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ジャズ・ピアニストの鬼才、バド・パウエルは、モダンジャズのお手本として、多くのジャズピアニストに影響を与えた人物だが、日本のモダンジャズの草分け的存在である穐吉敏子女史もまた、バド・パウエルの影響を受けたピアニストの一人と言える。まあエリック・クラプトンやジミー・ペイジ等に心酔していたギター少年が、必死になって彼らのギターテクニックをモノしようとしているのと同じように、穐吉敏子女史もまたバド・パウエルに惚れ込み、彼のように弾きたいと思うのも頷けることではある。少なくとも穐吉敏子女史にとってバド・パウエルは、ジャズを勉強する教材として最高のコヤシであったことは間違いない。後年バド・パウエルの影響から抜け出すのに苦労した話を何処かで読んだ記憶がある。そうやって一つ一つハードルを超えて自分のスタイルを確立していく難しさがジャズにはあるのだと思う。 閑話休題、和服姿の日本女性が、バド・パウエル顔負けの演奏を披露してるのだから、多分当時これを聴いた人たちは吃驚したことだろう。大和撫子的イメージの和服姿とジャズ。どう考えてもギャップが有ると考えるのは自分だけじゃないはず。ひょっとして興行的嗜好から無理やり和装でピアノを弾かされたのでは勘ぐってしまう。秋吉敏子 アキヨシトシコ / Her Trio Her Quartet 【CD】価格:2,161円(税込、送料別)
2013年11月10日
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Keith Jarrett キースジャレット / Koln Concert 【SHM-CD】価格:1,620円(税込、送料別) 最近良く岩手大学時代のことを思い出す。最初は寮に居たのだが、二年生からは盛岡市内西下台のボロアパートに住んでいた。北上川の川岸に出るのに山田線の脇を通って五分も掛からないところだった。 盛岡の冬は相当厳しい。雪は余り降らないのだが、降ればなかなか溶けないで根雪の状態になるから底冷えする。隙間だらけのボロアパートでは石油ストーブと電気コタツがないと朝には死んでしまいそうだった。 そんなボロアパートに、ある日居候が飛び込んできた。自分の後輩だった。安部公房の「闖入者」のように傍若無人にも、住みついてしまったのだった。そしてそいつもジャズが好きで、よくバード狂のところへいっては新しいアルバムをカセットに録音して聴かせてくれた。とりわけて彼はキース・ジャレットが好きだった。最初このケルンコンサートを聴かされた時、「これがジャズなのか?」というのが正直なところだった。聴いていて心地よいか否かを言えば勿論よいのだが、インプロビゼーションということ以外でジャズといえるところがない。ボロアパートには似つかわしくないほど荘厳で、雄大なスケールの音楽だった。これを楽譜もなく、大勢の聴衆のいる前で朗々と弾いてしまう神経というのどういうものなのだろうと思った。 今でもときどきケルンコンサートを聴くが、そんなときふと、西日の差すアパートの窓際で、煙草を燻らす彼の姿がフラッシュバックしてしまうのだ。
2013年11月08日
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