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町屋という町はどうにも掴みどころのないところがあって、それなりに足を運んでいてそれなりに知っているつもりでいるんですが、よくよく目を凝らしてみると気付かぬうちに微妙に変化していることに気付かされるのです。端的には依然あったお店が変わっていたりするのでありますが、それが思い違いなのか現実に変わったのかがどうも確認をもって判断することができないのです。比較として適切かどうかわからぬけれど、ジャック・フィニイの『盗まれた街』(何度か映画化されていますが、ぼくにはドン・シーゲルの『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』がベスト、マンガでは桑田次郎のかなあ(タイトル失念))を想起してしまうのだ。見た目には馴染みある気がするんだけどぼんやりと雰囲気が違っているような漠たる不安に見舞われるのです。日常生活に知らぬうちに他者が忍び込んで町を乗っ取ろうとしているんじゃないか。話を町屋に戻してみると、見た目には従来と変わりないようでありながら、気付かぬうちに似たり寄ったりの酒場で埋め尽くされてしまう、なんてことを感じてしまうのです。酒場なんてものは煎じ詰めると酒と肴を提供し、その場で飲食することができる店っていうだけのものだからもともとが似ているもののはずです。入れ替わりがハコモノはそのままにしてそっと進められているとしたら、ほとんど誰にも悟られることなく人だけの入れ替わりが成功している例もきっとありそうです。厳密にいえば数十年に亘ってずっと変わらぬままにあり続けたような酒場であったとしても少しも変わらぬということは現実にはあり得ないのでありまして、そういった意味では酒場もまた人間と同じなんだろうなあ。 といったことを書いたのは、「立ち呑み 二代目ダルマ」の二代目に引っ掛けようとした意図などはないのでありました。片手間に文章を書いていたらそうなっていたまでのことなのだ。それはともかくとして、この夜はS氏に加えて久々にO氏も含む3名で呑むことになったのだけれど、O氏の到着が遅れるから先に二人でやっておこうとなったのです。そういった長居をしたくない場合には立ち呑みは便利ですからね。ケチな我々の場合、下手に一箇所で呑むと割り勘した際の金額の調整で難儀するということにもなりかねない。かと言って着席の店だと到着時に店を出るまでもたつくことが懸念されます。もう一つ、ここを選んだのは何よりも駅近だからであります。以前から何度も目にしていたので立地の良さはよく知っていました。さて、お客さんの入りは3名ほどとちょっと寂しい気もするけれど、狭いお店なので案外この程度の入りを見込んでいるのかもしれません。店主がガタイのいい人なので、混み合うと室温が上がりそうな印象を受けます。しかも当日の若い客のところに連絡があって、どうも現役力士がやってくるようなのです。その客はタニマチ気分に浸って大物ぶりたいって雰囲気を漂わせています。まあいいんですけどね。この日はまだまだ暑い盛りでありましたので、入れ替わりを理由に我々も引き上げることができそうです。立ち呑みとしてはかなり充実した刺身の盛り合わせを提供してもらえるなど、なかなか頑張ってはいるけれど、立ち呑みとしては幾分強気な価格設定かな。まあ、ぼくにはやはり待合せには悪くないなってタイプのお店に思えました。勘定を済ますとちょうど力士が登場。いきなり遠慮のない肴注文にタニマチくんは大いに満足の表情を浮かべるのでした。
2024/09/30
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何度でもいうけれどぼくは陸の孤島という言い回しが嫌いです。相も変わらず好き嫌いばかり述べていても仕方がないので、ウィキペディアにて調べてみることにしました。すると以下の結果が表示されました。--ウィキペディアには「陸の孤島」という見出しの百科事典記事はありません(タイトルに「陸の孤島」を含むページの一覧/「陸の孤島」で始まるページの一覧)。代わりにウィクショナリーのページ「陸の孤島」が役に立つかもしれません。 陸の孤島とは、本土とは陸続きではあるが、その土地へ至る道などがごく限られており、多くの場合は一本道しかないような辺鄙な場所のことを指す。-- ちなみにウィクショナリーでは以下の記載となっています。--成句近隣の主要地域と陸続きでありながら、交通が断絶されているために到達や脱出が困難である場所を、海で隔絶された孤島になぞらえていう表現。用法この成句は、交通網が整備されておらず恒常的に到達や脱出が困難である場所に対しても、災害等で到達や脱出するための交通網が使えない場所にも用いられる。-- 今回は、埼玉県川口市の東領家、弥平、領家、栄町の4軒をハシゴした訳でありますが、地図をご覧いただくまでもなく、「至る道などがごく限られて」などいないし、当然「一本道しかない」なんてことはありません。また、「交通が断絶されているために到達や脱出が困難である場所」などでもないし、「交通網が整備されておらず恒常的に到達や脱出が困難である場所」なんかじゃない。「災害等で到達や脱出するための交通網が使えない場所」でありもしない。何も辞書的な記述に囚われ過ぎる必要はないと思うけれど、自身の行動力などを誇示するために大袈裟な表現に頼るのはいかがなものかと思うのです。一部のそうした自己顕示欲の強い(?)人たちが軽々しくも「陸の孤島」などと呼ぶ土地に実際に少なからぬ人が住んでいることを近隣の方たちは気分良く思うのだろうか。そうした言葉は実際にそこで暮らす人々が自虐的に語るべきものであって、余所者がいけしゃあしゃあと口にしていい言葉とは思えないのです。まあ、この言い回しを好んで使う人は、特段の悪意を抱いているわけじゃないだろうし、嘲笑したいってことでもないのだと思うのです。単に耳馴染みの良さそうな言葉を短絡に発しているだけなんだろと信じたい。ところで、一応弁明しておくと、ぼくは今回取り上げた川口元郷駅からもそれなりに距離のある場所を短絡者たちが「陸の孤島」と呼ぶような地域と見做している訳ではないということです。あくまでもとあるwebサイトの文章にここを「陸の孤島」と呼んでいたからそれを改めてもらいと試みた次第なのです。 満州餃子なる記載もある「竜華園」は、昼夜通し営業の時間調整には実に重宝するお店であります。実はこの近くには埼玉のローカルフードチェーンである「山田うどん」もあるので、久しく訪れていないからそちらにお邪魔することも念頭に置いていたのでありますが、やはりチェーンよりは個人点だろうということでこちらにお邪魔した次第です。時間は夕暮れ前。当たり前ではあるけれど、昼食には遅く、夕食には早過ぎるというなんとも微妙な時間帯で訪れる客は、働き物か怠け者かのいずれかということになります。前者は昼飯を取る間も惜しんで営業して、夜は遅くなるまで残務処理するなんていうイメージであり、後者は言うまでもなく本格的な呑み屋が開店するまでの時間調整というのがまずもって想像されるところであります。我々(そうそうA氏が一緒)が後者であることは断るまでもないというものです。店内には先客が1名、こちらは前者に該当する方のようで、ラーメンとチャーハンのセットメニューを召し上がっておられる。こちらはそこそこいいお値段でありまして、夕食となればまあそんなものかって割り切れそうですが、昼食と思うといささか贅沢な気もするのです。ビールと餃子に麻婆豆腐という凡庸なオーダーにすんなりと決まりました。餃子は満州風っていうけどごくオーソドックスなものです。麻婆豆腐は赤いトロトロが多めでひき肉控え目のスタイル。正直、ぼくの方が多くの方の支持を得られそうな麻婆豆腐を作れる自負があるけれど、この今時のものとは全く別種な味わいもたまには悪くないものです。客席に腰を下ろしたりと休みがちな主人ですが、やがてその主人とそっくりな人が姿を見せました。ハテナ、彼らは双子なんだろうか。ともあれ飲食店で呑む時間というのは庶民としては実に贅沢なひと時と思えてたまにはいいなあと感じるのでした。
2024/09/29
