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これは、牛ヒレ肉のロッシーニ風のパイ包み焼き。下から、キノコのデュクセル、牛ヒレ肉、フォアグラ、キノコと重ねて焼き上げてある。 この料理の特徴はとにかく難しいの一言に尽きる。パイに包んだフォアグラと牛ヒレというまったく火の通り方が違うものに上手に火を通すのが至難の業で、どちらかと言うとうまくできるほうがちょっとどうかしているといってもいいくらい難しい料理と言っても結してオーバーではないと思っている。 本来の牛ヒレ肉のロッシーニ風というのは、、、 このように牛ヒレ肉のステーキにフォアグラのソテーをのせて、、、 トリュフのソースをかけるものだ。ロッシーニと言うのは、もちろんあの有名な作曲家のことで、フォアグラとトリュフをこよなく愛した美食家としても知られている。そのロッシーニ氏にちなんでフレンチでは、ロッシーニ風と言うときには、フォアグラとトリュフを組み合わせるのが定番となっている。普通、レストランのアラカルトでまず1万円以下と言うことはないはずの高級料理だ。
Dec 30, 2006

Dec 24, 2006

Dec 23, 2006

フレンチのクリスマスディナーというと、たいていのレストランはここぞとばかりに儲けに走る店が多く、皆さんのなかにも有名店などやホテルのクリスマスの高いディナーに出かけて、つまらない思いをした方もいるはず。実際クリスマスは、普段フレンチなど行かない方が、多いのでお店側としてもやっつけ仕事には好都合なわけで、大事な常連さんには「クリスマスには来ないほうがいいですよ」などという店もあるくらいだ。もちろん、誠実に良い仕事をしている店もたくさんあるので、不要な先入観は持たないでもらいたいのだが、、、。 私の店のクリスマスは、毎年来てくださる常連様で連日ほとんどの席が埋まるので、絶対に手抜きはできないのだ。それどころか、この期間にしかやらないゴージャスな料理三昧になる。たっぷりと肉を使って仕込むコンソメやクリスマス時期だけのフレッシュトリュフ、もちろんフォアグラやジビエ、赤座海老など、、。4日間ランチを閉めて朝からきっちりと仕込みをして、数日前から飲食と睡眠に気をつけて、体調を整えて臨むのだ。今日はクリスマスディナーの初日!気合入れていきます!トリュフの香りでテンションをあげて今年も頑張ろう。
Dec 22, 2006

この変わった感じの野菜、知っている人はまずいないだろう、、。コールラビといってアブラナ科の野菜で、キャベツの仲間である。味や食感は、ブロッコリーの太い茎のところやキャベツの芯のような感じに蕪に近い甘味と言ったところだろうか、、。茎の下部の丸く肥大したところを食すのだが、皮はかなり固いので厚めに剥かねばならないし、葉も硬いのでちょっと使い道はなさそうなので大変歩留まりが悪い野菜ではある。ヨーロッパでは、よくある野菜で皮を剥きスライスしてヴィねグレットでマリネして生食することもできるが、なんと言っても煮込むと美味しい野菜でよほど長く煮ないと煮崩れることもなく独特の香りとコクが上品で他にはない味わいだ。 ポトフに入れれば最高の素材と言えるだろう。初めてこれを見たときに、その形からアニメのアラレちゃんに出てきた地球(ちたま)征服をたくらむニコちゃん大魔王を思い出してしまった。
Dec 22, 2006

このところしばらく取り組んできたもち豚のスモークハム。脂身が美味しいからとバラ肉で作ることが多かったが、やはり見た目に脂が多いと、敬遠される方も多いようなので、近頃は肩ロースで作っている。バラ肉より肉の塊が大きいので塩漬けにも火入れにも時間がかかるので、作るのはいっそう難しいのだが、、、このところ結構上手に作れるようになってきた。 なんといってもハムは口解けの良さが命。だからかなり薄めに切る。サラダにたっぷりとスライスにしたハムをのせて仕上げに上質なオリーヴオイルをかける。豚の脂肪分とオリーブオイル、2つの異質の脂と油が共鳴し、そこに桜のチップで燻したスモークの香りが絡んで実に美味しい。 燻製は、気温が低い時期しか出来ないので、春先までのスペシャリテです。
Dec 21, 2006

