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SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/9/ 聖水紀ーウオーター・ナイツー第9回■ロイド達反政府組織レインツリーの前に聖水騎士団フガンが現れ、歌姫ベラと奴隷船の漕ぎ手シマを返せという。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第9回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 「どうした、何があったのだ」 「大変です、チーフ」 息を切らせてその男は叫ぶ。雨がその男の顔といわず、頭といわず激しく降り注ぐ。 「騎士団員です、騎士団員がここに」 「なぜ、ここがわかったのだ」 ロイドの手の中で男は崩れ溶ける。 「聖水がかかっていたのか」 ロイドの方へ、雨足のけぶる中、また誰かがちかずいてくる。 「誰だ。ハーマンか」 ロイドは仲間の名前を呼ぶ。 「残念ながら、ハーマンではありません」 やさしい声がかえってくる。 「誰だ、きさま」 ロイドはいぶかって相手をみようとした。ぬっと新手の男が登場する。 大音声で名乗りをあげる。 「ふふ。初めて、お目にかかります。私は聖水騎士団員、レオン=フガンと申します。以後、お見知りおきをいただきたい。歌姫ベラ、さらに奴隷船こぎ人シマをいただきにまいりました。おとなしく渡していただきましょうか。もし、だめとあらば、この私の聖水剣の舞いをご覧にいれましょうか」 「きさま。ひとりでここへ」 「そうです。失礼にあたらねばよろしいのですが」 「いい度胸だ。が、どうしてここが、」 「職業上の秘密ですといいたいところです。、まあ、サービスしましょうか。聖水がすこし彼女にかかったのですよ。その聖水がこの場所を教えてくれたのです」 「あの少量の聖水が」 「そうです。ああ、それについでに申しあげておきましょうかね。その聖水は私が先刻、研究所からいただきました。私に所有権はありますものですからね」 「くそ、聖水を返してもらおう」 「わからない人ですねえ。私たち聖水騎士団に所有権はあるといったでしょう。それより、ベラとシマを渡してくださいませんか。それに付け加えますと。あなたがた「レインツリー」を滅ぼすのは時間の問題なのですよ」 フガンはあたまりまえのように言う。 「フガンとやら、我々が簡単にベラとシマを返すとおもったか。この基地で、きさまから聖水を奪い取ってくれる」 「お手並みを拝見いたしましょう」 フガンはニヤリと笑う。聖水剣を引き抜いていた。建物からベラが飛びだしてきた。 「ロイド、無謀よ。彼は聖水剣をもっているのよ」 「これはレディ、またお目にかかりましたね。 聖水騎士団レオン=フガンです。聖水の命により、あなたを貰い受けにまいりました。すぐさま、聖水のみもとに」 フガンは歌姫ベラの方に手をさしだしていた。 「笑わせてくれるわね。フガン」 ベラはフガンの手を打ちすえる。 「私のお願いを受け取っていただけない。寂しい限りですね。わかりました。それでは力ずくで、あなたをさらつてまいりましょうか」 「フガン、いい度胸だ、まわりを見ろ」 ロイドが叫んでいた。フガンのまわりを「レインツリー」のメンバーがとりかんでいた。 「これは、これは怖そうなおにい様方ですね」 「フガン、へらず口をたたくのもこれまでだ。我々の包囲陣、やぶれるか」 「何」フガンは聖水剣をむけた。が、聖水が彼らにとどかない。 「ここれは」 「フガン、我々が何故、このような多雨地帯にいるのか、わかるか」 「さては」 「きさまの想像どうりだ」 水にたいして水を使う。地球の水がレインツリーの呪術師の念力によりバリアーとなっている。 分がわるいとフガンは判断する。彼は臨機応変フガンは一瞬飛び上がり、ベラの真後ろに着地した。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第9回SF小説■聖水紀■(1976年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.30
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/4/ ドリーマー・夢結社■第4回Kは、タワーを破壊し飛び降り、夢の島にむかった。 ドリーマー・夢結社■第4回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ チバポートタワーにいるハンターと呼ばれる男の一人がKに怒鳴る。「寝ぼけるのはよしてほしい。さっそく本題にはいろうじゃないか。お前のマスターの居場所を教えてもらいたいな」 「わからない、何の事をいっているのかわからない。ドリーマーハンター君達は人違いをしているんじゃないのか」「それじゃ、聞くぞ、お前は誰だ」 「……」Kは言葉につまった。 「鏡を見てみろ」いきなり他の男がKの眼の前に鏡を突き出した。 「これは……」Kの目や鼻がうすぼんやりと映っている。はっきりとしていない。カメラのピントがあっていない感じだ。顔の輪郭が崩れかけている。「そうだ。まだドリーマーとしてのアイデンティティがはっきりしていないのだ。お前は消えかけてい るのだ」 「うわあーつ」 恐怖だ。これを恐怖といわずに何と言おう。 Kは大声をあげていた。その声は部屋のあらゆるものを振動させた。「くっ、こやつは……」 声は超音波の域に達していた。 「やめさせろ、そいつの口を閉じさせろ」 男達は部屋の中でのたうちまわっている。部屋は音の拷問室となっている。 声の振動でタワーの強化ガラスに亀裂が走った。Kの眼にそれがうつる。Kはそのガラスのひびわれた部分に体ごとぶつかっていった。 誰かがKの体をつかもうとしたが、それを振りはらいKはタワーの外部に飛び出す。激しい音がし、Kの体は千葉を見渡せる空間に浮かんでいる。 太陽の光で粉々に飛び散ったガラスの破片がきらめく。 同時に亀裂がチバポートタワーの展望室あたりへ広がっていく。いまやチバポートタワー自体も震動していた。 kの声が武器なのだ。Kはチバーポートタワーを大破壊した。 ボートタワーの上部から割れた強化ガラスの破片の群れがなだれの様に海へ落ちていく。 すでにKは海面につっこんでいた。東京湾の水は冷たかった。上からガラス破片の滝が襲う。Kは、深く水中にもぐり、流れに巻き込まれないように動く。 ■東京湾の上では初秋にもかかわらず、ウィンドサーフィンをやっている若者達がいる。 サーファー達は、チバポートタワーから崩れおちてくるガラスの破片の滝から逃れようとした。が、間断なくなだれ落ちる滝の様なガラスの破片にのみこまれていく。人間の体がバラバラになり血の海と化す。 Kは乗り手のないウィンドサーフィン機器の端をつかまえた。ボードの上に乗る。ア″プホールーラインを握って倒れていたマストをもちあげる。ブームをつかむ。Kは容易にウィンドサーフィンをあやつっていた。チバポートタワーの崩壊のガラス破片の滝からのがれたのだ。 なぜだ。俺はこのウィンドサーフィンに乗れるのだ。Kは自問していた。やった事があるのか。 それに奴らは自らを「ドリーマーハンター」と名乗っていたが。何者なのか。俺はドリーマー? 疑問が次々とわいてくる。が、とにかくここを離れよう。 ■ウィンドサーフィンは西へ向かっていた。東京湾西には夢の島がある。 Kは彼が勤きまわるにつれ。世界が出現し。また消滅していることに気づいていなかった。 Kの体を中心にして50㎞の範囲にしか世界はなかった。50キロの圏外は無であった。 ■しかしながら、50キロの範囲で東京湾上に黒い管があがっていた。潜望鏡だ。国籍不明の潜水艦が東京湾に潜り込んでいるのだ。 潜水艦指令室で潜望鏡をのぞきこんでいる男がいる。 その男は艦長の方を向いて言った。 「彼はどうにか自分の進むべき方向を知っているようだな」「でも、完全には覚醒していないようですね」 艦長は答える。「ふっ、そのようだ」 そう言った男の顔には表情がない。男は仮面をかぶっているのだ。その仮面はイタリアのカーニバルでつかわれるもので、笑いの表情だ。 「よし、艦長、Kの後をゆっくり追ってくれ、多分、行きつく先は夢の島いやドリームーアイラソドだろう」 ■Kは風向きにあわせて器用にウィンドサーフィンをあやつっている。 千葉港から東京湾を横切って。対岸の東京に近づきつつあった。高層ビルのすがたがはっきり目に入ってくる。東京ベイアイランド群だ。 海岸が見え始めた。海岸ぞいに複雑な形をした建物が目にはいってきた。 何かの工場だろうか。Kは知らなかったがここはドリームーアイランド、夢の島なのだ。 ここでは今、子供達に夢を与えるための人形が作られていた。子供達は自分の夢を人形を前にして語りかけるのだ。すると、人形ドリームドールは彼らの精神をその望んだ世界へ連れていってくれる。これをドリームトリップと呼ばれていた。 人形はドリーム‥ドールと呼ばれ、子供達だけでなく大人もほしがった。 そしてその人形にとりつかれた子供たちがドリームチャイルドなのだ。 ドリームチャイルドのうち成長しても、ドリームドールから離れられない人間がいる。 それがドリームドールを操るトリーム・マスターなのだ。トリーム・マスターの強力な精神力は自分自身の夢の中から、生身の人間を具現化し現実世界へ呼びよせた。 それがドリーマーなのだ。 ドリーマーとは、他の人間の夢から生まれた人間。そう、存在すべきはずがない人間なのである。 ドリーマー・夢結社■第4回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.26
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KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/7/ 「洪水」ガーディアンルポ03第7回ム=ウムは、フネが人間の時の姿に うり二つだ。フネは爆発のショックで人間の時を思い出す。 彼女主は、フネは変貌した彼だと。 「洪水」ガーディアンルポ03第7回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■ガーディアンルポ03「洪水」第7回■ ■8ム=ウムの姿は、かつてシュクセイキにフネが入間の姿をしていた時の姿にうり二つだった。 フネは爆発のショックでシュクセイキに自分が人間であったことを思い出していたのだ。 フネの全記憶機構の働きにより、ゾュクセイキの自分の姿に、ム=ウムを再構成したのだ。 ム=ウムは、主によって創りあげられたが、今はフネの意志により、遠い昔のフネの姿をした入間だった。 フネは暴力には暴力で迎えうつ決意をした。 主はフネが消滅していないことに気づぐのに時間がかかった。 なぜならフネの近ぐにのばしてあった.その感応枝も吹きとんだからか。 主白身も原子爆弾の破壊力のすざまじきにより神経中枢に支障をきたしていた。 吹き飛んだ感応枝はその最後の瞬間に神経系の痙學のインパルスを彼にもたらした。 熱風が吹き去って、海面が平常に戻り始め、やがて主も息を吹きかえし、感支柱を復活させフネのあったであろう所へ再生させた。 フネは、しかし、まだ存在していた。 驚愕が主を襲う。しばらくは呆然としていた。存在すべきで痙いものがまだあるのた。 一時は放射能の影響による感応枝の異常では々いかとさえ思った。 だが、事実、フネはその傷ついた姿をまだ海面上に保っているのだ。 主はポラリス・ミザイルを再度フネに襲いかからせようとした。 ポラリス・ミザイルの再生には時間がかかる。 もてる能力を最大限に利用するが、何せ古代の代物だ。記憶が定かではない。 その内、別の異物が、主の感支柱に感じられ始めた。巨大々人間だ。 その姿に主はわずかな動揺を感じた。何だ、あの姿は、、 ム=ウムを再び自分の統禦下にかこうと思老波を送る。 ためだ。主の意向には従かうとしない。 ム=ウムの姿、特にその顔は、主の記憶回路にうったえる何物かがあった。 かつて見た事がある。それもかなり昔に。 ム=ウムは完全に古代の、シェクセイキの入間の姿をしている。 とまどい、熟考している間に、ム=ウムは潜水艦のすぐそばまで泳ぎついていた。 主はあわてて、ポラリス・ミサイルを発射しようとしていた。 最初の二発は、ム=ウムの手刀でなき払われた。 ぞサイルは水面に水しぶきをあげて飛び出した瞬間、ム=ウムは手刀で大きく横にはらい、ミサイルの中央部をまっぷたつに分断した。 さらにム=ウムの体は急速に潜水艦に接近してぐ る。 潜水艦は急深度潜行を開始する。ム=ウムも潜ってぐる。 ム=ウムの体はもう水棲人間の形をとってはいない。 人間の形をしている。しかし恐今へき潜水能 力をもっていた。 ■9潜水艦ソードフイッシュの後部魚雷発射管が開く。 ム=ウムの眼をねらって魚雷が発射された。 思わずムは両手で眼をかばう。 小さな爆発がかこる。ムがひるん だ間にポラリス・ミサイルが発射された。 ム=ウムは目の前の潜水艦から水面にむけて水柱が走った瞬間、水面に向けて一度はねあがったが、間にあわなかっ た。 二本の火線はフネの方へ向ってのびていく。 ム=ウムの体はダイブし、再び、抜き手で潜水艦を追いかけ始めた。 ム=ウムには潜水艦の行き先がわかっていた。 ム=ウムの一族の禁制地域だ。 ム=ウムの目前の暗いよどんだ海水を間に訟いて、潜水艦が見えた。 もう少しだった。僅差でム=ウムの右手の中に、そのテアドロップ型の艦体をにぎり込めそうだ。 禁制地域の目の前たった。 主はその中枢部から巨大な触手を江じり出した。 