新 松磯山荘住人のつぶやき
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とにかく音が多い平易なメロディなのにもかかわらずよくよく見ると内声に音が多い伴奏もかなり複雑な譜面になっている指づかいにも苦労するでも難しそうに見えないし聞こえないショパンの協奏曲の方がずっと譜面は単純だ悔しいが誰もショパンの方が簡単だなんて思わないだろう譜面通りに音を保持しようとすると指がちぎれそうになるきっとプーランクという人は手がやたら大きかったに違いない日本人女性の手には酷な作品だプーランクという人はやんちゃなお坊ちゃまだったらしいだから突如ぶっきらぼうな場面があらわれるでもさすがは根っからのパリジャンだ何より都会的でセンス抜群魅惑に満ちた旋律が次から次へとわいてでるメランコリックなメロディをかかせたらもう絶品だがそのメロディは長続きせず突然破られるどんなに悩ましげな部分でもルバートはご法度だ多少揺らいだとしてもそれはカッコつきのルバートそもそもルバートはダサいのだプーランクという人は自身相当の弾き手だったらしいそのせいか速度指定は容赦なく早いメトロノームの指定もかなり早いだが誰かさんのようにメトロノーム指示を無視してもいいということはないらしい冗長という言葉はプーランクには無縁であるだから大抵の曲の演奏時間はかなり短いきれいなメロディもだらだらとは続かないフレーズの終わりもズバっと途切れる途切れるだけじゃなく休符までついてくるこの休符で息継ぎができるのはありがたい休符の後は脈絡なく新しい要素に移ってしまうその実結構気まぐれだしかもときどき計画性のない迷ったようなコーダを書くしかもコーダの途中で「もうやーめた」と言わんばかりに曲が終わるプーランクという人の作品は実に不思議だだが間違いなくユニークでお洒落だそこがたまらない(とある演奏会のプログラムノートに寄稿したものです)
2008年09月07日