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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/12/ 東京地下道1949■第12回鉄と竜はアジトに戻るが、MGBに急襲される。からくも生き残った二人は、故買屋進藤の店から武器を調達しようと するが、ここにもMGBの手が及び燃え上がっている。東京地下道1949■第12回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画 一人の男が竜のアジトから少し離れた所から見張っていた。 竜と鉄が中へはいっていったあと、男は、写真をとりだし、一人うなずいた。停めていた車にもどり、車中にしまいこんでいた、タンクと噴霧器をセットし始める。 鉄は竜を押し倒し、首をしめていた。くそ、話せ、鉄、話すんだ。白状しろ」 その時、急に熱気が2人を襲う。火災が建物をなめる。バラックだから火のまわりは早い。 「くそっ、火災放射器をつかいやがったな。アメ公か、ロシア野郎か」「よし、早く、地面に隠れるんだ」このような状態を想定し、アジトには、秘密裡に、おおきな水がめを地面に埋めてあった。 いよいよ建物がくずれおちかけた時、水がめに身をひそめ、上にトタン板をかぶせる。 男は、火災放射器から火を噴出しながら、竜と鉄が逃げだしてくるのをゆっくりと待っていた。 飛び出して来た瞬間に、噴出ノズルを、彼らに向けるのだ。彼らは生しておいてはならぬ。そうMGB(ソビエト保安省)のエージェントの彼は、命令を受けていた。 彼はじっと待つ。小屋はついに焼けおかちている。波らは姿をあらわさなかった。 彼は、火災放射器ノズルをかまえ、くすぶる焼けあとへゆっくりと近づいていく。 足もとから手がのび、彼はひっぱられた。地面から少年達が急に出現する。ノズルを向けようとするが、片足を水がけにつっこんでいて身動きが遅れる。ノズルのスイッチを押したのと、鉄のナイフが、ノズルとタンタ間のパイプを貫ぬくのとが同時だった。 タンクからガソリンが流れ出し、焼けあとの残り火に引火した。爆発がおこった。男は肉片となり吹き飛ぶ。 「また、助けられたな、鉄。とりあえず休戦だ」「ここにいてはあぷない。恵を助けるのをいそごう」 男の車が、乗りすててあった。ペンツだ。鉄が運転した。竜が尋ねた。 「どこへ行くつもりだ。鉄、ムサシのアジトは反対方向だぞ」「俺にまがせてかけよ。竜。進藤の店へ行くんだ。」「なぜだ」「考えてもみろよ。進藤は俺が殺した。いまは誰もいない。武器だよ。武器があるはずだ。進藤の店にはな」火の手があがっていた。故売屋 進藤の店が燃えている。MGBのしわざに違いない。 「車をまわせ、早く」竜が叫ぶ。「この車に気づかれたら、おしまいだぞ。」伸藤の店から少し離れたところで、鉄は車をとめた。 「様子をみてくる」「気をつけろ」 鉄はすばやく、伸藤の店へ近ずく。一昨日、ライリーに追われた折、すばやく隠した地図をひきずりだす。 じっくり見渡す。進藤の説明通りだ。 現在の地図が、車のダッシュボードにはいっていたので見比べる。赤丸をすばやくつけ、その地点の箇条書きを詳しく読む。そう、ぐずぐずしてはいられない。 ペンツにいるあの男の仲間が気がついたら、おしまいだ。車に駆け戻った。「どうだった」「だめだ、中にははいれない」「じゃ、次はムサシのアジトヘいくか」 続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画【新品未開封品】iPhone12 128GB ホワイト MGHV3J/A 日本正規品 simフリー楽天で購入
2021.07.30
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/11/ 東京地下道1949■第11回鉄とアジトへ急ぐ竜。 2人の前で故買屋、進藤が、ソビエトの諜報機関に地図を売ろうし抹殺されるのを目撃。江戸城地下道の図面と判明。さらに竜の妹恵がムサシに誘拐される。東京地下道1949■第11回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 漫画の描き方manga_training動画故買屋、進藤は、写真の現像をおわり、ほくそえんでいた。この写真、いくらになるだろう。鉄から取り上げた地図だ。もちろん、今日会うソ連側の、MGB(ソビエト国家国家保安省)のエージエントだけに売るつけるつもりはない。アメリカの情報部OSSも、もちろん高く買うだろう。「それじゃ、金をたしかめろ。このカバンの中だ」 MGBのエージェントは言った。「いや、これはどうも、、、」 仲藤は地図の写真のはいった袋を置き、MGBのエージェントのカバンを開けた。瞬間、毒ガスが、かばんから、進藤の顔面に吹きつけられた。進藤は意識を失なった。男達は仲藤を車に乗せ、アルコールをむりやりに仲藤の口に流し込み、加えて服にもかけた。途中の橋の上で単をとめ、まわりに人がいないのをみはからって、そのまま神田川へ投げこんだ。「おい、あれは進藤だぜ」「なに、故買屋の進藤だって」竜と鉄はアジトヘ帰る道で、遠くの橋の上のでき事に気がついた。鉄は、昨日の伸藤のあわて方から見て、あの地図が、かなり貴重なものだと感じていた。それを知る手がかりは、今の所、進藤に聞くしかない。鉄を保安部に売ったのが、進藤だとしても助けざるを得ない。鉄は竜に手助けをたのんだ。神田川へ人り、進藤の沈んでいる所へ泳いでく。二人でひきずって、河岸へ寝かせた。幸い、死んではいない。水をはかせ、寝かしていると、目ざめた。ぼんやりと鉄と竜を認めた。「鉄か、お前に助けられるとは皮肉だな」 1人毒づいた。「くそっ、MGBの奴らめ」「あいつらは」「そうだ、アメリカ占領地区で暗躍するMGBのエージェントだ」「進藤さんよ、教えてぐれ。あの地図は1体何なんだ。」 進藤は少し考え込んだ。「しかたがない。俺の命を助けてくれたお前の事だ。お礼に教えてやろう。あの地図は、江戸時代にトウキョウ城が造られた時の抜け穴の地図だ。抜け穴といっても、地下トンネルという意味だ。現在でもそれが在るとのことだ。江戸時代、長崎出島にいたシーポルトに、この地図を、ある日本人が手渡したらしい。ソビエト軍によって、オランダのシーボルト博物館が接収された時に発見されたのだ。現在、アメリカとソ連は微妙な状態にある。その地下トンネルが存在するならば、ソ建軍は地下トンネルを利用し、アメリカ軍の武器集積地点に大量の戦車を、気づかれずに送りこむことができるのだ。トウキョウ城は波らの手中にあり、出口は壁の下を通ってアメリガ軍占領軍区にたっしているはずなのだ。1勢にソ建軍戦車が出現し、重要なポイントを押さえれば、現在の軍事バランスはくずれ、アメリカ軍は、守勢にたたざるをえなくなる」「そうか、地図の事は、よくわかったよ。ありがとうよ」 鉄は、すばやく、ナイフをとりだし、進藤のノドをかき切った。「何でだ、、」進藤の目は、驚きの表情で、目から希望の光を失い、倒れた。「1度でも、俺をうらぎった奴は生きていちゃ困るんだ」「鉄、あの地図は大変なもののようだな。返せ。俺たちのグループのものだ。あれは」「ない、今は手もとにない。」「一体どうしたんだ。」「それか、地下壕の中で落したらしい。身体検査をしてもいいぜ。それより早く、アジトへもどろうぜ」アジトに近づき、竜は恵の名前を呼ぶ。返事はない。人の気配はない。やはり、あの襲撃で竜以外は皆、殺されてしまったようだ。アジトの堀っ立て小屋に入り、竜は立ちすくんだ。壁に紙切れが一枚。「鉄、恵は俺があずかった。話がある。何の話かわかっているだろう。俺のアジトまで来い。ムサシ」竜はしばらく考え込み、おもむろに鉄になぐりかかった。「何をするんだ。」「はっきりしろ。お前何か隠しているな、恵とお前は俺たちが外へ出かけている間、一緒にいたことがある。何があったんだ。ムサシとか前の間に」「いや、何もない。昔の、話だろう」「うそをつけ。それなら、鉄が、恵をさらうばずがない」続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 「マンガ家になる塾」 漫画の描き方manga_training動画
2021.07.30
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/10/東京地下道1949■第10回食料奪還襲撃への米軍の攻撃から逃れ、戦争孤児のムサシは、竜のアジトに。ナイフの鉄は、恵と地下道ではぐれ、頭の竜とアジトに帰ろうとする。東京地下道1949■第10回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画■「鉄。どこにいるの、鉄、、」恵は思わず叫んでしまった。この長い通路の中で鉄とはぐれてしまったのだ。地下壕はトウキョウ市のすみずみに、はりめぐらされている。一つまちがえば、迷路のような地下道を堂堂巡りしかねない。恵は鉄とはぐれてだいぷの時間がたっていた。ろうそくも短くなっていた。恵はしかたなく自分達のアジトに帰ることにした。アジトには、兄達はまだ帰っていないようだ。寂しく恵は竜たちの帰りを待つ。遅い。いつもはこんなでない。不安がよぎる。 足音がした。恵はドアを急いで開け、叫んだ。「兄さん」目の前には190cmを越すムサシの姿がそびえたっていた。その眼はにくしみと悲しみをたたえて、静かに恵をながめていた。■ 恵の兄、戦争孤児のグループの頭、竜もかろうじて、攻撃からのがれていた。爆弾のショックで地面が割れ、地下壕に半死半生でふきとばされていた。竜は、トウキョウ市じゆうに攻防戦用に地下壕が存在していることを、恵から聞いていた。 恵は地下壕を知悉していた。ひまがあれば地下壕を歩きまわっていたようだ。今、ここに恵がいれば、竜は弱音をはいた。他の奴は助かったろうか。いや恐らく。あんなに激しい攻撃を受けのだ。助かっているはずがない。自分が助かったのも不思議だ。竜は、はるか、昔のこる、そう、もうはるか昔、御伽噺のような昔だ。その時期をを暗やみの中で思い知こしていた。彼は幼い恵を背中に負い、怒濤の様なソ建軍の攻撃をのがれたのだ。何回も兄、恵介からさずかった守り袋をにぎりしめ、つぷやいていた。「兄さん、助けてくれ。』と。兄は特攻隊で音信不通の状態だった。父や母と会うこともないだろうと竜は考えた。その代り、この恵を守り通さねばならぬ。唯一の肉親だから。そう竜はおもっていた。 トウキョウ市は戦後、アメリカとソ建により分断された。両軍共、トウキョウ市周辺に強大な部隊を集結している。東西陣営の対立が、この日本のトウキョウ市で顕在しているめだ。触発の状態にある。定期会談がいく度となく聞かれているが、雲行きがあやしい。そんな中で、竜は恵を守り、生きていかねばならなかった。力が総てだった。 ポケットをさぐると、ジッポー・ライターがあった。火をともし、出口を捜し始めた。どこまで続くか、わからない。永久に外にでられないかもしれない。武器も手にしていない。 前に光がみえたような気がする。急いでライターを消す。 光がゆっくりとこちらの方へ近づいてくる。竜は身をふせた。ろうそくを前に、ナイフの鉄がかずむずと歩いてきた。かなり疲れている。鉄は人の気配に気づき、ろうそくを捨て、ナイフを身構えた。 「誰だ。そこにいるのは。」 「さすがだな、鉄。俺たよ、竜だ」 「お前こんなところに、なぜ。」 「アメ公にやられたんだよ。米軍トラック襲撃に失敗し、このざまさ」「かれも似たようなものさ。お前も出口を披し困っているようだな」「そのようだ」「しかたがない。ここは共同戦線といくか」2-3時間ほど歩き回った後、ようやく、ろうそくの炎が風でゆらいだのだ。風の吹く方向へ進み巧妙に隠された出口へと導かれた。竜は、妹の恵のことが心配だったのでアジトヘ帰ることにした。鉄はしぶっていたが、やがて、それに同意した。鉄も恵の事が気になっている。しかし、‥保安部につかまっていて、襲撃の情報をもらしたのが、鉄だと、竜にばれてしまう。その危惧が、鉄を不安にする。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画
2021.07.29
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GS緑なす星にて(1978年)クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/4/緑なる星にて第4回■度重なるROWロボットの攻撃に疲れたクリアキンは、イアラへの疑惑が浮かび上がり、彼女の手を放してしまう。緑なる星にて第4回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/けれどもロウ人の戦闘ロポプトが度重って襲来してくる.。今度は前のクリアキンではなかった。サイボーグの強力な戦闘能力を持つクリアキンだった。 うまくロウ人の戦闘ロボットをまいたつもりだったが。すぐ新手のロボットがやってきた■クリアキンは思いおこす。イアラの最期を。 谷間だった。執拗なROWロボットの襲来にクリアキンは疲れていた。また疑問が生じていた。「なぜ、奴らは容易に。こんなにも容易に我々クリアキンとイアラをみつけだすのだろうか」答えはでない。 「もしかしてイアラが。いやいやそんなはずはない」クリアキンはかたわらのイアラを観察した。イアラもやはり疲労していた。その時、クリアキンの眼が何かを感知した。目の前の道だ。何かが地中にある。 地面が割れ。巨大な戦闘ロボットが出現した。一瞬早く異常に気がついたクリアキンは体をふせていた。ロボットのレザーガソはクリアキンの今までいたところの土を大量に消滅させた。 とびおきたクリアキンは右横の山壁にジャンプし、さらに反動を利用して、戦闘ロボットに体あたりした。サイボーグ手術を受けた右手で、口ボットのレーザーガンをロボットの足にむかって`おりまげた。足を消され、断崖の端に胴体をいきかいよくおとしたロボットは最後のクリアキンの一押しで谷間へ落ちていった。 クリアキンはイアラがいなくなっているのに気がついた。イアラはロボットの光線をさけ、足をすぺらせ体を谷へのりだして道のへりを必死でつかんでいた。左手には何かを持っていた。 クリアキンは走りより.イアラの右手をにぎりしめた。疑惑がクリアキンの腕の力を弱らせた。この彼女は本当にロウ人のスパイではないのだろうか。不安がクリアキンの心を占める。もし自分の手を離したら。とクリアキンは思う。もう2度とロウのロボットの追撃を受けることはないのでは。クリアキンはこの瞬間、イアラが総て「この不幸な事態の起因ではないか」と考え始めていた。 指が知らないうちに一本ずつ離れ始めていた。イアラは小さな声をあげた。指が一本一本はずれていく。クリアキンを見上げるイアラの眼には不信があふれる。 「クリアキン、どうして」イアラはクリアキンの名を呼ぶ。クリアキンはその時、記憶をよみがえらせる。仲間が続々と殺され。コンミューンやシェルターは焼かれ。限りないROWのロボットに追撃された。睡眠をさえ充分にとることのできなかったクリアキンは意識をうしなっているようでもあった。最後の指がはなれた時、イアラは驚き叫んだ。「クリアキン!」 その声は周りの山々にこだました、緑なる星にて第4回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.28
