読書日和 ~Topo di biblioteca~

読書日和 ~Topo di biblioteca~

2009.07.03
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最近読んだ本、観た映画の感想をまとめて。
なかなかじっくり本も読めず、感想も残せず、鬱鬱です。

『肉体の悪魔』ラディゲ著



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マルトの新居でともに過ごすようになる。やがてマルトの妊娠が判明したことから、二人の愛は破滅に向かって進んでいく…。


物語のあらすじはきっとありふれたものですよね…。
だけどこの比喩を、表現を、文章を二十歳前の青年が綴ったというのがやっぱり衝撃的です。
年上のマルトとの恋に溺れ切っているようなのに、主人公の少年がここまで冷静に
自己分析しているところにぞくっとするような恐ろしさを感じてしまいます。


この「視点」に年齢を重ねていったらどんな表現が生まれていたのかと思うと
もったいないと思うと同時に、その才能に嫉妬してしまいそうです。



『恋文の技術』森見登美彦著



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ─。

今回もまたまた楽しい森見作品でした。
森見さん独特の文章に「手紙」という組み合わせはなかなかぴったりな題材ではないでしょうか!

「手紙を書く」というのは相手のことを思いながら書き、相手のことを思いながらポストに投函し、
相手のことを思いながら返事を待つことすべてをさす…みたいなことが書かれていて
「おお!」と感心してしまいました。
脱力系な笑いの中にぽつ、と真理を突くような文章を投げかけてくるあたり…やはり侮れません。


あるのですが、(確か学校行事の一環だった)重みで飛ばず、風船がずりずり地
面を這うように“それ”を引き摺ってたことがあります。
あわてて手紙を外して風船だけ飛ばしたんだけど…ちゃんと飛んでいってくれなくて恥ずかしかったなあ…。

そんな辛口な思い出を終盤思い出しながら読みました。


 柊の読書メーターは→ こちら




映画「それでも恋するバルセロナ」


どちらも“自由奔放”なイメージがありますが、この映画では
(マリアという役柄も手伝って)ぺネロぺ・クルスの存在感は圧倒的でした。
前半ほとんど名前だけの登場で姿すら見えないというのに…驚き。

三人の女性を相手にして、柊にはバルビム演じるファンという男性が不実にしか
見えないのですが、恋をすればそんなことも気にならなくなってしまうのかしらん?
恋とはやはり不可解なものなのですね…。

この映画を見ていると、ガウディの建築物をはじめ、スペインのあちこちを散歩してみたくなってしまいます。

ああでもなんといってもこの映画の一番の魅力はぺネロぺ・クルスだと思いました


 *「それでも恋するバルセロナ」公式HPは→ こちら






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最終更新日  2009.07.03 18:04:57
コメント(8) | コメントを書く


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Re:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
♪ぴょん吉  さん
「恋文の技術」・・・楽しく読みました。
手紙形式だけで これだけの物語を紡がれるとは さすが文体の魔術師・森見さん(勝手に命名)ならではでしょうか。
今回の直木賞候補にはいらなかったのが 不思議でなりません。 (2009.07.03 20:50:50)

Re:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
nanaco☆  さん
「肉体の悪魔」面白そうです!!
この作家さん、二十歳で亡くなられたんですか…
一体どんな文章を書かれていたのか気になります。
早速読みたい本リストに入れておきます♪

「それでも恋するバルセロナ」面白そう(><)
ハビエル・バルデム、たまたま今日UPした「宮廷画家ゴヤは見た」に出ていました。
なんとも陰鬱な役柄でしたけど、、、笑
ペネロペもヨハンソンも、自由奔放なイメージがありますよね♪ (2009.07.04 07:40:25)

Re[1]:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
柊♪  さん
♪ぴょん吉さんへ

>「恋文の技術」・・・楽しく読みました。
>手紙形式だけで これだけの物語を紡がれるとは さすが文体の魔術師・森見さん(勝手に命名)ならではでしょうか。
>今回の直木賞候補にはいらなかったのが 不思議でなりません。

文通相手の人となりまで頭に浮かんできちゃうのですから面白いですよね。
一番最後の手紙が“まじめに読ませる”内容で、きちんとお話を〆ているところがまたいいです。

(2009.07.04 16:34:05)

Re[1]:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
柊♪  さん
nanaco☆さんへ

>「肉体の悪魔」面白そうです!!
>この作家さん、二十歳で亡くなられたんですか…
>一体どんな文章を書かれていたのか気になります。
>早速読みたい本リストに入れておきます♪

うすい本なのでnanacoさんならきっとあっという間に読み終えてしまうのではないでしょうか。
ラディゲが生涯にこの「肉体の悪魔」ともう一作品しか書き残していないというのが惜しまれます。
訳の読みやすさもありますねー。

>「それでも恋するバルセロナ」面白そう(><)
>ハビエル・バルデム、たまたま今日UPした「宮廷画家ゴヤは見た」に出ていました。
>なんとも陰鬱な役柄でしたけど、、、笑
>ペネロペもヨハンソンも、自由奔放なイメージがありますよね♪

「宮廷画家ゴヤは見た」柊も観たい作品です。
映画館で見逃してしまったんです…。
聴覚を持たなかったゴヤが見た悲惨な現実…というのをどう表現しているのか気になります。
この映画にもバルデムさん出ているんですね!
(2009.07.04 16:38:11)

Re:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
kayokorin  さん
『肉体の悪魔』大学生の頃に読みました。
20歳そこそこの頃ですよね。衝撃的でした。

『恋文の技術』本棚で熟成中です。読まねばっ! (2009.07.05 13:05:41)

Re:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
ばあチャル  さん
『肉体の悪魔』はわたしもわりと近年に読んでいます(笑)新訳が出たのですね♪ブログにも書きましたが、ラディゲ→『ドルジェル伯の舞踏会』→『美しい村』→堀辰雄→『風立ちぬ』とロマンチック街道(ドイツではない)まっしぐらです(笑)

(2009.07.06 12:02:01)

Re[1]:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
柊♪  さん
kayokorinさんへ

>『肉体の悪魔』大学生の頃に読みました。
>20歳そこそこの頃ですよね。衝撃的でした。

柊は今回が初読でしたが、もし若いころに読んでいたらまた違った感慨を抱いたかもしれませんね…。

>『恋文の技術』本棚で熟成中です。読まねばっ!

kayokorinさんの感想を楽しみにしています♪

(2009.07.06 16:59:33)

Re[1]:『肉体の悪魔』ラディゲ著+『恋文の技術』森見登美彦著+映画「それでも恋するバルセロナ」の感想。(07/03)  
柊♪  さん
ばあチャルさんへ

>『肉体の悪魔』はわたしもわりと近年に読んでいます(笑)新訳が出たのですね♪ブログにも書きましたが、ラディゲ→『ドルジェル伯の舞踏会』→『美しい村』→堀辰雄→『風立ちぬ』とロマンチック街道(ドイツではない)まっしぐらです(笑)

光文社の古典新訳文庫は手に取りやすいです。
「この方の訳が良い」と何処かで目にして読んでみたのですが確かに読みやすい気が…。
この方が訳されている別な作品にも手を伸ばしてみたくなります。

ばあチャルさんは今ロマンチック街道一直線なんですね(*^^*)
柊は最近ミステリを読んでいないので、濃いミステリが読みたくなっています…☆
(2009.07.06 17:03:16)

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