげな表情で、磯禅師を見つめる。禅師は、まさか広元が静の居場所を知っているとは、思っている。恐るべき情報能力を持つ男だった。大江広元 は付け加えた。「よいか、禅師。もし何かことがあれば、お主もろとも滅ぼす。無論、京都大原にいる静もだ」脅しの言葉であった。が、禅師も負けてはいない。「しまし、大江様。大江様もこのままでは済みませぬぞ」「何だと」「頼朝様の暗殺を知っておられたこと、鎌倉腰越にて書状に認めてございます」「何という書状を…、嘘じゃ」「北条政子様は信じますまい。いや、本当のことをご存じでも、その書状を利用し、京都から来た男である大江様を、鎌倉政権の座から引きずり落とすでしょう」「むむっ、お前。この俺を裏切りおるか」大江広元は憤怒の形相で、磯禅師ににじり寄った。「これでも禅師は、この源平の争いの仲を生き残ってきた者でござい ます。裏の手、裏の手を考えておらねば、生き残ってはこられませぬ。そこは 私、禅師の方が広元様より、一枚も二枚も上手ということでございましょう」大江広元を見返す禅師のまなじりには力がこもっていた。おまけに源義行は、禅師の孫なのだ。今の今まで生きながらえて、この官僚あがりの田舎貴族と対峙して、勝てなければどうしよう。経験の量が違うのだった。「うむっ…」大江広元も押し黙ってしまう。ここは禅師を怒らせぬ方がよいかもしれぬ。所詮は女だ。変に怒らせて、今までの広元の苦労を水泡に帰すこともあるまい。「大江様、大江様はこの鎌倉殿の政庁を作り。歴史書に御名前が載りましょう。が しかし、大江広元様ではなく、中原広元様にかも知れませんね」「禅師、お前何を企むか」「いや、お隠しめされるな。先年なくらられし西行様も、同じことをされました」「‥‥」「家の筋目のことでございます」「西行法師様も、佐藤家の本筋ではございませんでした。佐藤家は源平の戦い、屋島の戦で、滅んでおります。それゆえ、西行様も佐藤家御本流として、後の歴史にのこられるでしょう。これは大江様も同じことをされる機会でございましょう」大江広元も、また西行もそのそれぞれの家の本流、本家ではない、と禅師はいうのだ。「禅師、お前は、、」「いや、皆まで申されますな。大江様の御母君様は、大江家の出。母方さまの御本流をのってるおつもりではございませんでしたか。本来の苗字、中原の名前を隠し、大江の本流の方々をすべて死においや り、大江広元の名前は、歴史にのこりましょうぞ。さすれば、名高き学者、大江匡房の 曾孫としてはづかしき事無く明法博士の御名前を朝廷からいただけましょう。これ でも禅師には、つてがございます」大江広元はしばしの間、頭を垂れていた。が、ゆっくりと顔を禅師に向ける。「、、で、禅師、そのお方とは、、」禅師は、広元もまた、京都のためにからめとった。「わかった禅師。このこと不問にしよう」「では、源義行様のことはいかが記録されます」「事件とはかかわりあいのない雑色だったということにしようか」「それを聞いて安心いたしました。 それでは、京都から鎌倉にこられる僧たちのことよろしくお願いいたします」栄西、法然をはじめ、新しい教条を手にに、鎌倉武士のために京都から僧侶が送られてくるのだ、その手配方を、大江広元に頼もうというのだ。昔、京都において、平家陣営の諜報少年部隊、赤かむろの束ね者でもあった、磯禅師は、深く頭をさげた。(続く)20210429改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.29
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/68/源義経黄金伝説■第69回鬼一方眼との死闘のため、頭や顔は朱に染まり、足取りもおぼつかぬ文覚は、大江広元屋敷の元を訪れている。源義経黄金伝説■第69回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1199年(建久10年)鎌倉文覚は、対決の後、しばらくして、広元屋敷の元を訪れている。文覚の頭や顔は朱に染まっている。足取りもおぼつかぬ。鬼一方眼の打撃の後がゆっくりと文覚の体をむしばんでいる。鬼一の八角棒には、やはり丹毒が塗られていた。「大江広元殿、鬼一方眼はワシがあやめた、これで、あやつらの王国、勢いがなくなろう」文覚は、大江に満足げに言った。「さようでございますか。それは重畳。しかしながら、いかがなされた。その傷は」「我のことなぞ、どうでもよい。よいか、大江広元、義行を逃がせ」「源義行を…、何を言う。気が狂られたか」「よいか、大江広元。私、文覚は、元は武士である。鬼一との約束は守らねばならぬ」 文覚は息も絶え絶えに言うのである。「皆の者、出て参れ。文覚殿、乱心ぞ」大江広元は、屋敷の郎党を呼び寄せる。「くそっ、広元、貴様」 手負いの熊のように文覚は、広元の手の者と打ち合うが、多勢に無勢。おまけにひん死の状態の文覚は打ち取られる。「残念、無念。清盛、西行、お前らが元へ行くぞ」とらえられ、牢につれていかれる文覚が、いまわの際に叫んだ。◎文覚は,今は亡き好敵手西行の最期を、そして西行から聞いたある話を思い起こしていた。◎待賢門院璋子けんれいもんいんたまこは、西行の手を強く握りしめている。待賢門院璋子は後白河法皇の母君である。その臨終の席に西行が呼び寄せられていた。「二人の皇子をお守り下され。西行殿。私の最後の願いでございます」「わかりました、璋子様、この西行の命に変えても」西行は宮廷愛の達人でもあった。この時期日本は宮廷愛の時期である。待賢門院璋子の二人の子供とは、崇徳上皇と後白河上皇である。璋子は鳥羽天皇の間に後白河法皇を生み、鳥羽上皇の祖父である白河法王の間に崇徳上皇をうんだ。白河法皇は璋子にとり愛人であり、義理父であった。いわゆる源平の争いは、璋子を中心にした兄弟けんかから起こった。西行は璋子のために終生、2人の御子を守り事を誓ったのだ。西行は璋子のために、京都朝廷のしくみを守りために、その生涯を捧げた。西行と文覚は、若き頃、恋いにそまりし王家を守る2人の騎士であった。それでは、文覚は、日本の何を守ったのか。自問している。文覚は若き折り、崇徳上皇の騎士であった。上西院の北面の武士である。しかし、文覚は保元の乱の折り逃げ出している。その折りの事を西行はよく知っているのだ、言葉で攻めていたのだ。西行は、いまはのきはに、叫んでいた言葉を思い起こす。「文覚殿よ、天下は源氏におちたと、、思わぬほうがよい」「何だと」「頼朝殿の義父、北条、平時政殿の手におちるかもしれんな」西行の死に臨んでの予言であった。いにしえ、坂東の新皇と自ら名乗った、平将門まさかどの乱平定に力があったのは、藤原秀郷と平員盛である。藤原秀郷の子孫は、奥州藤原氏、西行の家などである。平員盛の子孫が、伊勢平氏と北条氏であった。(続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.28
コメント(0)
新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴス共和国に入りを抜け、ジョバ河をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。アコンカグワ地下古代都市で人類創世の神が復活した。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3341gu/24/新人類戦記第三章聖域第24回 各国政府首脳と情報関係者がテレビ会議を行う。しかしビサゴスではさらなる変化が。新人類戦記 第三章 聖域 第24回作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)■世界首脳会議 東京帝京ホテル地下 テレビ会議システム。 モニターからざわめきの声がIかたまりになりスピーカーから聞こえてきた。「ビザゴス政府から全世界へ向けての放送がありました。画像を中央モニターに出力します」 映しだされたのは、ビザゴス政府大統領ラオメの顔だった。「全世界の皆さん、我々の国が約一ヵ月の間熱球に包み込まれていた事は御存じでしょうか。これは我々ピナゴス共和国が新しい人類として誕生するために必要だった期間なのです。そして、今、我々ビサゴス人は選ばれて新しい人類として生れ変ったのです。 全世界の皆さん、我々の仲間に加わりなさい。そうすれば永遠の安息があなたの心に生ずるでしょ 今の世界は熟しきつた果実なのです。いずれは腐り、、破壊という地面に落ちなけれぱならない。滅亡の黒い房が口を開け、すぐ目の前にある事にあなた方は気がついていない。すぐ我々の仲間、新人類に加わりなさい。 そうしなければ我々新人類があなた方を滅ぼすでしょう。まず手始めに、我々はアフリカ全土を掌中にします。我々には神の兵士がいるのです。そして我々には神の御加護があります。この神とは、我々人類を生み出した創造主なのです。すべての宗教、宗派を越えて、彼は神そのものなのです。私は単なる神の下僕であり、メセンジャーボーイにしかすぎません。我々はもう「神の国」を目の前にしているのです。もし、あなた方が我々にさからおうとすれば、我々はあなた方をにぎりつぶさざるを得ない。これは我々にとって、聖なる戦いなのです。聖戦なのです」 放送は消えた。「何をたわけた事を」ソビエトの アンドロポフは言った。「ジャブロ君、あの画像を見て何か気づいた事ないか」アメリカ大統領が尋ねた。先刻のラオメの顔と昔のラオメの顔が同時に映写された。「むしろ、今の方が自信を持ってしゃべっていたようですね。彼は間違いなく、自分の意志で今の発言を行なったのでしょう。もし何かにあやつられていたなQば、眼の輝きが違ったはずです」 アメリカ政府戦略担当官ジャブロは断言する。彼は心理学の博士号もとっているのだ。「が、少なくとも、奴のバ。クには何かがあるはずだ」フランスDITの局長が言った。「ビザゴス解放戦線の連中はどうしたというのだ」「もう一つ、新事実が入電しました。ビサゴスの軍隊が、英領ポートモレスビーを攻撃中との事です」 シャブロがモニターを示して言った。「くそっ、どうですか、こちら側の駒を使いあの国の内部を調べなければなりますまい」 イギリス首相が述べた。「というと、南アを使うおつもりなのですかな」 ソビエトのブレジネフが尋ねた。「アフリ力の黒人国家化をおそれているのはもちろん、南アですからね。一押しすれば、彼らは何らかの手段をとるでしょう」 イギリス情報局長が言った。 中央モニタースクリーンに、アメリカの偵察衛星の像が受信された。 彼らはそのビサゴス協和国の現況画像を見て、一様に戦慄した。 アコンカグワ山自体が消滅していた。新人類戦記 第三章 聖域 第24回作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)
2021.04.27
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/67/源義経黄金伝説■第68回★1199年(建久10年)鎌倉大倉山に、伊豆からの春嵐がふきすさぶ山頂に鬼が二匹、己が思想に準じて舞い踊る。源義経黄金伝説■第68回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube第9章 1198年(建久9年) 鎌倉■5 1199年(建久10年)鎌倉大倉山 鎌倉の街の背後にそびえる大倉山山腹に、びょうと風がふいている。 鎌倉の周り北東西三方に山山がとりまき、南は海に開いている。鎌倉は自然の要塞であった。大倉山山頂から頼朝が作りあがた要塞都市の姿がよく見える。文覚はだれにも手出しできぬように、この決闘場を選んでいた。 伊豆からの春嵐がふきすさぶ山頂に鬼が二匹。「鬼一方眼、今度が最後の勝負ぞ。いずれにしろ、お主らが丹毒で、頼朝様、もっても7日だ。お主らを倒しておかねばのう。この鎌倉幕府が持たぬわい」鬼一方眼も構えている。「おおよ、その勝負、受けたぞ、文覚。俺も京都一条の鬼一法眼。あとくされない勝負だ。これで引き下がったとあっては、俺の名折れよ」二人の体に、伊豆からくる少し早い春風が、吹き巻いている。人の気配のない大蔵山の山頂に、二人とも八角棒を手にして微動だにしない。「それに鬼一、安心せよ。儂は西行殿と9年前に約束しておる。勝っても負けても、源義行殿の命は安全よ」「それを聞いて安心した。お主も闇法師の端くれであったか。約束は守るのか」「当たり前よ。ましてや、西行殿の今際の際の言葉だ」「いざや、まいる」とどちらからともなく打ちかかっている。激しい打撃音が、大倉山全体に響く。山に住む野生の動物たちが勢いで逃げ出してくる。「よいか、鬼一。お前たち、山の民どもの住む所など、もうこの世には存在せぬ」激する文覚が声高に叫んでいた。「頼朝ばらに、我々の王国など支配できるものか。いあや、支配させるものか」鬼一方眼が、鋭い文覚の八角棒の一檄を受けて叫ぶ。鬼一方眼の言う王国とは、京都大和王朝が成立しても、なお連綿と続いている、前の王朝、葛城王朝の流れを汲む『山の民の王国』である。歴代の京都朝廷も彼らの見えざる王国を認め、協力者としていたのだ。それを文覚は無くなると言うのだ。「よいか、頼朝様が、征夷大将軍となり、十年前に奥州平泉王国を滅ぼした今、我々武家の世の中よ。日本は頼朝殿によって統一された。支配するのは鎌倉将軍。また山々、山山林のすみずみまで、鎌倉から守護、地頭をつかわし、網の目のように日本全土に支配を巡らせる。お前たち、山伏を始め、山の民の住む所なぞないわ。義経が逃げた場所などもうなくなる」「くそっ、ゆうな。文覚、それであるからこそ、お主ら倒さねばならぬ。お主は鎌倉を代表する攻撃勢力。我々自由民のためにな」「無駄よ。京都朝廷を頼朝殿がおさえれば、『山の民の王国』など認めるものか」「平清盛殿、西行法師殿、後白河法皇様。皆、我らが味方であったぞ」「それも終わりぞ。義経殿も、もう日本には帰ってこれぬぞ」文覚の言葉に鬼一はたじろく、(なぜそれを知っている)「貴様、なぜ、それを」「ふふっ、金きんに逃れるところを、儂が、のがしてやったのだ。鞍馬寺の宝、征夷代将軍、坂上田村麿呂公の刀と引き換えにな」「くそ、これが最後の一撃…」鬼一は、渾身の力を込めて、文覚に打ちかかっていた。八角棒はぱしりと折れ、鬼一の棒が、文覚の頭蓋を、天頂を打ちすえている。一瞬、時の流れがとまる。二人の体は止まっている。風も一瞬凪いだ。急にゆるやかな太陽の光が、雲間からふたりの体を照らした。折れた八角棒の先を、文覚は鬼一の胸板を貫いている。 相打ちである。 血のにおいがただよっている。鬼一の方が致命傷となる。足下に体液の流れが、大地をすこしづつ、赤黒く染めていく。「くっつ文覚、どうやら、我々の時代は終わったのう」苦しげに、鬼一は呻く。血が口からしたたり落ちてくる。 しばらくして文覚が告げる。「鬼一、よい勝負だった。それに約束だけは守ってやろう」「約束だと」血みどろの鬼一方眼の疑問の顔が、文覚に向いた。「源義行殿を、鎌倉から逃がすことじゃ」相対する文覚の顔と体も、すでに血にまみれている。「それは有り難い、文覚殿。その事、恩にきる。ぐう」ひとこと発し、鬼一の体がゆっくりと大地に沈んでいく。 血の気が失せていく鬼一の体に、文覚は両手で拝む。「鬼一方眼殿のお仲間の方々、後はお願い申す」 まわりの気配に対し、文覚は周りを見渡し大音声でさけぶ。折れた八角棒を杖として、頭から血を流しながら、文覚は鬼一の体を残しそこを去って行く。文覚は山道で立ち止まり、振り向く。目には血が流れ込んでいる。「鬼一方眼殿、さらばだ」 文覚の姿が消えた後、山伏の群れ、結縁衆や、印字打ちの群が現れていた。 数人が鬼一方眼の遺骸を取り囲む。 「後を追うか」一人が叫ぶ。 「無駄だ、あのおとこには」「刃の鬼聖」文覚の名前は、紀州にも響いている。文覚は日本各地の山伏の生地で荒行をくり開けしていた。「頭の最後の命令にしたがおう」「それより、我々はな、、西行法師殿の伝説を、この世に広めねばなるまいそれが、われら、後に残りしものが役目ぞ」鬼一方眼の義理の弟、淡海が、強くいう。目じりが光っていた。(続く20131026改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.27
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/65/源義経黄金伝説■第66回1199年(正治元年) 霧の中で落馬した源頼朝の目の前に炎上する鎌倉の姿が見えている。源義経黄金伝説■第66回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube 1199年(正治元年) 鎌倉 鎌倉の朝。1199年(正治元年)1月13日鎌倉街道の地面に落ちた霜が太陽を受けて、湯気をあげている。気おもいで気分のすぐれぬ頼朝は、単騎でゆっくりと動いて来る。大姫の死が、頼朝のこころを責めさいなんでいる。鎌倉街道の要所、相模川の橋の完成式の帰りであった。この時のお共には、広元は最初から参加していない。頼朝は馬に乗り、見知らぬ道を通っていた。ふと、回りを見ると、いつもはいるはずの郎党共の姿が見えない。おまけに辺りにはうっすらと霧が出てきたようである。「これは面妖な…、ここはどこだ…」きづくと霧の真ん中に頼朝が一人。 頼朝は、ひとりごちた。道の向こうに人影がぼんやりと見えている。「おお、あそこに人がおる。道を尋ねよう」頼朝はそちらに馬を進めた。 すでに鬼一法眼の術中に嵌まっていることに、頼朝は気付いていない。鬼一得意のの幻術である。 この時、頼朝の郎党の方は、大殿の行方を捜し回っている。が、みつからぬ。二股道の一方を頼朝が通ったあと、鬼一の手の者が偽装したのだ。頼朝は、郎党から切り話されて霧ふかき見知らぬ森の中にいる。護衛から全く切り離され、一人きりなのである。頼朝を乗せた馬は、一歩一歩と、その人影に近づいて行く。どうやら、若い女性のようだ。旅装で網代笠を被っている。頼朝は馬上から尋ねた。女の体つきに、へんに見覚えがあった。「これ、そこなる女、ここはどこなのだ。そして、鎌倉までの道を教えてはくれぬか」 女はくぐもった小声で答える。「頼朝殿、鎌倉へお帰りのつもりか。もう鎌倉はござらぬぞ。お前様は帰るところがない」頼朝は奇異に感じた。「何を言う、貴様、妖怪か」叫ぶが早いか、頼朝は、女の網代笠を馬の鞭で跳ね飛ばした。瞬間の霧の中から、ごおーっという音が起こっている。おお、これは…、幻影か。頼朝の目の前に炎上する街の姿が見えていた。霧の仲にくっきりとその映像が見えるのだ。頼朝は、平泉のことを思い出しているのかと一瞬思う。う、これは、なんとした事。が、よく見ると、そこは鎌倉なのだ。「何ということ。儂の鎌倉が燃えている。どういう訳だ」自分が手塩にかけた愛しき町が燃え上がっている。鎌倉という町は、頼朝にとっていわば、自分の記念碑である。「き、貴様」女の顔を見る。「うわっ、お前は大姫」 四年前に奈良でなくなったはずの愛娘、大姫の姿がそこにあった。大姫は頼朝の方へ両手を伸ばした。顔はて暗がりではっきりとは見えないのだ。「さあ、父上、私と一緒に極楽浄土へ参りましょう」 大姫が指さす方は、燃え上がる鎌倉である。「あの中へと」 その炎上の中にいる人々の姿がはっきりと見えていた。平氏、奥州・藤原氏の武者、そして源氏の武者、おまけに義経の姿もある。今までの頼朝の人生で手にかけてきた人物たちである。「さあ、父上の親しい皆様が、ほれ、あのようにあちらから呼んでおいです。さあ、父上、はよう」 頼朝はゆっくりと馬から降りて、ふらふらとそちらの方へ歩んでいる。 突然、石つぶてが、頼朝の体といわず頭といわず降り注いできた。「ぐっ」 頼朝は、頭に直撃を受け倒れ、気を失う。淡海の部下が数名、投弾帯や投弾丈をもちいて、ねらいたがわず、頼朝に命中させていた。投弾帯は、投石ひもともいわれ石弾をはさむ一本のひもで、石弾をはさみ下手投げでなげる。時速八〇キロの速度はでた。 頼朝はしばらくして気付いた。が、目の前はまだ霧の森の中である。「い、今までのことは夢であったか」頼朝は叫んでいる。人影がある。大姫の姿があった。「お、大姫。助け起こしてくれ」 今は亡き大姫の名前を呼ぶ。しかし、大姫は反応しない。「儂が悪かった。許してくれい。お前の幸せを考えず、志水冠者殿を殺してしまったのは、俺の不覚じゃ。許せい」志水冠者は、頼朝が殺した大姫のいいなづけ、木曽義仲の息子である。 大姫の姿がするすると、頼朝のところへ近づいて来る。「本当に、そうお思いですか」顔をよせてきた。「そうだ」頼朝は、大姫の顔を仰ぎ見た。 いった瞬間、大姫の服が弾き飛ばされている。 そこには、うって変わって、りりしい若い武者が立っている。「お、お前は何者」大地をころびながら頼朝が叫んでいた。「源義経が遺子、源義行にございます」 頼朝は、驚き、その人物の顔をしかと観察する。「まてまて、お前は義経が子か」「そうでございます」 義行は、頼朝に対して刀を構えている。しかし目には不思議に憎しみはないのだ。頼朝に対する哀れみが見える。 この男は…、本来ならばおじになる。が、我が父を葬った男。鬼一から話を聞き日々の憎しみを増幅させ、この計画を練ったのだ。しかし、実際に、頼朝と対峙してみる、と、悪辣なる敵のイメージとあまりにもかけはなれている。源頼朝の姿には一種独特の凄みがありながら、その体から悲しみを感じるのだ。愛娘を死なした絶望が見える。頼朝の人生は多くの人々の亡骸から気づかれている。悲しい人生かも知れぬ。おのの存在、源氏の長者として大きくみせなければならなかった。いままで、源氏のだれもが、望み得なかった高見に頼朝はいるのだ。しかし、この悲しみの原因は何のか。そして、義行を哀れみの情で見ているのだ。驚いたことに頼朝は、涙を流しているではないか。源義経の息子、源義行は思わずたじろぐ。「義行か、不憫よのう、お主は、おのが父親、義経が、北へ逃れ、蝦夷の王、いや、山丹の王になっておるをお主は知らぬのか。吾輩みづからが、ある人物との約束で、それを許したのだ。」何をいまさら、血舞よい事を。その言葉の一瞬、源義行は、頭に血が上り、この後に及んで、私をたぶらかそうとするのか。やはり叔父上は、見かけではなく、本当に悪人なのかも知れぬ。義行は、迷うが、怒りをあらわに再び切りかかる。同時に、木陰から数個の石が雨あられと降り注ぐ。再び狙い過たず、頼朝の体に命中していた。額からは、うっすらと血が滲んでいる。頼朝が再び地に伏す。「蝦夷だと、ええい世迷いごとを、、叔父上、 父義経の敵、覚悟…」 源義行が、大声で呼ばわり、大地に倒れている頼朝に走りより、刀で刺そうとした。 突然、じろりと頼朝が、うつむいていた顔を持ち上げ、義行にまなざしを向ける。 不思議な鋭い眼差しであった。空虚うつろ。深き絶望が、その眼の中に見えるのだ。「ううっ…」義行は、振りあげた刀を、叔父の体に振り下ろすことができない。「うっつ、くそ」義行は、叫び声をあげ、いたたまれなくなり、急に後を振り向き、霧の深い森の外に走り出した。義行の体がおこりのように、体がぶるっと震える。なぜだ、なぜ俺は、この父の敵の叔父上を打てぬのか。それに父が、、わが父、義経が蝦夷、山丹の王だと、聞いていない。鬼一方眼はそれを知っていたのか。疑問が渦を巻く。「くそっ」義行は、途中で思わず路傍に、武士の魂、刀を投げだすように捨てた、一目さんで逃げ出している。倒れている頼朝の側に、霧の中からのそりと僧服の大男が現れていた。「頼朝様、ごぶじか」「おお、文覚、助けに来てくれたか」「鬼一方眼、ひさしぶりだのう。お主の計画、俺が止めてやるわ」霧の中に向かって文覚がしゃべっている。森の中の霧が、ゆっくりと薄らいできた。霧の中から、同じような格好をした鬼一方眼が、背後に人数を侍らしながら現れている。「くそっ、文覚め。よいところで、邪魔をしおって。だが、いい機会だ。西行殿の敵、ここで討たせてもらうぞ」鬼一方眼も言葉を返す。「ふふう、逆に返り討ちにしてくれるわ」「まて、まて」 二人は構えようとしたが、騒ぎを聞き付けて、ようやく頼朝の郎党が、刀を構えて走ってくる。「勝負は後でだ、文覚」鬼一は走り去る。「わかりもうした」文覚は、逃げていく鬼一方眼の集団にむかい叫ぶ。「頼朝殿、しっかりされよ」 文覚は、頼朝の体を揺さぶり抱き起こした。気を取り戻す。「傷は浅手でございますぞ」「文覚、今、儂は、義経の子供にあつたぞ」「頼朝様、お気を確かに」文覚は、あたりに転がっている頼朝を倒した石を調べてみる。石の表面がわずかに濡れている。何かの染料か。文覚は石の先を木の枝で少し触り、その匂いを嗅いでみる。「くそ、鬼一方眼め、丹毒を塗っておる。いずれは吉次か、手下の鋳物師から、手に入れよったか」「はよう、大殿を、屋敷に」文覚はあわてている。心中穏やかでない。この時期に頼朝殿をうしなうとは、鎌倉の痛手となる。ましてやこの文覚がそだてた頼朝殿を、日本の統一を手にした頼朝殿を、、この手配は、京都の手のものか。ゆるさじ。続く20210426改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.26
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/64/源義経黄金伝説■第65回1199年(正治2年) 鎌倉 大江広元の屋敷に磯禅師がおとづれていた。静かの母、磯禅師は京都の総意をつげる。源義経黄金伝説■第65回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube 1199年(正治2年) 鎌倉「大江広元様、この鎌倉の政権をひぎたくはございませぬか」磯禅師が告げた。鎌倉広元の屋敷である。鎌倉幕府成立後七年がすぎている、あの静の舞からも十三年がすぎている。大江広元が京都から鎌倉に来てすでに十六年が過ぎ去っていた。「何を言うか。この鎌倉には、頼朝様が、征夷大将軍に任じられてとしておられる」「大江広元様、この鎌倉幕府の仕組みを考えられたのは、他ならぬ眼の前におられる広元様ではございませぬか」 大江広元は世の仕組みを作る、言わば社会構造を考案し実行していた。また法律という国の根本を考えだし、関東の武士たちに一定の秩序を与えたのは、頼朝でははなくすべてこの広元の「さいづち頭」から出ていた。つまり、広元が鎌倉幕府の全機構を考え出していたのである。「さようでございましょう。王朝が変われば国の統一のために手助けした者、武将、ことごとく新しい王のために葬り去られましょう」「が、禅師、俺は武将ではないぞ」「それゆえ、策略を巡りやすいとの考えもありましょうぞ。中国が三国時代のおり、諸葛孔明の例もございましょう」大江広元は、考える。いかに禅師といえど、この考えは「禅師、その考え、まさか、後白河法皇様の…」「いえ、滅相もございませぬ。これは京の公家の方々の総意とお考えくださいませ。よろしゅうございますか、大江広元様。源頼朝様の動きを逐一お教えくだされませ。そして、もし機会があれば…」「お主たち京の公家の方々が、大殿様を殺すという訳か」「さようでございます。さすれば大江広元様、鎌倉幕府にてもっと大きな位置を占められましょう」「それが私広元にとって、よいかどうか」「何を気弱な。よろしゅうございますか。頼朝様亡くなれば幕府は、烏合の衆。大江広元様が操ることもたやすうございましょう」「所詮、北条政子殿も、親父、北条時政殿も伊豆の田舎者という訳か」磯禅師は、にんまりとうなずいた。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.25