触手はのびてム=ウムの足にまとわりつき、ム=ウムの動きを静止させた。 触手は、ム=ウムの体しゅうに給与つき、体をもて遊び始めた。 海底にム=ウムの体は激しく打ちつけられれる。ム=ウムの体のあちこちから血が流れ出していた。 ふりまわされている時、偶然ム=ウムの手が、潜水艦に触れ、ム=ウムは無意識に艦体をしっかりとにぎりしめた。 ム=ウムは、手にした潜水艦の船体を相棒の代わりにして、触手をふりほどこうと痙ぐりつける。触手の神経系がとぎれ始める。 ずたずたに触手は分断され、分解したす。 ソードフイッシュ号は中央部からひびがけいり、一挙に海水が船内になだれこみ、原子炉が爆発をおこした。 核爆発は、周囲の触手を完全に消滅させた。主は再度の核爆発にショックを受けた。 一方、フネは自分に向かって飛来してくるミサイルを、今度は自覚しでいた。 前は、近くにいた空母「エンタープライズ」とその塔敵機に気をとられていたの だ。 フネもその空母や飛行機をシュクセイキに見たことがあったのだ。 バルカン砲や爆発はうろさかったが、その姿自体にはなつかしさすら覚えていたのた。 昔をよりよく思い出していたのだ。それゆえ16発のポラリス・ミサイルの飛来に気づいた時はすで遅かった。 その時の放射能や熱予イエネルギーはフネの体をまだ蝕んでいたが、怒りが彼をささえていた。 二発のポラリス・ミサイルに対してフネは無力感を持ち始めていた。 今度、体にポラリスミサイルが命中した時には自分は終わりだと考えていた。 待てよ。 自分 はもう終わりたと思ったことが、大昔にあったような気がする。 いつのことたったろう。ずっと昔だ。そう私の体が人間だった時……。 ■10 主は核爆発、自分が再構成した潜水艦ソードフイッシュの核爆発によって自分の体の一部である触手が破壊された時、ある種の記憶がはっきりと甦った。 ムの体も爆発によって吹き飛ばされ、近くの海底に横だわっている。 あのムの顔。今の潜水艦によって痙ぐりつけられる痛さ。確か、大洪水の時、 伺かの物体が私の体に……。 主は、、完全に、、理解した。 主も、シュクセイキには入間の体を持っていたのだ。 そして放射癩が地球を襲った陵にかこった大洪水、放射線により地球上の于べての水山、氷河が解け去り、陸地を水没ざせ、地球を文字通りの「水球」とさぜたあの時。 彼女アニーと、彼のカインは、その大洪水の時、別れ別れになり、彼女アニーだった「主」は流木に頭を激しく打ちつけられ、意識を失ない、そして……。 ムは、まぎれもなくカインの顔をしている。 彼女、主は、認知した。 フネは伺らかの理由で変貌したカインの姿であると。 フネは間近に迫ったポラリス・ミサイルが急に消滅するのを感じた。 なせだろう。フネにはそのわけが、わからなかった。 やがて、彼女「主」から今までに痙い親密の念をこめて、テレパシーが送られてきた。 それは 『カインよね、カインよ、私よ。あなたの彼女アニーよ、、』 ■ガーディアンルポ03「洪水」第7回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.26
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KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/6/ ガーディアンルポ03「洪水」第6回「黒き使徒達」は、「主しゅ」が創造した生物で、フネに攻撃を。 さらに主は海底に戦闘艦の残滓を発見、イメージを増幅し空母と潜水艦を再生しフネに攻撃を加える。 ガーディアンルポ03「洪水」第6回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■ガーディアンルポ03「洪水」第6回■ 海底の泥流の中に、一個の知性体が存在していた。主である。 その中枢記憶回路はムの一族の禁制地域にあった。 フネに攻撃をかけ、失敗した「黒き使徒達」は、主が創造しか生物だった。 『せっかくの私のプランをムダにしたか。黒き使徒達よ! 君達は私が創造した生物で、最悪の失敗作だ』 フネに収容きれる目的で、ム=ウムを創り出すのに、何年かかったかと主は自問した。 ム=ウムの一族の先祖を主の想念で作り出し、成長繁殖させた。 何代にもわたり生成し、一人の真人として、ム=ウムを生みだしたのだ。 その主と自ら名のる生物は、シュクセイキ後の地球の混乱期を生きのびてきた。 彼の意識は、地球の海を総て被っていた。 主はシュタセイキ浚、生命体としてあるものから新しい形態へと進化していった。 彼の意識は、かつての人類の廃墟の中で、静かに、しかし確実に成長し、大いなる創造者として完成しつつあった。 彼がフネの存在を認知したのは、彼の時間の経過からすれば、そう遠い昔のことではない。 いつからかフネは海を漂っていた。主の感覚枝がフネの存在に気づいた時、主はフネを敵として理解した。 ある種の不気味さを感じたのだ。 自分以外の巨大な知性体としてのそれに危惧を抱いたのだ。 フネは彼の思惑通りには動かなかったし、彼の干渉を拒絶していた。 フネは、主の世界の中で、意向に従わぬ唯一の異物であった。 主は、自分自身の記憶域を探索し始める。 それまでのフネに対する計画は瓦解していた。新たな攻撃法が必要だった。 自らの散在、「フネ」という概念で、フネ自らの記憶域の中をかきまわす。 過去、主は記憶をたぐる。戦闘のイメージが湧きあがってくる。 戦闘1戦い。フネ。 戦闘フネ。 違う。 戦闘艦? 確かシュクセイキ以前だ。 軍艦! さらに記憶を手繰る。 潜水艦? 空母? 明確なイメージ、形態が彼の心の中に呼び起こされてきた。 そうだ! 主はついに発見した。 シュクセイキ以前、人間達がそういった種類の船を建造していたことを。 主の感覚枝は全地球を巡っている。 つまり、海底世界に自分の神経網がはりまぐらせている。 軍艦を探すのだ。 はるか昔、人類たちに作られ、その人類たちが放射線のため死に絶えた後、何年かの間、自動操縦装置により無人で動き回り、やがて海に沈んていった何隻かの戦闘艦。 それらは、何世紀かの間、海底の泥流の中に埋れているはずだった。 彼は感支柱を使い、軍艦の残骸を数隻見つけた。 過去の人類の遺産はまだ完全に朽ち果ててはいなかった。 比較的状態のよい艦二隻に浮力を与え、海面上に持ち上げた。 彼は記憶域から明確なイメージを固定した。 サビや付着物を、感覚枝で払い落とす。 不足部分を過去のイメージから複製した。残像がある。 その軍艦は古代、人によって原子力空母エンタープライズと呼ばれていた。 もう一隻は原子力潜水艦ソードフィッシュと名づけられていた。 二隻の艦の体裁を完璧に整え、装備を完了し、彼はフネヘと向かわせた。 艦には誰ひとり人間は存在しない。人間という存在の記憶がない。 すべて、自動で動く。ただ、主の思念のみがその内部機構を作動きせていた。 人が存在しない自動機械なのだ。 潜水艦のミサイル発射筒には、核弾頭が装備されたポラリス・ミサイルが複製されている。 空母甲板には戦闘機F15トムキャットが、70機以上塔載されていた。 フネは恐らくこういった種類の物理的攻奮を受けた事が々いだろうと主は考えた。 ム=ウムはフネの粘液の中でもがき苦しんでいた。 ム=ウムは真人であるがゆえに黒い使徒達の様に圧殺されはしなかった。フネは主の影響をムから取り除こうとしていた。 ムのその身勣きてきない苦しみは、フネの中枢記憶回路を刺激していた。 フネはかつて自分も同じ様にもがき苦しんだ経験があるというかぼろげな記憶を有していた。 フネは自分の過去の記憶バンクを探索し始めていた。 類似経験? しかしその間にも、ム=ウムの苦痛は一層倍化していた。 ム=ウムの体は次第に丸まっていき、手足を縮め、人間の胎児の形を取り始めた。 潜水艦ソードフィッシュは、フネに対する攻撃行動を開始していた。 その原子炉から発するエネルギーは最大速力30ノットで総体を推進させていた。 しかし、フネまての距離はまだ数千キロメートルもあった。 一方、エンタープライズは、俊足に、フネに近づきつつあった。 だが全長三百四十一メートルの巨大な姿もフネの前には、ケシツブにしかすぎない。 エンタープライズは無人の状態で攻撃機F14トムキャットを断続的に発進させていた。 トムキャットはフネの回りを飛行し、ミサイルや爆弾の雨を降り注いだ。 しかし、フネの外皮には何の変化も見られなかった。 フネは泰然としていのだ。 トムキャットのバルカン砲、ミサイル程度の攻撃ではびくともし々いことを主は理解した。 最後の手段を取ることにした。 が、この攻撃は、海や主自身に対する悪影響ははかりしれないと思われた。 フネに向かって航行中のソードフィッシュ、そのミサイル発射筒のハッチが全開された。 内蔵されていたポラリス・ミサイルが、次々連続して、16本発射された。 それはフネに対する主の剣であり、大の矢であった。 ポラリス・ミサイルの破壊力は広島型原爆の10発以上に相当する。 シュクセイキでさえ、究極兵器と言われていた。 主はその破壊力の恐ろしさを理解していた。 海面上に大きな水しぶきを上げて、それは上空に消えて行く。非情な決断たった。 フネが死ぬか主自身が死ぬかだった。 恐らく彼が創りあけたこの海に獄む種々の生物群は多数、死に絶えてしまうだろう。 しかし生物群を失うこと以上に、フネに対する憎悪は深い。 それは、フネは主の理解を越え、さらに主の影響力を受けない地球上唯一のものだったからだ。 ポラリス・ミサイルが目標をはずすわけはない。 フネは海面上に漂う唯一無二の存在だった。大きさは小さな島に相当する。 閃光が走った。 音が響いている。 キノコ雲が湧き上がっていた。 フネのまわりの海は一瞬のうちに水蒸気となる。熱風が吹き荒れる。シュクセイキ以後の地球にかこった最も大きなエネルギーの開放だった。 フネのまわりを遊戈していたエンタープライズはその塔敵機と共に消滅していた。さすがのフネも大きな損傷を受けていた。しかし全面崩壊はしていない。 だが表皮はまっ赤になって燃えあがり、あるいは内に包みとかようにはがれめぐりあがっている。盾所にひび割れすらかとっていた。 フネは爆発の瞬間、意識を失った。 一瞬、主に対する憎悪の念が浮かび、それが増大され残った。 爆心地へ、海水が消滅した空間へ、海水がなだれこむ。海底までも核爆弾はえぐり取っていた。 そこにフネは横だわっていた。 普段の威光はない。 半死半生の傷ついた姿だ。 フネは流れ込んだ激流に飲みこまれ、翻弄される。やがて浮力により水面上に持ち上げられる。しかしその姿は痛々しい。 昏倒からようやく目ざめたフネは憎悪のかたまりと化していた。 混濁の世界から抜け出したフネの記憶はシュクセイキを思い出していた。 今の原爆を体に受けた体験は過去の放射線の記憶へと繋がっていた。 フネは、今、シュクセイキの時の記憶を再生し始めた。 怒りはフネの全神経組織を狂わせ、憎悪の噴出として、巨人がフネの内部から送り出された。 巨人はム=ウムの変化した姿だった。ム=ウムは胎児の姿でフネの内部に閉じ込められていた。 徐々に彼は主の支配下を離れ、フネの統制下にはいっていた。 ポラリス・ミサイルをフネがその体に被弾した時、ムも痛みを感じた。 それは遠い昔から統いてきたム=ウムの一族の言いしれぬ悲しみを具現したような痛みてムをうならせた。気づいた時、ム=ウムは生まれ変わった姿で大海原を泳いでいた。 今までの自分とは別人のようだ。 ム=ウムは、何かの怒りにとりつかれたように、水をけっていた。 ■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」第6回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook#洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.22
