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SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/10/ 聖水紀ーウオーター・ナイツー第10回聖水騎士フガンはレインツリー組織から、歌姫ベガを連れ去り、聖水神殿に連れていく。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第10回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 「フガン、我々が何故、このような多雨地帯にいるのか、わかるか」 「ははあ。そうなのですか」 「きさまの想像どうりだ」 水にたいしては水を使う。地球の水がレインツリーの呪術師の念力により一種のバリアーとなっている。分がわるいとフガンは判断する。臨機応変の処置だった。フガンは一瞬飛び上がり、ベラの真後ろに着地した。 「さてさて、レインツリーの皆さま、今日はこれで幕にしておきましょうよ。変に手だしをなさると、いいですか、このお嬢さんが傷つきますよ。これでも私聖水騎士フガンは諦めのいいほうなのです」 「皆、構わないで、このフガンをやっつけてよ」歌姫ベガは叫ぶ。 「レディ、そう騒がれてはこまりますねぇ。あなたは本当に諦めの悪い方ですね」 フガンはベラに当て身をあて、気を失わせる。 「フガン、きさま」ロイドの顔は激怒の色。 「皆さん方、お静かにせれませ、彼女が目をさまします」 聖水騎士フガンは歌姫ベラを担ぎあげ、走り去る。 その時、上空から飛翔機が降りて来る。 「ちょうど、いい時間です」 「では皆さま方、またお目にかかりましょう。あ、それから、シマさんよろしく」 飛翔機は飛び上がっていった。 第5章 「水鳥をとばせろ」 ロイドは一言つぶやく。 「聖水をあらためて手にいれるのだ。ツラン、君の出番だ」 レインツリーのメンバーのひとりツランにロイドは言う。 「ということは瓢衣の方法を使うのだな」 ツランが答えた。 「そうだ。水鳥もまだベラの残留思念があるうちに、君が操ってくれ。そして、君の力で聖水騎士団をたぶらかし、聖水を手にいれろ。それを分析しょう。素早く彼ら聖水に対する対抗手段を打ち立てよう。そしてベラの手ががりも手にいれるのだ」 ロイドは自分自身に言い聞かせるようにつぶやく。 ベラを失った怒りが潮のようにロイドの心に押し寄せていた。 ロイドはすさんでいた。建物にもどったロイドは床にうずくまったままのタンツを目にする。 タンツの胸倉をつかんで、抱き起こす。せきたてる様に言う。手荒く扱う。 「タンツ、早く思い出せ。宇宙要塞ウェガの位置を思い出すんだ」 が思わず、ロイドはのけ反った。 「こ、こいつは」 起き上がったロイドを見るタンツの目は先刻の男の目ではなかった。生気が戻ってきている。かっての宇宙連邦軍大佐ウェーゲナー・タンツの目だった。 不思議に、昔の威厳も取り戻したとうなのだ。 「乱暴なまねはやめろ。ロイドとやら、私は今、宇宙要塞ウェガの位置を思い出した」 タンツの心の中で何かが弾けたようだった。別のいきものに変化した。そんな気持ちがした。 この青二才め、目にもの見せてくれるわ、ウェーゲナー・タンツの怖さをな。タンツは心でロイドをののしっていた。 「残念ながら、君たちの仲間は、私に追いつけなかったようですね」 聖水騎士フガンの問い掛けに歌姫ベラは無言でいた。 「まあ、気にしなくてもよろしいですよ。悪い扱いはいたしませんよ。レディ、ベラ君は賓客ですからね。さて、もうすぐ、我々の神殿につきますよ」 上空からは聖水神殿を中心に発展しているハドルン市の市街地がベラの目に飛び込んでくる。敵の本拠地ながら、ベラはその広さに圧倒された。 飛翔機はズンという音と共に着地した。 「さあ、我々聖水騎士団の本部へようこそ、レディベラ」 フガンは先に飛翔機から降り、ベラにたいして最敬礼のお辞儀をする。 フガンの飛翔機のそばに、聖水車がとおりかかる。 「フガン、帰ったのか、首尾はどうだった」聖水騎士団長アマノの声だった。 「隊長、上々です。レディベラをお連れしました」聖水車に向かい、フガンは叫ぶ。 「我々は布教活動の途中なだ。あとで説明を聞こう」 「楽しみは残しておいてくれ」聖水車にいる聖水騎士団仲間の一人、内藤が叫んだ。 「自分だけ手柄をたてるなよ」同じく同僚のコンノも声をかけた。 聖水車はゆっくりと町並みのほうへ降りて行った。それを眺めていたフガンがベラの方をふりむく。 「さて、レディ、聖水にあっていただきましょう」 フガンはいやがるベラをつれ聖水神殿へと入っていく。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第10回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.31
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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/5/ 源義経黄金伝説■第5回 鞍馬山で師匠の鬼一法眼から武術をならう牛若は、守護神に合う。また、僧、源空に心を見透かされる。 源義経黄金伝説■第5回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 十五年後。永暦元年(一一六〇) 今年57歳になった法師が、山道を登っている。 京都、鞍馬山僧正ヶ谷である。山肌に木の根が血管のようにごつごつと現れている。 激しく武者修行をする牛若の前に、法師が一人現れていた。 かぶりもので牛若うしわかには顔が見えない。 「牛若殿、元気であらせられるか」「はっ、あなた様は」 「名乗るほどの者ではない。いずれ私の正体わかりもうそう。いわば、牛若殿の未来にかけておるものだ。いかがかな、牛若殿、武術の方は上達いたしましたか」 その問に不審な顔で牛若は答えた。 「はっ、師匠の鬼一法眼おにいちほうがん様の指導よろしきを得て、ますます励んでおります」 「そうよのう、ここ鞍馬山の坂道で鍛えられれば、体力もつきもうそう。が、牛若殿、くれぐれも自重されよ。牛若殿の身は、御身一人だけのものではないのだ。お気をつけられよ」 そう言い残し、法師は去って行った。 練習に励む牛若の前に、牛若の師匠、鬼一法眼が現れる。 京都、いや日本で有名な幻術師である。 「お師匠様、見たこともない法師が、私を激励されましたが…」不思議そうな表情で述べた。 鬼一法眼はかすかにほほ笑んで 「ふふう、牛若、あちこちにお前の守護神がおるようだのう」「あの方は、私の守護神ですか」 「どうやら、そのようだのう」 牛若は、首をひねる。その姿を見て、鬼一法眼は笑っていた。 今、牛若は毎日、下界の京都までかけ降りては、自分の武術を試し、鞍馬にかけ戻っている。 「牛若殿、またそのような乱暴狼藉を働かれて…」非難するような様子で、その若い僧は言う。 その源空げんくうという名の僧は、京都王朝の大学・学術都市である比叡山の僧坊に属しているのだが、ある時牛若と出会い、友達となったのだった。ゆっくりとお互いの身の上を話し合った。 源空は、じっとりと顔が濡れるほどに、牛若の身の上を案じてくれた。「何と、お可哀想な身の上なのだ…」 その若者らしい激情に、牛若もまた自身の身の上話に、ほほに涙をぬらすのだ。「牛若殿、仏に身を任せるのじゃ。そうすれば、おのが身、仏によって救われるであろう」いつも出会うたびに、言うのだった。が、牛若は仏を信じぬ。 牛若は自分の体は、戦の化身だと信じている。 なぜならば、父は源氏の氏長者うじのちょうじゃだったのだ。武者中の武者の血が流れているのだ。 それがこのような京都の外界、辺境に置かれようとも、いつかはこの世に出たい。源氏の若武者として、名を馳せたい。そういう願いが、牛若の心を一杯にしている。 そうするべきだという自身が、みづからの中から沸き起こるのだ。 若い血は、あの急勾配の鞍馬山を、毎日行き来することによってにじり立ち、若い体は強力な膂力を手に入れつつあった。そして、その若い力を、この無慈悲なる、牛若自身の力を理解しない世の中へ出て試したいと、希っていた。これは、世に対する復讐なのか 源空は、やさしくにこやかな表情でゆっくりと分かりやすく牛若に語る。 「およしなされ、牛若殿。、、、おのが身は、、、平相国そうこく、平の清盛様から助けられた命でございますぞ。、、、そのようなお考え、恐ろしいことは、お止めなされ」 と非難し止めるのであった。 なぜに源空は、私の心がわかるのか、、と 牛若は思った。 (続く)★2016改訂★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com#義経黄金伝説ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.31
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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/4/ 源義経黄金伝説■第4回 西行法師は、北面の武士の当時に同僚であった平清盛を訪れ、ある人物を東北黄金王国の平泉へ送る事を約束する。 源義経黄金伝説■第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com第1章 永暦元年(一一六〇)今年42歳となった西行は、北面の武士当時、同僚であった平清盛を訪れている。京都六波羅かいわいは、まるで平家の城塞都市である。平家親戚一同が甍を並べ、藤原氏をはじめとしての貴族を睥睨している。平家にとって武力は力であった。 清盛と話す西行から、奥座敷の方に、幼児と母親がかすかに見える。 (なにか、面白い話か、あるいは、わたしを陥れる奸計か。くえぬからのう、清盛は、、) こう考えていた折り、大きな陰が現れている。今、飛び鳥を落とす勢いの男が、仁王がごとく立っている。「おひさしゅうござる。西行法師殿、巷の噂、ご高名聞いておる。これがあの北面の武士、当時の佐藤殿とはのう」 今42歳同年の清盛は、若い頃、詩上手の西行に色々な恋歌を代作してもらったことを思い出して、恥じらい、頭を掻いている。「いやいや、北面の武士と言えば、あの文覚殿も」文覚も同じ頃、北面の武士である。「いやはや、困ったものよのう、あの男にも」 「今は、確か」「そうじゃ、あの性格。、、よせばいいものを、後白河法皇にけちをつけ、伊豆に流されておる」文覚は摂津渡辺党の武士である。 「あの若妻をなで切りにしてからは、一層人となりが代わりよったな」話を切り出してきた。背後から若い女御が、和子を清盛の腕にさしだしている。「のう、西行殿。古き馴染みの貴公じゃから、こと相談じゃ。この幼子、どう思う」「おお、なかなか賢そうな顔たちをしておられますなあ。清盛殿がお子か」 「いや、違う。この常盤ときわの子供だ、名は牛若と言う」「おう、源義朝がお子か」 西行は驚いている。 (政敵の子供ではないか。それをこのように慈しんでいるとは。清盛とは拘らぬ男よな。それとも性格が桁外れなのか)西行の理解を超えていることは確かなのだ。 「そうじゃ、牛若の後世こうせい、よろしくお願い願えまいか。西行殿も確か仏門に入られて、あちらこちらの寺にも顔がきこうが。それに将来は北の仏教王国で、僧侶としての命をまっとうさせてくれまいか」 「北の…」 西行は、少しばかり青ざめる。 「言わずともよい。貴公が奥州の藤原氏とは、浅からぬ縁あるを知らぬものはない」にやりとしながら、清盛は言う。西行は恐れた。 西行が奥州の秀衡とかなり昵懇な関係があり、京都の情報を流していることを知れば、いくら清盛といえども黙っているはずはない。西行は冷や汗をかいている。「……」 「それゆえ、行く行くは、平泉へお送りいただけまいか。おそらくは、藤原秀衡殿にとって、荷ではないはず」 しゃあしゃあと清盛は言う。西行の思いなど気にしていないようだ。「清盛殿、源氏が子を、散り散りに……」「西行殿、俺も人の子よ。母上からの注文が多少のう」 相国平清盛は、頭を掻いていた。母上、つまり池禅尼いけのぜんにである。清盛も母には頭があがらぬ。池禅尼が、牛若があまりにかわゆく死んだ孫に似ているため助けをこうたらしい。 が、相国平清盛は、北面の武士の同僚だった折りから、食えぬ男、また何やら他の企みがあるかもしれぬが、この話、西行にとっていい話かもしれない。あとあと、牛若の事は交渉材料として使えるかもしれぬ。ここは、乗せられみるか。あるいは、平泉にとっても好材料かもしれぬ。ここは清盛の話を聞いておくか。 この時が、西行と源義経のえにしの始まりとなった。 平清盛はゼニの大将だった。平家の経済基盤のひとつは日宋貿易である。奥州の金を輸出し、宋の銭を輸入した。宋の銭の流入は日本の新しい経済基盤をつくろうとしていた。むろん、ここには平泉第の吉次がからんでいるのはいうまでもない。無論、西行もまた。 新しい経済機構が発達しょうとしていいる。新しい職業もまた始まろうとしている。日本の社会が揺れ動いているのだ。 続く2014改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com#義経黄金伝説ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.30
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SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/8/聖水紀ーウオーター・ナイツー第8回■奴隷船の奴隷シマは、タンツ大佐だと、聖水に反抗する組織レインツリーのロイドがいう。そして地球連邦軍の軍事機密をかたれと聖水紀ーウオーター・ナイツー第8回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 第4章 奴隷船の流体、漕ぎ手である シマはようやく目ざめた。 水鳥はシマと、意識を失っていたベラの体をどこかに運んだようだ。 シマは飛行中に疲労で寝てしまったようだ。しかし、いまだに信じられなかった。自分はあのフガンとかいう聖水騎士団の男に聖水をかけられた、が消滅しなかった。 おまけに奴隷船での単なる歌姫だと思っていたベラが、海水を鳥に変化させた。 自分はその鳥に乗ったのだ。脅えが今ごろ、シマの体を震わせていた。 それにしてもここは。雨音が急にシマの耳に飛び込んで来る。 シマは何かの建物の一階にいた。バラック状の簡素な建物で、シマの目前にドアがあった。 窓からは激しい雨足が見えている。 ドアを開けてズブヌレの男が入ってきた。 男の顔はレインパーカのフードのせいではっきり見えない。 不安がシマの体を震えさせた。不安は人を多弁にする。 「あなたはどなたですか。それにここは」 「我々はレインツリーの人間だ」 その男はフードをあげながら、言った。シマが思ったより若い男だった。 レインツリー、対『聖水』組織。 聖水紀以前の地球社会に復帰さることを目的とする組織だった。おまけに、呪術者集団。 「安心しろ、シマ、我々は味方だ」 「ここは、どこなんですか。それにベラは大丈夫なのでしょうか」 「レインツリーの基地のひとつだ。ここは多雨地域。聖水騎士団もなかなかちかずけまい。ベラのことは、直接本人から聞け」 建物に今度は小さな人間が入ってくる。 フードをはずす。元気なおなじみの顔があった。 「シマ、大丈夫だった」奴隷船の歌姫ベラの第1声だった。 「君こそ、大丈夫なのか。たしか聖水を体に浴びたはずだ」 わずかに、安堵感がシマの体に広がっていく。 「わずかよ。それにこのレインツリーの基地で手当してもらったの。私の体は特別製なの」 傍らの男を見て歌姫ベラはしゃべった。最後の言葉に意味があるかのように。 「シマにはもうしゃべったの、ロイド」 ロイドと呼ばれた男は首を振る。 「いや、まだだ。君の口からいってもらったほうがいいと思ってね」 ベラはすこしの間、考えていたようだが、やがて決心したようにシマの目をみつめながらしゃべった。 「シマ、あなたはシマではない」 シマはとまどう。悪い冗談かとも思った。 が、ベラの表情は、船の上の歌姫の冗長なベラのそれとは別物だった。 「どういう事なのかな。君は私を探っていたのか。だから、船の上の君は演技だったのか」 シマはわけののわからない怒りで、自分がつき動かされているのを感じた。 ベラは顔を赤らめて絶句する。レインツリー組織のロイドがその場を救おうとした。 「それはベラから答えにくいだろう。私が船にいる君を発見し、確認のためにベラを歌姫として奴隷船に潜入させたのだ」 シマは考える。 この私がシマでないとすれば、一体私はだれなのだ。 ベラは私が誰だかわかっていて私に質問をしていたという。 このレインツリーの人間は、本来の私が何者なのか知っているわけか。 シマは怖かった。自分が誰か聞くことが。シマの心はちじに乱れ、叫んでいた。 「頼む。教えてくれ。私は誰なのだ」 「本当に知らないようだな」 男は静かに言った。 「君はウェーゲナー・タンツ宇宙連邦軍大佐だ。聖水が地球防衛圏を突破するのに手をかした男だ。君のために地球は聖水に汚染されたのだ」 ロイドの目には憎しみの炎が燃えている。 ロイドの言葉はシマの心に深々とつき刺さる。 俺がウェーゲナー・タンツだと。地球最大の裏切り者。 急に過去の記憶が戻ってきて、タンツの心と胸を一杯にした。犯罪者。 震えがタンツの体を襲った。いてもたっていられない。 思わず地面に両手両ひざをついた。タンツの体は小刻みにふるえる。汗が体じゅうから吹き出る。 ロイドがひざまずき、タンツに被いかぶさるように、タンツの顔をのぞきこむ。 「タンツ地球連邦軍大佐。君に教えて欲しい。地球連邦軍の秘密要塞の位置を。君しか生き残っていない。宇宙連邦軍で、君しかね」 タンツの脳裏には、地球連邦軍の潰滅シーンが想起された。 「ねえ、シマ、じゃなくてタンツ大佐、お願い。教えて。覚えているはずよ。宇宙要塞ウェガの位置と要塞侵入のパスワードを」 「宇宙要塞ウェガが我々の切り札なんだ」タンツは無言で震え続ける。 「だめよ。ロイド、タンツは堅く自分の殻に閉じこもっている。 病院でも、自分がタンツだと、結局最後まで認めなかったというわ。 今でもショック状態よ。我々の機械で治療しましょう」 「ベラ、時間が惜しい気がする。こんな奴に時間を与えるのがねえ」 あたりが急に騒がしくなった。ロイドは建物から飛び出る。男が走ってきた。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第8回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.29
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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/3/ 源義経黄金伝説■第3回 鎌倉八幡宮舞殿にて、男装の白拍子、静が舞う。源頼朝の面前で愛する義経がために 源義経黄金伝説■第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 第1章 一一八六年 鎌倉八幡宮 1 文治二年(1186)四月八日のことである。 鎌倉八幡宮の境内、音曲が響いてくる。「京一番の舞い手じゃそうじゃ」そこに向かう雑色ぞうしきが仲間と声高に話していた。相方がこれも声高に答えた。 「おまけに義経が愛妾とな」「それが御台所様のたっての願いで、八幡宮で舞うことを頼朝様がお許しになられたのそうじゃ」「大姫様にもお見せになるというな」「おう、ここじゃが。この混み様はどうじゃ」 鎌倉の御家人たちもまた、この静の白拍子の舞を見ようと、八幡宮に集まって来ている。大姫は頼朝と御台所・北条政子の娘であり、木曽義仲の子供である許婚を頼朝の命令で切り殺されたところでもあり、気鬱になっていた。 去年文治元年(1185)三月平家は壇ノ浦で滅亡している。その立役者が義経。その愛妾が話題の人、静。平家を滅ぼした源氏の大祝賀会である。その舞台にある女が登場するのを、人々はいまか今かと待ち兼ねて、ざわついている。 季は春。舞台に、観客席に桜の花びらがヒラヒラと散ってきて風情を催させる。 その時、どよめきが起こった。 人々の好奇心が一点に集中し、先刻までのどよめきが、嘘のように静まっている。舞台のうえにあでやかな人形があらわれた。 舞殿まいどのの上、ひとりの男装の白拍子が舞おうとしている。 頼朝から追われている源義経の愛妾静その人であった。この時、この境内の目はすべて静に注目している。 衣装は立烏帽子に水干と白い袴をつけ、腰には太刀より小振りな鞘巻をはいている。 静は、あのやさしげな義経の眼を思っている。きっと母親の常盤様そっくりなのだろう。思考が途切れる。騒がしさ。ひといきれ。 静の母親の磯禅師は今、側にはしり寄って執拗に繰り返す。「和子を救いたくば、よいか、静、頼朝様の前での舞は、お前の恭順の意を表すものにするのです。くれぐれもこの母が、どれほどの願いを方々にしたか思ってくだされ。わかってくだされ。よいな、静」涙ながら叫んでいる。 が、静にも誇りはあった。 母の磯禅師は白拍子の創始者だった。その二代目が静。義経からの寵愛を一身に集めた女性が静である。京一番といわれた踊り手。それが、たとえ、義経が頼朝に追われようと…。 静は母の思わぬところで、別の生き物の心を持った。 要塞都市、鎌倉の若宮大路。路の両側に普請された塀と溝。何と殺風景なと静は思った。その先に春めいた陽炎たつ由比ガ浜が見えている。その相模の海から逃れたかった。 かわいそうな一人ぼっちの義経様。私がいなければ、、そう、私がここで戦おう。 これは女の戦い。知らぬうちにそっと自分の下腹をなででいる。義経様、お守り下させ。これは私の鎌倉に対する一人の戦い。別の生き物のように、ふっきれたように、静かの体は舞台へ浮かんだ。 しかし,今、舞台真正面にいる源頼朝の心は別の所にある。 頼朝は、2つの独立を画策していた。ひとつは、京都からの独立、いまひとつは、階級からの独立である。武士は貴族の下にいつまでもいる必要がない。とくに、東国では、この独立の意識が強いのだ。 西国からきた貴族になぜ、金をわたさなければいけなにのか。だれが一番苦労しているのか。その不満の上に鎌倉は成り立っている。 しかし、義経は、、あの弟は、、義経は人生において、常に逃亡者である。 自分の居場所がない。世の中には彼に与える場所がない。義経は、頼朝が作ろうとしている「組織」には属することが不可能な「個人」であった。その時代の世界に彼を受け入れてくれる所がどこにもない。 頼朝はまた平泉を思う。 頼朝に宿る源氏の地が奥州の地を渇望している。源氏は奥州でいかほどの血をながしたのか。頼朝は片腹にいる大江広元おおえひろもとをみる。 土師氏はじしの末裔。学問を生業とする大江一族。頼朝は京から顧問になる男を呼び寄せる折、あるこだわりを持った。 なぜなら、彼の曾父は大江匡房まさふさ。博学の士。八幡太郎義家に兵法を伝授し、奥州での勝利を確約したといわれている。頼朝はその故事に掛けている。奥州との戦いのために学問の神、大江家が必要だったのだ。 さらに別の人物頼朝は眺める。 文覚もんがくは十年前、後白河法王の密命を受けてきた荒法師で、が今は頼朝の精神的な支えとなっている。皮肉な運命だった。法王はそこまで、頼朝が大きくなるとは考えてなかった。 その想いの中を歩む心に、声が響いて、頼朝はふと我にかえる。 「しずや、しずしずのおだまき繰り返し、昔を今になすよすがなる。吉野山みねの白雪踏み分けて、入りにし人の跡ぞ恋しき」 ひらひらと舞台の上に舞い落ちる桜吹雪の中、静は妖精のようだった。人間ではない、何か別の生き物…。 思わず、頼朝をはじめ、居並ぶ鎌倉武士の目が、静に引き寄せられていた。感嘆の息を吐くのもためらわれるほど、 それは…、人と神の境を歩んでいる妖精の姿であった。 ●続く●2014版作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com #義経黄金伝説ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.29