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/63/源義経黄金伝説■第64回・鞍馬山で鬼一法眼が育てていた義経の子供「源義行」は叔父である源頼朝への復讐を誓う。源義経黄金伝説■第64回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube 1199年(正治2年) 京都・鞍馬山 鞍馬山は、京都市中よりも春の訪れが少しばかり遅い。僧正谷で武術修行にうちこむ二人の姿があった。老人と十二才くらいの童である。鬼一法眼が手をとめて、「源義行」に話しかけてた。「和子は、このじいを何と思うておられる」「どうした、じいは。いつものじいではないのう」幼い義行にとって、鬼一は年をとった父親のようであった。不思議そうな顔をして、義行は、鬼一の方を見る。「よいか、よく聞いてくだされ。わしも、もう長くは生きられぬ。そのため真実を申し上げる。和子は源義経殿が和子にござます」鬼一法眼は、深々と頭を下げる。びっくりする源義行だった。「この私が、あの、源義経の子供だという、、、」源義経が奥州平泉で襲撃されて十年がすぎている。義行は、義経がことを、日々の勉学に聞き及んではいた。「この私があなた様のために、亡くなられた西行法師殿より預かっているものがござる。それをお渡しいたしましょう。また和子の存在を知っている者が、京に一人おられた」「おられたと。その方も…」「そうです、七年前にお隠れなられた後白河法皇です。その方の指令がまだ生きておる。源頼朝をあやめられよと」「源頼朝をあやめると…」「じゃが、よーく聞いてくだされ。源頼朝殿を殺すも殺さぬも自在です。なぜなら、この鬼一法眼、全国に散らばる山伏の組織を握っております。和子を鎌倉に 行かせるは自在。が、西行殿、そして義経様が義行様に望んでおったことは、和子が平和な一生を終えられることです。また平和な郷を作られることです。この 書状には奥州藤原氏よりの沙金のありか書いてございます。これをどう使われるかは、和子が自由でございます」「鬼一法眼殿、私はどうすれば…」突然、突き付けられた事実に、義行はたじろいでいる。「どうするかは自分でお決めなされ。自分の生涯は自分で決めるのです。義経殿が滅びたは、自分の一生、自分で決められぬほど、源氏の血の繋がりが強かった。和子はそうではござらぬ。つまりは、和子は世に存在しない方。自由にお考えなされい」「……」「が、義行さま、西行法師殿のまことの黄金は、あなたさま…。それほど大事に思われておったのです…」「……」「じい、決めた。私は父上、源義義の仇を討つ」源義義の子供である源義行は、そう鬼一法眼に告げた。「そのお考え、お変えになりませぬな」 鬼一の眼は、義行の眼を見据えた。義行の眼には、常とは違う恐ろしい別の者が潜んでいる。「武士に二言はないぞ」恐れず義行は答える。「わかりました。が、義行様、この先に進めば、二度とこの鞍馬山に帰ることはあいなりませぬぞ」「何…この鞍馬には二度と」「さようでございます。もし、源頼朝様を殺すとならば、義行様はこの日本に住むことできますまい。なぜならば、鎌倉が組織、すでに全日本に張り巡らされております。その探索から逃れることなど、絶対不可能」「……」義行は急に黙り込んでしまった。西行殿、許されよ。俺はお主との約束を破る。許してくだされい。俺は、義行様が不憫なのだ。鬼一はひとりごちた。「なれど、義行様、安心なされませ。義行様をただ一人行かるじいではございません。私の知り合いに、手助けを頼みましょう」 鬼一法眼の屋敷は、京都では一条堀河にあった。義経は、陰陽師でもある鬼一法眼から、兵書「六闘」を授かっていた。 平安時代中期、藤原道長の霊的ボディガードとして有名だったのは、当時最高の陰陽師安倍晴明であったが、彼の子孫は土御門家として存続する。この土御門家に連なる一人が鬼一法眼であった。 鬼一法眼は、自分の屋敷から白河に向かい、ある一軒のあばら家に入る。 「おお、これは鬼一法眼殿、生きておられたか。伝え聞くところによれば、貴公、奥州に行かれ行方不明と聞いていたが」 のっそり出てきた優男は、京都で名高い印地打ちの大将「淡海」である。「淡海殿、お願いがござる」鬼一法眼が頭を下げている。突然の事に、淡海はめんくらう。「これは、これは何を大仰なことを申される。法眼殿は義理の兄ではござらぬか」「いや、ここは兄としてではなく、「印地打ち(いんじうち)の大将」にお願いしている客と思っ ていただきたい」「俺の、印地打ちの力を借りたい、、と、、申されるのか」「実は、儂の人生の締めくくりとして、ある人物をあやめていただきたい。といっても、儂は、手助けをお願いするのみだが」「…、したが相手はだれぞ」「鎌倉の源頼朝」「むっ…」淡海は唸ったまま、眼を白黒させている。 白河は、別所と呼ばれる。別所とは、別の人が住むところ。昔、大和朝廷が日本を統一したときに、戦った敵方捕虜をそこへ押し込んだのであった。別所は、大原、八瀬など、すべて天皇の命を受けて働く、別働隊の趣があった。しかし、また、武者などの勢力から、声を掛けられれば働くという、傭兵的な要素を持っているのである。 淡海たちは、石つぶての冠者、つまり戦士であった。 石つぶては、当時の合戦に使われている正式な武器だ。「が、鬼一殿。相手が相手だけに、義兄さまの幻術も使ってもらわねば、難しいのではないか」「さよう、頼朝を郎党から一人引き離さねばのう」「どのような塩梅か」「気にするな。我が知識の糸は、鎌倉にも張り巡らしてござる。それも頼朝にかなり近いところだ」「おお、力が入っておるのう」「よいか、義兄弟。この度の戦さは、儂の最後の戦さ。また、あの西行法師殿の弔い合戦でもある。頼朝を仕留めれば、奥州の沙金の行方を追うこと、諦めるだろう」「それでは、一石二鳥という訳でござるな」「そういうことだ。済まぬが、おの手の方々を、すぐさま東海道を鎌倉に下らせてくださらぬか」「おお、わかり申した。色々な職業、生業に、姿を変え、鎌倉へ向かわしましょうぞ。京都の鎌倉幕府探題の動き、激しいゆえにな。動きをけどられぬようにな」(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.24
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/62/源義経黄金伝説■第63回★★建久六年(一一九五)三月 奈良興福寺大乗院、宿にいる源頼朝の娘大姫のもとを、尼姿の静が密かに訪れてきた。源義経黄金伝説■第63回★★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 建久六年(一一九五)三月 奈良東大寺その夜、奈良興福寺大乗院宿泊所にいる大姫のもとを、尼姿の静が密かに訪れてきた。「どうしたの、静。その尼の姿は、和子はどうしたの」静は出家し、大原寂光院のそばに庵いおりをいとなんでいる。すべては西行の手配りであった。「和子は、私の手元にはおりません。今でも鎌倉でございます」静には、わざと子供の行方を聞かされてはいない。「何、鎌倉ですと。母上は約束を守らなかったのか」「いえ、政子様は、こうおっしゃったのです。子供の命は助けると申した。が、その子供をお前に預けるとは、言ってはおらぬ」「では、和子は…」「生きております。が、義経様に対する備えとして」「人質として、が、義経様は亡くなったのでは」「いえ、まだ、みちのくに生きているという噂、風の便りに聞きました。頼朝様は、その噂が恐いのでございます」大姫はしばらく口を噤んでいる。「いいがなされました。大姫様」「静、お前に会えるのも、これが最後かも知れぬ」「何を心細いことをおおせですか。まさか…」「その、まさかですよ。静、私にはお前のように心から強くはない。父上、母上の顔を立てなければならぬ」「お逃げなされ、大姫様」「私は、もう生きる希望を失っています」「…」「ずっと昔、あの志水冠者しろうかじゃ殿が、父上の手にかかってからというもの、私は死者なのです」木曽義仲の息子であり、大姫の夫志水冠者は、頼朝の手で殺されていた。1184年元暦元年4月の事でありもう十一年の歳月がすぎていた。十一年の間、大姫はその姿を心にひきづって生きている。「そこまで、もう長くは、私は生きていますまい。静、どうか私の来世を祈っておくれ」「大姫様」二人の女性は、鎌倉の昔と同じように、両手を握りあわせ、各々の運命の苛酷さを嘆きあう。■「北条政子様、どうぞ内へ入られませ。あのお方がお待ちでございます」磯禅師は、京都のとある屋敷へと、政子をいざなう。「この方が丹後局様、皇室内のこと、すべて取り仕切られております」無表情というよりも、顔に表情を表さぬ蝋人形のような美女が座っている。流石の政子も思わずたじろぐ。底知れぬ京都の、連綿と続く力を背後に思わせた。丹後局は、白拍子あがりだが、後白河法王の寵愛を受け、京と朝廷に隠然たる勢力をいまでももっている。いわば後白河法王の遺志の後継者である。「これは、はじめてお目見えいたします。私が北条政子、源頼朝が妻にございます」政子は、深々と頭を下げた。目の前にいる女に頭を下げたのではない。あくまでも京都という底力に対してだ。そう、政子は思った。「磯禅師より聞いております。大姫様の入内のこと、すでに手筈は調っております」「え、本当でござりますか」「が、政子殿。大姫様入内の前に、こちら側よりお願いしたき儀がございます」「何でございましょう。私ごときができることでございましょうか」「無論、お出来になるはず。源頼朝様にお力をお貸しいただきたいことがございます」丹後局は少し間を置いた。焦らしているのである。次の言葉が、政子には待ち遠しく思えた。「それは、一体…」 思わず、政子の方から口を切っている。「いえいえ、簡単なことでございます。征夷大将軍の妻たる平政子殿にとってはな」再び丹後局は黙り込む。京都の朝廷で手練手管を酷使している丹後局である。丹後局は磯の禅師と同じ丹波、宮津の出身だった。交渉力においては、まだ新興勢力である北条政子の及ぶところではない。「摂政、九条兼実殿を、罷免していただきたい」「何をおっしゃいます、兼実殿を…」九条兼実は、頼朝派の味方になった政治家だったのである。■北条政子が不在の折、興福寺大乗院前の猿沢の池で、頼朝と大姫は、舟遊びを楽しもうとしていた。猿沢池の両側に興福寺、反対側に元興寺、両方の五重の塔が威厳を誇っている。興福寺は藤原氏の氏寺。元興寺がんこうじは、蘇我氏の氏寺である。奈良猿沢の池を中心に奈良平城京ができた折りの政治状態が反映されている。今また新 しい新興勢力である鎌倉源氏が、この奈良古京こきょうに乗り込んで自らの政治勢力を固持している。かがり火が、こうこうと照らされ、興福寺五重の塔が照り映えている。この船遊びは、気鬱の大姫のために頼朝が考えたのだ。が、池の舟のうえで、事はおこる。「よろしゅうございますか、父上。大姫はもう、この世の人間ではございませぬ」湖の周りには、奈良以来の雅楽が演奏されている。空気はぴんと貼りつめ、篝火の届かぬ空間のその闇は深い。「大姫、何を急に、、おまえは狂うたか」頼朝は、我が娘を別の目で見ている。篝火に照りはれる大姫の顔は尋常ではない。「狂っているのは、父上の方です。私は、私です。お父上の持ち物ではございませぬ」「むむっ、口答えしよって」「私は、いえ私の心は、志水冠者様が、父上によって殺された時から、死んでおります」大姫は舟の上から、体を乗り出している。「いとおしき志水冠者様、いまあなたの元に、この大姫は参り増すぞ」「大姫、何をする」「いえ、父上。お止めくださるな。父上が静の子供を死なしたようにするのでございます」言い終わると、大姫の体は、波の中に飲み込まれていた。「ああ、大姫」 源頼朝の腕かいなは、空をつかむ。重りをつけた大姫の体は、猿沢池底の闇に深く巻き込まれている。頼朝の両手は届かなかった。大姫の心にとどかなかったのと同じように。■「さあ、お言いなされ、母上。何を大姫様におっしゃったのですか」静は母親、磯の禅師を非難している。「この子は、何を急に、言い出すのか。大姫様が、いかがいたした」「母上、私は、幼き頃より、母上の身働きを存じております。それゆえ、この度、大姫様が入水自害をされた…」「何、大姫様が入水自害された…」禅師は驚いた表情をする。呆れ果てたように、静は告げる。「それほど、大姫様が憎うございますか」「何を申す。これは源頼朝殿を滅ぼさんがためぞ。お前、義経殿を殺させた、源頼朝殿が憎くはないのか」禅師は厳しい表情をし、声をあらげている。「そ、それは、義経様を…、殺させた頼朝殿は憎うございます。が、大姫様をなぜに殺された」「愛姫だからのう。それに、頼朝殿の血が、京と天皇家に入内せしこと防がねばなりません」「それは、京都の方からの指令でございますか」禅師は答えぬ。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.23
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/61/源義経黄金伝説■第62回★★建久六年(一一九五)三月奈良東大寺 法皇崩御3年後。すでに頼朝は兼実の手引きにより征夷大将軍の地位を得ていた。源義経黄金伝説■第62回★★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 建久六年(一一九五)三月 奈良東大寺法皇崩御3年後。すでに頼朝は兼実の手引きにより征夷大将軍の地位を得ていた。後白河法皇御万歳ごばんさい三ヶ月後、一一九二年七月十二日。征夷大将軍の位を得て、鎌倉幕府が誕生した。日本始めての武家政権である。東大寺落慶供養は、源頼朝、政子の列席のもと、建久六年(一一九五)三月十二日に行われる事になった。また、このときが、源頼朝、政子の愛姫、大姫の京都貴族へのお披露目の時である。重源を頭目とする勧進聖たちは、立派にその役目を果たし、聖武天皇以来の大仏と大仏殿が再び人々の目の前に姿を表していた。以降、大仏様という建築様式で呼ばれることになる壮麗な南大門の中には、京都仏師に対する南都仏師運慶、快慶の仁王像が力強い時代の到来を告げることになる。鎌倉幕府の時代、武士の時代の始まりである。貴族の牛車引きたちが、武者たまりでしゃべっていた。「あれが東国武士か。恐ろしげなものよな」「我々とは、人が違う。主も思うだろう」「そうじゃ。あの大雨の中で揺るぎもせず、目をしばたかす、武者鎧をつけて、身じろぎもせず立っておるのだ」「頼朝という者を守るためにのう」「やはり、人ではない。動物に近いものだ」「あやつらに、荘園が取り上げられて行くのか。悲しいのう。悪鬼のような、仕業だ」「いや、あやつら板東武者の力を借りて、貴族は荘園を守るしか仕方があるまいて」東大寺正門から両側の道に、ずらっと頼朝が武者が立ち並んでいる。南大門、その他の門前にも、東国武士の恐ろしげな顔をした者共が並んでいた。折あしく、春嵐が奈良近辺を襲っていた。読経の中、空は暗雲に包まれて、若草山から、風雨が吹き荒れている。居並ぶ京と貴族達は、これからの自分たちの行く末が、暗示されているような気がしたのだ。東大寺全体、奈良のすべてがまるで嵐の中、頼朝を長とする、源氏の軍勢に占領されているように見える。貴族たちの牛車は、脇に寄せ集めて、その他大勢の背景であり、時代の主役の乗り物ではない。この時、北条政子は、夫、頼朝にせっついていた。「はよう、大姫、入内できるようお取り計らいくださいませ。あなたは、もう征夷大将軍なのでございますよ。それくらいの実力は、おありになりますでしょう」「わかっておる。すでに九条家を使い、かなりの沙金を貴族の方々に、ばら蒔いておるのだ」にえきらぬ頼朝の態度に、政子はいらついている。(もし、頼朝殿の手づるがだめであるならば、そうだ、磯禅師の手づるを頼もう。あの磯禅師の方が、このような宮廷工作には長けておるはず)供養の途中、重源は、傍らにいる栄西に語りかけていた。「良くご覧になるがよい。あれが源頼朝殿」「では、あの小太りの田舎臭い女が、北条政子殿か」「さようだ。話によると、頼朝殿は尻に敷かれているという」「が、栄西殿は、せいぜい取り入ることじゃ。お主の茶による武者の支配をお望みならばな」後に、栄西は、尼将軍北条政子の発願により、鎌倉に寿福寺を開くことになる。「それで、重源殿。奥州藤原氏の沙金は、いかがなされました」重源は、栄西にすべてを語るわけにはいかぬ。「それよ、栄西殿。西行殿は、はっきり申されぬうちに、亡くなってしまった」「もしや、頼朝が沙金を…。」「うむ、頼朝殿奥州征伐のおり、かなりの砂金を手に入れたと聞く。この砂金をつかい、今の地位を得たという話だ」「もしや、西行殿が源義経殿の命の安全を図るために、砂金を使うという、、、」「そうだ、その可能性はある。西行が、あの沙金を義経殿の命と引き換えにしたということは考えられるのう」西行の入寂後、なぜ、重源は、東大寺の大仏殿裏山を切り崩したのか。あるいは、あの裏山に奥州藤原氏の黄金が、と栄西は考えた。では、頼朝よりの寄進とされる黄金は、ひよっとして、西行が運び込みし、秘密の黄金かもしれぬ。では、その黄金を、頼朝からの寄進とすることで西行が頼朝が得たものとは何か?少し、目の前にいる、食えぬ性格の重源殿に鎌をかけてみようと、栄西は思った。「西行殿は、なぜそのように義経殿に肩入れをなさったのか」重源は、その栄西の質問にしばし黙り、考えているようだった。やがて、意を決して「よろしかろう。栄西殿ならばこそ、申そう。西行はある方から、義経殿の身の上を預けられたのだ」「ある方じゃと、それは一体」「よーく、考えてみられよ。西行殿の関係をな」栄西はよくよく考えて、頷いている。「そうか。相国、平清盛殿か」得心した振りをして栄西は、 重源の晦渋さを再認識した。この腹の裏をもたねば、これからの京都や鎌倉を相手に、勝負ができぬわけか、、■西行がなくなり、五年がたつ。平清盛が、1181年治承5年、五十四歳でなくなり十四年の月日が流れている。地位を手にいれた家族が幸せかどうか。東大寺落慶供養の式次第の後、 大姫と頼朝、政子は、奈良の宿所となった興福寺大乗院の寝殿で争っていた。「どうした、大姫。顔色がすぐれぬが」「そうですよ。これも皆、お前を入内させんがため、父上も私も努力しているのですよ」「私は、私は…」大姫は小さきか弱き声で自分を主張しようとした。「どうしたのじゃ、思うこと言うてみなさい」「いまでも志水冠者様を愛しているのでございます。皇家のどなたの寵愛も、受ける気はございません」「何ということを言うのか」「お謝りなさい、大姫」「いやです。私は私です。私は父上や母上の、政治の道具ではないのです」「何を言うのじゃ。俺はお前の行く末を思えばこそ」「嘘です。父上は、私のことなど、お考えではない」「バカモノめ」勢いあまって、頼朝は、大姫に平手を食らす。「まあまあ、落ち着いてくだされ。大殿様、仮にもここは晴れの席。まして大殿様は、いまや征夷大将軍でございますぞ」その場は落ち着かせた。政子は、鎌倉をたつ前にあることを思いついていた。静を大姫に合わせることである。20131020(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.22
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/60/源義経黄金伝説■第61回★建久三年(1192)3月13日、後白河法皇、66歳で崩御。「わが王朝と貴族の連枝を守るのだ。藤原の兼実殿のお役目ぞ」と遺言する。前書き後白河法皇の最愛の人、丹後局たんごのつぼね高階栄子が、藤原(九条)兼実をせかす。「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝れんしをもって我が王朝を助けよ。まもれよ」「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」言葉による防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。源義経黄金伝説■第61回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 建久三年(1192)3月13日京都後白河法皇の御殿に藤原(九条)兼実が現れる。後白河法皇の最愛の人、高階栄子からの至急の呼び出しがあったのだ。彼女が丹後局たんごのつぼねである。法皇の部屋には、病人独特のにおいが立ちこめ、香りがたかれていて、九条兼実は、むせかえりそうになった。兼実は、すでに死のにおいをかいでいる。病床にある後白河法皇は、力なくやっと左手をあげ、「兼実、ちこうまいれ」と弱々しげに言った。「ははつ、後白河法皇様。何かおっしゃりたきことがござりますやら」「そばに行かれよ」後宮の女帝、高階栄子が、兼実をせかす。「朕の遺言じゃ聞いてくだされ」「、、、、」「よいか、それぞれの貴族の家は、古式ののっとり、各家々の特異技を家伝とされよ」「それが、板東の奴輩に対抗する手でござますか」藤原兼実も、すでに藤原氏の氏の長者うじのちょうじゃになっているのだ。「朕が遺言、よくよく聞いてくださるか。兼実殿」後白河法皇が、言った。高階栄子が、兼平をせかす。「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝れんしをもって我が王朝を助けよ。まもれよ」「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」西行法師を始め和歌によって、言葉による国家の霊的防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。「これによりわが国は神と仏による鎮御国家となった」「まずは藤原定家が先陣かと考えます」法皇は、急に目をつぶり、静かになる、「母君、兄君。いまおそばにまいらせましょう。目宮めのみや君、萎宮なおのみや君もな」法皇は、4人目の宮、4つの宮であり、自分の兄弟の名前を呼んだ。目宮は眼が見えず。萎宮は体が動かなかったのだ。「御家を、それぞれの家を、古式由来の技で守ってくだされや。いにしえよりの我々貴族の技わざこそ我ら貴族を守る。朕の遺言ぞ、、」「兼実殿、、、」「はっつ」「お、お主とは、、最後まで、、分かり合える事は、、なかった、、な」「、、」「が、頼んだぞ。わが王朝と貴族の連枝を守るのじゃ。、、それが藤原の、、」「よいか、藤原の兼実殿のお役目ぞ」丹後局である高階栄子が、かたわらで繰り返す。法皇の様態が変化した。「弁慶に謝ってほしい。お、お前から伝えてくれぬか、、」「弁慶どの、、ですか、、」兼実は言いよどむ。熱病にとらわれているのか、法皇は、すでに弁慶がこの世の人ではないことを忘れている。4年前1189年文治5年4月30日に衣川でなくなっている。「兼実殿、猊下のお言葉にあわせられよ」高階栄子が、叱咤する。「朕は、この父は、悪人であった。弁慶お前を我が王朝の闇法師として使ってのう、許してくれ。お前の一生を犠牲にしてしまっての」法皇は、弁慶が目の前にいるようにしゃべっているのである。兼実が弁慶に見えるようだ。兼実は、法王のいいがままにしている。弁慶は法皇の子供だった。「朕はな、この京都を守りたかった。あの鎌倉が武者どもに、板東の蛮人どもに政権は渡せぬぞ。血なまぐさき奴輩。京都を源頼朝や藤原秀衡に渡してなるものか」しばらくは沈黙が続く。「そうじゃ、西行は、西行はどこだ。崇徳上皇の霊が俺を呼んでおる。早く、早く、崇徳の霊を追い払ってくれ。のう、西行。そうだ、平泉にの霊御殿をつくる話は、、いかがすすんでおる。藤原秀衡は喜んでおるか…」兼実は、西行になったつもりで、告げた。「西行はここにおわしますぞ。どうぞ、法皇様。経文を、経文をお唱えくだされませ」「何、経文をか。よしわかったぞ。それに西行、もし朕が亡くなれば、よいか。あの法勝寺殿の跡に葬ってくれ。くそっ、木曾義仲め」法勝寺殿は、現在の三十三間堂あたりにあった法皇の御殿であり、義仲の襲撃によって焼き払われていた。八角九重の塔は、八十二mの高さを誇り遠くから望見できた院政と京との象徴であったが、今はそれもない。「法皇、安んじなされませ。やや、経文をお読みくだされ…」「おお、そうだ。そうだ」後白河は、経文を六度唱えた、そして静かに。院政最期の巨人は崩御された。「猊下…」丹後局以下侍女たちが嘆き悲しむ。しかし、藤原(九条)兼実は、法皇の亡きがらを前に、考える。これで、、頼朝殿に征夷大将軍の位を与えることができる。藤原(九条)兼実は鎌倉殿、頼朝びいきの男であった。建久三年(1192)3月13日、後白河法皇、崩御。66歳であった。その昔、西行は崇徳上皇の霊をしずめることで、後白河法皇の信任を得ていた。西行は、平泉に第二の御所をつくることと引き換えに、崇徳上皇の白峰神宮をつくることを約束していたのである。(続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.22
コメント(0)
Blue leaves青き葉hamawakenuma 浜分沼園地の夏201708撮影(滋賀県高島市)078
2021.04.20
コメント(0)
youtube動画で、日本の城、琵琶湖湖岸エリアなどの動画はyamadakikakuvideo、yamadakikakubookでyoutube yamadakikakuvideoで検索いただくと安土城はじめ日本の城の動画が載っています。ご覧ください。youtube yamadakikakubookで検索いただくと湖西線・琵琶湖の映像が載っています。ご覧ください。
2021.04.20