鹿のグランヴヌール風。Gran veneurとは、王様附きの狩猟頭のこと。鹿肉には代表的なクラシックソースが2種類あって、ひとつはソース・ポワブラードで、もうひとつはこのソース・グランヴヌールだ。 実はこの2種類のソースは、同系統のソース。まずは、鹿やその他のジビエや鶏がらくず肉牛スジなどで取ったフォン・ド・ジビエ(ジビエのだし)をベースに良く煮詰めたワインヴィネガーと胡椒をきかせた物が、ソース・ポワブラード。ポワブラードをベースにブルーベリージャムと生クリームを加えて仕上げたものが、グランヴヌールだ。 胡椒とワインヴィネガーとブルーベリージャムを肉料理の味付けに使うなどと言うと、普通の日本的感覚からすると、かなり引きますよね!でも、焼肉のタレにもかなりの糖分が含まれているし、リンゴや梨等の果物も使われているでしょ?赤身の肉に甘い系統の味は良く合うんです。 ただし、私の場合はジャム味になるほど甘くしない。と言うより味付けに使った、ジャム、赤ワイン、赤ワインヴィネガー、フランボワーズヴィネガー、蜂蜜、胡椒などがどれひとつとして突出しないように微妙なバランスで仕上げるので、フレンチのフルーツソースが苦手と言う方でもきっと大丈夫だろう。グランヴヌールに仕立てた鹿肉なら、エルミタージュやコート・ロティのようなシラー種のワインを合わせるのが王道だろう。
Dec 19, 2006

これは元三ツ星シェフのジョエル・ロブション氏の料理の再現。今が時期の鱈をシンプルに焼いて、キャベツとスモークサーモンをブレゼ(蒸し煮)したものの上にのせたもの。サーモンのスモーク香とキャベツの甘味が、ソース代わりになると言う料理なのだ。 冬に美味しい鱈とキャベツ。さりげなくスモークサーモンを組み合わせて実に見事なマッチングに仕立てているところは、さすがに天才ロブションの仕事である。 フランスのキャベツは日本のものより固くてちょっと葉が縮れている肉厚な品種で、生食には向かないのだが、加熱するとものすごく甘味が出る。だから普通の日本のキャベツでこの料理を作っても甘味が足らずに料理としてバランスが取りづらいのだが、わが自家菜園の有機キャベツの甘味旨味はフランス物にも負けないくらいなので、立派にこの料理が成立するのだ。 鱈と言うと普通は鍋物や煮つけにするか、安物のフライくらいが似つかわしい感じで鯛や平目と言った高級魚からするとだいぶ見劣りするような気がするが、一本釣り物の活け締めの鱈となると上物は下手な鯛より高いくらいで、鱈と言ってもピンキリがあるのだが、、。それにしても三ツ星と言う高級レストランで鱈のような庶民的なイメージの魚を使うのは、なかなか出来るものではないと思う。ロブション氏はこのほかにも鯖やニシンの白子なども大胆に使ってメニューに載せていた。もっとも彼の場合、鮮度の悪い高級魚より飛び切りの鮮度の鱈や鯖を使うというのだから、結して安物を使うわけではないのだ。 こういう、庶民的な素材ながら鮮度を厳選して三ツ星料理にしてしまうと言う仕事を最初に始めたのはおそらくアラン・シャペルの鯖あたりがはしりではないだろうか。そのほかにもベルナール・パコー氏のエイとキャベツの料理や牛テールの赤ワイン煮込みなど、美味しければ素材の格にはこだわらないと言うのが、20世紀後半からのグランシェフたちの傾向である。 高級素材イコール高級料理と言う図式は一見当然のようだが、どんな高級素材でもひどい調理をされれば美味しい料理にはならないわけで、むしろこのように庶民的な素材(と言っても本当は結して安物ではないのだが、、)にプロの技術を駆使して、とても素人にはまねの出来ない料理に仕立ててみせるというのがこういう料理においての腕の見せ所だろう。
Dec 18, 2006

100%フォアグラだけのテリーヌ。これは手間がかかるんですよ。まずフォアグラが届いたら、大小二つの葉に分けてから、薄い塩水につけて血抜きをする。これで一晩。 次の日、水分を取ったフォアグラを室温に戻し柔らかくしてから、中を開き太い血管を取り除く。これは食感を滑らかにするため。大きい葉から2本、小さいほうから1本取れる。合わせ調味料を作る。フォアグラ1キロにつき、塩13グラム、三温糖5グラム、白胡椒2グラム、ナツメグ1グラムを混ぜておく。フォアグラを調味しながらテリーヌ型に詰めてゆく。この後また一晩寝かせる。 いよいよ、火入れ。オーブンは170度くらいの低温。2時間以上室温に戻したテリーヌを湯煎にかけてオーブンに入れる。時間は1時間くらい。中心の温度が60度ほどになればOK。これが言うは安いが、火の通り具合を見極めるのはかなりの経験が必要で、そう簡単なことではない。火が通ったら、テリーヌ型の中の脂と水分だけを取り出し、上澄みのきれいな脂だけを型に戻す。フォアグラがちょうど隠れて空気に触れないようにしたいので、脂が足りないときはラードを足すこともある。 こうして荒熱が取れたら、冷蔵庫に入れて5~10日ほど熟成させる。これが肝心。出来てすぐは、塩が立っているし、旨みが出ていないので、まだ美味しくないのだ。 厚めに切って、ソーテルヌの貴腐ワインと合わせてみるのもいいし、、、 薄切りにしてこのようにサラダにのせて、クリュグなどのリッチなシャンパーニュと合わせるのもまたいいものだ。クリスマスのメニューではこのサラダにトリュフが散らされる。ゴージャスでしょ?
Dec 13, 2006