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北大路魯山人に『握り寿司の名人』という文章があります。この人の文章というのは大概の場合、論理的じゃないことが多過ぎてその真意を汲み取るのが困難だったりします。その不明晰さと尊大な語り口が世の中では当たり前と知っていても、それでもどこかしら滑稽味を覚えるのは、それだけぼくがこの美食界のドンに嫌悪を抱いているからかもしれません。 島田髷(しまだまげ)の時代には売物にならなかった御面相(ごめんそう)が、口紅、爪紅、ハイヒールで堂々と寿司通仲間に侵入し、羽振を利かす時代になってしまった。昔ならほとんど見られなかった風景である。この調子では今にトマトの寿司、コンビーフの寿司、サンドイッチの寿司、トンカツの寿司など、創意創作がむやみやたらと現われ、江戸前を誇った勇み肌の寿司屋など跡を絶たねばならなくなるだろう。サンドイッチの寿司だって本当に現われないとはかぎるまい。飯とパンと同時に賞味できるからだ。 例えば上記の文章であるけれど、一体何を訴えたいのかちっとも分からないのである。いやまあ、色々と苦言を呈したいことがあって、けれど言いたいことを充分に説明のないままに一挙に吐き出してしまったといった具合なんだろうと思いはします。でも性別や容姿による差別的な発言だったり、現実に出現しておりしかもそれなりの市民権を得た創意創作を「むやみやたら」と揶揄したりするのは、ぼくを不愉快な気分に陥らせるのである。トマトやコンビーフ、トンカツは大手回転寿司店で実際に販売されています(した)から。ちなみにサンドイッチ寿司は寡聞にして存じ上げないのだが、マンガには登場しています。http://luckyclover7.blog27.fc2.com/blog-entry-426.html 寿司飯の代わりにパンに寿司ネタをのっけただけなので、これに限っては魯山人の想像力が上回っていたと言えなくもないのかも。味っ子のものだって、世間に出回っているサンドイッチ風の形状のおにぎりという凡庸さよりは余程上をいってると思うけれど、果たして魯山人はどういった仕上がりを夢想していたのだろるか。キュウリのサンドイッチ【材料】食パン 2枚/きゅうり(粗みじん切り/塩揉み/絞る) 1本/塩・マヨネーズ(マスタードを混ぜる)・マスタード・マーガリン 適宜【作り方】1. 食パンにマーガリン、マヨネーズを塗ってきゅうりをのせ、食パンを被せる。きゅうりサンド【材料】食パン(サンドイッチ用) 4枚/きゅうり(縦2等分/種を取る/斜め薄切り/顆粒だし、塩をまぶす/絞る/マヨネーズを和える) 2本/顆粒だし・塩 適宜/マヨネーズ 大さじ2/バター・練り辛子適宜【作り方】1. 食パンにバター、練り辛子を塗ってきゅうりをのせ、食パンを被せる。きゅうりサンド(有元葉子)【材料】食パン(サンドイッチ用/バターを塗る) 4枚/きゅうり(縦2等分/斜め薄切り/塩をまぶす/絞る) 4本/バター・塩 適宜【作り方】1. 食パンにきゅうりを広げて食パンを被せる。ラップで包んで室温で20分置く。ギュウギュウきゅうりサンド(かっちゃん)【材料】食パン(6枚切/マーガリンを塗る) 2枚/きゅうり(塩揉み/絞る/【調味料と和える】) 1.5本/塩 小さじ1/4/マーガリン 適宜/【調味料(混ぜる)】マヨネーズ 大さじ1/味噌 小さじ2/3/砂糖 小さじ1/3/練り辛子 適宜【作り方】1. 食パンにきゅうりをのせて食パンを被せて冷蔵庫で5分寝かす。耳を切り落とす。 今回はきゅうりサンドのオンパレードです。なので、コメントは一括して行うのです。きゅうりのサンドイッチはシンプルが身上だから、基本的にはパン、きゅうり、(マヨネーズなどの)ディップの3要素をいかに組み合わせるかにかかっています。パンの種類(食パンもしくはそれ以外)や処理(厚さ、焼く/焼かないなど)、きゅうりの処理(調理の有無、切り方など)、ディップの種別や組合せといったバランス感覚が必要となります。有元葉子氏のレシピですら、塩揉みしているからミニマムなものとは呼べぬかもしれず。まだまだぼくのベストなきゅうりサンドイッチへの探求は終わらないのです。
2024/09/28
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レンズ豆って浸水に要する手間もなく、非常に使い勝手がいいのでぼくも突然豆が食べたくなった際にはよく用いています。ひよこ豆、いんげん豆、そら豆なんかが古代から重用されていたそうですが、当時は恐らくいずれも乾燥して保存されていたんだと思われます。レンズ豆以外はいずれも一晩程度は水に浸しておかなければ柔らかく煮ることができないから、ぼくの感覚からはそれなりに厄介な食材に思えるのです。なのにそんなレンズ豆が嫌われた時代があったというから不思議です。Wikipediaにも以下の記述がみられます。--古代ローマではソラマメが好んで食べられ、レンズマメは避けられた。ただし、古代ローマの料理書『アピキウス』にはレンズマメのメニューも掲載されている。レンズマメが避けられる傾向は中世ヨーロッパにおいても続いた。-- どうしてなんでしょうね。色々と調べてはみたのですが、どうもその理由ははっきりしません。むしろそら豆の方がピタゴラスが嫌ったりそら豆中毒になるなど忌避されていたような記述が目立つのです。ぼくにとっては、どの豆もそれぞれ違ってそれぞれ美味しいってことになるのですが、レンズ豆よりはそら豆が嫌われるって方が腑に落ちるんですね。というのはそら豆が嫌いな人であればよくお分かりの様に茹でたそら豆の薄皮の汁が発する臭いがきっと嫌いな人には耐えがたいんじゃないだろうか。なんて思ったりするのです。その点、レンズ豆は扱いがいいばかりではなく癖もほとんどないからどんな料理にも合わせやすいと思うのです。レンズ豆と舞茸のスープ煮【材料】レンズ豆(茹でる)・玉ねぎ(みじん切り)・ニンジン(みじん切り)・舞茸・ベーコン(5mm幅)・トマトペースト・にんにく・オリーブ油・水・顆粒コンソメ・ドライタイム・塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにくを炒める。玉ねぎ、ニンジン、ベーコンを加える。舞茸を加える。水、顆粒コンソメ、ドライタイム、レンズ豆を加える。塩、胡椒する。 このレシピ、手持ちのレシピ本に載っていたはずと懸命に捜索したのですが、どうしても見つからないのです。随分以前からこのレシピは思い出したように作り続けてきたからレシピなしでも大体、再現できるから不自由はないのだけれど、どうもモヤモヤしてしまうのです。今見ると至極シンプルな料理ですが、初めてこれを作った時には舶来の豆(って日本固有の豆ってあるんだろうか)と当時和食でしか食べたことのなかった舞茸の組合せで果たしてどんな味になるのやら、全く想像ができなかったことを思い出します。その時の感動をもう再び味わうことはできないんだろうなあ。レンズ豆とほうれん草のトマト煮【材料】レンズ豆(茹でる)・ほうれん草(茹でる/4cm幅)・サラミ or ソーセージ(薄切り)・トマトペースト・トマト水煮・オリーブ油・にんにく・カイエンペッパー・ドライオレガノ・水・塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにくを炒める。サラミを加える。トマトペースト、トマト水煮、、カイエンペッパー、ドライオレガノを加える。水を加えて煮る。ほうれん草、塩、胡椒を加える。 これは最近見つけたレシピだったはず。出典は不明です。豆とほうれん草って相性がいいんですよね。これに加工肉を加えたらそりゃまあ旨いよねえ。レンズ豆カレー【材料】ごはん 適宜/レンズ豆(茹でる) 2.5カップ/玉ねぎ(みじん切り) 1個/チリパウダー・クミンパウダー 適宜/ターメリック・生姜・にんにく 小さじ1/2/塩・バター 適宜/サラダ油 100ml【作り方】1. 鍋にサラダ油を熱して玉ねぎを炒める。チリパウダー、クミンパウダー、ターメリック、生姜、にんにくを加える。レンズ豆を加える。塩、バターを加える。皿にごはんを盛ってかける。 バングラデシュ風のレシピとして紹介されていましたが、正直どこがバングラデシュやねんって感じのシンプルなレシピです。まあある意味では豆もカレーはどう作ったてそれなりに旨いってことですね。インドのカレーってレンズ豆はあんまり使わない気がするんだけど何でかなあ。パリプ(スリランカ風ダルカレー)【材料】レンズ豆(水洗い)1カップ/湯(ココナッツミルクを混ぜる) 500ml/ココナッツミルク 大さじ6/ココナッツオイル 大さじ2/ニンジン 1片/赤わけぎ 2個/カレーリーフ 1枝/【スパイス類】青唐辛子(縦細切り) 1/4本/塩 小さじ1.5/ターメリック 小さじ1/2/カレー粉 適宜/シナモンスティック 3cm【作り方】1. フライパンににんにく、赤わけぎ、ココナッツオイルを入れて加熱する。カレーリーフを加える。2. 鍋にレンズ豆、湯、【スパイス類】を入れて加熱する。1.を加える。 こちらはスリランカ風。香取環さんのレシピ本で見つけたんだったかな。急に豆カレーを食べたくなって、ですぐ煮える豆ってことになるとレンズ豆かなってことでこのレシピを吟味せずに作りだしたのです。すると何という控え目なスパイス利用なんだろう、って不安になったのです。でも食べてみてびっくり、思った以上に濃厚な風味で大いに気に入ることになったのでした。下手にスパイスを増やしたりしなくて良かったです。
2024/09/27