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KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/5/ ガーディアンルポ03「洪水」第5回フネのなかで水棲人ム=ウムは戸惑う。ム=ウムの心の内にフネの出口を探せという命令が響く。黒き生物群がフネに近づく。世界が変容した地球で、フネは何者なのか? ガーディアンルポ03「洪水」第5回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■ガーディアンルポ03「洪水」第5回■ ム=ウムはフネの収容子の出入口を捜そうとしていた。 数週間、ム=ウムは例のチューブですごしていたが、知らない聞に外科手術を受け、エラは切り除かれていた。 彼は海との絆をとりはらわれていたのだ。 水の中でなくても呼吸ができるようになっている。 フネの教導師に不審をいだかれないように、ムは出入口の発見を急がなければならなかった。 しかし、この行動は、ム=ウムが自ら望んでやっているわけではない。ム=ウムの体は人形つかいに操つられているように動き、行動しているのだった。 ム=ウムの心の内から声が響いている。 テレパシーだろうか。 『ム=ウムよ、時が近づきつつある。早くフネの出入口を見つけ出すのだ。そして我々の合図と共に出入口を開けるのだ』 ム=ウムは急ぐ。 教導師ゼフの目をのがれ、船内を動きまわった。 が、ム=ウムが収容されているフロアより上にも下にも行くことができないのだ。 階段が存在しない。 ドアの向こうは常にム=ウムが収容されているよう々球形の核部屋しかなく、ムと同じ様に収容された人類の末裔がいるだけたった。 彼らとはまったくコミュケーションが取れない。ム=ウムとは言語形態が異なる様だった。 かれら皆が同じ人類から派生したものだろうかと、。ム=ウムは思う。 すべての生物は、いまや海の中で繁殖し、生活している。 ひそかにム=ウムの頭の中に、ある言葉が刻みこまれていたのだ。ムはもちろん気付いていない。黒き破壊指令だ。 『ム=ウム、近い内にお前はフネに、収容されるはずだ。その中に入ったらフネを破壊するのだ。 それが、お前、ひいてはお前の種族が繁殖してきた意味、今まで存在してきた価値だ。フネに入り込み、破壊せよ。それが私「主しゅ」の命令だ』 主? この言葉は、今まで彼が生存してきた禁制地域の中で、ムの頭の中に刻み込まれたのである。 彼は思い起こす。 あの日、ム=ウムは、自分が一族の禁忌を破って、その地域に入ったのか、自分ではわからなかった。 ム=ウムの心の奥に,何か呼ぶ声がしたのだ。 ムはその声に操られ、音識が混濁状態で禁制地域に足を踏み入れたのだった。 禁制地域はム=ウムの付落とまったく異たっていた。 そこには一種独特の異様な雰囲気があった。何かしら、人間が建設し、作りあげた廃墟の様か。 しかしながら、ム=ウムの一族の力ではとうてい構築不能であった。 地域の中心部にドーム型の建物が建っており、中にム=ウムは誘われていき、命令を受けたのだった。 運命を背負わされたといっていいだろう。ム=ウムに秘密命令が下ったのだ。 その同じ時、黒き生物群がフネに近づきつつある。 ムの一族を滅ぼした一群だった。 彼らは強靭な膂力を持ち、重摩な体を持っている。複眼で、皮膚は粘液で彼われていた。 彼らはフネに到着し、その底に集合した。 しかし、フネからは何の反応もない。 フネはあまりに大きい。 海面下の乳白色の壁面は、うつろな太陽の光を受けてぼんやりと輝いている。しかし底には、大いなる闇がしめている。 「やはり外側から出入口を発見するのは不可能のようだな」 黒き生物群、彼らの一人が言った。 「フネの表面に密着するか。どんな探査装置があるか、わからんな」 「どうやら、あいつ、ム=ウムが出入口を見付けてくれるまで待つしかないか」 「そうだな、彼の捜索行動を急ぐように主にお願いしよう」 彼らから、遠く離れた場所に主は存在する。 主は黒き生物群、彼らの思考を知覚した。そして行動に移った。 フネの内部に居るム=ウムに対して一族の電波を発した。 ム=ウムは体全体に力が蘇るのを感じた。 突如、体がーまわりも二まわりも大きくなった。 その時、ム=ウムは教導師ゼフから学習を受けている最中だ。 教導師ゼフはム=ウムの体から暗い陰りを感じた。 ム=ウムの急激な変貌に驚き、ゼフはフネ全体に警報を鳴らそうとする。 ムはその巨大になった伴こと教導師ゼフにぶつかり、彼を行動不能の状態にした。 ム=ウムの知覚能力もまた増大されたようた。 今まで発見でき々かっかフロア間の移動装置が発見できた。 一番外周にある核部屋のーつが移動装置になっていた。 移動装置を使ってム=ウムは船底の方へ降りていく。フネは多層構造になっていた。 降下する。いつまで続くのかと思われた降下がやっと終わる。 ム=ウムは自分が、フネの底にいることを確信した。 ムは収容子の出入口を捜し始める。透視能力をもムは手にしていた。 急に、フネの警告シグナルが点滅し、ブザーが鳴る。 ゼフが発見されたらしい。 ム=ウムはためらわず、収容子のコントロールパネルを操作した。 出入口は聞かれた。 底で待機していた、黒き生物達が出入口より突入した。 彼らの個々の体は溶解し、球体となりフネの内部へと向かう。 黒の球体は強大なエネルギーを発散させながら船内を暴れまわる。 底から上へと球体はフロア間の壁を突き破り上昇する。 核部屋は打ち壊され、回廊は吹き飛ぶ。 収容保護されていた生物達は身動きする間もなく、解体され死んだ。 進入した黒の球体の一部はやがて、船の動力部分を捜し末めた。 フネは自分の体の内に、起こった痛みを感していた。 すぐさま応急処置をしなければならない。 その間にも殺戮された生物たちの苦しみや悲痛な声が、フネの頭脳に響く。 フネは自己防御システムを作動させた。 破壊された出人口のまわりの倍加分離し、拡散し、溶解し、伺もなかっかようにその裂け目を埋めた。 フネの内部を我が物顔で走りすおり、破壊殺戮を行たっていた黒い球体の一つ一つに壁のあちこちから粘液が噴出された。 黒い球体はその粘液により、動きが緩慢と痙り、やがてまったく行動できなくなる。 さらに続々と流出する粘液は球体に絡まり、全表面を包みこみ、球体の動きをとめてしまう。 次に球体はまわりの圧力でしわしわと収縮していき、その圧力により破壊する。 黒い球体はその消滅の一瞬、思わず外部へと思念を、送り出していた。 「主よ、お許し下さい。我々は失敗いたしました」 海底の泥流の中に、一個の知性体が存在しているのだ。 その名前は、主しゅである。 ■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」第5回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/●http://mangakadata.net ●http://manga-training.com ●http://manga-agency.com●http://suzuki-junko.com/ ●http://mekamushi.com/ ●http://www.yamada-hiroichi.com/#洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村コメント
2021.11.22
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鈴木純子の作品を借りています。 KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/4/ 「洪水」ガーディアンルポ03第4回 地球の絶対的存在である「フネ」は、水棲人ム=ウムを内部に取り込み、教導士から教育をほどこし、真人(人類の遺伝子を残すもの)かどうかを調べていた。 「洪水」ガーディアンルポ03第4回 地球の絶対的存在である「フネ」は、水棲人ム=ウムを内部に取り込み、教導士から教育をほどこし、真人(人類の遺伝子を残すもの)かどうかを調べていた。 ガーディアンルポ03「洪水」第4回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook/ 部屋は,白色の球形をしていた。 ム=ウムは、溶液のみたされたチューブの中で眠る。 部屋には、そのチューブ以外には何の装備もないようだった。 フネは真人の可能性の高いム=ウムを、くらげ形の収容子を通じて収集し、船の中に収容したのだ。 そして、再び、フネは新たな「真人」を求め遊戈し始めた。 ム=ウムは眠りの聞に真人であるかの再チョックを受けていた。フネのコンピューターはそのデータ・バンクから情報をはきだし、検索機器はム=ウムの体を探査していた。 ム=ウムがチューブの中で覚醒した時、今まてかって彼が目にしたことがないものがあった。 体はムよりかなり大きく倍近くあるだろうか。 円筒形で頭部らしきものはつり鐘形をしている。全身は山吹色に輝いていた。 それに、そいつは水の中にいない。 「ム=ウムよ、目ざめましたか」 無気質な女の声が、ム=ウムの耳に響いた。 「なぜ、僕の名前を知っているの」 「私はあなたの事なら、何でも知っています。あなたの頭脳からあなたのパーソナルヒストリーをすべて読みとりました」 「あなたは何者。それに、僕は、、何のためにこんなところにいるの」 「私の名前はゼフ。教導師です。あなたに真実を教えるのが私の役目です。 ム=ウムよ。あなたは数少ない人類の遺伝子をもつ生物なのです」 「ジンルイ? ジンルイって何」 「あなた方の本当の祖先なのです。今でこそ、あなた方は海の中で生活していますが、シュクセイキ以前には人類は陸の上で生活していたのです」 「信じられないよ。シュクセイキ?」 「今はわからなくてもいいのです。そのうちわかるようになります。あなたは人類の歴史を学は々ければなりません。そして地球を元の状態、少なくとも「シュクセイキ」以前の地球文明を取り戻さなければならないのです」 「まったくわからないよ。何の事だい」 「このフネの中にはあなたと同じような真人が数多く収容されています。フネは人類を再生させ、地球を復興させようとしているのです」 「もういいよ。そんなわからない話は、興味がないよ。僕を仲間の所へ帰してくれよ。ゼフとかいったよね」 「それは不可能です。あなたはもう二度と彼らのもとには帰れません。あなたは真人であり、彼らはそうではないのです。彼らの役割はもう終わりました。用はありそれにません。あなたは選ばれし者。フネは、次の目的地めざしてすでに出航しています」 「もういいよ。そんな話は。帰しておくれよ」 「あなたにもわかってくるでしょう。どうも、あなたは環境が急激に変化したので興奮しているようですね。さあ、また少し休んで下さい。一度にすへてを知る必要はないのです。我々には充分の時聞か与えられています。学習には恐らく長い時間が必要ですね」 痛みが走り、ム=ウムの体の中に溶液が注入される。 ム=ウムは、再びチューブの中で眠りにつく。 夢の中で、ミ=ムネが現われた。 ミ=ムネは悲しそうな顔をしている。 それから家族の顔や種族の人達の顔が現われ、それら総てが何かしら底知れぬ巨大なものに包み隠された。 「かあさん。とうさん、ミ=ムネー」心の中で叫んでいた。 が、あとには闇だけが残った。 ム=ウムは、この世界の中でひとりぽっちになったような気がした。 水棲人にはない涙が、、こぼれていた。 その頃、水棲人たちは、集落に帰ってきている。 ム=ウムの両親は、ム=ウムが連れ去られた事を聞き、嘆き悲しむ。 母親は、異子供であったム=ウムに、他の兄弟達よりもいっそうの愛情を注いでいたのだ。 父親もまた、ムが他の子供達と異たっていたがゆえに、不潤に思っていた。 水猿人の生存率はかなり低い。 族に対する脅威が海の中には混在している。 変貌した生物群が彼ら水棲人と同じように生活している。 シュクセイキに地球を熱射した放射線は地球の生物相に大きな影響を与えていた。 常に外敵に晒されているムの一族は集落を要塞化していた。 見張りが、常時、まわりを遊泳し、警戒をおこたらない。 突如「黒い死の使い」が彼らを襲ってきた。 見張りの者達は、その敵の姿をかいま見ることすぐ死んていった。 黒い生物は、体を溶解させ、拡大したそれは、水棲人の体全部をすっぽり包み込んだ。 水棲人の体は黒い生物の体圧で粉々に砕かれる。 黒い生物の体全体が変容し、ある者は鋭い刃部と反って水棲人を切り刻み、また、ある者は槌の形をとり、あたりの水棲人や建物を押し潰す。 恐ろべき膂力を持つその生物群は、水猿人に反撃のひまを与えず、効果的に集落を襲い、破壊し、生會のかけらも残さず、ムの一族を完全に抹殺した。 全身黒づくめて強力な四肢を自在に使いこなすこの生物の通りすぎた後には、生物の影はない。 ミ=ムネは死の瞬間、ムの事を再び思い出していた。 「やはりあの言い伝えは真実だったのね」彼女はそう思った。 彼女の属する水棲人の一族は、ム=ウムという変わった水棲人個人を生みだすためにのみ存在していたのでは、という不思議な思いが、彼女の心を一瞬よぎった。 が、その考えも、また、激痛と共に、闇の中へ消えていく。 その抹殺行動は、主しゅの命令だった。 役割が終わった種族は生存すべきではない。 それが主しゅの思想だった。 (続く)ガーディアンルポ03「洪水」第4回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/●http://mangakadata.net ●http://manga-training.com ●http://manga-agency.com●http://suzuki-junko.com/ ●http://mekamushi.com/ ●http://www.yamada-hiroichi.com/ #洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.22
