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2024.01.30
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第13話

京兆尹(ケイチョウイン)府で出火。
太学へ向かっていた陸安然(ルーアンラン)も騒ぎを聞きつけ、急遽、現場へ向かった。
するとちょうど徐清策(ジョセイサク)を助けに来た弟・陸昀(ルーイン)の姿を見つける。
「昀児!」
安然は思わず弟に向かって飛び出したが、駆けつけた穆川(ムーチュアン)が止めた。
「危ない!」
しかし徐清策は陸昀だけ逃がし、独り燃え盛る建物に残ってしまう。

 私の死後は科挙が公正に行われんことを…そしてすべての受験生に公平な道を!」
徐清策は落ちていた役人の剣を拾うと、自ら首を斬りつけた。

安然は徐清策の自害に激しい衝撃を受け、卒倒した。
医者の話では命に別状はないものの、長年の心労に刺激が加わって頭に血が上ったという。
「ごめんなさい、徐先生…私のせいよ…ごめんなさい…」
「安然、何を悩んでいるんだ?」
穆川はうなされる安然を心配そうに見ていたが、今度は貢院(コウイン)でも火災だと知らせが来た。

貢院に火をつけるよう命じたのは慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)だった。
蔡望津(サイボウシン)が徐清策の説得に失敗、急ぎ答案を灰にして証拠を隠滅するしかない。
しかし科挙の不正は瀚京(カンケイ)中が知るところとなり、太学の学長には手を出せなかった。

穆川は答案のすり替えと貢院の火災に二兄が関与していると気づき、慶王府に穆澤を訪ねた。

「自分のためだ」
「二哥…あなたのことが分からなくなった」
すると二兄に失望した穆川は帰ってしまう。
蔡望津は斉(セイ)王を警戒したが、穆澤は決して九弟に手を出さないよう釘を刺した。

その夜、安然は血まみれの徐清策に責められる悪夢を見て目を覚ました。

「穆澤が徐先生に目をつけた時、止めるべきだった…」
「あの時は霊奚が慶王の手中にあって仕方がなかったのです」
冬青の話を聞いた霊奚は自分が原因だと知り、安然を苦しめてしまったと泣きながら叩頭した。
その時、ちょうど見舞いに来た穆川は思わぬ安然の言葉を聞いてしまう。
「…他人の人生を奪った私に陸家を守る資格などある?」

穆川は安然も今回の不正に関わっていると疑い、冬青と霊奚を下げてから確かめた。
「誰かに脅されたのか?騙されたとか?…霊奚を人質にされたのか?!」
しかし安然は言い訳せず、わざと悪ぶって見せる。
「いいえ、私が徐清策を慶王に推薦したの
 たとえ弟の友だちでも己の手柄のために利用させてもらう」
「陸安然!人の命を何だと思っている!…一体、本当の君はどれなんだ?!」
穆川は安然の心が読めず、憤怒して帰ってしまう。



翌朝、安然は徐清策の無念を晴らすため、太学の学長を訪ねた。
しかし学長は厳(ゲン)尚書を恐れて告発できず、せいぜい徐清策の答案の写しを渡すことしかできないという。
安然は思わずひざまずき、このままでは徐清策が浮かばれないと訴えた。
「こんな屈辱的な死に方をして、あの世で安らげるでしょうか?」
その頃、姉に裏切られた陸昀は斉王を頼っていた。
「殿下!証拠ならあります!」
実は徐清策の答案の写しを太学の学長が持っているという。

斉王に見張りをつけていた蔡望津は穆川が学長の屋敷へ向かったと報告を受けた。
学長はともかく斉王が真相を知れば正義を貫き、慶王の前途が断たれることは必至だろう。
「帝王の道に犠牲は付きもの、学長を消し、斉王も始末せよ」
その話を慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)が立ち聞きしていた。
「天がくれた好機ね…」
そこで欣然はわざと陸昀に慶王が学長を殺すよう命じたと知らせた。
「安然に言っても信じてくれないと思って…」
一方、安然に説得された学長は参内するため屋敷を出ようとしていた。
すると潜んでいた刺客が現れる。
ちょうど穆川が駆けつけ難を逃れたが多勢に無勢、しかし危ないところで安然が清河幇(セイカホウ)を連れて戻ってきた。
沈長青(シンチョウセイ)は配下と共に刺客を退けたが、黒幕を吐かせる前に自害してしまう。

