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濃茶席、薄茶席をまわり、立礼席の順番はあと3席目というところで、早めのお昼にしましょうと、友人とふたり、天幕の張られた点心席に行き、陽あたり近いテーブルに座って、運ばれてきた辻留の折詰を広げました。久しぶりのブログに載せようかなと思い、テーブルの中央に用意されていたお神酒、こんにゃくの白和え、ぜんまいの煮物、千切り大根の酢の物の写真をとり、お弁当も写して、改めて座り直し、箸を取りました。では大好きな湯葉からと、口に入れたところ、私の右側になにやら人の気配が・・・。 『やあ、おいしそうなお弁当だね』はあ?、だれでしょう、こんなに遠く離れたところ、知る人もないのに、親しげに話しかけてくるのは・・・と、顔を上げると、 ほ、ほ、ほううんさい、鵬雲斎大宗匠。箸をおき、飛び上がるように立ってしまいました。 『ほう、お酒もあるんだね。白和えにぜんまいね。 うん、うん、まあ、ゆっくりおあがりなさい』十分にご挨拶もできないうちに、大宗匠は、周りの2,3グループの方々にも会釈されて、薄茶席のほうへすたすた歩いていらっしゃいました。献茶式での和服をスーツに着替え、お付き?の方々が追いつけないくらいの速さで・・・。そのあと、友人も私も夢見心地。心臓ドキドキで、せっかくの辻留のお弁当も、今、その味が思い出せません。それほどの思いがけないハプニングでした。点心を終えて立礼席に並んでいると、またしても大宗匠ご一行が・・・。私たちが席に着くのを案内され、 『こちら詰めてね』お菓子が出されると、 『どうぞたくさん取ってね。吹き寄せですからたっぷりね』と、席を回って全員に声をかけてくださり、足元に置いてある大きな火鉢をさして、 『十月はわびた風情でね。これ、藁灰が敷いてあっていいね。 藁灰は、炭俵の蓋になっている○○ぼっち(?)を そのまま焙烙に入れて蒸すときれいにできますよ』と説明されてました。立礼は櫻井宗幸先生(姪に当たられる)自ら亭主で、半東の持ってくる仕舞い茶碗を待っていらしたところ、三客のところで拝見が止まっていた主茶碗を、大宗匠が取り上げ、 『これ、仕舞い茶碗ね』と、自ら運ばれました。大宗匠の、お客様への心遣い、点前進行への気配り、これこそ茶の心と、感じ入りました。10月15日(日)T県K市古峯ヶ原(こぶがはら)にある古峯神社(ふるみねじんじゃ)での献茶式。市街から車で40分も山の中に入るのですが、神社の左手高台に広がる回遊庭園『古峯園』、池の周りに点在する『峯松庵』、『翠滴』、『静峯亭』、さらに、金閣寺の金箔が残る古材を用いた二畳台目の小間も移築されていて、友人に言わせればまさに桃源郷。冷涼の気満ちる静寂のなか、自在に振舞っておのずから茶心に通じる大宗匠はその象徴でした。
2006年10月17日
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