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/9/東京地下道1949■第9回戦争孤児達の食料トラック襲撃は、惨殺の場と。米軍戦闘機が飛来攻撃を受け。見守るライリーとロバートは更に狙撃ライフルの照準を。ナイフの鉄は、竜の妹恵に 地下道を通じ救出。東京地下道1949■第9回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画東京地下道1949■第9回上空から飛来した戦闘機ムスタングは、両翼の爆弾を雨を浴びせる。ナパーム弾が地上を燃え上げる。前の太平洋戦争の折と一緒だ。多くの子供たちが空母艦載機の機銃掃射でなくなったりふぐの体にされた。投下しおわり、爆弾のなくなった戦闘機は、機銃弾を空からあびせはじめた。風防からは、この殺戮を楽しむパイロットの顔がみえる。低空飛行でつっこんでくるのだ。ベビーギャングたち(戦争孤児達)の勝利の戦場となるべき場所は、修羅場となり、墓場となった。機銃弾が、無機質な音で土ぼこりをあげ、地面をほりさげる度に、大地に鮮血が流れ、しみこんでいった。 二つの双眼鏡が、ま下の光景をながめている。小高い丘からは、この虐殺がー望のもとにみわたせる。 ロパートは思わず、叫んでいた。「死ね。みんな死ね。お前ら、ジャップ。くず野郎はみんな死んじまえ。お前ら、ガキが皆くたばったら、日本はアメリカの完全な領土になるんだ。なにしろ日本人がいなくなるんだからな」 ほおにガーゼをあてたライリー大尉は、双眼鏡をおろし、傍らのロバート軍曹に言った。「ようし ロバート。もう少し前進だ。それからスコープ付きライフルを出せ、俺たちの楽しみはこれからだ」 彼らは、なんとか、戦闘機から逃れた少年達を今、望遠スコープの照準にとらえ、ねらい撃ちにするつもりなのだ。●「鉄、鉄おきて」 声がした。夢の中から聞えてくるようだ。どうやら、俺はまた死んではいないようだな。鉄はそう思った。うすぼんやりした光が鉄の目をさす。まだまだ、くらくらする。あいかわらずの米軍監獄だ。声は床の下からかすかに聞えてくる。それは竜の妹、恵の声だった。「どうしたんだ。恵か」「しっー、あまり大きな声を出さないで」「だそうにも声はでないさ。あのロパートにえーらい目にあわされた。それよりお前、なぜこんなところにいる」「あなたのことが気になっていたの。あなたが、あの地図を奪ったから、どうせ進藤の店にいくとおもったわ。米軍のジープがあなたを追いかけていくのを見たわ。車のナンバープレートが保安部のものだったから、つかまると息ったわ。きよう、それで保安部の独房の下へ忍びこんできたわけよ」「よく、ここまでこれたな。昔なじみにあえるのはうれしいぜ」「何いってるの。ふざけないで」恵は、ほんとに怒っている。「わかった。よし、はやくここから出してくれ。ロバートかライリーがまた来た日にや、、俺はぶっ殺れかねない」「いい。言うことをよく聞いて。右壁から約一mのところをさぐってみて。何か印があるでしょう。印のある床の上を思い切り踏みつけてごらんなさい」「少し、へこんだぞ」「そう、そこを何とか動かしてみて」 床は、鉄がひっぱると、穴が開いた。人一人くぐれる。すばやく穴中にはいる。もと通りににする。暗闇の中に薄い光がもれている。声があった。「どうやら、また、あえたようね」「恵、一体この穴は」「しつ、この上はずっと米軍保安部よ。気がつかたら、それっきるよ」 小さなろうそくを恵は持っていた。小さな声で、「この通路は、日本軍がトウキョウ市攻防戦の際作った地下壕の一部らしいの。これを伝っていけぱ何とか外に出られるわ。ついてきて。鉄」 恵は先に立ち、ずんずん歩んでいく。鉄はいためつられた体をひきずるように、光についていく。あたりは、ゆっくりと闇がもどっていく。● 泥滓の中で、ベビーギャングの頭、ムサシの意識がもどってきた。同時に体がほてるように暑い。場所の感覚がもどってきた。顔をすこしもちあげる。まだ少し雪まじりの雨が降っていた。異臭がする。あたり1帯が燃えあがり、人間の形をした何かが焼け焦げていた。体が膨らみはぜた。(続く)続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画
2021.07.28
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GS緑なす星にて(1978年)クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/3/緑なる星にて第3回■連保軍戦士であったクリアキンは過去を思い出す。残った地球人のコミュニテイを順次、ロウ星人がつぶしていく。その時にイアラにあい、恋に陥る。だがクリアキンは戦いの中サイボーグとなる。緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/平線までも埋めつくすロケットの墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。「それにしても何と寒々とした所だ」クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。 地球人の運命を象徴するようにロケットの大群が打ち捨てられている。がっての宇宙開発時代の。よき時代の名残りでもある。その支配者たる人類は彼以外にはもうこの星にはいないのだ。 羊船団が飛び立った後、ロウ人は徹底的な攻撃をしかけてきた。地球のあちらこちらに隠れ住んでいた人達は狩りだされ、殺されていった。■クリアキンは連保郡戦士の一人だった。攻撃が始まった時。彼は食糧機構の管理する農場にいた。 核戦争のシェルターが使用されていないまま。農場の地下に維持されていた。クリアキンとその当時農場にいた人々。及び農場の近くの人間が。それをこれからの住いとした。外部との連絡がとだえたまま、数ケ月がすぎ、クリアキンと数人は近くの都市へ偵察にでかけた。 その都市、。マロム市の廃墟の中でクリアキンはイアラに出会った。 無人の街の中を、仲間の戦士たちを求めて歩いていたクリアキンは、ロウ人の小型戦闘ロボットに追いかけられている少女をみつけた。金髪をふりみだしながら彼女はにげていた。ロポットにとっ。て無防備な地球人をつかまえることは余りに簡単だった。物かげからその様子を見ていたクリアキンは人類戦士の名誉にかけて、そのlm90mの長身に闘志をこめて、ろmをゆうに越えるロウ人の全戦闘タイプロポプトにむかっていった。 20才をすぎてはいないだろうそのやせ形の少女を助けるために。自らがおとりとなった。かろうじてロボットを行動不能におとしめたものの、2人の仲間に助けられた時、クリアキンは満身創痍だった。少女の案内で近くのコンミューン(共同体)につれていかれたクリアキンはそこで可能な限りの手術を受けた。彼は超人的な力を手に入れることができた。彼はサイボーグ手術を受けたのだった。が失なったものも多かった。彼のエネルギーは無限に思えたが。何年かに一度太陽光線変換器をとりかえなけれぱならなくなった。それは彼の命の源だった。 傷がいえ、コンミューンを出る時.イアラはクリアキンについてきた。愛がめばえていた。イアラはロウ人襲来以前の記憶を失なっていた。父や母はどうなったのか。兄弟姉妹がいたのか、それさえも覚えていなかった。そんな話がでたとき、クリアキンに対してイアラの青い目をみつめるクリアキンに言うのだった。 「私は過去を失なってしまったわ。でもクリアキン。今はあなたがいるわ。あなたが私の未来なの。」クリアキンはイアラの茶色の目を見つめ思うのだった。俺はイアラを愛していると。しかし、 クリアキンとイアラがこのコンミューンに別れをつげた時。一人の男がささやいた。「クリアキン、あの女イアラにぽ気をつけろ。災皆を生むかもしれない。あの女はどこからきたのかわからない。しかし彼女がいたコンミューンは、順番にすべて焼きはらわれる。しかし彼女生き残っているといううわさ話がある。ここだけの話だぞ。では気をつけていく」 クリアキンの表情は変り、怒りをこらえ、そして言った。「おたがいに気をつけよう」■クリアキンとイアラぱクリアキンがもといたコンミューンに帰り、しぱらくの間は平和な生活が続きそうだった。 仲間の一人が、クリアキンが手術を受けたコンミューンへ行き、知らせをもって帰った。そのコンミューンの人々が皆殺しにあって誰もいないという話だった。■2ヶ月後、クリアキンとイアラはシェルターを離れ、狩猟を楽しんでいた。クリアキンの眼は赤外線探知をすることができる。動物の体温による白い熱球が彼の眼に感じられる。獲物はすぐに手にいれることができた。クリアキンの投げだす小石は秒速60mにもなり、獲物の肉体をつきやぶるのだった。何キロもはなれていたクリアキンのシェルターの方ら大きな音がきこえた。クリアキンはイアラをそこに残し時速50キロmでシェルターにかけつけた。不意打ちを受け、シェルターは破壊されてた。死体が散らばり、物がくすぶっていた。間の一人はまだ息があった。かすかな声では言った。[イアラだ。イアラを殺せ。場所をしらせたのは1だ。女を殺せ」その仲間は死んだ。ショックから立ちなおったクリアキンは、まだあたりに残っているかもしれないロウ星人に気をつけながら.イアラのいた所へもどった。 クリアキンはイアラの肩をつかみ、それをゆする。イアラの目を見つめる。「イアラ、本当に君は。君なのか。ロウの操り人形なのか」 イアラは不思議そうな顔をした。 「そうだな。やはり。君が知るわけがない。」 とにかくクリアキンとイアラは逃げのびた。 けれどもロウ人の戦闘ロポプトが度重って襲来してくる。今度は以前のクリアキンではなかった。サイボーグの強力な戦闘能力を持つクリアキンだった。緑なる星にて第3回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.27
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/8/東京地下道1949■第8回アメリカ保安部戦争孤児ハンター部隊、ロパート軍曹に捕まり拷問を受けたナイフの鉄は、襲撃計画を思わずつぶやく。次の日、戦争孤児達の食料トラック襲撃は成功するかに見えたが。東京地下道1949■第8回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/クモと聞いて、口もきけないほどふるえている鉄を、ブッチャー(屠殺人)ロバートは片手でつまみあげ、 下を歩み、新たなドアの前に立った。「それじゃ、しばしのお別れだ。テツ。寂しいがな。何か話すつもりになったら、ドアを必死にたたくんだな」 反動をつけ、鉄をほうりこみ、ドアをしめた。まつ暗闇だ。投げ込まれた時、鉄の体の下で何かぐしゃりと、つぶれ、ねばりついた。くもだ。それもクモの大群の上だ。体の上にクモがはいががろうとする。顔上にも、手の甲にもクモが続々とはいあがってくる。「くうう」鉄は腰がぬけそうになる。もうだまだ。体が、心が、、ドアの方へ必死ではいよっていく。その間にもズボンやシャツの中ヘ、クモの大群がはいってくるのが、わかる。体じゆう、タモがはいまわる。「ヴわー、やめてぐれ。出してくれ。出してく、」 力の限り、 鉄はドアをたたく。しばらくして、ドアが開けられた時、もう鉄は気を失っている。水をかけられ。「竜のグループは、明日二時、有栖川宮公園、B地点で食糧運搬トラックを襲う。お願いだから、そのクモを、、」 そこまでしゃべり、鉄は慙愧の念にかられながら、意識をうしなう。「隠れ家より、おもしろいことを言ったな。食糧トラックか。ちようどいい。やつら皆殺じだ。よし、こいつを独房にほおりこんでおけ」 ロパートは、近くの衛兵にそうどなり、いきようようとライリー大尉の部屋へ向う。いま得たばかりの情報を持ち、さあジャップをどう始末してやろうと、意気揚々と廊下を歩き始めた。●翌日は寒い日だった。昼頃からは天候がくずれ始め、雪まじりの雨が降る。舗装がまだ完全ではない、トウキョウの道は、泥濘の道となる。 M8装甲車が三台、食糧運搬トラックの先導を努めている。後には12台の食料トラックが続く。有栖川宮公園、B地点では、ムサシのグループの数人、がーmくらいの金属棒状のものを、にぎりしめていた。その他の者も、各々略奪したらしいアメリカ製の武器を手に手に持ち、待機している。今、食糧トラックが通過しつつある道の両側に、息をひそめた数百名のベビー・ギャングが身を隠している。 先導のM8装甲車が爆発した。銃座の機銃手も反応できない。あとかたもなく吹きとぶ。金属の土管状のものから発射された弾丸が、恐るべき破壊力をしめしたのだ。 米軍は応戦の姿勢をただちにとった。護衛兵が散開し、トラックからも、機銃が掃射される。 ムサジは自分達のみつけた砲の破壊力の大きさに呆然自失していた。 ムサシは知らなかったが、この砲は、旧日本車が、戦争末期限開発していた簡易無反動砲だった。本土決戦のため、昭和20年に試作されたもので、アメリカ軍のバズーカ砲に相当すると考えていいだろう。本土決戦の際はすでに輸送網が寸断されていたため、実戦には使用されなかった。ムサシ達ぽこれをトウキョウ市の軍需工場に放棄されていた軍用列車の中で発見したのだ。 ベビー・ギャングは、トラックの運転席を一つ二つねらいうちにしていく。やがて無反動砲のために、米軍は壊滅し、兵は逃げさったようだ。ムサシ達は、用心深く、運搬車に近づいていく。むろん、竜のグループもその中に混じっている。 食糧袋を焼けないうちにひきずり出さねばならない。多くの浮浪児たちが、獲物にむらがるアリのように袋を奪っていた。 一入の少年が、袋を持ちあげようとして、下に落とした時、パニックが始まった。 袋の中は砂だった。 ムサシはすぺての袋を調べるように命じた。中身はすべて砂や石だ。「罠だ。皆すぐに逃げるんだ。ぐずぐずする」彼らは獲物をほうりだし、我先にと逃はじめた。 遅かった。爆音がムサシたちの耳にはいってくる。米軍の戦闘機だった。続く20191007改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.27
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GS緑なす星にて(1978年)クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/2/緑なる星にて第2回■クリアキンの宇宙船は、地球を占領しているロウ成人の攻撃を受け破壊されるが、特別な仕掛けでロケットの墓場で再生される。緑なる星にて第2回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■宇宙連邦は宇宙。の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに自分勝手に星々を荒しまわっていた。連邦は人間が有害であると確認し。絶滅を決定した’が恩赦によりわずかの人々が地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは羊船団と呼ばれた。羊船団の出発浚。宇宙連邦の中でも残忍なことで有名なロウ人が襲来した。■クリアキンはエの面影を心にいだきながら、地球にもどってきた。ロウ人の支配する地球へ。地球人はもうだれもいないはずだった。48才になったクリアキンは、青い瞳でバ不思議なほどに青い地球をながめていた。「帰ってきたぞ、イアラ」 クリアキンは独りごちた。長期の逃亡生活はクリアキンを闘士にしたてあげこそすれ、老いは感じさせなか った。■ロウ人の戦闘艇があらわれた。「停船しろ。貴船のコールサイン及び名称をいえ。」クリアキンは答えない。 「くりかえす。停船しろ。貴船のコールサイ y及び名前をいえ。」ロウ人は銀河共通語ギャーフクテカでわめきたてる。 クリアキンの船は速度を増す。「これが最後だぞ。停止しろ。コールサイン及び船名だ。」「やむを得ない。攻撃する」 メーザー・ガンが発射された。クリアキンは船の自己防衛システムと自動操縦装置を連動させ、すばやく、宇宙船内に収納してある捕助艇に乗り移った。この捕助艇はあまりに小さい。直径5mのポールだ。外形はさびついていてスクラップのように見える。宇宙船の部品の一部のようにもみえる。しかし内部は最高の技術でコンパクトにまとめられている。コプクピット(操縦席)内で全装置のチェックをおわった後、クリアキンは、大きな船の方の自己分解装置のスイプチをONにしたヽ。 クリアキンの大きい船体は大爆発をおこす。ロウ人は自分達が発射したメーザガンが命中し、クリアキンの船を破壊できたと思いこむ。バラバラになったクリアキンの船の残骸。機械の一部分にみえる捕助艇もその中にあり、カモフラージュされている。ロウ人の船が残骸を収集し分析するために近づいてきた。船の下部より多数のロボットアームを出し。一つ残さずクリアキンの船の残骸を集め;船の内部に収容した。やがてロウの戦闘艇は地球へもどる。成層圏を、そしてロウ人の防衛ラインを突破した。クリアキンの予定行動地点上空にさしかかる。この時をじっと待っていたクリアキンは行動に侈る急激に長さ10数mの針が捕助艇のすみずみから飛びだす。他の残骸からも針が飛び出す。針はロウ人の戦闘艇内部をつきやぶり、その針から強烈なエネルギーが発射された。ロウ人の戦闘艇は内部爆発を数度くりかえし、操船不可能となり、宇宙船の墓場と呼ばれる地域の上で完全に吹き飛んだ。 クリアキンの小型の捕助艇はロウ人の船の大爆発の瞬間。外装をつきやぶり、勢いづいて、墓場につっこみ、地中に何mもくいこんだ。■ロケットの墓場」は地球人がに地球にみちあふれていた時代からあるもので、役に立たなくなったロケットや形の古くなった船が世界各地から集められ、雨ざらしになっていた。広さは小さな砂漠一つ分だ。 捕助艇のコックピットよりはいでたクリアキンはあたりをみわたした。数年ぶりで足の下にする地球だ。例え、最初に辿り着いた場所が宇宙船の墓場であろうと、地球の上であることにかわりはない。「宇宙船の墓場か。俺にふさわしいかもしれない」クリアキンは思う。なぜかこの場所にはもどってこないような気がした。クリアキンの船は特別に作られたものだ。残骸が全部合体して新しい船が構築される。パラパラに分解した部品一個一個に電子頭脳が埋めこまれている。いわば一つの部品がロボットなのだ。もし部品がいくらかたりなくても、この地平線までも埋めつくすロケッ卜の墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。「それにしても何と寒々とした所だ」クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。緑なる星にて第2回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.26
