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2024.07.20
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カテゴリ: I whisper
怖「再来週あたり、もう一度確認しましょうか。
  また来てもらうのも面倒でしょうけれど」

と、2週間前に言われた。
治療のための入院日程を決めたのだけれど、
それでいいかの確認日を設けてくれるというわけだ。
やさしい配慮だと思った。

治療を始めると、私のQOLは確実に下がる。
数々の副作用で、仕事どころか日常生活も困難になる可能性がある。
大変な覚悟がいるのだ。


そのことを理解し、覚悟を決める時間を2週間上げましょう、
ということだ。


2週間後の診察室。

怖「前言った日程でよろしいか?」

と問われたら、「あの…」と、逆を言いたくなるのが心情。

実は、前回日程を決めてから、
さまざまな雑事が浮上して、
このまま入院して大丈夫か? という気持ちになっていた。

一つは、小学生時代からの友人との旅行。
たまたま連絡を取り合ったら、「旅行しようよ」と言われた。
「ボーナスが入ったし」と。

相当よい額のボーナスが出たのだろう。
多分、彼女との旅行は最後になるだろう。
彼女の誘いに乗った。
当初決めた日程は、入院予定日の2週前だった。
が、彼女の都合と希望により、次の週の週末になった。


折しも来月、2枚のクレジットカードの有効期限が来る。
カード会社に問い合わせたところ、新しいカードが
旅行〜入院期間に届く予定であることが判明。
郵便局の保管期間が過ぎると、カード会社に返送される。
再度郵送申請をしなければならないが、
手元に届くのに煩雑な手間と時間を要する。
少し早い発送、もしくは事前の再送の手続きができないかと
問い合わせたが、両方無理との回答。

さらに、親戚の相続放棄の手続きを依頼されたのだが、
その書面が届くのが、どうもその時期と重なりそうだ。
できれば早急に対処したいのに、
私だけが返信できなければ迷惑をかける。

その上、
運転免許の更新、不動産売却契約の更新、
納税、保険関係の書類受け取りと申請、
店の家賃の振込、当該病院以外の病院への通院、
誕生日の営業、祭りの花火鑑賞のお誘い……。
その合間に通常営業をこなし、自身の生活の雑事にまみれる。

どうしてこんなにごっそりあるのかと思う。
できることは済ませた。

が、できないことが多過ぎる。

怖い主治医にスケジュールを問われたが、
答えることができずに思わず笑った。

怖「大丈夫そう? やたらニコニコしてるけど」
虫「へへへへへ」
怖「笑いながら、どうにかならんかって?」
虫「いえ、覚悟はできているんですが」

と言いながら、グダグダ言い訳や愚痴を言いつづけた。
予定が気になるなら、「日延べしたい」と言えば済むことだし、
治療がいやなら「辞めます」と言えばいい。
なのに、20分にも渡って、グダグダ言い続けた。

これまでの診察は、3分で終わるくらい淡白なものだった。
怖い主治医も必要最低限のことしか聞かないし、
虫けらもそれに答えるだけで、質問などしない。

20分も医師(だけではないが)相手にダラダラ話すなど
私の人生になかったことだ。
何事も即断即決。返事は一言。
全ては自分の責任で世の中を渡り歩いてきた。

それが…、この体たらく。

怖い主治医に甘えているとしか思えない言動。

しかし、怖い主治医はこれまでにはなかったほど穏やかな表情で、
私のグダグダに付き合ってくれた。

もちろん、当初の予定を変えない方向に持っていくために
言葉を費やしているのは察することができた。
しかし虫けらは、こうなったらどうしても日延べしたい。

実は、いま、近年にないほど体調がいいのだ。
寿司も、トンカツも、ビールもおいしい。
筋トレ(というほどのことではないが)も順調で、
体も少し引き締まった。

体調が悪いときは、生魚も油物も受け付けない体質なのに、
ここのところ、食欲もあるし、食べ物もお酒も「おいしい」と感じる。
筋肉はもともと多い方だが、使っていなかったところを動かしたことで、
少し若いころのような感じになっている。
この状態を治療によって壊してしまうのは忍びないのだ。

少しでも「おいしい」「食べたい」「幸せ」と感じていたい。

治療が始まったら、2度と感じられない感覚かもしれない。

かくして、グダグダを重ねてようやく日延べできた。
怖い主治医は半ばあきれていたと思う。
しかし、表情は穏やかだった。

怖「僕も甘いな」
虫「……」(バツが悪そうに笑う)
怖「無責任な言い方やけど、自己責任…やわな」
虫「はい」
怖「それを許した僕も共犯やけどね」

素晴らしいお言葉。
私のわがままを自分のせいでもあると言ってくれる度量。
見上げたものだ!

これこそ、医師と患者の会話ではないか。

ようやく、人間と会話したような気分になった。
怖い主治医も人間だったのだ(サドだとは思うが)。


と、気を許してはいけない。
怖い主治医は怖いのだ。
こんなことで、懐柔できたと思ってはいけない。

これまでより人間的な会話ができたのは、
単に私が「金儲けできる患者」に昇格できたからに他ならない。
金にならないエセ患者ではなく、これからは確実に金になるのだ。

虫「意外とあかんたれなので、すぐに治療をやめると言うかもしれません」
怖「まぁ、手ぇ変え、品を変え、メニューを持っていきますわ」

わーわーわーっ!
やめさせてくれないんかい!
すぐにやめたいと思ってるのにぃーーー。



やっぱり怖い主治医は怖かった。

                       合掌





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Last updated  2024.09.18 20:42:19
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