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うちの店は気取ったフレンチではないので、マナー等をうるさく言うつもりはないのですが、、、。お客様を見ていて、それはやらないほうがいいんじゃないの?と、思う行為がいくつかある。要は格好悪くてちょいと無粋ですよ。ということ。 まず、片手食い。サラダ系の前菜やテリーヌなどをナイフを使わずに片手で食べる方がいらっしゃるが、片手はやめたほうが良いです。肉料理のときに小皿で出される小さなサラダの場合は別ですが、料理は基本的に両手を使って食べたほうが姿が良いですね。もちろん、メインの肉料理などをはじめに全部切ってしまってから片手で食べるのは、やめたほうがいいですね。料理が冷めやすくなるし、肉汁も出てしまいますからね。ただ、逆にナイフを置いて片手で食べたほうが良い場合もある。付け合せにご飯や豆が出てきた場合がそうで、フォークをスプーンのように使って食べてください。ご飯をフォークの背にナイフで固めて乗せて食べる方がいるが、あれは完全に違います。それから、パスタ。イタリア流ならフォークを右手に持って片手で食べます。基本的には、これでよいのですが左手にスプーンを持つ場合もある。これはアメリカ式で、イタリア人はその食べ方をバカにします。まあ、イタリア人が回りにそうそういないでしょうから、スプーンもありかな?パスタ専門店でもスプーンを出している店は多いですしね、、。 それから、パン。朝食のトーストは別として、、、パンは一口大にちぎって食べるのが基本。塊にかじりつくのは姿が悪いですよ。左側においてあるパン皿の上か、出ている料理の上でパンをちぎり、残りはパン皿に戻し好みでバターをつけて食べる。こうすれば、パンくずでテーブルが汚れたりしないし、見ていてスマート。特に女性がパンにかじりつくのはきびしいものがありますね。皿に残ったソースをパンにつけて食べるのは、基本的にはOK。ただし、堅苦しい席ではやめたほうが良いようです。まあ、フランスではあまり問題ないが、イギリス式のマナーだとやらないほうが良いことになっているようです。 たいしたことじゃないのですが、姿良く食事をするほうが粋でしょ?
Oct 31, 2006

これは、もち豚が煮上がったところ。玉葱、ニンニクなどと夏にとって冷凍しておいたトマトをたっぷり使って煮込んだ。これを一晩煮汁と肉を漬け込んで味をなじませた後、次の日肉を数時間冷蔵庫に入れて締めてから一人前のサイズにカットする。一方煮汁のほうは、弱火で煮詰めてあくや脂を徹底的に取り除いて味をきれいにしてゆく。 仕上げたところがこれ。シイタケを加えて盛り付けてみた。この種の煮込みには、赤ワインやマデラ酒、ポルト酒など酒類をたっぷり加えることも多いが、今回はもち豚の旨みを生かすために酒類は加えていない。自家菜園の野菜の旨みともち豚の特有な素直で深い旨みをストレートに感じていただきたいのだ。これを食べると、いわゆる一般的なビーフシチューというものが、かなり癖のあるくどい食べ物だということに気づくはず。私自身も牛のテールやホホ肉で赤ワイン煮込みなど作ることが良くあるが、このもち豚の煮込みを食べるとやはり牛って臭みがあるなぁと思うのだ。まあ、その臭みも牛の魅力の一部ともいえるのだが、、、。だから、牛の煮込みの場合はやはりワインをたくさん使いたくなるのだろう。 例えば水墨画的な料理と油絵的な料理の違いといえばわかっていただけるだろうか?あるいは、室内楽のモーツァルトとニューヨークフィルのフルオーケストラの違い?要するに質の違いなのだ。どちらが上かということではない。
Oct 27, 2006