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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/2/ 源義経黄金伝説■第2回 1180年(治承4年)四国白峰。西行法師が、北面の武士佐藤 義清の折、仕えた崇徳上皇の塚に額き、崇徳上皇を奉ずる約束。崇徳上皇の霊は日本を祟っている。源義経黄金伝説■第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 明治元年(1868年)よりさかのぼる事、690年前 1180年(治承4年)四国白峰。 老僧が荒れ果てた神社の鳥居の前に佇んでいる。鳥居から見える四国瀬戸の荒海はひゅひゅうと音を立てて荒れすさんでいる。 「ようやく参りましたぞ、崇徳上皇様、しかし、この荒れよう、いかにかならぬものか。上皇様、上皇様、どうかお姿をお見せくださいませ。西行が、佐藤義清が参りましたぞ」 西行は大声で叫んでいる。ここは四国の山中である。が、社殿は静まり返っている。その静けさが、何とも恐ろしい。 「いかがなされました。何かご不満がおありになられるのか」 「ふ……」どこからともなく、うめき声が、あたりの静寂を破る。 突然、風が強くなってくる。空が急激に曇り始め、やがてポツリと西行の頬を雨脚が濡らした。 「遅いわ、西行よ。朕を、何年待たせるのじゃ。さような奴輩が多いがゆえ、京都に災いの種を、いろいろ蒔いてやったわ。四つの宮、後白河もいやいや腰をあげたであろう。俺が恐ろしいはずじゃ。 う、悔しや。もっとあやつ、、、、後白河法皇を苦しめてやるぞ」その声は恨みに満ち満ちている。 「崇徳上皇様、お待ちくだされい。民には、何の咎もございませぬ。どうか、他の人々に災いを与えるのはお止めくだされい」 「ふふう、何を言う。日本の民が苦しめば、あやつも苦しむ。もっともっと苦しめばよい。俺の恨みはいかでも晴れぬは」 「お聞きください、崇徳上皇様。では上皇様のための都を新たに作るという策は、いかがでございますか」 声が急に途切れる。 「何、西行よ、お前、何かたくらんでおるのか。いやいや、お主は策士じゃ。何かよからぬことをたくらんでいるに違いない」 意を決して、西行が顔をあげた。「崇徳上皇様、奥州でございます」 「何、あの国奥州に」「そうでございます。この国の第二の都を。それならば唐国にも前例がございましょう」 「何、平泉を、第二の京に。そして朕を祭ると、、そういうことか、西行よ」「さようでございます」 西行法師は、顔を紅潮させていた。 「西行、たばかるでないぞ。わかったぞ。朕は、少しばかり様子をみる事としょう。がしかし、再度謀れば、未来永劫、朕はこの国に、祟るぞ」 風雨は、急に止み、天に太陽が姿を現す。汗がしたたり落ちている西行の顔は、まぶたが閉ざされている。体が瘧のようにぶるぶると震えている。腰は、地に落ちている。 「これでよろしゅうございますか、兄君、崇徳上皇様に告げましたぞ。後白河法皇様。はてさて、しかしながら、恐ろしい約束事を…。この私が西行が、佐藤義清が、いかにしてか、平泉を第二の京にしなければなりませぬなあ…」 ひとりごちている西行は、心中穏やかではない。西行は四国白峰にある崇徳上皇の塚にいる。崇徳上皇は「保元の乱」で破れ、弟、後白河上皇に流されたのだ。 それゆえに弟、後白河上皇を憎みきっているのだ。そしてその配下も。東北の平泉は、源平どちらにも属さず、第3勢力の仏教王国として、産金王国として栄えている。 その昔西行法師、佐藤義清は、北面の武士として仕えていたのだ。平の清盛の同僚のモノノフとして。 (続く)20200701改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#義経黄金伝説ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.28
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SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/7/ 聖水紀ーウオーター・ナイツー第7回 歌姫ベラは奴隷流体シマを聖水騎士フガンの剣からたすけるため、海水から水鳥を作り出し、それに飛び乗り逃亡する。フガンは2人の行方と秘密を追う。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第7回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 聖水騎士団の騎士フガンは、言う。「シマくんとやら。あきらめなさい。聖水の元に身を捧げなさい。そして今までの人類のおろかさをしりなさい」 発射された聖水は、広がり、薄い粘膜の膜となり、奴隷船の漕ぎ手シマの体を包む。 当然、シマの体は消えてしまうはずだった。 しかし、聖水が、この男には反応しない。 「あなた、まさか、ロボットではないでしょうね」 聖水騎士、フガンは叫ぶ。 機械文明の象徴であるロボット、コンピューターは、この時期作ることが許されていない。 「お若いおかた。どうぞ、もう、おやめください。このこぎ人のじじいでございます。これ以上。もういじめないでください」 「シマくん。そうはいきませんよ。聖水に反応しない人間など見たことがないのです。あなた、まさかご禁制のヒューマノイドではないでしょうね?」 「おやめください」 シマは、フガンののばさせた手をふりはらう。 「あなた、さからっちゃいけませんよ。やはりヒューマノイドなのですか」 船の歌姫ベラは様子を見ている。 やはり、シマは普通の人間ではなかった。私のにらんだとうりだ。じゃ、このシマを我が組織につれていこう。可能性はある。 「おやめ。みっとないよ。聖水騎士ともあろうものがうろたえるのじゃないよ」 ベラは聖水騎士団の騎士フガンにむかって罵声を浴びせる。 「あなた歌姫ベラくん、困りましたね。あなたはいったいどちらの味方なの、はっきりしてください」 シマもベラの発言にいささか驚いている。 「私は誰の味方でもないよ。私は私の味方さ。私の思うとおりに生きているわけさ」 「あなたも、この人と一緒に捕まえて調べなければなりませんねぇ」 「いやだよ。なぜ、あんたのいう事など、聞く耳をもたないさ。あんたの相手をする。私はそれほど、ひまじゃないよ」 「レディ、いわせておけば、私にも我慢の限界があることをおわすれなく」 フガンはベラを捕まえようとした。 が、突然ベラは歌を歌い始める。どうしたのだ。シマは思った。 フガンの手をのがれながら、船の上を走り、歌えを歌う。 その歌詞をフガンは理解できない。異国の言葉、あるいは何かの記号のように思える。 ベラは船の外、つまり海にむかって受かっている感じなのだ。船の動きがおかしい。 海水が急に、甲板に撥ねあがってきた。その海水が徐々に、形になっていく。やがて、姿が決まる。 出現したのは水鳥である。この鳥のむこう側は不完全だが、透いて見える。 「面妖な事だ。レディ・ベラもこの男の仲間と見えますね」 フガンが叫んでいた。 「ほほっ、聖水騎士ならそんな事くらい自分で考えなよ」 ベラはフガンにあかんべーをする。かえす顔でシマにどなる。 「ほら、シマ、ばやぼやするんじゃないよ。はやく、この鳥にのるんだよ」 「し、しかし、ベラ、私は」 「早く、あーたら、こーうたら言ってるひまはないよ」歌姫ベラにせかされ、奴隷のシマは、不承不承、水鳥の背に乗る。 シマは今にもこの水鳥を構成する水で溺れるのではないかとヒヤヒヤする。 フガンは、再び聖水剣を手に、にじりよっていた。 「ほら、飛び立つよ」 一瞬、フガンの聖水剣から、聖水がベラに向けられて発射される。 「レディベラ、おかえしですよ」 聖なる水がベラの肩を撫でる。 「やられた。シマ、後を頼むよ」 「そんなこと、いったってベラ、どうすれば」 シマはおろおろする。がベラは姿は消えないが、すでに気を失っていた。 「おーい、ベラ、起きてくれ。どうすればいいのだ」 が、水鳥は、シマの都合など無視して、晴れ上がった蒼弓の空へと舞い上がっていく。 船には、空を見上げる聖水騎士フガンがつぶやいていた。 「あのレディは海水を動かしましたねぇ。ひょっとして伝説の『みしるし』かもしれません」 フガンは自分の装甲服についている連絡機器のスイッチをいれる。 聖水騎士団長アマノに今の一部始終を告げ、言葉をついだ。 「少しばかり、私は今の奴隷シマ老人と歌姫ベラを調べたいのですが」 しばらくの沈黙のあと、アマノは答えた。 「よし、フガンくん、その奴隷船の船長を締め上げてみろ。何か、手掛かりがあるかもしれん」 「わかりました。アマノ団長」 「フガンくん、『みしるし』であることがわかれば、まあ、よい、気をつけろ。君は、おもわぬくじをひいたのかもしれんな」 フガンは早速、奴隷船船長にあっていた。事情を説明し、船長の協力を得ようとした。 「奴隷流体のひとりのシマでしょう。あいつについては奴隷市場では、まったくデータがついていなかったのです」 船長はこういう。 「彼はロボットだったのでは」 「いや、それはないでしょう。生体チェックをクリアーしていますから」 「聖水紀以前は何をどこで何をやっていたのか、わからないのですか」 「いや、はっきりとはわかりません。ただ」 「ただ、何ですか。言ってください」 「ある奴隷流体がシマと歌姫ベラとがしゃべっているのを聞いていたらしいのです」 「ほほっ、それは興味深い話ですね」 「この流体はベラにほれていましたから、あまり、ベラがシマと仲がよいのでじゃまをしょうとしたらしいのですが」 フガンは話しを遮る。 「前おきはいいのです。どんな事をしゃべっていたのですか」 「シマは自分の出自をベラにしゃべっていたのです」 「どんな内容ですか。話してみてください」 内容は以下のようだった。 しがない奴隷船の流体こぎ人にすぎないシマ。彼は聖水以前の出来事の記憶がないのだ。その時、歌姫ベラが尋ねていたらしい。 「シマ、全然、記憶がないの。本当なの。おかしいわよ。私だって私のお母さんが日本の大阪駅前のデパートの売り子だってこと覚えているわ。あなたはどんな職業だったかも覚えていないの」 「残念だが、ベラ。私はある船にひろわれたらしい」 「海から生まれたとでもいうの」 「海からひろわれた後も、長い間、収容施設の病院にいたようだ。聖水によって地球の社会機構が変わった時に、その病院からほうり出された」 「それで、奴隷市場に出て、奴隷船の流体となったわけ」 「そうだ。ところで、ベラ。君はなぜ、歌姫なんかに」 「一言でいえば、才能ね」ベラは鼻をピクピクさせて言う。 「才能。ベラ、それは大きくでたものだね」 「だって、私には、その人を歌に出来るもの」 「どういう意味だね」 「どんな人でも旋律をもっているのよ、生まれながらの旋律が体に組み込まれているの。それが、私には分かるの」 「だからこそ、都市マハンにある歌姫養成アカデミーに入ったわけだね」 「おまけに優等生でね」 フガンが船長から聞き出したのは、このような内容だった。フガンはアマノに連絡した。 「わかった。それでは、フガンくん、彼らを追ってくれるかね」「了解いたしました。団長」 聖水騎士フガンは、船長から話しを聞く間に、奴隷船の上空に自分の飛翔機を呼び寄せていた。(続く)聖水紀ーウオーター・ナイツー第7回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.27
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SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/6/ 聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回時は聖水紀。奴隷船の漕ぎ手シマは、歌姫ベラのたくらみで、聖水騎士フガンの聖水剣の餌食に。 聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ (3) 静かな海の上を、人の力で走っている奴隷船が進んでいた。 一人のこぎ人、通常、流体と呼ばれているのだが、船倉からあがってくる。彼の自由時間である。その男はきょろきょろしていた。誰かを探しているようだ。年令はそれほど若くはない。いや、むしろ、老人の部類にはいる。 が、さすがに奴隷船の流体だけある。彼の筋肉は、とぎすまされて、太陽の光りを照り返していた。 若い女が、いままさに、船橋から降りてくるところだった。その男にきずく。女もその男を探していた。 「ねえ、シマ。あなたはいるなぜ、そんなにいつも悲しいそうな顔をしているぉ」女は高いブリッジから男に呼び掛ける。 奴隷船の流体であるその男、シマは考え深げな目で、上にいる若い女ベラに答えた。 「私にも分かりはしない。ただ」 「ただ、何なの」 ベラは15才だ。この船の歌姫であり、皆のアイドルであった。 奴隷船には必ず歌姫が乗っている。そして、流体には歌姫が必要なのだった。 歌姫は、歌がうたえる。が歌姫のソングは特別だった。彼ら流体の体の細胞に訴えかける歌なのだ。 その歌のおかげで、流体たちは船を漕ぐ筋肉が効率よく動かすことができる。 歌姫の声は、筋肉に対するある種の栄養剤であった。歌姫はこの地球には、数すくない。が通常の交通機関が消え去ったこの時代、奴隷船は有用な交通機関だった。 「私はいつも思うのだ。私は、この地球に対して、とてつもなく大きな責任をもっているってね」 こう深刻そうに答えたシマに、ベラは大笑いを返す。 「シマったら、そんな大ボラがふけるわねえ。じゃなに、この地球はあなたが作ったとでもいうの。今は奴隷船のこぎ人、流体にすぎないあなたがね」 「ベラ、笑うのももっともだ。今の私は、この船の流体にすぎない。でも、昔はそうだったような気がするのだ」 「シマ、シマ。そんな深刻な顔をするあなたが大好きよ。あなたといると逆に楽しくなるわ」 「私も同じだ。君がいればこそだ。この奴隷船くらしも気にならない」 この時、二人の側をきらびやかな装甲服に身を包んだ男がとうりかかる。 ベラが大きな声で叫び、シマの注意をうながす。 「あっ見て、見て、シマ。聖水騎士団よ」 「わかるよ、ベラ。私にも目というものがある。でも、彼らは権力の犬にすぎないのだよ。か弱いものだよ」 突然、その聖水騎士団の騎士が、ベラのま後ろに立っていた。彼は二人の話を聞いていた。 「これはお美しいレディ」 その騎士は、ベラの右手をとり、キスをする。 「何か、こぎ人が、レディに対して失礼なことでも」 ベラはあまのじゃくである。つい、口をすべらす。満身、笑みをたたえて騎士にいう。 「ええ、いいましたとも。あなたがた、聖水騎士団が権力の犬にすぎないって」 男としては、もったいないほどの美貌をもつ彼の顔色が急変する。 「なにですと。権力の犬ですと。すばらしい言葉ですね。で、その言葉をこぎ人がいってくれたわけですね。聖水騎士団も甘くみられたものです」 「お若い騎士のお方。お許しください。年寄りのたわごと。どうぞ、お許しください。おみのがしくださいませ」 シマはこの騎士に深々と頭を下げる。 「そんなこと、する必要がある!シマ、あなたいつも、聖水騎士団の悪口を言っているのじゃない」 おしゃべりの歌姫ベラが口をはさむ。騎士の顔色がもっと赤くなる。 「私の名は聖水騎士団のレオン=フガンです。私だけに対する侮辱なら、許してさしあげたかもしれませんが。しかし、我々聖水騎士団の侮辱、ひいては、聖水にたいする侮辱は見過ごすわけにはいきません。こぎ人。そこにひざまずきなさい。私達、聖水騎士団がゆるされている聖水剣の威力をお目にかけましょう。そうすれば、あなたのその曲がった根性もよくなるかもしれませんねえ」 聖水騎士団のフガンは背中に装着されている聖水剣を、目にもとまらぬ早業で引き抜き、手にしていた。 「お願いだ。フガンさま。この年寄りに無体なことをなされますな」 「こぎ人シマ、許すわけにはいきません。そこにおすわりなさい。私は聖なる水から、役目を与えられているわけですから。私の役目なのです。悪く思わないでください」 「そうよ。やってしまって」 どういう意味からなのか、ベラが、フガンをけしかけている。 船の流体シマはベラの方をみる。いったいどういうことなのだ。この歌姫はどちらの味方なのだ。 歌姫ベラは一瞬思う。 これではっきりするだろう。シマの正体が。ようやくわかる。さぐりをいれてもう3カ月。もうそろそろ。 聖水騎士団のフガンの手にする聖水剣がひと振りされる。その先から、わずかな液体がシマにむけ放たれる。人々を溶かす聖水が。 (続く)聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回(1976年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.27
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源義経黄金伝説■第1回2022年NHK大河ドラマ 鎌倉殿の13人が始まりますので、便乗して「源義経黄金伝説」を再掲させていただきます。あくまでSFファンタジー小説です。YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようとこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/1/ 源義経黄金伝説■第1回 明治維新後 新帝は、白峯神宮の祭神、崇徳上皇(すとくじょうこう)。日本の大魔王に深々と、頭を垂れた。 「源義経黄金伝説」とは■日本版三国志の物語。■時代は,源平の争いから、鎌倉幕府が成立しょうとしていた時期。■京都の陰陽師・鬼一方眼に、友人、西行法師は源義経の養育を依頼。その背景には、後白河法王、藤原秀衡が。■東アジアのフロンテイアである日本は、国家を成立。その象徴として黄金大仏を作り、国家の勢力をシンボル化。平安京に奠都した大和ヤマトは、日本を統一していくが、国家象徴としての黄金大仏は、武家革命勢力による内乱のため、消失。■その大仏再建を図らんため独立国家、奥州を併合、黄金を収奪しょうとする鎌倉武家革命政権。瀬戸内海荘園群を経済地盤とする、後白河法王を頂点とする貴族制西国王朝と新興勢力である東国騎馬武士団を率いる源頼朝。■古代よりエミシの血を受け継ぐ奥州に黄金・仏教王国を構える藤原秀衡。■「義経黄金伝説」は、一二世紀日本の三つの都市(京都、鎌倉、平泉)と三人の騎士の物語。2022年NHK大河ドラマ 鎌倉殿の13人が始まりますので、便乗して「源義経黄金伝説」を再掲させていただきます。あくまでSFファンタジー小説です。 源義経黄金伝説■第1回2018版改稿作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区に白峯神宮はある。祭神は崇徳上皇すとくじょうこう。日本の大魔王といわれている。 幼き帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でている。「さあ。御君おんきみ、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。 これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたたらぬよ うに、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。 代々、外祖父、中山忠能が家、藤原本家に伝わりし、西行法師さいぎょうほうし殿との約束をお伝え下さいませ」 この日、1日驟雨である。中山忠能卿のさし出される傘の中。御歳15歳の新帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。 「崇徳上皇殿下、お許しくだされ。我が王朝が武士から世辞を取り戻すに700年かかってしまいました。 今にいたり、源頼朝、大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士どもの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。 そして、陰都かげみやこでございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、代わ りに江戸を陰都といたします。平将門を祭る神田明神を持って、陰都の守神といた します。 が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城をもっ て新しき王朝の皇居といたす事をおゆるしくださいまし」 御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。 「今、奥州東北の国々が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を起こそうとしております。我が王朝の若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿どもをたいらげます」 幼き帝は、再び深々と、頭を垂れた。崇徳上皇は、保元の乱ほうげんのらんの首謀者の一人である、後白河に敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山しらみねさんに葬られた。 讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門うらきもんであり、平泉は、京都から見て鬼門にあたる丑寅の方角である。 突然、空から、驟雨の中雷光が、崇徳上皇の独白が落ちてきて響き渡る。 「西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。 所詮は、東の幕府、所詮は、荒夷どもが都ぞ。朕が情念は、いつしかその都に吹くだすやもしれぬぞ。 見ておれ」 その時 雷光が風景すべてを白濁させ、消えた。 残光が響き渡る。 「不吉なり。。」 思わず誰かがつぶやく。 数人の供人が、島津家が源頼朝の子孫であると称し、毛利家が、鎌倉幕府、大江広元の子孫であることを想起した。あたらしい鎌倉幕府か? この日、元号が明治と改元された。 (続)20190117改稿 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/新書1冊分 72回の連載です。#義経黄金伝説#鎌倉ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.27
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聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/5/ 聖水紀ーウオーター・ナイツー■第5回天才マッドサインティスト天野博士が選んだ聖水騎士団が誕生する。一方タンツ大佐は解放される。 ■聖水紀ーウオーター・ナイツー■第5回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com 「これが、私が全世界から、選んだメンバーです」 アマノ博士は聖水がたまる聖水プールの前でしゃべっていた。 聖水は雨になって侵入後、再び結合していた。 人格化された存在である聖水人が出現していた。 『よろしい、この地に神殿を建築しなさい。さらに車を作るのです』 「車ですと」 『そうです。それをもって我々の事をもっと人類にしらせるのです』 その時、彼ら全員の前に聖水が流れてきた。 やがて彼らの驚きを残して、また聖水プールに戻っていく。 選ばれし彼ら一人一人の前に、剣と装甲が並べられていた。 「これは、いったい」 アマノは言葉を発するのに時間がかかった。 『あなたがたへの我々のささやかなプレゼントです。 この剣は先から発射できます。その液体は我々の主成分から摘出されたものです。 まだ、地球連邦軍の残党がいるでしょう。 火力の機器は残っていないと思いますが、 あなた方にも武器が必要でしょう。 それぞれの名前が刻みこんであります。引き抜きなさい』 「でも、なぜ、我々の名前がわかったのですか」 一人の男が聞いた。 『それは我々が聖なる水だからです』 (2) 聖水プールの中、聖水人はタンツについて検討していた。 『タンツをどう処分する』 『我々を地球に導いた功績はありますが』 『が、我々聖水に対する認識は極めて薄いと言わざるをえん』 『嫌悪感がぬぐいきれないようだ』 『それに、今はアマノと聖水騎士団がいるからね』 『では、処理するかね』 『残念ながらしかたがないでしょう』 タンツの体は聖水の中、水泡に包まれてたゆとうていた。 自分が誰なのか。またどこにいるのか、まったく記憶がない。 タンツの利用価値はなくなったと、聖水は判断した。 タンツの入った水泡が、聖水の中から弾きだされた。 タンツを包んでいた水泡は消える。どこかの海だろう。 裸体のタンツはたゆとう波に翻弄され、やがて海に飲み込まれていく。 続く■聖水紀ーウオーター・ナイツー■第5回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com #聖水紀#ウオーター・ナイツ#山田企画事務所ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.23