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/3/ ドリーマー・夢結社第3回■Kはチバポートタワーを訪れる。そこでお前はドリーマーだと男たちに囲まれる。 ドリーマー・夢結社第3回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ チバーポートタチワー?その言葉から記憶に蘇ってくるものは何もない。 どうしたものだろう。Kは新宿の路上で思いまどう。チバポートタワーヘとりあえず行ってみよう。 新宿から山手線に乗り。秋葉原駅で乗りかえ、千葉駅へ向かう。京葉線の電車の中から見ると、見知っているはずの風景がなぜかめずらしいものにみえる。 なぜだ。 俺はどこに住んでいるのか。まったくわからない。千葉駅のプラットホームに降りたって、Kは行くべき場所がはっきり見えた。 チバポートタワーだ。そこは東京湾をバックにして、空からおりてきた金属の針の様にみえるのだ。メタリックな塔は日本には似合わない。 そのタワーは、それ自身が未来からやってきたものの様に思えた。 駅前のターミナルからバスに乗った。あまり混んではいない。 今日は何日なのだ。それも覚えてはいなかった。バス席に誰かが捨てていったスポーツ紙の日付を見る。 一九八七年九月一七日木曜日とあった。 チバポートタワー下の入口付近はがらんとしている。平日だからだろう。入場券を買う。入場券を見てみる。 やはり、先刻ポヶ″卜から出てきた半券とまったく同じものだった。とにかく展望室にあがってみよう。スーベニアーショ″プを通りすぎて、千葉港の歴史紹介などのデ″スプレイの前を通り、エレベーターの前の列に並んだ。やがてエレベーターのドアが開く。Kと一緒に六人の男たちが入った。 何かの団体だろう。同じようなスーツ姿の同じような顔をした男たち。 エレベーターは上昇を続けている。タワー外壁のマジ″クミラーを通じて千葉港の風景がよく見える。 海辺では釣り人。海の上ではウインドwサーファーがいた。 エレベーターに乗っている客が全員Kの方を見ている。顔をのぞきこむような感じだ。そして皆、銃を手にしていた。スーツ姿の彼らは声をそろえて言った。 「ようこそ、我がチバポートタワーへ。ドリーマー君!」Kは意味がわからなかった。どういう事なのだ。ドリーマー?だって男のI人がいう。「驚いて言葉もないようだな、ドリーマー」「どういうことだ」 怒りをあらわにKは叫んでいた。「ふふっ」全員が笑っている。「ドリーマーだって」 「きさまらドリーマーは、この世に存在してはならない生物の集団さ」「いや、正確には生き物ですらない。きさまらはくさった空気にすぎん」 男達は口々にののしる。 「お前たちがここにしめる空間なんかないのだ!」「消えうせろ、ドリーマーめ」 彼らの言葉のはしばしには怒りが見える。 「待て待て。やるのはまだ早い。まだこいつには聞きたいことがある」 チーフらしい男が言う。「何ですか」「こいつのドリーマー・マスターの居場所をはかせるのだ」「わかりました」 エレベーターがやっと止まる。ドアが開く、が、そこは展望室ではなかった。「ようこそ、ドリーマー君。さて、ここが君の歓迎パーティー会場だ」先にエレベーターを降りながらチーフが言った。その部屋はメカニカルな部品で囲まれている。何かのコクピットの様だ。「ここはどこだ」Kは茫然として尋ねる。本来の展望室の上にこの部屋はあるようだ。 「もちろん、チバポートタワーだよ。この部屋は君の為に用意しておいたわけではない。ドリーマー・ハンターの集合場所なのだよ」「ドリーマーハンター?」Kはますますもって混乱する。 「なぜ、俺をここに連れて来たのだ」「その質問は、我々が逆に君にしたい。なぜ君はこのチバポートタワーに来た。われわれハンターをやっつけにきたのかね」スーツ姿の男達はどっと笑った。 「そんなわけはあるまい。それにドリーマーとしては無用心すぎた。我々がドリーマーの警報装置をもっているのを知っているはずだ」別の男が言った。「ちょっと待ってくれ。君達はさっきから俺をドリーマーと呼んでいるが、ドリーマーとは一体何だ。俺は本当に知らないんだ」Kの表情は真剣だ。 一瞬、部屋は静かになった。そしてセキを切ったような大爆笑の渦。「くくっ、君は芝居がうまいな」「笑わせてくれるぜ」男の一人は近くの机をたたいて笑う。 ドリーマー・夢結社第3回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.22
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ドリーマー・夢結社第(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/2/ ドリーマー・夢結社第2回 Kは新宿のカプセルホテルで目覚める。名前以外は記録がない。ポケットにはチバーポートタワーの半券が入っている。 ドリーマー・夢結社 第2回(1987年)星群発表作品●夢王たちの饗宴パート2です。作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 何本もの私鉄とJRが数多くの人間をそれこそ物のようにつみこんできては吐きだす町、渋谷。昔から有名な待ち合わせ場所、渋谷駅忠犬(チ公銅像前。 その前にいた一人の男が二人組に呼びかけられる。「もしもし」 呼びかけられた男の眼はぼんやりとしている。二人がかりでその男は路上に押したおされた。突然の出来事だ。 待ち合わせをしていた男女は何事かとまわりから逃げ出す。二人の男は、男の眼の中を内視鏡で調べている。男の網膜には血管がなかった。押えつけていた男がすばやくヒ″プホルスターから銃をとり出し、ためらわずに頭を射つ。銃声は一帯に響く。二人の男は、まわりに集まってきた群衆にIDカードをかかげて見せる。「心配するな。我々は、それこの通りドリーマーハンターだ」もう一人もつけ加える。「そうだ。こいつはドリーマーだったのだ」群衆の目の前で射たれた男の体はゆっくりと消えていく。路上には跡形もない。 まわりで見ていた群衆の一人がかたわらの友人に言った。「ああ。恐ろしい世の中だね」「ドリーマーに、ドリーマーハンター。それに家に帰りや、ドリームチャイルドにドリームドールとくるからなあ」「が、しかし、まあ、一面なかなか世の中がおもしろくもあるな」「うん、それはいえるなあ」二人は互いにうなづく。二人のサラリーマソは家路を急ぐかわりに今の話をサカナに居酒屋ののれんをくぐろうとする。 ■電話が鳴っている。男が受話器を取る。「はい」「ドリーマー・ハンターかね」 くぐもった声が伝わってくる。 「違いますよ」 いささかとまどった声だ。「そちらがドリーマー・ハンターのセンターという事はわかっている」 「あなた、何か間違いを……」「いいんだ。だまって聞け、今日、そこヘドリーマーが訪ねる」 押しかぶせるように声はいう。 「何を言っているんだ。ドリーマーだって」「それだけだ」「待て、君は誰だ」「それはいい、君達の協力者だと思ってくれ」 電話は切れた。受話器をもとに戻しながら男は側にいたチーフに声をかけた。「お聞きの通りです。ここヘドリーマーが訪ねてきます」「ガセネタかもしれん。が、一応準備はしておこう」 「わかりました」 同じ頃、電話をかけた男が、代々木の公衆電話ボ″クスから出てきた。駐車している車に向かって言う。「あれでよかったのでしょうか、長官」「よくやってくれた。ありがとう」 長官と呼ばれた男は。感謝の言葉と同時に鉛の弾を彼の心臓に与えた。「うっ」 男は車にもたれかかりながら倒れる。消音銃だ。長官と呼ばれた男は無表情にいう。「さあ、始まりだな」 ■ねむい。Kはそう思った。 悪い寝ざめだ。 最初に目に入ってきたのは、ホワイトクリームの天井だった。棺桶の中? 違うようだ。天井がかなり低い。起きあがると天井に頭を打ちそうになる。目の前40センチくらいの所にテレビがあった。 ここはどこなのだ。足の方にカーテンがある。どうやらカーテンの向こうが出口の様だ。Kは這いでた。 Kは立ちあがって自分が今までどこに眠っていたのか確かめてみる。 そこは、警察の死体収納ボックスを思わせた。繭棚の様でもある。 2段のベッドがずっと続いている。不思議なほど静かだった。 Kは思い出した。どうやら俺は「カプセルホテル」に泊ったらしい。洗面所とトイレを通りすぎて、階段をあがる。上のフロアには大きなサウナブロがあった。 ところで俺は誰なんだ。Kは思う。 ■名前はK。それ以外、俺はまったく思い出せない。俺はいったい何者だ。 タオル地の寝着を着ている。 ポケ。卜をさぐってみる。が、証拠になるものは何も入っていない。 右の手首にナンバー入りのキーがゴムバンドでぶら下がっている。キーはどうやらロッカーのものらしい。ロッカーはサウナブロから一階下ったところにかたまって並んでいる。 フロントの横のロッカーで同じナンバーをさがす。 開けてみる。中に入っているのは服だけだ。エルメスの財布。財布には125万円程入っていた。 他には小銭入れ。免許の類はまったくない。名刺入れも、定期券もない。 腕時計はわりといい。ホイヤーのダイバータイプだ。服の中をいろいろさぐっているので、隣りの男が不思議そうな顔をしていた。さてこれからどうするかだ。とにかく。この「カプセルホテル」から出てみょう。 地階がフロントになっている。エレベーターの横に喫茶店があり、そこから外へ出られる。ところで外はどこだろう。住所表示を探して読みとる。新宿の歌舞伎町の様だ。もう昼近かったが、あたりはまだ昨夜の活動のなごりが残っている。もう一度、服をあらためてみる。ジャケ″卜はJ・プレスのブルーのジャケット。スラックスも灰色の普通のもの。ジャケットのアウトポケットから紙切れが出てきた。ひろげてみる。チバ・ポートタワーの半券だった。 チバ・ポートタワーだって? ドリーマー・夢結社第2回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.22
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鈴木純子先生の作品よりドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/1/ ドリーマー・夢結社第1回 渋谷駅の群衆の目の前で射たれた男の体はゆっくりと消えていく。路上には跡形もない。 ドリーマー・夢結社 第1回(1987年)星群発表作品●夢王たちの饗宴パート2です。作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 薄暗い光の中、誰かが眠っている。彼の体は水溶液の中だ。液は海の様なブルーの色をしている。外側は球形のカプセルだ。彼の頭や体にはコードが張りつけられていた。体は緑色に見える。 彼はドリーマー。今、夢を見始めたところだ。少し体が動く。どんな夢なのだろう。 ■「晩ごはんよ!」 ニ階の娘、美加を若い母親が呼んでレる。が、返事は返ってこなレ。「また、あの子は2階の子供部屋にばっかり閉じこもっていて」 若い妻は夫に言う。「あなた、怒って下さレよ」「まあ、いいじゃないか。あの子は内向的だからな。友人もいなレ。でもいい人形を夢管理庁からもらったものだ。政府もたまにはいい政策をする。当分あの人形で遊んでいられるだろう」 獣と人の悲鳴がうえの階から聞こえてきた。「おレ、今、変な鳴き声がしなかったか」 「あの子、テレビ番組ドキュメント『野生の工国』でも見てるんじゃないの」 今度も再びは悲鳴が上がった。「何だ」「上に何かいるわ」 両親はあわてて、階段を駆けあがり、娘の部屋をのぞく。 ドアの向こうには草原が拡がってレる。 二人はTVでみたアフリカを思った。遠くに山並がみえる。現実だった。風が吹いてレて血の臭いがした。 二人は呆然と立ちすくむ。ライオンが原住民を食べてレるのだ。 そのライオンの上に娘が乗っているのだ。「何だ。これは」 しばらくして夫がふるえる声でいう。 「美加ちゃん、危レからそっとこちらヘいらっしゃい」「そうだ、美加、早くこっちへ来い」 命令口調で親たちはいうのだ。 美加は、自分が楽しんでいる世界へ侵入者が人ってきた事に腹を立てていた。おまけに侵入者は、あのうるさい両親なのだ。 「さあ、ライオンちゃん、あの二人も食べておしまい」 美加はライオンに命令した。ライオンは逃げるスキを学えず両親二人をなぎ倒す。 「まあ、お前はいい子ね」 美加はライオンのたてがみをなでる。ここは美加が想像した夢世界。何でも思い通りになるのだ。 子供部屋だったところはアフリカ人の死体で血の海だ。美加のそばに30センチくらいの高さのフランス人形が置レてある。 アフリカの風景には不釣合だ。その人形がにこっと笑ったような気がした。 やがて、美加もライオンに食べられる運命だ。 ■何本もの私鉄とJRが数多くの人間をそれこそ物のようにつみこんできては吐ぎだす町、渋谷。甘から有名な待ち合わせ場所、渋谷駅の忠夫ハチ公銅像前。 その前にレだ.人の男が二人組に呼びかけられる。「もしもし」 呼びかけられた男の眼はぼんやりとしている。2人がかりでその男は路上に押したおされた。突然の出来事だ。 待ちハロわせをしてレだ男ひは何事かとまわりから逃げ出す。 1人の男は、男の眼の中を内視鏡で調べてレる。男の網膜には血管がなかった。 押えつけてレだ男がすばやくホルスターから銃をとり出し、ためらわずに頭を射つ。 銃声は駅の周辺一帯に響く。 二人の男は、まわりに集まってきた群衆にIDカードをかかけて見せる。 「心配するな。我々は、それこの通りドリーマーハンターだ」 もう一人もつけ加える。 「そうだ。こいつはドリーマーだったのた」 群衆の目の前で射たれた男の体はゆっくりと消えてレく。路上には跡形もなレ。 ドリーマー・夢結社第1回●夢王たちの饗宴パート2です。(1987年)星群発表作品ドリーマー・イン・ヒズ・ドリームより改稿しました。作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.17