これは、シャラン産窒息鴨のフィレ肉のデュクセルソース。 そして、これはホロホロ鳥のデュクセルソース。 デュクセルというのは、本来マッシュルームをみじん切りにしてエシャロットや玉葱のみじん切りも加えてバターでゆっくりと弱火で炒めたもののことで、ソースの材料やファルス(詰め物)に使う物なのだ。 私の場合、しいたけやシメジ舞茸なども使って日本のキノコを使うことが多い。これらのキノコはマッシュルームに比べて旨みや香りも強いので、エシャロットや玉葱は入れないことも多い。(たまにニンニクを少し入れることもある) しいたけや舞茸、シメジなどは石突を取ってフードプロセッサーにかけてみじん切りにするのだが、ピュレのようになってしまわないようにある程度荒めにしたほうが、食感が楽しいかもしれない。好みで、オリーヴオイルやバターを少し使って弱火でゆっくりと火を入れる。炒めるというより水分を飛ばして味を濃縮する感じで、旨みを濃縮する。私のお気に入りのやり方は、新潟の米どころの魚沼産のしいたけを使い、プラック(鉄板ストーブ)の端の方で2時間以上かけて仕上げるという方法。 通常は焦がさないようにするのだが、デュクセル・ブリュヌといって最後は強火にして少し焦がす場合もあるのだが、普通は焦がさないことが多い。 上の2品のような肉料理には、フォン・ド・ヴォーや肉のジュと合わせてソースにしたものだ。また生クリームとも相性がいいのでクリーム仕立てのソースにすることもできる。クリーム系のソースは魚料理にも使える。 また、デュクセルを入れて炊き込みのピラフやリゾットにするとキノコの味が効いた美味しいものができるし、スープや煮込み料理に加えても良いしパスタソースやテリーヌの仕込みの風味付け等、とても応用範囲が広く重宝するものだ。
Oct 25, 2006

ありそうでないのが、これ。サツマイモのポタージュ。不思議にあまりお目にかからない。 いたってシンプルなもので、サツマイモをブイヨンで煮てミキサーにかけるだけなのだが、少々コツがある。ミキサーにかけると意外に濃度が出るので、水気は多めにすることと、終始弱火で料理することだ。なぜ弱火かというと、、、サツマイモは60℃前後の温度帯をゆっくりと保つことで、ある種の酵素が働きデンプンの糖化が起こるのだ。だから強火で一気に沸かしてしまうのは禁物。電子レンジで火を通したサツマイモがちっとも甘くないのは、そのためだ。石焼芋が甘くなるのは、温石でゆっくり暖めるので糖化が進むというわけだ。ポタージュの仕込みでもその変化を狙おうというわけ。 牛乳で伸ばし、バターをほんの少し加えて仕上げる。味付けは塩だけだ。
Oct 24, 2006

養老渓谷産のもち豚をひき肉にして、真ん中にフォアグラを入れたテリーヌ。こうして肉のテリーヌにフォアグラを入れて作ると、フォアグラから溶け出した脂が全体に回ってテリーヌ全体に風味がつく。もち豚はもともと癖のないきれいな味の豚肉なので、フォアグラの良い風味をしっかりと受け止めて実に旨いテリーヌになる。 このブログでは何度も書いているが、テリーヌという料理は、実は下の画像のような器の名前であって、本来料理の名前ではない。天丼や牛丼という料理で、どんぶりを食うわけではないのと同じだ。 このような器に入れてひき肉やら、魚のムースやら、あるいは煮凝り系の料理などを入れて固めた料理の総称だ。私の場合1キロの肉に13グラムの天然海塩、三温糖を5グラム、ナツメグと胡椒を少々といった配合。新鮮な肉を低い温度でしっかり捏ねると肉の自然な結着力で固まるので、ハンバーグやミートローフのように卵などのつなぎは一切入れない。これ以上削り様のないシンプルなレシピだ。こういうシンプルなテリーヌを美味しく作るコツは、なんといっても火の通し加減。程よい火の通しが出来ると発色剤などがなくてもきれいなロゼ色に仕上がる。昔の作り方(今でもやる人はいるが、、)では、コニャックやらポルト酒やらマデラ酒などの酒類を効かせたものだが、余計な風味がつくので私は嫌いだ。良い肉を使えば余計な香り付けなど必要ないと思っている。美味しいテリーヌを食べながら、旨い酒を飲めばよいわけだ。もうすぐボジョレーヌーボーの季節。テリーヌやハム、ソーセージサラミの類はボージョレーのつまみには最高の相性だ。今年もボジョレーに合わせて、テリーヌの新作を考えているところだ。
Oct 22, 2006

