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2021.07.01
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テーマ: 読書(8208)
カテゴリ: 【読書】未分類
2021年6月に読んだ本まとめ


102.デルタの羊 [ 塩田武士 ]
103.8割捨てて、すっきり暮らす [ 筆子 ]
104.児童文学の中の家 [ 深井せつ子 ]
105.毎日に幸せを見つける ひとり暮らしの作り方 [ KADOKAWAライフスタイル編集部 ]
106.なぜ、学ぶ習慣のある人は強いのか? 未来を広げるライフシフト実践術 [ 徳岡晃一郎 ]
107.落日 [ 湊かなえ ]
108.「山奥ニート」やってます。 [ 石井あらた ]
109.掟上今日子の鑑札票 [ 西尾維新 ]

111.女ふたり、暮らしています。 [ キム・ハナ ]
112.花の子ども [ オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル ]
113.キッズファイヤー・ドットコム [ 海猫沢めろん ]
114.ダチョウ博士の人畜無害のすゝめ ダチョウのおかげでガクチョウになった! [ 塚本康浩 ]
115.働く女子の仕事力アップTips大全 わたしらしく楽しく長く働くために必要なこと [ SHE ]
116.1行書くだけ日記 やるべきこと、やりたいことが見つかる [ 伊藤羊一 ]
117.息子のトリセツ [ 黒川伊保子 ]
118.時間をもっと大切にするための小さいノート活用術 [ 高橋拓也 ]
119.空芯手帳 [ 八木詠美 ]
120.Story for you [ 講談社 ]
121.銀の夜 [ 角田光代 ]

123.ズボラさんでもできる! はじめての断捨離 [ やましたひでこ ]
124.母親を失うということ [ 岡田尊司 ]
125.線は、僕を描く [ 砥上裕將 ]
126.「よそ者リーダー」の教科書 [ 吉野哲 ]
127.ミニマリスト、41歳で4000万円貯める [ 森秋子 ]


まあまあ読みました。

今月読んだ本だと、『花の子ども』『空芯手帳』『ダチョウ博士の人畜無害のすゝめ』が良かったです。おすすめ。

しかし、小説を続けて読むことができない。しんどい。
基本的に前情報なし(どういう話か知らない)なので、たぶんそれを把握するところからだから、しんどいのだと思う。
ビジネス書や実用書は、「何について書かれた本か」がタイトルからして明確だから、楽なんだ。
というわけで、小説の合間に実用書を挟んで読んでいくサンドイッチ方式にしたいと思う…。

今月は、「ブログの下書きに本の感想を書く」→「抜粋してTwitterにアップ」というやり方にしてみました。
この後、個別の本についての感想が続きます。
めちゃくちゃ長い。誰が読むんだこれ…。
個別の本について、それぞれ1記事としてアップするほうがいいのかなあ。
でもそこまで書くことがない本もあるのだ。
1記事にするとなると、それなりの文字量が必要な気がするのだけど、それを「書かなくちゃ」と思うのもイヤなんだよね。
気にせず、1行でもいいのだろうが。

101.滅びの前のシャングリラ [ 凪良ゆう ]


滅びの前のシャングリラ (単行本) [ 凪良 ゆう ]

1ヶ月後、隕石が衝突して、世界は終わる。

登場人物が魅力的で、読み進めるごとに「終わらないで!」と言いたくなった。
伊坂幸太郎『終末のフール』みたいな感じ。
この人、好きかも。
もともとはBL作家さんらしい。
ほかの作品も読んでみたい。

102.デルタの羊 [ 塩田武士 ]


デルタの羊 [ 塩田 武士 ]

自由を得るために、飛ぶんだ。
子供の頃に読んだ小説・『アルカディアの翼』をアニメ化するため、奮闘する政策委員会の渡瀬。
しかし、アニメ業界には中国資本の暗雲が立ち込める。

表紙の絵から勝手に戦争もの(特攻)だと思っていて、冒頭の「アルカディアの翼」で「えっファンタジー?」と意表を突かれ、その後のパートで「あ、これは作中作なんだ」と気付き、しかしさらにその後のパートで「作中作の作中作」になっていて、面白い構成だった。
森見登美彦『熱帯』を思いだした。

