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2024.01.14
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第2話

陸安然(ルーアンラン)が慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)に嫁いで5年。
安然は世子・毓児(ユーR)を授かり、妹・陸欣然(ルーシンラン)も蔡望津(サイボウシン)に嫁いでいた。
しかし穆澤は政務で忙しく、今日も安然の誕辰だというのに留守だという。
欣然は弟・陸昀(ルーイン)と一緒にささやかな祝宴を囲んだが、姐夫への不満を募らせた。
「蕭驚雀(ショウキョウジャク)を側室に娶っておいて陸家にはお金や船を差し出させるなんて、あんまりよ」
「蕭映(ショウエイ)ほどの勇猛な将軍は得難い人材よ、その妹を身内にしただけ」
安然は穆澤の心にいるのが自分なら構わないと寛容だったが、陸昀はこれも姉に後ろ盾がないためだと分かっていた。

欣然は弟の出征に大反対だったが、安然は志高い弟の背中を押した。

その夜、安然と毓児が中庭にいると、慶王が帰って来た。
毓児は父王の元へ駆け出し、母と一緒にずっと待っていたと訴える。
しかし安然は船の設計図を見ていた時、息子に引っ張り出されただけだと釈明した。
「例の軍船か?」
「車船(シャセン)というの、人力で動かす羽根車を積み、速さは普通の船の10倍よ」
穆澤は自分のために尽力する安然に感謝しながら、今年も誕辰祝いに花を贈った。
今も仲睦まじい安然と穆澤、すると侍女が駆けつけ、側夫人が倒れたと知らせる。
実は蕭驚雀は懐妊していた。




5ヶ月後、蕭驚雀のお腹も次第に目立って来た。
戦場では兄が功績を上げ、妹は懐妊、蕭家は安泰に思えたが、驚雀は側室として庶子しか産めないと不満が募る。

憤怒した驚雀は罰と称して腹いせに世子の手を何度も叩き、泣かせてしまう。
幼い毓児は理不尽な側夫人に反発、思わず蕭驚雀を突き飛ばした。
『父王に叩かれたって言いつける!生まれてくる弟や妹も許さないぞ!』
駆けつけた乳母が謝罪し、騒ぎが大きくならないよう世子を池に連れて行ったが…。

造船房から帰って来た安然はすでに冷たくなった我が子と対面した。

聞けば安然の留守中、毓児と側夫人の間で諍いが起こっていた。
「目を覚まして…母が戻って来たわ…」
息子の亡骸を抱きしめ悲嘆に暮れる安然、その時、侍女・春児(シュンジ)が池から走り去る側夫人を見たと証言する。
激情に駆られた安然は剣を片手に側夫人の寝殿に乗り込んだ。
しかし慌ててが穆澤が駆けつけ、剣を奪い取られてしまう。
「やめろ!安然!」

蕭驚雀の無実を証明したのは妹の陸欣然だった。
欣然は毓児が池に落ちた頃、側夫人を莫懸寺(バクケンジ)で見たという。
「本当?嘘なら一生、子にも恵まれず、無惨な死を遂げると誓える?」
「…誓うわ」
結局、毓児は事故死と断定され、春児は雲娘をかばって嘘をついたとし、2人とも処刑されてしまう。
しかし穆澤は蕭驚雀が毓児を殺したと気づいていた。
その夜、驚雀は裁きが済んだと安堵していたが、思いがけず慶王に厳しく追及されてしまう。
「確かに皇族の子は平民より早死にするものだ、子など失ってもいい、だが好き勝手は許さぬ!
 過ちを犯したのなら償わなければな」
蕭家が多数の私兵を抱えていると知っていた穆澤はこの機を利用し、まんまと全ての兵を献上させた。

安然は息子を失っても冷静な穆澤に失望し、造船房に閉じこもった。
穆澤とはすっかり疎遠になり5ヶ月。
安然は完成した車船が無事に進水したのを機に屋敷へ戻った。
しかしちょうど蕭驚雀が男子を出産、慶王府でお披露目の宴が開かれる。
安然は顔も出さず、ここぞとばかりに驚雀は女主人のように振る舞った。