久しぶりにエスカルゴをメニューに載せたら、これが結構人気です。やはりフレンチの定番のイメージがあるんですね。エスカルゴは、もちろんカタツムリのことでヨーロッパではラテン系の国々(フランス、イタリア、スペイン等)では人気のある定番メニュー。特に海から遠い内陸部の料理だ。フランスではブルゴーニュの料理が有名で、エスカルゴの品種にもブルゴーニュ種というのがある。ブルゴーニュでは、元々ぶどうの葉を食う害虫(害貝?)なのでこれを駆除するわけだが、捨てるのはもったいないから食べてみようということになったわけだろう。 これがなかなか曲者の素材で、軽く火を通したくらいだとあくが強く少し毒もあるらしい。生きたものから調理するとなると、まずは小麦粉と塩と酢をまぶしてぬめりを出してから、良く洗い塩水で30分くらいゆでた後、殻から取り出し内臓部分を取り除く。これをさらに白ワインと水と香味野菜で作ったクールブイヨンで2~3時間茹でてやっと下処理が終わる。殻を調理に使う場合は、煮沸消毒する。これで完了なのだが、これは食用に養殖されたものの場合。天然物を使うときは、有毒植物を食べている危険性があるので10日間以上絶食させる必要があるらしい。又は数日間小麦粉を食べさせて、糞の色が白くなったら体内がきれいになったしるしとして、調理にかかる人もいるようだ。いずれにしても、普通の貝と違って手間のかかることは間違いない。 もっとも、日本ではほとんどの場合下処理が終わった缶詰か冷凍物を使うことが多い。(私の場合は缶詰のエスカルゴをきれいに洗い、白ワイン風味のクールブイヨンで煮てから使う)下処理で長い時間火を通してあるので、素材そのものの味や香りというものはもうほとんど残っていないので、いかに味をつけるかが問題。典型的なブルゴーニュ風では、バターにエシャロットとニンニクとパセリを加えて味を調え、そのバターとエスカルゴを殻に詰めて焼くというもの。私の場合は、そのエスカルゴバターにアンチョビを加えるのがポイント。これで魚介系の旨みが加わって美味しくなる。また、ココットで焼くことで殻に詰めるよりも食べやすくなっている。それに、殻焼きにすると、カタツムリのイメージが強すぎてグロテスクで嫌だという人もいるし、、、。この調理法は、エスカルゴだけでなくサザエやツブ貝などでやっても美味しい。 フランスでは、一流レストランのメニューというよりビストロやブラッスリーなどで食べる親父のつまみというニュアンスだろう。スーパーマーケットなどでも殻に詰めてあって後は家でオーブンで焼くだけのものが、普通に売られている。ありふれた食べ物なのだが、本物のブルゴーニュ産の天然カタツムリとなると地元でもかなりの高級品らしい。 合わせるワインは? ニンニクが利いているからあまり高級なワインや繊細なワインはもったいない。白なら辛口、若いシャブリやミュスカデ、赤ならコート・デュ・ローヌのもの。その他、南仏や西南フランスのワイルド系の赤ワインなど、たいてい快適だと思う。
Oct 13, 2006

スモークサーモンが出来ました。30℃以下の冷燻法で仕上げたので中はしっとり。 まずは、サーモンの表面や尻尾のほうの香りや塩分の強いところを小さめに切ってシーザーサラダ仕立て。クルトンやカリカリニンニクを添えてある。 サーモンは、半身を横に切ってゆく。厚さは1ミリあるかないかといったところで、長さは40センチほどだ。これがスモークサーモンの伝統的な切り方なのだが、最近はこれができる人も少ないので、あまり目にする機会もないかもしれない。寄って見ると、、、、 ご覧のように下のサラダが、透けて見えるくらいに切ると口解けが良く美味しいのだ。舌にねっとりと絡みつく、なまめかしいほどの食感を楽しんでほしい。白ワインなら、プイィ・フュメやサンセール、または上質のシェリーなどが良く合う。
Oct 10, 2006

