『福島の歴史物語」

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2010.08.10
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 日本神話最大の悲劇の英雄と言われる日本武尊がいる。日本武尊は第十二代景行天皇の八〇人の子の第二子であったが、その性格は荒いとされていた。この日本武尊が子どものとき食事に来ない兄を呼びにやらされ、一人で戻ってきた日本武尊に父の景行天皇が訊いたところ、「兄が言うことを聞かなかったので、厠に入った折りに捕らえ、手足をもいで菰に包んで投げ捨てました」と答えたので驚き、この猛々しい性質におののいてしまった。そこで景行天皇は、日本武尊が十六歳のとき九州の熊襲征伐を命じた。役目を終えた日本武尊は出雲に回り、出雲建(イズモタケル)と親交を結ぶ。しかし、ある日、出雲建の太刀を偽物と交換した上で、太刀あわせを申し込み殺してしまう。ここに出てくる武、建はいずれも『たける』と読み、猛々しい者の意を表したものである。
 西方の蛮族の討伐から帰るとすぐに、景行天皇は重ねて東方の蛮族の討伐を命じた。日本武尊は叔母に当たる倭姫命を訪ね、「父(景行天皇)は自分に死ねと思っておられるのか」と言って嘆いた。倭姫命は日本武尊に伊勢神宮にあった天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と袋とを与え、「危急の時にはこれを開けなさい」と言った。
 駿河国(静岡県)に着いたとき、荒ぶる神がいると欺かれた日本武尊は野原で火攻めに遭ってしまった。そこで叔母から貰った袋を開けたところ火打石が入っていたので、天叢雲剣で草を掃い、迎え火を点けて逆に敵を焼き尽くしてしまった。このことから天叢雲剣は草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれるようになり、その地が焼遣(やきづ=静岡県焼津)と言われるようになった。さらに相模(神奈川県)から上総(千葉県)に渡る際、走水の海(横須賀市)の神が波を起こして日本武尊の船は進退窮まった。そこで、后の弟橘媛(オトタチバナノヒメ)が自ら海に身を投げ、日本武尊に代わって命を捨てると、ようやく波は静まった。
 その後、日本武尊は房総の北で八握脛(ヤツカハギ)という悪者と戦った。この悪者たちが日本武尊に抵抗するため巣穴から出て留守にしている間に茨を穴の中に入れ、馬に乗った兵士たちが八握脛たちを追い込んだところ、穴に逃げた彼らは皆その茨によって死んでしまったという。この神話から、現在の茨城県の名ができたという。
 さらに日本武尊は北上し、八槻郷(棚倉町)で八人の土蜘蛛に八本の槻弓・槻矢を放ち、これを討った。日本武尊は蓬田岳、竹水門(南相馬市)においても賊と戦った。このとき竹水門で戦わずして投降したとされるエミシは、安岐国に流されたと伝えられる。安岐国にエミシが流されたということは、前述した安積国造神社の祭神・比止禰命の出身が安岐国ということと重なることから安積と安芸の強い関係が想像できる。
 その後、皇壇が原(宮城県名取市閖上・ゆりあげ)から日高見川流域(北上川)にまで至った日本武尊は陸奥を平定した後、大和を目指して帰途についた。途中、尾張(愛知県)に入った日本武尊は美夜受媛(ミヤズヒメ)と結婚し、草薙剣を美夜受媛に預けて伊吹山(岐阜・滋賀県境)へ荒ぶる神を素手で討ち取ろうと出立したが、その前に白い大猪が現れた。大猪は荒ぶる神の化身で、襲われた日本武尊は失神して病の身となった。日本武尊は弱った体で能煩野(三重県亀山市)に至ったとき、従っていた吉備武彦を遣わして朝廷に報告させ、自らは能煩野の地で亡くなった。時に三〇歳であったという。これらエミシの服属を語るのが日本武尊の東征説話であるが、古事記で語られるのはアヅマ建国起源説話でありエミシ征討説話はその一部分にすぎない。
 日本武尊の死が都に伝わると、人々は御陵を作り周囲で泣き悲しんだ。すると御陵から日本武尊の魂が一羽の八尋白智鳥(やひろしろちどり・白鳥)となり、空高く飛び去ったとある。また日本武尊が日高見川にまで達していたというこの神話は、倭の勢力がこの周辺にまで伸びていたという主張であったのであろうか。
 ここに出てくる八握脛(ヤツカスネ)と八握脛(ヤツカハギ)。この脛(はぎ)を辞書で引くと、『ひざからくるぶしまでの部分、すね』とあり、束(つか)とは『長さの単位で四本の指を並べたほどの長さ』とある。これではまるで長脛彦とは同一人を表しているのではないかとも思えることから、エミシの別称ではなかったのかと思える。彼らは『足の長い者』という意味の蔑称として土蜘蛛と呼ばれ、倭の人々はまつろわぬ土着勢力を人間以外の存在、つまり土中に棲む蜘蛛のたぐい、妖怪のたぐいとして分類していた。しかし天皇の支配下に入った土蜘蛛はそのレッテルを外され、人間として扱われることになった。なお前述したように、八は『多くの』という意味を持つ。

 福島県には、日本武尊を祀った多くの神社がある。       (参照 資料一)
    福島市  5  郡山市  1  田村地域 1  須賀川市 3
    東白川郡 4  西白河郡 2  いわき市 1  南相馬市 1
    南会津郡 1

 日本武尊と関連するとされる菅布禰神社もまた、次の通りである。(参照 資料二)
    田村地域 20  須賀川市 3  石川郡 8

    日 高 見 国
 景行天皇の二十五(九六)年、景行天皇は武内宿禰に北陸、東方諸国を視察させた。宿禰は二年後に帰還して、岩手県『北上』地方の語源とされる『日高見国』のエミシについて報告、この地の軍事的攻略を勧めた。
 神武天皇に敗れた長脛彦が潜んだとされる日高見国については、今の東北中部の他に大分県の日田、和歌山県の日高郡、岐阜県の飛騨、茨城県の信太のすべてが日高見国の意味であるという。なお、このこれと関係するかどうかは不明であるが、須賀川市の長沼城跡の日高見山に日高見稲荷神社が祀られ、須賀川市今泉には日高見国御影神を祀った白方神社がある。さらには棚倉町の都都古別神社近くの八溝山は日高山と呼ばれていたという。またこの日高見の『見』には周辺という意味がある(南奥の古代通史)という。






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最終更新日  2010.08.20 16:31:22
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