関本洋司のblog

2004年09月22日
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カテゴリ: コラム
 柄谷行人の『トランスクリティーク』は単行本化される際にプルードンの影響が特に顕著になったことが指摘できる。『トランスクリティーク』はそうした理由でプルードンの再評価の基盤となるべき本の一つである。


 ネーション/ステート/キャピタル/アソシエーションという柄谷による四つの交換のうちの最初の三つの交換レベルの分類は、プルードンの言葉ではそれぞれ、教会/政治/資本ということになる。プルードンの方法論では、それぞれ、ネーションにはトルストイ『戦争と平和』で受け継がれたような集合力理論が対応し、ステートには能動的に参画するために「イデア=リアリズム論」(プルードンによる用例は一つしかないが、公認の社会・現実の社会と共に後の研究者から重要視される用語)が対応し、キャピタルには系列弁証法(これはもっとも主要なタームの一つ)が対応すると言うことができる。
 アソシエーションに関しては、プルードンはそこにも上記の分類分けを分析する際に当てはめて分節化するので、決してユートピアとしてあったわけではないし、後年の彼自身によるアソシエーション批判はそこに起因する。
 アソシエーションを「第三項」(第四項?)として美化していない点でプルードンの方が現実的とさえ言える

 どちらにせよ、今後、日本の柄谷読者がマルクスだけでなく、プルードンに眼を向けることが望まれる。

追記:
 マルクスとプルードンについては、筆者は以前書いたが、今となっては両者の違いよりもマルクスからプルードンへの影響、及びその類似点を強調したい。
 一例を挙げれば、プルードンが初期に提唱した「漸進的アソシエーション」は、マルクスが『ドイツ・イデオロギー』で述べた、「進行中の運動」に他ならない。


 以下、その『プルードン研究』より、作田啓一作のプルードンの社会学的構造図(四つの交換図)を引用掲載させていただきます。

プルードン四つの交換図(最小)
『プルードン研究』(岩波書店)より






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最終更新日  2004年09月22日 10時37分59秒


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