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逆転の発想ってほどのものではありませんが、近頃は酒場密集地帯に呑みに行く際は行ったことのない酒場メモではなく、すでに訪問済みのメモなんかを用意したりします。そうすれば少なくともここは避けた方がいいだろうというお店に再訪するヘマは減らすことができます。スマホを持ち歩いているならスマホにメモしておけば良さそうなものですが、さすがに容量が大きいせいもあって、検索に時間を要する、というか開くだけでもフリーズしてしまうのでありました。もう少し高性能のスマホやタブレットならスイスイと快適に動いてくれるんだろうか。とまあ、呑み始めはともかくとして酔いが回ってくるとそんな事前調査などどこ吹く風といった調子で気の向くままに目に付いた酒場に飛び込んでしまう訳で、例えば一見すると見栄えの良い(ぼくの場合は圧倒的に渋いタイプの酒場)を見掛けてしまうと、事前のチェックで実は店内は外観を裏切るものであると知っていたはずなのに、ふらふらと吸い寄せられてしまうなんてことも少なくないのです。まあ、写真などというものは実際に目にするものとは全く別物になって記録される類の装置なのだから、実物に直接触れることは悪いことではないものではあるのです。だったら吸い寄せられても構わないってことになってしまうのだけれど、そうした浮気心で本来、どしても立ち寄っておきたかった酒場にあと一歩のところで手が届かないなんて失態は数知れずなのです。やはりここぞと決めた酒場には何はさておいても訪れておくべきなようです。特に公共交通機関で訪れるには大いに難儀な場所であれば、多少、胃腸が重かったり、帰宅時間が気に掛かったとしてもそんな些細なことは振り切る気力が求められるのです。 さて、公共交通機関の駅であっても南鳩ヶ谷駅は運賃高額で悪名高き埼玉高速鉄道の駅であるからして全くの無知のままに訪れるのは非常にリスキーなのだ。まず埼玉スタジアム線の起点である赤羽岩淵駅まで訪れるにもそれなりの時間と費用を要するのであって、4.3km先の南鳩ヶ谷駅まで270円をかけても損ではないと思えるだけの用意を整えておくべきなのです。実は先般書いたもつ焼き屋で金額分の満足はすでに得ているからさらにケチ臭いことを述べるのはみっともないことであるのですが、人の欲というのはとめどもないものなのです。もつ焼きの前の道を真っ直ぐ行くと何やら未知の喫茶店を目にするのです。「メリーエンジェル」というらしいが不覚にも全く無知であります。久々に喫茶店愛が呼び覚まされそうであったけれど残念ながら営業時間外のようです。さらに東へと向かうとやがて「中華料理 シンシン」なる普段使っているテキストエディタでは表示できない漢字の店が見えてきました。こうした難必難読漢字を用いることに果たして店の方は何を求めるのだろうか。縁起がいい文字としてももっと分かり易い方がいいのではないか。と夕暮れ時を迎えつつもまだまだ陽が高くギラギラと陽光の射す中を汗を拭き拭き到着します。店内に入ると視界は真っ暗となりました。屋外の光線の強さに目がやられたのかとしばし動揺してしまいましたが、先の酒場ではこんなことはなかったとしばし目を凝らしていたら徐々に店内が見えてきました。単に思いっきり暗い店だっただけでした。でも今だからこそ非常に暗く思えたけれど、夜が更けていたらそんなでもなかったのかしら。その暗い印象は結構広いのにお客さんが父子2人だけだったことにも起因するかもしれません。中国の方らしき夫婦とその息子さんでやってるんですが、息子さんがテーブルでノートを広げて勉強しているのを母が折りを見てあげているという光景がなぜか無性に寂しく思えたのです。かくいうぼくはそんな様子をエビフライと餃子を摘まみながらサワーを呑んで眺めているのだから、どちらが寂しいかは論を待たぬのでした。果たして駅まで徒歩20分近くかけて戻らねばならぬこの場所まで訪れる価値が果たしてあったのか、今でも疑問に思うけれど、きっと来ていなかった悩む以前のモヤモヤに悩まされたことだろうと思うのです。
2024/09/23
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一度、金町をじっくり歩いてみたいと思っています。金町といっても水元方面の事で、実のところは以前そこそこじっくりと歩いてみたこともあるのです。でも朝方から彷徨いだしたということもあり、夕方頃になるとヘトヘトになってしまいました。目的は当然呑みでありまして、途中少し良さげな酒場なども見掛けたりもしましたが、まだ営業開始にはしばらくあったりして、止む無く通過することになるのです。そうなると徒歩で巡るにはいささか広大過ぎる土地であるため、再び元の場所に取って返すという労苦は敬遠してしまうのです。次の地点に向かえばまた別の良さそうな酒場だってあるだろうという考えなのです。ところが、そうした浮気めいた行動を取るとどうにも上手くいかぬ場合が多いようで、はるばる訪れた次の酒場は折悪しく休業していたりするのです。二兎を追う者は一兎をも得ずの諺が真理を言い当てているように感じるのです。しかしまあ一挙両得なんて言い方もある訳で、人というのはいかようにだって解釈してそれが真実だと思い込んでしまう身勝手な生き物のようです。無目的に旅に出ると気取ってみせたところで真に目的のない旅などあり得ない訳で、そこには無目的であることがニヒルでカッコいいとかの自己陶酔的に浸ろうとの目的を潜ませていたりするものだと思うのです。とまあ、水元に行きたいなんて話をするつもりだったのが、話が別の方向へと向かってしまった。今の無気力なぼくには駅側の酒場を訪れるだけでも怠惰に対して抗う気力を要するのでした。 やって来たのは「お食事処 よし甚」です。京成金町駅の呑み屋街の一軒です。この通りの酒場は一部の有名店を除くと、どこかしら似通ったムードのお店が多くて、初めてと思って2度3度と足を運んでしまう店も少なくないのです。そこがいい店だったらそれはそれで構わないのだけれど、ハズれの店に繰り返してお邪魔するとなると目も当てられません。本来は好きな酒場を記憶に留めるためにメモを取り続けてきたのですが(メモといってもほとんど渋い/退屈、好き/嫌い、高額/安価といったレベルに過ぎぬのです)、思ったようには役立てられていないのです。ともあれ、こちらにお邪魔したのは初めてだったようです。初めてならまあ外れでも最低限の目的は果たせたという気分には浸れます。さて、店内は思いがけず賑わっていますね。呑み屋っていうのは表から眺めてパッと見で繁盛ぶりが分かる店と扉を開かぬ限り全く様子の分からないタイプがありますが、前者は確実ではあるけれどスリルがない一方で、後者はリスクが高い分だけ達成感(一体何を達成したというのか)が圧倒的に高く、ぼくは言うまでもなく後者に魅力を覚えるのです。でもまあこちらは客層は必ずしも大人しくはないけれど、店の方たち(思いがけずお若い)や雰囲気はかなり上品目でありました。だから詰まんないかというとまあ面白味はないけれど、一軒の呑み屋としては非常に使い勝手がよろしくて、なるほどお客さんが入る訳だと納得させられるだけのものでありました。
2024/09/22
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ぼくは、大葉と茗荷が大好きなのです。薬味としてちょっぴりが小皿に盛られているとストレスを感じます。ちょっぴりならいっそのことない方がいい位に思えるのです。ところが、紫蘇や茗荷っていうのは庭付の一軒家暮らしの方たちから、庭の片隅からこれでもかって位、生えてきてとても食べ切れないなんて話を聞かされたりします。植物に関してはほとんどといっていい位に造詣が浅いので、スーパーで売られている商品化されたものであれば大体知っていると思うけれど、それがどうやって生育しているかなどについては、全くの無知なのです。紫蘇がわっさわっさと生えているとか茗荷がそこかしこからニョキニョキ生えてくるなんていうのは写真の一コマとして見たことはあるけれど、実物を目にする機会には不幸にも恵まれなかったのです。でもまあいずれも大概の小売店で販売されているからさほど不自由する訳ではないのですが、季節にもよりますが概して高額なのが問題なのです。大葉は10枚程度で100円近くすることもあれば100枚以上入ったパックが198円だったりすることもあって、それが季節というよりは販売店舗によって価格差があるっていうことになると誠に困ったことになるのです。うっかり買い求めてスーパーをハシゴしたらそこではバカ安で販売されていると思うと、スーパーを行ったり来たりということにもなりかねない(実際そうすることもある)。茗荷なんて都内では3個で158円とかしたりするのが、旅先で10個で80円なんかで売られていて大量購入して持ち帰るのに苦労したりもする。ああ、これらが家庭で簡単に水耕栽培できないもんだろうか。大葉と茗荷のカレー【材料】ごはん・豚肉・玉ねぎ(くし型切り)・ニンジン(拍子木切り)・大葉(千切り)・茗荷(縦2等分/斜め切り)・にんにく・生姜・カレーフレーク・顆粒だし・醤油・水・サラダ油 適宜【作り方】1. 鍋にサラダ油を熱してにんにく、生姜を炒める。豚肉、玉ねぎ、ニンジンを加える。水、顆粒だしを加える。大葉、茗荷、カレーフレーク、醤油を加える。皿にごはんを盛ってかけ、大葉、茗荷を散らす。 カレーのパワー恐るべし。大葉も茗荷も普通にルーに溶け込んで、せっかくの風味も霞んでしまうのでした。旨いけどね。大葉と茗荷のしらす丼【材料】ごはん(すし酢を和える) 150g/しらす 40g/茗荷(縦2等分/斜め薄切り) 1個/大葉(千切り) 5枚/すし酢 小さじ2/めんつゆ 小さじ1/小ねぎ(小口切り) 2本/白ごま・わさび 小さじ1/刻みのり 適宜【作り方】1. 丼にごはんを盛ってしらす、茗荷、大葉をのせ、めんつゆをかける。小ねぎ、白ごま、刻みのりを散らして、わさびを添える。 やはりカレーなんかじゃなくこういう定番の穏当なもので用いるのが良さそうです。間違いのない美味しさ。鶏ひき肉と茗荷の炊き込みごはん【材料】米 2合/鶏ひき肉(下茹で) 100g/水カップ 1.5/酒 大さじ2/薄口醤油 大さじ2/茗荷(縦2等分/斜め薄切り) 3個/大葉(千切り) 10枚【作り方】1. 炊飯器(内釜)に米、水、酒、薄口醤油を入れて炊く。茗荷を加えて蒸らす。茶碗に盛って大葉を散らす。 茗荷って加熱すると美味しいんですよね。今は新店舗として営業している藤沢の名酒場「久昇」で食べた茗荷のチャンプルーの衝撃は今でも記憶に新しいのです。当然炊き込みごはんにしても旨いのだ。大葉と茗荷のわかめコーンラーメン【材料】中華麺(とんこつ/茹でる)・大葉(千切り)・茗荷(縦2等分/斜め薄切り)・わかめ・コーン・鶏ひき肉・酒・塩・白胡椒 適宜【作り方】1. 鍋で鶏ひき肉、コーンを炒める。2. 丼に付属のスープを入れて1.の茹で汁を注ぐ。中華麺を盛って1.の具、大葉、茗荷、わかめをのせる。 あれあれ、こんなの作ったかしら。推測するに後生大事に冷蔵庫で保存していたのが痛みそうになったので無理矢理トッピングしたんじゃなかろうか。でもそれだってきっととても美味しかったはずだと思うのです。