トリュフの季節がやってきた。毎年楽しみのお客様も多いが、実は一番楽しみなのは私自身なのだ。と言うのは、トリュフの料理をどんなに上手に作っても、作っている最中が一番いい香りが出ているので、実は料理する人間ほどトリュフの香りを楽しめる立場は無いわけ。 トリュフを刻むとき、ソースを加熱するとき、まな板の上や鍋から立ち昇る香りは、仕上げた料理より強烈なのは当然のこと、これは料理人の特権です。 今年の初物は先週末に届き、なかなかの上物。届いたトリュフの真空パックを開ける瞬間は、毎年わくわくする。私は特にトリュフの香りに敏感なほうで、あの香りを嗅ぐとある種の興奮状態になる。毎年忙しいクリスマスシーズンをトリュフの香りで気分を高揚させて乗り切っているのだ。だから、品物の悪いトリュフだとまったくテンションがあがらず仕事をする気が起きなくなってしまうくらいだ。 届いたトリュフは、気密性の高いタッパなどの器に生卵と一緒に入れて冷蔵庫にしまう。こうして一晩もすると、卵にトリュフの香りが移るのだ。例えば、左手にトリュフを持ち、右手に香りの移った卵を持って匂いを嗅いでみると、どっちがトリュフだか区別がつかないくらいに香りが移る。そのトリュフ卵を使って、オムレツやスクランブルエッグを作ると、実にかぐわしい卵料理になる。 トリュフと言うと有名なソース・ペリグー(マデラ酒やポルト酒やコニャック又はアルマニャックなど使ったトリュフのソース)。フランス西南地域のペリゴール産のトリュフが有名だったところからついた名前だが、近年はペリゴール産のトリュフの産出量はぐっと減ってきて、南仏プロヴァンス産が多くなってきているようだ。 実は、トリュフと言っても学術的に分けると200種類以上もあるそうで、フランス産の黒トリュフ(ペリゴールや南仏のもの)と、イタリアトスカーナ産の白トリュフが、一級品と言うことになっている。特にトスカーナの白トリュフは、1キロ原価で50万円を超えるのでめったに使えるものではない。黒トリュフでも10万円前後なのだからこの世でもっとも高い食べ物のひとつかもしれない。もっとも日本の松茸も京都丹波産の一級品となると、築地価格で15万円以上するのだから、天然物の希少品はキャビアなども含めて高騰するばかりだ。 毎年恒例のトリュフのアイスクリームが、これ。トリュフの香りがよく分からないという方がいるが、このアイスクリームを食べれば分かっていただけると思う。先ほど話した、トリュフ風味の卵をこのアイスクリームにも使っているのだ。クリスマスメニューのデザートでお出しする。
Dec 11, 2006

玉葱をバターで透明になるまでソテーし、ジャガイモと皮と骨をとった鱈の身を入れて薄いチキンブイヨンで煮込む。全部に火が通ったらミキサーにかけ牛乳、クリーム、バターなどで仕上げる。鱈とジャガイモはフレンチでは定番の組み合わせ。さすがに美味しい。魚味のヴィシソワーズの温かい感じ、、、。
Dec 7, 2006

いつかお見せした、リンゴのカラメリゼのデザートへの応用のひとつ。いわゆるアップルパイは焼きたてが美味しいのはいうまでも無い。フィユタージュ(折り込みパイ生地)にリンゴのカラメリゼをのせてオーブンで焼き上げ、熱々のところへ冷たい蜂蜜と牛乳のソルベを乗せて召し上がっていただく。好みでシナモンを振ってもいいだろう。もしあれば、ヴーヴレィかコート・デュ・レイヨンのモワルー(甘口)をあわせれば陶然とすることは間違いない。
Dec 5, 2006

ジビエの季節が来た。今店には北海道のエゾ鹿やオーストラリア産の赤鹿が常時入ってきている。これはフランス産のペルドロ(ヨーロッパヤマウズラ)。鶏肉よりやや赤みを帯びた肉質で、旨みが強く実に美味しい野鳥だ。もちろん、鉄砲で落としたものだ。これを通常はローストすることが多いのだが、今回はクラシックにキャベツ包みでブレゼしてみた。 中身はペルドロの腿肉、もち豚のミンチ、フォアグラ、ペルドロの胸肉、ベーコンなど。フォン・ド・ヴォーとフォン・ド・ヴォライユで3時間ほどブレゼ(蒸し煮)し、その煮汁を煮詰めてコーンスターチで軽くとろみをつけ、キノコのデュクセルを加えてソースを仕上げる。下処理をしたときに肉に食い込んでいた散弾を取り出したのだが、食べるとまだ玉が入っていた。 これは本物のジビエの証。
Dec 3, 2006
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