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鈴木純子作品よりhttp://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/ SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/4/ 聖水紀■(1976年作品)第4回異端の宗教科学者、天野博士は、宇宙から飛来した聖水人によって認められて 聖騎士団を作る事が期待される。地球の浄化のためだ。聖水の雨が地球全体を覆う。 ■聖水紀ーウオーター・ナイツー■第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■聖水紀■(1976年作品) アマノ博士は苦い思いをかみ締めながら、自分の研究所に戻った。 昨日まで、イタリア、トリノ市で開催されていた「宗教科学学会」の国際会議では、罵声はアマノに集中していた。 アマノは自分のデスクに座り、頭を抱える。もう、誰も彼を弁護しょうとはしないだろう。永久に学会へ復活の見通しはない。アマノは引き出しにある銃をつかんだ。自らの命を その時、アマノは壁から侵入してくる何かを発見した。 そいつは、アマノに何かをいう。 『アマノくん、我々が君を選んだのだ。光栄に思いたまえ。我々は聖なる水。この地球をカイホウしに来たのだ』 「解放だと、一体、お前は何だ」 『宇宙の存在だ。地球人類に本当の自由を与えにきたのだ』 「宇宙生物がなぜ私のところへ」 『君が最高の科学者だと信じたのだ。我々は君が学会で何と呼ばれているか、知っている』 『めぐまれない科学者』水人たちが続ける。 『現代の錬金術師』水人たちが続ける。 「や、やめてくれ。君立ちは私に引導をわたしに来たのか。いわれなくとも、私は自分の意志で命を絶つ」アマノは頭に銃をあてる。『おまけに、我々は君が古代の宗派ドルイド派の狂信者だと知っている』 「そんな情報をどこから入手したのだ」アマノは驚く。 なぜ、かれらが、そのことを、闇の宗教であり2005年、地球政府によって弾圧撲滅、根絶されたはずのドルイド教の信者であることを。 『君を知るある男からだ』 『君の好きなイメージで地球を真実に目覚めさせるドルイド教による聖なる騎士団を組織してよい』 「騎士団だと」アマノにとって興味がある内容だった。 『君が学会で発表したとうり、地球には浄化が必要なのだ』 アマノは、銃を引き出しにしまった。奇跡がおこったのかもしれん。私に運命の神がほほ笑んだのかもしれん。「話しを聞こうか」アマノは、侵入者たちの方に顔と心を向けた。 ■ インドネシアのアンダマン諸島。このエリアは驚異的な豪雨地域だ。 その中にあるスキャン島。その山岳地域に人々が集まっていた。その木は覚醒していた。地球の地霊と呼ぶべきだろうか。ともかくその木は地球の危機を感じていた。それゆえ、この木がたばねている世界中の呪術者が集められていた。 奇妙な形をした樹木のそばに、人々は集まっている。その中の二人が話しあっていた。 「ロイド、いよいよ我々の出番がきたようだな」 「そうだ、我々が単なる呪術師でない事がわかるだろう」 「地球を救う大地の使者だからな」 「レインツリーよ、我々は感謝します」 彼らは樹木の前にひざまずいていた。 その木レインツリーは樹液を流した。 ひざまずく人々の元まで、その液体は流れていく。真っ赤な血の色だった。 「吉兆だぞ」先刻の男が叫んでいた。 聖水を含んだ雨が地球全体を覆っていた。 いかなる機械的防御も聖水の前では無力だった。例えば、聖水は電気回線に侵入するのもたやすい。どんな地球上の物質も聖水を遮ることはできない。聖水は物質の組織のすきまを通過した。聖水の前では無力化された。 宇宙連邦軍は滅亡し、地球の機械文明も滅ぶ。地球は聖水紀にはいったのである。 (続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.22
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IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/15/ 石の民「君は星星の船」 第15回■Bグループの光二は、姉ありさの死をいたんでいたが、対抗するVグループキッズのハーマンとローレルにスキを突かれる。 石の民「君は星星の船」第15回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 有沙は子供の頃から、この指輪を大切にしていた。幼い頃は指が細かったので首から下げていた。 大きくなって、光二が指にさしてやった。二人は血のつながりはない。 光二は有沙の指にはめながら、キスをした。ふたりはかんきわまっていた。血の契りであつた。 「光二、私達がゼータ生存ステーションで生き残ったように、二人はいつも一緒だよ」 「わかっているよ。姉さん、俺達はいつも一緒なんだ」 あの時、光二は有沙の死体から指輪を抜き取っていた。騒ぎのあと、すぐ、星間平和維持チームがやってきた。 光二は参考人として、拘留された。 この部隊員が有沙の死体にさわろうとする。光二は叫んでいた。 「アネキの体にさわるんじゃあねえ」 平和チーム隊員はこの星の人間ではない。だから、極めて事務的に処理する。 車から移動バーナーを持ち出し、彼女の死体を焼き切っていた。 姉、有沙の死体が燃え上がる前で、光二は泣き叫んでいた。「アネキー、アリサー」 「おまえが最愛の姉をなくし悲しむのは、いいんだけれどね」あてつけがましく、アキヨシが言う。 「なんだよ、アキヨシ、文句でもあるのか」 光二はこのアキヨシがアネキにちょっかいをだしていると聞いていいた。 「今、我々Bグループがどうなっているのかわかっているのだろうな」詰問調だ。 「アキヨシよ、ヘッドは俺だぜ。俺の言葉が法律なんだ」光二の言葉は怒りをふくんでいる。 「わかったよ、おまえがボスだよ」アキヨシはホースをドームの中央に去っていく。 光二はコアで少し考えていたあと、ホースに乗って外にでた。気分をまぎらわすためだ。といって、 Bグループの仲間のキッズと顔を合わせる気にはならない。 ドームの中を目的なく飛んでいた。 ふと気付くと、あの場所だった。光二はそこに降り立つ。 光二が有沙が死んでいた場所にたたずんでいるのを上空から見ている二人がいた。 光二のBグループと対抗するVグループキッズのハーマンとローレルだった。 「あいつがいったとうりだな」背が高いハーマンが言う。 「またとない、チャンスじゃないか。あいつはひとりだぜ」にきび面で、だるまのようなローレルがいった。 「おまけに考え事をしているぜ」 「よーし、いこう、ハーマン」 「めにものみせてくれる」ハーマンがほくそえんだ。 光二は急に後ろから捕まれ、上空につりあげられる。光二はあらがう。姉の事を考えていて、注意力がそがれていたのだ。 「光二さんよ、我々におとなしく、ついてきてもらおうか」えらく背の高い奴がいっていた。 石の民第15回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.22
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GS緑なす星にて(1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/5/ 緑なす星にて第5回■クリアキンはイアラの手を放す。そして地球を脱出し30年後帰ってきた。しかしロウ星人に捕獲され過酷な命令を受け取り実行する羽目となる。彼のたった1人の人類の戦いだ。 緑なす星にて 第5回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ クリアキンは谷底へおちていくその瞬間イアラの顔をなぜか本当に美しいと思った。やはり俺はイアラを愛していると思った。 しかし彼女はもう彼の手の中にはない。 「イアラ」 クリアキンは目をつぶり、全神経を集中し、体じゅうの力をこめて絶叫した。 やがて後悔の念が急激にクリアキンを襲い、ふるえが体じゅう犯拡がった。山道の上につっぷした。目をあけたクリアキンは見た。 イアラはクリアキンが手をぼずした時のままで空間に浮かんでいた。 彼女の体は不透明になっていて輝いていた。右手をクリアキンの方にのばし、顔を上にあげている。左手にはクリアキンの命、太陽光線変換器のスペアをにぎっていた。 ■驚きから立ち直ったクリアキンは、この谷の伝説を思いだした。 この谷は「願望の谷」と呼ばれている。古来一つの熱烈な願いを持つ者がこの谷を通りすぎ。心から悲願成就を笥む時。不思議な事象がおこるといわれていたのだ。 ある種の超能力を増幅増大させる力がこの谷のどこかに潜在していたのだった。 イアラはクリアキンの望みにより。瞬間の心象により、クリスタル(水晶)化された。彼女は死にはしない。けれど生きていて動けるわけでもない。 クリアキンは手近のつたをロープ代りにすぐ真下のイアラの体を持ち上げた。重さはあまりなかった。近くに心ら穴を捜し。ロウの追跡ロボット達にみつからないように中に運んだ。エの左手に気付いたクリアキンは太陽光線変換器をとりはずそうとした。 外から音が聞こえてきた。新手の戦闘ロボットが近づいてきたようだ。クリアキンは必ずこの場所。この洞窟へ帰ってくると心に誓い、その場所をのがれた。 ■地球を脱出することができたのは幸運だった。 ロウ星へむかう生体実験用の地球人の死体中にもぐりこんだクリアキンは、途中すきをみて、宇一宙船の救助艇で逃亡をはかった。 何年かの異星人との放浪後、ある星で破壊されていな地球人のプランテーションを発見した。そこで数年暮らした。 再び地球の上を踏み、イアラの水晶像。それに太陽光線変換器を手に入れるために、現在彼のイアラ肩にうめられ、作動中の太陽光線変換器の寿命がつきるまで、ゆるされる限り、個人宇宙艇の建設にでとりかかったクリアキンだった。 ■クリアキンはイアラのクリスタル像をかくしてある空洞にたどりつく目的がある。しかもクリアキンのエネルギーはもう限界量を割りつ一つある。 イアラの左手の中の太陽光線変換器を手にしなければクリアキンは死んでしまう。サイボ4グ化され地上移動用にホーバークラフトを組み立て、宇宙船の墓場から一歩外に出たクリアキンは。地球の変貌に衝撃を受けた。 地球はあたり一面の樹海だった。 恐るべき勢いを持つ大森林。 植物群があますところなく大地を埋め尽くしているのだ。 ロウ星人の大侵略以前の地球はこうで礪なかった。なにか意志を持つ存在が地球に取り付き、地球を緑一色に塗りつぶした。そんな感じだった。 かつて大都市があったと思われる場所、モこも密林が支配していた。ロウ人の光線兵器で何も残らないほど焼き尽された所ですら、まるで何千年もの昔から。自然がすべてを治めているようなジャングルと化している。 クリアキンはこの地球の異変に驚愕しながらも畏怖、の念に心動かされていた。ホーバークラフトの、エアーが濯木の葉や茎を押し倒す。 クリアキンにはあまり時間が許されていない。ロウ人は艇が連絡をたっていることに気がついている。おそらく墜落地点を発見し、そこから何かの証拠を見つけだし、捜索を開始するに違いない。できるだけ距離をかせいでおかなければならなかった。 イアラの洞窟に近づくにつれ。忘れていたはずの心の疼きが頭をもたげてきた。なぜ俺はあの時、手を離してしまったのか。自分自身の行為が目の前にはっきり思い浮べることができ.クリアキンの心は鯨で血を流すようだった。それは苛酷な自問自答だった。その時を思い出すことは釦年の聞何回も思い出すとなくくりかえされ。悪夢となってクリアキンをいためつけるのだたった一人の地球人の女に違いないイアラ。体には冷汗がにじんでいた。 突然大きな樹木群が横にかしい言きて、ホーバークラフトの動きをとめてしまう。木の葉がすべてを被い隠し、クリアキンも身動きができなくなった。遠くの方から爆音が近づく。 しばらくして、ホーバークラフトをおさえていた木々がもとにもどり.クリアキンは再び先へ急いだ。植物の異様な動きには驚いたが、考え込むひまはなかった。樹々のおかげで.ロウ星人の偵察艇にみつからなかったのだ。 洞窟にたどりついたクリアキンはあたりの変化に予想していたものの、少なからぬ打撃を受けた。 洞窟のまわりにまるで壁を作りあげたようのい木々がおい茂り。入口をみつけるまでかなりの時間をくいそうだった。クリアキンはしかたなくホーバークラフトからレイガンを取り出し。樹木を焼き払おうとした。引き金をひこうとした時、植物が意志をもつかのごとく自ら道を開いた。 ちょうど通り抜けるくらいの空間を作りあげた。クリアキンは気を配りながら、ほら穴の暗闇に到着し。30年前とかわらないしめった空気をすった。 「彼女」はそこに存在した。 クリアキンの心にとりつき離れなかったイアラの姿がそこにあった。思わず最後の数歩を走りよった。体は依然として印年間のほこりに埋れながらも光り輝いていた。 もう二度と心のかようことのないクリスタルをだきしめた。イアラの水晶像は右手をのばし上を見上げている。あの時のまま氷結していた。 ■突然クリアキンの右肩に激痛がはしった。クリアキンは後をふりかえりながらうずくまった。右肩はクリアキンの弱点だった。太陽光線変換器が寿命がつきかけているとはいえクリアキンに活力をあたえていた。それは右肩にうめこまれていた。 ろ対の触手を持ち赤銅色のうろこの皮膚を持つロウ人の姿がクリアキンの背後にひかえていた。触手にはレイガンがにぎられている。 捕虜になったクリアキンが洞窟からでる時、植物の・つるがのびてきてロウ星人のじゃまをしようとした。ロウ人達はレイガンで植物を焼き、やがてイアラづいてきて、しばらくの間クリアキンのホーバークーフフトの上でとどまっていたようだったが、やがて上空に停止していた船にクリアキンをつれてのりこんだ。 ■クリアキンがつれていかれたロウ星人のドームは4本のろ00mはあるボールで地上からもちあげられ半透明の球形をしていた。多くのロウ星人達が活動を行なっていた。 一人の巨大なロウ星人の前にすわらされた 「クリアキン。始めに自己紹介をしておこう。私の名はベガ、ロウ軍地球管理委員会事務長だ。さっそくだが、君に一つの提案がある。もしこの提案を受けいれるなら、君の生存は保障しよう」銀河共通語で話した。「どうやら。話は分かったようだな。君に羊船団の行途を捜してほしいのだ。君も知っての通り。最後の地球人の羊船団は我々の占領の前に連邦から許され、地球脱出をはかった集団だ。もちろん我々は彼らの追跡をしていた。連邦の目のとどかないところで抹殺するためにな」 クリアキンはベガを殺したくなる。「ところが我々の饉秀な追跡機は彼らを追尾できなかった。機械が消滅したのだ。それも急にな。 さらに、羊船団がもどってきた形跡があるのだ。我々の強力なシールドを破ってだ。 君が簡単に我々の防衛圏を突破できたのは。君が帰ってくることが予想できたからだ。それに30年前。君がたった一人でこの地球から脱出した時もだ。君を追跡すればク羊船団にであうと考えたからだ。君は30年間我の手の内にあったのだ」 クリアキンはうちのめされた。なんだと。何のための努力だ。30年間。長い月日だ。俺はいったい何のため」ペガは言葉を続けていた。 「B202地点に羊船団のロケットが多数発見されたのだ。それも朽ち果てた姿で。無論地球人の姿はなかった」「朽ち果てていた、、」 「それが、おかしな点なのだ。羊船団が地球を離れて30年しかたっていない。しかし我々が発見したロケットは少なくとも30年以上前からそこにあるような様子なのだ。羊船団の人間は地球にもど。てきている。これは我々は確信している。これを我々は放置しておくわけにはいかない。君は羊船団の人間をみつけるきっかけだ。君は地球人だ。彼らは君を仲間と認め姿をあらわすだろう」 「俺が仲間を売るようなマネをすると思っているのか」 「君がそういうだろうと思っていた。それではこれではどうかね」 クリアキンの目の前にイアラがあらわれる。イアラは生身の体だった。水晶像ではない。 「イララ?」クリアキンは思わず吽んだ。 「本当に君なのか」 「そうイアラだ」 かわりにベガが答える。イアラは表情を変えなかった。 「君の愛するイアラだ。ただし我々の超心理工学が改造行なった地球人のな」 「君たちが改造した」 「そうだ。我々が地球人のコミューン発見のために改造した多数の人間のスパイの1人だ。それに君といれば羊船団と連絡がとれるかもしれないと我々は考えていた」 クリアキンの目の前の世界が完全に消滅した。今までの心の支えだったもの。それが心の中で音をたててくずれおちる。本当だったんだな。イアラが裏切り者だったというのは。 「事実なのだ。君のために水晶像から生き帰らせたのだ。君への我々ベガ星人の好意の印としてな」 「なぜ。神はあまりに残酷すぎる」 「神は地球人のものだ。残酷。地球人の他の星で行なったことを考えてみろ」 「イアラ、何とかいってくれ。うそだといってくれ」 「むだだ。声帯は回復させてはいないし今では完全な我々のアンドロイドだ」 クリアキンはいすからとびだし、ロウ兵士にとびかかろうとしたが、電撃ショックを受け、床にくずれた。「悪あがきはやめることだな。クリアキン君。君には羊船団の人間をみつけだす以外には生存の価値はないと我々は考えている。イアラは我々の傀儡だ、人間は羊船団以外にはいないのだよ」 確かに.クリアキンは考える。イアラがあやつり人形だとすると今羊船団以外の地球人にあえる可能性はゼロだ。 「最後に、イアラは我々の支配するままの人間だが。我々の心理工学技術をもってすれば。もとの人間として蘇生できる可能性もある。君がB202地点へ人間を捜しに行く時、彼女をつれていくのだ。君が人閣を発見したならば彼女をもとどおりの人間としてやろう。それから1つがいの地球人間の見本としてロウ星の博物館で生存をゆるしてやろう」 今生存できる可能性はそれしかなかった。 「連絡はどうするのだ」 「どうやらあきらめがついたようだな。連絡の点は心配ない。彼女がいればいいのだ」 「え、彼女が」 「彼女の見るものすべて。きくものすべてがこのスクリーンに展開される。彼女の眼は我々の眼。彼女の耳は我々の耳だ。君は彼女を通じて我々に監視されている」 ロウ星人のドームに突然、振動がおこった。ライトが消える。外のドームのフレームに巨大な植物の葉があらわれ。ドームをゆるがしているようだった。 「ええい。いまいましい植物だ」 ライトがつき。ベガの顔は怒りにふるえていた。それからクリアキンの方を向きいった。 「植物には気をつけろ。君のいた頃の地球とは植物相が異っている。巨大な食人植物があちこちに存在しているからな。植物たちが一つの邪悪な意志をもっているのだ。これはひょっとしたら羊船団が何か関連しているかもしれない」 ■クリアキンとイアラはB202地点に偵察艇で送りこまれた。上空からカプセルで降下した。ロウ人の船はけっして着陸しなかった。羊船団の残骸の近くには植物にからみとられたロウ星人の船が多数みられる。 太陽光線変換器は今のイアラの手にはにぎられいなかった。エネルギーがいつまでもつかクリアキンには自信がなかった。ジャングルの中で倒れてしまうかもしれなかった。変換器さえあれば、クリアキンは超人にも々れる。強力な力を生みだすことができるのだった。ロウ星人にあやつられているイアラは、何の役にもたたない 手助けが必要だった。羊船団の人々が力を有していなければ。ロウ星人を打ち倒 ″力をもっていなければ、過去の虐殺がくりえされるだけだ。羊船団の人々が力をもっていなければ。彼クリアキンは人類に対するユダとなる。 緑なす星にて 第5回 20210804改訂(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.22
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GS緑なす星にて(1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/3/ 緑なる星にて第3回■連保軍戦士であったクリアキンは過去を思い出す。残った地球人のコミュニテイを順次、ロウ星人がつぶしていく。その時にイアラにあい、恋に陥る。だがクリアキンは戦いの中サイボーグとなる。 緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 平線までも埋めつくすロケットの墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。 「それにしても何と寒々とした所だ」クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。 地球人の運命を象徴するようにロケットの大群が打ち捨てられている。がっての宇宙開発時代の。よき時代の名残りでもある。その支配者たる人類は彼以外にはもうこの星にはいないのだ。 羊船団が飛び立った後、ロウ人は徹底的な攻撃をしかけてきた。地球のあちらこちらに隠れ住んでいた人達は狩りだされ、殺されていった。 ■クリアキンは連保郡戦士の一人だった。 攻撃が始まった時。彼は食糧機構の管理する農場にいた。 核戦争のシェルターが使用されていないまま。農場の地下に維持されていた。クリアキンとその当時農場にいた人々。及び農場の近くの人間が。それをこれからの住いとした。 外部との連絡がとだえたまま、数ケ月がすぎ、クリアキンと数人は近くの都市へ偵察にでかけた。 その都市、。マロム市の廃墟の中でクリアキンはイアラに出会った。 無人の街の中を、仲間の戦士たちを求めて歩いていたクリアキンは、ロウ人の小型戦闘ロボットに追いかけられている少女をみつけた。金髪をふりみだしながら彼女はにげていた。ロポットにとっ。て無防備な地球人をつかまえることは余りに簡単だった。 物かげからその様子を見ていたクリアキンは人類戦士の名誉にかけて、そのlm90mの長身に闘志をこめて、ろmをゆうに越えるロウ人の全戦闘タイプロポプトにむかっていった。 20才をすぎてはいないだろうそのやせ形の少女を助けるために。自らがおとりとなった。かろうじてロボットを行動不能におとしめたものの、2人の仲間に助けられた時、クリアキンは満身創痍だった。 少女の案内で近くのコンミューン(共同体)につれていかれたクリアキンはそこで可能な限りの手術を受けた。彼は超人的な力を手に入れることができた。 彼はサイボーグ手術を受けたのだった。が失なったものも多かった。彼のエネルギーは無限に思えたが。 何年かに一度太陽光線変換器をとりかえなけれぱならなくなった。それは彼の命の源だった。 傷がいえ、コンミューンを出る時.イアラはクリアキンについてきた。 愛がめばえていた。 イアラはロウ人襲来以前の記憶を失なっていた。父や母はどうなったのか。兄弟姉妹がいたのか、それさえも覚えていなかった。そんな話がでたとき、クリアキンに対してイアラの青い目をみつめるクリアキンに言うのだった。 「私は過去を失なってしまったわ。でもクリアキン。今はあなたがいるわ。あなたが私の未来なの。」クリアキンはイアラの茶色の目を見つめ思うのだった。 俺はイアラを愛していると。しかし、 クリアキンとイアラがこのコンミューンに別れをつげた時。一人の男がささやいた。 「クリアキン、あの女イアラにぽ気をつけろ。災皆を生むかもしれない。あの女はどこからきたのかわからない。しかし彼女がいたコンミューンは、順番にすべて焼きはらわれる。 しかし彼女生き残っているといううわさ話がある。ここだけの話だぞ。では気をつけていく」 クリアキンの表情は変り、怒りをこらえ、そして言った。「おたがいに気をつけよう」 ■クリアキンとイアラぱクリアキンがもといたコンミューンに帰り、しぱらくの間は平和な生活が続きそうだった。 仲間の一人が、クリアキンが手術を受けたコンミューンへ行き、知らせをもって帰った。そのコンミューンの人々が皆殺しにあって誰もいないという話だった。 ■2ヶ月後、クリアキンとイアラはシェルターを離れ、狩猟を楽しんでいた。クリアキンの眼は赤外線探知をすることができる。動物の体温による白い熱球が彼の眼に感じられる。獲物はすぐに手にいれることができた。クリアキンの投げだす小石は秒速60mにもなり、獲物の肉体をつきやぶるのだった。 何キロもはなれていたクリアキンのシェルターの方ら大きな音がきこえた。クリアキンはイアラをそこに残し時速50キロmでシェルターにかけつけた。 不意打ちを受け、シェルターは破壊されてた。死体が散らばり、物がくすぶっていた。間の一人はまだ息があった。かすかな声では言った。 [イアラだ。イアラを殺せ。場所をしらせたのは1だ。女を殺せ」その仲間は死んだ。 ショックから立ちなおったクリアキンは、まだあたりに残っているかもしれないロウ星人に気をつけながら.イアラのいた所へもどった。 クリアキンはイアラの肩をつかみ、それをゆする。イアラの目を見つめる。 「イアラ、本当に君は。君なのか。ロウの操り人形なのか」 イアラは不思議そうな顔をした。 「そうだな。やはり。君が知るわけがない。」 とにかくクリアキンとイアラは逃げのびた。 けれどもロウ人の戦闘ロポプトが度重って襲来してくる。今度は以前のクリアキンではなかった。サイボーグの強力な戦闘能力を持つクリアキンだった。 緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.19