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/7/東京地下道1949■第7回米軍保安部、戦争孤児ハンター部隊、ライリー大尉を傷つけたナイフの鉄だが、ロパート軍曹に捕まり監獄に。拷問を受けて、戦争孤児グループの竜たちの居所を探られる。東京地下道1949■第7回(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画http://www.yamada-kikaku.com/「鉄,逃げられないぞ。出て来い!ナイフをまず投げ出すんだ」日本語で叫ぶ 鉄の隠れている木材置場にライトが照らされた。鉄はそのライトで目がくらむ。おまけに、相手は鉄の名前を知っている。ふるえが鉄の体を襲う。アメ公だ。どうやら進藤の店からつけてきたようだ。進藤のおっさん、俺のことばらしやがったな。と鉄は思う。「わかったよ。まだ殺らされたくない。いまでていくから、撃たないでくれよ」「ようし、ゆっくりとだぞ。ナイフを先に投げろ」 鉄は、あきらめた様子でナイフを二丁、遠くの地面へ投げだす。男が近づいてきた。「ようし、いい子だ。おとなしくしな」 その長身のアメリカ入が目前に来た時、鉄は服のエリから、三丁目の小型ナイフをひき出し、まうえから切りつけた。 ライリー大尉はとっさに身を投げだす。がナイフはわずかにほほをかする。さらに鉄は顔をねらい体ごと、突きこむ。ライリーは銃身でそれを防いだ。 鉄は、急激なショックを後頭部に受け、前にのめった。「大尉、あぶなかったですな。あなたともあろう方が」 地面にのびている鉄の上に、大男のロバート軍曹のシルエットがかぶる。「このガキ、3つめのナイフを、服のエリに隠していやがったんだ。このしかえしはどうせたっぷり’としてやる」「それじゃ、こいつを拷問にかけて、竜たちの居所をさぐるわけですな。楽しみです」「そういうことだ。やり方はお前にまかせる」 ライリーは、ほほからしたたる血をしきりにぬぐっている。「くそ、ジャップめ、皆殺しだ」ロバートは、片手で鉄の体を軽々と持ち上げ、ジープの後部座席へほうりこんだ。鉄は椅子にしばりつけられている。格子窓から月光が差しこんでいる。寒々とした広い部屋だ。わけのわからない道具が所せましと並べられている。 平手打ちを受け、鉄が目を開けた時、目の前に、大男のにやにや笑いがあった。「鉄、竜たちは、いまどこにいるんだ。隠れ家をいうんだ」「知らないな。俺はもう竜のグループと手を切ったんだ。たとえ知っていてもアメ公なんかに誰が言うもんか」 強烈な打撃が鉄の腹に加えられた。椅子ごと鉄はとびあがり、壁に激しくぶつかった。水をかけられ、息をふき帰す。イスは形をとどめていない。「おい、鉄、さっきか前がナイフで切りつけた相手がだれか知っているか」鉄,はかたぐなにだまっている。「ハンターライリーさ」 鉄は驚いた。それじゃこの前にいるコヤツのは。「そうさ、俺が、有名なブッチャー(屠殺人)ロバートさ」同時に軍用ブーツが,顔にのしかかってきた。鼻血が噴出し。歯がメキメキと音をたてて折れた。「いいか、よく聞けよ。俺の上司の、ライリー大尉は非常のお怒りだ。何せお前にファニー・フェイスを傷つけられたからな。むろん、プレイドもな。だから俺はお前をじわじわとなぷり殺すことを許されている」ブッチャー(屠殺人)ロバートは、血まみれミンチ肉になっている鉄の顔をゆくりと見直す。相手の恐怖をゆっくり呼び起こし、犠牲者のその恐怖の有様を楽しもうとしている。「お前が何もしゃべらないなら、手の指から一本ずつ切り離していくぞ」そこでロパートは言葉を切る。そばの机の書類に目を落とした。「そのつもりだったが、俺は慈悲深いぜ。感謝しな」「もっと、いい、お前にとって好ましいことを思いついた。進藤から耳よりの話を聞いたのだ。ごくんと、鉄は血まみれののどを鳴らす。「お前はクモが大嫌い、、、だそうだな。本当か」鉄の心臓が波うった。この世界で何も俺は恐れない。がクモだけは。「そうか。どうやら、まだいうつもりがないらしな。それに進藤の話も確かめなければならんな」にやりと、ブッチャー(屠殺人)ロバートは、血まみれの鉄を覗き込んだ。(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.26
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は東京地下道1949■第6回米軍占領下、米軍保安部「ハンターライリーとプッチヤー・ロパート」に、ふるえあがらない戦争孤児はいない。故売屋進藤と江戸城地図で揉めるナイフの鉄を2人が追う。▼この小説のURLhttps://ncode.syosetu.com/n1603de/6/東京地下道1949■第6回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所漫画の描き方manga_training動画東京地下道1949■第6回鉄は、進藤の店テーブルの上の地図をわしづかみにする。 「それじゃ、悪い。じゃましたな。またな。進藤のおやっさん」あわてて、故買屋、進藤は鉄に呼ぴかける。「その地図、あずかって訃いてもいいぜ。高くは売れないだろうが、ものずきがいるかもしれない。銃弾二箱となら、変えてもいいぜ」 「ほう、価値のない地図と、銃弾二箱と」 鉄は進藤をにらみつける。「それくらいなら、こうだ。」鉄は地図をやぷろうとする。 「やめろ、それは・・・・。」 鉄は、進藤の服のエリをつかんだ。 「おっさん、悪い冗談はやめろよな。どうやらたいへんなものらしいな。この地図は」 進藤の眼をにらみつける。 「はっきりいいなよ。この地図は何だ。いわないと、明日からメガネをかけるのに不自由するぜ」鉄の右手に、ナイフがにぎられている。 恐怖におぴえる進藤の目に、アメリカ軍占領軍のジープが近づくてくるのが、みえた。「いけね、アメ公だ」 風のすぱやさで、進藤の店から、鉄は走り去った。 息をゼイゼイいわせながら、首を押さえた進藤は、そのジープの乗り手が、上客の保安部のライリー大尉であることを認めた。「ガキめ、ただじゃすまさないぞ。この進藤を甘くみるなよ。ほえずらかかせてやる」 店の前にジープで乗りつけたライリー大尉に向い、しわがれ声で叫んだ。「今、走りでたガキをつかまえて下さい。奴は「ナイフの鉄」です。早く、大尉」ライリーはその声を聞くやいなや、ジーブを反転させ、鉄を追いかける。 鉄を始め、竜のダループは、このトウキョウのアメリカ軍占領地区では、「ベビーギヤング」として特にマークされている。 ライリーと、同乗して運転しているロバート軍曹は、各々トンプソン・ザブマシガンと、M3グリースガンを構えた。 進藤はあわてて、電話をかけていた。「地図をみつけました。いえまちがいなく、あの地図です。ええ、『ナイフの鉄』とい夕浮浪児です。今米軍のライリーが追いかけています。おそらくつかまるでしよう。ハンターの威名を持つライリーの事ですから。でも御心配なく、奴は保安部の入間ですから、「ベビーギヤング」竜のグループのことを聞き出すことに全力をあげるでしょう。地図ですか。いえまだ鉄が持っています。ご心配なく、奴が気づかないように地図のコピー写真をとりました。それじゃ、お札の方はお忘れなく、例の場所で」進藤は電話を切り、にんまりほくそ笑んだ。 『ナイフの鉄』は、相手をまけるはずと思っていた。なにしろ、このあたりは、鉄の庭も同然だった。相手はジープを乗り捨てたようだ。車でははいってこれない路地だった。路地にたむろする日本人たちが何がおこたのかと騒ぎ見守っている。 鉄の誤算は、相手が、「ハンター・ライリーとプッチヤー・ロパート」のペアだ、としらなかったことだ。 アメリカ保安部の「ハンターライリーとプッチヤー・ロパート」の名前を聞き、ふるえあがらない「ベビーギヤング」や浮浪児がいれば、お目にかかりたい。 餌食になった者、数百名。ほとんどが殺されゐか、半死半生の目にあわされ不愚者となっていた。彼らは年少者だからといって容赦はしない。彼らは生まれながらのサデイストのコンビで、ちょうどいい職場を、この東洋の占領地日本トウキョウで与えられていた。黒い影が、秘かに、おびえる鉄に近づいてくる。獲物を、ねらう肉食動物の動きを思わせる。鉄は敵の動きを息をひそめて見守りながら、ナイフを手ににぎる。手汗でナイフがすべりそうになる。恐怖ゆえのアドレナリンの分泌だ。 そいつは、まるで鉄のい場所を知っているかのごとく、肉迫してくる。影から判断して、どうやら相手はサブマシンガンを手にしている。やばいことになったと鉄は思う。かなりベビー・ギャング狩りに慣れている奴だ。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所「マンガ家になる塾」 漫画の描き方manga_training動画
2021.07.25
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/5/東京地下道1949■第5回戦争孤児グループの竜は、食糧貯蔵庫の襲撃のために下見に。そこで 敵対するグループのムサシに出会うが共闘になり 会議へと。鉄は、故買屋進藤を訪れて旧い江戸城の地図を見せるが。東京地下道1949■第5回(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/東京地下道1949■第5回 米軍食糧貯蔵庫は、ゆうに100万人の人々の口を養うことができる。トウキョウ市では餓死者が続出していた。食糧はいくらでも高く売ることができるのだ。食糧庫から、トウキョウ市内の米軍キヤンプヘ食糧が一日数回搬出されている。竜たちベビーギャングは、そのトラックをねらっていた。竜は、夜の闇にまぎれ、食糧庫に近づく。サーチライトが、あたりを照らし、番犬が鉄条網内でとき放たれ、動き回まっている。「竜、ひさしぶりだな」 背後から声がかかった。「おっと、銃には手をかけるなよ。こちらは4人。皆、すでに銃を手にしている。ゆっくりこちらを向きな」「ムサシか。ごこで、昔のしかえしを受けるわけか」「そうしたいのは、ヤマヤマなんだが、どうやら、お前もあれをねらっているらしいな」 上背190mをこえる大男、ムサシば貯蔵庫の方を指さす。ムサシはこのあたり一帯を、とりしきる浮浪児のグループ(ベビーギャング)の長だった。その支配下の戦争孤児の数は300名をはるかに越えている。 かって、竜は、このムサシに手ひどい仕打ちをしたことかある。「違うといっても隠しようがないな。そうだ。おれたちは、あの食糧庫の搬出トラックを狙ってているさ」「実は、俺達も.その搬出トラックをねらっている」ムサシは、竜をじっと見つめた。 「そこで相談だが、手を引け、といっても引きさがるか前じゃない。」 竜の手に汗がしみでている。 「手を組むか」ムサシは威嚇的に言う。 「わかった。俺達のグループ人数では手にあまる仕事だと思っていたところだ」 「そうとなりゃ、話が早い。この3人は俺の知りあいだ。俺のグループと、こいつら各々の手下。それにお前のグループと5つのグループで襲撃することにする。それじゃ、俺の アジトヘ来てくれるか。」 「わかった。しかし、ムサシ、変なまねだけはするなよ」 「お前にそれを言われると不思議な気がする ぜ。ところで鉄は元気か。」 「でていったよ」 「いつ」「さっきさ。残念そうな顔つきだな」 ムサシは右手を竜の方へむけた。右手のくすり指が、第三関節からなかった。以前のいざこざの時、鉄のナイフが切り取ったのだ。「鉄とは会いたかったな」 ムサシの目に残忍な光が宿る。●そのナイフの鉄は、その時、故買屋、進藤の店を訪れていた。進藤の店テーブルの上には、例の地図が拡げられている。進藤は静かにその地図をながめていた。が、一瞬、驚きの表情があらわれたようだった。それが突然不機嫌な表情にかわる。その顔つきでテーブルの下に設置してあるスイプチを操作する。カシャカシャという音が上の方から聞こえてくる。 「だめだね、鉄。残念ながら、値打ちなんかない。高く買うわけにはいかないよ。もっと いい出物はないのかね。近頃はいい出物がなくて困っている。いいヤマに当らないのか。 竜はどうしている。今度はどんな仕事だね。いい仕事なら前金を渡してやってもいいよ」「おっさんには関係のないことさ」鉄がいう。(続く)20090501改定作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.23
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GS緑なす星にて(1978年)クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3779gq/1/緑なる星にて第1回■宇宙連邦に占領された地球に向かうクリアキンは思い浮べる、彼女イアラの最期を。彼女の水晶化は彼の行動の失敗の結果だ。緑なる星にて第1回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ クリアキンは思い浮べる、彼女の最期を。クリアキンの過失だ。クリアキンは苦しむ。しかし悩んでも救いが訪れるわけはない。あるのは彼が操縦するロケットの目の前に広がる大いなる銀河の闇。星の光そして、今、向いつつあるのは、彼の星である地球だ。 「なぜ、あのとき、俺は」クリアキンは考える。彼女は美しかった。いやいまでも美しいに違いない。彼女イアラは現在でもあの場所で光り輝き立っているはずだ。クリスタル(水晶)作用だ。彼女イアラは生きている姿のまま結晶化された。あの時、クリアキンはイアラを助けるべきだった。あの時。クリアキンの疑念とまどいがイアラの命を奪う原因となった。不可抗力といえばそうもいえる。今は、クリアキンは、地球のイアラの所にたどり着かなければならないクリアキンのエネルギーはまさにイアラからでていた。彼にとってイアラは心の糧だ。その姿がなくなっていれば、クリアキンは生きてはいけないかもしれない。この広い宇宙の中の唯一つの拠り所だ。同じ地球人の形態をした者に会うことは。地球脱出以来なかった。クリアキンは孤独だった。心からイアラの水晶像を見たいと思う。 そのクリスタルから太陽光線変換器をとりはずさなければならない。それなしでもクリアキンはたおれてしまう。クリアキンはサイボーグだ。地球には地球を攻撃しやロウ人のンールドがはりめぐらされで、いる。地球がロウ人達に占領されすでに50年たっていた。 全人類が宇宙空間にのりだし、星への植民を行ってからわずかの期間しかたっていない時だった。地球人達は始めはおずおずと。最が物顔で、その星の資源、原住星人の制服にとりかかった。自分達よりも秀れた宇宙人には、幸いな事に遭遇しなかった。かつて地球古代に存在した帝国主義の時代の再来の様に地球人達は資材を用い宇宙船を建造し。富を求め、拡がりつつある宇宙へと旅立っていった。地球の繁栄の時代はいつまでも続きそうに見えた。 終局は突然襲ってきた。 総てが燃えつきた。「地球」は炎の惑星としてのたうち、死んだ。 地球人以上の知性が存在していた。彼らは地球人がその歴史を始める前から。観察していたのだった。地球人がはたして宇宙連邦に加入できるほどの生物かどうかを判断するために長い間沈黙していたのだった。 宇宙連邦は宇宙の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに自分勝手に星々を荒しまわっていた。連邦は人間が有害であると確認し。地球絶滅を決定した’が恩赦によりわずかの人々が、地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは「羊船団」と呼ばれた。緑なる星にて第1回(1978年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.22
