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第54話「母娘の雪解け」

宣(シュエン)皇后は程少商(チォンシャオシャン)と霍不疑(フォブーイー)の縁が再び結ばれることを祈って旅立った。
主を失った長秋(チョウシュウ)宮の夜。
不疑は少商の飴糖(トウイ)作りを手伝いながら、彼女の言葉を待っていた。
やがて少商は静かに自分の胸の内を明かす。
「捨てられて恨んだわ、独断専行で死を選んでも共に歩もうとしなかった
 私は本音で接したのにあなたは嘘ばかり…でも5年が経ち、苦労の末に吹っ切れた
 今はどうしても心を預けられない、信頼できないの」

 君が捨てられることを何より恐れていると知りながら、私は最も傷つける方法を選んでしまった
 これまでの20年間は恨みの中で生きて来たが、この先の余生は悔恨の中で生きる
 できることなら心を取り出し、君にあげたい…でも私にはその資格がない…」
すると少商は居たたまれなくなり、黙って部屋を出て行った。

少商は回廊から満天の星空を見上げた。
すると霍不疑が現れ、隣に並ぶ。
「以前、皇后に言ったの、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く
 日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すと…
 私もしっかり生きるわ、皇后の髪を埋めたら遊歴に出る、私も天地の広さを見たいから」
「私も度田令の任務が終わったら北西に戻って国境を守る、世の星河を守るために…
 これからは自分を大切にする、お互いにしっかり生きよう」

しかし互いに相手の姿が見えなくなると立ち止まり、こらえ切れず涙してしまう。

。゚(∩ω∩`)゚。



少商は曲陵(キョクリョウ)侯府に戻った。
すると母が初めて少商の好物を手作りしたという。
5年の月日が流れ、ようやく親子3人で過ごす穏やかな時間、しかし蕭元漪(シャオユエンイー)は急に点心を食べている娘の手を止めてしまう。

「嫋嫋(ニャオニャオ)は何も言っていないだろう?」
程始(チォンシー)は相変わらず自分に厳しい妻に失笑した。
「嫋嫋、阿母が悪かった…初めての女の子だったから…
 兵の指導とどう違うかも分からなかった、息子を育てるのとはもっと違うし…
 娘の成長はあまりに早過ぎた、どう改めていいのかも分からなかったの
 私が間違っていた、もう一度やり直せるなら決してあなたを置き去りにしない
 自分のそばに置くわ、家族で生死を共にするのよ」
少商は母の涙にほだされ、長年のわだかまりがゆっくり解けて行くのを感じた。

少商は母の手作りの点心を甘い物に目がない祖母に届けることにした。
すると偶然にも過去を悔やむ祖母の話が聞こえてくる。
当時は二房の葛(ゴー)氏にそそのかされ、老夫人は父と母を支配しようと躍起になっていた。
その結果、幼い嫋嫋が最も被害を被ることになったという。
「やり直せるなら嫋嫋によくしてあげたい、だって私の孫だもの…
 私が死んだら蓄えた金銀財宝は全てあの子に残すわ
 もし一生、嫁がなくても暮らしていけるようにね、本当にあの子に申し訳ない…」
少商は複雑な心境になり、結局、引き返した。

少商は蓮房(リエンファン)と東屋に腰掛けた。
思えば田舎の別宅に送られた時、蓮房の献身的な世話がなければ今頃、自分の墓が建っていたはずだ。
「あなたは私が唯一、信頼できる人だった」
「もう昔のことです」
少商は祖母とも仲良くなりたかったが、どうにも近寄りがたかった。
程家の危機では祖母も身を投げ打ち、徐々に家族になれたと思ったが、やはりまだどう向き合えば良いのか分からない。
しかしこれからは誰が自分を憎み、嫌うのかではなく、自分を大切にしてくれる人のことを考えようと決めた。
「それが生きる活力になる…人は良い事を考えないと…
 そうしないと余生をしかと生きられなくなってしまう」
蓮房はすっかり大人になった女公子の言葉に大粒の涙をこぼした。

