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2025.04.09
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カテゴリ: 車中泊ツーリング


今回の出番はセローである。フレンディーも丁度トランポ仕様のレイアウトにしているので、後はシンクと折り畳み長椅子を乗せるだけで、車中泊トランポ仕様となる。
シンクを乗せたまま、バイクを積載するのは始めてなので、ドンキーベースの横スロープは利用せず、平坦地で両ミラーを外したセローのエンジンを掛けて積載してみる。シンクの出っ張りが邪魔だが、一人でも簡単に積載する事ができた。やはりゼファーと違ってセローは軽い。
午後1時頃になって来客や小さな仕事が入り手間取ったが午後2時過ぎにやっと解放され、予定より遅めの出発となったが、虫明は近いので焦る必要はない。
道中で食材調達に一番近いのはブルーラインの瀬戸内ICだ。降りる時から目の前にスーパー「わたなべ生鮮館」が見える。夕食と朝食の食材を物色して車内の発泡ケースに収納。総支払額1,287円ナリ。
目的地の虫明辺りはキャンプ場が無いので、今回は車中泊とし、トイレが完備されている道の駅黒井山グリーンパークの駐車場を宿泊地とした。
道の駅の駐車場はブルーラインを挟んで左右にあり、歩行者用トンネルで繋がっているので、駐車はどちらでも良いのだが、営業施設やトイレのある駐車場は深夜大型トラックが駐車し、夜通しエンジンを掛けたまま過ごす事が予想されたので、クルマが殆ど駐まっていない反対側の駐車場の道路よりの一番端に駐めた。これが後で大失敗だったと思い知らされる事になるとはこの時点では予想もしなかった。
駐車場所も決まった所でいよいよセローをクルマから降ろすのであるが、この駐車場は両方共殆どの場所が傾斜しているので、バイクを降ろす時と寝る時はクルマを上る側にして、バイクを積載する時は下る側にした方が楽である。
セローの燃料コックをONにしてエンジンを掛ける。虫明林道は虫明から入って行くのが順当のようだが、林道入口が分かりにくいので、いこいの村から入る事にした。スマホのカーナビでは林道はおろか細い山道は表示されないので、国土地理院の地図ソフトでいこいの村までの最短ルートを探す。道の駅の回りを徘徊していると山を降りて行けそうな道を発見。地理院地図にも載っているので間違いない。
予想通り、いこいの村に繋がる道路に出たので、一安心。曲がりくねった舗装路を登って行くと、いこいの村に到着。更に登ると野鳥の森があるとの事で行ってみると、芝生の広場に出た。そこには何と親子の野生の鹿が2頭こちらを向いて佇んでいる。セローを低速にしてゆっくり近づくも逃げようとしないので、更に近づき写真をゲット。4サイクルの大人しいエンジン音のセローならではの芸当である。
虫明林道の入口を地理院地図で調べると、いこいの村の入口から100メートルほど下った所から分岐線が見える。入口に迫門の曙案内看板が設置してあるので間違いないであろう。林道は荒れたコンクリート舗装ではあるが幅員は狭く軽四ならやっとと言った所である。クネクネした稜線を通り、山を下って行くと道路はオフロードに変わり幅員は更に狭くなる。途中で何匹もの鹿に遭遇。下り坂でセローのエンジン音や排気音が抑えられているのでバイクに気づくのが遅れるようである。
林道は軈て牡蠣筏が浮かぶ虫明湾を一望できる絶景ポイントに差し掛かる。山桜やミツバツツジが満開の海の見えるオフロードは実に気持ちが良い。
林道も終盤になって来ると、海岸付近を通る事になる。海岸の広場には何十頭もの鹿が群れていて驚いた。備前では鹿が多く繁殖してクルマにぶつかる交通事故が多発していると聞くが、虫明けにも勢力を延ばして来ているのだろう。その内、奈良公園に行かなくてもここで鹿と触れ合う事が出来る日が遠からず来るような気がした。