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GS緑なす星にて(1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/3/ 緑なる星にて第3回■連保軍戦士であったクリアキンは過去を思い出す。残った地球人のコミュニテイを順次、ロウ星人がつぶしていく。その時にイアラにあい、恋に陥る。だがクリアキンは戦いの中サイボーグとなる。 緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 平線までも埋めつくすロケットの墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。 「それにしても何と寒々とした所だ」クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。 地球人の運命を象徴するようにロケットの大群が打ち捨てられている。がっての宇宙開発時代の。よき時代の名残りでもある。その支配者たる人類は彼以外にはもうこの星にはいないのだ。 羊船団が飛び立った後、ロウ人は徹底的な攻撃をしかけてきた。地球のあちらこちらに隠れ住んでいた人達は狩りだされ、殺されていった。 ■クリアキンは連保郡戦士の一人だった。 攻撃が始まった時。彼は食糧機構の管理する農場にいた。 核戦争のシェルターが使用されていないまま。農場の地下に維持されていた。クリアキンとその当時農場にいた人々。及び農場の近くの人間が。それをこれからの住いとした。 外部との連絡がとだえたまま、数ケ月がすぎ、クリアキンと数人は近くの都市へ偵察にでかけた。 その都市、。マロム市の廃墟の中でクリアキンはイアラに出会った。 無人の街の中を、仲間の戦士たちを求めて歩いていたクリアキンは、ロウ人の小型戦闘ロボットに追いかけられている少女をみつけた。金髪をふりみだしながら彼女はにげていた。ロポットにとっ。て無防備な地球人をつかまえることは余りに簡単だった。 物かげからその様子を見ていたクリアキンは人類戦士の名誉にかけて、そのlm90mの長身に闘志をこめて、ろmをゆうに越えるロウ人の全戦闘タイプロポプトにむかっていった。 20才をすぎてはいないだろうそのやせ形の少女を助けるために。自らがおとりとなった。かろうじてロボットを行動不能におとしめたものの、2人の仲間に助けられた時、クリアキンは満身創痍だった。 少女の案内で近くのコンミューン(共同体)につれていかれたクリアキンはそこで可能な限りの手術を受けた。彼は超人的な力を手に入れることができた。 彼はサイボーグ手術を受けたのだった。が失なったものも多かった。彼のエネルギーは無限に思えたが。 何年かに一度太陽光線変換器をとりかえなけれぱならなくなった。それは彼の命の源だった。 傷がいえ、コンミューンを出る時.イアラはクリアキンについてきた。 愛がめばえていた。 イアラはロウ人襲来以前の記憶を失なっていた。父や母はどうなったのか。兄弟姉妹がいたのか、それさえも覚えていなかった。そんな話がでたとき、クリアキンに対してイアラの青い目をみつめるクリアキンに言うのだった。 「私は過去を失なってしまったわ。でもクリアキン。今はあなたがいるわ。あなたが私の未来なの。」クリアキンはイアラの茶色の目を見つめ思うのだった。 俺はイアラを愛していると。しかし、 クリアキンとイアラがこのコンミューンに別れをつげた時。一人の男がささやいた。 「クリアキン、あの女イアラにぽ気をつけろ。災皆を生むかもしれない。あの女はどこからきたのかわからない。しかし彼女がいたコンミューンは、順番にすべて焼きはらわれる。 しかし彼女生き残っているといううわさ話がある。ここだけの話だぞ。では気をつけていく」 クリアキンの表情は変り、怒りをこらえ、そして言った。「おたがいに気をつけよう」 ■クリアキンとイアラぱクリアキンがもといたコンミューンに帰り、しぱらくの間は平和な生活が続きそうだった。 仲間の一人が、クリアキンが手術を受けたコンミューンへ行き、知らせをもって帰った。そのコンミューンの人々が皆殺しにあって誰もいないという話だった。 ■2ヶ月後、クリアキンとイアラはシェルターを離れ、狩猟を楽しんでいた。クリアキンの眼は赤外線探知をすることができる。動物の体温による白い熱球が彼の眼に感じられる。獲物はすぐに手にいれることができた。クリアキンの投げだす小石は秒速60mにもなり、獲物の肉体をつきやぶるのだった。 何キロもはなれていたクリアキンのシェルターの方ら大きな音がきこえた。クリアキンはイアラをそこに残し時速50キロmでシェルターにかけつけた。 不意打ちを受け、シェルターは破壊されてた。死体が散らばり、物がくすぶっていた。間の一人はまだ息があった。かすかな声では言った。 [イアラだ。イアラを殺せ。場所をしらせたのは1だ。女を殺せ」その仲間は死んだ。 ショックから立ちなおったクリアキンは、まだあたりに残っているかもしれないロウ星人に気をつけながら.イアラのいた所へもどった。 クリアキンはイアラの肩をつかみ、それをゆする。イアラの目を見つめる。 「イアラ、本当に君は。君なのか。ロウの操り人形なのか」 イアラは不思議そうな顔をした。 「そうだな。やはり。君が知るわけがない。」 とにかくクリアキンとイアラは逃げのびた。 けれどもロウ人の戦闘ロポプトが度重って襲来してくる。今度は以前のクリアキンではなかった。サイボーグの強力な戦闘能力を持つクリアキンだった。 緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.19
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鈴木純子作品よりhttp://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/ SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/3/ 聖水紀ーウオーター・ナイツー■第3回タンツ大佐はロケットに聖水を積んで地球の防衛権を突破しようとしていた。地球連邦軍は緊急指令を発令する。 ■聖水紀ーウオーター・ナイツー■第3回1976年作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 聖水紀(2) 「おいおい、まじかよ。何かの冗談じゃないだろうな」 地球の関門である第1ゲートで、オペレーターの一人バルボアがモニターを見て叫んでいた。第1ゲートの監視機械は、地球に接近するロケットの積み荷のチェックができる。 「どうしたバルボア」もう一人のオペレーター、ジルがいった。 この第1ゲートでは、2人当直体勢をとっている。「ジル、みてくれよ。こいつは水で一杯のロケットだぜ」「本当だな。宇宙連邦軍もどうかしているぜ」 「誰だい。操縦者は」「待て待て、コードをチェックしてみる」 「げっ」バルボアがモニターをのぞきこみ叫んでいた。「俺達は、悪いクジをひいたぜ。操縦者はタンツだ」「私だ。タンツだ」当のタンツから連絡がはいった。 タンツは伝説の男だった。 「ウェーゲナー・タンツ大佐、このコードでは、あなたは恒星に向かっているはずですが」バルボアは自分の声に不快の念があらわれていないか気になった。 「特殊任務だ。常人にはわからん」怒りを含んだ声がかえってくる。 「でも、大佐、これだけ大量の水を地球にもち変えるおつもりなら、許可書が必要です」「いっただろう、特殊任務なのだ」 その時、バルボアが透視機械のモニターをみて叫ぶ。 「ジル、おかしいぞ。タンツの体が水中にある。おまけに宇宙服をきていない」「何だって、緊急対応指令だ」 <危険、タンツは汚染されている>この内容で、緊急対応B102指令緊急コードが、地球連邦本部に連絡されようとした。 ロケットの側壁から、何かがにじみでてくる。水の固まりだ。そやつが宇宙空間を飛んで行く。 まるで意志をもつ存在の様に。ゲートの司令室に侵入する。オペレーターの操作卓の壁面から、しみこむように、液体が二人の方に襲ってきた。二人には理解を絶する光景だった。「これは何だ」「うわぁー、」二人はこの液体中で消滅していた。 二人を飲み込んだ液体と船の水の意識が、連絡していた。 『どうだね、まにあったかね』『まだ、情報は発信されていなかったようです」 が地球の防御システムはそう甘くはない。 第1関門の事故は、至急に地球連邦軍の本部に連絡されていた。本部にあるメインミーテングルームで、将軍とスタッフが緊急連絡会議を開いていた。 「連絡をうけたのだが、それほどの緊急事態なのかね」地球連邦軍ハノ将軍は早朝から呼び出され、週末のスケジュールが変わったのでいささか、お冠だった。現況では平和が続き、地球連邦軍が出動する事態などなかった。 「タンツが協力している模様です」スタッフの一人が将軍に言う。 「何だと、タンツが、信じられん。彼はタンホイザー・ゲイトに向かっていたのではないか」白髪豊かなハノ将軍は衝撃を受けていた。「この映像をご覧ください」映像をみたあと、最高軍司令官ハノ将軍はいった。 「で、この液体は現在」「現在、不明です」 ハノ将軍は少し、考えたあと、ある回線をつないだ。危機の可能性は少しでも潰しておくべきだ。それも早急に。ミーテイングルームの操作卓上のモニターに相手がでるとハノは言った。 「あなたの息子が、我々を裏切ったのです」ハノは断言していた。『信じられません。何かの間違いでは』機械的な声で、タンツが息子という相手は将軍に答える。 「我々も信じたくない。が、我々としては、防御処置をしなくてはなりません」『といいますと』 「あなたを抹殺します」『後悔することになりますよ』その「マザー」の声は感情なく言った。 「タンツの手引きで、あなたが彼らの手にはいった時を恐れる。なぜなら、あなたは我々の総てだから」 ハノはマザーの抹殺ボタンを押した。 タンツはそのとき、マザーの声を聞いたような気がした。「水人」(みずびと)が発言する。 『軍は我々の存在に気がついたようだね』『どんな方法をとるべきかだ』「雨になって侵入しなさい」タンツが言った。 タンツは「聖水せいすい」にあやつられるまま、地球の情報をしゃべっていた。『雨だって』 「そう、雨です。雨なら怪しまれず、侵入できる」タンツが言った。 (続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.19
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IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/14/ 石の民「君は星星の船」 第14回●サーゴン星は宇宙人ベールマンの攻撃を受け、殺戮が。生存ステーション・ゼータにいた姉妹は、ロボットママの助けにより逃亡。最終的に姉の指輪の力が相手の殺戮機械を。 石の民「君は星星の船」第14回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 光二は思わず右手人差し指の指輪にさわっていた。姉のかたみの指輪。 この指輪は、地下の生存ステーション・ゼータにいた時から姉がもっていたものだった。 ●別の星域から攻撃的な宇宙人「ベースマン」の殺戮機械からの光線兵器がまわりの子供たちの体を貫く。 体が焼き焦げる匂いがした。生存ステーション・ゼータだった。 12年前だ。 「いたいよ」「助けて」 悲鳴と泣き声、叫び声がステーションに満ちていた。 「光二、大丈夫」「有沙ねえちゃん、逃げて、僕はもうだめだ」 「何をいってるの、光二、しっかりしなさい。 マザー、マザーはどこなの」 「ここだよ」われた声が聞こえてきた。声帯が壊れたらしい。子供たちが倒れている。みな、光二、有佐と一緒に育ったファミリーだった。 マザー、アリスA203は体の半分を吹き飛ばされていた。 焼き焦げた機材の下敷きになっていた。 「光二、有沙、ふたりでおにげ。お前たちだけだよ、生き残ったのは。私はもう動けない。ここは私がなんとか、時間をかせぐ」 「だって、マザー、一緒に逃げよう」光二が泣き声で言う。 「有佐、はやく、光二を連れて逃げるのよ。光二、有佐のいう事を聞くんだよ。子供たち、私が育てた子供たちで、今まで生き残ってきたのはお前たちだけだ。生き残っておくれ、私アリスA203のためにも。そして、いつか私のことを思い起こしておくれ。さあ、そのためにも逃げて生き延びるのよ」 二人は泣く泣く、アリスマザーをおいてそのばを離れた。 「光二、後ろをみちゃあだめ」 「どうして、おねえちゃん」 爆発音が聞こえてきた。が、いかんせん、ふたりは子供だ。 高速で移動する宇宙人「ベースマン」の殺戮機械が近寄ってくる。 「光二、早く」殺戮光線がまわりをないだ。光二は倒れる。 「光二」有佐が叫ぶ。 光二は、恐怖で体を動かすことができないのだ。有佐は自分の体を光二の体の上に投げ出していた。殺戮機械が光二たちに気がつく。光線がこちらをむく。 やられる、光二はそう思った。 目を思わずつぶった。が宇宙人「ベースマン」の殺戮機械の方が吹き飛んでいた。光二はゆっくり目をあける。 「おねえちゃん、いったい」光二は有佐の指にあるものをみた。それがふたりの命を救ったのだ。 「おねえちゃん、それは」 「私にもわからない、知らないうちに指にあったの」 石の民第14回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.19
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2021.12.17
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鈴木純子作品よりhttp://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/GS緑なす星にて(1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/4/ 緑なる星にて第4回■度重なるROWロボットの攻撃に疲れたクリアキンは、イアラへの疑惑が浮かび上がり、彼女の手を放してしまう。 緑なる星にて第4回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ けれどもロウ人の戦闘ロポプトが度重って襲来してくる.。今度は前のクリアキンではなかった。サイボーグの強力な戦闘能力を持つクリアキンだった。 うまくロウ人の戦闘ロボットをまいたつもりだったが。すぐ新手のロボットがやってきた ■クリアキンは思いおこす。イアラの最期を。 谷間だった。執拗なROWロボットの襲来にクリアキンは疲れていた。また疑問が生じていた。 「なぜ、奴らは容易に。こんなにも容易に我々クリアキンとイアラをみつけだすのだろうか」答えはでない。 「もしかしてイアラが。いやいやそんなはずはない」クリアキンはかたわらのイアラを観察した。イアラもやはり疲労していた。 その時、クリアキンの眼が何かを感知した。目の前の道だ。何かが地中にある。 地面が割れ。巨大な戦闘ロボットが出現した。一瞬早く異常に気がついたクリアキンは体をふせていた。ロボットのレザーガソはクリアキンの今までいたところの土を大量に消滅させた。 とびおきたクリアキンは右横の山壁にジャンプし、さらに反動を利用して、戦闘ロボットに体あたりした。サイボーグ手術を受けた右手で、口ボットのレーザーガンをロボットの足にむかって`おりまげた。足を消され、断崖の端に胴体をいきかいよくおとしたロボットは最後のクリアキンの一押しで谷間へ落ちていった。 クリアキンはイアラがいなくなっているのに気がついた。イアラはロボットの光線をさけ、足をすぺらせ体を谷へのりだして道のへりを必死でつかんでいた。左手には何かを持っていた。 クリアキンは走りより.イアラの右手をにぎりしめた。 疑惑がクリアキンの腕の力を弱らせた。この彼女は本当にロウ人のスパイではないのだろうか。不安がクリアキンの心を占める。もし自分の手を離したら。とクリアキンは思う。もう2度とロウのロボットの追撃を受けることはないのでは。 クリアキンはこの瞬間、イアラが総て「この不幸な事態の起因ではないか」と考え始めていた。 指が知らないうちに一本ずつ離れ始めていた。イアラは小さな声をあげた。指が一本一本はずれていく。 クリアキンを見上げるイアラの眼には不信があふれる。 「クリアキン、どうして」イアラはクリアキンの名を呼ぶ。 クリアキンはその時、記憶をよみがえらせる。 仲間が続々と殺され。コンミューンやシェルターは焼かれ。限りないROWのロボットに追撃された。睡眠をさえ充分にとることのできなかったクリアキンは意識をうしなっているようでもあった。 最後の指がはなれた時、イアラは驚き叫んだ。 「クリアキン!」 その声は周りの山々にこだました、 緑なる星にて第4回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.16
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鈴木純子作品よりhttp://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/ IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか? 石の民「君は星星の船」第13回 ■Bグループの頭、光二はなくなった姉の夢をみる。そして姉の形見の指輪を触るのだ。部下アキヨシがアジトに行こうと誘いに来るが気が乗らない。 ▼この小説のURLhttps://ncode.syosetu.com/n1873gf/13/石の民第13回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 光二は近ごろへんな夢を見る。がこの夢のことは誰にもいえやしない。こんな夢をはなせば、へんな奴といわれるに違いない。 『光二は荒野にたっている。この荒野はどの星の荒野ではない。ある男が急に現れる。その男は光二のみたことのない服装をしている。 そいつは光二の前に近付いて来る。そして言う。 「光二、聖砲をくれ」「そうよ、光二」 今度は後ろからの声だ。後ろを振り返ろうとする。 「だめ、ふりかえっちゃあ」有沙の声だった。 光二は後ろを振り返ることがどうしてもできない。なぜなんだ、アネキ、アネキなんだろう』 「おーい光二、いこうぜ」アキヨシの声だった。 遠くで響いている。目がさめる。汗でビッショリだった。 光二はコアの窓を開く。外にはアキヨシがホースに乗っていた。 「光二、まだ、寝ていたのか」 フッコウドームにはいくつかの生存基地ベースが作られていた。それは蜂の巣の用に入り組んで作いた。コアとはその1細胞である。1コアに一人がすんでいる。 ホースはこのフッコウドームに使われている乗り物である。小型の円盤機である。一人もしくは二人乗りで、大戦前に生存していたと思われる馬からの神経系が見事に機械に移植されていた。 乗り手のおもうがままにあやつれるのだ。体長は3M、ピーナツがたをして居て、真ん中にくぼみがあり、そこにまたがることができるのだった。 「アキヨシ、悪いが今日、俺はアジトへでかけるのに気乗りがしない」 アキヨシは困った顔をする。 「またかよ、ヘッドのおまえがいなければBグループの士気があがらんぜ」 「アキヨシ、わるいがな、仲間のキッズにうまくいっておいてくれ」 「このあたりのロボットの管理権はVグループにとられてしまうぜ」アキヨシはしつように言う。 その言葉は光二の頭に響いている。 光二は気がのっていないのだ。 光二は思わず右手人差し指の指輪にさわっていた。 姉のかたみの指輪。この指輪は、地下の生存ステーション・ゼータにいた時から姉がもっていたものだった。 石の民第13回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.16
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鈴木純子作品よりhttp://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/ SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/2/ 聖水紀 ーウオーター・ナイツー 第2回宇宙連邦軍のウェーゲナー・タンツはウァルハラ号の中にいたが、気づくと宇宙船内は水でいっぱいだった。 聖水紀 ーウオーター・ナイツー 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com(1) 彼らは遠くに存在する宇宙溝から飛来してきた。ここへ到着するまで、かなりの距離だった。時間の概念は彼らにはあまり重要ではない。 その間、星の生物への接触方法については、彼らの間で、議論されていた。 宇宙の闇は深く、彼らの心の中にもまた深い悩みがあった。今回の任務は特殊だった。使命感だけが彼らをつき動かしているのかもしれない。 彼らの体はまた飛行体そのものであった。金属、非金属でもない特殊な物体。それゆえ、いかなる星の探知装置にも発見されなかった。 この生物の取り扱いについては注意を要する。彼らのとりあえずの結論だった。太陽系で停止して、まわりを観察する。 飛行物体中に含まれる、意識体同士が会話をしていた。彼らは多くの意識体の結合体である。『このあたりかね』『指令書によると、そのようです』 目の前を、極めて幼稚な飛行体が動いていた。 『何か、飛行体が通過します』『かなり、原始的なものだねえ』 『ひょっとして、あの飛行体は、目的星の所属物かもしれませんね』『一度、調査してみよう。生物体が存在するかもしれん』 彼らはその飛行体に乗り移った。 タンツが緩やかな眠りから目覚める。もう、到着したのか、いつもながら、冬眠からの目覚めはけだるかった。あたりがはっきりと見えない。変にゆがんで見える。長い宇宙航行で、私の視覚がおかしくなったのか。 タンツは、おかしなことにきずく。私は、ここはカプセルの中ではない。おまけに、ここはどうなっているんだ。 たしかにウェーゲナー・タンツ、 宇宙連邦軍大佐はウァルハラ号の中にいた。この船は恒星間飛行中のはずだ。 が、タンツの体のまわりは水だった。 おまけに、水の上にいるのではない。水の中にいるのだ。なぜ、私は呼吸ができるのだ。 タンツは不思議に思った。とりあえず、その事実を受け入れざるを得ない。ともかく、息をしている。 それに、このウァルハラ号はどうなっているのだ。 タンツは航行装置のチェックをしょうと思い、コックピットに向かう。 ウァルハラ号の中は、どこもかしこも水で万杯のようだった。空気がまったくない。 タンツはようやくのことであ、コックピットへたどり着く。行く先の方位座標は地球となっている。 地球だと」タンツはうめく。さらに地球暦の日付をチェックする。2020年8月15日。 タンツがニュー・シャンハイの宇宙空港から飛び立った日が2020年3月10日。冬眠状態のまま、恒星タンホイザー・ゲイトにむかうはずだった。タンホイザー・ゲイトにつく時期まで、タンツは目覚めることはないはずだった。が、今タンツは目覚めていて、ウァルハラ号は再び、地球へ向かっている。ロケット一杯の水をつめこんで。「くそっ、一体どうなっているんだ」 タンツは毒づいて、地球司令室へ連絡しょうとした。タンツの肩をその時、誰かがつかむ。ギョッとしてタンツは後ろを振り向く。誰もいない。当たり前だ。この船の生命体はタンツだけなのだから。 しかし、何かがいる。タンツ は心の中でだれだ、と叫んでいた。『タンツ、我々の存在にようやく気がついたようだね』タンツの耳に、声が響いてきた。 「誰だ。何者だ」 『姿をあらわしてほしいかね、タンツ』 タンツはトラブルを望んでいなかった。彼はこの恒星間飛行を人類初めての飛行を、ともかく、成功させたかった。名誉を得たかったのだ。が、タンツの前の水中に、不透明な何者かが、複数、姿を取り始めた。 「おまえ達は、いったい」 『聖なる水』彼らはそう言った。 その瞬間コックピットにある通信機器がつぶれるのがタンツの目にはいった。地球本部との連絡は不可能になった。自分で解決せざるを得ない。 『マザー、どうすれば』タンツは心の奥でさけんでいた。 「聖なる水、聞いたことがない」タンツはひとりごちる。 『タンツ、今、君に説明してもわかりはしまい。時間がかかるだろう。ただ、言えることは、君たち地球人類をカイホウしに来たのだ』 「我々をカイホウする。何からカイホウするというのだ」 『タンツ、怒るな。我々に協力してもらえないかね』 「協力しろだと。笑わせるな。俺は宇宙連邦軍大佐ウェーゲナー・タンツだ。君達、侵略生物になぜ、協力しなければならんのだ」 『我々は、いわば宇宙意識なのだ。その宇宙意識で、ひとつになろうという提案だ』「それゆえ、私のロケットを占領したのか」 『ちょうどいいところに、君の船がとうりかかったのだ。中を透視すると、地球人の君がカプセル内で冬眠していたのだ。我々は、君さらにこの船のコンピューターから、地球の知識を読み取った』「私は宇宙連邦軍のウェーゲナー・タンツだ。侵略者である君たちのいうことを聞くわけにはいかん」『我々は侵略者ではない』 「使節というつもりか。それなら、正式の手続きを踏め」 『どうやら、聞き分けのない個体をえらんだようですね』水人のひとりが言った。 タンツは壁のボックスに装着してある銃をとりあげ、水人をめがけ撃った。が、熱線はむなしく水中に消える。 『我々にはそんなものは通じない』 『しかたがない』『我々の命令を、しばらく黙って聞いてもらおうか』 「何だと、お前たちのいうとうりにはならん」タンツは自殺しょうとした。このままでは、自分の知識が悪用されると思ったからだ。 が、この生命体の反応の方が早かった。タンツは気を失った。(つづく)聖水紀 ーウオーター・ナイツー 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com#ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.16