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東京地下道1949■第4回浮浪児のグループの運営で、首領の竜と鉄はもめる。竜の妹恵がなだめようと、鉄は獲物のロシア人所有の昔の江戸城の地図をうばい逃走TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/4/東京地下道1949■第4回浮浪児のグループの運営で、首領の竜と鉄はもめる。竜の妹恵がなだめようと、鉄は獲物のロシア人所有の昔の江戸城の地図をうばい逃走。東京地下道1949■第4回(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/東京地下道1949■第4回 ナイフの鉄のどす黒い顔がうなる。「ああ、おおありだよ。このグループの方針て奴だ。なんで全員が一度な、竜よ。お前さんの前で獲物を、広げるなきゃならないのだ。でめえでとった獲物は、総て自分の物でいいじゃないか」「鉄よ。グループの掟を忘れたのか。相互補助ってのがグループの基本のルールなんだぜ。お前、それとも忘れたのか。お前、鉄が、アメリカ保安部隊に撃たれて、熱を出し、うなっていた時、ここにいる皆にな、看病してもらったことを」鉄の顔が赤くなり、しばらく黙って、それからまた、うなる。「それはそれ。これはこれさ」少し考えていう。「力のある者が、より多くをちようだいする。これがあたり前だぜ。涙ちょうだいの平等主義なんて、、アメ公だけでたくさんだ。ゲップがでるぜ。わかったぜ。俺はなあ、この相互補助のグループとやらを抜けさしてもらうさ」「ああ、いいぜ、でていけ」グールプの首領である竜が声高におおじた。「兄さん」 竜の妹の恵が、兄をなだめようとした。そして鉄に言った。「鉄、いま、グループを離れるのねは危ないわ。アメリカ保安部隊がベビーギャング狩りに力を入れているのよ。特にあなたは凶悪な部類「ウオンテッド・リスト」に載っているわ」恵は強く言った。「いい、鉄。考えなさい。考え直しなさい。グループには、いえ、竜兄さんにはあなたが必要なの。まして、明日の食糧車襲撃はどうするの」鉄が、アメリカ保安部隊に撃たた傷でうなっていた時、に主に病してもらった 実は竜のいもうとの恵なのだ。それを鉄は恩に思っているし、恵みには頭があがらない。鉄に悲しそうに恵に言った。「恵、お前には特に世話はなっているが、これだけはどうもな。俺は、やはり、集団行動ってのが性にあわないんだ。それに俺には、この守り神があるからな」 鉄は、愛しい子を触るように、服の袖から隠していたナイフを取り出し、刃先をエロチックに口びるでなでる。「いい、ほおっておけ、恵」 竜のきびしい声がとぶ。「こいつにかまうんじゃない」「でも兄さん」「ふふ、兄妹けんかは、ほかでしてくれよ。おみやげにこのトカレフはもらっていくぜ」 鉄は、今日の獲物、ソビエト軍製の「トカレフ」拳銃に再び手をのぱす。竜の拳銃が火を吹く。が鉄にあたってはいない。「何をするんだ」 鉄は、反射的に竜にナイフを投げようとし、一瞬思いとどまった。「よしな。そのトカレフ拳銃は、置いていくんだ」 鉄は竜をにらんでいたが、しばらくして、ニヤリと笑う。「わかったよ。トカレフは、竜、お前さんへの最後のプレゼントだ」 鉄は、アジト入口のドアを開け、荒々しくでていった。不思議なことに、先刻手に入れたカバンの事はー言もいわなかった。隠れ家に、しばらく静寂があった。 いやな雰囲気をかき消すように竜が張り切って、急に大声をあげる。 「さあ、みんな気にするな、それよりカバンの中身が問題だな」 カバンの中は書類がほとんどで、ずぶぬれたった。ロシア語でかかれていた一片の紙片がビニール袋につつまれていた。 もう1枚はは日本語だったが、古い文字で江戸時代のくづし字であった。「どうやら地図のようだな」 仲間の一人が言う。 「まん中の大きな部分は、皇居、昔の江戸城の様だな」「これは金になりそうか」「わからん。伊藤にでもみせるか」伊藤は、古買屋で、竜たちのグループは時々、獲物を売っているのだ。その時、突然、グループアジトの部屋が暗闇になる。部屋じゆうの明かりであるロウソクが、消えている。誰かが竜をなぐりつけた。物音がした。襲撃か! 対抗グループか!それこそアメリカ保安部隊か!皆一瞬、ちじこまって身動きができない。気をとりなおした者が、アジトのろうそくの火を再びつけた。数本のナイフが、壁や机にささっていた。「くそ」ナイフの刃が、部屋じゆうのろうそくのしんの部分をぶち切っていたのだ。「おい、見ろ、地図がないぞ」「くそっ、鉄のしわざだ」 「まだ、間に合う。おいかけよう」「そうだ。いまなら、すぐ近くにいるはずだ」「やめて分け」竜がー声いった。「なぜですか。竜さん」「今日はもう、遅い。これ以上争いたくはない。闇やみでは不利だ。ナイフはあまり音をたてないからな。それに、明日は、例の大仕事がまっているだろう。体を休めて分け」不承不承、部下の連中はこたえる。「そうですか。竜さんがそう分っしゃるなら」「くそっ、鉄の奴、こんどあったら、ただじゃおかないぞ」「おまえの腕では、鉄に殺されるのがオチだぜ。やめておけ」「そういわれりゃ、そうだな」変に納得している。 皆、笑った。「よし、皆、明日の大仕事にそなえて、もう寝るんだ」恵は、兄の竜のそばにより、ちいさい声で言った。「兄さん、ありがとう。鉄を追いかけないのね」「おしい奴だぜ、あいつ鉄も」といいいながら、竜はでかける準備をしている。「で、それは、兄さん、今からどこへ行くつもりの。」「明日の略奪の現場の下見だ。俺一人だけな」(続く)20190925改定作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.22
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琵琶湖ー高島市新旭町新旭園地201805撮影
2021.07.21
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2021.07.21
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/3/東京地下道1949■第3回日本は連合軍に無条件降伏。日本全土は廃虚と化し連合軍が日本を得た。竜は浮浪児団の主領で、食物や闇物資を手に入れている。鉄はナイフ使いの天才だ。東京地下道1949■第3回(1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/「さあ今日の取り分だ」東郷竜は顔をみわたしながら、目の前につみあげられた物資をわけ始めた。彼らは十歳をいくつも越えてはいない浮浪児達だ。東郷竜は波らの主領である。 自らの力で食物や闇物資を手に入れたのだ恐喝、かっぱらい、強盗、その他いろんな呼び方がある。この時代とこの場所で生きのびていくための手段であった。竜のアジトであるはっ建て小屋からも焼け果てたトウキョウ市の[新しい壁]が見えている。その壁は。日本人に希望を与えるものではない。日本人の心と体を。いわゆる「本土決戦」以上に疲弊させるものだった。竜は「本土決戦」当時は、新潟県に疎開していた。そこで「愛国少年団」に属していた。赤い星をつけたソビエト連邦軍、ソ漣軍の「T34戦車」が進撃してきたのは、昭和二十年十月三日。第2次世界大戦末期、ドイツでのポツダム会談で、日本の占領政策に関して、アメリカの新人大統領トルーマン大統領は、老獪なソビエト連邦の首相スターリンに圧倒されたのだ。「これは日露戦争の復讐なのだ。それに、ノモンハン戦役のね」加えて、アメリカ、ネパダでの原爆実験の失敗が、トルーマン大統領に追いうちをかけた。しぶしぶ、トルーマンは、ソ連軍の対日本戦参戦を認めたのだ。それは、第2次大戦、つまり大東亜戦争での日本の敗北と連合国の分割占領を意味した。チャーチル以下イギリス軍の反対も、アメリカ参謀本部の反対も押しきられていた。あのグルジア人でロシア革命以前、列車強盗でもあったヨーゼフ、つまり暗号名鉄の男スターリンのずるがしこいほほえみに。そして、日本の運命が変わった。 北海道、東北の海岸は、ドイツと対峙していた欧州戦線からシベリア鉄道を経由して大急ぎで輸送されたソ連軍の艦隊老上陸用舟艇で埋め尽された。少しでも多くの土地を。そして日露戦争の敵を! 竜の兄は、すでに沖縄で特攻隊として出撃していた。お別れに、兄はお守りを竜と恵にさずけた。 兄は消息不明といなったが、竜と恵はそのお守りを後生大事ににしていた。新潟県に疎開先の校舎はふきとばされ、ソビエト「T34戦車」キャタピラで、人体と建築物が混じり合い押しつぶされた。機関銃や爆撃、大砲、嗚咽、叫び、悲鳴であたりは充満していた。まさに地獄だ。鮮血をニイガタの大地に流し、友達は殺されていったのだ。竜や恵には、特特の人生観というものが形成されていった。竜と恵が、トウキョウ市にたどりつけたのは、僥倖と呼ぶより他はない。やがて日本は連合軍に全面降伏した。日本全土は廃虚と化していた。連合軍が日本という得物を得たのだ。トウキョウ市は、アメリカ軍とソ連が分割占領を行なった。 机の上にトカレフ挙銃が傲いてある。「誰の獲物だ。これは」 竜はまわりの皆を見渡しながら、尋ねた。「俺さ」鉄だった。鉄は使いなれたナイフをいじくりながら答えた。皆の目が鉄に注がれる。 以前にも、鉄はコルト45をアメリカ保安部隊からくすねてきたことがある。鉄はこのグループの中でも、このあたり一帯でもー目おかれる存在となっている。それは、小さな社会にさざ波を起す。つまりは、グループの長としての竜の地位をもおびやかしていることになる。 鉄はナイフに関して天賦の才をもつ。それゆえ、あだ名が「ナィフの鉄」「この地区にきた露助からとりあげたものだ」 鉄はロシア製の苦いタバコをくゆらせながらつぶやいた。「その挙銃と一緒に、そのカパンもいただいたのさ」 鉄は、うす汚れた黒革のダレス型鞄を指さした。「どうせたいしたものははいっていないと思うぜ。米ソ定期会談に来ていた奴かもしれない」「とにかく中をしらべてみょう。」 仲間の一人が、カパンのキーをいじり始めた。 突然銃声がした。一瞬全員が身がまえる。鉄だった。カバンのカギがふきとんでいる。「この方が早いさ」「この野郎、おどかしやがって、ここをどこたと思っているんだ」 誰かがどなる。「竜のアジトさ。遠うかね」「俺のやり方に文句でもあるのか、鉄」竜がなじった。東京地下道1949■第3回(1978年作品)20210721改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.21
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/2/東京地下道1949第2回■アメリカ軍占領軍情報部(OSS)乾公介は窓下、東京分断壁を見ている。彼にMGB(在日占領軍ソ連保安省)のエージェントからの時図入手失敗の報告が。東京地下道1949第2回(1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/アメリカ軍占領軍情報部(OSS)の一部屋に一人の日本人が,大きなデスクを手前に腰かけている。彼の青白い顔に汗がにじんでいる。時々、時計に視線を向けいらだっていた。 乾公介、名目は「占領軍付日本人通訳」だが、OSSのメンバーの一員である。彼,乾公介は確かにあせっていた。理由は死期がせまっているからだ。癌の宣告を受けていた。あと3ケ月とないだろう。それまでにあのプランを完遂し々ければならない。それは、彼の宿願であった。 いまや、彼の命脈を保っているのはその計画のみである。双肩に重くそれがのしかかっている。アメリカ人が、一人いそいで乾の部屋へはいってきた。 「どうやら、我がアメリカ保安部は、あの地図をMGB(在日占領軍ソ連保安省)のエージェントから手にいれることに失敗したようだ」「よかった。地図はまだ、やつら、保安部の手には手にはいらなかったのですか。それでいいんです。地図を持っていたイワノフ大尉はどうしたのです」「保安部がライフルでしとめたとのことだ。が、先に自殺し、地図のはいったカバンは見つていない。死体の前が河だったので、おそらく投げ込んだものと思われる」「わかりました。その地図が保安声の誰かの手にはいらないか留意しなければなりませんね」「そうだ。引続き、我われわれ保安部は、MGBのエージェントの監視を続けよう」瞬間、血の気がうせて、乾は、自分の机の上につっぷしそうになる。「乾チーフ、だいじょうぶか、休が悪いのでは」「いやなんでもないです。だいじょうぷです」 OSSの内部では、波が宿摘の病にあることは誰も知らない。「この仕事を頑張らせて下さい」 乾はそう言い、立ち上がった。占領軍情報部(OSS)の窓の外は焼けのこったトウキョウ市の無残な姿が横たわっていた。 アメリカ占領軍情報部の接収しているショウワ・ビルからはトウキョウ市全部がみわたせる。トウキョウ市は日本の首府であった。そのトウキョウ市を壁が真ふたつに分断していたo 壁の向こう側は、、極東ソビエト軍の占領地区なのだ。(続く)20090501改定東京地下道1949第2回(1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.20
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TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命はこの小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/1/東京地下道1949■第1回1949年 日本は敗戦、分割占領。トウキョウ市アメリカ軍占領地区。浮浪児が、男たちの争いをみる。少年はカバンとトカレフ挙銃を手に入れ。「竜」のアジトヘ向かう。東京地下道1949■第1回(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/地下道1949■第1回1949年 日本トウキョウ。 男達が争っていた。いや一名の男が数名の男に追われている。逃げる男はスラブ系の顔をしている。アメリカ軍占領地区、トウキョウ市の町中で追跡が行なわれている。 追う一団は、トレンチ・コートで身をかため、一般市民の姿をしているが、訓練を受け死者の持つ独特の体臭がする。彼らは入がいない場所にぐると、コルト45を各々と取りだし、前の逃げる男へ弾をあびせる。 逃げている男も、オーバーコートからトカレフ挙銃を出し、振りむきざま、撃ちかえす。男の射撃の腕は一段上手らしい。たちまち後の2人の男が倒れた。前の男は大事そうに、カパンをかかえている。 やがて、追撃している男に応援が来た。ライフルを持っている。彼はスコープに逃亡者をとらえ、男の肩を阻撃した。 男はうずくまり、死力を尽し、カパンを目の前の河へほおり投げた。 河は雨の降った後で、水かさが増していた。一濁流で流れも急だ。 このいちぶしじゆうを見ていた一入の浮浪児がいた。すばやく河に棹さし、そのカバンをひっかけひろいあげた。少年は隠れた。 追撃して来た狩人達は、倒れている獲物のそぱに立つ。男は歯に隠していた毒カプセルを飲んで死んでいた。 男達はあたりを見わたす。 カバンを探しているようだった。しかし、一時間後、彼らはあきちめたらしく、ひきあげていった。 その隠れ場所で息をひそめていた少年は、カバンを手に出てきた。死体の手からトカレフ挙銃をひっべがし、河のそばへひきずり、死体を投げ落とした。それから、意気様々と「竜」のアジトヘ向かった。(続く)東京地下道1949■第1回(1978年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ●http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.19