2024/09/21
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丼物をキーワードに青空文庫で検索してみました。すると以下の結果が表示されたのです。--林芙美子 濡れた葦子供たちは、いかにも心細さうにあたりをながめてゐる。ふじ子はひよいとしたら、丼物でもとつてもらへるかも知れないと、女中に、何か食べものを取りよせてもらへるかとき ...豊島与志雄 沼のほとり ――近代説話――黒ずんだ卓子が土間に並んでいて、やはり兵営での面会帰りと見える人たちが、代用食らしい丼物を食べていました。 八重子もそこにはいってゆき、お茶を飲みました ...山本周五郎 青べか物語... 丼物 ( どんぶりもの ) でも取ればいいほうだからだ。――で、こうして召集された女たちがかもを取り巻き、夜の明けるまで盛大に騒いだ。もちろん騒いだのは女たちで ...山本周五郎 季節のない街もし割箸があるとすれば、そばとか 丼物 ( どんぶりもの ) とか、なにかを家へ取ったことがあるのだろう、長屋のかみさんたちはそうにらんだ。 「みせびらかしてるん ...岸田國士 世帯休業... 丼物 ( どんぶりもの ) の勘定は、この限りにあらず. 以上. 詩人 なるほど、可なり厳重ですね。しかし、僕がゐないものとして作られた規約なんだから、そこを少し改正 ...-- ご覧になると敢えてぼくが指摘するまでもないことですが、丼物というのは出前で取ったり、表でお金を払って食べたりするものであって、余り自宅で拵えて食べるものではなかったように察せられるのです。でも丼物って大概は簡単に作れるはずなのにいちいち頼んだのは家庭内に冷蔵庫がまだなかったからなのかなあ。ぼくのようにケチな性格の持ち主は、届くなり提供されたらせいぜい3分もあれば片付いてしまう料理はまず頼もうと思わぬのだ。せいぜい呑むのが憚られる仕事中の昼飯に限られます。間違って夜に食べる場合は、当然のことながら丼ぶるものだって酒の肴と化するのです。常々思ってはいるし、語ってもいるのだけれど丼飯の上の肴をのせたら(一度のせた料理だけで丼飯が平らげられるという程度の条件は設けるべきでしょう)基本的に丼物だとすれば、そのヴァリエーションは実質的に無限大です。の割にはそんなにしょっちゅう食べぬのは飯が飲酒を邪魔するからなのかもしれません。肉玉ライス ソース・醤油・塩コショウ(無念、写真紛失)【材料】ごはん 1杯/豚肉(バラ) 100g/卵(半熟玉子焼き) 1個/塩・胡椒 適宜/ふりかけ(旅行の友)・濃厚ソース(センナリソース)・マヨネーズ 適宜【作り方】1. フライパンで豚肉(バラ)を焼き塩、胡椒する。2. 丼にごはんを盛ってふりかけをふる。卵、1.をのせる。濃厚ソース、マヨネーズをかける。 広島の呉にある「ポパイ」なる店で提供されている料理だそうな。ソース、醤油、塩・コショーの3種の味があるようです。こりゃまあ旨いに決まっているが、自分の年齢を慮るとそうは食えぬ料理であります。他人丼【材料】ごはん・豚肉(一口大)・玉ねぎ(薄切り)・卵・だし・醤油・みりん・砂糖・刻みのり・紅生姜 適宜【作り方】1. 鍋にだしを沸かして豚肉、玉ねぎを煮る。醤油、みりん、砂糖を加える。溶き卵を注ぐ。丼にごはんを盛ってのせ、刻みのりを散らして紅生姜を添える。 ぼくは、豚を卵でとじた丼をずっと他人丼と呼んでいました。でも西日本から東日本に越してくると他人丼が通じぬことが少なくなかったのです。どうやら開華丼と呼ばれたりもするようですが、余り見掛けることはないです。西日本でも豚ではなく牛を用いたりする場合もあるようですが、ぼくの印象ではほとんど豚だったはず。東日本の人はカレーなんかでもよく指摘されるように豚を好むのに豚の卵とじが余り食べられていないのは不思議な感じもします。かしわバター丼【材料】ごはん 300g/鶏肉(親鶏/もも/一口大/【下味】に漬ける) 300g/【ペースト(混ぜる)】バター・にんにく・胡椒・白胡椒・醤油・酒・みりん 適宜/【たれ】醤油・にんにく・一味唐辛子 適宜/青ねぎ(小口切り)・のり(千切る) 適宜/【トッピング】【カレー(全ての材料を沸かして水溶き片栗粉を加える)】カレー粉・醤油・鶏がらスープの素・水・片栗粉 適宜/【ガーリックマヨネーズ(混ぜる)】マヨネーズ・にんにく 適宜/卵黄・花山椒・白ごま 適宜【作り方】1. フライパンで鶏肉を焼いて【たれ】を加える。2. 丼にごはんを盛ってのりを散らし、1.をのせる。【トッピング】を添える。 ケンミンショーで紹介されていたのを見て初めてその存在を知りました。香川県の「武内食堂」とその関連するお店で提供されているようです。ネット上にレシピが出ていますがどれもテレビで紹介されていた作り方とは全く異なっていました。番組内ではバターなどの調味料なんかを全て混ぜてそれで鶏肉を漬込むようです。面倒ですが具なしカレーも作ってみました。さて実食すると、そんなに変わった食材を使っているわけでもないのに無性に中毒性のある味となりました。でもこれまた中高年にとっては危険な食い物と考えます。なんちゃってカツ丼【材料】豚肉 80g/玉ねぎ(薄切り) 1/4個/卵 1個/揚げ玉 大さじ4+3/【調味料】めんつゆ 小さじ5/砂糖 大さじ1/2/水 大さじ3【作り方】1. 耐熱ボウルに豚肉、【調味料】を入れて電子レンジで600W4分加熱する。卵を割り入れて溶き、50秒加熱する。揚げ玉を加えて混ぜる。丼にごはんを盛ってのせ、揚げ玉を散らす。 てぬキッチンさんで紹介されている料理は、レンジを多用するせいかぼくには逆に却って面倒な気もするのですが、そこはオリジナリティを尊重してじっと我慢で作ってみました。といいつつ、紅生姜や刻みのり(実はに切ったみりんも)を追加してしまうのです。まあ肝心なのは揚げ玉がカツの衣を代替してくれるかどうかにありますから良しとします。結論を申しますと、ちっともカツではなかったけれど、これはこれで充分旨かったということです。
2024/09/20
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三河島駅の改札を抜けて尾竹橋通りを京成本線の駅に向かって進んでいくと何軒かの居酒屋が立ち並んでいるのが目に入ってきます。ここら辺のお店、何が気になるかって、しょっちゅう居抜きで店が変わっていて、入ったことがあるんだったかちっとも覚えられないのです。初めての店ならまあこのブログの肥やしにはなるから良しとして、また、入ったことがある店でも気に入った店だったらそれはそれで構わないのでありますが、少なくともそれなりに気に入っていたとしたらいくらかは記憶に残っているはずです。いやいや、あんた(ぼくのことね)は初めてのつもりで何度も同じ店に入っては愚痴ってるじゃないかって指摘されたらぐうの音も出ないのです。ともあれ、これといった目星もなかったのでブラブラと歩いていたわけです。そしたら赤提灯を発見。ここらで赤提灯を下げた居酒屋は見たことがなかったのでちょっと気になります。でも店名がどうも気に食わない。やきとんの店らしいのだけれど、「29ちゃん」ってあんまりにも安直ではないかい。 といった訳で訪れたのは、「元祖炭火やきとり やきとん29ちゃん」でした。わずかのカウンター席と奥に卓席があるけれど、えらく狭苦しい造りのお店だなあ。雰囲気は嫌いではないけれど、これではキャパがなさすぎじゃないかな。と思ったらどうやら2階席もあるみたいです(未確認です)。お客さんは一人もいません。何となく嫌あな気分になります。新しい店(これも推測に過ぎない)で空いてるのってどうかと思うのです。ともあれサービスのセットを注文です。これは案外お得でないかな。串焼き3本と煮込み、ドリンク2杯で980円はなかなかだと思う。でも店の方に活気ってもんが感じられないんですね。しかも店長らしきおぢさんが何か様子を窺いに来ていたのですが、ちょっと感じが悪かったんだよなあ。これはこのセットだけでさっさと引き上げることにしようと思っていた矢先に嫌味を言いそうなオーナーが来てしまったので帰りにくいったらないのだ。でもこれ以上、浪費する気になれず気持ちを振り絞って勘定を済ませました。出る際に看板を見たら「29」は「にく」ではなく「ふく」だったみたいです。しかも何のことはない「串八珍」の系列だったとは。何だかさらに損した気分になりました。