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鈴木純子作品より KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/3/ 「洪水」第3回 水棲人ミ=ムネとム=ウムは仲がよかった。しかしム=ウムは、「シュクセイキ」以降の地球の歴史の中で、種族の特徴であるえらが存在しないのだ。 第3回 ミ=ムネとム=ウムは水棲人とうしで仲がよかった。しかしム=ウムは、「シュクセイキ」以降の地球の歴史の中で、種族の特徴であるえらが存在しないのだ。 「洪水」ガーディアンルポ03第3回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■ガーディアンルポ03「洪水」第3回■ ミ=ムネはうなだれて岩の上で想いかえす。彼、ム=ウムの事を。 ム=ウムは生まれた時から変わったところがあったのだ。 しかし、彼女の属している種族自体も他の水棲人達と変わっているといえばいえる。何かしら創造者が施したとおもわれる作為的なところが、ミ達の体に感じられるのだ。 あまりにも体が能率的左のが陥きらに精神構造も違っているようだ。彼女の一族と他の水棲人達とのいききはほとんとといってない。 また、他の水棲人達とも付き合かうとしない。限られた地域の中で、彼女の一族は生活をしているのだ。 けれど、それにも増してム=ウムは異端児であった。 ■彼ム=ウムの一族は、「シュクセイキ」から続いているといわれる種族の連綿と続く歴史の中で始めておこった異変といえるであろう。 彼の体は、まるで種族のそれと異っていた。彼か生まれた時、彼の父はム=ウムを殺そうとした。 必死で長老達が押しとどめなければ、彼は今生きていなかった。 水棲人たる彼にはエラがなかったのだ。 少なくともエラがはえるまで日数がかかった。 その間、彼は息も絶え絶えの状態だったのだ。 部落の中央にある岩屋の中の、天井にたまったわずかな空気で彼はかろうしかその生命を保っていた。 さらにうろこのはえるのも遅かった。ム=ウムが一族の災いの元である決定的な証拠はミ=ムネしか知らない。 それは今日から、三ヵ月前のことだ。 ■その日、ム=ウムはいつもと様子が違っていたので、ミ=ムネは不審に思っていた。 何も言わず、ムはひとりどこかへ行こうとする。 心配のあまりヽ心は彼をつける事にLだ。 驚いた事に、ムは彼ら種族が厳しく立ち人りを禁止している「禁制地域」へ何のためらいもなく人っていく。 ミ=ムネはムを、その禁制地域の人口で待つ事にしか。 長い時間、ム=ウムはその中に人ったまま帰ってこない。 ミは、恐怖と不安のあまりに、何度も集落へ帰ろうかと思ったが、やはりムのことが気になり、岩陰から中の様子を見守っていた。 何時間、経ったろうか。 ムは放心状態で入口から泳ぎ出てきた。ミ=ムネは急いで後ろから泳ぎつき、ムの名前を呼んだ。 「ム=ウム、ムったら、しっかりしてよ。私よ。ミ=ムネよ。わかる」 「え、何、ああ、、ミ=ムネミか。どうしたの。ここはとこなの」ムは、急に気付いた。 「伺を言っているのよ。ム、今まであなたかとこにいたか気がついていないの」 「えっつ、僕がどうしたって」 驚いて彼女を見る。 「いい、よく聞いて。これは冗談じゃないんだから」 「わかってるよ、ミ=ムネ、そんな侑い顔をするなよ。せっかぐの君のかわいい顔がたいなしだよ」 「ふざけている場合じゃないわ。あなたは今、禁制地域から出て来たのよ」 「禁制地域!、、だって」 「そぅよ、、、禁制地域よ」 「うつ、本当か」 「ム=ウム、あなたも知っているでしょう。私達の種族の言い伝えを。もしあの地域に誰かが足を踏み入れた時、私達の一族は皆滅んでしまうという伝説を」 ムは驚いたままだ。 「もちろん、知っている。何代にも渡って語りつがれてきたことたから」 肩を落とし、声はふるえる。 「間違いなく僕は禁制地域に人っていったんだね」 思いつめたようにムはミに尋ねた。ミ=ムネはどぎまぎしながら答えた。 「間違いないわよ、わたしこの眼ではっきり見九んたから」 「そうなのか。。」 「でも、安心して、ム=ウム、私は一族の誰にも、この事は言わない。約束するわ。第てこんな事がわかったら大騒ぎよ。殺されかねないわ」 「ありがとう、ミ=ムネ。本当にありがとう」体が震えていた。 「僕は自分自身が怖いんだ。なぜそんな事をしたんだろう」頭を抱える。 「それじゃまったく禁制地域の中の事は覚えていないの」「そう、まったく記憶がないんだ」 二人だけの秘密はミ=ムネとム=ウムの間をよりよく親密にしてした。 今日この日、ム=ウムがさらわれていくまで。 ■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品ー2013年改稿)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.17
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光陽社様アート年賀状に山田企画事務所の協力作家4名が、作品を提供しております。https://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2022/index.html に山田企画事務所の協力作家4名が、作品を提供しております。よろしければ、ご購入下さい。鈴木純子3種類大石容子4種類岩崎ナギ1種類井川康一2種類光陽社様HPより「毎年ご好評いただいている光陽社のアート年賀状です。今年の年賀状も、様々なシーンで活躍するクリエーターの方々にデザインしていただきました。心を伝える、もらって嬉しい、個性的であなたにぴったりな一枚を見つけてください。」 #光陽社アート年賀状ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.15
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KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/2/ 「洪水」第2回■地球イコール水球だ。フネはその大洋を漂っていた。「フネ」は「真人」を見つけだし、回収し保護する。「洪水」ガーディアンルポ03第2回■(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook/ ■「洪水」ガーディアンルポ03第2回■ 「フネ」は大洋を漂っていた。 陸地と呼べるものは存在しなかった。 生物は海の中に生息していた。海はどこまても青く、広がっている。 地球は大洋といってよかった。地球イコール水球だ。 「フネ」は地球上を巡航し、「真人」を見つけだし、回収し保護することを自分の目的と 考えていた。「真人」、誠の地球人類である。 フネは大いなる昔、何者かによって造りだされ、海に送りだされた。 フネの記憶回路はそう告げていた。 「シュクセイキ」が地球にとって通い昔となった時、人類の影はなかった。 シュクセイキ。 人類はなぎ倒され、多くの者は苦痛の中で、のたうち死んでいき、わずかに残った者はその体の染色体に異常 を受け、入間の形態をとらぬ生物へと変化をしていった。 人間の遺伝子をより濃厚に持つ真人を捜し出すことは、無限とも思われる能力を持つフネにとっても画題をき わめた。 フネの側を、水棲人の一入が泳いでいた。 彼は驚く。 こんな巨大なものが世の中に存在していたとは。 その巨大さは彼の理解力を越えている。 水棲人は近づくこともなく、フネを見ていた。 今夜、彼の集落は、この話でもちきりになるだろうし、彼は中心的役割を果たすことになる。 フネに出会うことはめったに次い。 その千載一遇の機会に彼はでくわしたのだ。彼の子々孫々にこの語は語りつがれるだろう。 フネは乳白色をしていた。底部は卵形をしている。中央は塔のような突起物が見えた。 船の外周から中心部へとながらかな曲線で頂点部へともり上っている。 フネは、だから海からひときわ高く空へ向けそそり立つ棒のようにも見えた。 窓と呼べるものはない。全表面はすべすべして光り輝き、つなぎ目も まったく存在しない。 が、フネは意志をもっていた。その意志はある目的遂行のため。 ム=ウムは、水棲人一族の者と共に狩りに精を出していた。ム=ウムのエラから泡が立ち登っている。 ムの一族は水棲人で、体全身はうろこで被われ、海の中を自在に泳ぎ、自分達の世界としていた。 狩りの獲物はまた、変貌した魚類であった。魚類は巨大になり強力な力を手にしていた。 かつて陸上で我が世の春を謳歌していた肉禽獣のごとく、彼ら魚類は力強ぐ柔軟な体躯を自分のものとしていた。 大昔、アフリカ人達が、白身の持てる智力と体力でライオンや豹と対峙していた様に、水棲人達は魚類と闘っ ているのだった。 今日の獲物は飛切上等の「グル」だ。何にちも部族が食べる事ができるこの時代のくじらだ。 ム=ウムの仲間達はもう小一時間も奴を追いかけていて、薙ぎ倒そうとしていた。 手にしているモリは唯一の武器。ム=ウムたちは集団戦法を得意としている。グルに一人で立向かうとす奴は生 まれながらのパカなのだ。ダルにかかって何人の仲間が死んでいったろう。グルの愕は昔のサメの伺倍もあった。 グルもかなり傷ついて、狂暴になっていた。気をつけ痙ければいけない。こんな時が一番危い。 彼らも注意力が散漫になっている。疲れているのだ。 海上から何かが落下してきた。その透明の半球状のものが、突如、水棲人達を襲ってきたのだ。 底部から突出した無数の触手を、水棲人遠にのばす。 ムは痛みを感じた。 上はく部のうろこの下から血が、わずかだが流れている。 突然の「くらげ状のもの」が襲来、彼らは呆然としたが、気をとりなかした。 攻撃の相手を今までのグルから、この半球状のものへとかえた。 しかしム遠のモリ はこいつの体には役にたたない。 その突然の出現とうって変わって、そいつは浮遊していた。 ム達はそいつにカー杯モリを叩き付けるが、跳ね返される。 そいつ「くらげ状のもの」の内部では、触手に隠されたレーザーメスで収集した皮膚細胞が分析されていた。 染色体の調査が行なわれ、フネのメイン・データセンターを通じ、チェックが行なわれていた。 再びそいつは活動を開始した。今までとは異なった動きをした。 触手を眼にもとまらぬ速さで自在に勣かし始め、水棲人を追いたて始めた。 触手は一人、ムだけ を追い求めた。 フネのメイン・コンピュータは、ムを「真人」の可能性が高いと分析したのである。 ムの体は、三本の触手によってがっちりと掴みこまれたかと思うと、その透明の内部へ収容されてしまった。 ムが、そいつの体の中に人れられる。それを見て水棲人達は総攻撃をかけた。 が、触手から激しい電気が流れる。水棲人は生まれて始めて受けた電気攻撃にかもわずたじろいた。 その瞬間、その半円球は水ヘ向かい急速に浮かび上がていった。 水棲人達は必死でそいつを追いかけたが、みるみる引き離され、やがて、そいつは見えなくなった。 「くらげ状のもの」半円球の物体はフネに引き寄せられ、フネ船底部から吸い込まれた。 ミ=ムネは、愛していたムが、そいつに連れていかれた、ショックで、水面をずっと見上げていた。 やがてみんながあきらめて集落へ帰り始める時も。 まだあきらめきれず、眺め続けている。仲間の1人がミの肩を叩いて言った。 「ミ=ムネ、残念だが、あきらめるんだ。もうム=ウムは帰ってこないぞ、いつまでまってもな」 ミはそれに答えなかった。長はじっとミを見守っていたが、やがて皆の方へと泳いていった。 「ミ=ムネ、いいか、早く帰ってくるんだぞ。このあたりは危険だからな」 と心配しながら。 ミ=ムネはうなだれて、近くの岩棚に腰かけてム=ウムの事を考え始めた。 ■(続く)「洪水」ガーディアンルポ03(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.09
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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/71/ 源義経黄金伝説■第72回■最終回★源義経の存在が日本の統一を可能とした。 源頼朝は日本全国に守護地頭を置く。律法の世、貴族の世である日本を、革命においこんだ。 源義経黄金伝説■第72回■最終回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube ■ 終章 正治元年(一一九九)、源頼朝、落馬がもとで死亡と、鎌倉幕府正史「吾妻鏡」には記されている。 印地打ちの石には、鉱山で使われる丹毒が、塗られていて、ゆっくりとした死を頼朝に与えたらしい。 源頼朝の死は平家滅亡より、十四年後である。 源義経の存在が、日本の統一を可能にした。源頼朝は、源義経のおかげで、追捕師として、日本全国に守護地頭を置くことを可能とした。これが律法の世、貴族の世である日本を、革命においこんだ。 黄金大仏の再建は、平安黄金国家の終わりを意味し、新しい征夷大将軍が続いていく。 西行法師は文覚に、黄金のありかをつげ、さでに先に運び込んだ黄金を頼朝の名前で、勧進を行った。その代わりに源義経をこれ以上追いかける事を約束させたといわれている。 西行の残りの黄金は、結縁衆、山伏たちによって、蝦夷・恵庭岳の山林中に隠されてるという伝説が存在する。宝物を埋めた目印として、笹竜胆の家紋が浮き出る、義経石が配されている。笹竜胆は、西行えにしの藤原北家の家紋である。 当時、満州、東蒙古、華北地方を領有していた、女真族の国は金である。 源義行も、母静ともともに吉次の手づるにより、金に渡っていると伝えられた。 源義経は、その子、源義行とともに、金朝に仕え、功績は抜群で、父子相次いで範車大将軍に任じられたと「金史別伝」にある。 文覚は生き残り、鎌倉幕府により再び佐渡に配流された。1199年3月の事である。 夢見、こと明恵は文覚の跡目となり、京都神護寺の事跡をつぐ。この後、承久の変の後北条泰時が、明恵に深く帰依し、「御成敗式目」という法律をつくる。 この中に明恵のあるがごとくの思想は反映され、民間の知恵あるがままを、条例化する手助けをした。式目は明治時代まで日本人のこころのよりどころとなる。40年間書き綴られた明恵の「夢記」が今に残る。 東大寺勧進職は、栄西に受け継がれる。法然は鎌倉仏教を立ち上げていく。鬼一法眼は伝説の人物となった。 