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/63/■ロボサムライ駆ける■第62回空洞に心柱の声が響き渡った。心柱の指示に従い、人々は、各役割に沿って行動を起す。早乙女モンドは徳川公とともに「東京島」に帰還し、マリアの行方を心配し病気を療養している。ロボサムライ駆ける■第62回■第1部■完作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training ■第七章 血闘場(9)『それは、私が解決しよう』 空洞にいる人々の心に心柱しんばしらの声が響き渡った。「おお、心柱さまがしゃべられるぞ」 居並ぶ人々は、古代都市にいる全員が耳を傾ける。 クルトフ、シュタイフの聖騎士団をはじめゲルマン帝国の者ども。 山本の率いる反乱ロボット。 水野、斎藤の率いる西日本都市連合軍。 徳川空軍、徳川旗本ロボット、早乙女主水。 徳川公、落合レイモン、夜叉丸、足毛布博士等である。『水野、斎藤、反乱ロボットを接収すること相成らぬ。 また反乱ロボットの皆、よく聞いてくれ。足毛布一族、われらをこの千年にもわたって守ってくれたのじゃ。それゆえ、憎むこと合いならん。また、夜叉丸はわしがレイモンつかわせた霊人間なのじゃ。 足毛布博士、落合レイモンは、このわしとともにこの古代都市を再開発、研究せよ。 徳川公は、早乙女主水と東京へもどり、東日本の内政を改めよ。 それから、クルトフ、シュタイフよ、二人はルドルフ大帝に告げよ。私が解放された以上、日本への神聖ゲルマン帝国の侵入は、たやすくないぞとな。以上だ』「おおーっ、さすがは心柱、みはしら様じゃ」 喚起の声と、失望の声があがっていた。が、いまや、みはしらさまにしたがう他はないのだ。「主水、わしの手元に戻ってきてくれるか」 足毛布博士が頼むように、主水に言う。「が、博士、幾ら生みの親とはいえ、拙者は義に生きとうございます」 思わぬ答えに足毛布はたじろぐ。「義とは?」 足毛布は不思議なものを見るような目をした。「徳川公のおつかえして、日本につくすことです」 キッパリと言った。「おお、よういうた。主水。足毛布博士、主水をお預かり申す」 徳川公廣が、博士に礼をした。そうそうにここから主水を連れ出すつもりだ。 しかし、博士は主水にたいして罵詈雑言をはく。「主水よ、私を裏切る気か。お前を作り、ここまで育てた私をな」「博士、それは…」「よいか、誰がお前、主水をあのNASAの空軍基地から助け出してやったと思うのだ。当時の宇宙開発用のロボットがお前だ。よいか、お前のために私は防御レーザーにより傷を負ったのだ、わかるか主水。自らの息子よりもお前のことを愛していたのだぞ。それをお前は裏切り、あまつさえ、この西日本から出ていこうとするのか。これをこれを裏切りと呼ばずして何と呼ぶのだ」 足毛布博士の怒りは治まりそうになかった。「主水、これを見よ」 足毛布はふところから、たばこを出して大地へ捨てた。「…」「今、捨てたのはお前のロボットストレス対処用の薬が入ったタバコじゃ。よいかもう二度と手には入らぬ。材料はアメリカ製じゃからな。これが親である私に対する裏切りに対する復讐の一つだ。これからも油断するなよ。生みの親を捨てたお前に災難が降りかかろうぞ」「主水、気にするな」 徳川公がやさしく声をかける。「お前は正しいのだ」『主水よ…』 みはしらさまが、主水に話しかけた。『忘れものじゃ。返してくれぬか』「はっ…」 主水はどきまぎする。『そのクサナギの剣じゃ、しばらくは用はなかろう』 主水はまだその剣を握り締めたままだった。「しばらくですと」『そうじゃ、その剣を再び使うときは、この世界を変える運命の七つ星すべてそろった時じゃ』「運命の七つ星。それは一体…」『主水、それは…、お前と運命の七つ星の運命じゃ。いずれわかるときがあろう』 恨めしげに眺める足毛布を博士を背にしながら、主水は徳川空軍の飛行船に乗った。「だんな、だんな…」 話しかけるものがある。鉄だった。下半身は吹き飛び、担架に乗せられている。「あっしは、もうだめでさ。手も足もでませんや」「鉄、お前…」「えっ、だんな、どういたしました」「そんなシャレを言ったから大丈夫だろう。私の手つだいできようよ。足がないぐらいでな」「だんなも人が悪いや」 それを受けて「これ、鉄、俺は人ではない。ロボザムライ早乙女主水じゃ」「決まったね、ダンナ」 少しは元気を取り戻したロボザムライ主水である。 飛行船は、地下空洞から上空へ飛び上がって行く。■「マリア=リキュール」は「ロセンデール卿」の首をくわえて逃亡後、行方不明となる。 ヨーロッパのいずこかに住んでいるといわれている。 「びゅんびゅんの鉄」は、「マリア=リキュール」から受けた傷がもとで現在療養中である。「知恵」は、外国のロボット奴隷解放運動で活躍しているらしい。時折、主水には連絡が入る。 「サイ魚法師」は、あの折「マリア=リキュール」を捕まえることはできず、海賊潜水艦として太平洋岸を現在荒らし回っていると風の便りに聞いている。 「足毛布博士」は、京都の研究所で、侍ロボット改良版を製作中と聞く。早乙女主水にそっくりで、「主水2」というネーミングらしい。主水にご執心なのである。 「落合レイモン」と「夜叉丸」は、まだ西日本エリアに残って、古代都市研究を行っている。 現在でも古代都市のことは日本国内では秘密となっている。 「水野と斎藤」は、みはしらさまの指示にしたがい、西日本都市連合政府のロボット奴隷制をいやいやながら廃止した。 生き残った、「クルトフとシュトルフ」率いる聖騎士団は、徳川空軍飛行船「飛天」「高千穂」に乗せられ、インド洋上でヨーロッパ連合の交換船に乗り移り、帰っていった。 「ロセンデール卿」は、みはしらさまが言ったたようにヨーロッパのルドルフ大帝の研究所で復活したと風のうわさに聞く。彼もまた主水を付け狙っているのだ。「徳川公国のお主かみと早乙女主水」は、東京エリアの徳川公国にまだ住んでいる。この世界で敵の多いロボサムライ主水は自分の病気。ロボットストレスを直そうと必死である。 ■ロボサムライ駆ける■第1部■完■■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(10)第1部■完20210715改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.16
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/62/ロボサムライ駆ける■第61回■早乙女モンドは 飛行船で到着したロボット旗本たちにお味方下さいと、 西日本の叛乱ロボットを助けようとするが、徳川公から 東日本と西日本は政治体制が異なるととがめられる。ロボサムライ駆ける■第61回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training第七章 血闘場(8)「よいか、反乱ロボットの諸君。今回は大目に見よう。首謀者を出せば全員を許そう」関西都市連合の水野が言った。「そうだ、その通りだ」斎藤が続けた。「貴様たちも我々人間がいなければどうにもならんのだぞ」 斎藤は憎々しげに言う。 ロボサムライ主水は反乱ロボットたちを助けようと「いかん、ロボット旗本の方々、存分にお味方くだされい」 主水は、徳川空軍飛行船で到着して傍観していた徳川空軍・旗本たちに言った。「いかん。主水、止めるのじゃ。やめるのじゃ」 徳川公があわてて制した。「なぜでございます。お上」「よいか、我々は西日本を征服するのが目的ではない。我々東日本と西日本は政治体制が異なる。この西日本の制度、壊すこと、相成らぬ」 徳川公のきつい怒りの言葉であった。「さようでございます。さすがは徳川公」 関西都市連合の水野が喜んで言う。「主水殿、お恨みもうす」 反乱ロボットの指導者、山本が言った。「主水のおじさん、肝心のとき、役にたたないねー」 知恵がいう。首をうなだれる主水。 反乱ロボットは、西日本都市連合政府軍によって収容されそうとなる。反乱ロボットは、軍に収容されるため動きはじめる。(続く)20210715改訂■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(8)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.15
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SYその腕もて闇を払え(1980年作品)クロスは、我妻と子を奪われコーヘン財閥に復讐を誓う。20年後隕石が落下、地球生態系が変化、疫病が。デスゾーンの研究中の娘カレンを助けにクロスが呼び戻される。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3784gq/10/その腕もて闇を払え第10回 デズゾーンのRM計画研究施設で冬眠に入っていたカレン・コーヘンは目覚め、現況の惨状をしり次の手を模索する。父親のクロスはキメラ獣と変貌しカレンのいる研究施設を目指す。その腕もて闇を払え第10回(1980年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■2071年、10月デス=ゾーン内キメラ獣となったクロスは探査トレラーの乗り込み、東南へ向い始める。デスゾーンの不逞の輩ゾクの一人が、そのあとわずかに遅れて後をつけていた。■2071年、10月デス=ゾーン内デスゾーン内 RM計画施設研究棟 地下数百m下。物音一つしない。生命体の反応はないように思われる。死体がいくつか腐敗している。ただ、機械類は正常に作動していた。本部との有線連絡装置はまだつぶれてはいないが、それを作動するぺき生命体が存在しないのだ。最下層のフロアで静かに機械が作勤し始める音がした。オシロスコープが動き始めている。脳波測定器も作動を始めていた。冬眠装置が数十器セッティングされていた。その内の一つが作動し始めているのだ。生命維持装置が徐々に動き始める。体を被っていたドームが上へはね上がる。人間が起きあがる。金髪の美しい女だ。リチャード=コーヘンがクロス・クライストに見せた写真と同じ女性だ。そうカレン=コーヘンだった。カレンはアメリカB地区へ阻星が落下する直前、この施設の冬眠装置にはいっていたのだ。一年半の間、眠っていたのだ。彼女カレン=コーヘンはRM(人類リニューアル)計画の研究員であった。が、同時に研究材料でもあった。その特殊な事情は彼女も知らなかった。カレン=コーヘンは他の冬眠装置をのぞいてみた。中にいる人々は冬眠ではなく、本当の眠りについていた。なぜ彼女だけが生きているのか。彼女は、あの、時折襲ってくる不思践な感覚が体にやってくるのを感じた。彼女の感覚は折折、時間を遡るのだ。その瞬間彼女は不思議な事 2050年、火星マリナシティ郊外にもどっていた。彼女の祖父であるリチャード=コーヘンがつかわした娘ジャネット・コーヘンの追跡部隊の記憶。母が胸に受けた、重反動一砲の挑出薬莱の痛み、それを彼女は今の出来事のように知覚できるのだ。そして彼女をだきあげたコーヘン財閥執事頭クーガルの手。確かに彼クーガルは一なぜか泣いていたのだった。彼女は目をつぶり、思わず頭をふるった。現実にひきもどされる。上のフロアへあがる。かつて人間であったものの残滓が散らばっていた。彼女をくといていたハIバート大学医学部出のエリート研究員、ロジャーもその中に混じり、ほとんど白骨化していた。彼女は通信室へはいった。本部へ連絡をとろうとした。しかし連絡はとれなかった。誰でも簡単に連絡はとれないのだ。秘密のコードーナンパーがあるらしい。彼女が眠りをむさぼっていた間、何がおこったのだろう。まず現状の把握が必要と思われた。彼女は研究室のコンソールにすわり、本部のコンピューターパンクからその答えを得ようとする。幸い、この回路はすぐ通じた。「現在の状況を簡単に述べよ」キーを打つ。『B地区はデロスに汚染され隔離されている』 「その理由は」「阻星落下によって発生したと思われる疾病デロスによって地球は壊滅的状況にある」「デロスとは」「空気感染経路による疾病。病菌は現地点では発見されておらず。感染者の生存率叩%ヽそのうちゼウスス星惑で生活した経験のある者の生存率88%。汚染数時間後発熱。ほとんどの者がこの数時間中に死亡。また生存できえたものにも生物的特徴に変化があらわれる』「生物的変化とは何か」『その症状によって一定せず。標本データ不足』「RM計画施設の現在状況」「地上出入口。は完全にブロックされている。阻星落下時より連絡は不通となっている。自動連絡操置のみ作動」「B地区からの脱出方法はいかん」「データ不足。可能性は非常に少ないと思われる。さらに五日以内にインド洋上の地球連邦軍、連合スーパー潜水戦隊から、核弾頭ミサイルがこのデスゾーン抹殺のために発射される予定である」 カレン=コーヘンはディスプレイに見入っている。■■2071年、10月 デス=ゾーン域外。リーマス空軍基地マーカス大佐はリーマス空軍基地の自分の部屋に戻ってきていた。電話がなる。「マーカスだ」「大佐。私です」部下の声が響いた。「わかった。少し待て」大佐はスクランブラー回路のスイッチを入れた。これで盗聴される可能性はない。「デスーソーンの情報が今はいってきたのです」「何だって」「大佐、RM計画施設略奪のため特殊コマンド部隊が二度送りこまれたのを御存知でしょう」「もちろん知っている。二度目はカレン=コーヘンの兄デリー・=コーヘンが隊長だった」「どうやら部隊隊員の一部が生きているらしいのです」「正常なままか」「いや、どうやらそうではないようです。狂っているようです。我我連邦議会に対して「我々は神の軍隊だ」と名のっているそうです。「この汚れた世界を浄化するために全世界につかわされた者である」と言っているそうです」「神から遣わされたキメラ獣どもか!」マーカス大佐は、武器や装甲車、戦闘ロボットなどと一体化した生物、武器生物を想像しぞっとした。しかも人間の部分は特殊部隊なのだ。「その連絡はどんな経路で」「デスーソーンの監視塔の一つに届けられたそうです。それも鳩によってです」「わかった詳しいデータがはいりしだい又、連絡してくれ」マーカスは電話を一度切り、机の引き出しから別の電話をとり出した。相手はすぐに出た。「リヂャード=コーヘン、大変な事になった」その腕もて闇を払え第10回(1980年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.14
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ラッキー植松先生は、山田企画事務所の協力作家です。ラッキー植松先生にマンガの描き方を書いていただいております。(無料)英語 中国語版があります。ご覧ください。http://www.yamada-kikaku.com/lesson.html http://www.yamada-kikaku.com/en/lesson-1.html http://www.yamada-kikaku.com/cn/lesson-1.html http://www.yamada-kikaku.com/tw/lesson-1.html
2021.07.13
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/60/ロボサムライ駆ける■第59回■地下大空洞の中、新生ゲルマン帝国のクルトフが聖騎士に命令する。 ロセンデール卿がなくなった今、戦いは無用だというのだ。 徳川公はじめ皆が同調する。ロボサムライ駆ける■第59回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 血闘場(6)地下大空洞に新たな声が響き渡っている。「皆、剣を下げよ。これ以上の戦いは無用だ。シュトルフくん、全員に命じろ」意外なことにクルトフが命令していた。「しかし、クルトフ様」シュトルフが抗弁しようとする。「だまれ、シュトルフくん。ロセンデール卿がなくなった今、これ以上は無用だ。我々はもう空母も機械城もないのだぞ」「そうです。公式には日本と新生ゲルマン帝国は交戦していないのです」徳川公が言葉を継いだ。「我々としては心柱が目覚められた現在、わざわざことを荒立てる必要はない」クルトフが再び命令していた。 関西都市連合の斎藤も一言加える。「それゆえ、我々は武装を解除します。よろしいな、シュタイフくん」クルトフが厳命する。「はっ。クルトフさま」シュタイフは渋々命令に従う。聖騎士団は、武器を下げた。シュタイフの胸の内にはにがいものが込み上げてきた。『ロセンデール卿殿下、お許しください。私はあなたをお守りできませんでした。このクルトフめは、新生ゲルマン帝国一三人の諸公のうちの誰かから、ロセンデール卿殿下を滅ぼすために遣わされたに違いないのです。その証拠を握ることはできませんでした。ロセンデール卿殿下、この敵は必ず…』シュタイフは、心の中で誓った。(続く)■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(6)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.13