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/59/源義経黄金伝説■第60回 建久元年(一一九〇)三月 京都 落ち込んでいる、師匠の文覚を明恵(みょうえ)と戒名した夢見がたづねる。 「この手で 西行をあやめたのだ。頭にこびりつく」前書き後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家ふじわらていかが呼ばれている。「西行の名前を残して起きたいのだ」「西行様の歌を後世に残す、麻呂も賛成でございます、で、いかかななりあいといたしましょうや」「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 西行法師を歌聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いないとなろう。 わが国の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」後白河法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する命令がうづまいていた。「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝のものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家のたいするわが王家の 仕組みをどうすすか」西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河法皇は考えているのだ。が、法王は、弟、崇徳の霊にも対応をせねばならなかった。源義経黄金伝説■第60回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 建久元年(一一九〇)三月 京都後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家ふじわらていかが呼ばれている。「西行の名前を残して起きたいのだ」「西行様のおお名前を、麻呂も賛成でございます、で、いかかな手立てを施しましょうや」、「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 歌聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いとなろう。 わが国の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する指令がうづまいていた。「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝のものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家にたいする 仕組みをどうするか」西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河は考えている。が、後白河法皇は、弟、崇徳上皇の霊にも対応をせねばならなかった。西行が企み、それは、平泉を陰都として、崇徳上皇を祭り、北の都の祭りとし、頼朝に対応される事であったが、頼朝が、西行と法王の企みすべてを打ち砕いていた。奥州平泉は先年(1189年)文治5年に頼朝の手におちている。おう、身震いがした、崇徳上皇が悪霊か、、 後白河法皇は遠く讃岐の方を見た。後白河と崇徳とは、兄弟と記録されているが、崇徳は本来の兄ではない、、それが憎しみを深めた。そのあたりの事情は西行法師がよく理解していた。■2 建久元年(一一九〇)三月 京都文覚が、自分が勧進を行った京都神護寺じんごじにて打ち沈んでいる。お師匠様、いかがなされました」夢身、今は明恵みょうえと名前を改めている。「おう夢見か、ワシはな。この手で西行をあやめたのだ。それがのう、頭にこびりつく。また。ワシに、あやつは、大きな仕掛けを残していくよったのだ。いわば、ワシをあやつらの仲間に抱きいれるような、、」「師匠様が、西行様のたくらみの手助けをなさる」「そうだ」文覚にとっては、めずらしく煩悶していりのだ。それゆえ、弟子の夢見、明恵の、その文覚の言葉を聴いての動揺も気づいではいない。夢見は、数ヶ月前の事を思い起こしていた。 ■仏教王国、平泉陥落後のち数ヶ月後、西行が、京都神護持をおとづれていた。「夢見どの、いや今は明恵殿とお呼びしなくてはなりませんか。文覚殿はおられるか」「師匠様は、今留守でございますか。何かお伝えすべき事がございましたら、私にお伝え下させませ」「あ、いや、夢見殿がおられれば十分だ」夢見は、西行を部屋に入れている。急に、西行が、夢見に対して頭を下げていた。「夢見殿、この後の事、お願いいたすぞ」「え、何か、」「この日の本のことだ、たくすべきは、おぬししかあるまい」西行は、夢身を顔をしっかりと見て、断言した。「また、大仰な、私は文覚の弟子でございます。そのような事はお師匠様に、お伝え下さい」「あいや、夢見どのおぬしではないとな。文覚殿では無理なのだ」夢見は、無言になり、顔を赤らめた。神護寺は、京都の山中にあり、ふきあげる風が寒々とする。山並みが遠く丹後半島まで続いている。遠くで獣の鳴き声が響く。「この国は今変わろうとしておる。が、わしの命も、もうつきよう」しみじみと言った。「この国を仏教王国にしていただきたい。神と仏が一緒になったな。わしが重源殿とはかり、東大寺の200人の僧を伊勢参拝させたのだ。この源平の戦いの後、どれだけの血がながれていたか。夢見殿のお父上もまた戦でなくなれれていよう」「それは、いささか、私の手には、重もうございます」「いあや、鎌倉の武家の方々にナ、仏教を思い至らしていただきたい」「それは、お師匠様が」「いや、わしと文覚殿の時代ももう、おわろうて。武士の方々を仏教に結縁させていただきたい。そいて、この世の中すべてうまく回る仕組みを作っていただきたい」「仕組みとは」「たとえば、貴族の方々は、遠く桓武帝がおつくりになった立法を守り、行ってきた。これから新しく規範が必要なのだ。世の基準をつくり、武家、庶民が豊かにくさせる世の中にしていただきたい。 いや、これは、西行の戯言と思っていただきたいが、源氏の後には 北条殿が、この世の中を動かすであろう」「北条様は、しかし、源氏の家臣ではございませんか。また、鎌倉には大江広元様がおられましょう」西行は冷笑した。「ふつ、大江殿がどこまで、お考えかわからぬぞ。果たして、世の動きを作りは源頼朝の大殿か、大江殿か」西行は、ふっと考えている。この諧謔さが、師匠の文覚の気にいらぬのだ。「よいか、夢見殿、和が話したことは、文覚のみは内緒ぞ」「二人の秘密になるのじゃ。北条殿を助け、その世の仕組みと基準である、理ことわりを作られるのだ」「それは東大寺の重源様、栄西様のお仕事では、、」「あの東大寺の方々には、他のやり方がある。夢身殿には夢見殿の考え方と生き方が ござろうて」西行のと明恵の会話は続いた。このことは、文覚は知らない。■ 続く)20191128改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.20
コメント(0)
桜。近江八幡市・八幡掘 2016/04/09 その30SAKURA.Hanami.oumihachiman29. 近江八幡市・花見•2014/04/15hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/054•2016/04/09https://youtu.be/WqSubsgWQXg0Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/039•2016/04/10Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/034•2016/04/09Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/047•2016/04/09Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/019•2016/04/10Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/033•2016/04/10
2021.04.19
コメント(0)
桜。近江八幡市・八幡掘 2016/04/09 その2SAKURA.Hanami.oumihachiman31. 近江八幡市・花見。•2014/04/桜満開 Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市/滋賀県012•2016/04/10SAKURA.Hanami.oumihachiman68. 近江八幡 花見 八幡堀夜景•2014/04/16SAKURA.Hanami.oumihachiman. 近江八幡市・花見•2014/04/15Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市/008•2016/04/10SAKURA.Hanami.oumihachiman. 近江八幡市・花見。•2014/04/15桜満開 Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市/011•2016/04/10Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/036•2016/04/10
2021.04.19
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/58/源義経黄金伝説■第59回 1190年(建久元年) 葛城弘川寺桜吹雪の降るなか 荒法師文覚がと繰り出す八角棒を擦り抜け、文覚を 西行の拳がついている。源義経黄金伝説■第59回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1190年(建久元年) 葛城弘川寺荒法師、文覚が、次々と繰り出す八角棒を擦り抜け、文覚の体が浮いた瞬間を西行の拳がついているのだ。文覚が八角棒で次々と颶風を起こし、西行の体を狙うが、西行は風のように擦り抜けている。回りで見ている文覚の部下たちも、二人の動きの早さに驚いている。七十才の老人同志の争いとは見えぬ。ここ、河内葛城の山を背景に、桜吹雪の降るなかで、二匹の鬼が舞い踊っている。一瞬、その時がとまり、桜の花びらが、どうと上に吹きあげられる。一瞬、文覚の一撃が、西行の胸に深々ととらえた。突き刺さっている。常の西行ならば、避けられないものではない。西行の体は地に付している。文覚は西行をだきおこす。「これで、気が済まれたか、文覚殿」西行はいきたえだえに言う。「なぜじゃ、西行。なぜ、わざとおれにやられた」「ふふう、お主に対する義理立てかな。ふふう」ふと、西行のある歌が文覚の頭を掠めた。『願わくば花のしたにて春しなむその如月の望月のころ…』「くそっ、西行、いやな奴だな、お主は。最期まで格好をつけよって、自らの死に自らの歌を合わせよったか」「そうだ、しきしま道のものならば、、文覚殿、我々の時代も終わりぞ」「清盛殿、死してすでに七年か」文覚、西行、清盛は、同じ北面の武士の同僚であった。「文覚殿、最後に頼みがござる」「頼みじゃと、さては貴様、俺にその約束を守らせるために、わざと…」「義経殿の遺子、義行殿に会うことがあれば、助けてやってくれぬか」「義行をな、あいわかった」文覚は顔を朱に染めている。「ありがたい。俺はよき友を持った」西行よ、安んじて璋子たまこ様の元へ行かれよ」「おお、文覚殿、その事覚えていたくだされたか」「しらいでか」西行は、一瞬思い出している。 ●「西行殿、よく来てくだされた。この璋子たまこの最期の願を聞いてくだされ」「璋子様、最期とは何を気弱な事を」待賢門院璋子けんれいもんいんたまこが病床に横たわっている。この時代の人々は、この世のものならず美しい姫君を、竹取物語にちなんで「かぐや姫」と呼んだ。白河法皇にとってのかぐや姫は璋子だった。そして西行の悲恋の対象である。「西行殿、自分の事はよくわかります。我が入寂せし後、気がかりな事ございます。その後の事を西行殿におまかせしたいのじゃ」「お教えくだされ」西行は、やつれぐあいに、感がきわまり声がかすれる。「璋子様。」「我皇子たちのことじゃ」「、、、、」「影でささえてくだされや。璋子の最期の願じゃ」璋子は、西行の手をしっかりとつかんでいる。が弱弱しいのが、西行にはわかる。思わず、頬をつたわるものがあった。「わかりました。璋子様、我命つくるまで、お守りいたしましょう」宮廷恋愛の果て、待賢門院璋子のため、西行は、2人の皇子を守ろうとした。2人の皇子とは、19歳の折りの皇子、後の崇徳法皇と、27歳の折の皇子、後の御白河法皇である。待賢門院璋子は、鳥羽天皇の中宮であった。この親子兄弟対立相克劇が、保元平治の乱の遠因となる。 ●最期に、西行は、目を開け、文覚を見た。そして、懐から、書状を出す。「文覚殿、頼朝殿への書状だ。またワシの最期、奈良の重源殿に伝え下され」西行は目を閉じた。「く、」 文覚は膝を屈した。しばらくは動かない。やがて、面をあげすくと立ち上がった。「皆、この寺を去るのだ」「文覚殿、せめて仲間の死体を片付けさせてはくれぬか」「ならぬ、鬼一らが手の者、こちらへ向かっていよう。すぐさま、ここ弘川寺を立つのだ」「それは、無体だ」「無体だと。俺は今、友達を自らの手で殺し、嘆き悲しんでおる。味方だとて、容赦はせぬ」「文覚殿、我々を相手にされるというか」「おお、お主らが、望むならばな」「文覚殿、お主は頼朝殿のために働いていたのではないのか。それならば、最後に西行から黄金のありかを聞くべきだったのではないか。先刻の西行の最後の一言、その書状、何か意味があるのでは…」文覚は、きりりと眦を聖たちの方に向ける。「ふふう、そうだな。お主ら、義経殿が遺児のことを聞いてしまったな。やはり、ここで始末をつけねばなるまいのう」文覚は、残りの聖たちの方に、ゆっくりと八角棒を向けた。半刻後、鬼一法眼おにいちほうがんの率いる山伏の一団、結縁衆が、弘川寺の周りに集まってい た。「血の匂いがいたします」偵察の一人が言う。「遅うございましたか」山伏たちは、西行の草庵をあうちこち調べる。「襲い手たち、すべて死に耐えてこざる」数人の体や首に、桜の枝が、ふかぶかと突き刺さっている。 桜の枝が朱に染まり生々しい。「ふふ。さすがは西行殿。殺し方も風流じゃ」結縁衆のひとりがつぶやいた。「せめて西行様がこと、我らの間で語り継ぎましょうぞ」「おう、そうだ。それが我ら山伏の努めかもしれん」「それが、供養でございましょう。西行様がこと、義経様がこと」山伏たちは、草庵の後を片付け始めた。鬼一はひとりごちた。「さては、聖たちがしわざ、文覚殿か、重源殿か…」建久元年(一一九〇)二月一六日、河内国弘川寺にて西行入滅。■西行の入寂後、すぐさま、東大寺の重源は、ある命令を発した。再建中の大仏殿の裏山が、切り崩しである。その裏山に隠されていたものについては歴史は語っていない。西行と東大寺がどのような約束があったかは不明である。西行が、その最期に、文覚に託した手紙も不明である。が、頼朝はその書状を見て青ざめた。かくして、西行も歴史の中に、人々の記憶に伝説として生きる事となった。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.19
コメント(0)
Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/030•2016/04/09hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/054•2016/04/09Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/039•2016/04/10Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/032•2016/04/09Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/035•2016/04/0SAKURA.Hanami.oumihachiman24. 近江八幡市・花見。•2014/04/15Rape field.Hanami.oumihachiman. 近江八幡市・花見。菜の花畑•2014/04/15Hachimanbori-moat,Omihachiman-city shiga-ken 近江八幡市・八幡掘/020•2016/04/10SAKURA.Hanami.oumihachiman. 近江八幡市・花見•2014/04/15SAKURA.Hanami.oumihachiman68. 近江八幡 花見 八幡堀夜景•2014/04/16
2021.04.18
コメント(0)
sakura in tsuruga 敦賀の桜 000sakura tsuruga 敦賀の桜 039sakura tsuruga 敦賀の桜 039•2015/04/06sakura tsuruga 敦賀の桜20150403 041•2015/04/06sakura in tsuruga 敦賀の桜 040•2015/04/24sakura tsuruga 敦賀の桜 034/2015/04/06
2021.04.18
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/57/源義経黄金伝説■第58回 1190年(建久元年)春、桜の花の舞い落ちる時、 河内国葛城弘川寺 西行庵桜の枝を折、「準備は調いましたぞ。そこにおられる方々、出てこられよ」と西行は言う。前書き桜の枝をボきボキと折り、はなむけのように、枝を土に指し始めた。ひとわたり枝を折り、草かげの方に向かって、話しかけた。「準備は調いましたぞ。そこにおられる方々、出てこられよ。私が、西行だ。何の用かな」音もなく、十人の聖たちが、草庵の前に立ち並んでいた。源義経黄金伝説■第58回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1190年(建久元年) 河内国葛城弘川寺葛城の弘川寺に西行はいる。 背後には葛城山脈が河内から紀州に南北に広がり河内と奈良古京の道をふさいでいる。庵の文机に向かい、外の風景を見ていた西行は、いにしえの友を思い起こしていた。平泉を陰都にする企ては、昨年の源頼朝の「奥州成敗」により、ついえていた。おもむろにつぶやく。「我が目的も、源頼朝殿の手によって潰えたわ。まあ、よい。源義経殿、またその和子、源善行殿も生きておられれば、あの沙金がきっと役に立つだろう」西行は、崇徳上皇のため、平泉を陰都にしょうとした。また、奥州を仏教の平和郷であり、歌道「しきしま道」の表現の場所にしょうとした。それが、鎌倉殿、源頼朝の手で費えたのである。西行はぼんやりと裏山の方、葛城山を見つめている。季は春。ゆえに桜が満開である。「平泉の束稲山の桜も散ったか。俺の生涯という桜ものう……」桜の花びらが散り、山全体が桃色にかすみのように包まれている。「よい季節になったものだ」西行はひとりごちながら、表へ出た。何かの気配にきずいた西行は、あたりをすかしみる。「ふふつ、おいでか?」と一人ごちる。 そして、枝ぶりのよい桜の枝をボきボキと折り、はなむけのように、枝を土に指し始めた。ひとわたり枝を折り、草かげの方に向かって、話しかけた。「準備は調いましたぞ。そこにおられる方々、出てこられよ。私が、西行だ。何の用かな」音もなく、十人の聖たちが、草庵の前に立ち並んでいた。「西行殿、どうぞ、我らに、秀衡殿が黄金のありか、お教えいただきたい」「が、聖殿、残念だが俺らの道中、悪党どもに襲われ、黄金は、すべて奪い去られてしもうた」「ふつ、それは聞けませぬなあ。それに西行殿は、もう一つお宝をお持ちのはず」「もう一つの宝とな。それは」西行の顔色が青ざめた。「そうじゃな、秀衡殿が死の間際に書き残された書状。その中には奥州が隠し金山の在りかすべて記していよう」「よく、おわかりだな。が、その在りかの書状のありかを、お前様がたにお教えする訳にはいかぬよ」「だが、我らはそういう訳にもいかん」「私も、今は亡き友、奥州藤原秀衡殿との約束がござる。お身たちに、その行方を知らす訳にはいかぬでな」「西行、抜かせ」聖の一人が急に切りかかって来た。西行は、風のように避けた。唐突にその聖がどうと地面をはう。その聖の背には大きな桜の枝が1本、体を、突き抜けている。西行、修練の早業であった。「まて、西行殿を手にかけることあいならぬ」片腕の男が、前に出て来ている。「さすがは、西行殿。いや、昔の北面の武士、佐藤義清殿。お見事でござる」西行は何かにきづく。「その声は、はて、聞き覚えがある」 西行は、その聖の顔をのぞきこむ。「さよう、私のこの左腕も御坊のことを覚えてござる」「ふ、お前は太郎左か。あのおり、命を落としたと思うたが…」いささか、西行は驚いた。足利の庄御矢山の事件のおりの、伊賀黒田庄悪党の男である「危ういところを、頼朝様の手の者に助けられたのじゃ。さあ、西行殿、ここまで言えば、我々が何用できたか、わからぬはずはありますまい」「ふ、いずれにしても、頼朝殿は、東大寺へ黄金を差し出さねばのう。征夷大将軍の箔が付かぬという訳か。いずれ、大江広元殿が入れ知恵か」西行はあざ笑うように言い放った。「西行殿、そのようなことは、我らが知るところではない。はよう、黄金の場所を」「次郎左よ、黄金の書状などないわ」「何を申される。確か、我々が荷駄の後を」「ふふう、まんまと我らが手に乗ったか。黄金は義経殿とともに、いまはかの国にな」「義経殿とともに。では、あの風聞は誠であったか。さらばしかたがない。西行殿、お命ちょうだいする。これは弟、次郎左への手向けでもある」「おお、よろしかろう。この西行にとって舞台がよかろう。頃は春。桜の花びら、よう舞いおるわ。のう、太郎左殿、人の命もはかないものよ。この桜の花びらのようにな」急に春風が、葛城の山から吹きおち、荒れる。つられて桜の花片が、青い背景をうけて桃色に舞踊る。「ぬかせ」 太郎左は、満身の力を込めて、右手で薙刀を振り下ろしていた。が、目の前には、西行の姿がない。「ふふ、いかに俺が七十の齢といえど、あなどるではないぞ。昔より鍛えておる」恐るべき跳躍力である。飛び上がって剣先を避けたのだ。「皆のものかかれ、西行の息の根を止めよ」弘川寺を、恐ろしい殺戮の桜吹雪が襲った。桜の花びらには血痕が。舞い降りる。西行庵の地の上に、揺れ落ちる桜花びらは、徐々に血に染まり、朱色と桃色がいりまじり妖艶な美しさを見せている。「まてまて、やはり、お主たちには歯が立たぬのう」大男が聖たちの後ろから前へ出てくる。西行は、その荒法師の顔を見る。お互いににやりと笑う。「やはりのう、黒幕はお主、文覚殿か」「のう、西行殿。古い馴染みだ、最後の頼みだ。儂に黄金の行方、お教えくださらぬか」西行はそれに答えず、「文覚殿、お主は頼朝殿のために働いていよう。なぜだ」「まずはわしが、質問に答えてくれや。さすれば」「お前は確か後白河法皇の命を受け、頼朝様の決起を促したはず。本来ならば、後白河法皇様の闇法師のはず、それが何ゆえに」西行は不思議に思っていた。文覚は、後白河法皇の命で頼朝の決起を促したのだ。「俺はなあ、西行。頼朝様に惚れたのだ。それに東国武士の心行きにな。あの方々は新しき国を作ろうとなっておる。少なくとも京都の貴族共が、民より搾取する国ではないはずだ。逆にお主に聞く。なぜ西行よ、秀衡殿のことをそんなにまで、お主こそ、後白河法皇様のために、崇徳上皇のためにも、奥州平泉を第二の京都にするために、働いていたのではなかったのか。それに、ふん、しきしま道のためにも、、」「ワシはなあ、文覚殿。奥州、東北の人々がお主と同じように好きになったのだ。お主も知ってのとおり、平泉王国の方々は元々の日本人だ。京都王朝の支配の及ばぬところで、生きてきた方々。もし、京都と平泉という言わば二つの京都で、この国を支配すれば、もう少し国の人々が豊かに暮らせると思うたのだよ」文覚は納得した。「ふふ、貴様とおれ。いや坊主二人が、同じように惚れた男と国のために戦うのか」文覚はにやりと笑う。「それも面白いではないか、文覚殿。武士はのう、おのが信じるもののために死ぬるのだ」西行もすがすがしく笑う。「それでは、最後の試合、参るか」文覚は八角棒を構えた。西行は両手を構えている。八角棒は、かし棒のさきを鉄板で包み、表面に鉄びょうが打たれている。「西行、宋の国の秘術か」「そうよ、面白い戦いになるかのう」(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所作 ●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.18
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/56/ 源義経黄金伝説■第57回★1189年 文治5年平泉王国の焼け跡を馬で見回る二人の姿があった。 源頼朝と大江広元である。西行に渡した銀作りの猫の像を発見する。前書き 太陽の光を受けて、頼朝の眼をいる輝きが焼け跡にあった。これは…。頼朝は、その土を触ってみた。何かが土中から姿を現す。それは、猛火にも拘わらず、溶け掛けた銀作りの猫の像だった。見覚えがあった。 「大殿様、その像は…」 広元が不審な顔をしている頼朝に尋ねた。頼朝は3年前の、鎌倉での西行法師の顔と話を思い起こしていた。 「西行め、こんなところに…、やはり」 頼朝は悔しげに呟いている。 源義経黄金伝説■第57回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube ■ 1189年文治5年 平泉王国 平泉王国の焼け跡を馬で見回る二人の姿があった。源頼朝と大江広元である。 文治五年(一一九六)八月二二日、頼朝の「奥州成敗」で、実質上日本統一がなったといえる。大和朝廷の成立後も奥州は異国であり、異国であり続けた。 二人は、中尊寺のところに来ていた。この寺跡は焼け残っている。見上げる頼朝は、感動していた。「おお、広元、この平泉王国の富、さすがというべきか」「ははっ、聞きしに勝る都城でございます」 西行がいった通りだと頼朝は考えていた。平泉は仏教王国だった。 なにしろ、源頼朝は、伊豆に流されて以来、毎日毎日読経ばかりだったのである。心根に仏教教典が染み付いている。空で経文がいくらでもいえるのだ。 奥州藤原氏に対するやっかみの心が、頼朝に擡げてきた。 (こやつら奥州藤原氏にだけは、負けたくない。私が日本の統一者だからだ。私が日本一の武者の大将なのだ。それならば、私の町鎌倉にもこのような寺が必要だ。) 「このような寺を鎌倉に作るのじゃ。鎌倉が、都や平泉に劣ることあれば、われらが坂東武者、源氏の恥じぞ。この平泉におる職人共をすべて鎌倉に連れ帰り、寺を建てるのじゃ」「心得ました。この平泉にある寺の縁起、すべて書き出し、我が手に提出致しますよう命じてございます」 頼朝の願いどおり『鎌倉には、平泉の寺院を模倣した寺が建てられた』が、それは平泉には及ばない。所詮は、平泉の寺院のコピーでしかないのだ。コピーは本物をこえることはできない。 やがて、頼朝は、目下気になっていることを聞いた。「泰衡が弟、忠衡、発見できぬか」「いまだ発見できませぬ」広元は残念そうに答えた。「ええい、忠衡がおらねば、黄金の秘密一切わからぬとは」 古代東北の地、中でも気仙地方は、世界でも最大級の豊かな金鉱を有していた。今出山金山、氷上山の玉山金山、雪沢金山、馬越金山、世田米の蛭子館金山などである』 頼朝はいらついている。(この国を攻めたは、実は奥州黄金を手に入れることぞ。この国の王には黄金が必要なのだ、あの京都を凋落するのは黄金が一番なのだ)「国衡も見つからぬのか」「いまだに姿が見えませぬ」「ええい、国衡もいないとならば、奥州の金を手に入れたことにはならぬ。されば何のための奥州征伐ぞ」 怒りの目で、頼朝はあちこちを見回している。その時、何かがキラリと光り頼朝の目をいた。「あれは…」 頼朝が、小高い台地にある焼け跡に目を移した。あきらかに何ヵ月か前の焼け跡である。 二人は高館の跡まで馬を走らす。 「この場所が、義経殿が最期を遂げた場所でございます」 広元が冷静に告げていた。「義経が死に場所か……よし、少しばかり見て行くとするか」 その頼朝の目には、涙がにじんでいる。頼朝は馬を、その台地に乗り上げ、ゆっくりと馬から降りた。その場所から崖が北上川へと急に落ち込んでいて、東稲山も間近に見える。頼朝はその風景を見ながら思った。 「目の前のあの山が東稲山でございます。西行殿が愛でた桜山です」 (義経、なぜ私の言うことを聞かなんだ。俺は武士の世を作ろうとしたのだ。それを後白河法皇などという京都の天狗に操られよって…。我が兄の心根、わからなんだか。やはり母親の血は争えぬか)頼朝は母常盤の血を引いていた、やさしい、さびしげな義経の顔を思い浮かべていた。(あのばか者めが…) 太陽の光を受けて、頼朝の眼をいる輝きが焼け跡にあった。 これは…。 頼朝は、その土を触ってみた。何かが土中から姿を現す。 それは、猛火にも拘わらず、溶け掛けた銀作りの猫の像だった。見覚えがあった。 「大殿様、その像は…」 広元が不審な顔をしている頼朝に尋ねた。頼朝は3年前の、鎌倉での西行法師の顔と話を思い起こしていた。 「西行め、こんなところに…、やはり」 頼朝は悔しげに呟いている。「では、その猫の像は、あのおり西行にお渡しなされたものではございますか」「そうだ」「やはり、西行は後白河法皇様のために…」 「いや、違うだろう。西行は義経を愛していたのであろう。まるで自分の子供のようにな…」 頼朝は遠くを思いやるようにぽつり述べた。広元はその答えに首をかしげていた。 思い出したように源頼朝が告げた。「平泉中尊寺の寺領を安堵せよ」源頼朝は急に大江広元に命令を下していた。 源頼朝は信心深い性格だった。三二歳で伊豆で旗を揚げるまで、行っていたことと言えば、源氏の祖先を祭り、お経を唱えることだけだった。まさに、日々、お経しか許されていなかった。毎日十時間の勤行は、頼朝の心に清冷な一瞬を与えていた。神、仏が見えたと思う一瞬があるのだった。この一瞬、頼朝は思索家と思えるものになっていた。 頼朝は、自らの行っている幕府作りが日本の歴史上、大きな転換点になるとは考えてもいる。板東の新王、ついに平将門以上の存在になった。 源氏の長者が、何世紀にもわたって成敗できなかった奥州も我が手にした。彼の考えていたのは、武家が住みやすい世の中を作ることのみであった。 ■7 1189年文治5年京都 京都の後白河法皇御殿にも平泉落城の知らせが届く。 「頼朝、ついに平泉へ入りました」関白,藤原(九条)兼実が後白河法皇に悲しげに報告した。 「そうか、しかたがないのう。平泉を第二の京都にする計画潰えたか。残念だのう」「せっかく夢を西行に託しましたが、無駄に終わりました」「が、兼実、まだ方法はあろう」後白河は、また、にやりとする。 「と、おっしゃいますと…」 不思議そうに、兼実は問い返す。 (いやはや、この殿には…、裏には裏が、天下一の策謀家よのう。平泉を第二の京都にできなかったは残念だが、次なる方策は) 「鎌倉を第二の京都にすることだ。源氏の血が絶えさえすれば、京に願いをすることは必定。まずは頼朝を籠絡させよう。さらに頼朝が言うことを聞かぬ場合は…」後白河法皇の目は野望に潤んでいる。 「いかがなさいます」「義経が子、生きていると聞くが、誠か」「は、どうやら、西行が手筈整えましたような」 「その子を使い、頼朝を握り潰せ。また、北条の方が操りやすいやもしれぬ。兼実、よいか鬼一法眼に、朕が意を伝えるのだ」笑いながら、後白河は部屋に引き込んだ。兼実は後に残って呟く。 「恐ろしいお方だ」兼実は背筋がぞくっとした。 20131016改訂(続く)Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.17
