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2026.07.26
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カテゴリ: 報徳記を読む
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報徳外記

(現代語訳)
 第十五 助貸(上)
 国家の病患は負債より甚だしいものはない。負債というものは、年々その利息分を出さざるを得ない。いやしくもその利息分を出さなければ、利息中に利息を生じて、ついには必ずや国を滅ぼし、家を亡ぼすに至る。
今、負債一万金であるときに、二割の利息でこれを計算するならば、60年間の合計は、五億六千三百四十七万金となる。これは国家を滅ぼすものでなかろうか。たとえ年々その利を清算しても、また二千金はこれを歳入から出さざるを得ない。いやしくもこれを歳入から出せば、租税の額が減ずる荒れ田と同じである。これを救済する方策はひとり私の助貸法があるだけである。
これを名付けて報徳金という。その資金に利息をつけない、そのかつて出したところの利息をとどめて、これを償還させる。わずか五年で借入金を精算することができる。ここにおいて二千金の租税の収入は自分のものとして扱うことができる。実に荒地を開墾するのと同じである。これを鋤や鎌を用いないで、座上の荒地を開拓するといってもまたよい。そもそも報徳金の徳とは、なお太陽や月が大地を照らすと同じである。
そもそも天地の間に生まれるものは、太陽や月の徳を被らないものがあろうか。朝、太陽が登れば、草木は花をひらき、虫は飛んで魚は躍り、鳥はさえずり、獣は走って、おのおのその生を遂げる。まして人間においてはなおさらである。諸侯から庶民に至るまで、おのおのその道を守ってその生活する事業を勤め、一家、一国、天下まで治まる。なぜなら太陽や月が大地を照すとき、大昔以来年々歳々、万物を生みだして、しかも太陽や月は多きを加えず、光を減らすことなく、大昔から一つであるだけである。かつ父母が子を育て、農夫が農事を行なう、ともにその費用を顧みることなく、だから報徳金はこれにのっとって利息を起こさない。そもそも太陽がめぐるのに、卯(5時)に出て酉(17時)に入って、その大地を照らすに別けて六時とする。だから万物は発育する。もし朝に出て朝に入るならば、一物も発育するものなどあろうか。これにのっとって、年をおって微納する。冬の短い日にもとずいて五年とし、夏の長い日にもとずいて十年とし、春と秋の二分の節にもとずいてその中をとって、七年とする。いやしくもこれによってこれを行うときには、負債が有る者は負債を償還し、その分の利息分を得る。あるいは質入れしていた田畑を買い戻して、耕作して秋の収穫の利を得る。あるいは荒地を開墾して、米穀を得て家道をゆたかにしよう。あるいは田畑が無い者は田畑を得、山林の無い者は山林を得、家の無いは家を得、衣食が無い者は衣食を得、馬が無い者は馬を得、農器具や家財が無き者は皆これを得、その家業を勧め、その生を安んずる。その資金は、あるいは百金、あるいは千金、あるいは万金であって、助貸が循環して60年に至るならば、諸人とその苦しむ所から免れ、諸人とその利とする所を得て、しかも資金は増すことも減ることもなく、太陽や月が大地を照らすのと同じである。人がもしこれにならって、贅沢を省いて節倹を守り、余った資金を譲ってその法を行うときには、これが民衆を救済する事であって善行はこれより大きいものはない。人がもしその助貸を受けても、また家業を勤めて、これを償還すれば、その償還する所の資金は直ちに他に及ぶ。またこれ人を救済することになる。かつ末世の弊害は、主君はむごい課税を利益とし、人民は租税を納めないことを利益とし、富む者は金貸しして利を得ることを利益とし、貧しい者は負債して償還しないことを利益とし、富む者はますます富を求めて贅沢にあふれ、ついに滅亡を免れない。貧しい者はますます貧に陥って怠惰に流れ、ついに流民となることを免れない。これが国家が衰廃する本である。その衰えたものを挙げ、その廃れたものを復興すること、他でも無い。その弊害を矯正することにある。これを矯正する方法もまた助貸法にある。その法が行われれば、国君は分を守って民に恵み、民は農業を勤めて貢税を納め、富む者は贅沢を省みてこれを貧者に推譲し、貧しい者は怠惰を改めてその徳に報いる。貧富が共に和して資材はその中に生ずる。天地が共に和して万物を生じ、男女共に和して子孫を生ずると同じである。ここにおいて、富者の奢りと貧者の怠惰の二つの弊害は、いつのまにか消え去り、天下の貧民は窮乏を免れて富裕になれば、国家が復興することを、どうして他に求めることがあろうか。しかしながり、利に走って、恩恵をしたう小民は、どうしてその徳を視ることができよう。国君が国民をあわれむ費用を惜しむことがなく、零細な庶民が安らかであることを利益とし、父母は育児の費用を顧みず、子どもが生育することを利益とし、農夫は培養の費用を顧みることなく、五穀が豊熟することを利益とする者であって、その後に始めてその徳を視ることができる。だから私の道は天下においては国王や諸侯の任務とし、群村においては郡長・庄屋、一家においては一家の主人、要するにその主となるものが行うべきである。