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/59/ロボサムライ駆ける■第58回■過去・新タイプロボットを研究のリヒテンシュタイン博士に姉妹リキュールとマリアは実験体になって。ロセンデール卿に父と姉を殺されマリアは復讐を誓いモンドと共に脱出、日本へ。ロボサムライ駆ける■第58回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 過去「リキュール、何をしておるのじゃ」 怒りの声が女に飛んでいる。 リヒテンシュタイン博士は、自分の実験室で資料をまさぐっている我が娘を発見していた。リヒテンシュタイン研究所は、博士が自身がロボットでありながら、新しいタイプのロボットを研究していることで、世界でも有名であった。「ま、まさか、リキュール、お前、私の発見をロセンデール卿に…」 少し考えていたリヒテンシュタイン博士だが言う。「わかったぞ、今までロセンデール卿に情報を流しておったのは、お前だったのか。我が娘だとは気付かなかった」「今頃、気が付いたのですか、お父様。まあ頭の古いタイプのロボットのお父様としては仕方がないですわね」「何を言う…」 階下での二人の大声の、ののしりあいを聞き付けて、登場するのはリキュールと双子ロボットであるマリアであった。「いったい何があったの」 研究室で睨み合っている二人のロボットに気付く。「お父様。まあ、リキュールお姉様もどういうことなの」「マリア、このお前の姉リキュールは裏切り者なんじゃ。ロセンデール卿に秘密を漏らしておったのじゃ」 リヒテンシュタイン博士は怒りにまかせて、リキュールを非難する。「どうして、お姉様」 マリアはリキュールに目を向けた。「どうしてですかって、マリア、お前はあの主水とかいう東洋のロボットにううつを抜かしてしまって目が見えなくなってしまったのですか。今の世界をご覧なさい。早く世界を統一しなきゃあ、大変なことになってしまうのですよ」 妹のマリアの方を向いてリキュールは毒ついた。「それとロセンデール卿に秘密をしゃべることは関係があるのですか」「この娘はロセンデール卿にたぶらかされおって。よし、今からロセンデール卿の屋敷に行こう、お前は留守番だ、マリア」「でも、私もいったほうが…」「いい」 それが、マリアが生きている二人を見た最後だった。二人は邸から出て行く。悲劇はこの後おこった。二人の遺体がロセンデール家から送り返されてきた。『ロセンデール卿の屋敷当家に侵入しょうとして何者かに殺害された』との添え書きつきで。 ロセンデールが、リキュールとリヒテンシュタイン博士を殺したのか。それははっきりとはわからない。 マリアは博士とリキュールの遺体を前に復讐を誓う。「お姉様。いい、あなたの記憶を私の電子頭脳の一部に移植するわ。だから、私は今日からマリア=リキュール=リヒテンシュタインとなるわ。ロセンデール卿、覚えてらっしゃい。きっと父の恨み晴らして見せるわ」■「マリアどうした。なぜそんなに嘆き悲しんでいるんだ」 主水がリヒテンシュタイン博士の屋敷を訪れていた。「主水…、屋敷にもっと早くきてくれれば……」 主水の胸元で泣き崩れるマリアだった。「お父様とお姉様が…、ロセンデール卿に滅ぼされたの」「が、リキュール殿はロセンデール卿の…」「そう、姉はロセンデール卿の愛人ロボットだった。でもこの状態よ」「ルドルフ殿下に訴えれば…」「だめよ。証拠がない。それに、ロセンデール卿はルドルフ殿下のお気に入りだもの」「おのれ、ロセンデール卿め、この恨みはらさいでか」「復讐は、ロセンデール卿が他の国にいるときでないと…」 が、主水とマリアは、とうとうロセンデール卿の屋敷まできてしまっていた。ロセンデール卿の館は中世の城を模して作られている。回りに堀が巡らされている。「ロセンデール卿、姿を見せろ」 主水は長い間叫んでいた。やがて、ロセンデール卿が城壁の上から姿を見せた。「おや、これはこれは私の愛しいザムザ卿を滅ぼした黄色いロボットではありませんか。それに黄色いロボットにくっついた裏切り者では…」 ロセンデール卿の嘲りの言葉に、急にマリアが珍しく、癇癪を爆発させていた。「ロセンデール卿、降りてらっしゃい。父と姉の敵…」「おやおや、麗人マリア、どうかしたのですか。そんな怒りは体によくありませんよ。私があなたの博士と姉を殺したですと…。間違ってもらっては困ります。 二人は、私のこの屋敷に不法侵入しようとしたのです。それ故、自動装置が働き、二人を焼き殺してしまったのです。事故ですよ。事故」「ロセンデール卿、覚えていなさい。この敵、必ず打って見せます」「おやおや、マリア。恐ろしい表情ですね。あなたの姉リキュールはいくら怒ったって、このようなお顔は見せませんでしたよ」「止めなさい。私の姉を嘲るのは」「主水くん、よろしいですか。愛しい者を失ったものの痛みがわかったでしょう」 ロセンデール卿の青い目に冷たい光が宿っていた。騒ぎを聞き付けてルドルフ大帝の親衛隊が駆けつけ、とりあえず収まったのであるが。ロセンデール卿は次々と刺客を二人の身を襲わせた。それ故、二人は新生ゲルマン帝国より逃れたのである。がしかし、早乙女モンドは リヒテンシュタイン博士が、新しいロボット、流体ロボットを完成させてこの姉妹の体に埋め込み適応させているとはしらなかった。(続く)■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(5)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.12
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/58/ロボサムライ駆ける■第57回過去・早乙女主水はゲルマン帝国への留学ロボットの過去を思い出す。マリア姫をめぐりザムザ卿と対決した。その折に ザムザ卿の友人ロセンデール卿と出会う。ロボサムライ駆ける■第57回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 過去(1)■ロボサムライ主水は過去を思い出していた。三年前、主水は大帝の前に膝を屈していた。「そちがロボサムライ早乙女主水君か。日本徳川公国からの留学ロボットか」 ルドルフ大帝が尋ねた。 ルドルフ大帝の宮殿接見であった。「さようでございます」 側には心配そうな顔をした、マリア姫が佇んでいた。「本来ならば、朕は黄色いロボットなど会いたくはないのだがのう」 ルドルフ大帝は主水を見下すようにしゃべった。ルドルフ大帝は黄金のいすに座っている。ここは新ベルリン、ルドルフの宮殿、謁見の間である。 霊戦争後、ヨーロッパの大国となったのは、ルドルフ大帝率いる新生ゲルマン帝国である。このルドルフの宮殿は、ヨーロッパ各国から贈られた美術工芸品で一杯だという。美的センスにおいてはヨーロッパ一だと思われていて、本人にもそう思っている耽美王である。財宝には眼がないのだ。「おまけに、そちはこのリヒテンシュタイン卿の姫君マリア=リヒテンシュタイン嬢を嫁に迎えたいというのか」 黙って膝を曲げているだけの主水である。「これ主水とやら、返事をせぬか」 宮殿の誰かが声を掛けた。「さようでございます、殿下。ぜひともマリア=リヒテンシュタイン姫を我が妻に」「が、貴公も知っておろう。マリア姫は、すでにビスマルク卿の息子ザムザくんと婚約しておるのだぞ」 主水はルドルフを見上げた。「それも充分承知しております」 主水はキッとして答える。「ほほう、充分だと。どれくらい充分なのかな。では、マリア姫を掛けて、ザムザ=ビスマルク卿と対決するかな」 ルドルフは主水の胸を内を探るように尋ねた。「……」「どうじゃ。返事をせい」 その時、宮殿に急ぎ走り込んできたロボットがある。「大帝、黄色いこやつが何と言おうと決闘させて下さい」 金髪で、力強い顎、冷徹な青い眼、鷲鼻、おまけに二メートル二〇はある巨身。ザムザ=ビスマルク卿である。「この東洋の黄色い猿ロボットに、むざむざ婚約者を盗まれたとあっては我が家の名誉にかかわります。大帝、どうか決闘をお許し下さい」 息せききって言うザムザ卿であった。「どうじゃな、主水。もし、この決闘の申し出を受けなければ、東洋の卑怯者として貴公の名は長く我が国の歴史に残るであろうよ」 ルドルフはひじ掛けに手を当て、足を組み、ゆっくりと言った。主水をけしかけているのだ。「主水くん、決闘だ」「主水、どうか、私のために決闘しないで。卑怯者と言われてもいいではないの。あなたがいなくなることが恐い」 側にたたずんているマリアが嘆いていた。「決闘しないというならば、私がマリアを殺すぞ」 ザムザ卿がマリアを抱き抱えていた。ゆっくりと剣を抜く。「これ、ザムザ卿。大帝の前であるぞ。何をしでかすザムザ。恋の嫉妬に目が眩んだか」「いえ大帝、失礼をお許し下さい。ヨーロッパロボットが、この東洋ロボットに辱めを受けたこと、許しがたいのです」「決闘せざるをえないな、ザムザ卿」 主水がザムザの方をキッとにらみつけ、ゆっくり言った。■決闘場所は、新ベルリンから離れた田舎の都市、新ハイデルベルグである。決闘の町として有名であった。決闘場には、すでに噂を聞きつけて多数の観客が詰め掛けていた。新ハイデルベルグ/スタジアムの真ん中で二人は対峙しているのである。正式な決闘のため、ルドルフ大帝が帝国の検査役人を遣わしていた。東洋のロボットを見ようと、人々は詰め掛けていたのである。二人の一挙一動にスタジアムから歓声が上がっている。空は決闘日和に、雲ひとつなく晴れ上がり、新マイン川からの澄み切った風が二人の体をなでていた。二人は長い間睨み合っている。「主水くん、容赦はしないぞ」「ご同様だ。ザムザ卿」 叫ぶやいなや両者は中央に躍り出た。ザムザ卿の初のひとたちが、主水の額を切った。「おおっ…」 という叫び声が観客から上がる。「ふん、口ほどにもないのう、主水くん」「あっ」「主水くん、容赦は無用」 叫ぶや「あっ」 マリアが眼をつぶってしまった。「マリア姫、眼をつぶるな、君の愛しい主水くんが我輩の手で倒れるのを見ろ」 勝ち誇るザムザ卿。瞬間、ザムザ卿にすきが生じる。それを見逃す主水ではない。「と-つ」 その慢心の笑みの顔真ん中を主水の刀ムラマサは突き抜いていた。「うわっ…」 観客のさざめきが主水の耳にも届いた。新ハイデルベルグ/スタジアムは総立ちである。その時、スタジアムに何かが侵入してきた。「ザムザ卿!何という姿だ。美しい君にふさわしくない無様さだ」 大きな悲鳴が、主水の背後から聞こえた。「この黄色いロボットくんめが、私の愛しいザムザくんを…」 主水は、クサナギ剣を、ザムザ卿の顔から引き抜き、声の主の方へ振り返った。スタジアムに無理やり白馬に乗ったまま入場したやさ男が、にくしみの青い目で、主水を睨んでいる。怒りのオーラがそのあたりに満ち満ちていた。男はゆっくりと白馬から降り、ザムザ卿の体を抱き上げ、ほおずりした。「ザムザくん、さぞ、さぞつらかったろう」 そして、再び、主水の方を向いた。「主水くんとやら、今度は私が相手だ」 まわりの観衆やら、宮廷の人々が止めに入った。「お止めください、ロセンデール卿殿下。これは正式の決闘なのです」ルドルフのつかわせた帝国の血糖監視役人が止めにはいる。「いや、なりません。こんなことがあっていいものですか。この黄色いロボットに一太刀打ち付けねば…」「ロセンデール卿とやら、存分にされよ。受けて立ちましょう」「主水くん、東洋の黄色いロボットくん、この新ヨーロッパの競技場で黄色いあなたが、何をいっておられるのですか。この競技場の土の上に転がるのはあなたですよ」 それがロセンデール卿との初めての出会いであった。(続く)20210710改定■ロボサムライ駆ける■第七章 過去(1) 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.10
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2021.07.08
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/57/ロボサムライ駆ける■第56回早乙女モンドの妻マリア・リキュールは、ゲルマン帝国の秘密兵器・流体ロボットだった。リキュールはロセンデール卿の頭脳を持ち、古代大和湖へダイブする。追うはサイ魚法師の潜水艦。ロボサムライ駆ける■第56回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyouube manga_training■第七章 血闘場(4)「今頃気がついたのですか。そうよ、私はルドルフ大帝の秘密兵器。三人の流体ロボットの一人です」早乙女主水の奥方であったマリア=リキュールの声がこだます。「ロセンデールの頭脳さえあれば、私たちのグループは再建できる。油断大敵よ、主水」「くっ、マリア=リキュール、最後の最後まで私に逆らうのか」「流体ロボットめ、もう一度これを食らえ」側で見ていた夜叉丸の鉾が、再びマリア=リキュールに投げ付けられる。が、今度は鉾はマリア=リキュールの体を突き抜ける。空気のようにマリア=リキュールは立っている。「これはどうした事だ」 夜叉丸がうめいた。「誰も私を傷つけられないのよ。私の体は特別製なんだからね」「博士、あのロボットは」 横で徳川公廣が足毛布博士に聞く。「ヨーロッパには三体あると聞いておる。異星の生体金属でできたロボットなのじゃ。ルドルフの特殊兵器だ」 マリア=リキュールはロセンデールの首を取り上げ、髪の部分をつかみ、祭壇から古代大和湖ヤマトコへダイブした。大きな水音が響き、水面を波打つ。「マリア=リキュール、待て」 古代祭壇の上から叫ぶ主水だった。 マリア=リキュールが消えた大和湖を見つめ続ける主水。膝をつき、うなだれている。「主水、どうする。我々の潜水艦があれば追いかけられるぞ」 側で見ていたサイ魚法師が、呼びかけた。「やめてくれ、サイ魚法師。マリア=リキュールを逃がしてやってくれ」 呆然とした顔で主水が言う。理屈に合わぬことを、主水は口走っていた。「しかし、ロセンデールが復活するかもしれんぞ」 なおも、執拗にサイ魚法師は言う。「もういい、サイ魚法師、申し出は有り難いが彼女のことは忘れたい。今はこの目の前のことを収めたいのだ」 主水の目はうつろだ。「すまぬが、ここではお前のいうことはきけん。さらばじゃ、主水」 サイ魚法師は、マリア=リキュールを追って、潜水艦に戻り、湖に潜行する。サイ魚はマリア=リキュールを追うつもりだ。ロセンデールに対する恨みがあるのだ。「頭、いずこへ」 乗組員は、戦いの様子を観戦していたのだが、急に法師が戻ってきたのでびっくりしている。「あの女ロボットを追え」「ラジャー」 潜水艦「水鏡」は急速に潜水する。『まて!まて!マリア、いやリキュールか。いい、どちらでもよい。なかなかよい女ではないか』 サイ魚法師は心の中で考えていた。『無駄ですよ。サイ魚法師』 どこからか、声が聞こえてきた。「そ、その声は…」『私は流体ロボット。この水中では、あなたがたの潜水艦よりももっと早く走れますからね』「ふふっ、物事はやってみなければ気が済まないたちでな、我輩は」『では、勝手にしなさい』「そう、勝手にさせてもらう」(続く)■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(4)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyouube manga_training
2021.07.08
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SYその腕もて闇を払え(1980年作品)クロスは、我妻と子を奪われコーヘン財閥に復讐を誓う。20年後隕石が落下、地球生態系が変化、疫病が。デスゾーンの研究中の娘カレンを助けにクロスが呼び戻される。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3784gq/9/その腕もて闇を払え第9回 クロスは、意識を取り戻し、逃げ込んだ家の家事ロボットPoP205と合体したキメラ獣と化した自分を発見する。が彼は娘のカレンのためにデスゾーンを前進する。その腕もて闇を払え第9回(1980年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■2071年、10月デス=ゾーン内デスーソーン侵入 第一日目クロス・クライストは目ざめた。まだクロスの意識であることに間違いないようだった。突然の寒気に襲われ。家の入口で倒れていたはずだったが、今はベッドの上に横たわっている。高熱のあとの冷たい汗が流れている。視覚にも異常はないようだった。まず最初に自分自身の全身を見たいという欲望がおこった。マーカス大佐と共に、細菌研究所内で見た異形のものを思い出していた。あれは人間でありながら人間の態を成してはいなかった。自分もそう。なっているかと思うとそっとした。部屋の中で鏡を探してみる。自分自身の顔をみたかった。自分自身はどんなに変化しているのだろう。できる限り、驚きはがまんするつもりだった。いずれにしてもクロスは、後戻りはできない。総てはカレン=コーヘン、わが娘のためなのだ。意識がまだ自分自身のものであるという一点だけでも。もうけものと思わなければなるまい。がクロス・クライストの頭の中にもう一つうりすらとしたものがあるような気がする。心の奥底に感じるのだ。第一期症状があらわれたため、近くへ飛び込んだ、はずみのデスゾーン内の家だったが、ゆっくり見渡すと、かなりの邸宅らしい。鏡はやっとのことで見つかった。ワードローブの部屋のようであった。みた。信じられない。目をつぶった。そしてゆっくり目を開いて見る。やはり元の人間の体ではなくなっていた。まるでキメラだ。つなぎあわせの怪獣だった。機械と人間の合成体だった。瞬間、スライドしたように、別の意識がクロス・クライストの頭の中にはいってきた。『君はだれだ』『私はあなたですよ』その意識は答えた。『では以前何物だったのだ』『家庭用執事用ロボットPoP205です』「それがなぜ私の意識の中にいるんだ」「これは心外です。私の体はあなたの体でもあるのですよ」今では 意識は思考の流れとなりクロス・クライストの頭にしみこんでいく。「私はあなたと合体してしまったのです。私の意志ではもちろんありません。この家の御主人や御家族が亡くなって、命令する人もなくこの家を守っていたのです。そして昨日、あなたがこの邸へ突然おみえになって、玄関の所で倒れたのです。大変な熱でした。私はロボットですから、当然、人間を助けるようにプログラミングされています。それゆえ、あなたをベッドにお運びしたのはこの私なのです。