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/55/源義経黄金伝説■第56回奥州の平泉王国第4代国王、藤原泰衡は 一瞬後、その命が吹き引き飛んで。 郎党の裏切りであっ た。 奥州黄金郷は、ここに滅んだ。 1189年(文治5年)9月3日である。前書き武家としての源氏、平家の関東制覇と奥州攻略の歴史は長い。奥州の金鉱石を狙い血みどろの争いが続いた。東国では、名高い平将門まさかどの乱の後、1028年(長元1年)平の忠常ただつねが反乱を起こした。千葉氏の祖である。追討使は源頼信。多田の満仲の子供である。多田(現兵庫県川西市)の源満仲は、源氏、武家の始まりとされ、多田銀山の銀を持って貴族に取り入り、京都王朝での立場をきづく。源義経黄金伝説■第56回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1189年文治5年7月 鎌倉「さあて、源氏の古式にならい、旗をあげる時じゃ、広元、準備おこたりないか」源頼朝が言った。大江広元は大江国房の孫である、大江国房が参謀として計画、奥州平泉に攻めいるは鉱山貴族である、源氏が100年程前から「前九年の役」からの野望であった。「源氏の血を奥州に広めねばならん」「大殿(頼朝)様、日本のすべての国に動員をかけませ。頼朝様の見方かどうか判断できましょうぞ」「ということは、源平の争いのおり、我が源氏の軍に刃向かいものどもにも、動員をかけるわけか」「さようでございます。今天下は大殿さまに傾きつつあります。誰が見方か、敵か、この動員に参加するかどうかで見事にわかりましょうぞ。これにより、大殿様の天下草創が周知徹底できましょうぞ。すなわち、源氏が武家の王であることが見事証明できましょう」「わかった。みなまでいうな。大江広元、その力をもって平泉を征服しょうぞ」■武家としての源氏、平家の関東制覇と奥州攻略の歴史は長い。奥州の金鉱石を狙い血みどろの争いが続いた。東国では、名高い平将門まさかどの乱の後、1028年(長元1年)平の忠常ただつねが反乱を起こした。千葉氏の祖である。追討使は源頼信。多田の満仲の子供である。多田(現兵庫県川西市)の源満仲は、源氏、武家の始まりとされ、多田銀山の銀を持って貴族に取り入り、京都王朝での立場をきづく。源頼義よりよしは奥州に攻め入り、前九年の役(1051年から1063年)、後三年の役 (1083年-1087年)を通じて関東平家を郎党とする事に成功した。源頼義よりよしは、板東の精兵を、奥州の乱の鎮圧に動員した。その契機は平直方なおかたの娘婿となったからである。平忠常ただつねの乱のお り、平直方なおかたは追討使となり、源頼義よりよしの騎射の見事さ に感心し、娘を嫁がした。平直方なおかたは鎌倉に別荘を持っており、源頼義は義理父からこの屋敷を譲り受ける。鎌倉は関東平氏のの勢力範囲であったが、源氏は関東地方に人の支配権を得た。源頼義の子供であり平直方なおかたの外孫である義家よしいえは、前9年の役、後3年の役でその武名を天下にとどろかせた。源義家よりの4代目が、源頼朝、源義経の兄弟である。後三年の役は1087年に 終わる。その100年後、頼朝の私戦、奥州大乱は、1189年7月に鎌倉の出発を持って始まる。源頼朝は、新しい日本歴史を作ろうとしていた。日本の統一である。■6 1189年(文治5年)9月 平泉王国 奥州王である藤原泰衡は悲しくなった。なぜ私が攻められるのだ。(約束を守ったではないか。ちゃんと頼朝が言うとおり、義経を殺し、その首を差し出したでしないか。義経を差し出せば、奥州は安堵するという約束をしたではないか。くそっ、西の人間など、やはり信頼できぬ。この戦どうしたものか。助かる手段はないものか。そうだ、ともかくも頼朝に平謝りに謝ろう。そうしなければ、親父殿、祖父殿に申し訳が立たぬ。この身、どうしても奥州仏教王国守らぬばのう。 そうだ、まだ西行がおる。あやつを捕まえ、頼朝に申し開きもうそう。そうだ、それがよい。奥州の平泉王国第4代国王、藤原泰衡は思った。一瞬後、その命が吹き引き飛んでいた。郎党、河田次郎の裏切りであっ た。奥州黄金郷は、ここに滅んだ。1189年(文治5年)9月3日の事である。(続く)●山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.17
コメント(0)
新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴス共和国に入りを抜け、ジョバ河をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。アコンカグワ地下古代都市で人類創世の神が復活した。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3341gu/23/新人類戦記第三章聖域第23回 南西アフリカのビサゴス共和国での新人類の挑戦に対し、各国政府は対策会議を、行うこととなる。新人類戦記 第三章 聖域 第23回作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)■日本 東京、帝京ホテル。 数日後。東京、帝京ホテル。 この日、このホテルは国際科学技術会議の会場として貸り切りになっていたが、それにしては泌戒が厳重であった。 日頃、めったに山梨の自宅からは外出しない翁がこのホテルの中にいた。もちろん、このホテルの影のオーナーは彼である。 ホテルの地下5F。エレベーターはここまでだが、階数表示ボタンの下に小さなキーをさし込むことができる。そのキーにより、このエレベーターはずっと沈下するのだ。階数でいえば地下18Fにあたるだろう。 上の5階分には通信回路や情報機器がセットされている。ここは一種の情報センターであった。「我々のセンターで会議を開催させていただき、恐縮いたします」日本の翁が頭を下げていた。しかし、まわりには機器のオペレーターしか人間は見当たちない 数多くのモニタースクリーンに各国の政府を代表する首脳陣がうから画と声で会議に参加しているのだ。テレビ討論会形式になっているのである。翁の心には疑惑がうづまいていた。我々日本の扱いだ。日本の情報機関である「サムライノクニ」の司令官として、準備をするように警告はだしてある。富士山樹海の「サムライノクニ」の訓練センター、世界各地の「サムライノクニ」のシークレットハウス、要員には危険信号をだしてある。「世界各国の情報機関が我々日本人を攻撃するかもしれん」と。「あいさつは抜きにしょう。翁。さっそく、本題に入るべきだろう。あの熱球がいつ消失するのかわからんからな。この会議の司会は我々のシャブロ君に任せよう。我々の政府の情報処理担当官だ。・各国の首脳諸子には申しわけないが、ここではまげて、彼に司会をまかせるようにお願いする」 アメリカ大統領が開ロー番に言った。 シャブロの顔が真中のスクリーンに現われた。やせた勇でウェリントン=タイプのメガネをかけ、ダークのB・ブラザーズの服を着ている。「皆さん、私がシャブロです。’現時点でわかっている事から判断して、各国の利害はこの際、徐外して考えていただきたい」モニターから叫び声があがっていた。「皆さん静かにしていただきたい。はっきり断言しておきましょう。我々の敵対している勢力は恐らく人間以上の存在と考えて、さしつかえないでしょう」「それはどういう意味かね」モニタの一つから声がわり込んできた。「我々を普通の人類とすれば、、彼らは明らかに超人類と叩ばれてしかるべき存在なのです。早く言えば、我々全人類の危機といってかまわないでしょう・」 ジャプロはここで息をつき、騒ぎが収まるのを待った。 「まず、ビサゴスについてふりかえってみましょう」 モニターのTつ把ビデゴスの地図が映し出された。「ピザゴスにはこの熱球の発生する以前に、T個の小型原爆が爆発し、第2都市ウルラ市が消滅しています。これは情報にしよれば、解放戦線側が、ビデゴスの正規政府であったポグラ政府のラオメ大統領を倒せと民衆をあおるための一手段であったらしい。ラオメ大統領を倒さなければ、首都ポグラも消滅させると発表したようだ」「残念ながら、その二個の原爆は、我々がクリスチャン号にのせて、ポグラ政府へ売りつけようとしていたものです。途中で解放戦線に奪取されたのです。もちろん、我々はいくつかの安全処置は施していたのですが」 フランス情報局(DIT)の局長が述べた。「それにヒントになる一つの事実があります。ソルボンヌ大学へ留学していたピデゴス人学 一生のニエレレという男が、その一週間前に失踪している・のです。もちろん、彼の専攻は核物理学でした」「しかし、我々の安全処置は絶対安全だったのです」日本の翁はくり返した。 ソ連KGB議長が発言した。「この世の中に絶対安全という言葉はない。我々には超能力戦士隊がいた。つまり読心術他の超能力を持っていたのだよ、翁。わかるかね、この意味が」 イギリス情報局(SIS)の局長が発言した。 「超能力戦士に関して、ポートモレスビー港における爆発炎上事件についてアメリカ、ソ連両国から正確な説明をしていただきたい。ソ連商船ノプゴロドプ号があの事件のあと、我々の静止もきかずに出航し、ジョバ川からピデゴス共和国ヘ向かったはずだが」 ポートモレスビーはイギリス領である。それゆえ彼はポートモレスビー港炎上事件の説明を求めたのであった。 CIA長官がしぶしぷ口を開いた。「残念だが、我々CIAの完全な敗北だったのだ。我々はノプゴロドフ号がピデゴスに送られる超能力戦士隊が乗っていると察知していたのだ。夜間、エアゾール爆弾による攻乖が失敗に終り、この惨事となったのだ」ソビエトKGB議長があとをとった。「あの時点では我々ソ連の勝利を確信していた。あの原爆によりソビエト勢力圏とする効算は大だったのだ」「ところで君の国の超能力戦士部主任、ジュチェフキン大尉はどうなったのだね」 それまで。口を閉ざしていたアメリカのカイザー陸将が尋ねた。カイザー陸将はアメリカの超能力戦士部隊の創設者であった。「超能力戦士と共に行途不明だ。それよりカイザー少将、あなたの国アメリカ第一師団はどうなったのかね。アコンカグワ山ヘ向かっていたはずだったが」 ソ連KGB議長が問い返した。「我々の部隊も不明なのだ」 シャブロは口をはさんだ。お互いの非難がでないうちに、先へ話を進めたかったのだ。「君、あれを映してくれたまえ」 スクリーンのオペレーターにシャブロは言った。 熱球になる前のピザゴスの地形図が中央のモニターに映しだされたままだったが、次に熱球に包まれる寸前のピサゴスの赤外線写真が映しだされた。「これは一体」「シャブロ君、これはどういう事だね」 各所で声があがっていた。 写真で見るとビサゴス共和国北東部山地周辺が別の色を示していた。「スヘクトル分折の結果、この部分、すなわちアコン=カグワ山が生物体であるとしか考えられません」「何だと生物体だと」「我々の想像を越えた何かがこの山を構成していたとしか考えようがないのです」「そういえば、確か、我々の第一コマンドの輸送機が墜された時も、アコン=カグワが発光した」 カイザー陸将が口を添えた。「デューク島井が率いる第一コマンドは、ベトナム戦当時。初期の超能力戦士コマンドであった東郷竜とベトナム人ジウを抹殺するためにその国へ向かったのだ」。 カイザー陸将は説明を加えた。アンドレポフKGB議長も発言した。「竜とジウに我々の超能力戦士であったベトナム人のルンも合流したようだ。我々の超能力戦士の一人が透視していたのだ」シャブロは結論を出した。「極めて少ない情報から独断すれば、あの山アコン=カグワがこの白球状態をおこし、ピサゴス共和国を被っているとしか考えられません」「どうでしょう、一度、アメリカ政府の最新兵器、荷電粒子砲をあの白球内に射ち込んでみては」 イギリスSISの局長が述べた。「また、アメリカは前の失敗をくりかえすことになるのではないかね」 アメリカの方を見て、ソ連側が笑いでうまった。彼らソビエト側はアメリカが最新兵器、荷電粒子砲でメコン川で竜とジウの乗つていたサンパン(はしけ)をねらい、失敗した事実を知っているのだ。 その時、デ-夕通信のキーが急に鳴り始めた。重大なニュースらしい。1人の通信オーぺレーターが情報をデメスプレイした。シャブロがややあわてた感じでしゃべった。「皆さん、事態は進展し始めたようです。ピサゴスの白熱球が、10分前に消滅した事が確認されました」新人類戦記 第三章 聖域 第23回作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)
2021.04.15
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/54/源義経黄金伝説■第55回★1189年(文治五年)津軽平野を横切る岩木川の河口に十三湖と呼ばれる唐船も出入りする港がある。藤原秀衡その弟秀栄の勢力圏でもある。義経と吉次が目指している。源義経黄金伝説■第55回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1189年(文治五年) 十三湊とさみなと 津軽平野を横切る岩木川の河口に十三湖と呼ばれる海水湖がある。現在は狭い水戸口で日本海と結ばれているが、昔は広大な潟湖であった。 義経と吉次が目指していた十三湊とさみなとがここである。 藤原秀衡、その弟秀栄の勢力圏である。この十三湊を中心に蝦夷地、中国大陸との貿易を行い、繁栄していた。この湊から貿易された蝦夷や、黒龍江など、異民族の産品は、京都に送られ、公家たちを 喜ばせていた。 夷船、京船など各国の船が商売を求めてこの港をおとづれている。その船どまりに、吉次の船は停泊している。船を外海用の船にさし変えて出かける。食糧、水を積み込むためである。「吉次よ…」と義経は吉次に呼びかけていた。牛若の頃を思い出している。「そうだ、あの源空はどうしていよう。今の私の姿を見たらどういうだろう」源空はすでに法然として宗教活動にとりくんでいる。後白河法皇も帰依しているのだ。(無駄な殺生はおやめなされと今でもいうかな。だがすでに私の手はもう汚れている、平家の若武者の屍をいくたり気づいてきたことか。日本全国に死体の山を気づいていた。兄じゃのために、その私が兄者のために、この日本を追われるのだ)今はもう若き頃、思い出だ。「京都の鞍馬山、よう冷えたな」「はっ、殿。京と鞍馬山よりも奥州平泉の方が寒いのではありませぬか」 吉次は、義経の質問の意味をうまく理解できずに答えていた。「いや、吉次。人の心じゃ。京の人の心は冷たすぎる。あの都市の地形によるものなのか」「殿、これからゆかれる蝦夷はもっと寒うございますぞ。雪も深うございます」「そこに住む人の心が暖かければよいが…」少しばかり義経は考えていた。「ところで吉次。静は健やかだろううか」「心配なされますな。後ろ盾には西行様がついておられます」「が、西行様もお年じゃ」「ようございますか、義経様。義経様が今日あるは、西行様の深慮遠謀のお陰。すべて考えられる手は打っておられます」 義経は、目の前に広がる寒々とした日本海の海面を見つめ、寂しそうにして言った。「そうであろうな、無論。が、吉次殿、お前はなんで私を逃がす手助けをした。なぜ心変わりした」「吉次は商人。利で動きますぞ」吉次は僅かに笑ったようだった。「利か。私と一緒にいて、お主に何の利益がでるか」「ふふう、それはこれからの義経様の動き次第。よろしいか、義経様。十三湊の先は宋国そして、あの金でございます。また新しい国が誕生するとの噂も聞いております。その時に義経様に助けていただきましょう。藤原秀衡様の祖父、清衡様は、昔から黒龍河を逆上っておられます。その河の沿岸には、商品が数多くございましょう」「それに吉次、俺は蝦夷の地図を持っておるからな」「そう、それでございます。それは言わば宝の地図。いろんな商材がありましょう」 吉次は遠くを思いやるような眼をした。「もう一度、夢を追ってみるか」吉次は思った。 (奥州藤原秀衡様のお陰で一財をなした。が、その秀衡様も今はない。これからの日の本は、源頼朝殿の世の中になる。が、そのうち外国で一儲けも二儲けもしてみよう。商人吉次の心には、もう日本の事は映っていないかもしれない。出雲、備前、播州、大坂渡辺、京都平泉第、多賀城、平泉、、。あちこちを移り住み、商売をした。平の清盛と共に奥州の金をつかい、福原で宋の商人と貿易もした。日本全国に吉次事の手配の者が散らばり商売を行っている、主人であるこの儂がいなくても、商人の砦としての吉次王国は揺るぎもしまい。儂の後輩が跡を継いでくれよう。日本全国に儂のような商人が増え、日本の商売が繁栄し、日本が繁栄するだ)吉次はそれを、望んだ。(日本が平和であればよい、すでに頼朝殿により、日本は統一されるだろう)もの思う吉次、義経二人の前に、唐船が、突然現れて、義経らの船腹に急激に力任せにあたっていた。衝撃が走る。 「む、この唐船は、、何用」 「何奴?」船から竿がのび義経の船へ。その船へ飛び乗ってきた僧衣の聖たちが、突然、義経を圧し囲んでいた。「義経様、お命ちょうだいいたす」聖たちが叫んだ。「待て、お主ら、誰の手の者だ」「我らか。我らは文覚様が手の者だ」「何!文覚」「今はもう頼朝様が世の中。義経様のこの世での役割、もう終わられたぞ。消えていただきたい」「まてまて、お主ら、文覚殿にお伝えあれ。この義経は兄上と張り合う、そのような望などない。もう私、義経は日の本にはおらぬ。遠い国へ行くのだ。日の本のことなど預かりしらぬこと」「それが俺らは合点が行かぬ。いつ帰って来られるかわからぬ。それは頼朝様が世を危うくする」 聖たちは、八角棒を構え、殺意をあらわにしている。義経はしかたなく刀を引き抜いている。いにしえの征夷大将軍、坂上田村麿呂将軍ゆかりの刀である。飛びかかる男を二人切り放った。船上で、殺戮が始まろうとした。「まて、皆、やめよ」戦船の長らしい男が、船からわたって来て、義経に対峙していた。「義経様と存じ上げます、我らも無駄な殺生はしたくはございません。文覚様からの伝言をお聞きいただきたい」「何、文覚殿の…、申してみよ」「もし、坂上田村麿呂将軍ゆかりの太刀をお返しくださるならば、我々手を引くように言われております。我らが目的はその太刀でございます」「なに、この大刀を…」「さようでございます。その太刀は征夷大将軍の太刀、大殿様にとっては征夷将軍という位、大切なものでございます。また皇家にあっては、その太刀が外国に渡ること、誠に困難をを生ぜしめます、なぜなら皇家にとって、その刀は蝦夷征服をして統一を果たした日本国を意味する大事な刀でございます」吉次が言った。「義経殿、よいではないか。お返しなされい。そんな太刀など、どうでも良いではございませぬか」「何を言う、吉次。お前も知っておろう。この太刀、我が十六歳のおり、鞍馬から盗みだし、ずっと暮らしを共にしてきた刀じゃ。そう、やすやすと…」船長ふなおさが、続けて言う。「では、こういたしましょうか。約束をもうひとつ。もし、その太刀をお返しくださるならば、決して義経様が和子、義行よしゆき様を襲いはしないとお約束いたしましょう」「我が和子をか。くそ、文覚め」「が、殿、このあたりが取引の決め所かと」吉次が告げる。「この商売人めが。むっ」しばらく、義経は考える。「よい、わかった。この太刀、お返しいたそう。が、必ず、我が和子、義行がこと、安全をはかってくれ」 義経の太刀は、頭らしい男の手に渡った。やがて船と船とを繋いでた桁が外されている。「では、義経殿。よき航海を、いや、失礼いたしました。これから先の事。我々の預かり知らぬ方。我々は義経殿には合ってはおりませぬ。ただ、海の中から、伝来の行方知らずの太刀を、拾いあげただけの事」 両船は、少しずつ、離れて行く。「が、義行のこと、必ず約束を…」義経は船にむかい叫んだ。「わかり申した。文覚様にそう告げます」「大丈夫でしょうか」吉次が疑問を投げる。「まあ、西行殿、鬼一殿、生きておわす間はな、大丈夫であろうよ」義経は、遠くをみながら言った。(続く)●山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.15
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/53/源義経黄金伝説■第54回文治五年(一一八九)六月一三日。 「九郎義経殿の首、届きましてございます」大江広元が、源頼朝に告げていた。源義経黄金伝説■第54回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■文治五年(1189)鎌倉文治五年(一一八九)六月一三日。「九郎義経殿の首、届きましてございます」大江広元が、源頼朝に告げていた。「何、義経の…」「いかがいたしましょう。御館様直々に」「いや、止めておこう。顔を見知りおく軍監、梶原景時と、和田義盛に行かせるのだ」これが義経が首か。塩漬けにされた首が、漆箱から出された。梶原景時は思った。何とこやつは不思議な奴よ。数々の新しい戦い方を考えつきながら、言うこと、話すこと、考えることは、まるで童子のような奴であった。義経の首は、塩漬けにされていた。奇麗に彫金された漆の箱から取り出される。されど、泰衡も可哀想な奴よ。自らの首を絞めよったわ。頼朝様が自分の弟をこのような目に合わした奥州藤原氏を許す訳がない。なんと政治的見解のない男よのう。所詮は奥州の田舎者。祖父、父よりはずーっと人間が下がりおる。梶原は思った。頼朝様の怖さを知らぬ。あの方は自分の思いどおりに動かぬ者、あるいは頼朝様の思いを読み取れぬ者を非常に嫌われるのだ。が、それに義経に対する兄弟愛を泰衡は気づかなんだか。義経を捕縛して、頼朝殿に差し出せば何とかなったかもしれんな。いや、まてよ、やはりだめか。頼朝様が欲しいのは、奥州は金の打出の小槌よ。頼朝様が言えば言うだけの金が送り込まれて来るわ。これからの戦略を梶原は思った。源頼朝は忙しげにあちこち歩き回っていた。頼朝は自分で命令しておきながら、義経の首は見たくなかった。「どうであった」不安げに頼朝は、大江広元に尋ねた。「梶原曰く、確かに義経様の首であったということです」「むう、泰衡め。我が弟を殺しおったか。早速、奥州を打つ。我が弟が敵だゃ」 頼朝は、急に怒り出した。その怒りの激しさに、広元は驚いている。なぜだ。ご自分が命令なさったくせに。この殿は、京の女子のようなところがあるな。 「院宣はいかがいたします」「そのようなもの、必要あるまい。この頼朝の弟を殺したは許しがたい。奥州藤原 氏め、余が総指揮をとって攻め滅ぼそうぞ」 頼朝は甲高い声で、上ずって、まるで常軌を逸してに命令してい た。「御意。いよいよ日本は、頼朝様のもとに」「大江広元よ。日本よりも、俺は義経を殺した藤原泰衡めが憎いのじゃ。父、藤原秀衡があれほどかわいがっておった義経を、自分が王国支配したいがゆえに、 殺してしまいおった藤原泰衡めがのう」「はあ…」広元は急に気が抜ける気がする。一体、何を考えておられるのじゃ。が、まあよい。今は奥州藤原氏を滅ぼせばよいのだ。大江広元と、源頼朝は、しばし無言でみつめあう。頼朝は、急に昔にした義経との会話を思い起こした。「兄上、父上は兄上に似ておられますか」 頼朝は、急に義経にこう聞かれたのだ。「なんだ、こいつは…」 義経は真剣な眼差しで頼朝をじっと見つめている。「こやつは子供か」と頼朝は思った。義経は、父のことを覚えていないのだ。一二歳の時まで父親と一緒に戦い、無念にも負けた頼朝とは違う。父親の愛情を受けたこともなく、父の記憶もまったくないのだろう。義経の心のどこかに、父を思う気持ちが常にあるのだ。と、人間観察にかけては優れている頼朝は思った。このような純粋な心を持っている奴は、かえって危ない。思い込んだらそれこそ命懸けだと、頼朝は義経の心の純粋さを羨み、そして義経を憎んだ。一方、大江広元は、鎌倉へ来られよという書状を受け取った日のことを思い起こしていた。貧乏貴族である大江広元は、昇殿を許されていない。つまり、帝にお会いすることなど、かなわぬのだ。しかしながら、幼少のころから蓄積された学問が、広元の自意識を肥大させていた。私は大江の家のものだ。自分ほどの者が、なぜ重用されぬのか。藤原の阿呆どもが、どんどん出世し、なぜこの俺が、このような貧乏ぐらしをしなければならぬのか。鬱屈した意識が、一層勉学に打ち込ませていた。そんなある日、源頼朝の元にいる知人から、ぜひとも鎌倉へという手紙を受け取のだ。新たな天地、板東の鎌倉!。新世界。広元は迷った。鎌倉などは町ではない。この当時、日本で都市といえたのは京都、そしてかろうじて南都奈良。そして奥州藤原の平泉。それ以外は泥臭い田舎である。教養人など、一人もいないのだ。 広元は文化の香りが好きだった。知的な会話を欲していたのだ。その知識人のいない鎌倉へなど。しかし、源義経の存在が、広元の意を決しさせた。それは暑い日だった。その日、木曽将軍を滅ぼした義経の軍勢は、都大路を行軍していた。京の民は、「ほう、あれが義経か」と物見高く、都大路に並び、一目有名な義経を見ようとざわめいていた。義経は武巧一の武者であり、そしていわばアイドル スターだったのだ。大江広元は興味にかられ、庶民の間に入って、義経の軍勢を眺めていた。「うっつ」広元は、衝撃を受け、急に道ばたに倒れていた。何かが広元の額に当たり、一瞬気を失い、倒れたのだ。やがて、気がつくと、額が割れじっとりと血がにじんでいる。「くそっ、一体」「だいじょうぶかい、お公家さま」見知らぬ庶民が、不安げに広元に声をかけている。「一体、私はどうしたのだ」 思わず、ひとりごちていた。「お前さん、気付かなかったのかい。義経さまの馬が撥ねた石が、お前さんの頭に当たったのさ」額に手をあてる、じっとりと血がにじんでいる。「何…、今、源義経殿は…」怒りの勢いに、その庶民の男はのけぞり指さす。「ほら、あそこさ」大江広元は勢いこんで人込みをかき分け、源義経の顔を覚えておこうとした。「おのれ、源義経、覚えておけ」相手は凱旋将軍。何も覚えてはいまい。俺は単なる路傍の石。が、今に見ておれ。何かが広元の中ではじけていた。俺は、俺の知識で新しい国の形を作ってやる。源家が武威で国を治めるならば、わが家、大江の家は知識で新しい政治の形を。急にそんな思いが、広元の心を一杯にした。思いもかけぬ考えだった。そんなことを、今の今まで考えてもみなかった。この日、しかし、民衆の羨望の目を浴びながら、にこやかに、すこやかに、何の苦労も知らぬげに、都大路をゆったりと後白河法皇の元へ向かう源義経に、大江広元は、どす黒い怒りを覚えた。続く)●山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.14