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聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n4401dn/1/ 鈴木純子作品集よりお借りしてます。http://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/118-a-1.htmlタンツ大佐ー最後の地球人の物語。 聖水紀 ーウオーター・ナイツー 第1回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com クルツはおびえていた、自分自身でもそれがよくわかった。誰でも、いつかは通過する儀式だと、自分自身にいいきかしていた。自分自身を破壊しかねない恐れだった。 クルツは町中へ来て、ウォーターステーションWSへむかっている。今日の朝、彼は決心したのだ。 地球人類にとっての決断の時、通過儀式。地球人類の一人一人が、自分で決心しなければならない儀式だった。 聖水が飛来した時から、地球の歴史が変わったといっていいだろう。新しい歴史の幕開けだった。混乱と騒擾。新しき者への生まれいずる悩み。そんなものを地球人類が体験したといっていいだろう。 クルツは、わきがじっとりとぬれているのにきずく。怖い。想像を絶するモノとのコンタクトなのだ。恐怖を感じない人間などいるだろうか。 聖水が彼Kを受け入れてくれうかどうか。もし受けいれてくれなければ。 ああ、そんな事はありえまい。考えたくもない。消極的な考えは捨てなければ。クルツは思った。 冷や汗がひどい。手のひらがじっとりとしていた。季節はもう冬が近いというのに、クルツの体は、真夏の太陽に焼き付けられたかのようにじっとり汗ばんでいる。おまけににおう。恐怖ゆえのアドレナリンの分泌。自分の歩みが、いつもより、ゆっくりとしているのにきずく。 もしだめだったら、自分はこの地球にむすびつけられたままだ。この地球から逃げ出すこともできない。宇宙に飛び立つこともできない。この地面にむすびつけられたままなのだ。自由に移動することもできない。 ウォーター・ステーションの前に来ていた。いよいよだった。WSのデザイン化された文字が芽に飛び込んでくる。いよいよだ。 運命の一瞬だ。生死を決めるのに等しい。アールヌボー風に飾られたWSの、地下に向かう階段の手すりを持つ。冷たい。 その冷たさが、クルツののぼせ上がった頭のシンに変に響く。廊下が奥の方につずいていた。 壁に昔の広告のビラがまだ残っていた。すばらしき時代、資本主義のなごりだ。 大きなビルボード(広告看板)の美少女の顔がほこりだらけだった。たしかTVタレント。今はどうしているのだろう。 彼女たちも、今のKと同じ様に、この通過儀式を受けたのだろうか。そう、TV。クルツがTVをみていたのは14、5年前だが、もう大昔のような気がした。 ゆっくりと、ビルボードが続くWSの奥へとKは進んでいく。 突然、クルツは記憶が蘇ってくる。このWSは昔、地下鉄の駅として使われていたのだ。Kは両親に連れられて、ここに来たことがある。 地下鉄。聖水以前の交通機関。今はもう使われていない。現在はこの張り巡らされた聖水ルートが、いわば交通機関なのだ。 聖水に受け入れられるかどうか。 それが、今の人類個々人の最大の問題だった。 クルツは昔の地下鉄チケットゲートの跡を通過する。ロッカールームにたどり着く。が他の人間がロッカールームにいた。驚きがKの心を襲う。きまずい雰囲気だ。お互いに眼を合わせないように、部屋の隅にあるロッカーに陣取る。 クルツは一人でいたかった。だから、他の人にはいて欲しくなかった。失敗した時のことを考えると。 しかしWSのゲートをくぐったものはあともどりができない。自らの待つ運命を静かに受け入れざるを得ないのだ。 クルツは服を脱ぎ、ロッカーにほうり込む。このロッカーは処理機になっている。服は自動的に処理された。 クルツが生きていたという証拠はロッカーの中に服をほうり込んだ瞬間に消えていた。クルツの服には、彼のパーソナルヒストリーが読み込まれていた。服は個人のデータファイルなのだ。コードが自動的に消滅した。 聖水プールが広がっている。このプールは地中深くの聖水ルートとつながっている。20m平方の部分だけが、夜行灯でライテイングされていた。 遠くの方は、聖水の流れる音と暗渠が待っているだけだった。 クルツはプールの端にあるステックバーをつかみ、右足から聖水にはいっていった。 生命波を感じた。そうとしか言いようがない。自分の空だが少しずつ生命の中で溶けていくのがKにもわかった。 個人の記憶。Kの記憶がまるで大きなボウルの中にほうりこまれたような感じだった。人類数千年の記憶、そんなものかもしれない。自分が地球人類の一人であり、また全体であるような感じもする。 聖水プールはDNA情報プールだ。 人間の記憶、また細胞の記憶。DNAのひとつひとつが分解されていく。 それが収斂し、別の生命体となる。Kの意識は、その儀式で自分以上の上位の概念と結び付いていた。 クルツと同じWSで成長の儀式をうけていたエイアイの反応は異なっていた。 エイアイは聖水に対する刺客である。体の成分が聖水に対する毒素であると創造者から言われていた。自分の氏素性が聖水に読み取られるのではないか。その恐れの方が大きかった。しかしながら、エイアイの体も、クルツと同じように少しずつ溶けていった。■水人の意識レベルの会話だ。『彼を受け入れるかね』『彼を受け入れて、創造者の現在の居場所を探るという手があるね』『創造者が、彼も大仰な名前をつけたものだ』『彼もはやく、我々のことを理解してほしいね』『いやはや、彼には、理解するのは無理かもしれないがね』 (続く)■聖水紀■改題・聖なる水の僕(1976年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com#ウオーター・ナイツランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.13
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IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/12/ 石の民「君は星星の船」第12回●この星サーゴンは、宇宙人「ベースマン」が襲来し中年以上の人間を抹殺した。ゆえにキッズのみの支配体制である。星間連合は高みの見物だ。 石の民「君は星星の船」第12回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ この戦乱のあとの星サーゴンは、子供の育児には「育児法」によって研修を受けたロボットマザーがあたった。 一人のロボットマザーはおおよそ5ー6人のキッズを育てる。がロボットマザーアリスA203によって育てられ、生き残ったのは光二と有沙だけだった。 この星サーゴンは不幸だった。大戦役後、別の星域から攻撃的な宇宙人「ベースマン」が飛来してきたことだった。 この星を手にいれようといた彼らベースマンは、大量の殺戮マシーンを使い、地下ステーションを捜し当て、地下へ侵入してきた。 この星の生物を完全抹殺するために。 この時、アリスA203は2人をかばい、傷付いた。この混乱の時以来、二人はアリスA203にあっていない。 後から来た星間連合より派遣の平和維持チームの手によって助けられた二人だった。 アリスA203が混乱で行方不明になった今、光二の肉親といえば有沙だけだったのだ。 フッコウドームは、この星が星間戦役から自力復興するために星間連合から派遣された平和チームが作り上げたドームである。 地表は星間戦役による汚染から危険に満ち溢れていた。フッコウドームのキッズ平均年令はひくく、約22歳だった。 それ以上の大人は、前の大戦でほとんど死亡していた。 地下の保護ステーションに避難していた「子供たち(キッズ)」だけが助かっていたのだ。 が、このVグループとBグループとは地下生存ステーションを別にしていた。 それゆえ、別陣営の子供たち(キッズ)とおもわれる。この星を復興しようと考えた平和チームはそんなことを考慮せず、フッコウドームを各地の作り上げ、自由に子供たち(キッズ)をほうりこんでいた。 それゆえ、VグループキッズとBグループキッズの対立のネはふかかった。 がフッコウドームを管理する星間平和チームはこの生物の本能である抗争意識を管理する方法を、いまだにみつけださずにいた。 いやむしろ、かれらキッズの抗争を観察していたのかもしれない。 石の民第12回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.13
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GS緑なす星にて(1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/3/ 緑なる星にて第3回■連保軍戦士であったクリアキンは過去を思い出す。残った地球人のコミュニテイを順次、ロウ星人がつぶしていく。その時にイアラにあい、恋に陥る。だがクリアキンは戦いの中サイボーグとなる。 緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 平線までも埋めつくすロケットの墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。 「それにしても何と寒々とした所だ」クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。 地球人の運命を象徴するようにロケットの大群が打ち捨てられている。がっての宇宙開発時代の。よき時代の名残りでもある。その支配者たる人類は彼以外にはもうこの星にはいないのだ。 羊船団が飛び立った後、ロウ人は徹底的な攻撃をしかけてきた。地球のあちらこちらに隠れ住んでいた人達は狩りだされ、殺されていった。 ■クリアキンは連保郡戦士の一人だった。 攻撃が始まった時。彼は食糧機構の管理する農場にいた。 核戦争のシェルターが使用されていないまま。農場の地下に維持されていた。クリアキンとその当時農場にいた人々。及び農場の近くの人間が。それをこれからの住いとした。 外部との連絡がとだえたまま、数ケ月がすぎ、クリアキンと数人は近くの都市へ偵察にでかけた。 その都市、。マロム市の廃墟の中でクリアキンはイアラに出会った。 無人の街の中を、仲間の戦士たちを求めて歩いていたクリアキンは、ロウ人の小型戦闘ロボットに追いかけられている少女をみつけた。金髪をふりみだしながら彼女はにげていた。ロポットにとっ。て無防備な地球人をつかまえることは余りに簡単だった。 物かげからその様子を見ていたクリアキンは人類戦士の名誉にかけて、そのlm90mの長身に闘志をこめて、ろmをゆうに越えるロウ人の全戦闘タイプロポプトにむかっていった。 20才をすぎてはいないだろうそのやせ形の少女を助けるために。自らがおとりとなった。かろうじてロボットを行動不能におとしめたものの、2人の仲間に助けられた時、クリアキンは満身創痍だった。 少女の案内で近くのコンミューン(共同体)につれていかれたクリアキンはそこで可能な限りの手術を受けた。彼は超人的な力を手に入れることができた。 彼はサイボーグ手術を受けたのだった。が失なったものも多かった。彼のエネルギーは無限に思えたが。 何年かに一度太陽光線変換器をとりかえなけれぱならなくなった。それは彼の命の源だった。 傷がいえ、コンミューンを出る時.イアラはクリアキンについてきた。 愛がめばえていた。 イアラはロウ人襲来以前の記憶を失なっていた。父や母はどうなったのか。兄弟姉妹がいたのか、それさえも覚えていなかった。そんな話がでたとき、クリアキンに対してイアラの青い目をみつめるクリアキンに言うのだった。 「私は過去を失なってしまったわ。でもクリアキン。今はあなたがいるわ。あなたが私の未来なの。」クリアキンはイアラの茶色の目を見つめ思うのだった。 俺はイアラを愛していると。しかし、 クリアキンとイアラがこのコンミューンに別れをつげた時。一人の男がささやいた。 「クリアキン、あの女イアラにぽ気をつけろ。災皆を生むかもしれない。あの女はどこからきたのかわからない。しかし彼女がいたコンミューンは、順番にすべて焼きはらわれる。 しかし彼女生き残っているといううわさ話がある。ここだけの話だぞ。では気をつけていく」 クリアキンの表情は変り、怒りをこらえ、そして言った。「おたがいに気をつけよう」 ■クリアキンとイアラぱクリアキンがもといたコンミューンに帰り、しぱらくの間は平和な生活が続きそうだった。 仲間の一人が、クリアキンが手術を受けたコンミューンへ行き、知らせをもって帰った。そのコンミューンの人々が皆殺しにあって誰もいないという話だった。 ■2ヶ月後、クリアキンとイアラはシェルターを離れ、狩猟を楽しんでいた。クリアキンの眼は赤外線探知をすることができる。動物の体温による白い熱球が彼の眼に感じられる。獲物はすぐに手にいれることができた。クリアキンの投げだす小石は秒速60mにもなり、獲物の肉体をつきやぶるのだった。 何キロもはなれていたクリアキンのシェルターの方ら大きな音がきこえた。クリアキンはイアラをそこに残し時速50キロmでシェルターにかけつけた。 不意打ちを受け、シェルターは破壊されてた。死体が散らばり、物がくすぶっていた。間の一人はまだ息があった。かすかな声では言った。 [イアラだ。イアラを殺せ。場所をしらせたのは1だ。女を殺せ」その仲間は死んだ。 ショックから立ちなおったクリアキンは、まだあたりに残っているかもしれないロウ星人に気をつけながら.イアラのいた所へもどった。 クリアキンはイアラの肩をつかみ、それをゆする。イアラの目を見つめる。 「イアラ、本当に君は。君なのか。ロウの操り人形なのか」 イアラは不思議そうな顔をした。 「そうだな。やはり。君が知るわけがない。」 とにかくクリアキンとイアラは逃げのびた。 けれどもロウ人の戦闘ロポプトが度重って襲来してくる。今度は以前のクリアキンではなかった。サイボーグの強力な戦闘能力を持つクリアキンだった。 緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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GS緑なす星にて(1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/2/ 緑なる星にて第2回■クリアキンの宇宙船は、地球を占領しているロウ成人の攻撃を受け破壊されるが、特別な仕掛けでロケットの墓場で再生される。 緑なる星にて第2回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■宇宙連邦は宇宙。の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに自分勝手に星々を荒しまわっていた。連邦は人間が有害であると確認し。絶滅を決定した’が恩赦によりわずかの人々が地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは羊船団と呼ばれた。羊船団の出発浚。宇宙連邦の中でも残忍なことで有名なロウ人が襲来した。 ■クリアキンはエの面影を心にいだきながら、地球にもどってきた。ロウ人の支配する地球へ。地球人はもうだれもいないはずだった。48才になったクリアキンは、青い瞳でバ不思議なほどに青い地球をながめていた。 「帰ってきたぞ、イアラ」 クリアキンは独りごちた。 長期の逃亡生活はクリアキンを闘士にしたてあげこそすれ、老いは感じさせなか った。 ■ロウ人の戦闘艇があらわれた。「停船しろ。貴船のコールサイン及び名称をいえ。」クリアキンは答えない。 「くりかえす。停船しろ。貴船のコールサイ y及び名前をいえ。」 ロウ人は銀河共通語ギャーフクテカでわめきたてる。 クリアキンの船は速度を増す。 「これが最後だぞ。停止しろ。コールサイン及び船名だ。」「やむを得ない。攻撃する」 メーザー・ガンが発射された。 クリアキンは船の自己防衛システムと自動操縦装置を連動させ、すばやく、宇宙船内に収納してある捕助艇に乗り移った。 この捕助艇はあまりに小さい。直径5mのポールだ。外形はさびついていてスクラップのように見える。 宇宙船の部品の一部のようにもみえる。しかし内部は最高の技術でコンパクトにまとめられている。コプクピット(操縦席)内で全装置のチェックをおわった後、クリアキンは、大きな船の方の自己分解装置のスイプチをONにしたヽ。 クリアキンの大きい船体は大爆発をおこす。 ロウ人は自分達が発射したメーザガンが命中し、クリアキンの船を破壊できたと思いこむ。 バラバラになったクリアキンの船の残骸。機械の一部分にみえる捕助艇もその中にあり、カモフラージュされている。 ロウ人の船が残骸を収集し分析するために近づいてきた。船の下部より多数のロボットアームを出し。一つ残さずクリアキンの船の残骸を集め;船の内部に収容した。 やがてロウの戦闘艇は地球へもどる。 成層圏を、そしてロウ人の防衛ラインを突破した。 クリアキンの予定行動地点上空にさしかかる。 この時をじっと待っていたクリアキンは行動に侈る急激に長さ10数mの針が捕助艇のすみずみから飛びだす。他の残骸からも針が飛び出す。 針はロウ人の戦闘艇内部をつきやぶり、その針から強烈なエネルギーが発射された。 ロウ人の戦闘艇は内部爆発を数度くりかえし、操船不可能となり、宇宙船の墓場と呼ばれる地域の上で完全に吹き飛んだ。 クリアキンの小型の捕助艇はロウ人の船の大爆発の瞬間。外装をつきやぶり、勢いづいて、墓場につっこみ、地中に何mもくいこんだ。 ■ロケットの墓場」は地球人がに地球にみちあふれていた時代からあるもので、役に立たなくなったロケットや形の古くなった船が世界各地から集められ、雨ざらしになっていた。 広さは小さな砂漠一つ分だ。 捕助艇のコックピットよりはいでたクリアキンはあたりをみわたした。 数年ぶりで足の下にする地球だ。 例え、最初に辿り着いた場所が宇宙船の墓場であろうと、地球の上であることにかわりはない。 「宇宙船の墓場か。俺にふさわしいかもしれない」クリアキンは思う。なぜかこの場所にはもどってこないような気がした。 クリアキンの船は特別に作られたものだ。残骸が全部合体して新しい船が構築される。パラパラに分解した部品一個一個に電子頭脳が埋めこまれている。 いわば一つの部品がロボットなのだ。もし部品がいくらかたりなくても、この地平線までも埋めつくすロケッ卜の墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。 「それにしても何と寒々とした所だ」 クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。 緑なる星にて第2回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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鈴木純子作品集よりIT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?石の民「君は星星の船」第11回 ●少年たちのグループが争っていた。Bグループ頭、光二は、他の団との抗争中、姉のアリサが、移動体から堕ちて死ぬの目撃する。誰だ、犯人は?▼この小説のURLhttps://ncode.syosetu.com/n1873gf/11/ 石の民「君は星星の船」第11回(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ S■ 石の民(1989年作品)■■ 第3章 光二こうじ 第2宇宙サーゴン、ドーム都市。 都市ドームいやゆるフッコウドーム、はこの廃墟を思わせるサーゴン星の表面に異様に目立っている。戦雲がさった星に、残ったわずかな構造物のひとつだった。復興という政府のやりかただ。 光二こうじは敵対する少年グループ、Vグループのキッズの一人をホース(馬型ホバークラフト)からたたきおとしていた。乱戦だった。このドームの支配を大きなものにするために。 「あねき!」光二は叫んでいる。Vグループのキッズとの抗争だった。光二が横を見ると、信じられない光景が光二の目に入ってきた。 こんな事がありえるのか。まさかこんな事が。 信じられない。 姉の有沙ありさがホースからずり落ちて、ゆっくりとまるでスローモションの様に地面に落ちて行くのが光二の目に映っていたのだ。 有沙。たったひとりの姉。その姉の体が落下していくのだった。 「有沙」その光二の声は、フッコウドーム・ドーム都市に反響するほどだった。 地面におちた有沙の体はすこしばかりはねあがり、再び地面でとまった。首が横に曲がり、赤いものがちびちった。 光二の生きててくれという願いは、むなしかった。確実に死んだだろう。子供の頃から、死体を、山とみてきた光二にはそれがわかった。 「アネキよう」光二は地面に突進した。上空では、光二が地上にむかったのを機に、Vグループのキッズグループがあっというまにいなくなっていた。 Vグループのヘッド(頭目)登のぼるが、この機に逃げろとの指示を与えたのだろう。 光二たちのBグループが待ち伏せていたのだ。Vグループは不利だった。光二はホースをあやつり、地面に降り立つ。いったい誰がおねえをころしたんだ。 光二は動かなくなった有沙の体に泣き崩れ、それから、頭を持ち上げて泣き始めた。仲間のBグループの連中もいなくなっている。気をつかったのか、それともVグループをおいかけていったのか。 光二は17歳。かって生存していたという動物、豹のようなしなやかな体をした精悍な男だ。 この男が生きている時代がこのように光二を変えてしまったのだろう。まだのびざかりの180CMの体をもちあましていた。だが彼は、このフッコウドームの勢力を2分するBグループキッズのヘッドである。 姉、有沙、20歳。