アルカディアの映像化に奮闘する当たりが面白かった。
アニメ「SHIROBAKO」のことを思い出してたら、巻末に参考資料として掲載されてましたね。
渡瀬が隠れオタで、狭さんと観覧車で話すシーンがお気に入り。
映画にしてほしい。実写で見たい。
「ヲタクに恋は難しい」のオタク同士の会話もそうなんだけど、なんでオタクってこうなっちゃうんだろう。うん…。比喩がうるさい。
私、「ノマさんがいつも敬語で喋るのってオタクだからっすか?」って後輩の子に訊かれたことがあります。

しかしこの作品、「今」だからいいけど、アニメ時事ネタが多くて、数年たつと分かるのが難しくなるかも。(プリキュアのパペピプ~のあたり)

作中作『アルカディアの翼』が読みたくなったけど、これの映像化は新海誠だな…。

103.8割捨てて、すっきり暮らす [ 筆子 ]


8割捨てて、すっきり暮らす (TJMOOK) [ 筆子 ]

MOOK本。字がかなり大きくて、年配の方向け?そして薄い。
さして参考になる内容ではなかった。

ミニマリストブロガー・筆子さん。前に読んでいた。
巻末に著者の写真があって、「この方だったんだ!」と思った(ブロガーさんって、アイコンのイメージだから…)。
ブログ→「 筆子ジャーナル 」。

うちはもう片付け終わっているんだよな…。
見渡して、「捨てる物」がない。
悩んでいるのは私の子供の頃写真。
分厚いフエルアルバムから全部剥がして、厳選した「私の人生」アルバムを1冊作成し、残りをIKEAの書類ボックスに突っ込んである。
これ、捨てようかな?見返さないし…と思うのですが、踏ん切りがつかない。
子どもの写真って、本人というより親のためのもの、だと思うのですが。
親からは家を出る時にすべて持って行くよう言われたので(実家に私物を残すな、と言われていたので)、私の写真はないんですよね。
いつか親に見せるときがある…?と思って捨てられない。

104.児童文学の中の家 [ 深井せつ子 ]


児童文学の中の家 [ 深井 せつ子 ]

画家が描く、作品の家。

児童文学とあるけれど、後半海外小説だった。
間取りや何かを見られるのかと思って手に取ったけど、中は挿絵のような感じ。
作品紹介があって、有名だけど読んだことがない作品を読んでみたくなった。

私にとっての「児童文学の中の家」は、この本にも登場する『大きな森の小さな家』。
繰り返し読んで、憧れた。
ルーマ・ゴッテンだったと思うけれど、人形(妖精?)に苔のベッドを用意する物語も好きだったなあ。

105.毎日に幸せを見つける ひとり暮らしの作り方 [ KADOKAWAライフスタイル編集部 ]


毎日に幸せを見つける ひとり暮らしの作り方 [ KADOKAWA ライフスタイル編集部 ]

人気インスタグラマー11人の一人暮らしの様子を伺える一冊。
私はインスタを見ないので、彼女らをまったく知らないのだけど、ほんとうに「等身大の暮らし」という感じ。
インテリア目当てに開いたけど、きれいに片付いていてすっきりしている友達の家、という感じ。
本がたくさんあるお家(裏表紙にもなっている)が素敵だった。

インテリアより、毎日のタイムスケジュールや、家計簿があってそれが興味深かった。
なんだろう、鞄のなかみ特集的な、人の生活を垣間見る面白さ。

一人暮らし、いいなあ。自分にすべての時間を使えて。

(妄想)
インテリアも、寝る時間も、見るテレビも、夕食だって思い通り。
朝はヨガをして、英語のオンラインレッスン。
朝食は軽く、プロテインで済ませます。
帰宅後はサラダと、作りおいた蒸し鶏でヘルシーに。
海外ドラマを見ながら、時間をかけて半身浴。
そのあとは英語と資格試験の勉強して、本を少し読んで寝ます。
(/妄想)

何このゆとりある暮らし…。
私が一人暮らししてた時、何してたっけ。
たしかタイのカップヌードルを箱買いして、毎日ずーーーっとBBCのSHERLOCKを見て、ひたすら二次創作小説を書いてましたね…。
ん、なんか違うね。めちゃくちゃ楽しかったけど。寝ても覚めてもオタ活できるしあわせ。

106.なぜ、学ぶ習慣のある人は強いのか? 未来を広げるライフシフト実践術 [ 徳岡晃一郎 ]