西行の佐藤家荘園、紀州田仲庄は後、源頼朝の預所となり、高野山との土地争いは解決された。 藤原定家編纂の歌集「新古今和歌集」には西行の歌が94首が治められ、入選歌集筆頭である。 歌の聖人、西行上人の名は日本の歴史に深く刻まれている。 以下 連載 第1回に戻る。■明治元年(1868年) 白峯神社(京都) 京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区に白峯神宮はある。祭神は崇徳上皇すとくじょうこう。日本の大魔王といわれている。 幼き帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でている。「さあ。御君おんきみ、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。 これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたたらぬよ うに、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。 代々、外祖父、中山忠能が家、藤原本家に伝わりし、西行法師さいぎょうほうし殿との約束をお伝え下さいませ」 この日、1日驟雨である。中山忠能卿のさし出される傘の中。御歳15歳の新帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。 「崇徳上皇殿下、お許しくだされ。我が王朝が武士から世辞を取り戻すに700年かかってしまいました。 今にいたり、源頼朝、大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士どもの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。 そして、陰都かげみやこでございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、代わ りに江戸を陰都といたします。平将門を祭る神田明神を持って、陰都の守神といた します。 が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城をもっ て新しき王朝の皇居といたす事をおゆるしくださいまし」 御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。 「今、奥州東北の国々が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を起こそうとしております。我が王朝の若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿どもをたいらげます」 幼き帝は、再び深々と、頭を垂れた。崇徳上皇は、保元の乱ほうげんのらんの首謀者の一人である、後白河に敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山しらみねさんに葬られた。 讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門うらきもんであり、平泉は、京都から見て鬼門にあたる丑寅の方角である。 突然、空から、驟雨の中雷光が、崇徳上皇の独白が落ちてきて響き渡る。 「西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。 所詮は、東の幕府、所詮は、荒夷どもが都ぞ。朕が情念は、いつしかその都に吹くだすやもしれぬぞ。見ておれ」 その時 雷光が風景すべてを白濁させ、消えた。残光が響き渡る。 「不吉なり。。」思わず誰かがつぶやく。 数人の供人が、島津家が源頼朝の子孫であると称し、毛利家が、鎌倉幕府、大江広元の子孫であることを想起した。あたらしい鎌倉幕府か? この日、元号が明治と改元された。 (完結)20210430版改稿原稿作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtubeランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキング
2021.11.08
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YK夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高の夢王は、だれなのか? なぜ、この夢世界はできたのか?ドリームドラッグ・ウオーとは?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n7285dc/30/ 夢王たちの宴■第30回■最終回相対する国家陣営が、お互いにドラッグミサイルを発射し続けた。現実世界が滅び、各人の夢世界が同時並列で存在する。これはジェイの希望であったが。 夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第30回■■最終回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube ■第30回■■ジェイポラードの夢世界■ Kは、光の草原の中に立っていた。 光の草原には「光粒子」が振り注いでいる。ゆっくりとゆっくりと、光の草原は光粒子がたまり光り始た。 光粒の一位、その中にジェイの意識は、凝縮されて、草原の中にころがている。 他の人々の意識世界も、光粒子の一粒なのだ、 総ての光粒子が、一つ一つの意識世界だった。 同じように凝縮されている。 「大戦役」は実はドラッグウォーだった。 「夢戦争」、あるいは「幻想戦争」と呼んだらいいのだろうか。 相対する国家陣営が、お互いにドラッグミサイルを発射し続けたのだ。 その中で一番強列だったのが、ジェイ・ポラードが精製したJP359だった。 個人の妄想、幻想が解放され、個々人だけの幻想世界、夢世界が、地球上に実在化された。 多くの人々が、より強い妄想力を持つ人間の世界にとじこめられていったのだ。 「ゴルゴダシティ」は、ポーランド軍クネコバ・スプローキン大佐の妄想世界の中であった。 ジェイ・ポラードの意識は、ビブラフォーンに化していたアイラの意識と合体した。 そして、二人の意図によって、JP359が全て、隠し場所から全ての幻一想世界へと拡がったのだ。 各々、個人の夢世界が存在するようになったのだ。 ジェイの意識は、この多重夢世界のドラッグ・ジャンパーになってしまったようだ。 つまり、ジェイの意識は、他人の夢世界から他人の夢世界へと、次々とトリップ してゆき、ジェイの意識を他の夢世界の構成要素として刷り込んでいく。 やがて、ジェイの意識を中心軸として、一つのまとまった幻想世界ができるかもしれなかった。 それはいつだろう。 が、時間の観念もまた、幻想世界ではあいまいな基準にしかすぎない。 あるいはまたジェイの存在自体が、誰かの幻想世界の中の一構成要素かもしれなかった。 ジェイは、いいしれぬ巨大な暗渠にいる感じがする。 Kは、光粒子を、せっせと、かき集め始めていた。ちいさな籠にいれる。 この世界では、Kの種族しか、光粒子を集められない。 光粒子は、すぐに輝きを失なってしまう。 Kは集めた光粒子を、小高い丘の上にあるクリスタルパレスヘと、運こぶ。 火が飛んできた。地獄犬が、Kの方へ火を吹きかけているのだ。 「ウルー おやめ!」 鋭どい女の声がする。 そのしっかりした鋭い声には似合わず、きゃしゃな体を持つ細面の微笑する少女が、地獄犬を押さつけた。 地獄犬は、クリスタルパレスのまわりに放し飼いにされているのだ。 クリスタルパレスの主人は、変人だといううわさだったが、Kの集める光粒子を高く買ってくれる。 それだけでKは充分だった。 クリスタルパレスの中、一番大きな「輝きの間」には、全盲の少年が、椅子にすわっていた。 「アイラ、どうかしたのかね」 「いいえ、ジェイ、なんでもないの。ただ、地獄犬が、光粒子を集めて来てくれた人にほえただけなの」 「そうか、だれもケガはしなかったろうね」 「そうよ、ジェイ・ポラード」 「そう、それじゃいいよ。君こちらへ来て」 この世界のジェイ・ポラードは、この世界のアイラの手をにぎる。 二人の前には、パソコンのキーボードとモニターがあった。 ポラードは、盲目なのだが、モニターにキーボードで何かを写し出している。 「ねえ、ポラード、次の光粒子を写してみて、どんな世界なのかしら、楽しみだわ」 光粒子は、1つの夢世界なのだ。 「そう。また、僕が登坂するだろう。今度はどんな役割かな」 「そうね、それが私にとって一番楽しいの」 「僕は夢王、キング・オブ・ドリームだ。そして君は」 「クイーンーオブ・ドリームよ。むろん」 「我々は、他人の夢世界のすべてをのぞくことができるのね」 「そうさ、アイラ」 その二人の楽しそうな姿を、Kは見ていた。 今日はたくさんのお金をもらえた。明日はもっと光粒子を集めてこようと、Kは思った。 ひょっとして、Kとは、クネコバ・スプローギンの意識かもしれなかった。 ジェイとアイラは、いつも光粒子を通じて他の夢世界を見ることができる。 光粒子の中の、一人一人の夢幻世界を。 モニターを前にしているポラードのかたわらで、アイラは実体化できた、自分自身ではない「ビブラフォン」をひき始めた。 曲は『ハルフォードの稲妻』だった。 ボラードは目は見えないが、モニターを感じていた。 そのモニターには、多くの蝶たちが翔んでいた。この乱舞する蝶たちはどこの空間を翔んでいろのだろう ジェイはその蝶になっている自分を発見する。 彼は、どうやら自分が新しい宇宙空間創造の種子の中を翔んでいろと感じていた。 新しい記憶。どうやら今度は彼こそ、新しい宇宙鎖造の起爆剤らしい。 クリスタルパレスに上から、ゆっくりと、光の粒子が降り注いでいく。 Kはそれを見上げた。 ■ジェイが作った夢結社の人々の夢想世界ができていた。 この責任は、どこにある? そう、ジュイ・ポラード博士だ。彼の夢世界。あるいは、ジュイ・ポラードを滅ぼせねば 自分の夢世界を滅ぼすかもしれない。それぞれの人々は、ジュイ・ポラードの夢世界を 探り当て、彼を亡き者にしょうと画策し、刺客を送りこもうとする。 ●完 20200501改稿山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube#夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの痕)ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.08
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THESEIJI作品よりYK夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高の夢王は、だれなのか? なぜ、この夢世界はできたのか?ドリームドラッグ・ウオーとは?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n7285dc/29/ 夢王たちの宴■第29回■ジェイはワルシャワからJP夢世界発生させる夢麻薬のミサイルを世界に向け発射する。これで現実世界が変化し、ゴルゴダシティの世界も消滅。混沌とした夢世界へ。 夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第29回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube ■第29回■ 「スプローギン大佐、残念だね」ポラードが大佐につぶやく。 「残念なのはどっちかね、ボラード君」 「あんたは遅かったよ」 「何をいっていろ。負けおしみかね」 「いや、違う。すでにもうミサイルは発射されたよ」 「何だと、おい、お前調べに行け」 スプローギン大佐は一人の兵士に命令した。 「仲間によってね、ビスラ川の河底の基地から発射されたのだよ。あなたはミサイルを敵陣営に発射したと考えるだ ろう。がわたしはソビエト連邦を含む東ヨーロッパのワルシャワ条約同盟国に対し発射したんだ。 もう数分でカタがつく。でも君達はそう考えなかったろう」 「くそっ」 スプローギン大佐は.ジェイポラードを銃でなぐりつけた。 「当然、同盟国はアメリカ合衆国を含むNATA軍および敵陣宮からのミサイルだと考える、それでジ・エンドさ。 一発でも小型のミサイルが爆発すれば、世界は大戦争に発展する。 といってもドラッグ=ウォーなんだがね」 先刻の兵士がもどってきた。 「大佐。同盟国に一発のミサイルが打ち込まれた様です。条約軍は戦闘状態に入りました」 「ボラード、君は世界を滅はしたな」 「いや、大佐、それは違う。私は、、新世界を創造したのだ」 「よし、たわごとはいい。表へこいつらを連れ出せ」 「どうやら、君は自分の体を戦車でひきつぶされても白状しそうにないな」 スプローギン大佐が求めているのは、JP359の中和剤だつた。 スブローギン大佐は、ホラードの研究室を襲撃した時に、中和剤を作っていたらしい事を発見していた。 が、すべてのJP359の中和剤データはボラードがにぎっている。 シュッカが、ジェイボラードに神経緩和剤を射つ。 「それじゃ、、これはどうかね」 スプローギンは兵士に命令した。 兵士が連れて来たのはアイラだ。 ボラードは、彼がこれからやろうとするその意味が理解したわかった。 「やめろ、スブローギン」 ポラードは声をかぎりに叫んでいた。 