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「窓は全部閉まっているのか?」小林は部下の橋元に言った。
「はい。閉まっています」と橋元は再度確認しに部屋を回る。
「被害者の体に残る物的証拠は何もないのか?」
「ありません」橋元ははっきりと答えた。
「それではこの部屋に、被害者以外の指紋は?」
「ありません」
「なるほど~」小林は顎を左手に当て、考え込んだ。
「あっ、もしかしたら!」ふいに橋元が叫んだ。
「どうした?」
橋元はそれに答えずどかどかと部屋を出ていった。勿論小林も後を追う。
「小林さん。これはまだ調べていません」橋元は受話器を取った。
「そうか通話記録に何か残っているかもしれんな。留守電も調べて置け」
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「小林さん。やはり何も残ってはいませんでした」橋元が結果を報告してきた。
「そうか。では、加害者を見たという人間はどうだ?」
「全くありません」
「そうか。これでは何もわからない状態だな。それにこの部屋はどこにも鍵がかかっているし、これではまさに……」
「はい。密室殺人ということになります」
「うむ。完全犯罪でもあるな」小林は遠い目をして言った。
「ですが……」橋元はそこで言葉が詰まった。
「どうした?何か気になることがあるか?」小林はすぐに問いただす。
「あの~僕達はここからどうやって出れば良いのでしょうか」
「うむ。それが問題だな。ここまでは完全犯罪なのだが……」