なぜ、学ぶ習慣のある人は強いのか? 未来を広げるライフシフト実践術 [ 徳岡 晃一郎 ]

人生100年時代。
60歳(65歳)で定年を迎え、「余生」を送るにはあまりにも長い。
その時、必要とされる人材であるためには、学び続けることが必要である。

キャリア・シフトのための勉強方法などが載っているのかと思ったけど違った。
いまいちどこを主眼にしているのかわかりにくい内容だった。
ターゲットは40~50代の勤め人?
いろんな人のライフシフトの例が紹介されており、それは興味深かったが、私は「これから先どのような学びをどうやって身に着けていけばよいのか」のヒントが欲しくて読んだので、そういうことには触れられていなかった。
後半に女性のインタビューがたくさん載っていたのは良かった。

自分に向けられた言葉について結構よく考えます。誰かの言葉に傷ついたり、ショックを受けたりするのは、結局自分の弱みに気づかされるから。それで、そういときこそ実は学びのチャンスなのです。(中略)不安を感じたときこそ、とにかく学ぼう、学べば何か見えるものがあるんじゃないかっていつも思っているんです。最大限どこまで自分を伸ばせるか、どこまで成長を広げられるか、それは自分次第です。

(大学教授 柏木千春さん)

本の中で、厚生労働省の「能力開発基本調査」が引用されており、2017年に自己啓発を行った労働者は35.1%。
「学ばない理由は特にない」が一番の理由。
これ、けっこう衝撃。
著者によれば、日本は「働くこと=学ぶこと」という認識だからだそう。これが残業体質にもつながっている。

今、自分の働き方やキャリア、仕事について色々と考えていて、色んな人にその話をしているのだけど、来年定年の方に「君は、社内応募の制度を使って、大学院に行けばどうか?」と言われ、「ああ、そういう道もあるのか」と思った。
大学院!行きたい!でも仕事の範囲で認められることじゃないことを勉強したい!(笑)

この本の中で紹介されていた、リンダ・グラットン『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』。NHKのラジオビジネス英語でもインタビュー教材になっていました。これも読みたい。

107.落日 [ 湊かなえ ]


落日 [ 湊かなえ ]

その昔、ベランダに出されていた私が触れた指先。
アパートの防火扉の先にいたのは、あなたなの?

落ち目になってきた大御所脚本家のアシスタントとして勤める甲斐千尋。
彼女は、新進気鋭の社会派映画監督・長谷部香から、地元で起きた「笹塚町一家殺害事件」の脚本の打診を受ける。
引きこもりの兄が、妹と家族を殺害した事件。
どうして、とりたてて何の変哲もないそれを、監督は映画にしようとしているのか?
過去の事件を追ううちに、点が、線へ交わる。

でも、知りたいことはあった。それを知らなければ、その先の人生を送っていける自信もなかった。


お姉ちゃんについては、冒頭からそうだろうな、と思っていた。
昔、なにかのドラマでそんなシーンを見たことがあった気がする。
ツーツーツー、と不通音の鳴る公衆電話で、亡き人へ電話をかけ続ける。
けれど、お姉ちゃんと事件がそう重なってくるとは。
380ページの分厚いミステリー?だけど、気になってすぐに読んでしまった。
最後は、ふたりの映画のワンシーンを見たような気分。
鉄塔と夕焼け。「リリィ・シュシュのすべて」を思い出した。

108.「山奥ニート」やってます。 [ 石井あらた ]


「山奥ニート」やってます。 [ 石井あらた ]

著者は、1988年生まれ。
浪人・留年・大学中退を経て、ネットで知り合ったニートと和歌山県の山奥(最寄駅から車で2時間)に移り住む。
NPO法人の代表が移住3日後に亡くなり、自主運営を開始。
その後、人口5人の限界集落にある元学校に移り住み、15人のニートと暮らす。

面白い本だった。
「お金を稼ぐこと」の意味について考えた。
山の中では、月に2万円あれば生きていけるのだそうだ。
だから、期間労働を少ししたり、ブログ収入などでもやっていける。
(ただ、税収入で賄われている部分については、全員がこれでは厳しいのでは?と思う)