 第十五 助貸(上)
 国家の患は負債より甚だしきは莫し。負債なるものは年々其の利を出さざるを得ず。苟も其の利を出さざれば、則ち利中に利を生じ、遂に国を滅ぼし家を亡ぼすに至るや必せり。今夫れ負債一万金なるとき、什二の利を以て之を計らば、一周度の積、五億六千三百四十七万金に至る。是れ国家を滅ぼすに非ずして何ぞ。縦ひ年々其の利を清するも、亦た二千金は之を歳入より出さざるを得ず。苟も之を歳入より出さば、則ち租額の減ずる蕪田と同じきなり。其れ之を済ふの術は独り我が助貸の法あるのみ。之を命けて報徳金と曰ふ。其の財に息を起こさず、其の嘗て出せし所の利息を留め、以て之を償はしむ。則ち僅々たる五年にして而も清債の功成るなり。是に於て二千金の租入は我の有つところと為る。実に墾荒と同じきなり。之を鋤鎌を用ひずして座上の荒蕪を開拓すと謂ふも亦た可なり。抑々報徳金の徳たるや、猶ほ日月の大地を照らすが如きなり。夫れ両間に生々するもの、誰か日月の徳を被らざらんや。朝陽升れば、則ち草木花を発き、虫飛び魚躍り、禽は囀り獣は走りて、各々其の生を遂ぐ。況んや人倫に於てをや。王侯より以て庶民に至るまで、各々其の道を守り其の業を勤め、家国天下以て治まる。蓋し日月の大地を照らすや、万古以来年々歳々、万物を生々して、而も多きを加へず光を減らさず、終古一輪なるのみなり。且つ父母の子を育み、農夫の農を為す、惧に其の費を顧みず、故に之に法りて以て息を起こさざるなり。夫れ日の行くや卯に出て酉に入り、其の地を照らすや六時と為す。故に万物発育す。若し夫れ朝に出でて朝に入らば、則ち一物も発育するもの有らんや。之に法りて以て年を逐ひて微納す。乃ち冬の短日に本づきて五年と為し、夏の長日に本づきて十年と為し、春秋二分の節に本づきて其の中を執り、以て七年となす。苟も此を以て之を行ふときは、則ち負債有る者は之を償ひ、以て其の利贏を得ん。或いは典する所の田畝を復し、耕耨して以て秋穫の利を得ん。或いは荒蕪を墾き、米粟を得て以て家道を優にせん。或いは田畝無き者は田畝を得、山林無き者は山林を得、居室無き者は居室を得、衣食無き者は衣食を得、馬匹無き者は馬匹を得、農器家財無き者は皆之を得、以て其の業を勧め、以て其の生を安んぜん。夫れ其の資金は、或いは百金、或いは千金、或いは万金にして、助貸循環して一周度に至れば、則ち諸びとと其の苦しむ所より免れ、諸びとと其の利とする所を得て、而も資金は増さず減らさず、日月の大地を照らすと一般なり。人若し之に効ひて、奢侈を省き節倹を守り、余財を譲りて以て其の法を行ふときは、則ち是れ衆を済ふの事にして善行焉れより大なるは莫し。人若し其の助貸を受くるも、亦た業を勤めて以て之を償はば、則ち其の償ふ所の財は直ちに他に及ぶ。亦た是れ人を済ふの域に入れるなり。且つ夫れ叔世の弊たるや、君は聚斂を以て益と為し、民は欠租を以て益と為し、富者は放債にして利を得るを以て益と為し、貧者は負債して償はざるを以て益と為し、富者は益々富を求めて以て奢侈に溢れ、遂に亡滅を免れず、貧者は益々貧に陥りて以て怠惰に流れ、遂に流氓を免れず。是れ国家衰廃の本なり。其の衰へたるを挙げ其の廃れたるを興さんは、他無し、其の弊を矯むるに在り。之を矯むる術も亦た助貸法に在るなり。斯の法苟も行はるれば、則ち君は分を守りて以て民を沢し、民は農を勤めて以て貢を納れ、富者は奢を省みて以て之を貧者に推し、貧者は惰を改めて以て其の徳に報ゆ。則ち貧富相ひ和して貸財其の中に生ず。天地相ひ和して万物を生じ、男女相ひ和して子孫を生ずると同一般なり。是に於てか、富奢と貧惰の二弊、蕩然として銷鑠し、天下の貧民は窮乏を免れて富優を得ば、則ち国家の興復すること、豈に他に求む可けんや。然りと雖も、利に奔り、恵を懐ふの小民、安んぞ其の徳を視るを得ん。独り国君恤民の費を顧みず、黎庶の安息を以て益と為し、父母は育児の費を顧みず、児子の長育を以て益と為し、農夫は培養の費を顧みず、五穀の豊熟を以て益と為す者にして、而る後始めて其の徳を視る可きなり。故に我が道の天下に於けるや、王公の任と為し、群邑に於けるや郡長里正、一家に於けるや主人、之を要するに其の主為る者自りして行ふ可きなるのみ。





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最終更新日  2026.07.26 07:32:22


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