林道の最後には牡蠣殻を大量に積み上げた処理場があった。幾つもの大きな山はブルドーザーで作業していたが、餌になる物でもあるのだろうか、ブルの回りを夥しいカモメが飛び回り何かをついばんでいるようだ。しかし、本場とは言え、何年もの間これほどの牡蠣を食べた人間には呆れる。
林道の終点の分岐を山に向かって登って行けば、道の駅から降りて来た道に合流する筈であるが、虫明林道には支線が1本あって、虫明湾に突き出た半島まで行けるそうなので、日もまだ高いし、探索してみる事にして地理院地図で探してみると、いこいの村に近い所から分岐している事が分かったので、走って来た林道を引き返し、山を登って行く。支線の分岐は直ぐ分かり、突入する。
この支線は視界が開け、これから走る山腹の道路や虫明湾が一望出来るのがよろしい。更に、この林道は半島の下まで続いているのだろうかと期待しながら走っていると、道が段々と怪しくなって来た。雨水が狭い道路を抉り、深い谷になっている箇所が出て来たのだ。半島に近づくにつれ、幾つもの溝は深くなり平坦な所は無くなって行った。更に追い打ちを掛けるように急勾配の下り坂や上り坂が現れ普通に走る事さえ不可能な状態となる。何時転倒してもおかしくない状況でふと我に返った。
この急勾配を下ったのは良いが帰りに登り切る事が出来るのであろうか?という疑問である。もし、登れなかったら、今夜は1人でこの辺鄙な山中で夜明かしをしなければならない事になるのである。背中がゾッとした。しかし、もう遅い。ここまで来たら最終地点まで行かないと後悔しそうである。その後も深い溝が現れたが、あの急勾配以上酷い箇所はなく、半島の最先端まで何とか辿りついた。最先端は海から高い所にあり、小さな広場となっていた。景色は良いが帰りの事を思うと少し憂鬱だ。
Uターンして心を落ち着かせ、帰路に着く。軈て最難関の急勾配まで帰って来たので、一旦バイクと止めて登りのルートをシュミレーションしてみる。一番怖いのは途中でエンストする事だ。坂の途中でストップしたら、支え切れずにバイクがずり落ちて仕舞うだろう。最悪はバイクが倒れバイク諸とも坂道を転がり落ちて大けがをする事だ。
意を決してゆっくりと1速に入れてアクセルを煽る。スタンディングで前方向に体重を掛けながら出来るだけゆっくりと溝にタイヤを落としながら登って行く。走る前に前後のタイヤの空気圧を0.5気圧位まで落としていたのと、トライアルタイヤを装着している事と、ドライブスプロケットを小さくして低速仕様にいている事で、フロントタイヤが段差や石に当たっても跳ね返るような事も無く、ネットリとタイヤが吸い付くのが見える。リアタイヤのトラクションも良く、タイヤが空転したり滑ったりする事も無い。アクセルを開けてもスピードがあまり出ないので、走行ルートの見極めの時間が稼げるのはギヤ比の変更も大きく貢献している事が分かる。トライアル仕様に改造した事がここに来て生きて来たのだ。
エンストを起こす事も、転倒する事も無く幾つかの難所を無事クリアして平坦な道に戻った時、前方からカップルが乗った黄土色のジムニーがやって来た。すれ違う時に「かなり荒れているのでジムニーでも無理かも」と声を掛けたら、「1度行ったことがあるから大丈夫」との返事だった。本当に大丈夫なのかい?知らんで。それにしてもあの急坂の途中でジムニーが降りて来たら万事急須だった。僅かの差で危機を免れた。
支線を虫明林道の分岐点まで引き返し、いこいの村に戻って、道の駅まで無事帰還したが、道の駅の裏手に広がるミカン畑の中を通る林道があったので寄ってみる。ブルーラインを横切る橋を渡ると段々と山に入って行く。日も傾いており、道もオフロードに変わったので、余り深追いはしたく無いのだが、何処かに通じている予感がしたので、そのまま山深く分け入って行く。暫く進むと畑がが見えた。そのまま進むと前方にライトを点した軽トラがこっちを向いて止まっているので行ってみると、老父夫が乗っており、行き止まりとの事。主人が丁寧な言葉で道の駅に帰るルートを教えてくれた。有り難い事である。
今度こそやっとフレンディーの元へ無事到着。エンジンを冷やすために暫く放置。エンジンが冷えたところで、車体カバーを掛けて置く。クルマのオートフリートップを上げて、中に常備しているマットとシュラフを確認し、サービスホールから引き入れた電源コードに繋がった電気毛布をシュラフの中にセットする。