今の勤労の標準形は、1日8時間+α×週5日。週40時間労働。
これ、どう考えても働き過ぎだと思うんだよね。
ルトガー・ブレグマン『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』を読んだとき、「なぜ私たちは、技術が過去より進歩した今も猶、これほど働かなければならないのか?」と思った。
まあ、そこまでは無理だとしても、私は、1日6時間(9時~15時)×週5日か、1日7時間半×週4日の、週30時間労働くらいで本当はやっていけるんじゃないか?と思っている。
現時点でも、共働きの我が家では、2人ともその労働時間になって、収入が3/4になっても、やっていける。
ただ、社会の仕組みが――会社の労働体系が――それを認めてくれない。
(いや、今なら「子どもが小さいから」という時短勤務のカタチで実現は出来るのだけれど)
ゴールデンウィークや年末年始。
みんなが休めば、仕事は滞らない。
みんなが「そういうもの」だと思っているから。
じゃあ、出来るんじゃないか?労働時間をもっと短く。

漫画『未来のうてな』で、出稼ぎに行く夫に、傍にいて欲しいと妻は言う。
お前さま、蓄えはもう十分―――。
夫は妻が理解できない。働いて、もっとよい暮らしをさせてやるのに。
手を振りほどき、夫は出て行く。妻は息子と2人、村に残される。
息子は、異形の者に変わっていく。
私はよく、この漫画の場面を思い出す。
蓄えはもう十分。
それが、今の状況なんじゃないか。
もっと別の物を、新しく―――古く。
私たちは、取り戻す時なんじゃないか。

ちなみに著者は、2017年にご結婚されている。
「レンタル何もしない人」の時も思ったけど、意外だった。
で、意外と思うこと自体、自分が既存のジェンダー役割だとか、そういうものに縛られているのだろうなと思う。

本の中で、山本さんが言う。

人にはそれぞれ、自分に合った履き物がある。
なのに、今は既製品の靴に、無理に足を押し込んで履いている。
だから、歩いているうちにすぐ足が痛くなる。それじゃダメだ。
靴に足を合わせるんじゃなく、足に靴を合わせなきゃいけない。
昔わらじを自分で編んだように、自分に合わせた履き物を作る。
そうすれば、足は傷つかず、どこまでも歩いていける。
自分専用のわらじをじっくり作る、そのための時間と場所が必要だ。


1日8時間、週に40時間。正社員で働く。
それがまっとうだ、と思うと、苦しい。
ニートだけじゃない。きっとみんなその型にはまるのは苦しいだろうに。

著者は、学生の頃にみんなが前を向いて、先生が黒板に書いた文字を一斉に写すことに違和感を覚えたという。
その感覚、覚えがある。
静かな教室。ペンを走らせる音。途方もない違和感。叫びだしたい気持ち悪さ。
けれどその「ふり」を続けなければいけない、ということ。その絶望。

著者が、誰かが自殺したというニュースを目にするたび、平行世界の自分が死んだように感じるそうだ。
分かる。
それは、どこかで私が死んだのと同じことなんだ。

ニートが山奥に集まって暮らしていることを、著者は「Non Family Organization」と呼ぶ。
「じゃない」集まり。
それが今の世の中に、必要なんだ。

109.掟上今日子の鑑札票 [ 西尾維新 ]


掟上今日子の鑑札票 [ 西尾 維新 ]

頭を撃ち抜かれた忘却探偵は、「忘却探偵であること」を忘却してしまった。
犯人の狙いは、今日子さんなのか?
明かされる忘却探偵の過去。

表紙がネタバレ。
というわけで、「打ち切りが決まって慌てて過去を明らかにした」感のある巻だったので、もう最終巻かと思ったら、あとがきで「このシリーズは24巻くらいの予定」とあって拍子抜け。

戦場の交渉人とか、影武者とかどっかで聞いたな~、と思って、化物語シリーズだと思い返したのですが、やっぱり「今日子さん=委員長ちゃん」なんですかね?
おっぱいについて今日子さんそんなに言及されてないけど、それすらミスリード?厄介がおっぱいフェチじゃないだけ?
今日子さんがやたらとファッショナブルなのも、制服しか着ることのなかった彼女の反動だと思えなくもない。眼鏡も眼鏡だし。

というわけで、今日子さんの過去と、忘却探偵になった理由が明かされた巻でした。
ホワイトの人たち、これからたくさん出てきそうだな。

110.すみれ荘ファミリア [ 凪良ゆう ]