。゚(∩ω∩`)゚。 


少商は宣皇后の故郷に向かう前に参内、袁慎(ユエンシェン)に別れを告げた。
実は善見(シャンジエン)も外地に赴任することになり、皇帝に挨拶したところだという。
「2年前、父が義兄を救出するため部隊を離れ、味方が不利な状況に陥ってな
 霍不疑は父を助けるため駆けつけ、死にかけたんだ
 しかし陛下の恩情で父は降格の上、膠東(コウトウ)に戻るだけで済んだよ」
父は祖先に面目ないと身体を壊したが、これを機に母も夫を気遣うようになってすっかり夫婦仲が改善されたという。
「2人は出発前、我らの縁談を案じていた」
「…ごめんなさい、望みには応えられない」
「残念だな~将来、私は三公に並び称される、三公夫人になり損ねたな?」
袁慎はかつてのように茶化して笑ったが、初めから不疑に勝つ見込みがないと分かっていた。
この5年、少商を見守り続けた袁慎、最後は少商の立ち去る姿を見送りながら未練を断ち切った。




袁慎が城楼から都を眺めていると霍不疑がやって来た。
「決めたのか?」
「そうだ、父のためお前は死にかけた、これ以上、競っては恩知らずになる」
実は不疑も度田令の推進のため、各地を巡察し、監督すると申し出たという。
袁慎は不疑が程将軍の代わりに戾(レイ)帝の残党を掃討するつもりだと気づいた。
しかし少商の父や兄を助けるのはまだ分かるが、なぜ恋敵の自分の父を命懸けで救ってくれたのだろうか。
すると不疑は少商が袁慎を案じているからだと明かした。
「お前が達者でなければ少商は安心できない、楼垚(ロウヤオ)を推挙したのも同じ
 彼女は口とは裏腹に情に篤いからな…関心を持つ者が達者なら彼女は安心できる
 私がお前たちを守れば、彼女はようやく自分の道を模索できる」
「お前は私より情が深く、愚かだ…彼女の愛に値する」
袁慎は最後まで少商に寄り添える者がいるとしたら、不疑であって欲しいと願った。

。゚(∩ω∩`)゚。不疑…サイコーか

宣皇后の四十九日が過ぎ、少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)と一緒に宣皇后の故郷へ向かった。
やがて驊(カ)県から十数里の山道を進んでいたが、その時、待ち伏せしていた馬車が一行を足止めする。
馬車に乗っていたのは都を追われた楼太傅の娘・楼縭(ロウリー)だった。
楼縭は楼垚が少商に今の驊県を見てもらいたいと願い、招待したいという。
「ありがとう、でも宣皇后の郷里に向かっているのでごめんなさい」
しかし少宮はここで待っているので行ってこいと背中を押した。

楼垚と何昭君(ハージャオジュン)は少商の来訪に驚いていた。
どうやら自分は招待されたわけではなく、楼縭が勝手に連れて来たらしい。
しかし夫婦は両親を相次いで亡くした楼縭を気遣っていた。
すると空席がひとつある。
何かおかしいと警戒する少商、その時、身重の何昭君が急に苦しみ出した。
「お腹が痛い…産まれそう」
予定日はまだ先のはずだったが、楼垚はともかく産婆に連絡するため慌てて出ていってしまう。

一方、巡察に出発した霍不疑一行は道中の山林で襲撃に遭った。
黒甲衛(コクコウエイ)は賊を一掃、すると付近の溝で数十人の死体が見つかる。
「驊県の侍衛の鎧を着ていました、他には…袁家の部曲の身なりに酷似を…」
驚いた不疑は行き先を驊県に変更した。

楼縭は少商に手伝いを頼み、何昭君を連れてなぜか廟に入った。
「県衙(ケンガ)に廟を立てるなんて、誰かが修行でもしているの?」
少商は困惑したが、その時、突然、楼縭が隠し持っていた短剣を抜き、襲いかかって来る。
「少商!」

つづく


( ;∀;)イイハナシダ〜って、え?
これが最終回かってくらい良かったのに今さらローリーって…ないわ___w





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最終更新日  2024.01.03 16:38:25
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