これで寝床の準備は整った。これからはお楽しみの酒宴が始まるのだ。シンクの窓の正面には寺の立派な桜の大木が満開である。取り敢えず喉の渇きを癒すため、キリンの一番絞りで花見酒と洒落込む。
本日の食材調達は「わたなべ生鮮館」なので、海鮮がどうしても1品欲しかった。アサリを買おうとしたが、やけに小さかったので隣にあった「しおふき貝」に目が止まった。ぷっくら膨らんでいて美味しそうだ。始めて見る貝であったが、酒蒸しにすると美味いだろうと思い購入しておいた。
先ずは、マルチグリドルに水を張って貝を入れ、塩を振り、念のための砂出しを行う。貝を取り出したグリドルにオリーブ油を投入し、貝を入れ、貝の口が開きかけたら酒を入れ蓋をする。蓋を取って醤油を少しと刻みネギを振ったら、しおふき貝の酒蒸しの出来上がりである。身はプルプルでアサリとは違う食感で、当然ながら酒に良く合った。
次はメインディッシュの鶏のモモ肉を塩胡椒を振って焼く。厚みがあるので、蓋をして蒸し焼きにして中まで完全に火を通す。片面が焼けたらひっくり返してブナシメジと共に焼いて焦げ目を作ればチキンステーキの出来上がりである。これで用意した3本の酒が空になった。
〆は定番のうどんを煮て、刻みネギを掛けて美味しく頂いた。今日も調理用具はマルチグリドルだけで完結した。料理の後はキッチンペーパーで拭くだけで次の料理に掛かれるので、洗う必要もなく、実に手軽で便利である。
酒も飲んだし腹も膨れたので、オートフリートップに上がって、寝る事にした。日が落ちると急に寒くなって来たので、ポタ電に繋いだ電気毛布を12時間でセットして、温々のシュラフに潜り込む。
道路脇に近い場所なので、道向かいの駐車場に駐めている大型トラックのアイドリング音が聞こえて来るが、眠れない程ではないのでそのまま寝ていたら深夜、もの凄い轟音で飛び起きた。近くにトラックが突っ込んで来たかと思えるような音だ。恐らく空荷のキャリアカーの音だろうが、深夜なので相当なスピードで走っているのだろう。この爆音が朝までに数回聞こえて来て、その度に目が覚める。せめてクルマを道路の反対側の桜の木の下に駐めれば良かったと後悔したが、移動させる元気も無く睡眠不足の朝を迎える事となったのである。
朝食はグリドルで卵とハムを焼いて、葡萄パンとコーヒーで済ませ、クルマの向きを変えてセローを積み込み7時30分道の駅を後にした。丁度岡山市内通過が朝の渋滞時に重なり、どうなる事かと思ったが、西行きの渋滞は軽度であり、予定通りの帰着となった。
今回の車中泊ツーリングは時期的にオートフリートップを使用してのトランポ仕様で行い、問題無く宿泊できたが、冬は車内泊となりそうなので、バイクの積載は難しいだろう。虫明林道は思いの外面白かった。県南でも探せばこんなエキサイティングな林道もある事が収穫であった。

虫明林道支線から虫明湾の眺望

車中泊トランポ仕様のフレンディーに積み込んだセロー

食料調達を行った「わたなべ生鮮館」

岡山いこいの村付近から虫明湾を望む

岡山いこいの村で遭遇した鹿の親子

岡山いこいの村からの虫明林道入口

虫明林道のオフロードと桜

虫明林道から望む虫明湾に浮かぶ牡蠣筏

虫明林道終盤のオフロード

牡蠣殻を山にするブルドーザーとウミネコ

虫明林道支線の荒れた道路

正面山腹に半島へと続く支線が見える

支線の終点

雨で抉れて大きな溝となった支線

最難関だった登りの坂道

満開のミツバツツジとセロー

車内から眺める満開の桜

しおふき貝の酒蒸し

鶏モモ肉のステーキブナシメジ添え

38円うどん

朝食のハムエッグ






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Last updated  2025.04.09 10:53:18
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