すみれ荘ファミリア (講談社タイガ) [ 凪良 ゆう ]

朝夕食事つきのおんぼろ下宿・すみれ荘。
大家の息子である一悟は、虚弱体質で定職に就くこともままならず、時折寝込みながら管理人をしていた。
下宿人は3人。
月の半分をPMSと生理痛で半死半生となるOL・美寿々。
ブラックなTV制作会社に勤務するキツイ物言いの隼人。
花屋に勤め、一悟の亡き妻の姉でもある、古株の青子。
家族のようで、家族でない、つながり。
ある日、一悟が自転車でぶつかった男が、「利き腕にひびが入ったから世話をしてくれ」とすみれ荘にやって来る。
作家、芥(あくた)一二三。
口数が少なく、不愛想な男の存在が、穏やかな日常に波紋を広げる。

勝ちたいと願うことと、負けないことは違う。前者は他者に向けての言葉で、後者は自分に対しての言葉だ。負けるな、負けるなと自分に言い聞かせる言葉だ。


『滅びの前のシャングリラ』が面白かったので、凪良さんの作品を他にも読んでみようと思って。
不愛想のエログロ作家×病弱年上大家とか、BLなら激萌えなシチュなんですが、これはBLじゃないです。

「~荘」系のお話、好きです。疑似家族もの、というか。
ほんわか、ちょっと日常のアレコレ、各個人の悩みと葛藤、という話かと思っていたら、空気がどんどん不穏になってきて、「あー、あー、」と思っているうちにラスト。
ドロドロのズタボロ。
ほのぼの系を期待していたら外れるので注意。

むーん、凪良さん、こういう系なのかなあ。
だとしたらそこまでストライクじゃないかもしれない。

111.女ふたり、暮らしています。 [ キム・ハナ ]


女ふたり、暮らしています。 [ キム・ハナ ]

"여자 둘이 살고 있습니다"

1976年生まれのキム・ハナ。
1977年生まれのファン・ソヌ。
友人同士のふたりが、家を買って暮らすことになった。
家族じゃない、カップルじゃない、W2C4(女2人、猫4匹)の暮らし。

面白かった。
家は素敵だし(本棚!!!)、食事の写真もとても美味しそうだし、何より楽しそう。
同居人との軋轢と和解は、夫と結婚したばかりのことを思い出したし、炊飯器をあけて未だに思う「なぜこの人はごはんの天地をかえさないのか」を改めて思った。
人と暮らすことは、難しいよね。
でも、本の中で言っていた、「ひとりだと速く行けるけど、ふたりだと遠くまで行けるし、退屈しない」というのに納得する。

112.花の子ども [ オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル ]



花の子ども [ オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル ]

”Afleggjarinn”
by Auður Ava Ólafsdóttir

母さんは、園芸の天才だった。
溶岩が覆う黒い大地を、緑でいっぱいにしたのだから。

アイスランド。
母を亡くした22歳の青年・アルンリョウトゥルは、庭に咲く八片の薔薇を手に、数千キロ離れた修道院の薔薇園を目指す。
そこへ、一夜の情事で自分の子を身籠った友達の友達が、思いがけず生まれてきた我が子を連れてやって来て―――。

アンナは笑って一緒に手をたたき、うっとりと娘を見つめたが、またすぐに本を読み始めた。子どもに対する彼女のあっさりとした反応を見ると、僕はちょっと心配になる。アンナが子どもと遊ぶのはほんの一瞬で、ふざけたり、笑い声を上げたり、くすくす笑ったりもするけど、すぐにうわの空になって、興味をなくしてしまうのだ。


生まれて初めてアイスランドの小説を読んだ。

アイスランド女性文学賞、DV文化賞受賞。
フランス語翻訳版で書店員が選ぶパージュ文学賞、ケベック書店員賞(翻訳部門)受賞。
北欧理事会文学賞ノミネート。
24カ国で翻訳され、フランスでは40万部を突破。
日本語訳は、英語版からの翻訳。

描写がうつくしく、どこかファンタジーめいていて、とても好みの内容だった。
著者のほかの作品も読んでみたいな。
キリスト教の「におわせ」は解説で言われないと分からず、こういうところに文化的な背景のギャップを感じる。
作品をただ読んでいても、異文化者にすべて理解できるわけではない、というか。

アイスランドはジェンダーギャップ指数が11年連続世界第一位らしい。
で、この作品はジェンダー・ロール(性別役割)に捉われない新しい男性像を描いたということでアイスランドで評価されているらしいのだけど、そこらへん「?」だった。
そこまで新しくない気がするんだけど…優柔不断な草食系男子ってだけでは…?というのが日本と違うのか…?