兵士はポラードと同じように道路の上にアイラを横たえ、しばりあげた。 「ボラード、私の事を気にしないで」 「いやだ、だめだ、アイラ、私の犠牲になるべきではない」 「愁嘆場はそのくらいにしろ、ポラード、我々が本気である事を見せてやる。やれ」 スプローギンは命令する。 「くそっ、やめてくれ、わかった。白状する」 しかし、スプローギンはストップの命令を出さない。 戦車はゆっくりとアイラの体の方に近づいてきた、 「白状する。言ってやる。スプローギン、やめてくれ」 「ポラード‥」アイラが絶叫している。 戦車のキャタピラはフイラの体をバラバラに引きさいた。 血の海である。 片わらの兵士がはいた。 「アイラー。くそっ」 ボラードの叫びは、人間のものとは思われなかった。 声はワルシャワ旧市街に響きわたる。 「スプローギン、覚えていろ」 ポラードの体は小刻みに震えていた。目は何にもみなかったように固くつぶっている。 やがてヽポラードの目から血の涙 あふれでていた、疑いもなくそれは血だった。 ボラードの中の脳は、第2回目のJP359を搭拉したミサイル発射の指令をだしていた。 ポラードの秘密の基地から、それは蒼穹に向かって放たれていた。 スプローギンはボラードに言った。 「次は君の番だ。君の場合はゆっくりやってやる。まず、左手からだ」 ボラードは返事をしない。自らのからにこもっているようだった。 「いいか、ポラード、白状するなら今だぞ」 沈黙が続く。 「よし、やれ」 「大丈夫ですか、大佐」ドクター・シュッカが尋ねた。 「いい、私がすべて責任を負う。本来はこやつが、先に戦車にひき つぶされるべきなのだ。国家に対する裏切り者。いや、全人類に対する裏切り者なのだから」 戦車は再び、ゆっくりとポラードの方へ近づいてくる。 上空に飛行物体が飛来してくる。JP359を積んだミサイルである。 誰も気づいてはいない。近距離をマッハ3でそいつは飛んで来た。 いやな音がした。 ボラードの左手はなくなっていた。戦車が通りすぎたのだ。 「うっ」ポラードはうめき声をあげる。 瞬間、あたりは光に包まれた。 その時、敬虔なカトリック教徒であったスプローギンは自分自身が、 まるでゴルゴダの丘にいて、キリストの処刑に立ち合っているように惑じた。 張り付けにされたキリストか路上のポラードの像と重なりあった。 それが、この世界においてスプローギンが見た最後の光景で、スプローギンの脳裏に焼き着いた。 ボラードの顛の中では、アイラの愛しい姿が思いおこされていた。 神の左手の伝説はここに終止符を打った。 ■また別の夢世界だった。アイラは変わらぬ姿で人間の姿だ。 アイラは、ポラードの応接間で、グランドピアノを弾いていた、その曲は『ハルフォードの稲妻』である。二人の好きな曲だった。 『ハルフォードの稲妻』は大海原を行く小さな帆船を歌ったものだ。 大荒れの嵐の海を船は波頭にもて遊ばされ、海面を上下しながら 進んでいく。 そのイメージが実体化している。 ハルフォード岬の燈台が『吃えてくる。それを最初に発見するのは高校の教師なのだ。 ■その間に、、、そして一つの世界は終った。 ■ フォトンで演奏される『ハルフォードの稲妻」はいよいよ最後の1章を残すだけだ。 「そうか、わかったよ、少佐、また会えるかもしれん」 「そう、ドクター、私もそれを希望している] ダン。 ピブラフォーンが弾き終った瞬間、大教界の壁は続々と崩れ落ちていき、そこから一勢に光が放たれる。 光の悪魔たちであった。 ■ゴルゴダシティの夢世界でも、ミサイルが他の夢世界へ向かって発射されたのだ。 しかし大教界にいるゴルゴダシティの市民たちはそのミサイルの飛翔する場面は見えなかった。 もうビブラフォーンの演奏で感極まっていたからである。 衝撃が、移動宮殿フォトンを襲ってきた。光が放たれた直後、黒い闇がゴルゴダシティを覆った。 やがて大自然が戻ってきた。 ■ゴルゴダシティの夢世界は白球と化した。 ジェイとアイラの意識は、何も存在しない空間の中を浮遊している。 「ジェイ、また、再び、新しい世界が始まるのね」 アイラの意識がいう。 「そう、今度の世界は君と一緒だよ」 二人の意識は、急激な光の激流の中に飲み込まれた。 そして、長い暗黒が続く。 (続く)山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009ーyoutube #夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの痕)ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキング
2021.11.05
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2021.11.05
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KZガーディアンルポ03「洪水」廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/1/ ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品)第1回「水球爆弾」という隕石群が地球に降り注ぎ、 地球の文明を根こそぎ大なたで打ち払ってしまった。 ガーディアンルポ03「洪水」■第1回■(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■第1回■ 見渡す限り波だ。 水の壁は情容赦なく僕カインの方へ襲いかかってくる。 その激流の中で、僕の足はもう焼けただれた建物の屋上には届いていなかった。 放射線で焼けただれた町。 それでも僕には長く棲んでいて愛着があった。 その廃墟が海に犯されていくのを、僕はなすすべもなくただ見ているしかなかった。 海、すなわち大洪水だった。 波は、伺度となく押し寄せてきて、廃墟を踪順した。 なじみのある暗い町並は、二度と僕の目の前に現われることは、、ないだろう。 服と呼べるだろうか。 そのうす汚れた切れっぱしは、僕の体にまとわりつき、かかげて身勤きは緩慢にたってくる。 水は僕の息をとぎれきせ、言うにいわれぬ悲しみは僕の体をしびれさせていった。 彼女アニー。 さっきまで、、ここに。やっと海面に顔が出る。まわりを見渡す。 いる。何100メートル、離れているだろう。 波間に見え隠れする。 彼女も海にもて遊ばれている。 僕は叫ぶこともできがたい。それはどの気力も残ってはいないのだ。 打ちこわされた伺かの物体が大きな音をたてて迫り、アニーに当った。 彼は泥水の中に消えていく。 「アニー、、、アニー、、」 僕は叫ぶ。 が、、何てことだ。運命を呪う。地球の運命も。 僕は、無意識の内に、浮かんでいる木片にしがみついた。 すさましい勢いの雨は、人間の希望をすべて押し流すように降り続き、 その暴風雨の祚はまるで銃声のように僕の耳には聞己えていた。 そう、人類を完璧に打ち倒す銃声の様に。 ショックとそれに伴う疲労のために、僕は意識を失いそうになる。 夢、それも悪夢を見ているようなのだ。 僕は夢うつつ考える。 僕とアニーは、なぜ、あの異星人が地球に打ち込んで きた「水球爆弾」の熱射から肋かったのだろう。 「水球爆弾」という隕石群は地球のあらゆる場所に降り注ぎ、 地球の文明を、根こそぎ大なたで打ち払ってしまったのだ。 僕、カインはまどろみ始める。 (続く)ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品2017年改訂)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#洪水#ガーディアンランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.05
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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/70/ 源義経黄金伝説■第71回京都神護寺にて 西行の宿敵、文覚は巨木に向かう。 「天下落居(てんからっきょ)」の時。師匠の彫像を、弟子の夢見、今は「明恵(みょうえ)」は微笑んで眺めている。 源義経黄金伝説■第71回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube ■1199年(建久10年)京都・藤原兼実邸 関白、藤原兼実は考えていた。 我々の家の先祖が、古き名前では中臣の家が、百済から、この国に流れてきて、他の豪族や百済、新羅の貴族とも戦い、この国で一をしめ、仏教とこの国の宗教とも戦い、我々、藤原の貴族がこの国の根幹を押さえてきた。 藤原の都を作り、壬申の乱を生き残り。この国を寄生樹のように支配してきたのだ。 ここは、我々、藤原氏の国だ。 おそらく、この世界のどこよりも我々の支配体制が優れていよう。 天皇家ですらその意味合いがわかるまい。それなのに、後から来て板東に移住しいてきた者どもが、武闘を繰り返し、地位を締めはじめ。天皇家の血を入れた人物を立ててしまった。 藤原の氏の長としては、何らかの生き延びる方策をこうじねばならない。「鎌倉」へは何かかの方策を討たねばなるまい。源頼朝が、鎌倉源氏が麻呂を裏切ろうと。京都の底知れぬ企みの怖さをしれぬ武者ともを、手に入れよう。 法然殿、重源殿、栄西殿とも話あわねばなるまい。むろん、麻呂の弟、慈円じえんも。 そうだ。慈円なら我々藤原の名跡をたたえ、我々の役割を言葉として残してくれよう。この京都の比叡山から、次々と宗教という矢を打ち込み、鎌倉武士ともの心をうちつらぬこうぞ。 いままでの後白河法皇という重石が、麻呂の頭からさっても、、 いや、なつかしい思いがつのる。生きておわした間はにくらしげであったが、今は、後白河法皇様がうたれた、打ち手の見事さが、麻呂の身にしみる。 さいわい、西行が打ち立ててくれた「しきしま道」が日本全土を多い、我々の守りとなろう。和歌により言霊による日本全土の守り。その和歌の言葉が悪霊から我々を守りってくだるだろう。 和歌により神と仏を日本各地でたたえる。 それも歌枕によりわれわれ貴族や僧侶が、恐るべきは崇徳上皇様のたたりのみ。西行ですら失敗してしまった。 永く後生我々のおそれとなろう。 兼実は、藤原氏の氏の長者うじのちょうじゃとして、あらゆる手をつかい、鎌倉幕府への攻撃かための決意をした。 ■4 1199年(建久10年)京都 京都。神護寺の境内。 鎌倉から生き延びて京都に帰っている僧がいる。文覚が涙を流しながら、二mはある巨木の切れ端に向かっている。その力技は普通ではない。刃の聖そのものである。その姿勢が、「天下落居てんからっきょ」の今となっては時代遅れの観をいなめまい。 額に汗し、顔を赤らめ、ひたすら巨木に打ち込み刃を振るう文覚は、人間ではないような感じさえ思わせるのだ。赤銅色のその力強い腕からは、ある人物の姿がだんだんとこの木片から浮かびびあがったくる。 夢見、今は明恵みょうえと呼ばれる弟子が、文覚にたづねる。「お師匠様、それはもしや、」「いうまでもない。西行の像だ」「でも、お師匠様、この世ではお話が通じなかったのではございませんか」「夢見よ、ワシと西行は同じ乱世を生きた、いわば戦友、同士だ」 鬼の文覚から一筋に涙が、、「これは汗ぞ。夢見よ。奴の思い出にのう」「、、、」「が、夢見よ、負けたのはやはりわしかもしれん」 「それはいかなる故にでございますか」「わしと西行は、北面の武士ぼ同僚だった」「たしか、相国平清盛さまも」 「そうだ、が、この後世の日本で、一番名前が残るは、残念ながら、西行かもしれん」「西行様が、」 「そうだ、ワシが忌み嫌った「しきしま道」をあやつは完成させよった。和歌によりこの国日本の風土あらゆる者に神と仏があると思わせ崇拝させる道をあやつは完成させ、その道を伝えるものを数多く残したのだ。 歌の聖人として、西行の名前は、永遠不滅であろう。日本古来の神道と仏教を、和歌と手法を使い一体化させよった。これは、さすがの、重源も気づかなかったことだ」 「でも。お師匠様、よろしいではございませんか。この世が平和になるのでございますから」「夢見よ、ふふつ、お主もな、西行の、毒にはまったか」文覚は苦笑した。 「わしはな、まだまだ西行への甘い考え方には不服だ。奴は亡くなっても策士ぞ」「といいますと」「西行が、義経という玉ぎょくを、旧い日本である奥州に送り込み、頼朝に日本統一をさせよった。西行は、後白河法王の命とは故、日本統一と、宗教統一の2つを完成させよったのだ。これは、珠子たまこさまの願いにもかなう。後白河さまは、白拍子 などとつうじ、今までの日本の文化をまとめ、武士にたいする日本文化の根元流派を、藤原氏をはじめとする貴族に残したのだ」 文覚は、夢見にさとすように言った。「むかしナ。わが王朝は、東大寺の黄金大仏を作り上げた。これは、唐にも天竺にも新羅にもない大事業であり、我が王朝の誇りとなった征夷大将軍、坂上田村麻呂が、黄金を生む異郷である、蝦夷を征服した。そして、」 「そして、平安京を桓武帝がおつくりなられ、我が王朝の平安なる時を希望されたわけですね」「武者である平家が、黄金大仏を焼き、新たなる黄金大仏を、黄金国家である我が王朝は再建せざるを得ない。が、黄金は平泉奥州王国が握っておった」 「で、新たなる征夷大将軍の出番というわけですか」「そうだ、黄金郷であり仏教王国である平泉を、何かの理由で成敗し、新たなる征夷大将軍として、再び黄金大仏を作りあげなけらば、ならぬ」 「源頼朝様が、異国奥州平泉を成敗し、黄金を手に入れ、黄金の大仏を、平安国家の象徴としてつくり上げねばならなかった、と」 「そうだ、お主も、ワシも、色々な国々からこの日本へ移住してきた我らが祖先が、1つの国の象徴として存在した黄金大仏を再建し、新たなる時代の幕開けをつげなければならなかったのだ」 「お師匠様、でも、もう日本は仏教国でございます」 「くく、それよそれ。西行は、歌の形で、奥州藤原氏の仏教王国の考え方自体を、日本に広げていきよった、くやしいが、わしは、西行にかなわなんだ」 夢見、明恵は、しかし心のなかで少しほほえんでいる。 でも、お師匠様、でも少しお忘れです。ー紀州熊野を納めしもの、日本をおさめんー熊野を治めるどこかの国から来た人間の子孫が、この日本を治めるのですよ。拙僧は、紀州湯浅氏出身の「夢身」です。 今の法名は明恵みょうえは、ほほえんで、師匠の文覚が、目から汗をたらし、往時を思い出しながら、西行法師の彫像を彫琢するのを眺めていた。 (続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube#源義経黄金伝説ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキング
