読書日和 ~Topo di biblioteca~

読書日和 ~Topo di biblioteca~

2005.03.10
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絶対に読まないで下さい。 ぺこり

自分でも、かなり見当違いな事を口走っちゃいそうな予感がしているし、
それに対して批判・反論があろうとも、柊には「なるほど。そういう意見も
ありますね。」としか言えないと思うので。
一個人が抱いた、ただの感想文ですから戦争にまつわる難しい議論を
ふっかけられても私には答えられません。 念のため。


この国から、戦争についての記憶・罪悪感が急速に失われ、風化しつつ
あるのではないか、という恐れを私は強く抱きました。
柊は戦争がどんなものであるか知りません。でも、それでも。


何故ならそこに描かれるものは恐らく「理不尽」なことに違いなく、
それらは正視するに堪えられない程自分を追い詰める映像だろうから。
「戦争は悪いことだ」とか「してはならないことだ」という感想が口をついて
出てくるよりも、「何故?」「どうして?」とその理不尽さに疑問と怒りばかりが
湧いてきて、自分の中で何かが壊れていくような不安が
渦巻いてしまうものだと思っているから。

だから、そこに描かれるべきは事実、(或いはより事実に近い出来事)のみで
あるべきで、明確なメッセージを送ることは避け、何をそこから受け取るのかは
観客に委ねるべき…と、私は思っています。

なので「ローレライ」という非現実的な兵器(多分)が登場した時点で
柊には「あれ?何か違う」という感じを受けてしまったのです。

することが出来るということに対しても。

(この映画を戦争映画ではなく、エンタティンメント映画として捉えるなら
違和感はまったくないんですけどね。むしろ上出来といえるかもしれない)

役所さんの台詞や、堤さんが語る日本の未来についての危惧は
すごく、直球のメッセージで、それらを否定する気持ちはまったくなく、


でも、私はどうしても考えずにはいられない。
この直球のメッセージを例えばアメリカ人は、朝鮮、韓国の人は
他の国の人々はどう聴くのだろうか、って。
疑いすぎかもしれないけれど、これって美化しているように捉えられない
かなって。

柊は自分の生まれた国が敗戦国であり、他国に対して侵略行為を
行ったこと、そして非道な、残酷な行為も行った過去があると知ったとき
ものすごくショックを受けたのです。
確か小学校高学年の頃のことです。
それまでそういう歴史のことを何も知らず「戦争っていけないことだよね」って
したり顔で声に出していたことが恥ずかしくて情けなくて
自分の生まれた国のことを「恥」とまで思い込みました。
祖父や親戚が実際に戦争に行ったと聞いたときは、自分の中にも人殺しの
血が流れているのかもしれないと恐れもしました。
もちろん、今はそんなふうに見当違いな極論に突っ走ったりはしませんが…。
戦争に赴いた人の多く、送り出した人の多くはその「理不尽」さを受け入れるしか
なく、国と自分とを信じていた人達だと思うから。
今の日本があるのも、そうした人たちの犠牲があったからこそ、と思うから。

だから。
今の日本って…もしかするととても危険な状態じゃないかと心配になるのです。
「戦争の放棄」を掲げたとき、それはどんな解釈も必要としないほど確固とした
ものだった筈なのに…自衛隊の発足~自衛隊の海外派遣と
少しずつ少しずつブレーキがはずされていってるような不安を感じるのです。
国を守るために必要なのもわかる。
けど、そう言ってすぱっと気持ちが割り切れるものでもない。
「戦争の放棄」を貫くことは日本が最も誇れるはずのことじゃないのですか。

敗戦国。そして唯一の被爆国である日本が戦争について問う映画を作るのなら
架空の物語ではなく、自国の戦争責任を問いかけるものであって欲しい。
原爆の投下がどれほど被害の大きなものであったかを、核を保有する国に
訴えるものであって欲しい。
それを望むのは、難しいこと、なんでしょうか。

柊の隣の席に座ったのはすごく年配の女性でした。
その女性は映画の途中からずっと嗚咽をあげて泣いていました。
映画のあらすじがどう、というのではなく、彼女自身の思い出、記憶に
泣いておられるように私は感じました。
戦争で、辛い思いをされた方には忘れた方がよい記憶かもしれない。
だけどこれから先の未来を作っていかなくちゃいけない私や、
子供たちにはそれは忘れてはならない記憶、教訓なのです。

こと、これに関しては想像で作り上げた物語を私は必要としません。
事実と、それを目を逸らさずにみることの出来る精神力だけが欲しい。

そういう柊の発言自体、きれい事なのかもしれないけれど…。

東京への原爆投下阻止、というあらすじが気になったので
広島・長崎以外の候補地についてちょっと調べてみました。
 → 参考までに







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最終更新日  2005.03.10 18:25:42
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