113.キッズファイヤー・ドットコム [ 海猫沢めろん ]



キッズファイヤー・ドットコム (講談社文庫) [ 海猫沢 めろん ]

子育てエッセイ『パパいや、めろん』が面白かったので、著者の小説を読んでみた。
→2020.09.30「 171.パパいや、めろん 男が子育てしてみつけた17の知恵 [ 海猫沢めろん ]

家の前に置かれていた赤ん坊を、クラウドファンディングで育てるホストの話。
ちょっと思ってたんと違った…。
命名権とかまでクラウドファンディングしちゃう系。

うーん、内容は斬新だし、著者の子育てを取り巻く状況に対する怒りが詰まっていて、ホストのキャラたちも魅力的。
でも文章が私好みではない。私、あくまできれいでうつくしい文章がすきなんだよな…。
ちょっと他の作品読むか迷っている。

114.ダチョウ博士の人畜無害のすゝめ ダチョウのおかげでガクチョウになった! [ 塚本康浩 ]



ダチョウ博士の人畜無害のすゝめ ダチョウのおかげでガクチョウになった! [ 塚本康浩 ]

これ、めちゃくちゃ面白かった。おすすめ。
京都府立大学学長の話。
とにかく鳥が大好きな少年が、ダチョウを研究するに至るまで~ダチョウ抗体の開発。

関西弁とノリツッコミでテンポがよく、
2020.11.04「 186.アフリカ出身サコ学長、日本を語る [ ウスビ・サコ ]
のサコ学長を思い出した。

とにかくダチョウLOVE。
鳥類愛にあふれている。

ダチョウについて知らないことがたくさん知れて面白かった。
ダチョウすごいよ、ダチョウ…。あほやけど…。

115.働く女子の仕事力アップTips大全 わたしらしく楽しく長く働くために必要なこと [ SHE ]



働く女子の仕事力アップTips大全 わたしらしく楽しく長く働くために必要なこと [ SHE ]

ビジネス書の内容が網羅的に載っているけど、だからこそ中途半端というか、本の目次を並べたみたいな内容になっていてイマイチ。
あと内容盛り込み過ぎて字が小さい。
ところどころ、項目ごとに参考図書を載せてくれてるけど、そういう内容(定評のあるそれぞれの分野での本と概要を紹介する)にしたほうがよかったんじゃないかなあ…。

116.1行書くだけ日記 やるべきこと、やりたいことが見つかる [ 伊藤羊一 ]



1行書くだけ日記 やるべきこと、やりたいことが見つかる [ 伊藤羊一 ]

1「今日やったこと」を1行で書く
2「それは、自分にとってどんな意味があるのか」を考えて書く
3 気付いたことを書く
4「やってみよう」と思ったことを書く

という、表紙の絵そのまんまの内容で、正直これを一冊にするほどの内容?と思った。
日記を書く習慣がある人なら別に読まなくていいかも。

いろんな習慣化系の本でも、この本の中でも言われているけど、本を読んで「まずそのとおりにやってみる」人が少なく、それを継続できる人はもっと少ない。
だから、日記をつける習慣のない人はまずやってみるべし。
この本は、1行書くだけ(というのは嘘で、「今日やったこと」は一行だけど、それ以降を書いたら最低4行じゃない?)だから、手帳の余白にでも始めやすい。

日記をつけるのが苦手な人は、バーチカル・ウィークリータイプの手帳に行動ログを残すだけでもいいと思います。
「ふりかえる」が大事なんですよね。
私、手帳に日記を毎日ずーっと書いているけど、振り返らないからまったく成長しないもの。
でも、日々ログを残していると、「あ、これダメだな」「これよかった」と思える。

ただ漫然と日々を送るのではなく、「よく生きる」を心がけないとな。

117.息子のトリセツ [ 黒川伊保子 ]



息子のトリセツ (扶桑社新書) [ 黒川伊保子 ]