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/52/源義経黄金伝説■第53回平泉での源義経自刀の知らせは、京都の後白河法皇のもとに。法皇はこれからの策を藤原(九条)兼実と話し合う。源義経黄金伝説■第53回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 1189年(文治五年) 平泉ちかく北上川の川縁にいる西行が、小船を用意している吉次の方に向って言った。「さて、吉次殿。義経殿の逃げ先、よろしくお願いいたします」「わかりました。すべておまかせを。して静殿は、いかがいたします」「吉次殿、この手配りは、静殿には話していない。供を付けて京都に帰っていただくか」「わたしもそのほうがよいと考えます……」吉次も首肯した。静は気を失って倒れている、遠くやけくすぶる高殿、義経屋敷跡の煙が巻きあがっている…。 二日後、北上川の船上に、ゆったりとすわっている義経がいた。 吉次が姿を見せる。気付いた義経が話しかける。「のう、吉次殿、十五年前もお主の船で、だったな」「さようでございますなあ。なつかしい限りでござます」 吉次は、遠くを見透かすような目をする。「あの折りは、ものもわからぬまま、お主に連れられ、摂津大浦(尼崎)から多賀城まで一航海じゃった。が、あの頃の俺は、意気に燃えておった」「何をおっしゃいます、義経様。これから、まだまだでございます。これからの行き先、蝦夷には、新天地が待っていましょうぞ」義経にとって平泉は新世界であったが、まだ、その先の新世界へ行こうというのだ。「吉次殿、お前もあの頃に比べると、偉くおなりだな」「あの仕事で、私に運が開けました。お陰様であの縁で、藤原秀衡様にかわいがっていただき、このような身代が築けました」「ああ、そうか、すべては西行法師殿のお陰だなあ」「さようです。西行様のお陰でございます」「残念ながら、私は西行殿の役には立てなんだ」 義経はすこし寂しそうな顔をした。「西行様の思いとは…」「あの平泉を、第二の京都、陰都とするとする事だ。そして崇徳上皇をお祭りする事だ。平泉王国を、北のそなえとして仏教王国として、平和郷を作ることだった。その将軍が私だ。また、主上を、平泉お招きするという案だ。この企みは、後白河法皇も気に入っておられたのだ」「仏教の平和郷ですか。もう、それもこの日本にはございますまい。すべては鎌倉殿の思いのままになりましょう」「藤原泰衡殿が、兄上頼朝殿と何とかうまくやってくれればよいが」「それは、やはり、むつかしゅうございましょう」吉次は冷たく突き放した。北上川の水面も寒々と、月光をあびて澄み渡っている。■「なに、義経、自刀したとな」京都の後白河法皇がうめいた。「今、多賀城国府より知らせが入りました」藤原(九条)兼実が答えた。「しかたがないのう。後は頼朝が動き注意せねばなあ。ところで、義経が家来、皆、討ち死にいたしたか」後白河が、兼実に不安げに尋ねた。 後白河の顔色を見て、藤原兼実が意地悪く尋ねる。「院がお気になさっているのは、弁慶の事でございましょう」兼実は、うれしげに返事を待っていた。「そうだ、あやつは朕が手先。が、途中で義経に寝返ってしまいよった。せっかく熊野の山で見つけた、朕がための闇法師だったのだが」「さようでございましたな。院が熊野へ参拝なさったのも、もう三十回になりましょうかや」「そうなのだ。弁慶は十度目の熊野参拝の折り、朕が、眼につけたのだ」後白河はそのおりを思い返すように言った。 この時期、蟻の熊野詣といわれるくらいに、熊野詣は流行っていた。我も我もと、皇族や貴族が和歌山の熊野に詣でるのである。京都から淀川をくだり、渡辺津から泉州をぬけて…熊野は旧き日本の時から、1つの王国勢力であり無視できぬ。それゆえ、特別の配慮が行われている。熊野三社は伊勢神宮と同格とされている。大和朝廷統一以前の勢力がいまでも残滓として残っている。山伏もこの地域を勢力範囲とした。当時の海の交通には熊野の海商が、海の侍が大きな役割を果たしている。熊野三社の供御人(くごにんー神社に属する人間)が、遠く奥州まで船を運んでにぎわっている。熊野、伊勢の回船や船人をいかに把握するかが、この時期の日本の支配者には是非とも必要であった、山伏もまた、この時期の日本にひとつの勢力である、が、源頼朝と大江広元は、日本全国に守護地頭という制度をつくり、板東のご家人を送り込む事により統一しょうとした。 十度目かの後白河法皇の熊野巡幸。その折りに山法師が後白河法皇の宿所に願を願っていた。「殿下、弁慶とか申す山法師、ぜひともお目にかかりたいと申しております」「どんな奴じゃ」「いや、それは化け物のような…」「化け物のようじゃと、おもしろい」「朕が会ってみようかのう」「お止めください。危のうございます」その返事の前に、向こうで騒ぎが興り、何かが法皇の前に飛び出して来ていた。雑色を振り切り、弁慶が雑色たちの人垣を跳躍して来たのである。恐るべき膂力であった。「私が、その化け物の弁慶でございます」 悪びれずに、その大男は言う。後白河は思わずたじろいでいたが、「くはは、お主が弁慶か。ふふふ、おもしろい奴よのう」 が、一瞬、後白河は、弁慶の顔に何かを見たようだった。「いかがなされました、法皇様」「いや、何でもないのじゃ。汗が目に入ってのう」後白河は顔をつるりとなでた。「それでは、私の考え、お聞きください」 護衛の武士が追いついて来た。「恐れ多いぞ、何者ぞ。主上の前なるぞ。いかがいたした」「よいよい、しゃべらせてやれ」「よろしゅうございますか。法皇様、この世の中は、断じて間違ごうてございます」「何をぬかす」「よいよい、しゃべらせてやれ」」「平家がごとき世の中を支配するとは、必ず法皇様、天を御所に取り戻してくださいませ。これらは我らが願いにございます」「我らじゃと、我らとは誰じゃ」「我々、山法師でございます」「ほほう、気にいったぞ。ふふふ、お主の心根、面構え、名は何と申す」「はっ、武蔵坊弁慶と申します」「弁慶とやら、朕の闇法師を申し付けるぞ」 ちらりと後白河は笑ったように見えた。が、弁慶は「ありがたき幸せ」 と深々と頭を下げているので、その表情が見えない。「して、お主の母、ご鶴女殿は息災か」「法皇さま、わたしの母親の名前をなぜご存じですか…」「うむ、昔あったことがな、あるのだ」(続く)●山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.13
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/51/源義経黄金伝説■第52回 文治五年(1189)4月30日 奥州、藤原泰衡は、揃う武者共に義経殿を高館を襲えと命令を下した。源義経黄金伝説■第52回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■「もはや、これまでだ。義経殿を高館を襲え」 文治五年(1189)4月30日 奥州、藤原泰衡は、目の前に揃う武者に命令を下していた。激情で目の前が真っ赤になっているのだ。奥州藤原の武者たち500騎は「おう」と鬨の声を上げる。藤原秀衡がなくなりまだ、2年とたたない。泰衡は平泉で兄弟や部下の粛正をつくかえしている。自分の命令を聞かない部下や弟を亡き者にしていた。その滅亡へ、自ら進んでいるのだ。武者は、義経がいる高館を目指して駆け寄ってくる。高館の物見がきずく。高館に火矢が打ち込まれる。泰衡の軍勢は、半刻後、高館を取り囲んでいた。逃れる道はない。高館へのすべての道は兵で塞がれている。「高館が、燃え上がっております」 燃え上がる高館近く、北上川の対岸で、西行と静が二人していた。「くそ、まにあわかたか。静殿、残念だ」「静殿、義経殿にあのこと伝えてられよ。聞こえるかも知れぬ」西行は静を促した。「殿、和子は生きておわす」遠くから、静は義経に呼びかける。聞こえているのかいないのか義経の姿は望見できない。「殿、わ、和子は…大江広元様のご慈悲で生きておわす。和子の命、お守りくださると約定いただきました。これは政子様も、ご承知になられております」義経の姿が見えたような気がした。静の姿にゆっくりうなずき、炎の中に入って行った。 火の手が高館すべてにまわっている。 外から呆然と見上げる西行と静。「さあ、もうよかろうぞ」「義経さま……」静は、高殿の方へ声を限りに叫んでいる。高館の中、「もはや、これまでか」義経はうめいている。「義経様、どうぞ、ご準備のほうを」 東大寺闇法師、十蔵が、義経そっくりの顔で言う。十蔵は西行の命令で、この地にいるのだ。「十蔵、私だけが助かる訳にはいかん。私を信じてついてきてくれた郎党たちも、助けてくれ」「義経様、それは無理というもの」 義経の回りには、弁慶始め郎党たちが、取り囲んでいる。皆、覚悟を決めているのだ。「どうぞ義経様、お逃げくだされ。我々はここで討ち死にし申す」弁慶が涙ながらに言う。「そうです。それが日の本のため」他の郎党も続けた。「どうか頼朝殿への無念をはらされよ」「弁慶、自分だけいい子になるなよ」「よろしいですか。義経様は我々の宝。いえ、この日本の黄金じゃ、どうか生き延びてくだされ」「武者は戦場で死ぬものでございます。我々、義経様のために死ぬこと、恐れませぬ。むしろ誇りに思います」「我々は、平氏との、幾たりかの、戦いを、楽しませていただきました」「武勇こそ武士の誇り]「義経様…」「俺は良き友を持った」義経のほおを、滂沱の涙がしたたりおちている。義経は、その涙を拭おうともしない。「友ですと。我々郎党をそのように…」 義経の郎党、全員が義経をとりかこみ泣いている。皆、胸に込み上げて来るものがあるのだ。 弁慶は思った。これは愛かもしれんな。衆道ではない。仏門で、衆道は当たり前だが、俺の義経様への思いは、やはり愛だろう。そうでなければ、もともと俺は後白河上皇様の闇法師だ。鎌倉殿の情報を取り入れがために、義経様に近づいた。 弁慶は不思議に思った。そして時折、後白河法皇の憂鬱げな顔を思い出していた。弁慶を見る法皇のまなざしには何かがあった。家族愛、不思議な感覚であった。弁慶は、また、一個の後白河法皇の闇法師、いわば法皇の捨てゴマだった、その男に対し法皇のまなざしは何かを告げようとしていた。法皇は、今でもまだ、白拍子を呼んで、今様いまようを口ずさんでおられるのだろうか。弁慶は遠く、京都にいる法皇を思った。「泣いている暇など、ございません。早くお逃げくだされい」東大寺闇法師、十蔵が促す。感傷に冷や水をかける。「何じゃと、人間の感情がわからぬ奴だのう、お主は」 弁慶が涙で目を一杯にしながら、十蔵にけちをつける。「弁慶殿、俺らが東大寺闇法師の命は、目的のために捨てるのが定法。今がその時。一刻も猶予はならんのだ」「十蔵殿…」 義経が十蔵の肩に手を乗せた。「済まぬ。私がごときのためにのう。おぬしの命を捨ててくれるのか」「何をおっしゃいます。奴輩は、炎の中で死ぬが本望。先に東大寺での戦で、多くの部下を殺しておりまする。また目的に死ぬこと、東大寺の闇法師として恐れはいたしませぬ」「すまぬ。許せ。皆、さらばだ」 義経は、高殿地下につくられた坑道から消える。十蔵が支度し、施工した坑道であった。「東大寺勧進職である、重源殿の絵図、役に立ったな」弁慶がひとりごちた。 やがて平泉、北上川を見下ろす、北政庁北西の小高い丘にある高館に、藤原泰衡の軍勢がわれさきになだれこんできた。「お主ら、ここから先は地獄ぞ。わしが閻魔大王ぞ」弁慶が叫ぶ。 その弁慶めがけ、数十本の矢が打ち込まれていた。 弁慶は一瞬、たじろぐが、再びからだを動かし「ぐっ、これは、これは、泰衡殿の武者もなかなかのもの、決して平家の武者どもにひけはとらねのう」矢羽を片手つかみで、みづからの体から、引き抜きながら、弁慶は泰衡の兵に打ちかかっていく。「こやつは化け物か」泰衡の兵共がその生命力に驚いている。西行と静は、まだ対岸にいた。静は、うなだれている。「静殿、さあ、今上の別れだ。一節、薄墨の笛を吹いてくださらぬか」「西行様、酷なことをおっしゃいます。それに果たして、義経様に聞こえるかどうか」「何をいわれる。静殿の義経殿への愛の証し、ここで遂げられよ。義経殿の冥途への旅に、趣向をなされ。それが、静殿のお持ちの源氏ゆかりの薄墨の笛だ」 西行は文人、しきしま道の主導者であった。この殺戮の場においても、文学者的な演出を試みる。それが、静には奇妙に思われる。この方西行様は何をお思いなのかか。「薄墨の笛」これは代々源氏の長者に受け継がれる、鋭い音色の出る笛、竜笛である。昔から、中国では竜の声として言われているのである。 静は、この笛を、吉野で義経と別れた時にもらっている。太郎左たちに襲われたときも肌身離さず持ち歩いていたのである。「よいか、静殿、最後の別れ。一節吹かれよ」西行は、静に命令している。「西行様は、酷なことを、、」「静殿、義経殿への想いを、この場でされよ…、義経殿とは、もう二度とはこの世の中で会えぬ。別れを惜しまれよ」 静は、涙ながら笛を手にした。 高館の火の手は、一層燃え上がっている。 炎を背景に、笛を吹く静の姿は、妖艶であった。静の目の色は、今や狂人のそれである。悲しい音色が、いくさ場の中で、旋律を響かせている。『十蔵殿、頼んだぞ。このあいだに義経殿は、お逃げくだされい』 西行は心の中で叫んでいた。静には義経が逃げる事は教えていない。時間稼ぎの目くらましに、静を使おうとしていた。「ああ、義経様」演奏の途中で、静は崩れ落ちる。秘笛は川原にころがりおつる。 西行は、静を抱き起こし姿を消そうとした。藤原泰衡の軍勢が、北上川対岸にいる、西行と静に気づき、こちらにむかってきたからである。東大寺闇法師、十蔵は、高殿の炎の中、僧兵の雄叫びを聞いたような気がした。ここが死に場所。平泉、高館。そして義経殿の身代わり。何とよい死に場所を、仏は与えてくれたものか。東大寺の大仏を焼いてしもうた心残り、部下の僧兵たちを助けられなかった責は、これで少しは心がやすんじられよう。悪僧(僧兵)の頃に、心は戻っていた。紅蓮の炎を見ながら、十蔵は思った。心は、その時に舞い戻っている。奈良猿沢の池のまわりに、僧兵の首のない死体がごろごろ転がり、地面を流れた血糊が、地を、どす赤黒く染めあげている。東大寺、興福寺の伽藍の燃え上がる紅蓮の炎は、火の粉を散らせる。死体をくすぶらせる煙が舞っている。えもいわれぬ臭みが、辺りを覆っていた。空は昼というのに、炎のため浅黒く染まって見える。あちこちの地面に差し込まれた棒杭の先には、平家の郎党に仕置きされた僧兵の首がずらりと無念の形相を露にしていた。ここが死に場所、熱さが十蔵の意識をおそう。紅蓮の炎が重蔵の体をなめ尽くした。東大寺闇法師、十蔵の体は、義経として滅びた。(続く)●山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.12
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと源義経黄金伝説■第51回奥州平泉、高館屋敷の義経に、異形の者,。東大寺闇法師、十蔵が西行様からの書状を携えて現れる源義経黄金伝説■第51回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 奥州平泉、高館屋敷で寝ている義経の枕元に、異形の者が現れていた。義経は、気付いて起き上がり、とっさに刀を構える。「何者だ」「さすがでございますな。義経様、お静かに願います。私は東大寺闇法師、十蔵にございます。ここに西行様からの書状を携えてございます」十蔵は書状を差し出している。「なに、西行殿の…。おう。お主は十蔵どのだな」義経は、先年にあった十蔵の事を思い出し、書状をあらためる。「西行様に、秀衡様からの密書届いております」「秀衡様の密書、何ゆえに西行殿の手に」「秀衡様のお子様たちのことを考えてのことでございましょう。西行様と京の後白河法皇様。すでにご相談なさっておいでです」「して、何と」「義経様、この平泉で死んでいただきましょう」十蔵は冷たく言い放った。「何を申す」義経は驚いている。「よろしゅうございますか。鎌倉に、静様の和子様、生きておられます」 加えて、驚くべきことを、十蔵はさりげなく言う。「なに……、それは誠か。して男の子か」 義経の驚きは、喜びに変わっている。「はい、さようにございます。今は大江広元様が手の者が、育てております。また、この事は、頼朝様はご存じではありません」「大江殿が…。つまり、兄者が平泉を攻める時の人質という訳か」 義経は考え込む。「いえ、頼朝殿の策は、泰衡様に義経様を打たせるおつもり…」「む、何と、兄者はなんと汚い策をお使いになるのか。それで、我が子はどういう策に使われるのだ」「おそらくは、義経様を平泉の武士たちと団結し、頼朝殿に当たらせないがため…」「さすれば、私はどう動けばよいのだ…」義経は悩む。もうあの源平の戦ではないのだ。この平泉の義経は別人のごとくなのだ。「私が、義経様の身代わりになって、この地にて果てさせていただきます。義経様は平泉からお逃げ下され」 十蔵は冷静に答える。義経が驚く番だった。「何だと、私には縁のないお前が…代わりに討たれるだと、、」「さようでございます。西行さまの命令でございます。十蔵のこの命、東大寺のもの。すでに闇法師となった段階ですてております。義経様はご存知あるまいが、私は源平の争いですべてを失っております。魂の抜け殻でございます。よろしゅうございますか、義経様。このときに乗じ、北、蝦夷へ落ち伸びてください。吉次殿が手の者が、お助けするでございましょう」「重蔵殿、、」義経は言葉がでてこない。何ゆえにこの男は、私のために、、そして、吉次殿が。「吉次殿が、私を助け出すといわれるか……」ようやく、言葉を発した。何かの感動が、義経の心をとらえている。(続く)2012改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.11
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/49/源義経黄金伝説■第50回★多賀城国府にある吉次屋敷で、 「吉次殿、恩をお忘れか」西行が義経を助けよと依願する。源義経黄金伝説■第50回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 「磯禅尼殿、失礼いたす」西行がつづいて、京都五条に住む磯禅尼いそのぜんにを訪ねていた。「おお、これは西行様ではございませぬか。おひさしゅうございます」「禅尼殿、和子をどうなされた」「和子ですと、急になにをいわれます、どなたの和子でございますか」「お隠しあるな、静殿と義経殿の和子だ」「静ですと、そのような者、私の子供ではありません。何を申されますのです。それに義経様の和子様、男子ゆえに、すでに稲村ヶ崎で海中に投げ入れられてございます」白々と泣く。「禅尼殿、そなた、鎌倉の大江殿とは取引せなんだか」西行は眼光鋭く、厳しく追及する。禅尼は思わず袖で顔を覆い隠す。「何を恐れ多い、鎌倉の政庁長官と取引ですと」が、じんわりと磯禅尼は冷汗滲んでいる。「禅尼殿、すべてわかっておる。もうお隠しあるな。私も和子を悪いようにはせぬ。せめて、静殿のお手に返していただけぬか」 西行は急にやさしく言う。 西行は、若き白拍子の折の、禅尼の晴れ姿を思い起こし、ふうと笑った。「といいましても、静の行方、ようとしてしれませぬ」「静殿は、私と一緒ら平泉に向う。今は義経様と一緒のはずだ」「義経さまのところ、が、すでに、何人かの暗殺者が、義経殿が屋敷に」「心配するな、東大寺の闇法師を、義経殿が元に遣わしてある。さて、禅尼殿、私と一緒に来ていただこうか」「いずこへ」「いわずとしれたこと、鎌倉の、大江広元殿の所だ。和子を取り戻しにのう」■ 「はてさて、どうしたものか」この時期最大の歌人、藤原定家は悩んでいるのである。藤原定家は、特大寺家の親戚であり、西行は若かかりし頃、この家特大寺家の家人であった。紀州田仲庄の荘園は特大寺家の預かり所であえる。「そうやは、慈円さんとこに相談にまいりましょうか」藤原定家はひとりごちた。慈円じえんは関白藤原兼実の弟でもあり、いわゆる文学仲間であった。慈円は今、西行から頼まれている伊勢神宮あての歌集を清書している。歌集は奥州に出かける前に仕上げていたが、この清書書きを慈円にたのんでいた。西行のたくらみ、歌によって日本を守る「しきしま道」は、一歩、完成に近づいていた。■「これはこれは、西行殿。鎌倉に庵など持つお考えを改められたか。これからは鎌倉が日本の中心ぞ」 数日後、鎌倉の大江屋敷に西行はいる。この時期、宿敵の文覚もんがくは鎌倉にいない。弟子の夢見ゆめみも文覚と同道している。「いやいや、私ももう年でございます。ただ大江広元殿だからこそ、お願いしたい儀がございます」 西行のへりくだった様子に、大江広元は、かえって不信の念を抱いた。「はてさて、この私に一体何をせよと」「義経殿の和子、お渡しいただきたい」「何を仰せられる。血迷われたか。静が生んだ和子は、すでに稲村ヵ崎に打ち捨てられた」 その答えに西行は、にやりとして、「大江広元殿、このこと頼朝殿にもお隠しか。が、私の耳には入っており申す。よろしいか、大江広元殿。私の後には山伏が聞き耳、知識糸を、日本全国に張り 巡らしてござる。大江広元殿のこの子細、頼朝殿の耳に入れば、今は鎌倉政庁の長官といえども、どうなるかわかりませんぞ。御射山の祭のこと、お忘れではござりますまい。頼朝殿の勘気に触れれば、その人物に用なくば、すぐ打ち捨てられましょう。このこと、唐からの歴史に詳しい大江広元殿なら、おわかりのことでございましょう」西行の恐ろしさが、大江広元の体の中に広がって行く。ここは西行におれて、味方に加えるは一策か。大江広元は、真っ青になり、おこりのようにぶるぶる震えた。いそぐ、大江広元は書状をしたためた。「ええい、西行殿、和子を早々に連れていけ。預け先は、この書状に記してある」「ありがとうございます」西行に笑みが浮かんでいる。「が、よいか西行殿。この和子、決して世の中に出すではないぞ。源頼朝殿の元に、すでにこの日本は統一されるのだ」投げ捨てるように言う、大江広元。西行に対して、逆に凄んでいるのだが、いかんせん迫力が違った。■ 多賀城国府にある吉次屋敷で、京都から到着した西行と吉次が言い争っていた。「吉次殿、恩をお忘れか」 顔を真っ赤にして、西行が喋っている。「恩ですと、何をおっしゃいます」「いや、お主が金商人として有名になれたのは、誰のお陰だと聞いておる」 畳み掛けるように、西行は喚いた。が、吉次の答えは冷たい。「それは、私は備前のたたら師の息子として育ち、その関係から姫路へ、岡山へそして、回船鋳物師の船に乗り、この多賀城にたどり着き、商売を始めたからでございます」「吉次殿、再度申し上げる。お主が、藤原秀衡様にお目もじできたのは、誰のお陰と聞いておる。また、平相国清盛に照会され、宋のあきうどと、取引できたのは、、誰のおかげとお思いか」 西行の目には、怒りが込み上げてきている。「それは、、、それは、、、西行様のお陰でございます」「そうだろう。私が、京でお主を助けたこと、忘れたのではあるまいな。ましてや、我が書状を持って、秀衡様に会いに行ったのを忘れたのではあるまい」「……」吉次は、具合の悪いことを思い出し、黙っている。「一時期、京都の平泉第(平泉の大使館)の頭目となれたのは、誰のお陰だと思っている。それが時代が変わりましただと。私はもう昔の金売り吉次ではございませんだと。お前は常ならば、備前あたりの鋳物師で終わったとしても、詮無いことだった。私がお前の出雲で覚えた、そのたたらの技術を知っていたからこそ、秀衡殿に推挙したのだ」 西行の怒りは、頂点に達している。二人は、お互いを無言で見つめあっている。とうとう吉次がおれた。「わかりました、西行様。それで、この私に何を」「よいか、平泉におられる源義経殿をお助けるするのだ」西行の息が荒い。「えっ、義経様を……」驚きの表情が、吉次の顔に広がって行く。2012(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.09
コメント(0)
桜の動画を以下より●http://www.youtube.com/user/yamadakikakuvideo yamadakikakuvideo 桜●風景写真Scenery in japan03●桜SAKURA 彦根城天守閣 Hikone Castle castle tower 047•2015/03/31sakura 桜 IWAKUNI,kintaikyou岩国・錦帯橋2009040709 Sakura 桜 IWAKUNI,kintaikyou岩国・錦帯橋02•2015/03/11
2021.04.08
コメント(0)
桜の動画を以下より●http://www.youtube.com/user/yamadakikakuvideo yamadakikakuvideo 桜●風景写真Scenery in japan03●Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜001•2012/04/12Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜002・2012/04/13Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜010•2012/04/13Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜013•2012/04/13Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜015•2012/04/13Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜016•2012/04/13Cherry blossoms in Itami伊丹の桜017•2012/04/13Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜018•2012/04/13