2024/09/16
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映画というものが一度や二度見た程度では正確な評価など下せぬのと同様に居酒屋もまた一度や二度訪れただけで良し悪しを決するのは無理なものなのです。今でこそ世間の多くの人にとって映画館や居酒屋という場所は、せいぜいが週に一度程度訪れるかどうかといった場所となっていますが(全くの憶測でしかなく統計・調査に基づく事実ではありません)、1950年代(これまた漠然とイメージしているだけに過ぎぬのです)には散歩に出るついでに映画を見たり居酒屋で呑んだりしていたのではなかっただろうか。現代であればコンビニに買い物に立ち寄るような気軽な振舞いであったように思えるのです。ぼくの親世代になってしまうと家庭には冷蔵庫はもちろんテレビも当たり前に設置されるようになっていたから、映画館へ足を運ぶことも激減したはずでナイター中継を見ながら冷えたビールを茶の間で眺めるなんていうシチュエーションが一般化しつつあったはずです。ちなみに我が実家は少しも資産家ではなかったし、いわゆるリッチな生活とは縁遠かったけれど、父親が趣味人でとにかく電化製品に関しては新し物好きの気味があったのです。なので、有線リモコンの付属されたVHSビデオデッキもあったし、クーラーなんかも水冷式の巨大なのがあったりして、家庭生活はそれなりに先進的だったのです。 とまあ、話が逸れまくるのでとっとと本題に入ります。この夜は「小料理 梓」を訪れました。1カ月と経たぬうちに再訪するのはぼくとしては極めて稀有なことで、自らの選択を客観的に眺めると大いにこちらを気に入ったようです。前回はお客さんもお一人おられただけだったので、もったいないなあと感じたのですが、単に開店後間際だけだったようです。今回は危ない危ない、危うく入り損ねる程に賑わっていました。いやはやそうじゃないとおかしいよなあと思う一方で、コロナ後ということもあるからいい店に客が入らぬことがあっても仕方のないことであるという気もしたのです。空席は入口入ってすぐの座敷のみ。現代の体格のそこそこいい4名には窮屈な感じもしますが、贅沢は言ってられなません。それにしてもここの肴はどれもちゃんとしてるよなあ。極上の素材とかそういったんじゃないんだろうけど、寡黙なご主人が丁寧に仕事してくれるからそれが客の側にもちゃんと伝わってくるんだろうなあ。嬉しいことに他の3名も大いに気に入ってくれたみたいです。店の娘さん(?)はぼくのことを覚えておられたらしく、つい自慢げに振舞ってしまうのでした。それにしても皆さん気に入り過ぎてうっかり清酒を数えきれないほどに注文。当然ながら皆さん、翌朝は大変つらい思いをしたのでありました。
2024/09/15
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今回取り上げるのは、文筆業をはじめ旺盛に活躍を続け、一方で豊富な恋愛遍歴を持ち、ヴァイタリティを失うことなく97歳の晩年までを駆け抜けた宇野千代であります。現代人の多くが草食系どころか植物系と呼んでも不自然ではない程度に精力を喪失しているのと比べると宇野の肉食系ぶりは辟易とさせられるほどであります。実際,宇野は食事に関しても大いに肉を好んだらしいのです。文藝春秋『ノーサイド』編集の『美食家列伝』には、美食家として知られる日本の著名人の逸話が数多く紹介されています。宇野千代は月に七升の特級酒を料理に使った 味つけの秘密はもう一つ。最上等の牛肉である。牛肉のみじん切りを妙めて繊切り大根を入れ、歯ごたえのあるうちに調味、できたてをふうふう吹いて食べるのが千代風大根の煮しめだ。かぼちゃ、牛蒡、芽、どんな野菜も素揚げしてから煮るが、ここでも牛肉と酒でまろやかなコクと艶を出す。牛肉は別皿に取り出して保存、まとまったら佃煮にする。味噌汁の二番だしにした牛肉も同様に。旨味が逃げるので野菜のアク抜きはしない。 味噌汁のだしにまで牛肉を使うとは、まさに筋金入りの肉食人ですね。多用することもさることながら、何よりも財力があるんだなあという方面に感心するというのは何とも貧乏臭い話だなあ。牛そば【材料】そば(茹でる) 1人前/牛丼の具・青ねぎ(小口切り)・めんつゆ・ラー油・白ごま・揚げ玉 適宜【作り方】1. 器にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、牛丼の具をのせる。青ねぎ、ラー油、白ごま、揚げ玉を散らす。 これって何のレシピだったかなあ。どこぞやで拾ったレシピだったはずですが。牛丼の具をそばやうどん、さらにはパスタに混ぜるんだって思い付く位、オリジナリティに欠けますが、間違いのない美味しさではありました。牛丼の具はどうしたんだっけなあ。肉吸い【材料】水 400ml/鰹節 1パック/牛肉(薄切り) 150g/生姜 適宜/長ねぎ(斜め薄切り) 1本/卵 1個/【調味料】薄口醤油 大さじ4/顆粒だし 大さじ1/砂糖 大さじ1【作り方】1. 鍋に湯を沸かして鰹節を加えて煮出す。生姜、牛肉を加える。長ねぎ(半量)、【調味料】を加える。溶き卵を注ぐ。器に盛って長ねぎ(半量)をのせる。 大阪でよく食べられているという肉吸いを作りました。シンプルなことこの上ないのですが、これで十分に美味しいのです。でも軽すぎて満足感というのは希薄です。牛肉の白ワイン煮【材料】牛肉(もも/10等分/塩、胡椒する) 600g/油 大さじ2/にんにく 1片/バター 大さじ2/玉ねぎ(薄切り) 1個/ニンジン(8mm厚) 1本/白ワイン・水 120ml/ブーケガルニ 1束/塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋に油を熱して牛肉を焼き、取り出す。バターを熱してにんにくを炒める。玉ねぎ、ニンジンを加える。白ワインを加えて中火で2分煮る。水を加える。ブーケガルニを加える。塩、胡椒を加えて蓋をし、弱火で2時間煮る。【備考】大森由紀子著『フランス ふだんのおそうざい かんたんレシピとワインとチーズ』(柴田書店) このレシピ大好きなんです。これならいくらだってニンジンが食べられてしまうのです。ニンジンもさることながらその甘味を吸った肉とスープも抜群で簡単なのにいい料理です。大森氏のこのレシピ本、名著だと思うんだけどなあ。牛肉の白ワイン煮のパスタパスタ(茹でる)・牛肉の白ワイン煮・オリーブ油・粉チーズ 適宜1. フライパンにオリーブ油を熱してパスタ、牛肉の白ワイン煮を炒める。皿に盛って粉チーズを散らす。 ちょっと余ったのでパスタに変身。当然に美味しいのです。テシュティケバブ(Testi Kebap)[トルコ]【材料】牛肉 or 羊肉(3cm角/【マリネ用】材料に一晩漬ける) 500g/【マリネ用】ローズマリー(挽く) 1枝/塩 適宜/にんにく 5片/赤唐辛子(砕く)・胡椒(砕く) 小さじ1/オリーブ油 適宜/【シチュー】オリーブ油 大さじ1/玉ねぎ(粗みじん切り) 2個/パプリカ(緑/1cm角) 1個/トマト(皮を剥く/1cm角) 3個/ペッパーペースト(代替:生胡椒・塩・オリーブ油)・タイム 大さじ1/2/パプリカパウダー 小さじ1/2/塩・胡椒 小さじ1/4【作り方】1. 耐熱容器にオリーブ油(半量)を熱して玉ねぎを炒めて取り出す。オリーブ油(半量)を熱して肉を炒める。玉ねぎを戻す。パプリカ、トマト、ペッパーペースト、タイム、パプリカパウダー、塩、胡椒を加えて煮る。アルミホイルを被せてオーブンで160℃45分加熱する。 作り方の玉ねぎを炒める=>取り出す=>戻すの過程に何の意味があるのかちっとも分からないけれど、とりあえず言いつけに従ってやってみました。やはり意味はよく分かりませんでした。でもまあなかなかに美味しかったから問題なしなのだ。テシュティケバブのパスタ【材料】パスタ(茹でる)・テシュティケバブ・オリーブ油・イタリアンパセリ・胡椒・粉チーズ 適宜【作り方】1. 皿にパスタを盛ってテシュティケバブをのせ、イタリアンパセリ、胡椒、粉チーズを散らす。 またもちょっと残ったのでまたもパスタに変身。やはりこちらも美味しかったのです。
2024/09/14