2021.11.04
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K夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高の夢王は、だれなのか? なぜ、この夢世界はできたのか?ドリームドラッグ・ウオーとは?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n7285dc/28/ 夢王たちの宴■第28回■ジェイは、ポーランドワルシャワ市街の地下に、JP薬品を搭載したミサイル発射施設を建設していた。国軍が、施設を急襲する。 夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第28回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube ■第28回■ ワルシャワ旧市街は、ポーランド観光のメッカである。 今日も旧市街は観光客でごったがえしている。車を外に止めた。 この町は第2次大戦下、ヒットラーの命令一下、完全に破壊され たのだ。そして大戦後に、それこそ、レンガの一つ一つをひろい上げ、 積み上げ、復原した街なのだ。16世紀の風景を今に伝えている。 旧市街の中央に、観光名物のオルガン弾きの若者がいる。 いつもの通りオルガンをひいている。 ジェイは観光客の様に、オルガン弾きゆっくりと近づき、 「イーゴリ、いいか」と尋ねた。 「大丈夫だ。まだ追跡者はここまで入ってきてはいない」 イーゴリはオルガンを弾きながら答える。 「それじゃ、消えさせてもらうぜ」 「わかった」 二人は、観光客用の馬車が通りすぎたその問、煉瓦道路のはめ石をはずし、 その下に入り込む。 舗石の下は地下水道になっていた。 第2次世界大戦中の対独ゲリラ組織が作りあげて保存されていたのだ。 ジェイとアイラは進んでいく。 「ここだ」ジェイが言った。 地ド水道の側壁にわずかな印があった。 その通路をくぐると、広い秘密裏に建設された研究施設があり、コンピュータで 回線がつながれているようだった。 「ここが僕の研究所だ。秘密のね。ここからJP359を東せたミサイ ルを、自在に発射できる」 ジェイとアイラは、研究所の内部機械を、順次作勣させ始めた。 二時間後、ようやく、すべてのミサイルのセッテイングが終った。 ジェイはミサイルの発射ボタンを押そうとする。指をかけた一瞬。 秘密研究所の壁と天井が、吹き飛んだ。 旧市街ではオルガン弾きのイーゴリが別の曲を弾き姑めた。合図 だった。 砂ぽこりの中から背の高いポーランド軍制服の男が現われる。銃を 手にしている。後から数人の特殊部隊の兵士が入ってくる。 「ようやく会えたよ、ボラード君。ここに。隠れていたのか。そうそ う、自己紹介しよう。私は、ポーランド軍・ワルシャワ条約国家安全局、クネコバ=スプローギン 大佐だ。さて、ポラード君。その汚ならしい手を、その操作卓のスイッチから はずしたまえ。言う事が聞けんとならば、その手を吹き飛ばすが、いいか」(続く) 1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●how to draw manga ●manga-training●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube#夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの痕)ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.04
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KZガーディアンルポ03「洪水」廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/1/ ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品)第1回「水球爆弾」という隕石群が地球に降り注ぎ、 地球の文明を根こそぎ大なたで打ち払ってしまった。 ガーディアンルポ03「洪水」■第1回■(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■第1回■ 見渡す限り波だ。 水の壁は情容赦なく僕カインの方へ襲いかかってくる。 その激流の中で、僕の足はもう焼けただれた建物の屋上には届いていなかった。 放射線で焼けただれた町。 それでも僕には長く棲んでいて愛着があった。 その廃墟が海に犯されていくのを、僕はなすすべもなくただ見ているしかなかった。 海、すなわち大洪水だった。 波は、伺度となく押し寄せてきて、廃墟を踪順した。 なじみのある暗い町並は、二度と僕の目の前に現われることは、、ないだろう。 服と呼べるだろうか。 そのうす汚れた切れっぱしは、僕の体にまとわりつき、かかげて身勤きは緩慢にたってくる。 水は僕の息をとぎれきせ、言うにいわれぬ悲しみは僕の体をしびれさせていった。 彼女アニー。 さっきまで、、ここに。やっと海面に顔が出る。まわりを見渡す。 いる。何100メートル、離れているだろう。 波間に見え隠れする。 彼女も海にもて遊ばれている。 僕は叫ぶこともできがたい。それはどの気力も残ってはいないのだ。 打ちこわされた伺かの物体が大きな音をたてて迫り、アニーに当った。 彼は泥水の中に消えていく。 「アニー、、、アニー、、」 僕は叫ぶ。 が、、何てことだ。運命を呪う。地球の運命も。 僕は、無意識の内に、浮かんでいる木片にしがみついた。 すさましい勢いの雨は、人間の希望をすべて押し流すように降り続き、 その暴風雨の祚はまるで銃声のように僕の耳には聞己えていた。 そう、人類を完璧に打ち倒す銃声の様に。 ショックとそれに伴う疲労のために、僕は意識を失いそうになる。 夢、それも悪夢を見ているようなのだ。 僕は夢うつつ考える。 僕とアニーは、なぜ、あの異星人が地球に打ち込んで きた「水球爆弾」の熱射から肋かったのだろう。 「水球爆弾」という隕石群は地球のあらゆる場所に降り注ぎ、 地球の文明を、根こそぎ大なたで打ち払ってしまったのだ。 僕、カインはまどろみ始める。 (続く)ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品2017年改訂)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#洪水#ガーディアンランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.04
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源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/69/ 源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。 源義経黄金伝説■第70回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube ■ 1198年(建久9年)鎌倉/大江広元屋敷 「危ういところであった、文覚が鬼一を処分してくれたとしては」大江広元は呟く。が、広元は疑心に捕らわれる。 いかん、もし、、、 「よいか、至急に牢を見て参れ」と雑色に命ずる。「源義行殿、牢におられませぬ」 雑色が顔色を変えて報告した。「何と…、そうか、あの磯野師めが」 大江広元は、禅師の控え部屋にいく。「禅師、お主、義行殿を逃がしたな」声高かに叫ぶ広元に対して磯禅師は、ゆっくりとお茶をたしなんでいる。 ふくいくたるお茶の香りが磯禅師のいる部屋にたちこめている。 「大江様、どうかお許しください。あの者、最初からこの世には存在せぬものです」「磯禅師、お前、静と連絡をとっていたのか。静はまだ生きていると聞く。あの義行を静の元に走らせたのか」 大江広元は、ある事にはたと気づく。苦笑しながら言う。「そうか、磯禅師、お主、西行に惚れておったのか。それを見抜けなんだのは、私が不覚。西行の想いが、自分の黄金である源義行を逃しよったか。くくっ、まあ、良い。 いずれは、静のところに向かうであろう」源義行は、磯禅師にとっては孫にあたるのだ。 大江広元は憎々しげな表情で、磯禅師を見つめる。禅師は、まさか広元が静の居場所を知っているとは、思っている。 恐るべき情報能力を持つ男だった。大江広元 は付け加えた。 「よいか、禅師。もし何かことがあれば、お主もろとも滅ぼす。無論、京都大原にいる静もだ」 脅しの言葉であった。が、禅師も負けてはいない。「しまし、大江様。大江様もこのままでは済みませぬぞ」「何だと」「頼朝様の暗殺を知っておられたこと、鎌倉腰越にて書状に認めてございます」「何という書状を…、嘘じゃ」 「北条政子様は信じますまい。いや、本当のことをご存じでも、その書状を利用し、京都から来た男である大江様を、鎌倉政権の座から引きずり落とすでしょう」「むむっ、お前。この俺を裏切りおるか」大江広元は憤怒の形相で、磯禅師ににじり寄った。 「これでも禅師は、この源平の争いの仲を生き残ってきた者でござい ます。裏の手、裏の手を考えておらねば、生き残ってはこられませぬ。そこは 私、禅師の方が広元様より、一枚も二枚も上手ということでございましょう」 大江広元を見返す禅師のまなじりには力がこもっていた。おまけに源義行は、禅師の孫なのだ。 今の今まで生きながらえて、この官僚あがりの田舎貴族と対峙して、勝てなければどうしよう。経験の量が違うのだった。 「うむっ…」大江広元も押し黙ってしまう。ここは禅師を怒らせぬ方がよいかもしれぬ。所詮は女だ。変に怒らせて、今までの広元の苦労を水泡に帰すこともあるまい。 「大江様、大江様はこの鎌倉殿の政庁を作り。歴史書に御名前が載りましょう。が しかし、大江広元様ではなく、中原広元様にかも知れませんね」 「禅師、お前何を企むか」「いや、お隠しめされるな。先年なくらられし西行様も、同じことをされました」 「‥‥」「家の筋目のことでございます」 「西行法師様も、佐藤家の本筋ではございませんでした。佐藤家は源平の戦い、屋島の戦で、滅んでおります。それゆえ、西行様も佐藤家御本流として、後の歴史にのこられるでしょう。これは大江様も同じことをされる機会でございましょう」 大江広元も、また西行もそのそれぞれの家の本流、本家ではない、と禅師はいうのだ。 「禅師、お前は、、」「いや、皆まで申されますな。 大江様の御母君様は、大江家の出。母方さまの御本流をのってるおつもりではございませんでしたか。本来の苗字、中原の名前を隠し、大江の本流の方々をすべて死においや り、大江広元の名前は、歴史にのこりましょうぞ。さすれば、名高き学者、大江匡房の 曾孫としてはづかしき事無く明法博士の御名前を朝廷からいただけましょう。これ でも禅師には、つてがございます」 大江広元はしばしの間、頭を垂れていた。が、ゆっくりと顔を禅師に向ける。「、、で、禅師、そのお方とは、、」 禅師は、広元もまた、京都のためにからめとった。 「わかった禅師。このこと不問にしよう」「では、源義行様のことはいかが記録されます」「事件とはかかわりあいのない雑色だったということにしようか」 「それを聞いて安心いたしました。 それでは、京都から鎌倉にこられる僧たちのことよろしくお願いいたします」 栄西、法然をはじめ、新しい教条を手にに、鎌倉武士のために京都から僧侶が送られてくるのだ、その手配方を、大江広元に頼もうというのだ。 昔、京都において、平家陣営の諜報少年部隊、赤かむろの束ね者でもあった、磯禅師は、深く頭をさげた。 (続く)20210429改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/yamadakikaku2009-youtube#源義経黄金伝説ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.11.01
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