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2013.06.09
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【北北西に進路を取れ】
20130609

「君を離したくないな」
「あなたは撃たれて重体のはずなのよ」
「生気が溢れそうだけどね」
「あなたはどっちの味方なの?」
「もちろん君の味方さ」


ヒッチコック作品の中で、私のお気に入り3本のうちの一つがこれ、『北北西に進路を取れ』である。
見どころがありすぎて、どこから紹介したら良いのか分からない。頭に浮かぶ名シーンを、大まかに二つだけあげておこう。
まず一つめは、見渡す限りの平地で農薬散布の飛行機が、主人公ロジャーを追い掛け回すシーンだろう。
このシーンがなぜ面白いのかと言うと、一般的に殺害のシーンと言えば、もっと人物を危険な暗がりの環境に置いて、そこへ何者かが忍び寄るというものであろう。ところがヒッチコックの発想たるやどうだ。建物一つなく、人っ子一人いない真昼間の平野で、ただ一人ロジャーが待ちぼうけを食う。油断していると、農薬散布の飛行機が飛んで来てロジャーに発砲しながら追い掛け回すというものだ。
これはスゴイと思った。
一見、のどかで恐怖とは対極にある無人の平野が舞台となっているのだから。
またもう一つに、ラシュモア山のリンカーンの彫刻上を、主人公のロジャーとヒロインが追っ手から逃げるシーンがたまらない。
はっきり言ってヒヤヒヤした。山の斜面に彫られたリンカーンの顔の辺りを、転げ落ちそうになりながら二人で逃げ回るのだから、それはもうスリリングなのだ。
ヒッチコック作品のおもしろさは、ありきたりな設定を排除し、常に斬新さを求める探求心にあるのかもしれない。


ニューヨークのホテルで打ち合わせをしようとしたところ、ロジャー・ソーンヒルは見知らぬ二人の男にムリヤリ連れ出されてしまった。
どうやら二人の男は、“ジョージ・キャプラン”という人物とロジャーを間違って連れ去ったのだった。
ロジャーは広告代理店の経営者で、全く無関係の立場にあった。
その後、ロジャーが到着したのは、郊外のタウンゼントと名乗る紳士の邸宅だった。
タウンゼントは勝手にロジャーをキャプランと思い込み、ビジネスの依頼をして来る。だがロジャーには身に覚えがなく、きっぱりと断ってしまう。
タウンゼントはそれを仕事の拒否だと受け取り、男たちにロジャーを始末させようとする。
男たちは、嫌がるロジャーを押さえつけ、ムリヤリ酒を飲ませ泥酔させた。酩酊状態のロジャーを車に乗せ、飲酒運転による海への転落事故死と見せかけるための偽装だったのだ。

主人公ロジャー役のケーリー・グラントは、本当にダンディだ。
私はできることなら、イングリッド・バーグマンとケーリー・グラントのツーショットでこの作品を見たかった。
ヒッチコック作品ではジェームズ・ステュアートも常連だが、『北北西に進路を取れ』では、やっぱりケーリー・グラントが相応しい。
イギリス人俳優らしく紳士的で、思いやりのある役者さんとして有名だ。スターとして充分な経済力を持っていたにもかかわらず、常に堅実だったという噂も好感が持てる。

『北北西に進路を取れ』は、スリラー・サスペンスはもちろん、ラブ・ロマンスさえ堪能できるヒッチコック最高傑作と言っても過言ではない。
万人におすすめの逸作だ。

1959年公開
【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ケーリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント

ヒッチコックの『サイコ』
20130407
コチラ


ヒッチコックの『白い恐怖』
20130421
コチラ


ヒッチコックの『レベッカ』
20130505
コチラ


ヒッチコックの『裏窓』
20130519
コチラ


ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ』
20130602
コチラ


20130124aisatsu





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最終更新日  2013.06.09 13:22:45
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