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世間一般で長芋ってどういった食べ方をされているのだろう。近頃では焼いて食べるのが普及してきたようですが、やはり今でも千切りにしたり擂ったりと生で食べる事が多いんだろうか。確かに生食できる芋って希少らしいから生で食べるってのもいいんですけど、火を通して食べる事を覚えてしまうと生での食べ方が単調に思えてしまうのです。生のショリショリした食感は他に類を見ないもので火を通すとその独特な食感は失われてしまうのですが、それでも火を通すことで生まれるねっとりとした食感は様々な料理に取り入れることができます。しかも火の通し方も炒める、蒸す、揚げる、焼くなどなどそれぞれで違った表情を生み出すのです。だから生食か加熱食かの二元論で区分せずに、生食も刻む、すりおろすがあるように火を通す調理法も一括りとせずに、今晩は蒸して、明日は炒める、明後日は生のまま叩いて食べようという風に理解すれば、再び生食を口にする機会も増えるんじゃないかと思い出しました。つまりは長芋はどうしたって美味しいのです。それこそ皮を剥いたまんまにマヨネーズをかけてかぶりついてみたい誘惑に駆られもするのです。長芋の生ハムとガーリックチーズパン粉焼のせ【材料】長芋(縦2等分) 20cm/生ハム(1cm幅) 1枚/オリーブ油 小さじ2/【A(混ぜる)】パン粉 大さじ1.5/粉チーズ 大さじ1/にんにく 小さじ1.5/塩・胡椒・ドライパセリ 適宜【作り方】1. 鍋でパン粉、にんにくを炒める。粉チーズ、塩、胡椒、ドライパセリを加える。2. フライパンにオリーブ油を熱して長芋を焼く。生ハムを加える。3. 皿に2.を盛って1.をのせる。 こちらは普段最も食べる機会の多い焼き長芋ですが、ちょっとヴァリエーションを増やすために作ってみました。悪くないけど思ったより単調な味になりました。とろろトースト【材料】食パン(トースト)/長芋(おろす/めんつゆを混ぜる)・めんつゆ・マヨネーズ・練り辛子・青のり 適宜【作り方】1. 食パンにマヨネーズ、練り辛子を塗って長芋をのせ、トースターで焼く。青のりを散らす。 これはどうかねえと思っていたけれどやはりいまいちでした。パンと合わせるならとろろよりも叩いたものかむしろ短冊に切ったのをのせた方が合いそうな気がします。豆腐とわかめと長芋の韓国風サラダ【材料】絹豆腐(1cm角) 1丁/わかめ(水で戻す) 2g/長芋(皮を剥く/1cm角) 3cm/ミニトマト(4等分) 3個/サニーレタス(千切る) 2枚/【ドレッシング(混ぜる)】酢・ごま油 小さじ2/醤油・白ごま・ 小さじ1/鶏がらスープの素・砂糖・コチュジャン・にんにく 小さじ1/2/塩 適宜【作り方】1. 皿にサニーレタス、豆腐、わかめ、長芋、ミニトマトを盛って【ドレッシング】をかける。 和風の食材で韓国風の味付けのコブサラダ風のものを作ってみました。さいの目に切った長芋は美味しいんですけどもう少しサイズが大きい方が食感が楽しめそうです。肉団子と長芋のスープ[ベトナム]【材料】豚ひき肉 200g/卵 1個/香菜 1束/塩 小さじ1/2/ごま油 小さじ1/長芋(輪切り) 200g/しめじ 1パック/ナンプラー 大さじ1/胡椒 小さじ1/4/水 600ml【作り方】1. 鍋にナンプラー、胡椒、水を入れて加熱する。2. ボウルに豚ひき肉、卵、香菜、塩、ごま油を入れて混ぜる。1.にスプーンですくって入れる。しめじ、長芋を加えて15分煮る。香菜を散らす。 滅茶苦茶シンプルな調味料で果たしてこれで美味しいのか若干の不安がありましたが、とても美味しかったです。この旨さは豚肉のエキスなのかナンプラーの風味なのか判然とはしないけれどとにかくこれだけの素朴ともいえる材料が長芋にほんのりとした旨味を添加してしみじみといい料理と思えました。
2024/09/13
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意外と思われるかもしれませんが、ぼくは案外、気取った店も嫌いではないのです。いや、なかったというのが正しいかも。近頃は気取って呑んだり、食べたりすることに余り意義を見出せなくなったみたいです。じゃあ、かつてはどの辺に意義を見出していたのかと問われるとハタと困ってしまうのだ。そうなんだよね、確かに旨いんだけれど、高いお金を払ってまで気疲れしに行くってどうなんだろうね。ぼくの場合、高級な料理を食べる事になると、最初こそ畏まって借りてきた猫のように落ち着きのない態度を晒すけれど、呑み始めるとすぐにそこが格式が高い店なんてことは忘れてしまって、普段呑んでる立ち?み屋と変わらぬ気持ちに陥ってしまうのです。前後不覚になることはまずない(ということはなったことはあるということです)けれど、少なくともマナーを弁えた紳士淑女からは蔑みの視線を浴びせられていたことがあるんじゃないかと思うのです。それで歳を取って世間の大人並の態度を身に付ける方向に向かうという生き方もあったはずなのですが、ぼくは格式を捨てて店選びの段階で身の丈に合わせるという道を選びました。今でも未知の食べ物や驚くべき味覚に遭遇することは愉しみなことであることは変わりありませんが、大枚を叩いて手に入れずとも、様々な食材が入手できる現在では、ある程度まで食材を買い求めて自分で作ることも可能になっています。ものさえ揃いさえすれば自作できる程度のもの、つまりは、家庭料理レベルでかなり満足できる位の食道楽で十分と割り切ったのです。そりゃまあご馳走になれるんだったら喜んでご馳走になりますが、身銭を切るなら財布にもそこそこ優しくてリラックスできる店にしようってことになります。だから呑みと同程度のプライオリティを食に据える場合の条件は、食材が入手困難で家ではまず食べる事ができないもしくは非常に手間が掛かる料理を食べる場合が大方ということになります。 とまあこういった言い訳でもしないとおちおちビストロで呑むのも気が引けてしまいます。もう何度も登場している「ル・マルカッサン(Le Marcassin)」は、もしかすると何とか食材を手配し、ものすごく丁寧に一つ一つの作業を積み重ねたらかなり近しい仕上がりに迫れるかもしれません。しかし、個人でこちらの料理で使われる食材を買い求めるとすると例えば2人分だったとすれば店で食べるのと変わらない程度の費用が掛かってしまうような気がします。また、マンガなんかでお隣の親切なおばさんが1人分も2人分も一緒だと言って弁当を作ってくれたりもするけれど、それは絶対違っていて10名分も12名分も大して変わらないってのなら何とか納得いけるといった具合です。少量をそれなりの段階を踏んで調理するってのはなかなかに骨の折れるものなんじゃないか。こちらのプレフィックスの一皿一皿が、家庭料理で出すのが困難なのです。アミューズのリエットならいけそうですが、お肉のテリーヌとスナギモのコンフィー、鴨のコンフィー・こんがりオーヴン焼き、ガトーショコラという大定番も皿の主役ばかりでなく脇役たちの準備を想像すると気が遠くなるのです。仕事だからできるのだといえばそれまでですが、それが例え仕事でも毎日毎日繰り返し調理し続ける労力は計り知れません。しかもこちらは全てをお一人で賄っているのだから驚くべきことです。ぼくはもとより飲食業の仕事は無理と思っているけれど、手を抜けばとことん手を抜けるという一面もあるから、もし仮にぼくが飲食業をやるならきっと居酒屋を選ぶことになりそうです。ぼくがここを訪れるのは家では食べられないものを食べるという楽しみもあるけれど、それと同じ位、こちらのシェフとお会いするのが楽しみであることをもう何度も書いたけれど改めて書き留めておきます。
2024/09/09
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宴会といえども拘りの酒場を利用したいとかねがね思っているのです。それもまあ幹事でなければなかなか思うままにならぬのです。わが職場においても数年来行われることのなかった比較的多人数による宴会が行われることになったのですが、なんとも情けのないことにこの会合の幹事が下戸ときたもんだ。下戸なら下戸でも構わぬのだけれど、酒呑み魂を揺さぶる酒場を選択肢に挙げることはまずないと思って間違いがない。この幹事役の男、酒は呑めないけれど、食うことにも興味がないかというとそんなことはちっともないのであります。旨いものを食うのは大好きなのであります。一方で、得てしてこういう人は宴席というものを大いに嫌うことが多いようです。酔っ払いどもがよっぱ勢いで失言、暴言を吐くのを眺めるなんて、それはそれで楽しそうではありますが、彼らの大部分にとっては苦痛の時間でしかないようです。だったら店の雰囲気はともかくとして、せめて旨い食い物を出す店を選んだっていいではないか。それが幹事の特権ってもんだろうが、と私などは思ってしまうのであるけれど、それには分かり易い条件があって、つまりは予算というものがあるのだ。だから彼は自分は呑まなくても人の呑み代まで計算に入れて店選び、コース選びをする必要があるのです。そりゃまあ、投げ出したくなることも分からぬではないのだ。でも探せばあるもんですよ。若い頃のぼくは幹事を務めると相当乱暴な場所決めをしたもんですが、それがどういう無理であったかを語ると、ぼくという人間の人格に関わりそうだし、それを人に勧めるのは気が引けるのです。 てなことで「鍛冶屋 文蔵 松戸店」に久々にやって来ました。こちらのお店のいいところは、当日の退社前に急に呑み会になっても10数人程度であればあっさり予約できてしまうところにあります。こうしたチェーン店としてはさほどオオバコって訳でもないのにね。かなりの大所帯での呑みとなることを見込んでいましたが、コロナの再流行もあって参加者は思った程ではありませんでした。これなら当日の予約でも大丈夫だったんじゃないかとはじめは思った訳ですが、しばらく呑んでから席を立つとほぼ全ての席が埋まっているのです。いつの間にこんな人気店になったんだろう。にしても肴の貧弱なことにはがっかりさせられます。そりゃまあ期待してはいなかったけれど、いくら何でもガッカリ過ぎるのです。以前は見た目にはそれなりに頑張っていた気がするけれど、今回は見た目すら貧層に思えます。これなら同じ食材でぼくが調理した方がよほど満足度の高い料理に仕立てられるんだけどなあ。ってこれは世間の居酒屋の半分近くには感じる事なのでした。まあ、こういう宴会で旨いまずいはあまり頓着してはならぬのです。というか店を指定したお偉いさんがいるかもしれぬからいらぬひと言が災いになることもあるし、何より現場で文句を垂れるのは他人にとっても不快だろうし、人格も疑われかねぬのです。にしても、な、ななんとこのコースメニューが呑み放題付きとはいえ5千円とは。トホホであります(偉い人が会費をもってくれてタダで呑めたのですが、だからといって手放しで喜べるものではないのだ)。4千円と思って愚痴ってたんだけどなあ。日本も世界的なインフレの波に飲み込まれたと思うことにしよう。