地下保護ステーションで、ロボットマザーの手によって、光二と有沙は姉弟として育てられていた。 地下保護ステーションは、この戦争前、両陣営が地上の組織や諸設備が潰滅した場合、何年かたって地上にもどり、地上を復興するために作り上げた地中ステーションであった。 各ステーションには精子と卵子が冷凍保存され、地上が生物の生存可能になつた場合、子供を生産するようにセットアップされていた。子供の育児には「育児法」によって研修を受けたロボットマザーがあたった。 石の民第11回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか? 石の民「君は星星の船」第10回●信仰の街ジュリから通報された祭司アルクは、民衆から石礫をうけていた。小石の1つが通信機であり、アルクは話しかけた。▼この小説のURLhttps://ncode.syosetu.com/n1873gf/10/ 石の民「君は星星の船」第10回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 樹里のメンストリートを過ぎたアルクの目の前にマルツ平原がひろがっていた。 空はどこまっでも晴れわたっていて、アルクの心とは裏腹だった。 マルツ平原はまさに不毛の大地だった。 これからどうすればいいのか、追放された祭司アルクは絶望していた。 いまだ、石つぶてはアルクの顔といわず、手足といわず投げ付けられ、もはやアルクは傷だらけだ。傷口からは血が滴り落ちている。 突然そんなアルクの耳の上に小石がなげこまれた。 最後の石だった、しかしその石はするりとアルクの耳のなかにとどまる。 その小石が何かをしゃべった。 「アルク、アルク」どうやら小型の通信機らしい。 「まっすぐ進んで人々から見えない所までいけ。それからしゃべれ」 アルクは言われたとうり、1kmほど歩き潅木の中にしゃがんだ。 「あなたはいったい」 「しっ、アルク、だいぶ困っているようだな」答えようがないアルクであつた。 「これからどうすればよいかわからないとみえる」この考えは否定しようがない。 「そういうあなたは」わらをもすがる思いであった。 「よいか、アルク、私の助言にしたがうのだ」声はうむをいわさぬものだった。むろん、アルクはしたがうつもりだった。他に方法がない今ならば。 「アルクよ考えようによれば、お前はえらばれたんかもしれん」 「選ばれたですと」この人は何をいっているんだ。しかし、ある種の見方かもしれんとアルクは思った。 「この世界を変化させる種子が、お前かもしれん」世界を変化させるだと。どういうことだろう。石の男が動き出すというのか、石の壁が壊れるとでもいうのか。この時、アルクの頭にある確信がおこった。 「あなたはひょっとして」 「だまれ、アルク、私がだれでもよい、今は問題ではない。いいか、アルクよ、お前はこの樹里をでたあと、聖砲をもつ者をさがすのだ」 「聖砲ですと」なんなのだ、聖砲とは。アルクはその言葉を聞いた事がなかった。 「そうだ、その聖砲がお前を助けてくれるはずだ」 「アルク、よく、聞け。この世界はひとつではない。多くの世界が存在するのだ」 「それは、トゥーン星以外の星ということですか」 「そうではない。この星の集まり、宇宙とは異なる宇宙があるのだ。お前はこの宇宙を飛び出し、聖砲を探せ。お前の運命なのだ」 「星の世界を飛ぶ、どうしたら」 「心配するな。その儀式をいまから、教えよう」 アルクはマルツ平原に佇み、耳にひっかかった通信機の声を聞いている。日が沈みかけ、赤い陽光がアルクの体を真っ赤に染め上げていた。 石の民第10回SF小説■石の民■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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鈴木純子作品より IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/9/ 石の民「君は星星の船」第9回●祭司アルクは、我が娘ミニヨンを石の男に取り入れられた。心の教育を娘に行っていたとして告発、裁判にかけられ、追放刑が決まる。 石の民「君は星星の船」第9回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■祭司アルクは中央に設けられた被告人席にすわらされていた。自らの運命の変転に驚いていた。なぜ、私が、それに娘ミニヨンが。 祭司の我が娘娘ミニヨンが消えたのがなぜ、私の罪だというのだ。 皆で助けてくれるのが本当ではないか。傍聴席に知り合いの商店主ガントがいうのに気がついた。ガントは、あいかわらず、真っ青だった。 「さてアルク祭司よ、お前は娘に心理バリアーを育てる訓練をさせなかったのか」判事がうむをいわせず、攻撃してくる。 「そのようなことはございません。私が自らの手で、幼い頃より、教育いたしました。それほどたやすく心理バリアーをやぶれるはずはないのです」アルクは必死で抗弁する。 「が、事実、やぶられたではないか」判事はいう。 祭司アルクは答えようがなかった。ミニヨンの学校の友人マリネが証言していた。 「ミニヨンさんは容易に心理バリアーを開いていました」 マリネは下を見たままだった。アルクの方はけっしてみなかった。 とにかく不利な証拠ばかりが、仲間の祭司たちによってあつめられていた。結果はわかりきっていた。 陪審員は次々とアルクを非難する。 「神聖なる我が世界の祖「石の男」に、祭司の娘が囚われるなど前代未聞だわ」 「アルク祭司、不浄人め、二度とこの樹里の里に足を踏みいれてはならん」 「娘ミニヨンの心をとられるとは、祭司の風上にもおけぬ」 祭司たちの非難の言葉が次々とアルクの頭上を飛び交う。 祭司長マニは、裁判長としてこの祭司会議をまとめて命令する。 「アルクよ、石の男よりミニヨンを助ける方策をみつけるまではこの里にもどることをゆるさん」マニの言葉には決然としたものがあった。 アルク祭司は抗弁する。「マニ祭司長さま、手掛かりをおわたえください。石の男より我が娘ミニヨンを取り戻す方法を。私は、いや先祖代々このアルク家はこの里に奉仕こそすれ、汚れをあたえるようなことはしておりません。この私になぜ、このような不幸がおとずれたのでございましょう」 アルクは祭司長の前で叫んでいた。祭司長は無言だった。神殿が騒がしくなった、会場に罵声が飛ぶ。アルクは収容所に連れていかれる。 アルク祭司は両脇をささえる衛視にさからって、後ろに向かって叫ぶ。 「マニ祭司長さま。どうぞ、お教えを」 アルクは何度も叫んでいたが、人々は明日の儀式を待つざわめきに掻き消されていた。 ■「アルクだぞ、アルクだぞ」 「アルクが来たぞ」見張りの男が大声で叫ぶ。 樹里のメインストリートに叫び声があふれ、期待に満ちた人々が集まり出していた。祭司アルクの追放儀式だった。 アルクは収容所から出される。アルクはこの樹里のメインストリートを無抵抗で歩いていかねばならない。後ろを振り向くこともしゃべることも許されていない。 道の両側に立ち並ぶ人々は、アルク祭司がちかずいてくると、アルクに向かって石を投げた。 人々は正装をしていた。聖なる石を不浄人アルクに投げる大切な儀式なのだ。道端の石や、この日のために用意してきた石だった。石は聖なるもの、石の壁そのものだった。アルク祭司はこの聖なる石をよけることはゆるされなかった。 不浄なる者アルク祭司が出て行くことによって、この樹里ジュリは聖なる場所に戻る。 美しい白いチュニックははぎとられ、代わりに一般市民の着る灰色のローブをきせられていた。そのローブも飛来する石くれでしだいに汚れて行く。 石つぶてはアルクの顔といわず、手足といわず投げ付けられ、もはやアルク祭司は傷だらけだった。傷口からは血が滴り落ちている。 樹里のメンストリートを過ぎたアルク祭司の目の前にマルツ平原がひろがっていた。 空はどこまっでも晴れわたっていて、祭司アルクの心とは裏腹だった。 石の民第9回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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鈴木純子作品よりイラストをかりています。 (1978年)●クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/1/ 緑なす星にて第1回■宇宙連邦に占領された地球に向かうクリアキンは思い浮べる、彼女イアラの最期を。彼女の水晶化は彼の行動の失敗の結果だ。 緑なす星にて第1回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ クリアキンは思い浮べる、彼女の最期を。クリアキンの過失だ。クリアキンは苦しむ。しかし悩んでも救いが訪れるわけはない。 あるのは彼が操縦するロケットの目の前に広がる大いなる銀河の闇。星の光そして、今、向いつつあるのは、彼の星である地球だ。 「なぜ、あのとき、俺は」 クリアキンは考える。彼女は美しかった。 いやいまでも美しいに違いない。彼女イアラは現在でもあの場所で光り輝き立っているはずだ。クリスタル(水晶)作用だ。 彼女イアラは生きている姿のまま結晶化された。 あの時、クリアキンはイアラを助けるべきだった。 あの時。クリアキンの疑念とまどいがイアラの命を奪う原因となった。不可抗力といえばそうもいえる。 今は、クリアキンは、地球のイアラの所にたどり着かなければならないクリアキンのエネルギーはまさにイアラからでていた。 彼にとってイアラは心の糧だ。その姿がなくなっていれば、クリアキンは生きてはいけないかもしれない。この広い宇宙の中の唯一つの拠り所だ。 同じ地球人の形態をした者に会うことは。地球脱出以来なかった。 クリアキンは孤独だった。心からイアラの水晶像を見たいと思う。 そのクリスタルから太陽光線変換器をとりはずさなければならない。 それなしでもクリアキンはたおれてしまう。クリアキンはサイボーグだ。地球には地球を攻撃しやロウ人のンールドがはりめぐらされで、いる。 地球がロウ人達に占領されすでに50年たっていた。 全人類が宇宙空間にのりだし、星への植民を行ってからわずかの期間しかたっていない時だった。 地球人達は始めはおずおずと。最が物顔で、その星の資源、原住星人の制服にとりかかった。自分達よりも秀れた宇宙人には、幸いな事に遭遇しなかった。かつて地球古代に存在した帝国主義の時代の再来の様に地球人達は資材を用い宇宙船を建造し。富を求め、拡がりつつある宇宙へと旅立っていった。地球の繁栄の時代はいつまでも続きそうに見えた。 終局は突然襲ってきた。 総てが燃えつきた。「地球」は炎の惑星としてのたうち、死んだ。 地球人以上の知性が存在していた。 彼らは地球人がその歴史を始める前から。観察していたのだった。地球人がはたして宇宙連邦に加入できるほどの生物かどうかを判断するために長い間沈黙していたのだった。 宇宙連邦は宇宙の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに自分勝手に星々を荒しまわっていた。 連邦は人間が有害であると確認し。地球絶滅を決定した’が恩赦によりわずかの人々が、地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは「羊船団」と呼ばれた。 緑なる星にて第1回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #緑なす星にてランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/11/ ドリーマー・夢結社第11回 ワルシャワ条約軍中尉リポフは、幻想誘発剤の世界頒布を防ぐためにKを抹殺しょうとした。 ドリーマー・夢結社第11回(1987年)星群発表作品20210807改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ワルシャワ条約軍中尉リポフは半壊しているスプローギンの家の中に入る。リポフ中尉はあっけにとられた。スプローギンの体を銃弾が突き抜けていた。 「驚いたかね、リポフ君、これはホログラムだよ。私の今の姿を見せてやろう」 ■背後に明かりがつき、巨大なカプセルの中にスプローギンの体が横たわっていた。彼の眼は閉じられ ている。 「ここはどこだ」 リポフは見知らぬ空間に立ち、叫んでいる。 「ワルシャワ地下大空洞の中だ。ワルシャワ市の地下にはりめぐらされた地下道を利用した大空洞だよ。さて、リポフ君、わざわざ君がここに来てもらったのはなぜだと思う」 リポフは言葉につまる。つまりスプローギンの家での集会というのはガセネタだったのか、私をおび きよせるための。 「私が欲しかったのはリポフ中尉、君の持っている情報だ」 ホログラムの方のスプローギンがしゃべっている。 「何だと」 リポフ中尉リポフは少し考え、悲鳴をあげた。 「まさか、私の頭から……」 「そうだ、君の記憶から、ミサイル発射に必要なキーワードを読みとったのだよ」 「くそっ、俺を外へ出せ」 「無駄だ。ルビノ基地のミサイルは発射された。我々のコンピューターは、軍のミサイル発射制禦コン ピューターに侵入した。もちろん、この際に君の知っていたパスワードが非常に有効だったのだ」 「どこだ、目標は」 「ソビエト連邦の首都モスクワだ」 「くそっ、なぜだ、なぜモスクワに」 「ソビエト連邦のモスクワの軍本部はきっと敵陣営、西側から発射されたミサイルだと思うだろう。自動的に、報復装置が働き、多くのミサイルが西側陣営の各地の目標に向かって発射される。もちろんその弾頭にはJP三五九が装填されている」 「何んてことだ」 リポフは両ひざをつき、頭をかかえた。 「あなたは世界を破壊してしまった」 「そうではない。リポフ君、考えてみたまえ、JP三五九は強力なドリーム創成ドラッグだ。個々人の幻想が具体化され実在の世界となるのだ。人々は自らの望む世界に住めるのだよ」 「あなたは狂っている」 「私が狂っているかどうか、もうすぐわかる」 「あなたを処刑する」 リポフ中尉は、コンソールの部分へ銃弾を撃ち込もうとそのカプセルの方へ走っていく。 「リポフ君、君はきっとこれからの世界が気にいるさ」 「何を言う、この犯罪者め」 トリッガーをリポフ中尉はひきしぼろうとした。 ■その瞬間、世界は白熱した。 過去世界は消滅し。幻想夢世界が現出したのである。 西側、東側陣営も世界じゅうに幻想創出剤JP三五九を装填したミサイルが行きかったのだ。 この瞬間から各個人の「夢世界」が出現した。 過去世界のすべてのひとびとが、自らの夢世界に住んでいるのだ。 K=クネコバ・スプローギンも自らの夢世界に住んでいた。 今日の夢は、スプローギンが日本の大使館に武官として着任していた時の記憶がベースになっていた。 カプセルホテル。 渋谷。 夢工場というイベント。 チバーチバポートタワー。 楽しかりし日本の思い出。 それが渾然一体となって現出したのだ。 Kの夢世界はすなわち地球であった。たった一人が住む地球。 今、Kは静かに眠っている。心安んじられる状態なのだ。Kの心が乱れると、新たな夢世界が出現す る。実在の世界として具体化される。その夢世界を処理していくのがKの。バランサー、Kの分身、仮面の男なのだ。 K=クネコバ・スプローギン Kは、新たな世界を生み続けながら、カプセルの中で永い眠りに入っている。 なにしろ、Kはこの「Kの夢世界」の地球そのものなのだから。 ■世界、いや夢世界は、個々人の夢世界を現出させた。 スプローギンが主人公の世界もあり、違う夢世界では、彼は英雄かもしれない。 幻想創出剤JP三五九は、個々人への影響が異なる。 あなたの見る夢世界、それは、、、 (終) ドリーマー・夢結社第11回 (1987年)星群発表作品20210807改訂 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/#ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。 ドリーマー・夢結社第10回 ワルシャワ条約機構軍は、スプローギンを仲間と共に抹殺しょうとして夢結社本部を攻撃する。▼この小説のURLhttps://ncode.syosetu.com/n3776gq/10/ ドリーマー・夢結社第10回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■私が夢世界だったのか。『俺は自分の夢地球に生きているのだ』 覚醒したKの体からはオーラが出ていた。彼はすべての始まりを思い出していた。 ■「スプローギン大佐、君の計画はすべて水泡に帰した。観念したまえ」リポフ中尉の声はワルシャワ旧市街にこだましていた。一九八七年九月。ポーランドの首都ワルシャワだった。 リポフ中尉を始めとするポーランド・ワルシャワ条約軍はスプローギンの家をとり囲んでいる。「もう逃亡は不可能だ。まわりの道路はすべて遮断されている」 返事はない。 「5分間待っている。5分間の間に出てきたまえ。スプローギン大佐、さらに夢結社の諸君」 リポフにとっては長い5分間だった。家の中はまったく動きが感じられない。リポフ中尉は不愉快そうに吸っていたロシア製タバコを投げすて、半長靴でぎゅと踏みつけた。「時間です」 かたわらのスワーヴェフ軍曹が言った。「よし、攻撃しろ」 あたりはAKMライフルの発射光と銃声に包まれる。突入グループがドアに向かりてなだれ込んだ。 ワルシャワ条約軍研究所主任、スプローギンと彼の串いる夢結社は恐るべき思想集団だった。 ソビエト連邦を盟主とする東側陣営とアメリカ合衆国を中心とする西側陣営。その戦争用に開発された幻覚剤JP三五九を東側陣営ワルシャワ条約軍の倉庫から盗み出し、全世界にばらまこうとしていた。 内通者から、夢結社がスブローギンの家にひそかに集まっているという情報が入った。ただちにポーランド・ワルシャワ条約軍情報部リポフ中尉は情報部局長ソネ将軍に呼び出された。 「いいかね、リポフ中尉。JP三五九という薬はそもそもこの世に存在しないのだ」ソネ将軍は開口一番こう言った。頬が心なしかひきつっていた。 「わかりました。その薬は消去します」リポフ中尉も汗をかいている。 「いいかね、繰り返す。薬も始めから存在しないのだ。ついでに夢結社の奴等も始末しろ」つまり、リポフ中尉は彼らの処刑を命令されていたのである。 リポフ中尉の前に、最初に家へ突入した一群の兵士が戻ってくる。ガスマスクをはずし、リポフに敬礼する。 「同志中尉、大変です、家には誰もおりません」「何だと、彼らはどこへ……」 「地下通路の入口がありました。御覧いただけますか」「わかった、そこへ案内しろ」 リポフは半壊しているスプローギンの家の中に入る。応接室の暖炉の奥に穴があいている。「ここからどうやら逃げたようです」兵士が告げた。 「よし、私が先に入ろう。ライトをかせ」ライトを持ったりポフが穴をくぐった瞬間、その兵士はにやりと笑い、リポフ中尉の後頭部をAKMライフルの銃床でなぐる。リポフは気を失った。 リポフの意識が戻ってきた。目の前はリノリュームの床だ。まだずきんと頭の奥が痛む。 「くそっ、あの兵士は夢結社の奴が化けていたのか」リボフは独りごちた。 「そうだ」声が頭の上からする。 リポフ中尉は頭をふりながら、何とか立ちあがる。目の前にスプローギンのぼんやりした姿がある。「スプローギン大佐」 「そうだ、リポフ君、私の話を君に聞いてほしかったんだ」「あなた方夢結社の思想は。世界を滅ぼす事じゃないのか」 「いやいや、我々はJP三五九によって、世界に平和を持たらすっもりだ」「あなたのたわ事を聞く耳など持ちあわせてはいない」 リポフ中尉 リポフは叫びながら、反射的に腰に手をやる。ホルスターにまだマガロフ拳銃が装着してある。リポフはマガロフ拳銃を引き抜き、スプーーギンに向けた。 「あなたを、国家正義の名において、ここで処刑する」うなりながら、リポフ中尉リポフはマガロフのトリッガーをひきしぼる。銃声が何度か続く。 リポフ中尉はあっけにとられた。スプローギンの体を銃弾が突き抜けていた。「驚いたかね、リポフ君、これはホログラムだよ。私の今の姿を見せてやろう」 ドリーマー・夢結社第10回(1987年)星群発表作品20210807改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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鈴木純子作品集よりドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/9/ ドリーマー・夢結社第9回■Kはきづく。『俺は地球の夢を見ていたのだ』ドリームドラッグ・ウォーの起源者の一人であるクネコバ・スプローギン大佐は思った。 ドリーマー・夢結社第9回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 「夢だと」そう、正確にいうと、君の作りあげた無数の夢世界のひとつだ」 「俺は夢の中にいるのか」「そうだ、君はクネコバースローギンの夢世界に投影されたドリーマーにすぎん」 「俺は俺自身ではないというのか」「そうだ。今の君は君自身の一分身にすぎん。それも夢の中のな。さらに君は大きな世界、別世界の創造者でもあるのだ。この夢世界はクネコバースプローギンの夢の一つなのだ」 「そういうお前は誰だ」巨大なカプセルは急に消える。東京の夢の島の風景が戻ってきた。 「Kよ、君はまだ理解していないな」仮面の男は言う。「何をわかっていないと?」「それじゃ、K、こ こはどこだ」 仮面の男は挑戦的に言う。「東京、夢の島だ」「それじゃ今日は何日だ」「一九八七年九月一七日木曜日だ」Kは。バスの中で見たスポーツ紙の日付を思い出しながら言う。 「くふっ」仮面の男は笑いころげている。笑い声をたてている。 「君はまだそんな事、この周りの現実を現実だとを信じているのか」「それじゃ、仮面の男よ、反対に聞く、ここはどこだ」Kはやや怒りながら尋ねた。 「よーく見てみるんだ。K」仮面の男は空を指さす。その夢の島から見える東京の風景がゆらりと動く。まるで雑誌のページをめくるように、東京の風景が端から消え去っていく。 やがて空一面の夜空。がそれは東京の夜空ではない。さらに地平線もない。「夜か、一体ここは」Kは急に不安を感じる。体が自分の体ではないような感覚。虚体感覚と呼んだらいいような奇妙な感じがする。 Kの立っている所の他はすべて夜空。Kは下を向く。下も夜空だ。Kと仮面の男は虚空に立っている。「ここは君の星、地球だ」「そんな事はわかっている。大地がないではないか」Kは心細くなって叫んだ。「まだわかっていない」仮面の男は強気だ。「君自身が地球の夢を見ているのだ」自身たっぷりに言う。「何を言っている」Kは表情が見えない仮面の男の不思議な言葉にとまどっている。(ドラッグ・ウオーの記憶がないのか。その戦争を関与した本人が、しかたがない) 「Kよ、よーく私の顔を見てみろ」仮面の男がゆっくりマスクをはずす。その下に隠された顔は。「俺の顔だ」Kは腰がくだける。 「ふふ、あたりまえだ。私は君なのだ。いや持て、少し違うな」Kは驚きのあまり声も出てこない。同じ顔の男が言う。 「君自身の精神にある精神治癒機構エルゴアナリイシィスの具現者が私だ」 「俺が地球の夢を見ている。それにお前が俺白身の精神治癒機構だと」 「そうだ。私は、君クネコバースプローギンが自分自身の精神のバランスを保つために作りあげた。いあばバランサー、自分自身への薬だ。さて、君自身の現実の姿をもう一度見せてやろう」 夜空の一部が消え、一つの物体が映し出される。先刻の巨大な生き物だ。 裸の男が子宮に包まれているように丸くなっている。その羊水は海の水だ。まわりを囲んでいた球形のカプセルはやがて地球の姿に変わる。地球の球体にKの体は眠っている。 「君は地球の夢そのものだ。そして今。君の強力な精神力で実在化された夢世界なのだ。その夢世界を破壊するのが私なのだ。君自身の精神を、夢世界の苦悩から助けるために、君自身が作りだした夢世界の破壊者なのだよ、私は」 「そうなのか」 一瞬、Kはすべてを理解した。あの日本の新宿のカプセルホテルの目覚めから、この東京の夢工場までのすべてが夢世界だったのか。 『俺は地球の夢を見ていて、旅行したことのある東京を再現し作り直していたのか』かっておこったドリームドラッグ・ウォーの始原者の一人であるクネコバ・スプローギン大佐は思った。 ドリーマーインヒズドリーム第9回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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鈴木純子作品集より IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/8/ 石の民「君は星星の船」第8回■石の男の心に、祭司アルクの娘ミニヨンはとじ込められた。