2021.04.08
コメント(0)
桜の動画を以下より●http://www.youtube.com/user/yamadakikakuvideo yamadakikakuvideo 桜●風景写真Scenery in japan03●Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜019・2012/04/13Cherry blossoms in Itami 伊丹の桜041•2012/04/11伊丹の桜004Cherry blossoms in Itami and in Washington D.C.•2012/04/13伊丹の桜004Cherry blossoms in Itami and in Washington D.C.•2012/04/132012/04/13On a Bicycle under Cherry blossoms•2012/06/10
2021.04.08
コメント(0)
IDインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4689gf/11/インザダスト第11回 ●最終回・マザーコンピュータは自らの生命を立つ折に同時にすべての生物を滅ぼすという。男は仲間と共に下の世界へ。しかし、マザーの最後の一手が。インザダスト第11回 (1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube マザーコンピュータは美しい声で言った。すべての人民に好感を与える合成された女性の声だ。 『我が子シオンよ。この世界を作りあげたのは私なのですよ。私は創造主なのです。この世界、さらにあなた方、人間も私のモノなのです。機械やロボットと同じように人民ね。もしある芸術家が作りあげた作品が失敗作であると罵ついたならば、その作品を壊すでしょうあ。しかし私にはまだ良心というものがある。シオン、ねえ、いいでしょう。あなた方と共に私マザーも滅びましょうよ』「マザー、我々は確かにあなたによって作られた。しかし我々はすでに自分の足で歩き始めている。あなたの所有物でも何でもないんだ。私達は人間なんだ」私は叫んでいた。 『シオン、文明はいつか滅びるものです。この文明も間違った方向 へ進んでしまいました。私の責任です』 「私シオンは、あなたと共に滅びるつもりはありません」 『でもね、シオン、残念ながら、すべてを知ったあなたはこの部屋から出られません。それはわかるでしょう』 シオンダッシュは次次とインターフェイスを壊していた。「いかん、マザーはこの部屋へ病原体を注入しょうとしている」私か叫ぶより早く、爆発音かした。「電源部との接続を切りました」シオンダッシュが言った。彼は小型爆弾を仕掛けていたのだ。「当分、マザーも動けまい。マザー、さようなら」私は何度もマザーの方を振り返った。 ロボット武装兵が待ちかまえていた。私はベンダントとレイ=ガンを使い、囲みを突破する。最高幹部会ビルの全電源もショートしていた。シオンダッシュは手落ちがなかった。シオンダッシュの案内で、妻やサラや私シオンのシンパ達が閉じ込められている部屋を開放した。高級市民最高幹部会ピルの中は混乱の極にあり、暗闇の中で私達は衛兵をなぎ倒し、レイ=ガンで扉を破壊し、外へ出た。ホーバークラフトを奪う。 妻を抱きしめながら、ピラミッドヘ向かった。「さあ、下の世界に急がなければ」「え、どういう事」サラはまだ事情がつかめずとまどっている。「この上の世界は誠ぼされる。マザーの手でね」 ピラミッドまで、誰も我々を襲ってこなかった。マザーの混乱が原因で全ンステムも混乱に陥っている。私は仲間と妻にこれまでの話をした。 ようやく辿り着いたピラミノドの前で、シオンダッシュは私に言った。「それでは、私は自らの役目を果たします。シオン、下の世界をいい社会にして下さい」 この私のDNAから生まれた男、最高幹部会が私を牽制するために作った男は、一つの新しい世界の誕生のために自らを犠牲にしよとしていた。私はZ88と刻まれたペンダントを彼に渡す。「ありがとう、シオンダッシュ、元気で」「えっ、何です」 私は言葉がつげなかった。「いや、いい、行ってくれ、頼む」 私にはそれしか言えなかった。妻のサラは泣いている。 シオンダッシュの体を、実験ラボで発見したのは生物科学研究所員のサラだった。彼女は彼の成長期の学習テープをすりかえた。彼は私の思考に同調していたのだ。下へ派遣される前から。 シオンダッシュは一人、ホーバークラフトを動かし去っていった。この世界とマザーを滅ぼす陽子爆弾は私のペンダントの中に仕掛けられていたのだ。それを彼は持っている。私のためにすべての問題を解決してくれる私の分身。 「さあ、皆、行くんだ」 私は人々をうながした。ピラミタドのゲートをくぐり、ダスト=シュートの中へと。 人間は、いつか、その糾から巣立たねば忿らない。例え、文明という保護箱から放り出されようとも。■数カ月かすぎている。あの時、上の世界は閃光が総てを被いつくした。今はもうクレーターの世界となっている。ピラミッドだけが残っているようだった。 男は下の世界を新しい世へ変貌させようと努力した。がマザーは彼女の死の直前に、最後の復讐を男たちに果した。病原体を乗せたミサイルを数機、下の世界へ発射したのだ。男達にそれを防ぐ手立てはなかった。下の世界でミサイルは細菌をばらまいた。 一人、二人と、この世界で男の仲間は疫病にやられ、死んでいった。マザーは、男たちを、自分の創造物をわざと、下の世界へ逃し、安心させた。しかし、彼女は執念で我々を滅ぼした。我々がマザーの裏切り者であるという認識を。後悔をもたせて緩やかな死にいたる時間を作ったのだ。反省する緩慢な時間をあたえた。そして最後に、男の妻サラが死んだ時、男は最後の涙を流した。男は今、妻の墓の前にいた。妻や仲間の墓は、ここ緑なす小高い岡の上にあった。 下の世界にあった他の農場の男達もすべて滅んでいた。男はこの下の世界でもう一人ぼっちだった。 が、男はあのシオンダッシュが行々っていた作業を引き継いでいた。原住民達はあの疫病に感染しない。彼らの頭脳を進化させていた。完全な設備が洞窟内に残されていた。彼らは男達に代り、新しい文明をこの下の世界で発展させるであろう。今や男はこの下の世界の創造主であった。そして、男も皆の跡を追い、なくなるだろう。 墓の前で思い出にふける男の後に原住民が一人、そっと近づいていた。彼は気をつかっているのだ。原住民達は言語を持ち、すでに男と話かできるようになっていた。 男はしかし、自らがこの世界では異邦人にすぎない事に気づいていた。所詮この星に男は同化できないのだ。 男は彼に気がついた。そして男はある事を思いつき、尋ねた。男は滅んでしまった上の世界を指さした。夕闇が近づいている。「君達は、あの星を、何と呼んでいるんだ」 原住民は慎しんで答える。「神よ。我々は、あの星を月と呼んでいます」「そう、月か」男の体と心は地球の大地に向かい倒れていった。(完)インザダスト第11回 (1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.08
コメント(0)
RUN遙かなる絆-ランナー●話は地球と月を結ぶ「ムーンウェイ」から始まる。ヘルムは、連邦軍「サイボーグ公社」ロードランナー。マコトは超能力者。2人は月で人類外の野望を砕く、新世界の人類の出現が始まる。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1867de/19/遥かなる絆-ランナー第19回ー最終回(1986年作品) ヘルム・リッカートは、ある家にたどり着く。「父さん、母さん、久しぶり。僕は生き残り、そして走りきった、、、」遥かなる絆-ランナー第19回ー最終回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/後に星間歴史家が白熱の1年という、人類変革の時期が始まった。地球上で、「大いなる白熱」のあと、あるものは再生され目覚め、あるものは目覚めなかった。形もなかった。選ばれし者のみが行きのこった。約半数以下が生き残り、新人類として変化をとげようとしていた。その彼らが、夜に空を見上げ、月がないことを、その変化期の確認とした。新人類は、過去人類の、あらゆる聖典でのべられていた天国という概念がどうやら、実現したと感じていた。マコトという聖灯が、ヘルム・リッカートというランナーにより、届けられ、地球と月、二惑星融合が作り出され、本来の地球にもどったと理解した。やがて、暫定統治機構が発足し、地球連邦軍、地球防衛機構は、その役割をおえた。とりあえずの均衡がもたらされ、フィダィであった人々も、指導者マニの消滅を知り、新秩序の前で、選別により生き残った人々は、何かしらの霊感を得ていた。生き残ったサイボーグ研究所の人々は、残務処理に追われている。聖なる灯り、マコトは、外宇宙船「メビウス」の中にいた。現時点まで、導師マニとオットーの体は、どこにも発見されていない。地球前人類の争いのツール「世界の王のしるし」は、アムラーピラミッドにある。ピラミッド自体が、地球上の移動されていた。新世界となった今、旧世界の王は、意味をなさない。意味なきがゆえ、また、それは旧世界の象徴としての役割を得ていおる。サムナーの体は復活し、旧オセアニア海域で、水と戯れている。「赤目のジャック、テロリストハンター、サムナーか」彼はひとりごちた。彼の体は、正状態であり赤目のサイボーグアイではない。サムナーの前には、復活した浮遊都市ープランクトンシテイ群が、浮遊していた。その浮遊都市群のように、サムナーの体も緩やかに波にもまれていた。ヘルム・リッカートは、また、生身として、大いなる力により再生されていた。生身の体で、ロードを走っている。ロ-ドランナー、伝説の男とはなったが、人々は気にとめない。ちょうどその頃、新地球の上を飛ぶ、マコトの体のひとつが、涙を流していた。やがて、ヘルム・リッカートは、ある家にたどり着く。ドアをノックする。父と母が、生き残り再生されている。なかなか言葉はでず、父母を抱きしめていた。「父さん、母さん、久しぶり。僕は生き残り、そして走りきった、、、」(完)1986年作品ー2020年改稿作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.04.08
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/48/源義経黄金伝説■第49回★西行は深深と、東大寺闇法師に頭をさげていた。 「すまぬ、十蔵殿、死んでいただけぬか。東大寺のためではなく、日の本のためにな」源義経黄金伝説■第49回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube■ 文治三年(一一八七) 日本各地にある西行の草庵。いまは、京都の嵯峨に住まう西行に、一人の商人姿の男が訪れていた。「十蔵、まかりこしてございます」「おお、これは、十蔵殿。ひさかたぶりだ」東大寺影法師、十蔵は、挨拶もそこそこに、用向きを聞いた。西行からのこの度の連絡を受けたおり、いよいよ俺の死ぬときが来たかと、体が武者ぶるいしていた。無論、西行に呼ばれたことは、東大寺や重源ちょうげんには告げてはいない。奥州藤原秀衡がなくなった事は聞いて、世の中が再び騒然となって来ていている。「で、西行様、何かご依頼が」「そうだな。十蔵殿。……」しばし、西行は、無言だった。やがて、深深と、十蔵に頭をさげていた。「すまぬ、十蔵殿、死んでいただけぬか。東大寺のためではなく、この西行のため、いや日の本のためにな」平然とうけとめ、十蔵はふっと微笑む。「いよいよ、お約束のときが、参りましたか」「早急に、摂津大物が浦(尼崎)より旅立ってほしい。そして多賀城で吉次に会い、それからは吉次の指示に従ってほしい」「西行様はいかがなさります」「お前様の後を追う。他に片付けなければならぬことが多い。先に立ってくれ」「わかり申した」十蔵は、すばやく、西行の前から姿を消す。「はてさて、重源殿が、どう動くかだが」西行はひとりごちた。■ 平泉の高館に、泰衡の弟、忠衡が、内々で義経を訪れてきていた。「のう、忠衡殿、私はこの平泉王国の将軍の座を、泰衡殿にお譲りしてもよいのだぞ」 平泉王国の内紛の様子を知る義経は、自ら身を引こうとしている。が、この言葉を聞いて、忠衡は、激怒し、立ち上がっていた。「何をおっしゃいます、義経殿。そのことは我が父秀衡が、我々子供を死の床に呼び、遺言したもの。それをいまさら…、なさけのうございます」 最後には泣き出している。その忠衡の方に手を掛け、慰めるように義経は言う。「私はよいのじゃ。私の存在で、この平泉平和郷が潰れることになっては困りましょう」「それが鎌倉殿の、狙いではございませんか」「この勝負、最初に動いた方が負けという訳でございますな」「さようでございます。よろしゅうございますか。今、天下の大権を握れるのは、頼朝殿か義経殿か、どちらかでございます。断じて、我が兄泰衡ではありません」 思案顔の義経と、見まもる藤原忠衡だった。■「静殿、今から恐ろしき事を申し上げる。お気を確かにされよ」西行は京都大原にある静の庵に静をたずねている。静は、あの事件ののち平泉から帰り、尼になり京都郊外にある大原の寺に住う。長くは、平泉にいなかった。というのは義経が新しく妻をもとめている。新妻は、藤原氏の外戚である。それゆえ、静は身を引き、京都に傷心で戻っていた。「西行様、そんなに思い詰めた表情で、一体何をおっしゃるつもりでございますか」「実は、義経様の和子様は、生きておられる」しばらくは、静の体がふるえていた。顔もこわばっている。「西行様、おたわむれを、冗談はお止めください。私は、鎌倉にて我が子が殺められるところを目にしております。この目に焼き付いております」「が、その殺された和子は偽物だ」「まさか、そのようなことが」「よいか。静殿の母君、磯禅尼殿、しきりに下工作をなさっておった。その結果だ、後ろで糸を引くは大江広元殿。その企みだ」「それでは、今、和子は」「それは、おそらくは、鎌倉の、大江広元殿が知っている」■ 「お、重源殿。よう参られました。ちょうどよい機会ですな。拙宅に法然殿が参られておられますぞ」「おうおう、それはよき機会でございます」京都の関白藤原兼実の自宅だった。重源は雑職ぞうしきに、表で待つように告げる。重源は猫車(1輪車)を自からの移動に利用している。重源には雑職がいつも2人ついている。この猫車に乗り、勧進集団50名を引きつれて日本全国を勧進して回っているのだ。東大寺勧進職は、最初、法然に白羽の矢があたったのだが、法然は、重源に譲った。藤原兼実は、法然に帰依し、兼実から噂をきいた後白河法皇も法然に寄進している。「兼実様、もうしあげにくき事ながら、、」早速に重源は、時の関白藤原兼実にふかぶかと頭をさげていた。兼実に不安がよぎる。「いかがなされた。重源殿、表をあげてくれませ。そんな他人定規な、な。麻呂と重源殿の間ではございまへんか。大仏再建の事、麻呂も、法皇様もあなたさまにお礼を申しあげたきくらいでしょう。よう、よう、あそこまで大仏や東大寺を再建してくだはりました。で、まさか、何か大仏殿再建の事で、、」重源は、しばし、頭を下げたままである。微動だにしない。「さようです。できれば、関白殿、拙僧は勧進職を辞退したい」重源は、その精悍な顔をあげ、関白藤原兼実に言った。「まあまあ、何をいわはるのです。今この折りに殺生ですわ。無責任とでもいいましょうかや。重源様の力を、信じたればこそ、お願いしたのやありませんか。それに、民も大仏再建に熱意をもって協力しているのや、ございませんか」この大仏再建で庶民の仏教信仰が普及してきたのは事実である。その民衆の仏教に対する熱狂のうねりを、重源もひしひしと感じている。兼実は思い当たった。そうや、金がたりんという事かいな。「ははあ、金きんですか。でも平泉なり、鎌倉なりから届いたの違いますのか、、まさか、金がおもうている程、届かなかったからとか。はは、図星ですかいな。でも、西行殿に奥州の秀衡殿に説得していただいたのではないですか」「いささか、申し上げにくい事ながら、金が充分ではありません」「ははあ、西行殿のお話と、、秀衡殿から、頼朝殿からのお届いただきました砂金の量とが違うとでもいいはる、、のですか」兼実は思わず、「まさか、何か西行どのが何かたくらみを、、」しばし、兼実は黙り告げた。「いやいや、今のお話は聞かなかった事にいたしましょう。で、今しばらく奥州の事態をお待ち下されや」「それは、奥州平泉が滅びる、、というお考えか」重源がたづねた。「いや、はや、北の仏教王国、平泉は、我々、京都の人間としては、滅んでほしくはありませんわ、なな。何しろ、仏都やさかい。しかし、頼朝殿は、義経殿の事があり、まあ、早よういえば、さぞかし、奥州が欲しい、のでございましょうな」「金山を欲しがるという、源氏の血ですな」「我々、京都の人間としても、早く、天下落居(世の中がおちつくこと)してほしいのですわな」「平泉の仏教王国が滅んでも、日本が平和になればいいと」「さようです。あの国は、蝦夷の末裔。源氏の正統、頼朝殿が征偉大将軍として、あの者ともを滅ぼしくれはったら、日本の平和がなあ、おとづれましょうよ」「しかし、それは、今までの世とは、異なる平和でございますな」「そりゃ、庶民が平和を求めている事は、勧進されながらおわかりでございましょう」重源は思った。やはり、京都は平泉をすて、鎌倉をとったか。平泉の黄金が、鎌倉の手にきすか。やはり、我々の鎌倉侵攻は早めればなるまい。栄西殿が宋からかえってくる前に体制がきまりそうだ。法然殿とも話あわずばなるまい。東大寺大仏再建の趨勢は、はや、鎌倉殿の手に握られたのか。2012(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.08
コメント(0)
Cherry Blossom 伊丹桜13•2012/04/23
2021.04.07
コメント(0)
Cherry Blossom 伊丹桜08 伊丹市役所前•2012/04/23
2021.04.07
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/47/源義経黄金伝説■第48回★頼朝は「義経さえ、差し出せば奥州の地安堵する」の書状をしたため、奥州の跡を継いだ藤原泰衡のもとに。源義経黄金伝説■第48回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube■ 1187年文治3年 鎌倉 平泉の藤原秀衡死亡の知らせは、早馬で鎌倉にも伝わっている。「どうやら、秀衡殿、お亡くなりになった様子でございます」大江広元が頼朝に告げた。「そうか、秀衡殿が、、とうとう亡くなられたか」その言葉は、頼朝自身に向けて、ある種の決断を語っている。大江広元には、頼朝が何やら寂しげに見えた。宿敵を失った寂寥感かも知れなかった。大江広元にとっては、千載一遇に思える。その時期を逃しては、平泉王国を滅ぼすことはできまい。気が抜けたようになっている頼朝を、勢いづけなければと思った。「いよいよ、奥州攻めも近うございますな」「いや、まだ先になさねばならぬことがある」「それは…」「わからぬか、大江広元。義経は平泉王国の大将軍となっておる。平泉が義経の元、一致団結をしておれば、我々も恐ろしいわ。あやつの戦ぶり記憶していよう。戦ぶりでは、残念ながら、この日本一の武者よ」「それに十七万騎の奥州の馬があれば、恐ろしゅうございますなあ」 よくよく考えれば、まだ平泉王国は、強固なのだ。「そこで、考えよ。どうすれば、よいかをな」「内部をもっと分裂させますか」大江広元のお得意の策諜を使わねばならない。「そうだ。義経さえ、差し出せば、奥州の地を安堵しようとな。そういう書状をしたため、使者に持たし奥州の泰衡のもとに出そう。のう、大江広元、奥州藤原秀衡は平清盛よりも恐ろしかったわ。俺の誘いに全く乗らぬ」大江広元の目には、頼朝の体がやや震えているように見えた。気のせいだろうか。それに…、広元は気に掛かることを告げた。「例の黄金の件は、いかがいたしましょう。まだ、わが鎌倉の手元に…」「そのこと、うちやっておけ。秀衡さえ亡くなれば、奥州すべての黄金は、我が鎌倉のものとなる。大事の前の小事だ」「東大寺が、文句をいいますまいか」 京都のことなどをもう気にせずばなるまいと、広元は考える。それに関しては、頼朝の方が一枚上手だった。「何の届かなかったことにすればよいであろう。そうだ、黄金を、この頼朝からの贈り物としよう。鎌倉幕府の将軍として、京都へ、また南都奈良に赴かねばならぬからのう」「それは、また京、朝廷への大姫様のお披露目ともなりましょう」 そのことも大江広元にとっては、忘れてはならなぬことだった。頼朝がどうであれ、京都との連枝は繋いでおかねばならぬ。強固にしておかねばならなかった。この鎌倉幕府を完全に支配し、京都に向かせればならぬ。「そういうことだ。きらびやかに飾り、坂東の田舎者と思われている我々が、美しく着飾った姿形を、京都の貴族どもや民に見せてやろうではないか」「さようでございますなあ」それには、大江広元も同じだ。うだつのあがらない京都の貧乏貴族の俺が、新しい治世者の一人として、都大路を従者を多数連れ、行列として練り歩けるのだ。今度は、私が、京都の皆を羨ませる番だ。大江広元は、自らもきづかずに、昔の傷あとをなでていた。その額の傷は、往時の義経の凱旋行列を思い起こさせていた。2012(続く)Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.07
コメント(0)
RUN遙かなる絆-ランナー●話は地球と月を結ぶ「ムーンウェイ」から始まる。ヘルムは、連邦軍「サイボーグ公社」ロードランナー。マコトは超能力者。2人は月で人類外の野望を砕く、新世界の人類の出現が始まる。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1867de/18/遙かなる絆-ランナー第18回●マコト。君を、この世界、地球人類のデータベースにしょうとした。 長い地球の歴史の記憶としてと、導師マニは、いうのだ。遙かなる絆-ランナー第18回ー(1986年作品)●地球防衛機構(EDO)シリーズ作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube「マコト、君の長い間の眠りは、どうだった」導師マニは、マコトの意識にたづねる。「マニ導師、あなたは私の夢に現われました」「そうだ。君を、この世界、地球人類のメモリーにしょうとした。長い地球の歴史の記憶脳として使おうとした」「私が、全人類の歴史をどのように滅んだのかを見届けるのですか」「いや、君には、新しい人類の誕生を見てほしい。それから、あちらの世界へ「ジャンプ」してほしい」マニは、続けた。「そこでにリッカート、サムナー両君たちにも役目を与える。マコトを守って、同じような同じようにジャンプをしてほしいのだ」「君達が聖灯マコトを、ここに運んでくれたのは、予想外の健闘であった。君たちにも「ジャンプ」してほしい」「ジャンプ先かね。そこは、人類が長くに夢見た「天国」というところだ」 アムラーピラミッドが大きく膨脹したように見えた。さらにピラミッドの地下から振動が始まり、やがて振動は月全体に拡がり大地震となった。 アムラービラミッドは大きな光条を放ち始め、その光は月全体を被った。月は光球となった。 月と地球が相互に引き合っていた。ムーン=ウェイが、まるできずなのように見えた。 月と地球が互いに近づいていく。地球の上にも、原爆爆発以外の大変動か起こり始めていた。火山は噴火を始めている。海の水は沸き上がる。大地は振動し始める。建物は倒壊し、人々は逃げ感う。 地球は、まるで天地創造の時のようであった。あるいはこれが『審判の日』なのであろうか。 EDO長官オットーであった者は、自らの分析の甘さを恥じていた。この判断の甘さが、人類の滅亡を招いたのだ。 地球と月の表面は最後には接触した。が爆発は起こらない。静かに融合し始めた。まるでお互いが溶け、交じりあうようであった。数日後、宇宙空間に新しい星が、生まれていた。その星は何と呼ばれるであろうか。それに答える旧人類はもう生息していない。「聖なる火が、二つの世界を焼きつくし、やがて、二つの世界は一つになる。これは元々、一つの世界であり、新しき一つの世界では、平和は満ちあふれるであろう』 爆発の瞬間、バラバラに吹きとんだヘルムの片腕の金属はくるくると回りながら、この新しい星の成分へと同化していく。火の中にいる生物らしきものが、その金属を指さした。その瞬間それは、情報がつまった新しい金属片となり、タイムジャンプした。その金属片は2026年の宇宙空間を漂っていた。 月のピラミッドと一体化したマコトの魂は、この新しい世界の中で浮遊していた。この魂を再び火の中にいる生物が指さした。 マコトという魂を持った子供となって、2026年にタイムジャンプした。それと同時に 植民船の残骸も2026年に送り込まれた。 マコトであった者は、ムーンウェイ内でのシャトルトレイン爆発事故が、自らの超能力がおこしたものであったとは最後まで気づいていなかった。 この火の中で、盛んに蠢く新生物、新人類は、昔の旧人類の進化した姿であった。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.07
コメント(0)
IDインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4689gf/10/インザダスト第10回■私シオンは、最高幹部会で細菌発生が、マザーコンピュータの仕業で、彼女が世界とともに自殺しょうとしていると告げるが、一笑にふされる。インザダスト第10回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube私シオンは高級市民最高幹部会の審問を受けている。調査をしたゼルフィンが報告している。 「残念です。あの菌は下の世界にだけ存在するもので、しかも彼は治療法は開発していなかったのです」「で、その男は」幹部会の1人が尋ねる。「自らの収穫タワーと共に自爆しました」シオンダッシュが言った。私シオンと同じ顔の男が答える。私のクローンなのだ。「しかし、御安心下さい。ある程度の病原菌サンプルと、データを収穫タワーのコンピューターから抜き出しました。おしむらくは時間がなかった事です。マザーの助けを併りれば、伺らかの医療対策が得られると思われます」シオンダッシュは統ける。 「急がねばならんのだよ。シオンダッシュ君も見ただろう。発病率がうなぎ昇りなのた」幹部会議長のラムリーが言った。 「よし、この件は、マザーにまかせよう。シオンダッシュ君、至急マザーの所へ行ってくれ」ラムリーは命令し、シオンダッシュは会議室から菌の入ったバックとデータを持って出て行く。 残った最高幹部会の男達の眼が、私シオンに注がれていた。 「さて、ノオン、次は君だ。君も下の世界へ降りてわかっただろう。下の世界がどんなものかを。君の理想論ではもうどうにもならんのだよ」ラムリー議長がか悟すように言った。 「君達こそまだわからないのか。私はマザーの行動に疑問を感じていたのだ。そして私は確証を得た。マザーは自殺しようとしている」会議室がざわめきたつ。「マザーが自爆するだと」会議室にどよめきがおきる。「そうだ。そして我々と我々の文明をー緒にひきずりこもうとしている。心中だ」私は叫んだ。「シオン、君は狂っている。やはり君は危険な男だな」ゼルフインが見下げ果てた様子で言う。「君こそ、我々の文明を滅ぼそうとしているではないか」ラムリー議長が言った。「いいか。マザーの不調に気づいた者が危険分子として処分され、下の世界へ送り込まれているのだ。さらに自殺させられているのだ。特殊な機械が脳に埋めこまれる。それは自殺願望が訟こるような装置なのだ」 笑声か起こった。が私は続けた。 「それになぜ、マザーがD25、つまり病原体を上の世界へ送った男の行動をチェグタできなかったのか。下の世界のコンピューターもマザーと直結しているはずだ。穀物の搬入に際してもマザーが端末コンピューターを使いチェックしているはずたぞ」「シオン、君は強情な男だね。君はマザーを信頼していない。マザーはまさに我々を作りあげたのだぞ。そのマザーか我々を絶滅しようとするわけがないだろう。よろしい。このモニターを見たまえ」 とこかの小部屋が映っていた。牢獄だろう中には考えを同じくする私のシンパと、私の妻、生物科学研究所員のサラがいた。 「いいかね。彼らのいる研究室は、例の病原菌で充満される。私の手元のスイノチーつでね。それでなくとも、すでに中で死んでいる男もいるだろう。決心しろ。君は下の世界へ降下する時、自分自身の安全の保障のため、マザーの部屋のどこかにに爆発装置を取り付けたはずだ」最高幹部会の幹事が言う。「そのありかを白状したまえ。我々は譲歩しょう。もし君が言ってくれるなら、君と君の仲間の命は保証しょう」「君は優秀な男た。今必要な人材なのだ。すでに現在人口の88・56%が疫病で死亡している。我々か立ち直らねばならん今、マザーが爆破されれば、破滅状態に陥いる。さあ、決心したまえ」 スクリーンの中で、また一人が倒れた。この疫病は前期兆候もなく、すぐに死の手が襲ってくるのだ。私は叫んでいた。「わかった、やめろ」私は負け犬のように見えただろう。「言う。マザーの所へ連れていけ」「それは危険だな」ラムリー議長が言う。「マザーの所へ連れていけ。直接マザーに話す」私は言いはった。「わかった。衛兵、彼の体をもう一度調べろ、爆発物を持っていないかどうかな」 私の体は隅々まで調べられた。「よし、お前連は、シオンと一緒にマザーの所まで行け。少しでも怪しい行動をしたら、おさえろ。いいか決して殺してはならんぞ」議長のラムリーはレザー=ガンを持つロボット衛兵二名に命令した。マザー、つまりマザー=コyピューターは最高幹部会ビルの地下10階分を占めている。そして彼うは「上の世界」そのものであった。 私は地下へ降りて、マザのサブ調整室に入ってた。近くのコンノールにシオンダッシュがいる。彼は下の世界から持ち帰ったデータをインプノトしている所だ。 私シオンはマザーに話しかけ、哀願していた。「なせなんですか、マザー」 突然、私の背後にいた衛兵3名が倒れる。シオンダッシュのしわざだった。彼はさらにこのサブにあるモニター=カメラを破壊する。さらに会議室へ通じるラインも破壊する。この部屋は隔離された。「あなたは私シオンを一人秘かに呼んで、今の社会ノステムがあまりに硬化しすきていると言われた。そして私に一度このシステムを破壊させ、新しい適応性を持ったンステムを作りあげよと命令された」私は言葉を継いだ。「そして私はそれを信じた。だがあなたは別の事を考えていた。我身の世界を破壊しょうとしている。それも完全に」マザーは答えない。「上も下の世界も同時に。マザー、あなたは狂っている。D25が作りあけた病原体もあなたが協力したのですね。D25が知らないうちに」しばらくしてマザーから声が届く。 『残念ながらその通りよ。D25が作った病原菌は私がバックアップしたのです。彼は彼なりKこのノステムを壊そうとしていました。それは私マザーの目的に合致していたのです』インザダスト第10回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube
2021.04.07
コメント(0)
IDインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。 インザダスト第10回■私シオンは、最高幹部会で細菌発生が、マザーコンピュータの仕業で、彼女が世界とともに自殺しょうとしていると告げるが、一笑にふされる。。 ▼この小説のURL https://ncode.syosetu.com/n4689gf/10/ インザダスト第10回(1986年)SF同人誌・星群発表作品 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ 私シオンは高級市民最高幹部会の審問を受けている。 調査をしたゼルフィンが報告している。 「残念です。あの菌は下の世界にだけ存在するもので、しかも彼は 治療法は開発していなかったのです」 「で、その男は」幹部会の1人が尋ねる。 「自らの収穫タワーと共に自爆しました」シオンダッシュが言っ た。私シオンと同じ顔の男が答える。私のクローンなのだ。 「しかし、御安心下さい。ある程度の病原菌サンプルと、データを 収穫タワーのコンピューターから抜き出しました。おしむらくは時 間がなかった事です。マザーの助けを併りれば、伺らかの医療対策 が得られると思われます」シオンダッシュは統ける。 「急がねばならんのだよ。シオンダッシュ君も見ただろう。発病 率がうなぎ昇りなのた」幹部会議長のラムリーが言った。 「よし、この件は、マザーにまかせよう。シオンダッシュ君、至急マ ザーの所へ行ってくれ」 ラムリーは命令し、シオンダッシュは会 議室から菌の入ったバックとデータを持って出て行く。 残った最高幹部会の男達の眼が、私シオンに注がれていた。 「さて、ノオン、次は君だ。君も下の世界へ降りてわかっただろう。 下の世界がどんなものかを。君の理想論ではもうどうにもならんの だよ」ラムリー議長がか悟すように言った。 「君達こそまだわからないのか。私はマザーの行動に疑問を感じて いたのだ。そして私は確証を得た。マザーは自殺しようとしている」 会議室がざわめきたつ。 「マザーが自爆するだと」会議室にどよめきがおきる。 「そうだ。そして我々と我々の文明をー緒にひきずりこもうとして いる。心中だ」私は叫んだ。 「シオン、君は狂っている。やはり君は危険な男だな」 ゼルフインが見下げ果てた様子で言う。 「君こそ、我々の文明を滅ぼそうとしているではないか」ラムリー議長 が言った。 「いいか。マザーの不調に気づいた者が危険分子として処分され、 下の世界へ送り込まれているのだ。さらに自殺させられているのだ。 特殊な機械が脳に埋めこまれる。それは自殺願望が訟こるような装 置なのだ」 笑声か起こった。が私は続けた。 「それになぜ、マザーがD25、つまり病原体を上の世界へ送った男 の行動をチェグタできなかったのか。下の世界のコンピューターも マザーと直結しているはずだ。穀物の搬入に際してもマザーが端末 コンピューターを使いチェックしているはずたぞ」 「シオン、君は強情な男だね。君はマザーを信頼してい ない。マザーはまさに我々を作りあげたのだぞ。そのマザーか我々を絶滅しよ うとするわけがないだろう。よろしい。このモニターを見たまえ」 とこかの小部屋が映っていた。牢獄だろう中には考えを同じくする私のシンパと、 私の妻、生物科学研究所員のサラがいた。 「いいかね。彼らのいる研究室は、例の病原菌で充満される。私の手 元のスイノチーつでね。それでなくとも、すでに中で死んでいる男 もいるだろう。決心しろ。君は下の世界へ降下する時、自分自身の 安全の保障のため、マザーの部屋のどこかにに爆発装置を取り付けたはずだ」 最高幹部会の幹事が言う。 「そのありかを白状したまえ。我々は譲歩しょう。もし君が言ってくれるな ら、君と君の仲間の命は保証しょう」 「君は優秀な男た。今必要な人材なのだ。すでに現在人口の88・56% が疫病で死亡している。我々か立ち直らねばならん今、マザーが爆破 されれば、破滅状態に陥いる。さあ、決心したまえ」 スクリーンの中で、また一人が倒れた。この疫病は前期兆候もな く、すぐに死の手が襲ってくるのだ。私は叫んでいた。 「わかった、やめろ」私は負け犬のように見えただろう。 「言う。マザーの所へ連れていけ」 「それは危険だな」ラムリー議長が言う。 「マザーの所へ連れていけ。直接マザーに話す」私は言いはった。 「わかった。衛兵、彼の体をもう一度調べろ、爆発物を持っていな いかどうかな」 私の体は隅々まで調べられた。 「よし、お前連は、シオンと一緒にマザーの所まで行け。少しでも 怪しい行動をしたら、おさえろ。いいか決して殺してはならんぞ」 議長のラムリーはレザー=ガンを持つロボット衛兵二名に命令した。 マザー、つまりマザー=コyピューターは最高幹部会ビルの地下 10階分を占めている。そして彼うは「上の世界」そのものであった。 私は地下へ降りて、マザのサブ調整室に入ってた。 近くのコンノールにシオンダッシュがいる。彼は下の世界から持ち帰ったデータをイ ンプノトしている所だ。 私シオンはマザーに話しかけ、哀願していた。 「なせなんですか、マザー」 突然、私の背後にいた衛兵3名が倒れる。シオンダッシュのし わざだった。 彼はさらにこのサブにあるモニター=カメラを破壊する。 さらに会議室へ通じるラインも破壊する。この部屋は隔離された。 「あなたは私シオンを一人秘かに呼んで、今の社会ノステムがあまりに硬化し すきていると言われた。そして私に一度このシステムを破壊させ、 新しい適応性を持ったンステムを作りあげよと命令された」 私は言葉を継いだ。 「そして私はそれを信じた。だがあなたは別の事を考えていた。我身の世界を 破壊しょうとしている。それも完全に」 マザーは答えない。 「上も下の世界も同時に。マザー、あなたは狂っている。 D25が作りあけた病原体もあなたが協力したのですね。D25が知らないうちに」 しばらくしてマザーから声が届く。 『残念ながらその通りよ。D25が作った病原菌は私がバックアップし たのです。彼は彼なりKこのノステムを壊そうとしていました。そ れは私マザーの目的に合致していたのです』 インザダスト第10回(1986年)SF同人誌・星群発表作品 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/
2021.04.06
コメント(0)
Sakura 桜 滋賀県高島市にて 024•2017/03/24
2021.04.06
コメント(0)
Dインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4689gf/9/インザダスト第9回■私シオンは、体制反逆者として、上の世界の幹部会にゼルフィンに連行されて行く。しかし、その途上は地獄で、疫病が蔓延していた。インザダスト第9回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ プランテーション36の収穫の塔が大爆発を起こしたのだ。 四時間程走ると、目の前に、ビラミッドが現われた。上の世界と同形だ。ここが目には見えない上の世界との連絡通路になっている。空間転送だ。 ロボット武装兵が立ち並ぶ廊下を抜け、中央の部屋へ連れていかれる。「どうだね、上の世界へ再び帰れる気持は」「ふん、悪夢だね」私は吐きすてるように言った。「あえて、その悪夢を見てもら訟うか」シオンダッシュが言った。その瞬間、私のペンダントはゼルフィンに向かって光条を放っていた。ゼルフィンは昏倒した。彼の体をベットヘ押し込み隠した。「シオンダッシュ、頼むぞ」「わかった、こちらへ」シオンダッシュは、実は私の分身だ。ゼルフィンの味方のふりをして空きをついたのだ。シオンダッシュはクローンの段階である人物の手でそう計画されていた。 ピラミッドの下部へと我々は降りていった。シオンダッシュが一緒なのでロボット武装兵は疑問を抱かないのだろう。 ピピラミッドの玄室に当る部屋はまるでモルグ、死体置き場の様であった。人間の体が何体も床に並らべられている。「彼らが農場へ送り出される予定の老人達だ。ここが君が探していた所だろう」シオンダッシュが指さした。 完備されたオペレーンョン=ルームだった。ガラス窓ごしに私はそれをながめた。裸の人体が手術台に横たわっている。レーザー=メスか人間の頭部を切り裂き、マニュピュレーターが小さい機械を押し込んで、縫合していた。 「あれは」 「そう、あの機械が君が探していたものさ」 私は先日、自殺した男の頭の中からみつけ出した機械をとりだした。オペレーノョン=ルームのマニュピュレーターがつかんでいる機械と同じものであった。 「あれは何だ」私は尋ねた。 「私は、あの原住民のオペルームで、実験的に一つを犬に埋め込んでみた。どうなったと思う。ある時、犬は自分から石に頭をぶちつけて死んだ」「なんだって、犬が自殺した」「そう、あの機械は「自殺願望を起こす」ものらしい。それはゼルフィンの知らぬ事だ」 「そうか、いよいよ大詰めだな」 「そうだ」 「すまん、シオンダッシュ、頼むぞ」 私は小型の時限爆弾を手術室の側に隠した。 それから二人して、ゼルフィンの息を吹きかえさせる。彼は気を失った事すら気づいていない。 三人は小さなゲートをくぐった。再び、あの解放感が私を包んでいた。しかし今度は意識を失わ々かった。上の世界のピラミッド(上の世界と下の世界をつなぐ目に見えないリフト)を再び、私は歩んでいた。「おかしい。兵士が見当らんぞ」ゼルフィンが言った。我々はビラ々しドから外へ出ていた。機械で包み込まれた世界。組織と機構の世界へ私は再び足を踏み人れていた。 しかし、この世界はひと一人見当らず、閑散としている。 道路の方からホーバークラフトが走って来て、我々の前で止まった。兵士か一人降りて敬礼をする。「同志ゼルフィン、至急、高級市民最高幹部会ピルヘおこし下さい」 兵士はあえいでいた。顔が青白い。「一体、どうしたのだ。この町は」「疫病か急激に蔓延し始めたのです。恐ろしい速度で、、」 そこまでで言葉かとだえ兵士は急に前のめりに倒れた。「かい、とうしたのだ」 ゼルフィンが兵士を揺り動かした。が反応はない。「死んでいる」「どりやら、こいつも疫病で死んだようだ。恐るべき疫病速度だ」 三人は兵士の乗ってきたホーバークフフトに乗った。兵士の死体はそこへそのまま放置された。 ホーバークフフトは中央官庁街に一際目立ち聳え立つ最高幹部会ピルヘと向かう。 途中はまさに死のロードであった。死体が道側に無数に転がっている。死臭がした。死体を焼いているのであろう煙りがあちこちに見えた。遺体の処理が追いつかないのだ。 D25の作り上げた病原菌が、上の世界を飲み込もうとしているのだ。 高級市民最高幹部会のメンバーの前で、私とシオンダッシュ、ゼルフィンは立っていた。数名の男達が私達をなめまわすようにながめていた。側にはロボット兵が立ち、そして到る所から罵声が飛んできた。 「待て、それより先にゼルフィノの話を聞こり。とりあえずは疫病の方が急を要する。ノオンの制裁処置は後からだ」幹部の長老の一人、ラムリーが言った。 「やはり、マザーの推測通り、プランテーノョン36で、病原菌が穀物へ混入されていたのです」高級市民幹部会の会場で驚きの声がおこった。 「信じられない話だ」 「なぜだ。なぜそんな事をしたのだ」 「それを行った男は、我々の作りあげたノステムヘの復讐だと言 ってかりました」ゼルフィンは言った。 「何だと、マザーの作りあげたこの最高のシステムヘの復讐だと」幹部達は信じられないという顔をする。「まあ、それはいいではないか。それより、その男は、この疫病に対する治療法を白状したのかね」幹部の一人が尋ねる。インザダスト第9回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.04.05
コメント(0)
RUN遙かなる絆-ランナー●話は地球と月を結ぶ「ムーンウェイ」から始まる。ヘルムは、連邦軍「サイボーグ公社」ロードランナー。マコトは超能力者。2人は月で人類外の野望を砕く、新世界の人類の出現が始まる。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1867de/17/遙かなる絆-ランナー第17回 私は時の旅人。中国に諺がある。「邯鄲の夢」というものだ。人類の長い歴史も、 全宇宙の流れ中で、一瞬にすぎないのだ遙かなる絆-ランナー第17回●(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ マコトの体は、レーザーの光を受けた瞬間炎に包まれた。それは速度を増し、アムラーピラミッドヘ激突した。とみる間に、その炎はアムラーピラミッドの中に吸い込まれていく。 ついに聖火は、月のアムラーピラミッドに届いたのであった。 サムナーはまだ生きていた。一部始終を見た彼は、すべてを理解した。聖火はマコトだったのだ。そして聖火ランナーはヘルムというわけだ。サムナーの体を高速レーザー砲の光条が貫いた。「どうやら聖火が届いたようだ」マニが告げた。アムラーピラミッド玄室内空間に、大きな映像が浮かび上がってきた。映像として、地球が浮かび上がっている。小さな爆発が地球のあちこちで、ゆっくりと起こり始めていた。「ムニ、貴様、何を自分の部下「フイダイ」たちににさせた」「おわかりの通り、核爆発だ。私の手の中にあるフイダイを使って特攻させた。世界中にあるすべての核兵器を、爆発させた。すべての人類はね。自分の手で滅ぶんだ。いやもうほろんでるかも知れんと言っていいかもしれない」「いやはや、まだわかっていただけないのかね」「私は、地球を始原の状態に戻している。地球と月が一体化した。大いなる昔にね」「地球を「リセット」した。つまり地球を滅ぼして、新しい星と生物を生む」オットーは、滅びつつある地球人類の中覚醒した人たちは、自分たち生物の昔の記憶がよみがえる。のみならず理解していた。遠くからの恒星から来た星人が、一つの星を二つに分けた。一つは地球となり、一つは月となった。もともとが、地球と月は、一つの惑星なのだった。地球の上で人類が進化し、宇宙へ乗り出そうとした創造者であった生命体は、その地球の人類の姿を哀れんだ。●ロードランナー、ヘルムリッカートの意識は、「星間戦争」を思い起こしていた。そのなかで彼が被弾し、生き残るのった誰のおかげだったのだろうか。そして地球のロードランナーとしての能力が足り与えられたのか、リッカートという自分は、何かのパーツであり、使命を与えられた者であった意識が芽生え始めていた。ロードランナーとして、初めて地球から月へムーンウェイも自分の力で走りきった。その栄光は何のためだったのだろうか。防衛組織を作った地球人類。それが消滅しようとしていた。●マコトの意識は、2017年のエジプトカイロにおける「フイダイの襲撃」を思い出していた。うす汚れた民族服を着た二人の人間たちがの方たちをはじめとする。EDOのエスパー部隊達のいる研究所に、爆弾を投げつけた。●サムナーの意識もまた。炎の中で、自分の役割を思った。何故にサムナーはマコトと、ヘルムにカートと、解決しなければならなかったのか、他に更に何故に、長官オットーは。何のために、自分を送り込んだのか、ついには、スペースシャトルが攻撃一つ使われたのか、そもそも、月のピラミッド、アムラーピラミッドは何だったのか、65億の地球人類の意識は、滅び行く中で、自分たち人類の未来をそれぞれに理解した。この新しい、いわば「新地球」の上で、新たな生命として転生することを期待した。その瞬間は、地球のすべての宗教が持つ「煉獄と地獄」として、最終的には、「天国」を思わせるものであり、生命体としての滅亡の不安を解消しょうとしていた。アムラーピラミッドとは、「意識の時間装置」だったのだ。「マコト」という生命体が、「聖火」として地球から届いたとき、生成装置が発火したのだ。その方法は地球人類の聖者と呼ばれる人々が、存在した。イスラム教指導者のマニは、1956年から、フイダイを作り上げていた。一方、地球をこのまま形式で保存しょうとする生命体がいた。彼らは、自分たちの地球人類の生命を守る組織を作り上げた。地球防衛機構EDOである「オットー、君にも私の立場は分かるはずだ。ただ君は先住民といたからだ。私は、私の名は時の旅人。君たちの人類、中国に諺がある。「邯鄲の夢」というものだ。それとは一瞬の時になる。、君たち人類の長い歴史も、全宇宙の流れる中で、くらべてみれば。それは一瞬にすぎないのだ」(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.04.05
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/46/源義経黄金伝説■第47回★「源義経殿を大将軍とし、その下知に従がうのだ」北の帝王、藤原秀衡は死の床にあり、我子の泰衡、忠衡、国衡他の兄弟たちを呼び遺言を告げる。源義経黄金伝説■第47回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube■ 文治三年(一一八七年)一〇月二九日。北の帝王、藤原秀衡は死の床にあり、枕元に我が子の泰衡、忠衡、国衡他の兄弟たちを呼んでいた。「よいか、心して聞いてほしい」秀衡の苦しい息のの下から話し、息子たちは首肯した。「跡目は泰衡に譲る。よいか泰衡、平泉王国を守れ」 思いがけない言葉であった。泰衡は答えようがない。「……」 しかし、次の言葉が泰衡の心の中に、裏切りの心を植えた。「源義経殿を頼りにせよ」泰衡はすぐ反応している。「それはどういう意味でございますか、父上」 病床にいる父親に対して、怒りをあらわにしている。秀衡の言葉は、余計に泰衡を煽るのだった。そのいたらなさが、今度は秀衡の心を憂鬱にさせる。この泰衡が、平泉黄金王国を滅ぼすのか。なぜにこの父の想いがわからぬのか。秀衡は言葉を続けた。「源義経殿を大将軍とし、その下知に従がうのだ」「……」泰衡は、さらに急に不機嫌になった。「よいか、泰衡は不満であろうが、この俺が亡くなったという情報が入れば、鎌倉殿は必ず動く。鎌倉殿は、義経殿の誅殺が目的ではない。この平泉の黄金が目的なのじゃ。鎌倉、そして源氏、板東の武士どもはこの地の黄金をねらっている。絶好の機会なのじゃ。よく聞け。泰衡。それゆえ、義経殿を差し出しても、頼朝殿はこの平泉を攻めてこよう。心せよ、泰衡、忠衡、国衡、みな兄弟心合わせ、義経殿をもり立て、頼朝に対して戦え。藤原の百年が平和、後の世まで続けよ。平泉黄金王国のこれからはお主らがになう。この仏教平和郷を決して板東の者ども、さらには京都の王朝に渡してはならん。この奥州の地を守りぬくのだ。決して、頼朝殿の甘言、受け入れるではない。義経殿を差し出すのではない。よいな…。これが俺の遺言だ」劇抗した秀衡の声が急に途絶える。最後の気力でしゃべったのだ。「父上……」 息絶えている秀衡に、息子たちはをかきいだいている。 しばらくして「どうする兄じゃ」次男の忠衡が、たずねた。「父上の遺言のことか」「いや、そうではござらぬ。義経殿のことだ」「お前はどちらの味方だ、忠衡」 意に反して、答えはしばらく返って来なかった。「無論、兄者だ」 こやつは本当に私の味方なのか。安衡は考える。「それならば俺が下知に従え」「が、義経殿は、、」「よいか忠衡、我らが秀衡が子ぞ。由緒正しい子ぞ。それが義経ごときに従えると思うのか」怒りながら、出て行く泰衡である。 かわって、急の知らせを聞いた、青い顔の義経が走りこんで来た。 末期には義経はわざと呼ばれていない。が、泰衡は走り過ぎる義経を無視していた。「葬儀の準備だ」藤原秀衡の体は、中尊寺中見壇下に置かれ、この平泉の守り神となる運命である。義経は、秀衡の遺体をかきいだき、泣いている。「秀衡様、十六の時より、親以上の恩を受けさせていただきました。この恩、生きておられるうちにお返ししたかった」 義経は本当に涙を流し、嘆き悲しんでいる。片腕をもぎ取られた思いがしているのだった。 義経は父なるものに憧れていた。物心付いた時には、父は亡くなっていた。平清盛、そして藤原秀衡、源頼朝、後白河法皇、西行。すべて父なる人を想起して対してきた。そして、最大の危機のおり、最大の父なるものに死なれたのである。 義経は、惚けたようになっていた。源平合戦で、あれほどの戦術家だった武将の姿は、どこにもなかった。心が砕け散ったようだった。いまや、日の本には義経にとって、どこも安住の地はないのだ。 「なぜだ、親父殿」泰衡は思った。 なぜ、実の子の俺を可愛がってはくれぬのだ。奥州は我らが血の元で支配している。四代にわたって、京都の人間と戦こうたではないか。義経はいくら優れた武将とはいえど、実の子ではない。他人ぞ。おまけに京都の人間じゃ。源氏の人間。いかに奥州を源氏が攻めたか。兄の源頼朝と仲が悪いように見せて、何を企むのか分からぬではないか。奴らが欲しいのは、この奥州ぞ。それを西の人間の義経を信じるとは、どういうことだ。おまけに弟どもも俺に従おうとはせぬ。国衡など、義経を兄のように尊敬しておる。 なぜ俺を、京都へ連れて行ってくださらぬのか。親父殿、祖父殿、大祖父殿、皆、京都へ行ったではないか。なぜ俺だけのけ者にする。 京都に対する恨みと、義経に対する怒りがすこしずつ泰衡の心を、人格を変えつつあった。それは、とりもなおさず、奥州の危機であった。戦雲はすぐそこまで押し寄せている。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.05