栗のブランマンジェ。 ブランマンジェ。昔はブラマンジェなんて言う人もいたが、、、blanmangerは、blanc白い、manger食べ物という意味のフランス語。最近では黒ゴマのブランマンジェなんて“真っ黒い白い食べ物”という矛盾したものまで出てきているが、、、まあ外来語というものはこのように無責任に意味が変わっていくものだ。 カルパッチョなど、その典型でこれは本来イタリアの有名な画家の名前。その画に使われた赤色が独特の美しい色だったことから、牛肉の刺身料理の肉の赤色が、“カルパッチョのようにきれいだ”ということから名づけたもの。だから、白身魚のカルパッチョというのはおかしいのだ。今では、すっかり洋風刺身料理の代名詞となってしまったが、、、本物のカルパッチョは、絵描きさんであって、もちろん食べられない。 ブランマンジェには、古典的には2種類ある。フランス式とイギリス式。フランス式は、牛乳でアーモンドのスライスをアンフュゼ(煎じる)してゼラチンでゆるく固めたもの。イギリス式は、牛乳にコースターチでとろみをつけて冷やし固めるもの。どちらも、本来シンプルなものだ。イギリス式は、最近廃れているようだが、上質な牛乳で作ると結構美味しいものだ。
Oct 7, 2006

ヌーベル・キュイジーヌという言葉をご存知だろうか。nouvelle cuisine新しい料理という意味のフランス語である。70年代の後半ごろからフランス料理におこった変化で、新鮮な素材を使い、過剰に手をかけ過ぎない料理。バターやクリームを多用した重いソースの排除。素材への火の通し方の見直し、、などの一連の動きのことをさす言葉である。 元々、この言葉を使い出したのは、アンリ・ゴーとクリスチャン・ミヨーという当時売り出し中の料理評論家といわれている。 ゴーとミヨー両氏は、ある日リヨンのポール・ボキューズで豪勢にお昼を食べた後にあまりに美味しかったから、今夜もう一度行ってみよう!ということになり店に行くと一日に2回も来る客なんて珍しいものだから、ボキューズ本人が出てきた。そこで彼らは、自らの職業を明かし、ボキューズに今日の昼は素晴らしい食事をさせてもらったと感想を述べ、あまり美味しかったからこうしてまた来てしまったが、さすがにまだお腹はすいていないので何か軽い物でも食べさせてくれませんかと頼んだら、出てきたのはただのインゲンのサラダだったという。何でこんなものを、、と思いつつ食べてみたゴー、ミヨー両氏はあまりの美味しさにびっくり!それまでのフランス料理では、野菜を噛まなくても舌で押しつぶせるほど柔らかく茹でるのが普通だったのだが、このときのインゲンは程よく歯ごたえがあり、新鮮で菜園の香りが感じられる素晴らしいサラダだったそうだ。新鮮な素材を必要最小限の調理で最高の味に仕上げるという、ヌーベル・キュイジーヌ誕生の瞬間である。 今、うちの菜園ではとても美味しいインゲンが取れている。地中海産の天然海塩と香りの良いオリーヴオイルで和えるだけで申し分なく美味しい。問題は茹で加減かな?これは、プロの技。
Oct 5, 2006

これはタプナードの仕込み。タプナードと聞いて、あああれか!と思う方はかなりのフレンチ通か、又はうちの店のファンの方か、、。 タプナードとは、オリーブの実とアンチョビのペーストのことで、 普通は黒オリーヴを使うことが多いが、グリーンオリーヴを使うこともある。フランスでは一般的によく知られたもので、既製品の瓶詰めなどが、スーパーなどでも販売されている。食べ方は、パンに塗って食べるのがもっとも一般的なのだが、なんとなく味噌を思わせるような見た目と味で、オリーヴの実は苦手という方でも意外に親しめる味ではないかと思う。こういうフランスでは当たり前のものが、ほとんど輸入されていないのは、残念。仕方がないから自分で作る事になる。 オリーヴとアンチョビ、ケーパーやニンニクにオリーヴオイルを混ぜてフードプロセッサーにかければ簡単に出来る。ハーブ類なども好みで加えても良い。 20世紀最高のシェフといわれたジョエル・ロブションのレシピでは、食べるタプナードとしてアンチョビの代わりにツナが使われている。バゲットを薄切りにしてニンニクの切り口をこすりつけてからトーストしてツナのタプナードをたっぷりのせて食べる。これに良く冷やした南仏プロヴァンスの白やロゼワインがあればもうとまらないほどの旨さだ。 私の作るタプナードは、主にソースに使うのでアンチョビを多めにつかって濃い目の味に作ってある。人気メニュー、鴨のタプナード風味に使っているし、カリッと焼き上げた魚や鶏類の皮目に塗ったりしても美味しい。また本場南仏では、肉の煮込み料理に本当に味噌のように煮汁に加えて味付けに使ったりもするし、スープ類に加えることもある。
Oct 3, 2006
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