この街ジュリの祭司長マニは、アルクの責任であると祭司会議を開く。 石の民「君は星星の船」第8回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■祭司アルクは自分の娘ミニヨンの心底に入った。この星の人々は、それが普通にできる。 「なんということだ」 ミニヨンの心底に、すでに石の男の分心が侵入していた。 ミニヨンの心底でアルクの分心は叫んでいた。 樹里の里に住む者は、それぞれの心に心理バリアーをもっている。 そうしないと他人の分身ならむ分心が侵入してくるのだ。子供の頃から、個人個人が心理バリアーを育てるように教育されている。 この心理バリアーがこの里のものの証明であった。 怒りが、アルクの分心を一杯にしている。『石の男、やめろ、娘の心をどうするつもりだ』 石の男の分心に対して、アルクの分心がさけんでいた。 『アルクよ、すでに君の娘は私がもらった』石の男の分心は言う。 『なにをいう、石の男、この娘は私の命なのだ』 『が、アルクよ、この娘は選ばれたのだ。この世界とは異なる別世界を、体験させてやろう。ミニヨンは私、石の男によって選ばれたのだ。光栄と考えよ』 アルクの分心は怒りで一杯になっていた。 『そんな事はのぞんでいない。石の男、私の娘を返して欲しい。私はあなたを敬いこそすれ、にくんだことなぞない。なぜそんな私から私の宝ともいえる娘を盗むのだ。後生だ。石の男』 アルクの分心は石の男の分心に接触しょうとする。 がアルクはミニヨンの心底で石の男の分心から激しい刺激を受ける。 うすれゆく意識の中で、アルクは石の男の言葉をきいた。『アルクよ、ミニヨンの心からされ、これからは私が彼女の父親なのだ』 ■気づくと「アルク」叫んでいるガントの顔が視野に入っていた。気を失っていたのだ。 アルクの意識がもどると、もとの体に戻っていて、大地に倒れていた。 アルクのまわりに祭司たちがあつまってた。 しかし、肝心の、アルクの娘ミニヨンの体は消えている。石の男が、自分の心のなかにつれさったのだ。実際の姿がないのだ。 まわりに立っている人々から、ガルクをみつけたアルクは叫んでいた。 「どこにいるんだ、ミニヨンは」 ガントは恐る恐る答える。 「君の分心がもどってきて体が倒れた時、ミニヨンは俺の目の前で消えてしまった。あんなこと初めてだ。ほんとにすっーと消えてしまったんだ」 「なんてことになったのだ、アルク」この里、樹里ジュリの祭司長マニだった。マニは厳しい顔をしていた。 「この里はじまっていらいの惨事だな」 祭司長マニはこの樹里で一番の高齢者んである。いったい何才か本人も覚えていない。枯れ枝の様に痩せている。顔色は灰色のちかかった。するどい眼光は鳥を思わせた。が、この樹里の実力者はマニだった。 「アルクを収容しろ」祭司長マニは命令した。 「待って下さい。マニ祭司長さま、これは、これは何かの間違いです」マニ祭司長はそのアルクには取り合わない。 「アルク、ああ、えらいことになってしまった」ガントは神殿の衛視によって引き立てられるアルクを見て青ざめていた。 巡礼たちのざわめきが後に残ったマニ祭司長の耳に入ってくる。この石の壁の前で一人の少女が消えたのだ。 石の男の心底に連れていかれたという。それにその少女は祭司の娘だという。何かの変調ではないか。 祭司長マニは石の壁の前に立っていた。 壁には不思議な文字が刻み込まれていた。誰も読めないといわれているが。マニ祭司長はしかしその壁の前で考えているようだった。しばらくして、ひとりごちた。「やはり、時が満ちたのかもしれん」 マニ祭司長は考えぶかげに、壁の前から去った。 ■2日後、アルクは祭司会議にかけられていた。 この祭司会議は樹里の里にある一番大きな建物が当てられていた。すなわち神殿である。この建物は聴衆でいっぱいだった。 こんな機会はめったにない。巡礼を始め人々は、喜びいさんで見にきていた。祭司たちは、蔑みの目でアルクを見ている。 アルクは中央に設けられた被告人席にすわらされていた。自らの運命の変転に驚いていた。 なぜ、私が、それに娘ミニヨンが。私の娘ミニヨンが消えたのがなぜ、私の罪だというのだ。皆で助けてくれるのが本当ではないか。 傍聴席にガントがいるのに気がついた。ガントは真っ青の顔をしている。 石の民第8回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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鈴木純子作品集より IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/7/ 石の民「君は星星の船」第7回■宗教の街ジュリ。その石の壁に刻まれた「石の男」の心が、ジュリに住む祭司のアルク。その娘ミニヨンの心の底に入り、操ろうとしていた。 石の民「君は星星の船」第7回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 『私は石の男だ』 驚きがミニヨンの心に走った。 「えっ、石の男ですって、信じられない」 『事実、君に話し掛けているだろう。君はなんという名前なのだ』 「私はミニヨンよ」ミニヨンは思わず自分の名前を答えていた。なぜなんだろう。この気持ちは。 『そうか、ミニヨンよ、私の心底にこい』 心底ですって、ばかなことはいわないで、何故、あなたの心底に。大体、石の男に心底なんてあるのかしら。 ここ樹里の人々は訓練すれば、他人の心底にいく事ができる。もぐりこんだ本人の心は「分心」となり、その場所、「心底」にいる。その場所で、分心は本人と同じようにものを見、言葉を発するのだ。しかし、その分心が、他人の心底にいっている間、分心の本体は何も見えず。考えずその場所にいる。この体は幽体と呼ばれる。 『君はアルナににているな』 「アルナって」『私の古い知り合いだ。君が私の心底にくるのがいやなら、私からいこう』「何ですって」 ■宗教の中心地樹里には、この「石の壁」と「石の男」を管理する祭司委員会が存在する。祭司は代々世襲され、祭司職はこの樹里の里ではハイクラスを意味する。 樹里の町中からも、巡礼たちの騒ぎを聞き付けて、多くの人々が走り出てきて、石の男を見あげていた。 「たいへんなことになったなあ、アルク」知り合いの、ガントが汗をふきふき話しかけてきた。ガントはあせっかきだ、 たぶん、店のほうから、騒ぎを聞き付けて駆けてきたのだろう。 ガントの姿をみれば、心配性のようにはみえない。この里の者には珍しくまるまる太っている。 アルクと同じくらいの身長だが、体重は2倍はあるだろう。ほおひげとあごひげが、チュニックとよくマッチしていた。 「しかし、ガント。この事件で、樹里にくる人々が増えるとすれば、お前の店の収入があがるではないか」 アルクはいやみをいった。ガントは妻のモリに巡礼向けのスーベニアショップをやらせている。 この店の売上が、たいした金額になると、アルクはきいていた。ガントのチュニックは特別じたてといううわさだ。その生地は遠くの商工業都市ヌーンからとりよせているともいわれていた。 「我々では手がでない。マニさまに報告しょう」アルクが言った。 「そうだ。マニさまがどうするか決めてくださるだろう」ガントが言う。 「さあ帰るぞ。ミニヨン」 が、ミニヨンは答えない。ミニヨンの様子がおかしい。彼女の目は「石の男」に向けられている。瞬きひとつしない。 「ミニヨン、どうした」ガントものぞきこむ。 ■先刻から、ミニヨンの心に言葉がみちあふれていた。 ミニヨンの分心は石の男の心底に呼び寄せられていた。こんな体験はミニヨンにとって初めてだった。どうしていいのかわからない。 『助けて、おとうさん』ミニヨンは心の中でさけんでいた。石の男の分心がミニヨンの心底に侵入していた。 『さてミニヨン。私の話を聞け。私はずーっと昔から、涙をながしていたのだ。私は世界を憂えている。私の話をきけば、君も涙を流すはずだ。なにしろ、君はアルナに似ているのだからな』 アルクはミニヨンが、涙を流しはじめているのにきずく。 「ミニヨン、どうしたんだ」アルクの声はミニヨンの心まではとどかない。 ミニヨンの目は石の男に釘ずけになっている。 アルクはまさかとおもう。まさか、石の男がめざめたのか、そんなことはありえない。が、涙が流れているとすれば、石の男の感情が蘇ったのかもしれない。 「いかん、もしかしたら、石の男がミニヨンをとらえたのかもしれない」アルクは叫んでいた。 「そ、そんなバカな」ガントが汗をふきだしていた。 アルクの分心は、ミニヨンの心の中に沈みこむ。ミニヨンの心理バリアーが働いていない。人の分心が入り込む時のあの痛みに似た感覚がないのだ。アルクの分心はずぼっとミニヨンの心に入っていった。心の中はどんよりしていた。 アルクは、ミニヨンが子供のころ、心理バリアーの教育、練習のため、ミニヨンの心にはいったことがあるのだが、空色だった。その空色がこんな色に。いったいなにが。ミニヨンの中に、だれかの分心がいた。 「なんということだ。私の娘だぞ」アルクは、叫んだ。 石の民第7回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
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T石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/6/ 石の民「君は星星の船」第6回 ■石の男は生きていて悪夢を見る。前の滅んでしまった世界の夢だ。祭司アルクの娘、ミニヨンの心に石の男が話しかけていた。 石の民「君は星星の船」第6回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ●「帰りたい、故郷に」リアノンは言った。 我が僚友リアノン。この時期の生と死をともにしてきた。 リアノンは消えかかっている。リアノン、消えないでくれ。 我が友。船、 船が壊れる 彼の故郷への道がいかなるものであるのか、想像を絶していた。 ■またか。石の男は、自分が、自分の夢の中にいることはわかっていた。この夢はとてもリアルだ。 石の男のたっている周囲は、累々たる死体の山だった。この戦いで私とともに戦い、滅んで行った男たち。 聖戦。 ■機械神は我々に、聖砲をつかった。次々消えて行く人々。消え行く町町。機械神の軍隊の姿はみえなかった。この戦いにどんな意味があったのだろう。 石の男は総てを思い起こす。 アルナ。映像記憶が蘇ってくる。ある女性の姿が、そうだ。 石の男は涙していた。仲間の死体を星の世界に返してやりたい。あの青き空間に漂わせてやりたい。 ■巡礼ポレフは、トゥーンから遠くはなれたハル星系のゲルダ星から来ていた。 この星にくるまで、「石の男」の街、樹里ジュリに来るまで、どれくらいの金銀をためただろう。ポレフは、生まれてこの方、この星にくるためのみに金をためていたのかもしれない。 星間船の乗船賃はこのころでも安くはなかった。一般庶民の手におえるものではなかった。 そんな思いをしてたどり着いたこの星で、巡礼のポレフはあり得ざるものを見た。それをみつけた。 「信じられない。こんなことがあってもいいのか」石の男を信仰の対象としてきたポレフにとってまさに晴天の霹靂だった。 石の男のまなじりがひかっているのだ。 「見てみろ、石の男が泣いている」同時に各地の巡礼たちから驚きの声があがっていた。 ■ 祭司アルクも石の男が涙を流すのを眺めていた。アルクは今日は非番だった。 祭司のアルクは、典型的な樹里ジュリの男の顔をしていた。鼻梁は高く、ほりの深いかおだちだった。 まるで哲学者の顔だった。髪は黒で、祭司にきめられた通り短く切り揃えていた。目はマリーンブルーだった。すんだ目で遠くを見ているようだった。身長180CM。やせ型だった。適度の筋肉がついていて、動きは軽やかだった。 「ねえ、おとうさん、石の男はなんてかわいそうな顔をして入るの」 祭司アルクのかたわらにいた彼の子供ミニヨンがいった。 ミニヨンはアルクの自慢の娘だった。長い金髪は豊饒を思わせ、いままさに少女から、娘に移行する女のあやうさを見る者にかんじさせる。 母ドルミはしばらく前に、はやり病でなくなっていた。 父と娘は同じような白い絹のチュニックを着ていた。祭司とその家族にゆるされている服装である。 『娘よ、私の悲しみがわかるのかね』娘のミニヨンの心底に声が響いた。 心底とは、精神の内部、心の内部をいう。 「えっ、いったいあなたはだれ、私の心理バリアーを容易に破れるわけはないわ」 祭司の一族は特に心理バリアーが強固だといわれている。 他人に自分の心のうちを読まれないようにしている。 『私にとってはそれは容易な事だ』 私に話し掛けてくる男はだれなのだろう。特殊な能力をもつ外惑星にいる人間か、ミニヨンは、たずねながらまわりを見渡す。 「あなたは、どこにいるの」 『君の目の前だ』 ミニヨンはまわりをみわたすが、巡礼の人ばかりで、それらしき人はみえない。どの人も優れた能力をもつ巡礼とは見えない。 「いったい、あなたは」 『私は石の男だ』 石の民第6回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/8/ ドリーマー・夢結社第8回 夢工場に夢管理庁の長官が現れ、すべてを見せる。Kの正体とは? ドリーマー・夢結社第8回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 「くそっ、きさま、われわれのマスターを!」「きさま。仲間のくせに。お前のマスターもいるかもしれんのに」警備員が倒れ始める。彼らのマスターが死んだのだ。彼らもまたドリーマーだったのだ。彼らは消滅する。 残っている警備員達がKに向かい、今度はライフルを発射する。効果はない。Kの体を弾がよけて通るのだ。 工場長がフロアへおりてくる。この男はドリーマーではない様だ。今にもぶっ倒れそうなまっ青な顔をしている。Kに話しかける。 「ドリーマー。言ってくれ、お前の目的はなんだ。それに、お前は特別なドリーマーの様だ。なぜだ」 Kは今も答えようがない。Kにもわかりはしないのだ。この俺の恐るべき力。神のごとく世界は動いている。 それに俺がドリーマーなら誰がマスターだというのだ。 Kは悪夢の中にいる様な気がした。 「工場長、大失態の様だな」 突然、後から声が聞こえてくる。仮面の男が夢工場へ到着したのだ。 「あ、あなたは、長官」 工場長はあわてふためく。「御連絡をいただきましたら、お迎えにあがりましたのに」 長官と呼ばれた男はまわりの惨状を見渡す。いやはや。何ともすばらしい状態じゃないか、工場長。すぺては君の責任だな。君の管理能力の問題だ」 「し、しかし。長官。あいつは普通のドリーマーではありません。先刻。あいつを自白機械にかけたのですが、ドリームマスターの名前がデータバンクに登録されていないのです。そんな事はありえません)「マスターのいないドリーマーというわけか」 「そ、そうなんです。そんな制動に我々の手が及ぶわけがありません。あやつはいかなる防護処置も無力化するのです。銃弾ですら、弾の方がよけて飛ぶのです」 長官は静かな声でつぶやく。「そう、あの男にはこの世のどんな殺戮兵器も効果はない」 「なぜです。なぜそれを御存じなのですか」「工場長、まだわからんのか、あの男の顔をよく見てみろ」 工場長は、Kの顔をのぞき込み、やがて叫び声をあげていた。「えっ、まさか」 「そうだ、そうなのだよ」長官はうなずく。「そんなはずはない。あいつがあの方の」 「工場長、悪いが君には消えてもらう」「えっ、何ですって」にぶい音がした。工場長は倒れる。仮面の男が消音銃を発射したのだ。 「皆、動くな。この男の始末は俺がする」仮面の男はフロアの警備員に命令する。 「な。なぜなんですか」工場長は虫の息で尋ねる。「君しか、あの方の顔をしらんからな。それに、この世界での君の役目はもう終わったんだよ」「私の役目ですって」工場長はこときれた。 Kは二人の会話をうつろな眼で、ただじっと聴いているだけだった。とにかく、Kには自分自身が大変重要な人間だという事は会話の内容から推察できた。 「K、自分の立場がわかったかね」仮面の男がKになれなれしく言う。 「K、君はや脚、新宿のカプセルホテルで目ざめたはずだ。それにチバポートタワーヘ行つたな。ドリーマーハンターの奴らを痛い目にあわしたはずだ」 「なぜ、お前がそれを知っている。お前は一体何者だ」「私は夢管理庁の長官だ」「夢管理庁」「そうだ。個々人の夢を管理する政府機関だ。君に見せたいものがある。この工場の側にあるのだ。来たまえ」Kは、命じられたまま、仮面の男のあとについていく。二人は工場の外に出ていた。工場の側の広場に立っている。「ここだ」仮面の男は、ある場所を指さす。 突如、車をのみ込んでしまう程の巨大な穴が開いた。おもわずKは中をのぞき込む。「そこへ行け」後から急に仮面の男がKの体を押した。暗黒の中へと、Kは落下する。 Kは一時意識を失っていた様だ。まわりは暗黒だ。Kは起きあがろうとする。足もとはしっかりしていた。かすかに光がある。光が拡がりKは盤面の上に立っている事に気づく。 遠くでスポ″トライトがつく。そこに仮面の男が立っている。「K.どうだな、自分自身をとり戻したかね」 男は.Kに対して変に慣れ慣れしい。「だめだ。何もわかりはしない。君は誰で、ここはどこだ」 「K、どうやら、今回はかなりの悪夢らしいな」今回だと? 悪夢だと? 確かにそうだ。待てよ。今回はかなりの悪夢。という事は何度もこんな事があったというわけか。 「これを見ろ」仮面の男は後を指さす。彼の後ろ全面にライトがつく。 生物だった。巨大な生物が、大きなカプセルの中で眠っている。その生物は穏やかに、気持ちよさそうに眠っているのだ。その顔には見覚えがあった。 チバ・ポートタワーのハンター達に鏡でむりやり見せられた顔。 「こ、この顔は俺の顔だ」Kは思わず悲鳴をあげていた。 「そうだよ。クネコバ・スプローギン 君、ワルシャワ条約ポーランド軍大佐」「それが、俺の本名なのか」「そうだ」「でも、日本人の名前ではない」 「そう、君は世界に「ドラッグーウォー」夢戦争をひきおこした張本人の一人でもある」「ドラッグーウォー夢戦争」また知らない言葉だ。 「そうだ。それで前の世界が滅んだんだよ」仮面の男は教えさとす様に言う。 「今回の出来事はすべて君の夢だ」「夢だと」「そう、正確にいうと、クネコバ・スプローギン君、君の作りあげた無数の夢世界のひとつだ」「俺は自分自身の夢の中にいるのか」 (1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/7/ ドリーマー・夢結社第7回 Kは自白機械から逃れ、夢工場のドリームドールの生産ラインにたどり着いた。 ドリーマー・夢結社第7回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ Kの脳波を見ていた自白機械の解析士も叫んでいた。「このKの脳波は何だ。読みとれない。自白機械のキャパシティをこえる。オーバーランする」『分析不可能』自白機械のモニターにそう映る。 ブザーが鳴り始める。警告だ。機械の能力をはるかに越えた情報量が、Kの頭に積め込まれているのだ。 Kの体が光り輝いている。それはKが自白機械のエネルギーを吸いあげた様にもみえる。Kの体をおさえていた金属リングが吹き飛ぶ。Kは起きあがる。体のあちこちにあるコードをひきちぎる。 自白機械がオーバーランしたために、Kの意識は少しずつ目ざめてゆく。 「そうか、俺はここ夢工場の人形、ドリームドールに会いに来たのだ」Kは独りごちた。同時に自白機械のアームをへし折っている。 夢工場の工場長は、自慢の自白機械がつぶされるのを見て、呆然としている。 気をとりなおして命令する。「奴をとめろ。自白機械をこわさしてはならん」夢工場のユニフォーム姿の男達が手に電撃棒をもちKに打ちかかってくる。 体にふれた瞬間、放電される代物だ。がKは、一万ボルトの電撃にはびくともしない。 まるで別世界の生き物の様にそれを受けつけないのだ。Kは警備員達の攻撃をものともせず移動する。人形製造エリアにはいっていく。 そこでは、子供達に夢世界を与えるドリーム・ドールがオートメーションで作られている。ベルトコンベアーで流れてきた人形のひとつをKはつかみあげる。 その人形の眼をじっと見る。その人形がかすかにうなずしたようだ。 ドリーム・ドールの体には、子供たちの脳波を感受する部分と、子供達の想像力を増幅させる部分はあるが、自ら動く装置はない。 しかし、人形が動き出した。そればかりか、最初にKに見いられた人形が、他の人形に命令を下しているのだ。さらに自ら別の梱包を破って、人形が飛び出してくる。 ドリーム・ドールは外見は高さ30一のフランス人形のようだ。そのフランス人形で夢工場の生産ラインのフロアは一杯だ。 人形が警備員達の方へむかっていく。ドリーム・ドールの叛乱である。 Kは人形ドリーム・ドールから下のフロアの入口を教えてもらう。 人形の反撃をかいくぐって襲ってくる警備員を排徐しながら、Kは、夢工場の最下層、シークレットゾーンへと降りていく。 そのフロアにはレザー・バリヤーがはられている。しかし、Kの体は、まるで空気の様に。そのバリヤーをすりぬける。 そのドアは電子ロック。 おまけに警備員もここでは電子銃を装備し、Kをねらう。発射した。が、彼らの電子銃にもKは感応しない。 Kはドアのノブに右手をおく。何事もなくドアが開いた。入ると再び閉まる。 その場所は子宮を思わせた。透明のカプセルが奥の方まで並んでいる。カプセルは水溶液で満たされ、人間が浮かんでいる。彼らは胎児の様に眠っている。 各々のカプセルの下には体温表示があり、彼らが低温で眠っていることを示している。Kは透明カプセルのひとつに近づく。 突然。工場長の声が響いてくる。どこかにスピーカーが隠されているらしい。 「やめろ、ドリーム・マスター達にさわるな」マスターだと、どこかで聞いた事がある。 そう、チバーチバポートタワーでだ。ドリーマーハンターとか名のった連中が、マスターの居場所を言えといっていたな。 こんな近くにあるじゃないか。Kはぼんやりと考えていた。工場長の声が再び響いてくる。 「少しでも、そのカプセルにさわれば、お前の仲間。ドリーマーが消滅する」 どうやら。このマスター達の夢で具現化された人間が、ドリーマーらしいとKは気づく。このカプセルの下の装置が、マスター遠の力を増幅させているようだ。 Kの手はすでにカプセルの表面にふれていた。どんな顔をしているのだ、彼らは。Kの手は急に熱を発している。彼らの顔をはっきり見るために、Kは顔を近づける。手にも力が入る。 亀裂がカプセル表面に走る。パリ。という音がする。水溶液がドッとあふれ出る。Kは後ずさる。 カプセルが完全に崩れ、統いて、中で眠っていたドリームマスターの体が流れ出た。 「私はブラジルの農夫。トウモロコシ畑をたがやしている。空には鳥が飛んでいる。あれは……」 「あたしは14才の娼婦。ニューヨーク、ブル″クリンに住んでいるの……」 「我輩は東洋思想の数授である。この東京帝国大学における……」 「俺はマンモスの方にむかってやりを投げていた。危ない。奴がすごい勢いで……」 「わたくしの目の前では、わたくしの(ンカチを持った「ンガリー人の騎士がバレンシアの騎士と軟って……」 「俺は、その落武者の首を切り落とそうとしていた……」 「私の描いた風景画は最高のものだわ。この絵を見たらアイリーンはなんて言うかしら……」 「その飛行体は、俺の戦闘艦の前を横ぎった。俺はパドルスーツのマニュピュレーターを……」 などなど、夢の想いでいっぱいだ ■彼らのあらゆる時代、あらゆる国の人々の夢世界の断片が、Kに感応する。ここは夢みる人達ドリームマスターの倉庫なのだ。 この場所こそ本当の夢工場なのだ。 Kはずらりと並ぶドリームマスターのカプセルのひとつ、ひとつに手をふれていく。まるで自分の子供をいつくしむように。 Kはなぜ自分がそんな事をするのかわからなかった。自分の子を殺す。そんな気もした。が他人に殺されるよりは自分で殺した方が。 なぜなんだ。この気持ちは。わからない。依然としてKは自分のまわりを大きな謎が包んでいることに気づく。ドリームマスター達はカプセルが壊れると同時に水溶液と一緒に飛び出して床にころがる。 ようやく、工場の警備員が閉じられていたドアをぶちやぶって中へ突入して来た。がこの有様を見て、悲鳴をあげる。 「くそっ、きさま、われわれのドリームマスターを!」「きさま。ドリマー仲間のくせに。お前のドリームマスターもいるかもしれんのに」警備員が倒れ始める。彼らのドリームマスターが死んだのだ。