私の方こそ、驚いているのです。あなたの体の体温がどんどん熱くなり、急に発光したかと思うと、突然私の体があなたの体の方へとわけのわからない力でひっぱられたのです。ロボットの私が瞬間、気絶していたのです。意識がとぎれてしまったのです」『それで、気がついてみれば、俺と合体していたわけか』『そうです」 クロス・クライストの肩からもう一対のロボットの腕がにょっきりはえている。顔は上半分はクロス・クライストの顔なのだが、下半分はロボットの顔だ。胸のあちこちから計器類がのぞいている。足は鋼鉄製になっていた。心臓はどうやらクロス・クライストのものらしい。「くそっ、これからずっと相棒ってわけか」「そういう事です。理論的にいってそうなるより他に方法はないでしょう。この合体した体が分離する事ができるまでは。しかし考えてごらんなさい。あなたも幸福な方ですよ。私みたいな有能なものと合体できて。近くの家などでは、ある方は家にある金庫と冷蔵庫と同時に合体融和されて動けなくなり、自然体の方が栄養がいきわたらず、餓死されたのです」『しかし、これじゃ見世物だぜ』「クロス・クライスト、考えがあやまっています。この地域デスーソーンではこれがあたり前なのですよ」クロス・クライストはマーカヌ大佐の言葉を想い出していた。「デス=ソーンはまるで死の地帯のように思われているが、そうではない。一つの新しい世界なのだ。地球に異なる二つの世界が存在していると考えてもらっていい』「異世界か」クロス・クライストは独りごちた。まるで、おとぎ話か、絵本の世界か と思う。「さあクロス・クライスト、急がなくてはいけませんよ。日数は限られているのですから」「何だって」『あなたの娘さん、カレン・コーヘンを助けださねばならないのでしょう』「なぜ、それを知っているのだ」「クロス・クライストさん。私はあな大の一部、あなたも私の一部なのですよ。あなたの情報は全部、私は読みとりました。おいおい私の全情報もあなたの意識に送り込みましょう。私の情報量は、すばらしいものですよ。驚かれるはずです』探査トレーラーは、家の前にまだ放ったらかしになっていた。誰もさわった形跡はない。■トレーラーにやっとのことで乗り込むクロス・クライストをながめている四つの眼があった。「どうやら、あっちの世界からやってきた奴のようだな」「おかしい。あっちの世界から人間がはいってくるとは考えられん」「しかし、あの探査トレーラーは、一昼夜放り離しだった」「よし、目的はわからんが。後をつけてみよう。かなりのガソリンを積んでいるようだな」「そうだ。お前はチーフに・知らせ、指示をあおげ」「わかった」 彼はそこから音を立てて走り去った。彼には足がなかった。体の下は車輪だった。人馬のように、体の下がオートバイの車輪部とエンジンで構成されていた。彼らはデスゾーンで「ソク」と呼ばれていた。■「POP、RM計画施設の位置がわかるかね」家庭用執事用ロボットPoP205のことをクロスの意識はPOPと呼んだ。「あなたのデータと合わせて判断してみると、恐らくラインシュタイン城の近くの地下だと思われます』「ラインシュタイン城だと。ここはアメリカだぞ。なぜ、城なそがあるんだ」「ドイツから移民して一代で財を成したある男が、ドイツ国内で城を買いとり。それをこの地に移転したのです。自分の富の象徴としてね」『わかった。その方向を指示してくれ』トレーラーは東南へ向い始める。ソクの一人が、そのあとわずかに遅れて後をつけていた。その腕もて闇を払え第9回(20210707改訂)(1980年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.07
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/56/ロボサムライ駆ける■第55回■夜叉丸とロセンデール卿の争いの間隙を縫って、足毛布博士は、早乙女モンドの体を復活させようとした。その復活の瞬間、 早乙女モンドの「クサナギの剣」がロセンデール卿の体を。ロボサムライ駆ける■第55回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 血闘場(3-2)「それではお相手申す。ロセンデール卿殿下」 夜叉丸の姿が急に大きくなったような気がした。「あやつ夜叉丸は、実は霊人間、実体はないのだ。心柱様より遣わされこの落合レイモンが預かった人柱じゃ」 落合レイモンが小さく呟く。「ロセンデール卿、もう後がないぞ」 霊人間である心柱の使いでもある夜叉丸が呻いた。「まだまだよな、私は負けるわけにはいかんよ。夜叉丸くん。我がゲルマン帝国、ルドルフ大帝のためにもね」「さあ、夜叉丸くん、落合レイモン殿を見たまえ」ロセンデール卿の長い演説の間に、落合レイモンをシュトルフがつかまえていたのだ。「夜叉丸くん、君の泣きどころは、落合レイモン殿でしょう」「くそっ、ひきょうだぞ。ロセンデール卿」 ロセンデール卿がロボサムライ主水の方へ走り込み、倒れている主水の首にサーベルの切っ先をつける。「夜叉丸くん、君のような、化け物は私が相手にするより、他の人間に相手をさせます。わたくしの柄ではないです。その前に、主水君、ねえ。君の生命の流れを止めてあげましょうか。私一人が死ぬ訳にはいきませんからねえ」「やめろ、やめるんだ」対決の様子を見守る群衆の中から飛び出して来る男がいる。足毛布アシモフ博士だった。見る間に主水の体に取りすがっている。「早乙女主水モンドは、、私の。。。息子なのだ。。いや息子以上の存在なのだ」 先刻とは足毛布アシモフ博士の顔色が変わっている。「助けてくれ、お願いだ。変わりに私を殺せ」 足毛布博士は、主水の上に覆いかぶさり庇う。ロセンデール卿に対して睨みをきかす。「おやおや、茶番劇のシーンですか?ふふ、美しい親子の愛情ですねえ。ロボットと人間のねえ。だが、足毛布博士、ロボサムライ主水君一人を助けたところで、この世の流れは変わりませんよ」 ロセンデール卿は二人をコバカにしている様子だ。足毛布博士は、ロセンデール卿の演説のおしゃべりを聞きながら、気付かれぬように、主水の胸のある一点を、指で押していた。嘘のように、主水の意識が急に回復する。主水の渾身の力がみなぎって来る。どうやら、ロセンデール卿の長挨拶のどさくさに紛れて、足毛布博士は主水の体にある、足毛布博士しか知らぬロボット自体の回復スイッチを押したようだ。「足毛布博士、よろしいですか?おどきください。あなたを殺す訳にはいきませんからね。あなた足毛布博士はこれからのヨーロッパ奴隷ロボット制確立にかかせない方ですからね。主水君をここでやれば、しょせん、後の反乱ロボットくんたちは烏合の衆です」「それができるかな、ロセンデール卿殿下」 足毛布博士がにやりと笑い、主水の体から撥ね跳んだ。その瞬間、主水が、手にするクサナギの剣を力強く掴み、すっくと立ち上がっていた。「主水くん、き、君は、、なぜ」 あまりのことに驚くロセンデール卿。瞬間、ロセンデール卿に隙が生じる。「と…っ」 渾身の力を込めて、主水はクサナギの剣を、ロセンデール卿に振り下ろす。クサナギの剣が、ロセンデールの首と胴をみごと切り離していた。鮮血が飛び散る。ロセンデールの赤い血が、古代神殿の祭壇に花のように咲いたのだ。そんなばかなという顔を、ロセンデール卿の体はしてよろけた。その顔は驚愕の表情だ。ゲルマンの剣はロセンデール卿の手からゆっくり離れ、床に突き刺さる。「ロセンデール卿を、我は仕留めたり」 主水が叫ぶ。右手高くクサナギの剣が差し上げられている。が、ロセンデールの首が床に落ちる一瞬、それを拾いあげた者がいる。マリアだった。「う…」人々の間からどよめきが上がる。皆が築かぬ間に爆破されたマリアではなく、マリア=リキュールが復活していた。「マリア=リキュール、お前、まさか、、、流体ロボットか」 主水が信じられないものを見るように言う。(続く)20210707改訂■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(3)ロボサムライ駆ける■第55回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.07
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SYその腕もて闇を払え(1980年作品)クロスは、我妻と子を奪われコーヘン財閥に復讐を誓う。20年後隕石が落下、地球生態系が変化、疫病が。デスゾーンの研究中の娘カレンを助けにクロスが呼び戻される。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3784gq/8/その腕もて闇を払え第8回デス=ゾーン境界の橋上、連邦軍ゾーン探索トレーラーに乗るクロスを橋と車の爆破が襲った。橋を渡りきると細菌デロスの変態作用が急に発生。人間の体からの変貌の始まりだ。その腕もて闇を払え第8回(1980年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■2071年、10月デス=ゾーン境界線の橋上クロス・クライストは思いきり、体を前後にふり、いきおいをつけ、橋の上へとびあがろうとした。が二振り目で、アンテナが真中から折れた。体は空にあった。 クロス・クライストは体をひねり、橋げたへ飛ぶ。へぱりつこうとするが、すべり落ち、足先が瞬間川につかり。靴の先が硫酸焔で溶けてなくなっている。 車から落ちてきた内容物のしぶきがクロス・クライストの防護服にかかり、じゅっと音をたてて。溶解する。ゆっくりとクロスは橋げたをよじ登っていく。ようやくのことで橋の上に立つことができた。硫酸で腐蝕され始めた服をぬぎすて、軽装になる。地球連邦軍所属の探索トレーラーを直しゆっくり、バブクさせ。橋の中央部分にもどした。車と橋をゆっくり調べ始める。後を振り返っても地球連邦軍所属の監視塔は立ちのぼる湯気の中でかすんで見えはしない。 車の下部シャフトのそぱと、橋のアスベストの上に小型の爆弾がしかけられていたようだ。トレーラーがその上を通ると同調して、爆発するようセットしてあったらしい。誰かが仕掛けをしていたのだ。恐らく監視塔の男がやうたのだろう。リチャード・コーヘソの反対陣営の奴らに扇われたのだろ。うか。クロス・クライストはゆっくりと右手をみた。この苦労の賜物である右手はロボットアームであり、病気はどういう影響を表わすのだろうか。体全体に寒気がした。それは降りつづく雨のせいかもしれない。クロスは橋の上からもうI度もとの世界をふりかえる。もう、人間の姿では帰れない場所だ。まだ同じような爆発物が2つや3つあるかもしれなかったのでゆっくりとトレーラーを動かした。 橋をやっとのことで渡り切った。橋をすぎ、1キロほど行くと、アメリカの典型的な町の広場があった。雨やどりできる廃屋をクロス・クライストはさがし始めた。くち果てた町並がまだ残っていた。うち続く雨。寒気が再びてクロスの体を、急におそった。いけない。細菌の変態作用が始まったのかもしれない。クロスは手近かにある無人の家にはいる。突然。クロスは、体が燃えあがったような気がした。病気の第一期症状がやはりあらわれたのだ。体の変態作用だ。人間以外のモノになる。恐れがクロスを襲う。しかしクロス・クライストは、その家の床に倒れて、意識が遠のいていく。そいて、今クロス・クライストの新しい精神の旅が始まろうとしていた(つづく)20210706改訂その腕もて闇を払え第8回(1980年)「もり」発表作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2021.07.06
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/55/ロボサムライ駆ける■第54回■早乙女モンドの妻マリアは倒れ、別の人格マリア・リキュールと自ら名乗り、ロセンデール卿の味方と言う。霊能師・落合レイモンは使番・夜叉丸にリキュールを退治させようと。ロボサムライ駆ける■第54回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 血闘場(3)「マ、マリア」 ロボサムライ主水は倒れて身動きできない。「ああ…、マリア…」「ねえさん」 思わず、鉄が倒れた奥方マリアの方に走っていく。マリアの体に触る。その時、鉄の脇腹に何かが突き刺さった。電磁ナイフである。そのナイフは、マリアの手から鉄の腹に深々と突き刺されたのだった。「うっ、ま、まさか、ねえさん」 信じられないものを見たような鉄。「そうです、今頃気がついたのですか」 マリア、いやリキュールは、ゆっくりと起き上がる。「今までのすべての情報はそれじゃ…」 つぶやく鉄。膝をつき、苦しげに鉄はマリアを見る。「そうです、私リキュールの方がロセンデール卿に伝えてたのです」「そ、それじゃ、あんまり主水のだんながかわいそうだ」マリアは、マリアとリキュールの二重人格ロボットだった。「黄色いロボット風情から、そんな言葉は聞きたくないですね」 マリアの別人格リキュールは、「それから、私を姐さんと呼ぶのも気に食わないのです。私の嫌いな黄色いロボットからねえ」 と言い置いて、握っている電磁ナイフのつかをぐっと押した。電磁波が、鉄の体を貫く。ビクッビクッと鉄の体が動く。恨めしげに鉄がマリアの顔を見上げる。「ねえさん、そいつはあんましだ…」 鉄の下半身が吹き飛んで転がる。「鉄…」 主水が唸る。「夜叉丸、マリア=リキュールを倒せ」 観客のように様子を見ていた人間の中から声が上がる。 霊能師・落合レイモンが夜叉丸に命令していた。「御前、わかり申した」 夜叉丸が、背中から「鉾」を引き抜いて、祭壇に立っていた。「異国の女ばら、私が退治してくれよう」「ほほう、霊能師に私淑する魔道師風情が何をおっしゃる。私の腕をとくとごろうじろ」「マリア」倒れた主水が、とぎれとぎれにしゃべる。「ふふん、気安くお呼びでないですわ、このアジアの黄色いロボット」「お前…」 冷や汗がしきりと主水の顔を流れ落ちる。「ふふ、そのとおり。彼女リキュールは、昔から我々聖騎士の一員だったのですよ、主水くん」 後ろから、リキュールの肩を抱き、ロセンデール卿が勝ち誇って続ける。「貴様、先刻…。くそっ、背後で糸を引くのは、やはり、ルドルフ大王か」「陛下を、呼び捨てにしないでください!主水くん」 ロセンデール卿のハンサムな顔は赤くなる。「そうよ。我がルドルフ大王は、ユダヤの血と黄色い血が一緒になって、白色帝国を脅かされるのを嫌っておいでなのよ」 リキュールは吐き捨てるように言った。「夜叉丸、薬剤タンクを投げろ」 傍観していた霊媒師落合レイモンが、部下の夜叉丸に、自分の薬タンクを示した。薬タンクは、霊媒師落合レイモンのいわば、生命維持装置である。「ですが、御前」「よい、このさいじゃ。後は何とかなろう。心柱をあやつらヨーロッパ勢に取られては後の祭りじゃ。まず、わしの体をより、あやつらを倒すことじゃ」いつもは強気な落合レイモンも青い顔をしていた。「それでは、御前、許されよ」夜叉丸は、そう叫び、レイモンの背中に張り付いている薬剤タンクを掴み、神殿の最上段から舞台に向け投げ降ろす。「やーっ」 夜叉丸が、落合レイモンの薬をばらまいた。祭壇、舞台は、薬のほこりでまいあがっり液体があたりを濡らす。「ロセンデール卿、殿下、ここは私にまかせて。この夜叉丸とかと、勝負します」「OK、リキュール嬢、君にまかせようか」 ロセンデール卿はしりぞいた。 夜叉丸とマリア・リキュールが対決していた。「マリア・リキュールとやら、私夜叉丸の鉾は特別なのだ」 夜叉丸は無表情に告げる。「ほう、どこが特別なの。聞かせてほしいわね」「それはこうだ」 夜叉丸が、力を込めて鉾を投げる。意外な展開だった。「何よ、これは」 目の前の出来事をマリア・リキュールは信じられぬ表情で見る。鉾は、十倍に膨らみ突き抜ける。一瞬後、マリア・リキュールの体をばらばらに吹き飛ばしていた。「ま、まさか」 ロセンデール卿が一瞬青ざめた。「日本古来の鉾。この古代都市では、古来から、皆様方の霊気を集めて膨張する」 冷徹に夜叉丸が言う。「そうじゃ、今回はわしの薬で膨張させたのじゃ」「くそ、マリア=リキュールの敵、私が貴様を倒してやる」 主水は祭壇の所で倒れたままだ。 主水は無視され、最壇上はタッグマッチの様相を呈している。「夜叉丸よ、お前の本当の力をお見せしろ」「よろしいので、落合レイモン様」「よいよい、夜叉丸、少しは皆を驚かせてやれ」 霊媒師落合レイモンは、この古代神殿の舞台で甲高い声で言った。(続く)20210706改訂■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(3)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.06
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滋賀県高島市乙女ヶ池 太鼓橋 otomegaike pond,takashima,shiga.by iphone11.