2024/09/08
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今年はとりわけ天候不順が酷くて米が小売店から消えてしまったりと日常生活にも影響が及んでいます。この記事をアップした9月初頭は迷走し過ぎの台風10号に振り回されて、農業のみならず交通機関がマヒしたりと大きな爪痕を残していきました(というか記事のストック切れでせっせとこうした文章を書いている今現在もまだまだ予断を許さぬ状況らしい)。昨今の気候は人類の積み上げてきた英知など嘲笑うかのように想像を遥かに凌駕する規模で襲い掛かってきています。と紋切り型の文章を連ねていても仕方がないことですが、野菜好きのぼくにはとにかく野菜が高騰していることが非常に困ったことなのです。もう毎年のように日本各地の多くの農家が致命的とも思えるような被害を被っているのを報道で知ると、ぼく自身の無念さもありますが、農家の方たちの悲嘆と苦渋に対しては掛ける言葉すら見出せないのでした。それでも気の毒がってばかりもおられず、まずは自分の食生活をなんとかせざるを得ないのが現実です。普段、食事を用意する場合、大雑把にはレシピを決めてから食材を買い求める方法とお得な食材からレシピを探るというやり方があると思うのですが、現状は後者を選ばざるを得ない状況です。節約マニュアルなんかでは前者が賢い生活術との指南が主流に思えますが、これはいらないもの―つまり無駄な買い物を控えることで予算内で買い物を済ませようという考え方です。でも現状の様にどれもこれもが値上がりしているような場合は、安価な時に逃さず購入するのが良いと思っています。今年はナスがそんな食材で先般ようやく安く売られているのを見つけたので慌てて購入したのですが、まだまだ食べたりないなあ。とナスの話だっていいたいがために無駄な文章を弄してしまった。弄したところで文章が上手くなる訳でもないんだけどなあ。ナスのかりかり焼き(唐揚げ風味)【材料】ナス(皮を剥く/輪切り/片栗粉、唐揚げ粉をまぶす) 1本/片栗粉・唐揚げ粉 大さじ1.5/サラダ油 大さじ2【作り方】1. フライパンにサラダ油を熱してナスを焼く。 西インド料理にバンゲチェカプというなすにスパイスをまぶして揚げ焼きする料理がありますが、これはその応用みたいなもの。ある意味、ミックススパイスと粉を混ぜたのが唐揚げ粉ですから、自前でスパイス等を調合することなく予め配合された粉をまぶすというアイデアですね。結論を言うと粉っぽくてもう少しバランスを考え他方がいいかも。【参考】唐揚げ粉【材料】薄力粉・片栗粉 大さじ3/顆粒コンソメ 小さじ2/オールスパイス・砂糖 小さじ1/胡椒 小さじ1/2/塩 適宜【作り方】1. 全ての材料を混ぜる。なすと挽き肉のミルフィーユ【材料】ナス(縦35mm幅/塩をまぶす) 2本/牛ひき肉 200g/トマトソース 200g/溶けるチーズ・ドライパセリ・オリーブ油 適宜【作り方】1. 耐熱皿にナス、牛ひき肉、トマトソースの順に4回重ねる。一番上にナスを並べてオリーブ油をかけ、電子レンジで600W5分30秒加熱して取り出す。溶けるチーズをのせて表面を焙る。ドライパセリを散らす。【備考】ELLE GOURMET 「なすと挽き肉のミルフィーユ」https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-recipes/a61466184/8437/ 全くありふれた料理ではありますが、ナスっていうのはあんまり余計な手を賭けずとも美味しい物なんですよね。冷製なすとトマトのコラトゥーラだし漬け【材料】ナス(電子レンジで600W4分加熱/冷水で冷やす/一口大) 2本/トマト(一口大) 1個/赤玉ねぎ(みじん切り) 20g/好みのハーブ(ディル・バジル・パセリ・香菜 etc.) 適宜/オリーブ油 大さじ1/【調味料】コラトゥーラ 10g/水 30g/オリーブ油 大さじ3【作り方】1. ナス、トマト、赤玉ねぎを【調味料】で和える。皿に盛ってオリーブ油をかけ、ハーブを散らす。【備考】ELLE GOURMET 「冷製なすとトマトのコラトゥーラだし漬け」https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-recipes/a61481089/8444/ そういった意味では、これは手を掛け過ぎかも。もう少しシンプルに仕上げた方が食べ易かったかな。鶏肉入り鍋しぎ【材料】ナス(一口大)・ピーマン(一口大)・鶏肉(笹身/一口大)・赤唐辛子(砕く)・ごま油/【調味料】酒・みりん・砂糖・味噌 適宜【作り方】1. 鍋にごま油を熱して赤唐辛子、鶏肉を炒める。ナスを加える。ピーマン、【調味料】を加える。 たまには和風の定番料理を食べたくなり鍋しぎを作ることにしました。肉なんて入れなくてもナスとピーマンだけで十分なんですけど、笹身の残りがあったので加えてみました。これがあればもう他に何もなくても酒も呑めるし、ごはんもイケちゃいます。
2024/09/07
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近頃、現地在住の方のアメリカ料理のレシピを眺めたり、試したりしていると、アメリカ料理っていう漠然としたカテゴリーに対してぼくがかねてより抱いていた漠然としたイメージがある一面のみを注視しただけの相当に偏向した見方であったことを思い知らされたのです。そりゃそうだよね、アメリカってネイティブ以外にも数多くの民族の寄り合い所帯国家なんだから。広大なアメリカ大陸の食材を各国・民族を出自とする人々が持ち込んだ伝統的な料理や調理法で作り上げるという側面もあるのだから多様性という意味では他国を抜きんでているのかもしれません。といった至極当然のことはともかくとして、そんな料理のひとつにマリーミーチキンという料理があります。マリーミーパスタってのもあるみたいなので、ドライトマトと生クリームなど乳製品をベースとした濃厚なソースを指してマリーミーと呼んでいるようです。それにしてもマリーミーというのは、どういう意味だろう。いやいや「結婚して!」って言ってること位分かるけど、これは女性が「こんな美味しい料理を作ってあげられるんだから結婚して!」って言っているのだろうか。そんなことはなさそうですね。普通に考えたら男性が「こんな美味しい料理を作ってくれるなんて、結婚してちょうだい!」って女性に訴えてると捉えるのが自然でしょうか。現在の風潮では男女を区別すること自体不味いのかもしれないからジェンダーは抜きにしても、後者が妥当なところだと思うのです。しかし、これが当たっていたとしても、この料理が果たして結婚して欲しい!っていう程のものかは疑問が残るのだ。美味しくないっていう意味ではありません。とにかく無茶苦茶簡単だから結婚して不自由となるよりも自分で作ってしまえばいいだけの料理に思えて仕方がないのです。以前作っているので興味ある方は、過去の記事を探ってみてください(なんて不親切!)。ちなみに今回はミートボールヴァージョンです。マリーミーチキンミートボール[アメリカ]【材料】【ミートボール(混ぜる/ゴルフボール状に成形)】鶏ひき肉 700g/パン粉 160ml/にんにく 大さじ1/塩・胡椒 小さじ1/2/オニオンパウダー・パプリカパウダー 小さじ1/パルミジャーノ 大さじ3/卵 1個/【ソース】玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/にんにく 2片/ドライトマト(水で戻す/みじん切り) 4個/バター 大さじ2/ドライオレガノ・ドライタイム 小さじ1/胡椒・塩 小さじ1/2/トマトペースト 大さじ1/白ワイン 120ml/チキンブロス 120ml/生クリーム 100ml/パルミジャーノ 大さじ2/フレッシュハーブ(イタリアンパセリ・バジル etc./みじん切り) 適宜【作り方】1. 耐熱皿に【ミートボール】を並べてオーブンで190℃30分焼く。2. 鍋にバターを熱して玉ねぎを炒める。にんにくを加える。白ワインを加える。チキンブロス、トマトペースト、ドライトマト、ドライオレガノ、ドライタイム、塩、胡椒を加える。1.を加える。生クリーム、パルミジャーノを加える。フレッシュハーブを散らす。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「マリーミーチキンミートボール」https://southern-kitchen.com/marry-me-chicken-meatballs/ あれれ。なんか塊肉で作ったものと比べると重ったるくてあんまり感心しないなあ。