彼らもまたドリーマーだったのだ。彼らは消滅する。 ドリーマー・夢結社第7回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/#ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/6/ ドリーマー・夢結社第6回東京にある夢の島にある夢工場で、Kは自白機械にて分析される。ドリーマー・夢結社第6回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 「夢工場?」「Kは不思議そうな顔をする。「君は、我々の質問に答える気はないらしいな」「答えようにも、答えられない。俺は偶然ここに来たんだ。つまり俺はからっぽの人間だ」 「偶然だと。わかった。我々もそう悠長ではいられない。時間を省略しよう。君を分析してやろう。ここは夢工場。夢分析機械にはことかかないからな」 「夢分析だと、何をするつもりだ」「すぐわかる。侵入者くん」 男がライフルでこづきながら、Kをとなりの部屋に連れていく。 そこにはにわけのわからない機械が数多く並んでいる。中にカマキリを思わせる機械がある。 人一人が横たわれるベッドが真中にあり、その前後左右に大小のアームが無数に突き出ているのだ。歯医者の治療機材をもっと大きく複雑にした形だ。 ■夢の島のそばに、潜水艦が浮上する。 船外機付きのゴムボートが出され。仮面の男が、一人それに乗り込んだ。「艦長、世話になったな」 「いえいえ、長官、あなたのお役に立てるのでしたら、いつでも、この艦を御利用下さい」「わかった。せいぜい利用させてもらうよ」 男はボートの船外モーターを廻し、夢の島へ向かい始める。仮面の男は、しばらくして、後ろをふりかえり、潜水艦が完全に沈下した事を確かめて、手元のスイッチを押す。 大音響と共に水柱があがる。小型のスイッチを海中へほおり投げる。 「グッドバイ」 潜水艦の部品が浮かびあがってくる海面に向かって、冷たく機械的にそうつぶやく。そしてゴムボートで夢の島の方を目ざす。 「さあて、あとかたづけが大変だろうな」男の表情は仮面の下でみえない。 ■「さあ、これが自白機械だ」彼らは、自白機械のベッドにKの体をくくりつける。 頭にはヘルメットをかぶせる。体を身動きできない程、金属リングでしめっける。体の各所にコードがつながれている。 「この自白機械は我々と違って容赦はしない。何しろ精密な機械だからな。侵入者くん」そう言って。彼らはKを残し部屋から出ていく。 ヘルメットの内部からの声が響いてくる。「いいかね、まだ時間は充分ある。君が自発的にしゃべりたいというのなら、その機械を止める事もできる」Kは無言だ。 「その自白機械は一度、動き出せば、とどまるところを知らないからな。君の精神は。ごフバラになる。それは確実だ」機械による分析内容はとなりの部屋でモニターされている。Kの思考は解析され、結果はここのモニターにディスプレイされる。 すぐさま自白機械の解析士が声をあげた。「こやつはドリーマーだ」 「なぜ、ドリーマーがこの夢工場へ来たのだ」工場長は、命令を下した。 「よし、白白機械のスイッチを入れろ」「彼のドリームマスターは誰か調べてみよう」解析士が言う。ディスプレイは不明と出る。 「不明だと、そんな事はありえない」ドリーマーはほかの人間の夢からしょうずる。自分からは創造できない。あくまでほかの人間の夢からだ。 工場長は叫んでいた。解析士も叫んでいた。「この脳波は何だ。読みとれない。機械のキャパシティをこえる。オーバーランする」『分析不可能』を機械のミニターは繰り返し表示する。 ドリーマー・夢結社第6回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.06
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Z「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓うこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1503de/8/ ガーディアンルポ03「洪水」第8回■最終回未来の地球での存在、フネと主は敵対していた。しかし飛来した宇宙人によって、古代の人間の姿に復元される。2人は恋人である時間を取り戻すが、ある疑惑が。 ■ガーディアンルポ03「洪水」第8回■最終回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■11 僕、カインが、目をさますと、知らない人達が、僕の顔をのぞき込んでいた。「大丈夫か地球人よ」「あなた方は」「君達を助けるために来た宇宙人、LS星人だ」 遅かった。もう少しても早ぐ来てくれたら、彼女アニーは助かっていたろう。 たった一入の恋人、アニー、いやたった一人の肉親だろう、 そして僕が、この星で生きていくためのパートナー。 僕はぼんやりと考えながら、その宇宙船の内部をながめていた。 「ところで、君は犬洪水をもたらした放射線の熱射が、外部の要因だと聞いたら驚くかね」 「外部からの要因?どういうことですか」 「ROW星人の仕業なんだよ。この地球の大きな災害はね」 災害だって、災害にしてはひどすぎるじゃないか。 「ROW星人は自分達の住みやすい星を発見すると、自分達の具合のよいようにその星を改造するのだ」 くそっ。痛い。 体じゅうがうめき声をあげていた。まるで地獄の炎に焼かれているようた。 おまけに、こんな話を生き残った僕一人だけが聞かなければならないなんて。 「君の体の傷は、残念だが非常に重い。君はその地球人の体でいる事は不可能だ。だが我々の提供する別の体に移しかえることができる。我々はROW星人を妨害しようとした。しかし彼らの力の方が、残念なから優れている。 我々は君達人類に警告しようとした。 しかし我々の乗物を見て、君達はUFOと呼び、怖れ、その存在を否定した。我々の存在を君達は信じようとしなかった」 僕は苦しい息の下で尋ねた。 「ROW星人はいつやってくるのですか」「わからない」 僕は決意した。 奴らに復讐してやる。 僕の地球。僕の家族、恋人。そして友達を殺し、滅ぼした奴らに復讐してやる。 何年でも、何世紀でも待ってやる。 でもこの痛々しい体では。苦しい。待てよ。彼らは別の体をくれると言っていたな。 「別の体をくれるといっていましたね」 「そうだ」 「僕カインを、箱舟にしてドさい。どんな体でも可能なのでしょう。あなた方の科学力をもってすれば」 「箱舟か。カイン君は、この地球にまだ生きているかも知れない人々を助けるつもりかね。そしてROW星入を待ち続けるつもりか。彼らと戦うのか。何世紀先になるかわからないぞ」 彼らLS星人は、相談しているよりたった。 どうでもいい。早くしてくれ。お願いだ。 [わかった。我々は君、カイン君に賭けることにする。何世紀か先、君がROW星入に出会った時、どうするかか。君にすばらしい体を与えよう。Row星人と戦うためにね」 手術が始まった。 闇の中で僕は考え始める。 放射線は神の怒りの剣てなかったかと。最後の審判では なかったか。 我々人類は今まであまりに傲慢ではなかったろうか。ROW星人のしわさてはなく、神の、我々が神と叶ぶものによってこの災害がもたらされたら、我々はそれが自らの罪と認め、進んで死についたかも知れない。 自分で、自問自答している自分がいやになる。 ちえっ、伺て弱気たんだ。 お前カインは。僕は自分自身の気弱さにいらたち始める。 これから何世紀も待ち続け互ければならないんだ。ひょっとしたらROW星人はこないかも知れない。 だが、、それが何んだ。 僕は必ず復讐してやる。もし箱船のゆえに、この地球を離れることができないなら、新しい人類を僕自身「箱舟」の体の中で進化させ、人類戦士として彼らを宇宙にはばたかせるのだ、ROW星人と戦うために。 考える時間は充分にあるのだ。僕の体は、ばらばらに分解され、彼らの科学力をもって作りあげられたすばらしい箱船という体に、僕の神経系や脳組織が移植された。 手術は終わり、僕は箱船として、この荒れはてた地球を、いや、いまや大海原の星を、漂い始めた。 人間を探すのだ。 そして僕の体の中で、彼らを人類戦士として進化させるのだ。 いまに見ていろ、ROW星人め、いつの目か、僕カインの地球にやってきて手強い敵に出会うことになるのたぞ。 ■12 アーニーも助けられていたのだ。 気がつくのに何世紀もかかった。 彼女は同じ宇宙人によって「主」に変えられていたのだ。 破壊をまぬがれていたビッグコンピュータシステムと連結した体となり、地球を支配しようとしていた。彼は彼なりにROW星人と戦うために準備をしていたのだ。 何んと長い別離だったのだ。お互いに、すぐ側にいながら、変わり果てた姿で、お互いがわからなかったのだ。 僕たち二人、カインとアニーは、互いに協力し、ROW星人を待つことにする。 ム=ウムについて言えば、彼はこの新しい地球の真世紀のアダムとなる。彼は自らの手でこの地球をエデンの園にかえなければならない。 もちろん弟と私の手前けが必要だろう。 僕は海原を再び遊弋し始める。傷もいえた。 ROW星人よ、やってこい。ここ地球には、強力な敵がいるのだ。 地球の夜空は暗いが、希望の星々が輝いている。 しかし、僕カインと恋人アニーの心には疑問が残る。---ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■13 『本星LSへの報告。 我々の地球に対する第四段階の作業は完了した。 敵星「ROW」に対する防備は、地球に関する限り完璧といえるだろう。 「フネーカイン」及び「主ーアニー」旧人類改良型監視機構による防備体制である。 これにより我々のROWに対する戦いは、非常に有利になると考えられる。 彼らフネ及び主は、我々LS星人が、完全に人類の味方たと信じこんている。 全宇宙をめぐる我々LS星人と、敵「ROW」との戦いの一部だとは、地球人類は知らない。 地球方面派遣軍LS星軍情報部 J・N・リーマン大尉以上、本部への連絡を終了。 ●なぜだ、なぜ。体を改造する時に、お互いの存在を言ってくれなかったか?● ●そう、LS星人は、何者なのか? ROWは本当に存在するの?カイン● (ガーディアンルポ03「洪水」完)■ガーディアンルポ03「洪水」第8回(1979年作品-2011改稿)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook●http://manga-training.com●http://mekamushi.com/●http://manga-agency.com●http://suzuki-junko.com/#洪水ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.03
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鈴木純子作品集よりhttp://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko/120-a-3.html IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/1/ 石の民「君は星星の船」第1回■機械神の支配する世界で、抵抗運動を起こそうとする北の詩人は追いかけられていた。追跡機Z2タイプは、追跡物の体臭を手掛かりにするタイプだ。 石の民「君は星星の船」第1回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com ■石の民(1989年作品)■第1回第1章 詩人 神殿はこの世界の中心地であった。この世界は光あふるる世界であった。この世界は機械が支配し、生物は機械に従っていた。いつからこうなのか、誰もしらない。 機械神が機械の支配者であり、この世界の神であり、創造者であった。彼は自ら作り上げた予測機械で、この世を支配していた。 機械神殿の予測機械はおそるべき予測を記録していた。機械神官の一人がそれを見る。「いったい、これは」晴天の霹靂だった。このデータは早急に機械神に伝えられた。 「このデータはまちがいないのだな」「はい」「対策を講じなければならん。この事いっさい他言無用だ」神は絶対者であった。 神は神官に命じた。言葉巧なる者を選べ。その男を安全弁としょう。 論理機構は一人の男のデータをはじきだしていた。 「神様よ、この男が選ばれたのですが、この男は危険なのです」 「どの様に危険なのだ」 「反政府分子なのです」 「が論理機構が、この世界で言葉巧みなるいものとして選んだ男なのだな」 「この世界で一番巧みなのでしょう」 神は少し考慮していた。 ■北の詩人は追いかけられていた。 北の詩人は思う。 機械神の支配に対する抵抗運動についての話しあいが終わったところだった。 あの仲間の中に裏切り者がいたのか。だれが、私のことを管理機構に告発したのか。 詩人を始めとする悲機械人、つまり、生物は機械人の元で苛酷な支配を受けているのだった。 詩人は長い汚れたコートに深くくるまり、帽子をかぶり、コートの奥からしょぼついた目をのぞかしていた。 仲間のアボオイのところに逃げ込もう、あそこなら。道をいそぐ。 が、この道路はいきどまりだった。 追跡機は直径2Mくらいのシルバーメタリックの球体で飛来してくる。 この追跡機Z2タイプは、その追跡物の体臭を手掛かりにおってくる生物体タイプだった。 Z2はその追跡物の匂いをつかまえていた。その獲物は恐怖に囚われているらしい。アドレナリンがにおう。生体の追跡物は必ずにおいを残す。 Z2にはその恐怖の度合いが計算できていた。 Z2の機械の内部に歓喜の感情がおこっていた。 追跡機は、まぎれもなく北の詩人をめざしていた。Z2は北の詩人の前に回り込み、中央部の胴体部分からデジタルアイを突出させた。デジタルアイはその追跡物を恐怖に陥らせる。 「北の詩人だな」そいつは冷たい機械音でいった。 「人違いじゃないですか」 詩人は無駄な抵抗をしていた。せめての抵抗であった。機械人め。が追跡機Z2の方が一枚上手だった。「君が北の詩人本人であることはわかっている。管理機構に君の画像を電送し、チェックした。我々の主人のところに来てもらおう」 「一体私をどこへ」 「決まっているだろう。機械神のところだ」 続く石の民「君は星星の船」第1回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com#石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.03
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ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3776gq/5/ ドリーマー・夢結社第5回■Kは、東京湾を渡り、夢の島の夢工場に侵入する。 ドリーマー・夢結社第5回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ■夢の島にある夢工場から出荷されているドリームドールは政府の事莱だった。もちろん何段階かのトンネル会社を通じてだ。 この事業は現実世界の恐ろしさから子供たちを守り、想像性豊かな子供を育てようという目的だったのだ。 ところがまるで反対のベクトルへとドリームドールの存在は働いたのだ。恐るべき社会の破壊者としての存在へ……。 ドリーム・チャイルド、ドリームマスター、そしてドリーマー、これらは社会問題として大きくとりあげられた。日本社会を破壊するものとして。 政府はやむなく「ドリームハンター」という組織を作り、ありえざる人間、個人の夢から現実に生まれた人間、ドリーマーを見つけ次第、処分することにした。 ドリーム・マスター達は、これをいち早く察知し、太虚してどこかへ隠れ去った。彼らの居場所は皆目わからなかった。 ■Kはウィンドサーフィンから降りた。磨の水をかきわけながら、肘へあがった。砂浜には鉄条網がはられている。『立入禁止、危険高圧電流』と書かれた立札が並んでいた。少し砂の上に横になる。 なぜこの島に来たのか。勢いというものかも知れない。が、ここへ引き寄せられる何かがあったことは事実だ。 砂浜を犬が走ってくる。黒く鍛えられた筋肉のかたまりのような犬だ。警備犬ドーベルマソだ。Kは立ち上がる。 そいつらの眼は尋常ではない。まがまがしく光っている。まるで作りものの眼だ。 Kは犬たちをにらむ。その犬達は叫び声をあげると、砂地に倒れた。何気なくKは鉄条網に手をかけた。体が光を帯びたが、Kには衝撃はなかった。 Kの体は特別製なのだろうか。 Kは倒れている犬の一匹を調べてみる。体は確かに生き物だが、思った通り、左眼がカメラになっている。監視カメラなのだ。尻尾がアンテナになっていた。 爆音がした。ヘリが飛来してきたのだ。Kの頭上でホバリングしている。「そこで止まれ」ヘリから声がした。 へりの男は半身を乗り出して64式突撃ライフルでKをねらっている。さらにオフロードバギーが砂ぼこりをあげて走って来た。Kの前で止まる。助手席の男がライフルを向けた。 この男達は軍服を着ていないが、それに近い組織らしい。揃いのユニホームを着ている。米空軍のM25 A-Iタイプのモスグリーンジャケ″卜で作業スラ″クス、レギンス付きのワークブーツ、頭にはアポロキャップをかぶっている。キャップのマークは夢だ。 「よーし。手をあげたまま、車に乗れ」 Kは後ろの席に乗せられた。 「ここは何だ」 ・Kは助手席の男に尋ねる。が、男はライフルを向けたまま無言だ。先刻から見えていた奇妙な形の建物の前で。(ギーは止まる。 その建物はまるで生き物のようになめらかな曲線で形。つくられていて。体温や息づかいすら感じられる。 「降、俺の前を歩くんだ」男はライフルでKをうながす。玄関のドアから奥まで一直線に通路が続いている。内部は外観の印象と異なって、機械的で冷たい感じがする。あたりに人の姿はない。通路を進み、一つのドアの前で止まる。「よし、この中へ入れ」 部屋の奥の机に、初老の男が一人すわっている。Kの後から男も付いて入り、ドアを閉める。 「私がこの工場長だ。さて侵入者くん。君の名前、君の目的を話してもらおう。誰から頼まれたかもな」 Kは質問に答えるかわりに、逆にその男に問うた。「ここはどこなんだ」「知らんのか、ここは夢工場だ」 ドリーマー・夢結社第5回(1987年)星群発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #ドリーマー・夢結社ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.03
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IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/5/ 石の民「君は星星の船」第5回■星トゥーンの中心に樹里(ジュリ)という街があり、石の男と名付けられた男が壁に打ち付けらいる。巡礼がその星景からここに集まって来る。 石の民「君は星星の船」第5回SF小説■石の民■(1989年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 第2章 石の男 男は石の壁で眠りについていた。いつから眠りについているのか。 それはこの場所「樹里ジュリ」の人々もしらなかった。 男はこの石の壁にうちつけられたようにみえた。 「石の壁」はこの町樹里をとりかこんでいた。 いやむしろ、この街、樹里がこの岩場をくりぬいた中にあったといっていいだろう。樹里の人々はこの岩場を守るべく生きている人々であった。 「石の壁」は高さ20Mでこの樹里をとりかこんでいた。 まるで、「石の壁」が樹里の城壁の様だった。 長さは1KMもあるだろう。 この「石の壁」を構成する成分は、この星のものではなかった。壁の表面 には、なにやら文字の様な模様が刻み込まれていた。 がこの文字はいまだ解読されていなかった。石はなめらかな肌色をしていた。 この岩場はこの星トゥーンの中心にあり、宇宙の各地から、この「石の壁」を目指して来る巡礼団がくりだされていた。 トゥーン星はキルハツ星系の第3惑星である。 「石の男」は総ての人々の救いの象徴であった。 石の男はこの壁のちょうど中心部の地上15Mの位置にあり、 身長2M。顔ははっきりみえない。 時間が、この男の顔を削り落としたかのようだった。 この男の真下の地面に神殿が設けられていた。 このトゥーン星のマルツ平原では、この石の壁が巨大な存在であった。 樹里のまわり100KMには他の村落はなかった。 樹里はトゥーン星でも外の世界からきりはなされたひとつの世界なのだ。 トゥーン星は農耕を中心とする産業形態を持っていた。 多くの人々がこの壁を訪れたが、目的は「石の男」だった。 樹里はいわば、この男に対する宗教の霊場であった。 石の民第5回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村コメント この記事についてブログを書く
2021.12.03
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IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/2/ 石の民「君は星星の船」第2回■機械神殿の機械神は、北の詩人に命令をだすという。北の詩人が反政府組織に属しているとしりながら。 石の民「君は星星の船」 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ 詩人が連れて行かれたのは、機械神殿の中だ。 機械神殿、この世界のすべてを支配する所。謁見の間だった。 チリひとつおちていないクリーンな雰囲気と外観、この内装はまるで北の詩人がふつりあいであることを示していた。 機械神が機械神官を2機つれて、詩人の前に姿をあらわした。 機械神官はヒューマノイドタイプ。背面から後光がさしている。 機械神は黒いのめりとした64面体だ。高さは50mはある。その物体が浮遊していた。 「詩人よ、顔を上げたまえ、神の前だが今日は特別に許そう」機械神官がいった。 この世界に住む生物体で実際の目で機械神を目の前にできるものは数少ない。 詩人もテレビの映像で神の姿を目にはしていたが、実際に目の前にすると、おぞけがふるった。この巨大なるものと我々は戦おうとしているのか。 詩人は自らの体の矮小さを感じた。ひざががくがく震えた。 恐怖心が体じゅうをかけまわっていた。 機械神は突然しゃべりはじめた。 「詩人よ、君におおいなる役割を与えよう。君自身、想像もしなかった大きな役割だ」 機械神の声は大きく、心にうちこむくいのとうに詩人に響いた。 詩人は畏怖に気を失いそうになる。 「機械神、私はちいさき者、ただの吟遊詩人にすぎません。ただただ、あなたさまの前ではふるえるだけでございます。 私にそんな大役がはたせましょうや」 詩人はようやく、これだけの言葉をはきだしていた。自分自身でも声がかすれているのがわかった。 詩人は機械神のそんな言葉に驚いていた。 ねらいはどこにあるのだ。言葉の裏には何があるのだ。 「詩人とやら、隠すでない。君が私達、機械神に対する反政府組織の指導者であることは 調べがついている。だからこそ、私は君にある役割をはたしてもらいたいのだ」 なぜ、神が我々の事を知ったのか。管理機構は組織をどの程度まで把握しているのだ。 さて、この機械神は何を私に命令しようというのだ。詩人は思う。 「考えているな。詩人よ、どうすればこの窮地を脱出できるかをな。しかし詩人よ、誰も おのが運命から逃れる事はできはせぬ」 機械神の体のそこここにスポット光があてられている。神秘さが、増していた。 「詩人よ、おまえが自らの運命から逃れられないように、我々もまた、自らの運命から逃れることはできぬ」 次の一言が、詩人を驚かせた。 「詩人よ、我々の世界は滅びる。収斂するのだ」 この神は私を驚かそうとしているのか。 「はて、恐るべきお言葉を。機械神の御言葉ともおもえませんが」 詩人の心には猜疑心が芽生えている。石の民「君は星星の船」 第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ #石の民ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!人気ブログランキングにほんブログ村
2021.12.01
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