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/45/源義経黄金伝説■第46回★西行と十蔵は、奈良東大寺にある総勧 進職、重源(ちょうげん)の前に立っている。源義経黄金伝説■第46回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube1ヶ月後、西行と十蔵は、何事もなかったように、奈良東大寺にある総勧進職、重源ちょうげんの前に立っていた。海上の道を進み、荷駄隊が黄金を届けていた。吉次の配下が行った。秀衡は安全な海上の道をすすめたのだ。大物浦(兵庫県尼崎市)についた黄金は淀川、山崎、奈良山の川道を通じて東大寺に届けられている。重源ちょうげんは西行を労い、感謝をあらわしている。重源は、西行が伊勢草庵に返った後、東大寺闇法師である十蔵を別室に呼んでいる。「何か変わったことはなかったか、十蔵どの」「はい、先ほどの西行様のご報告の通りです」 「ふう」 重源は、じっと十蔵の顔をのぞき込む。「十蔵殿、お主、ひとあたりされたな」重源は、西行という人間に影響されたと言っているのだ。「ひとあたりですと、何を言われます、重源上人様」「私は、のう、結縁衆の方々の報せも、聞いておりますぞ」重源は言葉を止めて、目の前にある茶碗をゆるゆるなぜている。「よいか、十蔵殿、お主の体は、すでにお主のものではないですぞ。よろしい、お主の体と心は、闇法師になった瞬間から、東大寺がものですぞ。それを忘れていだいては困りますの」「は…」重蔵は青ざめている。小刻みに体にふるえがきた。「ふふ」重源は、ねずみをいたぶる猫のつもりか、十蔵の顔を覗き込んだ。「まあ、よろしかろう。お疲れでございましょうな。さぞかし。ふふ、ではお下がりなさい。西行殿の動きは、これからも逐一報告くだされよ。よろしいですかな。十蔵殿よ、ふふ」「わ、わかりもうした」 ほうほうの体で、十蔵はあわてて重源の前から消えた。 内心の動揺は、重源に見透かされている。「あれでよろしいのですかな、はたして、、」 勧進を手助けする若き僧、栄西が障子のうしろから茶碗を手に、重源の前にあらわれている。重源はゆっくりと、それに答えず茶を飲む。「ふふう、相変わらずうまい茶だな。のう、栄西殿、良薬、良薬、いや、人が人にあてられるという事は、ご存じかな」「重源様、はて、面妖な。人にあてられる事ですと。一体、それは」「十蔵がことですよ。あやつ、西行殿という劇薬にあてられたかもしれませんな」「西行殿が劇薬。ははっ、重源様は、面白いことを言われる。西行殿を、我々が結社に取り入れておいた方が、よかったですか」 重源は少し考えていた。「ふむ、いや、少し、それは遅すぎたかもしれませんのう、西行殿は、みづからの結社けっしゃをおもちだわ。ふふ」重源はにこりと微笑んでいる。「いずれ、私が鎌倉にて、我らが結社の分派を、作り上げましょう」栄西が上機嫌で、決意を新たにした。「ほほ、それはよき考え。私も、宋の陳和景を鎌倉へいかしましょうぞ。それに掘り師たち、運慶殿、快慶殿らも、この東大寺が仕事が終われば、鎌倉まで取りよこします」「ふふう、板東の要塞都市、鎌倉を我らが支配する。面白く楽しい、身震いいたしますな」「いずれ、西行殿は、奥州平泉をそのようにしようとしていたらしいが、西行殿は少しあの平泉王国、いあや、奥州藤原家に入れ込み過ぎましたな。やはり、西行殿はのう、桜の花が、、好きだからのう。ふふ、、」「西行殿は、やはり、散り際の見事さをお考えでございますな」「さようよのう、西行殿は、所詮は、残念ながら、北面の武士あがりですのう。我々のように、武士上がりでも、比叡の山や宋に留学にいき、選ばれた学僧になった者ではありませんから」「それも道理でございますな。それでは、重源様、私はまた宋へ行って参りますぞ」「おお、今度お帰りになる時は、大仏殿は完成していましょう」「それに、」栄西は少し考えて、「重源様。頼朝殿からも、金を出させねば仕方ありますまい」「そうですな。頼朝殿も、我々の前で、砂金を差し出すという大見えを、切ってもらわくてはなりませんからのう」重源、元の名は紀重定きしげさげ。東大寺、仕度一番。紀家は、古代貴族大伴家の血をひく技術の家。家の歴史が違うのである。東大寺の二人の勧進僧は、お茶釜を前にゆっくりとほほえみを絶やさず、前にある湯気のたち込めるお茶を飲み干している。■鎌倉には、西行襲撃失敗の報告が早馬で届いている。「西行を追った我が手の者、かえって参りませぬ。どうやら、返り討ちにあったようでございます」大江広元は、策の失敗を頼朝に告げた。黒田悪党、次郎左達は大江の支配下に動いていた。「むむう、役に立たぬやつらじゃ。して、西行は。そして沙金は」 頼朝は、顔を朱に染めて尋ねる。「どうやら、西行は、いまだ平泉から動かぬ模様です。沙金については、行方しれずとのうわさ」「待てよ広元、我が手配の者ども失敗したといいうたな」「左様です」「では、砂金の行方は、おかしいではないか」「あるいは、他の賊がが奪いにきたか、あるいは秀衡に対して西行が嘘をつおいているか」その時は、雑色が入って来る。「藤原秀衡様の沙金が、鎌倉に届きました」「して、その荷駄隊に、西行なる法師おったか」 広元は尋ねた。「いえ、多賀城の商人吉次の荷駄隊と聞き及びます」「吉次の……」「西行の沙金いかがいたしたか」「いずこかに。今日の荷駄は、恐らく平泉の別動隊。秀衡もやるものです。一杯食いました」「ならば、西行の荷駄隊は目くらましか」 「いつくかの荷駄隊を送り出した可能性もございます」 二人は策につまり急に黙る。「のう広元、一体、後白河法皇はどのような話を、西行に伝えたのか」頼朝が別の考えをしめいしゃ。「あるいは秀衡殿と、義経殿が手を結び、この鎌倉を攻めよとか」「秀衡殿、動くかどうか」「今、あの平泉は義経殿が戻ったことにより、秀衡の和子たちが命令にしたがいますまい。秀衡の子供のうち、特に泰衡は、腑抜け。とても秀衡の後を継げる器ではないと聞いております。泰衡を一押しするのです。義経を渡さねば、鎌倉の軍勢が平泉を攻めると」 広元は一番恐るべき、そして考えられる策を述べる。「その一押しも、この鎌倉ではなく、京の法皇から出させた方が面白いかもしれぬ」「まこと、さようでございます。平泉王国、内部から崩壊させるのが得策」 広元は、頼朝の案に賛意を示した。「広元。わざわざ義経を見逃し、平泉に入れたのも正解かも知れぬのう」 意外な言葉であった。頼朝は、わざと、義経を逃がし、どうしても奥州へ逃げて行かざるを得ないようにしたというのだ。「まこと、これは頼朝様にとって、義経殿、秀衡殿、大天狗殿(後白河法皇)の三者を一度に追い詰めて行くのに好都合でございましたな」 この時期に、三者を纏めて滅ぼそうという案だった。「では、もう一手打つか」「はて、その手は、平泉の内紛を起こすための……」「そうだ。泰衡の舅殿、藤原基成殿を動かすのよ」「おお、それはよい手でございます」広元、手を打った。「秀衡殿亡き後、基成殿は泰衡殿の政治顧問、義経殿のことよく思っておりますまい」■ 京都でも、後白河法王と関白の九条兼実が策を練っている。「さあ、どうだ、兼実。お前なら、どちらを取るかだが。秀衡か、頼朝か」 かすれ声で、後白河は言った。「法皇様、そのお声いかがなされました」「いや、また、ちと今様いまようをうたいすぎてのう。声が嗄れたわ」今様好きのの法王は、こんな折りでも今様はかかさぬ。生活の一部である。「秀衡、頼朝の事、法皇様のことでございますから。両天秤をかけた上、各々方策を取っておいででしょう。どちらにころんでも安全なように」 疑い深く兼実は答える。貴族の長らしい安全策をのべる。 後白河は、ふうと溜め息をついたようだった。「よう、わかったのう」「それはそれは、麿はいつもお側にお仕えしている身でございます。そのくらいのこと読めずにいかがいたしましょう」「ともかく、兼実、朕は、あの武士どもが嫌いだ。なにか策を考えよ」 心の底から、後白河法皇は武士を嫌っているのである。続く2015改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.04
コメント(0)
IDインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4689gf/8/インザダスト第8回■D25は自分の計画と上の世界への復讐の思いを私シオンに告げて逝った。すべて上の世界からの命令を受けたゼルフィンの攻撃によるものだ。そして影の男。彼は私を驚かせた。インザダスト第8回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutubeD25はゼルフィンに言った。「そう、俺が穀物に細菌を添付したのだ」「それで、お前はそれに対する治僚薬も考え出したのだろりな」 D25はゼルフィンの方へ体を向け、ほほから血をしたたらせながら、例のにやり笑いを見せた。「残念だが、ない」一言しゃべる度に口から血がしたたり落ちる。「何だと」怒ったゼルフィンがD25の下腹をけり上げた。D25は床に血ヘドを吐く。「下の世界にしか存在しない病原体た。上の世界では手の施しようかあるまい」「きさま、老人ではないな」ゼルフィンが絶叫した。顔か紅潮している。影の男か言った。「きさまのおかげで、何人もの若人が死んでいるんだぞ。何も感じないのか」「思わないね。これは俺の、この社会ンステムヘの復讐だからな」「復讐たと」「この社会システムのおかげて多くの友人達か、下の世界に絶望して死んでいったんだ。それに俺の恋人も、、、」 私シオンは、彼D25の部屋で見た写真を思い出していた。 「それは彼らの可能性が消滅したからさ」 「違うそ。ポテンンャルかある者もダスト=ンュートヘほおり込まれた。マザーに対する危険分子としてな」D25は泣いていた。 「こんな所で時間をくっているわけにはいかん。病原菌について、彼のラボのコンピューターからデータを収集しょう。それから対策をねろう」ゼルフィンが言った。 「このD25はどうします」影の男が言った。 「もうこの男D25に用はない。処分しろ」 「待て」私は思わず叫び、レイ=ガンを腰だめにして管制室へ飛び込んでいた。 影の男がこちらへ顔を向けた。 「お前は」その男は、私と同じ顔をしていた。 「私は君たよ」その男は静かに言った。 「………」 横からゼルフィンが口を出した。 「驚いたかね。シオン。この男もシオンなのだ。シオン=ダッシュと言った方かいいか。この下の世界へ降下する前、高級市民最高幹部会の依頼を受ける前に君はかなり悩んだはずだ。君はマザーに対して疑問を感じていたからね。苦しみ夢をも見たはずだ。それが君の家の個人コンピューター回路がリレーして、マザーに伝えられたのだ。君の思考を読みとったマザーは自己自衛機構を作動させた。マザーに対しての君の思想の危険性をチュックし、それから推論した」 目の片隅でD25がゆっくり動いているのがわかった。彼は床の下にある小さなレッド=ボタンを押した。長弁舌をふるっているゼルフィンは気かつかない。「それゆえ、マザーは君の部屋にあった皮膚の一片からクローン人間を造りあげたのだ。彼がそれだ。このシオン=ダッシュは上と下の世界の秩序を保全しようと努力している。彼シオン=ダッシュは私を助けるためにこの世界へ私と共に降りて来ていたんだ」 「近よると、射つぞ」私は叫ぶ。 「ほう、射ってみたまえ。君にこの私か射てるのかね」シオン=ダッシュが冷たく言った。もちろん、私に彼枝が射てるはずがない。 2入の対決に気をとられていたゼルフィンにD25が死力をつくして飛びかかった。 「Z88、逃げろ、このタワーから逃がれるんだ。自爆装置のスイ″チをいれた。こいつらには病原体の事は探り出せないんだ」 D25は叫んだ。ゼルフィンはD25ともみあっている内に銃を放った。D25はうめいた。肉のこげる臭いがした。D25の右肩が完全に炭化している。その時、私シオンの銃をシオン=ダッシュがたたき落とした。 D25はわずかに頭を持ち上げた。「無念だ。Z88。過奈良津この下の世界を楽園にシてくれ。頼む、、、」D25ha私にそう言い残して逝った。「残念だな。シオン。それじゅあ俺達と一緒に上の世界に戻ってもらおうか。時間がないのだ」 エレベーターで降下しながら、私はゼルフィンに尋ねた。口にするのも恐るべき事だが。「ゼルフィン、お前、下の世界から老人を一掃するつもりではないたろうな」 ゼルフィンは鼻で笑った。「ふふ。よく感ずいたな。その通りさ。そう最高幹部会とマザーに提案する。これより先、下の世界では老人を使わない」「それじゃ、老人はダスト=ノュートからどこへ投げ出されるのだ」「回収不能の宇宙空間へだ」「くそっ、老人を皆殺しにする気か」「我々、上の世界が生き残っていくには、切々捨てる事も必要だ」「それじゃ、食糧の確保はどうするつもりだ」「原住民の頭脳をもっと進化させる。それにロボットを補助させれば、事は足りるはすだ。さあ、もうわかっただろう。もう君が手を出す段階ではないのだ」 タワーの下に軍用ホーバーぞフフトかやってきていた。原住民の姿は消えていた。「この世界の見収めになるだろう。よく見てかけ」 後から二台の武装ホーバーぞフフトか続く。内には戦闘ロボットを満載している。 大きな爆発音と閃光が襲ってきた。インザダスト第8回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.04
コメント(0)
RUN遙かなる絆-ランナー●話は地球と月を結ぶ「ムーンウェイ」から始まる。ヘルムは、連邦軍「サイボーグ公社」ロードランナー。マコトは超能力者。2人は月で人類外の野望を砕く、新世界の人類の出現が始まる。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1867de/16/遙かなる絆-ランナー第16回■空間ジャンプした地球防衛機構(EDO)長官オットーは、月の「アムラーピラミッド」内部で 旧い知り合いの預言者マニと、地球の過去の話をする。遙かなる絆-ランナー第16回■(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube地球防衛機構(EDO)長官オットーは、月の「アムラーピラミッド」内部でくちごもる。「そいつは」「いえまい、君は、自分の意識を、古い先住民人類の意識中に閉じ込めているな。君、オットーが、恐れてことは地球が「始原」に戻ることだな」預言者マニは、オットーの答えを待つ。「地球人類使ってどうしょうとした、、古いタイプの宇宙征服の話か」「残念だったねオットー。私マニは君オットーにチャンスを与えるはずだった」「チャンスをだと」オットーは、いぶかしげに言った。「最後の世界の王。地球の王になるチャンスをね」「月と地球が結ばれた。これはどう意味か。オットー、分かるかな」「月資源も地球の産業に寄与させるためだ」「ここ、アムラーピラミッドをジャンプ地点として考えてくれ、地球人類は外部宇宙に、ジャンプするチャンスを持っていたのだ」「宇宙にジャンプするだと」「そうだ。いいかね。私マニは、地球人類史上、最後の予言者のだ。私のまえを、キリスト、ブッタ、マホメット。すべての予言者が過ぎ去っていった。最後と言われマホメットのそばに、私マニは、暮らしていた。「君とは、大昔から何度もあっているよね。異なる人間の顔としてね」オットーは、まだ黙ったままだ。「モンゴル帝国のプラグとしての君は、私マニを捕まえようとした。あれは、西暦1256年だ。私の持つ、世界の王のしるしを、取り返すのためにね」古代から世界の王となろうして者は、王者の印を獲得しょうとした。プラグとしての君は、私を捕まえようとし。それに失敗した。モンゴルは、私から「世界の王の印」を捕まえ損なったために、ヨーロッパを征服できなかった。世界帝国は、目前だったのだよ。揚子江から、ジブラルタルまで、すべてのユーラシア大陸を征服するはずだった。古代から、多くの者が、世界の王になろうと挑んできた。アレクサンダー、モンゴル、チムール、ナポレオン、スターリン、ヒットラーとね。オットー。君は、世界史上で、転生を繰り返し、常に、「世界の王」になろうとした男のそばにいた。アメリカ合州国が、この地球世界を制し、宇宙空間に乗り出した折、君は今の組織を提案し、まんまと地球防衛機構(EDO)の長官の職を手にした。そして、今、この2016年、このアムラーピラミッドで再開を果たしたわけだ」オットーの表情が変わっていた。「そうだ、私がわざわざここアムラーまで来たのは、君から「王の印」をもらい受けたいがためだ」(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.04
コメント(0)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/44/源義経黄金伝説■第45回★西行を奥州に旅立たせた後白河法皇と、京都公家政治の代表たる寵臣の関白、 藤原兼実は、京都にて企みをねっていた源義経黄金伝説■第45回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube後白河法皇ごしらかわほうおうは望みもせず、運命のいたずらで帝位にあがってしまった天皇であり、上皇であった。 若い頃より今様に打ち込み、政治のことなどはまったく知らぬ政治を治める天皇の器には程遠い、ほうけもの、不良少年、不適格者であると見なされていた。 このあやまって天皇になってしまった三の宮が、日本最大級の政治家になろうとは、京に住む公家の誰もが思わなかったに相違ない。「あの、ほうけものが…」というのが、貴族の一般的な反応であった。 遠くに見える比叡山を背景に人々のざわめきや歌声が響いていた。 後白河法皇の宮殿である。この時期、法皇はよく宮殿を移動している。部下の貴族の邸宅をそれとした。後白河法皇は、今、もの想いにふけっている。法皇にとっては、頼朝は、単なる地方の反乱軍のひとつにすぎす。平家六波羅政権を打ち倒す方策にすぎなかった。それが坂東平家・北条にとりこまれ、このような大勢力になるとは、思いもよらなかったのである。法王が仕掛けた手紙による爆弾は次々に効果を産み、日本全土を混乱のちまた。京都王朝始まっていらいの動乱へと導いていた。朕が悪いか?いやいや、そうではあるまい。崇徳すとくだ。あの兄の怨霊が、戦乱・地震・飢餓を次々と呼び起こしているのだ。保元元年(1156年)兄崇徳すとくを讃岐に流し、8年後亡くなっている。世に言う保元の乱である。京都鴨川の河岸には、鳥べ野で処理できない死体の山がはみだし、川が氾濫する度に、腐乱した人間であったもの腐乱した肉片が陸地におしもどされて腐臭を放ち、犬や烏が群れをなしてがそれをついばんでいる。混乱の京都から、何人かの貴族流れものが行った。大江家がこれほどになるとは、、法皇はため息をつく。それに比べて、朕の傍には、、、よほど才能というものが、この京あたりには枯渇しておるらしい。いつも考えているのは坂東・奥州の位置づけの問題なのである。征服王朝である京都王権にとっては、この両地方のバランスが大切なのである。源頼朝はこの両地方を手にいれようとしている。それは許しがたい。何らかの方策が、、ひとつは西行。もう一つは義経。どう転ぶか。予断を許さない。ましてや、西行の計画は法王自身の精神問題にもつながっている。怨霊である。近頃崇徳ののろいが、、苦しめている。憂さ晴らしとして、今様を歌ざるを得ない。騒がざるを得ない。しかし、時代は代わってしまったものよ。法皇は京都政権を守らねばならなかった。武士はとは、殺人をないわいとする職業集団。いみ嫌うその集団を、北面の武士といういわば、親衛隊をつくり自分を守らねばならない。その矛盾はある。後白河は、26年前、頼朝の事は覚えている。頼朝の父を、この平安京始まって以来。殺人刑に処した。あの折の頼朝の表情は覚えている。たぶん、朕をうらんでいるであろう。文覚もあの折には、、、 今、後白河は、白拍子たちを集め、宴を開らこうとしているのである。白拍子は流行歌手であり、今様は流行歌であった。「殿下、もっと見目形のよい白拍子を呼ばれた方が…」 関白、九条兼実(くじょう・かねざねー摂関家の藤原忠通の六男、九条家の祖)が、その甲高い声で言った。「乙前おとまえのことか。兼実は不思議に思うであろうな。あの八十才にも手が届く白拍子を俺が呼ぶのを。が、兼実よ、人の値打ちは見目形や身分や年ではない」「で、何でお決めになると」「才だよ」「はっ」「才能だ。あの乙前は、今様を数多く謡えることにかけては、当代並ぶものもあるまい。この才においては、兼実、お前ですら、及ばないであろう。それに…」 後白河は、思わず言い捨ててしまいそうになる。氏が何になろう。人間の世は才能よ。それも天賦の才に加えて、才を磨くことに長けたものが生き残ることができる。現に朕がそうだ。 その才能という武器に、お前は気付かぬのか。兼実、所詮、お前は藤原の貴族よのう。「それに、何でございましょう」 やや、惚けた顔で、兼実が尋ねた。「よいか、今様は、民の心の現れだ。民の心知らずして、何ゆえにこの俺は頼朝や秀衡と比べても、民の心がわかっておるだろうて。ましてや、この民の心の歌を書物に纏めて後の世に残して置こうと思うのだ」「ご立派なお心でございます」 民のことを考えるだと、恐ろしいことを言う方だ。この法皇は、今までの院の方々とは少しばかり違う。考え方が桁外れだ。私も考え方を変えねばのう。いままでの院や天皇のように扱うことはできぬ。「よいか兼実、殿上人は申しているであろう。法皇は下々のこともとてもお好きじゃとな。が、この世の中は殿上人や武家だけのものではあるまい。世の中は民で成り立っておるのだ。後の世に名が残るのは果たして朕か、頼朝か秀衡か」「それは法皇様でございましょう」 兼実は追従を打った。が、後白河はにやりと笑い、その大きな目を向け、大きな声で言った。「いや、むしろ兼実、お前かもしれんのう」 法皇は笑みを兼実に返した。が兼実は心の奥底にこの冷たいものを感じた。しかし、法皇はもう兼実を見てはいなかった。西行は、奥州に旅立つ前に、法皇を訪れて何かを相談していたのだ。 その西行が出て行った後、京都公家政治の代表的人物である後白河法皇とその寵臣の関白、藤原兼実は、西行に頼んだ企みを毎日のように話し合っている。「どう思う。兼実、あのはかりごとの可能性は」「あくまで平泉の秀衡殿の心次第でございましょう。秀衡殿の黄金と東北十七万騎、加えて義経殿のあの武勇、三つ揃いましたなら、鎌倉の頼朝殿も危うございましょう」「そちは義経びいきじゃからのう。が、安心はできまい」「と申しされますと」「鎌倉の頼朝には、大江広元おおえひろもとという知恵袋がついているからのう。まあ、よい、いずれに転んでも、朕に腰を屈せねば、この日の本の政権は維持できまい」「誠にその通りでございます、法皇様」「ふふう。さよう、頼朝ごときは俺を大天狗とか呼んでおるようじゃが、俺は天狗どころではないぞ」「法皇様、天狗といえば、あの弁慶べんけいはどうしておりましょう」「さよう、弁慶もくせ者じゃ。何しろ、あやつの背後には、全国の山伏の群れがついておる」「あの弁慶はたしか、法皇さまの闇法師だったのでは……」「そうだ。昔はのう」「あの弁慶は、どちらの味方をするか、決めかねておるのでございますね」「さよう、あやつら山伏も、古くは持統帝の頃より情報網を、この日本中張り巡らしておるから恐ろしい奴らだ」「彼らの唐より伝わる武術書『六闘』(りくとう)からあみだした武闘術恐れねばなりますまい」「そうだ。今はともかくは西行の報告をまとう」法皇は院御所に植わっている桜の木を見て言う。「ところで、兼実、桜がなかなかきれいだのう。一節歌うてみるか」「はっ、これ、誰か白拍子をこれへ。ほんに法皇様は今様(いまようー当時のはやり歌)がお好きだ」 白拍子の一団が、庭に入ってきた。「兼実、これも我が書物、梁塵秘抄のためだ、書物のためだ。皆歌え」 梁塵秘抄は法皇がまとめている今様の歌集である。 白拍子も、法皇も歌い始める。「おお、これは乙前、朕が師匠殿、一節たのむぞ」 白拍子の乙前が目の前にいたのである。「乙前、今日はどんな歌だ。はよう謡ってくれ」 乙前はろうろうと歌い上げた。年を感じさせない。「おお、それはどんな者が謡っておのるだ。詳しく聞かせてくれぬか」法皇は今までの兼実に見せていた顔と、違う面を見せている。それが、兼実には恐ろしくもあった。この法皇は底知れぬ。「ほほ、ほんに法皇様は歌がお好きですこと」「乙前、この世の中で、今様が一番好きなのはこの朕だ」「ほほう、殿下はおもしろいことをいわれますなあ」 乙前は、ほとんど歯の残っていない口をみせた。 突然、乙前は歌を急にやめる。「法皇さま、西行さまは、、、」怪訝な顔つきである。「そういえば、乙前と西行とは知り合いだったのう」「さようでございます。西行殿の外祖父様、源清経殿は我が母を囲っておりました」「そうだった。源清経もわしの今様の師匠だ。悪ういうではないぞ」 源清経は目井めいとその養女乙前を囲っていたのだ。続く2014改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.02
コメント(0)
IDインザダスト■私Z88は自分の記憶をなくして、何かの牢獄に入れられている。ここはどこか、 いつの時代なのか記憶がないのだ。しかしそこは階級社会であった。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4689gf/7/インザダスト第7回 ●私シオンは、D25を助けようとして、プランテーションに向かうが、農場は燃え上がり整備は破壊されている。上の世界秘密工作員ゼルフィンの仕業だ。インザダスト■第7回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube 私の下の世界にひろがっていく案に反対し、さらにそれを理由に、現体制に対する危険分子として私を高級市民最高幹部会から追放しようとした。 マザーコンピュータが、上の世界の疫病の原因を調べるために下の世界へ降下せよと命令したのだ。私はちゅうどいい機会だと思った。そして私シオンはマザーコンピュータに対する疑惑を確信するにいたったのだ。■Z88と名付けられていた私は、原住民からレイガンを取り上げ、全住民がいる洞窟の奥へ人っていった。 そこには医学設備が整っていた。もちろん脳外科関連のものだ。コンソールやパネル類が所狭しと並んでいた。 原住民の知能を人為的K進化させていたのだ。その作業を行なったのは誰か、私にはわかっていた。ゼルフィンだ。ゼルフィンはこちら側のピラミッド、つまり受け皿の事を知ってステーションk86を完全に破壊するつもり左のだろう。いるだろう。そこのコンピューターと上の世界のマザーコンピュータはリレーされているはずだ。そこを調べねばなるまい。 ゼルフィンを見つけ出すのだ。私は急いでプランテーノョン陰86へ戻る事にした。が方角がまったくわからたい。私は原住民の一人の息を吹き返らせた。 乗物かなくプランテーションまで原任民を先導させて歩くのは一苦労だった。 しかし、やがてどプランテーションの方向が私にでもわかるようになった。空の一部が明るくなっていたからである。 農場が燃えあがっていた。 境界線のトーチカがあちこちで破壊されている。案内役にしていた原住民は、私が農場の有様に気をとられているすきに逃げ去ってしまった。私は彼を追うゆとりがなかった。 我々が手間ヒマかけた穀物が、畑が、灰になっている。私は収穫の塔へ向かう。途中、作業用ロポツトが、吹き飛ばされ、あちこちに転がっていた。 一台、まだ壊れていないキャリアーを見つけた。私はキャリアーに乗り、収穫の塔を目ざした。タワーに近づく程、破壊の有様がひどくなっていく。 私達の仲間、数名の老人が倒れていた。ゼルフィンはプ’フンテー いやな予感がする。 収穫の塔の前に散人の原住民が群がっていた。そこで、私はペンダントを用い、彼ら全員を気絶させた。エレベーターに辿り着色、最上層の管制室へ上っていく。私は気がせいて廊下をひた走る。人の声か耳に人ってきた。 とうやらゼルフィンとD25の声だ。半開きの扉の陰に潜んでそっと中をうかかった。誰かもう一人いる。 「いいかげんに白状しろ。証拠はあがっている」ゼルフィンが声をあらげている。 床に転がっているD25が弱々しく応えた。どうやら拷問を受けたらしい。一人の男の顔は見えない。その影の男が言った。「お前は、上の世界で疫病をはやらせた事は認めるな」インザダスト■第7回(1986年)SF同人誌・星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
2021.04.02
コメント(0)
全54件 (54件中 1-50件目)