このソースの濃厚だけれど爽やかでもたれない面が希薄でただただ重ったるいのです。正直、これはそのままで食べるのはちょっと辛いなあと思いました。 ので、あれこれとアレンジして消費に努めます。マリーミーチキンミートボールのカレー【材料】ごはん・カレールー・マリーミーチキンミートボール 適宜【作り方】1. 皿にごはんを盛ってカレールーをかけ、マリーミーチキンミートボールをのせる。 まあ悪くないけれど、濃厚なミートボールカレーでしかないかも。マリーミーチキンミートボールのフジッリ【材料】フジッリ(茹でる)・マリーミーチキンミートボール・パルミジャーノ・胡椒・タバスコ 適宜【作り方】1. 器にフジッリを盛ってマリーミーチキンミートボールをのせ、パルミジャーノ、胡椒、タバスコを散らす。マリーミーチキンミートボールのファルファッレ【材料】ファルファッレ(茹でる)・マリーミーチキンミートボール・パセリ 適宜【作り方】1. 器に和えたファルファッレ、崩したマリーミーチキンミートボールを盛ってパセリを散らす。 2種のショートパスタのソース代わりにしました。まあ工夫も何もあったもんじゃないです。これでも重さは隠し切れません。マリーミーチキンミートボールとガパオのファルファッレ【材料】ファルファッレ(茹でる)・マリーミーチキンミートボール・ガパオ・パセリ 適宜【作り方】1. 器に和えたファルファッレ、マリーミーチキンミートボール、ガパオを盛ってパセリを散らす。 意外や一番美味しかったのがアジアンエスニックと合わせて食べるヴァージョンでした。3種のひき肉で作った2種のひき肉料理の競演です。まあ2度と作ることはなさそうではあります。
2024/09/06
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多くのファンを有するこの立ち呑み店に対してけして難癖をつけるつもりなど毛頭ないということをはじめにお断りしておきます。今書いたとおりファンを多く有するからにはきっとぼくの方に問題があると思うのだ。何が言いたいかというと赤羽の有名立ち呑み店である「いこい」がどうにも苦手だということであります。どこがどう苦手なのかを事細かに記述するつもりはないし、どう記したところで真意を充分に伝えきる自信はないから語らぬに留めるのが得策とかんがえる次第です。ともあれ今回苦手な酒場について、わざわざ書くのは、苦手な癖に王子にオープンしたという新店舗にのこのことお邪魔してしまったからなのです。今回、訪れたのは、S氏との呑みの約束に遅れてしまうこととなり、ここがオープンしたことを覚えていたから一度位は訪れてもよかろうと考えただけなのであります。唐突ですが、立ち呑み屋の利点として最低限の用向きを済ませさえすれば、短時間・低料金で店を立ち去ってもさほど申し訳ない気分にならずに済むということがあります。そういう意味で、立ち呑み屋を待ち合わせ場所に用いるのはぼくにとってはとても理にかなっているのです。とか何とか言い訳めいたことを愚図愚図と述べているけれど、ネタ切れ気味だからこうしたちょっとした機会は逃さぬのであります。 さて、「立ち飲み いこい 音無川店(3号店)」は、王子の有名酒場の一軒である「平澤かまぼこ」の並びにあって、こんな窮屈な場所ではお客が溢れて大変なんじゃないかと懸念していましたが、屋外に列ができているなんてこともなく、しかし店内はきっちり埋まっているといった状態でオーナーの読みはなかなか鋭いようです。おでん屋と丁度良くバランスを取り合っているということか。S氏はすでに呑み始めていました。2人用の止まり木で不機嫌な表情を浮かべています。どうやら彼もこの立ち吞み屋はさほど好きではないらしく、ぼくが店に入るとすぐに出たそうな素振りを見せるけれど、素知らぬふりしてチューハイなどなどを矢継ぎ早にオーダーします。彼もそれを見て観念しました。お客さんの顔ぶれを眺めると一人客が多くて、しかもサクッと呑んでサクっと立ち去るという理想的な振舞いが目立ちます。店は店側の人が作るというイメージが強いけれど、個々の場合はむしろ客が店の雰囲気を盛り立てているように思えます。とカウンター客の行儀の良さを称賛した傍から、恐縮なんですが、4人用の止まり木にいた若いリーマンメンバーは酷かったなあ。呑んでる最中にも時折、狭い店内を入れ替わり立ち替わりでやたらと入出店を繰り返していたのであります。察しのいい方ならお判りになったかもしれないけれど、おでん屋に4名分の場所を確保しようと躍起になっているのだ。先導役のひょろりとした男が、やったね、空いた空いたさっさと移動しようなんていうことを店内に響き渡るような大声でがなり立てていたのだ。これは何とも不愉快だなあ。客のぼくが不愉快な位だから店の方は憤慨物だろうなあと思ってそっと表情を窺うのだけれど、気にする風もなく淡々とした素振りであります。こういう馬鹿な客のことなど気にもかけないみたい。赤羽の方はともかくとしてこっちは好きになりそうかも。
2024/09/02
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三軒茶屋に昔馴染みのおぢさんが住んでいます。映画繋がりの人で、若い頃は良く呑んだものです。今はもう覚えている人も少なくなったかもしれませんが、三軒茶屋には名画座が2館あって、そこの映写技師のお兄ちゃんなんかも伴ってちょくちょく呑んだものです。しかし、年齢を重ねるにつれて会う機会も減ってしまっていました。若い頃からの友人、知人で今でも継続して呑む人は片手に余るほどになってしまいました。今でもたまにそうした人たちの顔を思い出しては呑みに行きたいなあと思ったりもするのですが、そもそも連絡手段を失ってしまった人も少なくないのだ。三軒茶屋のおぢさんについては、どういう経路を通じてかは分からぬけれど、突然LINEのお友達リストに出没したのであります。なので、久し振りとか何とかひと言メッセージを投げると反応があったので、そのうち呑みに行こうと書いたのだ。それがもう2年以上前のことらしいから、ぼくにとってのそのうちというものの時間的なスパンが明らかに長くなってきているようなのです。無論、年とともに筆不精が酷くなっていることもあるけれど、いずれとか近々になんていうことを言っていてはあっという間に1年や2年は経過してしまうのだ。久々に会った旧友なんかと町で偶然にすれ違ったりして、近いうちに呑もうよなんて言われることが稀にあるのだけれど、それで連絡がないからといって怒ってはいけないのだ。彼もぼくと同様に本当にそのうちって思っているのだけれど、パラパラ漫画をめくるように日めくりカレンダーが剥がされていくのだ。だからどうしても呑みたいのなら、その場で日取りを決めるのが一番なのだ。それで果たせないとなればその人とはもう縁が切れていると判断するのが賢明なのだと思うことにするのだ。さて、三軒茶屋のおぢさんとは会えたのかというと無事(ではないけれど)、会うことは叶ったのであります。。 しかしまあ、実際に再開してみてからの話はさておくこととして、約束の日の昼過ぎにちょっとした用事を済ませねばならないのですが、基本的に時間をやり過ごせばいいだけの用向きだから昼間っから軽めに一杯しつつ昼食を取ることにしたのです。うろうろしていたら「甲州屋」なるそば屋がありました。この界隈には他に目ぼしい店もなかったのであっさりここに決めます。雰囲気もいかにも町場のそば屋って感じで悪くないしね。混み合っていないことを願いつつ入ってみると先客はわずかにお一人だけ。昼めし時にしてこの状況はいささか寂しい気がしますが、ぼくにとっては空いている方がありがたい。品書きを眺め倒してみるとカツ丼が目に留まった。ぼくはあまりカツ丼を食べる事はありません。油があまり得意じゃないからですね。でもまあこの日は猛烈にカツ丼の気分だったのです。店のおばちゃんにビールとともにオーダーします。お新香を摘まみつつカツ丼の到来を待ちます。見ると先客もカツ丼のようです。厨房から漏れ聞こえる音に耳を澄ますとカツもその場で衣を付けているようで恐縮な気持ちになります。立て続けにバラバラと同じ品を頼むのは気が引けるものです。たとえそれが知らなかったこととはいえです。見た目にもごくオーソドックスで、だからこそまさに今食べたかったカツ丼が登場します。これが何とも分厚い肉でありまして、見かけ以上に食いでがあります。並にしたけれど特上にしたらどうなるのだろう。肉の質が向上するのであればいいんだけれど。と思っていたら続いてのお客さんが来店。前日もやって来たようでその際に特上を食べたらしいが非常にボリュームがあったらしい。おばちゃん曰く、以前この側になんとか薬科大学があって、そこの学生のために量を多くしたそうな。といったことでその体格のいい方はこの日は並を注文していました。といったやり取りをそっと眺めつつ食べ進んだわけですが、すっかり満腹してしまいました。旨かったんですけどね。ここまで満腹になるつもりはなかったので。これで午後の用件はほぼ夢見心地で過ごすことになりそうです。でもまた忘れた頃に無性にカツ丼が食べたくなるんでしょうが、その時にはこの店のような品が食べれたらいいのになあなんて思って店を後にしました。
2024/09/01
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