安然は証拠を持っている学長の身の安全を守るため、沈長青に護衛を頼んでいた。
穆川はようやく学長が安然から徐清策の名誉回復を頼まれ、皇帝に上奏するつもりだったと知る。
すると穆川は学長の陳情に同行すると約束、屋敷を沈長青に任せて帰ることにした。
安然は別れ際、足を負傷した穆川に薬を差し出したが、昨夜の恫喝で気まずい穆澤は素直になれず無視してしまう。
仕方なく先に帰ることにした安然、その時、慌てて穆川が引き留めた。
「おい!一度、無視したくらいで諦めるなよ!」



安然は穆川のすねにある大きな切り傷を手当てした。
するとふいに穆川が包帯を巻いている安然の手を握り締め、安然の苦しみを理解したいという。
「何でもいい、話してくれないか?」
安然は激しく動揺し、薬瓶をうっかり落とした。
「二哥と盟約を結び、 不正の片棒まで、でも今度は徐清策のために二哥を敵に回すようなことを…
 盟約のために瀚京(カンケイ)に来たんだろう?安然、何がしたいんだ? 」
しかし何も言えない安然は拾い集めた破片をただ強く握りしめるしかなかった。
「(はっ!)分かった分かった、もういい、無理強いした私が悪かった
 でも忘れないでくれ、今後は私が力になる」
穆川は慌てて安然の手を開き、傷ついた手のひらを手当てした。

翌日、穆川は学長と一緒に皇帝に謁見した。
不正の証拠を見た皇帝は激怒、穆川に調査を任せる。
一方、穆澤は蔡望津が弟を傷つけたと知り、怒り心頭だった。
蔡望津は斉王が偶然、居合わせたため巻き込まれたと釈明したが、穆澤は学長の暗殺に乗じて九弟を殺すのが目的だったと見抜く。
すると蔡望津は斉王の存在が慶王の首を絞めることになると警告し、ひざまずいて嘆願した。
「斉王は殿下の右腕ではなく災いの種、帝王への道は一歩間違えれば、奈落の底です
 殿下ができぬなら、私にお任せを…どうか私を踏み台に!」
穆澤は腹心に手をかけることができなかったが、腹いせに蔡望津の玉の冠を切り付け、壊した。
「今度、九弟を負傷させたら、その時こそ貴様の首を斬る!」
穆澤は剣を収めたが、科挙の不正はすでに皇帝の知るところとなった。
しかし穆澤にはすでに対処法があるという。
「厳尚書を始末し、翊(ヨク)王に罪を着せるのだ」



安然は厳尚書が自害したと聞いた。
しかも遺書には科挙の不正が翊王の指示とあったという。
霊奚は都の恐ろしさを知って帰郷したいと訴えたが、実は安然も近々、帰るつもりだった。
「でもその前に徐先生の遺体を引き取らなくちゃ、蘇城に埋葬してあげましょう」
すると慌てて翠翠(スイスイ)がやって来た。
実は徐清策の遺体は陸欣然がすでに引き取り、安然を呼んでいるという。

安然は遺体を引き取るため欣然を訪ねた。
しかし欣然は高位を笠に安然を牽制しようとする。
「自分の身分を分かっているの?」
「王妃の座は私が譲ったのよ?…その気になれば明日にでも取り返せる
 この屋敷のことも全て把握しているわ」
夜になると時折、泣き声のような音が聞こえること、閨房の鏡台の近くの窓がきしんだ音を立てること、窓辺の長椅子が珍しい玉のため固いこと、屏風に描かれた鹿が全部で6頭いること、安然は全て言い当て、欣然を怯えさせた。
「ここは私の屋敷、私を怒らせない方がいい、それで徐先生の遺体をどうするつもり?」

つづく



( ゚ェ゚)ん?貢院の火事は事故なのか?





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最終更新日  2024.01.30 17:47:00
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