安然は母屋の喧騒を離れ、中庭へ向かった。
すると偶然、祝宴を抜け出した九皇子・穆川(ムーチュアン)と再会する。
穆川は老僧からもらったという銀の腕輪を贈ったが、安然は遠回しに自分を慰めてくれていると分かった。
「私も死に別れた人がいる、でも悟ったんだ
 残された我々は去った人の分まで日々を楽しむ、再会した時に話してやれるように…」
「ありがとう、頂くわ」
そこへ穆澤がやって来た。
穆川は兄の手前、独り身なので渡す人がいないと言い訳したが、そのせいで安然から意中の相手がいると見抜かれてしまう。
「彼女は…他の令嬢たちとは全然違う、利発で魅力がある、志を語る時、目が輝くんだ
 農作業が終わったら訪ねるつもりだった、でも…他の人に嫁いでいたよ」
安然はまさかその相手が自分だとは知らず、縁がなかったのだと慰めた。

安然は穆川の励ましのおかげで、久しぶりに気分が晴れた。
するとその夜、穆澤が早世した息子のために放った灯籠を見かける。
驚いた安然が慶王の書斎へ駆けつけると、書卓に毓児の思い出のおもちゃがあった。
その時、穆澤が書斎に戻って来る。
「我が子への想いをどうして隠していたの…毓児のことを忘れたと思っていたわ」
「自分の子を忘れるはずない…安然、今の私にはもう君しかいない」
実は穆澤は九弟から安然が″なぜ息子の死を悼んでいるのは自分だけなのか″と嘆いていたと聞いていた。

こうして安然の信頼を取り戻した穆澤。
2人は再び仲睦まじい夫婦に戻ったが、安然に再び不幸が襲いかかる。
数日後には帰還すると聞いていた弟が伏兵に襲われ戦死、形見の品として血まみれの鉄兜だけが戻ってきた。

安然は衝撃のあまり卒倒し、心労が祟って昏睡状態となった。
穆川は参内した兄に代わって付き添っていたが、侍医にも打つ手はないという。
「ただ血参(ケツジン)なら効くかも…しかし宮中の蓄えは尽きました」
「私が採りに行く、絵を描いてくれ」
侍医は危険だと警告したが、穆川は愛する安然をこのまま見過ごすわけにはいかなかった。



一方、朝堂では帰還した将軍・蕭映が翊(ヨク)王・穆霖(ムーリン)を告発していた。
上奏によれば翊王は叔父・秦野闊(シンヤカツ)と結託し、援軍を出さなかったという。
そのため陸昀の先陣が全滅、証拠も証人も揃っていた。
「これは陸将軍の軍営で見つけました、陸将軍は翊王の軍費着服の証拠を得ていたのです
 ゆえに翊王は口封じのため秦将軍を足止めしたのです、これが真の敗因です」
翊王は皇太子候補の筆頭だった。
穆霖は慶王の策略だと訴えたが、激怒した皇帝から親王を剥奪され、禁足を命じられてしまう。
これを不服とした穆霖は激情に駆られ、父に暴言を吐いた。
「もうろくした老いぼれめ!私を廃してこの国を根無草に渡すつもりか?!」
穆霖は直ちに朝堂から引きずり出されたが、皇帝は頭に血が上って倒れてしまう。

穆澤は密かに皇后・林婉貞(リンエンテイ)と接触した。
皇后には実子がなかったが、その代わり幼くして生母を失った穆澤と穆川を我が子のように育てて来た。
「あなたが太子の座を狙っているのは知っていた
 皇上が目を覚ましたら、早く太子を立てるよう勧めるわ」
しかし穆澤には別の考えがあった。
皇后は穆澤の提案に呆然となったが…。

つづく



(  ̄꒳ ̄)さていよいよ次回は最終回です
・・・・・
( ゚д゚)え?!





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最終更新日  2024.01.14 15:53:43
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