2021.07.05
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動く動画背景の作り方:無料ソフト9VAeきゅうべえ9VAeダウンロード>> http://9vae.com/解説記事>>https://dnjiro.hatenablog.com/entry/color-heart
2021.07.05
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9va(きゅうべえ)は、アニメ作成フリーソフト(無料)です。パソコンやタブレット(ipadなど)を急に手にされた学生やご家族の方、どうぞお使い下さい。完全に無料です。使い方で不明な場合「yahoo知恵袋」などを検索してください。9vaは、1日で6500もダウンロードされることもあります。英語版、中国版の説明があります。●山田企画事務所は数年にわたり、配布・セミナーに協力してまいりました9va-win(きゅうべえwin)は、アニメ作成フリーソフト'9VAe'きゅうべえのWindows版です。http://9vae.com/ja/ 9VAe(きゅうべえ)は、Macintosh用アニメGIF/動画(MOV/QuickTime)作成フリーソフトです。http://9vae.com/ja/mac.html 9VA-pi(きゅうべえ)は、 Raspberry Pi用アニメGIF/EVA 作成フリーソフトです。http://9vae.com/ja/raspberry-pi.html
2021.07.05
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/54/ロボサムライ駆ける■第53回神殿祭壇で「クサナギの剣」を持つ早乙女モンドと、ゲルマンの剣を持つロセンデール卿が対決。しかし決闘中、モンドが、ロボストレスにて倒れ、モンドの妻マリアが助けようとするが。ロボサムライ駆ける■第53回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 血闘場(2)「この古代の神殿祭壇の上が勝負どころぞ」 徳川公国、侍ロボット早乙女主水もんどは叫んでいた。バイオコプターが着地し、ロセンデール卿が神殿祭壇にゆっくりと華麗に降りる。「舞台にとって不足なしですねえ。早乙女くん、素晴らしい死に場所ですよ。幸運あれ。わたしはこのゲルマンの剣で戦います。我が神ゲルマンに祝福あれ」 ロセンデール卿の顔も晴れ舞台での戦いであり、上気している。「他のかたがたは戦いはおやめなさい。我々をごらんあれ。主水君とわたしロセンデールの決闘ですべてが決します」ロセンデール卿の青い目がキラリと光る。 大空洞の外から、急に稲光がひらめく。ガーンという言葉が後から響いて来た。「主水君、貴公をこの刀のさびにしてくれましょうね。それはそれはとても名誉なことですよ。主水君」 ロセンデール卿はゲルマンの誇りを胸に、戦いに望んでいる。 電磁サーベル、ゲルマンの剣を抜き放つ。「では、まいりましょうか、主水君」 再び、稲光がひらめく。光が回りに満ちた。 剣からは、またクサナギの剣とはことなる威力がある。「この戦い、望むところ。クサナギの剣の力、お見せする」 主水も、剣を抜く。ぴしーんと広場に霊気が放たれた。「だ、旦那は大丈夫ですかね、ねえさん」 鉄は、びびって隣にいるマリアに尋ねる。マリアは普通に戻っていた。「私にだってわかるものですか」 ロセンデール卿はマリアの方を見てにこりとする。「主水君、君が倒れれば、レイモン殿もマリアくんも刀のさびにしてあげましょう。心して打ちかかっていらっしゃい。私は、我が聖騎士団の者ほど、腕は甘くはありませんよ」 サーベルがビュウと唸った。 ロセンデール卿は、ヨーロッパの剣技大会でもトップレベルの腕だといわれている。 サーベルは突きが基本といわれているが、ロセンデール卿の技は単調ではない。なぎ、払うもテクニック中に含まれている。おまけに手にするは、ゲルマンの剣。古来より伝わる名剣。神聖ゲルマン帝国の守り神である。 戦いは思わぬ方向に進んでいる。主水は防御の構えに入っている。ロセンデール卿が攻勢なのだ。 レイモンにしても、マリアにしても気が気ではない。「えーい、主水ったら、肝心なときに剣技がさえないのですから、だらしがないですわねえ、どうしたのですか」 味方のマリアがいらだち、罵声が飛んでいた。「うるさい、マリア。サーベルとの戦いに対しては、お前ほどではないんだ」 そういった主水の頭がグラリと揺れる。視覚装置がおかしくなった。体のバランスが取れない。「ウ、いかん…」 どうしたことか、主水の持病が肝心なときに出てしまった。「いかん、この大切な時に」 足毛布博士が額に手をあてる。主水の様子に足毛布博士が気付く。「主水の様子いかがいたしました」 徳川公廣が尋ねる。「例の病気がでよった」「えっ、こんなときに……」 徳川公が唸る。 主水に、意識の空白が襲ってくる。「ふふつ、どうしました、どうした、主水君、私の剣技に恐れおののきましたか?」 ロセンデール卿がニヤリと笑っている。「私の腕に恐れで、体が動けなくなりましたか。弱い旗本ロボサムライですね。徳川公」 主水はふらふらし、ゆっくりと右腕が止まってしまう。 意識がフェイドアウト。 その姿のままで、主水はぎこちなくバッタリと神殿の床に倒れた。が、クサナギの剣は、手に握られたままである。「ほほっ、本当に口ほどにもない人ですね。主水君。見損ないましたよ」「主水、危ないわ」 後ろからマリアがすくっと立って、自分の愛刀サーベル「ジャンヌ」を手にしていた。通常は、愛刀サーベル「ジャンヌ」は縮小化しマリアの背中に格納されている。いざという時に「ジャンヌ」は出現する。「いい、ロセンデール卿。ヨーロッパでの恨みを、この日本で晴らします」 マリアの顔はキッと厳しくなっている。「おやおや、麗人マリア君。美しい愛の世界の姿ですねえ。フクシュウシン?! ふふっ、が、所詮、貴君は女ロボットです。現在のヨーロッパチャンピオンの私を倒せるとお思いですか。傲慢の極みですね。ふふっ、おまけにこれは、ゲルマンの剣ですよ。おわかりですか? ねえ、麗人マリア君」「それは、勝負してみてからいってほしいですわね。ロセンデール卿」ロセンデール卿はあることに気付く。「それは、、、そうだ、マリア君、私の目をよく見てごらんなさい」 ロセンデール卿が声高かに叫んでいた。悪魔の表情である。「いかん、マリア。ロセンデールの目を見るな」 主水はロセンデールの狙いに気付く。ころがり、のたうつ主水は、マリアに叫んでいるつもりだ。が、いかんせん、その声は今マリアの耳には届いていない。「まずいのう。マリアの別の人格が浮上するかもしれん」 戦いの様子を見ていた徳川公がポツリとつぶやいた。そう、マリアは別人になりつつあるのだ。観戦している人々から、どよめきが起こる。「別の人格ですと」今度は足毛布博士が尋ねる。「そうなのです。マリア=リキュール=リヒテンシュタインは二つの心を持つロボットなのです。もう一つの心はリキュール。マリアの肉体にあるもう一人の人格」 徳川公はボソボソとしゃべる。「こんな戦いの時に…」 ロセンデール卿の剣が、あっという間にジャンヌの剣をたたきわり、続いてマリアの胸を貫く。マリアは「うっ」 と叫ぶ。「マ・リ・ア」 主水も叫んでいる。 ロセンデールは、ゲルマンの剣を、瞬間にマリアから抜き取る。 どっと祭壇上に倒れるマリア。剣はマリアの体の中枢をついていた。「ふふん、マリア君も口ほどにもありませんねえ。手応えがありませんねえ。折角の、こんな晴れ舞台なのにねえ」 ロセンデール卿はゲルマンの剣をビュウと振った。(続く)20210705改訂■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(2)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.05
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Sロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/53/ロボサムライ駆ける■第52回歴史をかえる「クサナギの剣」が出現。 その剣を抜いて、ロセンデール卿と戦えと 徳川公、アシモフ博士が言う。「運命の七柱」なら抜ける。が早乙女モンドの妻マリアが急変。ロボサムライ駆ける■第52回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 血闘場(1-2)「クサナギの剣じゃ。あれを持つ者は、歴史を変革できると言われておる」 落合レイモンが唸った。「心柱があれを出現させよったか」 レイモンはしきりに感心している。「クサナギの剣をつかうのは、ロボットでも構わぬのでございますか」 徳川公が、落合レイモンに心配そうに尋ねる。「ロボット、人間の区別はない」「主水、どうじゃ。あれを抜いて、ロセンデール卿と戦え」 徳川公廣が言う。「が、お上、もし拙者に抜けますでしょうか」ロボサムライ早乙女主水がたづねる。「あの剣が出現せしこと、まさに、お主が選ばれし者という証拠よ」 祭壇の剣を主水は触ろうとした。逆に剣の方から近づく感じがした。「これは一体…」 主水はその感覚に驚いてしまった。ひょっとして私のICチップには、秘密が。あの運命の七つの星とかいう、意味不明の言葉が何を意味しているのか。剣にもう一度触ることが恐かった。「さあ、もう一度、早く、刀を引き抜いてみよ、主水」 足毛布アシモフ博士が呼びかけていた。『俺からの心からの贈り物を、主水恐れることはない。そちが、『運命の七柱』の一人ならばな…』 ゆっくりと主水はクサナギの剣に触る。手が剣に巻き込まれた。そんな気がした。剣と主水の手が一体化していた。 ずぶりと、剣は祭壇から抜かれる。その瞬間、剣からまばゆい光が射した。「おう…」 ため息ともつかぬ声が見守る人々から漏れた。 主水はクサナギの剣を高々と持ち上げた。主水の胸の真ん中がキラリと光った。「早乙女主水、このクサナギの剣にて戦いもうす」 同じ時、知恵の胸にも同じようにキラリと光った。「こ、これは…」知恵は回りを見渡す。誰も気付いていないようだ。「ワタシも運命の七柱の一人なんか…」「いや、旦那の晴すがた、かっこいいねえ、ねえさん」 が、鉄がみた奥方マリアの眼は異常になっている。マリアは黙ったままだった。鉄は何かそら恐ろしいものを見た気になって、目をそらした。このマリアの急なる変貌には、誰も気付いてはいない。(続く)■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(1)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.03
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/52/ロボサムライ駆ける■第51回近畿新平野の中心が陥没、地下空洞から上空が。徳川空軍飛行船が降下してきていた。神聖ゲルマン帝国のバイオコプターに乗るロセンデール卿に、早乙女モンドが挑む。ロボサムライ駆ける■第51回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第七章 血闘場(1)「だんな大丈夫ですかい」 なつかしい声がロボサムライ早乙女主水の耳元に響いた 「びゅんびゅんの鉄」が急にモンドの前に現れていた。「ありゃ、徳川の殿様もおられる。これりゃ、殿様は誘拐されたんじゃなかったんですかい」「今、解放されたのじゃ」徳川公が答える「じゃ、あっしは、今から殿様を介抱カイホウしますってね」 笑いをとろうとした鉄だったが、まわりの白い目に気付く。そういう雰囲気ではない。「おまえ、どうやってここへ」「へへぇ、だんな、上空をご覧なさいよ」 徳川空軍の飛行船が、主水の視界を占めていた。地下空洞の天上部が抜けて、空が見える。「おおっ、心強いぞ」 徳川公国空軍飛行船「飛天」及び「高千穂」号が降下してきていた。「この殿様がね、心配して後からこれで追えっておっしゃったんで。おまけにロボット旗本組も乗せてきやしたぜ。いやっ、殿様って先見の明がおありだ。が、敵に誘拐されちまってのがどうもね」「もう、鉄さんたら、いいかげんにしなさい。ああっ、主水殿、大丈夫なの」 モンドの奥方マリアも続いて降りてきた。主水の腕の中に飛び込んで来る。 大きな空洞がこの地下古代都市のうえにうがかれていた。「おお、あんな大きな穴がいつできたのじゃ」 主水が抱き着くマリアに尋ねた。「私達の方もびっくりしたわよ。急に近畿新平野の中心が陥没するのですもの」「この飛行船のレーダーが、とらえやしてね。早速に駆け付けてきたってわけでさあ」「ところで、ロセンデール卿はどこなのですか」 マリアが尋ねた。彼女マリアの緑の瞳は復讐に燃えていた。マリアはロセンデール卿との因縁があるのだ。「先刻、逃げ出しおったのじゃ」 そういう二人の前に、上空に、神聖ゲルマン帝国のバイオコプターが現れている。背後には聖騎士団が続々と現れていた。「主水君よ、我々は逃げた訳ではありませんよ。君たちが雁首をそろえて我々の手にかかるために、わざわざ、古代都市が現れるのを待っていたのですよ」 バイオコプターから、ロセンデール卿の顔が見えた。「ロセンデール卿、ひきょうだぞ。一対一の勝負だ。降りて来い」「ふふん、モンド君。君たち日本のロボット風情に卑怯物と呼ばれるのも豪気ですね。その挑戦にのりましょう」「よろしいですか。他の方は手出ししないでください」 ロセンデール卿は同じバイオコプターにいるクルトフら家臣団に告げる。「しかし、殿下、それは」 クルトフが難色を示す。「よろしいのです。私のいうようにしてください」「もしか、お負けになれば……」「ふふ、クルトフ君、君は何をいうのですか?そんなわけがないでしょう、この実力気力十分な私が、こんな田舎の日本のロボットに負けるなんて。何をおっしゃているですか。気分でもお悪いわけですか?」クルトフはほほを赤らめる。「主水どの、大丈夫ですか」 反乱ロボットの長、山本一貫が心配そうにいう。「まかされよ、この舞台は、このロボサムライ徳川直参旗本、早乙女主水の一世一代の見せ場でござる」 ロセンデール卿が、バイオコプターから降りて来た。 が、シュトルフが率いる後続のバイオコプター部隊は攻撃の間をはかっている。「クルトフ様、念には念を」 シュトルフの声がクルトフに聞こえる。「シュトルフ君、心強い言葉ですねえ。後詰めは頼みましたよ」「お任せあれ。クルトフ様」「主水よ、神殿の中に隠れている剣を取るのだ」 足毛布アシモフ博士が叫んでいた。足毛布博士の表情が急変していた。「よいか、主水。お前のICチップは特別に選ばれたロボットにしか使われないチップだ」『そうか、足毛布博士。あやつが、早乙女主水が、我々の探している「運命の七柱」の一人のロボットなのか』 急に心柱が足毛布博士に言葉を投げていた。「そうです。みはしら様。あの主水が古来から伝わる伝説の石を、心に使ったロボットの一人なのです」 足毛布博士が丁寧に答えた。『そうならば、私めも手助けせねばなるまい』心柱が言葉を続けた。 神殿の床の真ん中から、棒のようなものが突出する。「おおっ、あれは一体」 人々が驚く。(続く)■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(1)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.02
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RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/51/ロボサムライ駆ける■第50回■早乙女モンドの生みの親アシモフ博士が叫ぶ「裏切り者め。主水。徳川公国の侍ロボットになりさがり。お前はNASA宇宙旅行に開発されたロボット」ロボサムライ駆ける■第50回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training■第六章 古代都市(5)「ええっ、足毛布アシモフ博士とおっしゃいましたか。博士はご無事でございましたか」ロボサムライ早乙女主水は喜ぶ。「無事も無事よ。主水殿も知らぬらしいのう」 いい澱む落合。「まあ、いたしかたがない。教えてやるか」「何でございますか、そのような奥歯にものの挟まったような言い方、お止め下され」「よいか、主水殿。この地下都市発掘に関するプロジェクトで、地下ロボット動員策は、だれが提唱したと思うのじゃ」「ま、まさか、足毛布博士ということはありますまい」「ほほ残念ながらのう、足毛布博士なのじゃ」 主水の人口体液が急激に冷却した。「まさか、そのようなことが…」といいつつも、やはり山本たちが言っていたには本当だったのか。まさか、生みの親である足毛布博士がそれほど悪辣だとは思っていなかった。「足毛布博士はロボットに恨みを抱いておられるようじゃな。かつて我が子のようにかわいがったロボットに逃げられてのう。その名は…」 レイモンはじろりと主水を見る。「レイモン様、あとは言われなくてもわかります。私と言う訳ですか」 取り乱す主水。「そうじゃ、霊能力者たるレイモンにとって、すべては読みとれるのじゃ。ほほ、お前が、足毛布博士のトラウマ(精神的外傷)なのじゃ。それゆえ、お前に対する憎しみも強かろうの。そう思うじゃろう、夜叉丸」傍らにいる夜叉丸に言う。「さようでございます。主水殿、気をつけられよ。足毛布博士は、今普通の精神状態ではござらぬ」 主水は、神殿の上にいる人々の群れの中に足毛布博士を見つける。「足毛布博士」 主水はかけよるが、「お前の顔などみとうない」 博士が顔をのけぞらす。 すねているのか、と主水は思ったが、博士の言葉が急に襲ってきた。「裏切り者め。主水。俺を裏切って、今は何か、徳川公国の侍ロボットになりさがりよるか。よいか主水、お前はNASA宇宙旅行用に開発されたロボットよ。 徳川公国の旗本ロボットになろうと思っても、所詮、水と油。お前のボディもICチップもほぼアメリカ合衆国製じゃ。アメリカと日本のハイブリッドなのじゃ。それがお前は徳川公国の侍、旗本になりたいじゃと。何を考えておるのじゃ。どうじゃ、主水、体の具合がおかしいじゃろう」博士は喚く。「……」 主水は図星をつかれた。なぜなのだ。体が不調なことをなぜ知っているのだ。まさか、そうプログラミングされていたわけでもあるまい。「おかしいはずじゃ、体がいうことをきかなくなる時があろう」 どんどん、声をあらげる博士。完全に自分の言葉に酔っているようである。「……」 どうしたらよいのだ。この場合の選択枝はなにだ。しかし、主水には解答はない。「それはロボット・ストレスじゃ。アメリカの体に日本の心を宿したからのう。いくら頭脳強化剤を与えたところで、機械工学で解決できるものではないのだ。ロボット生理学やロボット心理学の世界でしか解決できぬのだ。どうじゃ、すべて図星であろうが」 がなる博士に、もう手の打ち様もない主水だった。「主水、気にするでないぞ」新たな声がやわらかに主水を包む。別の声だ。 続いて、徳川家当主、徳川公廣が現れていた。徳川家康そっくりの顔を見ると主水も安心する。「これはお上。ご無事でしたか」 主水は膝を落とした。「貴公は我が徳川公国のために働いておる。それはすなわち日本にたいして役に立っているということじゃ。足毛布博士の言うことなど気にしなくてよい。よいか、足毛布博士は、お前を再び我が手の者とし、NASA宇宙探査用ロボットとして、宇宙へ飛ばそうとしておるのじゃ」「宇宙へですと」 新たな情報で眼が回る思いの主水だった。「よいか、日本を狙っているのが、神聖ゲルマン帝国のルドルフ大帝なのじゃ。ルドルフは霊戦争の原因が宇宙空間にある「冷子星れいしせい」と考えておるらしい。この「冷子星」へ調査部隊を派遣する計画のようだ」 「冷子星」は地球監視衛星『ボルテックス』を作った種族が支配する星である。地球監視衛星『ボルテックス』は、世界を滅ばしたいわゆる「霊戦争」のあとに存在している。 主水は急に切り札を思い出した。この一つで、アシモフ博士に切り返すことができる。「足毛布博士、あなたのお宅にユダヤのダビデの星が落ちておりましたが」「何と、どういうことかな。足毛布博士」 徳川公が詰問する。「お前は邪宗の徒なのか」「それは……」 今度は足毛布博士が言い淀んだ。 その時、新たな人物が、主水の前に現れていた。(続く)■ロボサムライ駆ける■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://9vae.comhttp://visitjapan.infoyoutube manga_training
2021.07.01
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