すこし食傷気味になってきたこのシリーズ(でも読む)。
「なぜ、女親にとって男の子は可愛いのか?」が書かれていて興味深かった。
しかしまあ、著者の息子愛がすごい。
習い事をさせていない我が家も、「まあそれでも大丈夫かな」と著者の子育て方法を読んでいて思った。

人の失敗を自分も体験したかのように記憶することで、失敗しなくなる(脳がその回路をショートカットしなくなるらしい)とか、面白い。

118.時間をもっと大切にするための小さいノート活用術 [ 高橋拓也 ]



時間をもっと大切にするための小さいノート活用術 [ 高橋拓也 ]

今すぐA6サイズのノートを使い始めたくなる(笑)
色んな人ではなく、著者の提案する使用例。

ノートの表からタスク、裏からアイディアを書くときに、上下をひっくり返したら左開きで書ける。へー!
本の記録を1ページにまとめるのもいいなあ。

ここのところB6サイズのノートや手帳を使っていて、A6より記入スペースが広くて良いのですが、やっぱりかさばるし、重い。
その点、小さいノートはいいですね。ミニマム萌え。
来年の手帳はやっぱり文庫本サイズにしようかなあ。

119.空芯手帳 [ 八木詠美 ]



空芯手帳 [ 八木 詠美 ]

私が片付けて当然と放置された珈琲カップ。
だから、ふと口にしたのだ。
「つわりでコーヒーの臭いがだめなんです」と。
そして私は妊婦になった。

「ねえ細野さん、自分だけの場所を、嘘でもいいから持っておくの。人が一人は入れるくらいのちょっとした大きさの嘘でいいから、その嘘を胸の中に持って唱え続けていられたら、案外別のどこかに連れ出してくれるかもしれないよ。その間に自分も世界も少しくらい変わっているかもしれないし」


第36回太宰治賞受賞。
津村記久子さんが褒めていたので読んでみたもの。

面白かった。
結局、どっちだったんだろう?
嘘と真実の境目が裂ける。
夜の闇を、朝が剥ぎ取るように。

子どもの回想がそこで入るのは、ちょっと私好みではなかったけれど。
空想と現実が入り混じって、どちらが本当か分からなくなる話、すき。

120.Story for you [ 講談社 ]



Story for you [ 講談社 ]

コロナの夏休み(2020年7月、8月)にwebに掲載された62の短編。
すべての漢字にふりがな付き。
執筆陣がとにかく豪華!!
私の好きな作家さんが何人も書いてらした。

海猫沢めろん
小野寺史宜
折原みと
須賀しのぶ
辻村深月
西尾維新
はやみねかおる
宮下奈都
森見登美彦

自身の作品の番外編の人も多い。
それはちょっと、ファンには嬉しいけど、それ以外の人には「?」な感じ。
だいたい3、4ページの短い話なので難しいのだけど。

コロナを題材に扱った小説が増えてきて、これは後世にどう受け止められるのだろうな、と思っている。
コロナ?ってなるのかもしれない。マスク?脚注がついたりするのかもしれない。
それを読んだ人は、「ああ、歴史の授業で習ったな」って思うのかしら。

121.銀の夜 [ 角田光代 ]



銀の夜 [ 角田光代 ]

きっと何者かになれると信じていた、15歳の私たち。
ガールズ・ロックバンド。思い付きのそれは、大人たちに担ぎ上げられて分解した。
35になった私は、何者であるかも分からないまま、日々を生きている。

たまにイラストの仕事をする「私」は、夫が年下の女と浮気している。
娘を芸能人養成スクールに入れた「私」は、望み通りの生活を手に入れた人形だ。
あれこれ手を付けては中途半端になる「私」は、それを母の呪いのせいだと断じる。

けれど、自分の抱いている漠然とした不安と同じ種類のものを、伊都子も抱いているに違いないと思った。日々の雑事に追われるだけで時間がどんどんたっていくこと。たくさん歩いた気がするのに、ふりかえっても自分の足跡が見つけられないように思えること。たとえば四十歳になるまでに何かしなくてはと思う者の、その「何か」のとっかかりすら見つけられないこと。


年齢がドンピシャだったこともあり、ぐっさぐさ胸に刺さった。
初出は、「VERY」2005年掲載のもの。15年も前!

2019.01.27「 きっと何者にもなれないお前たちに告げる。
を書いたときに、感じていた。
自分に嘘をついているな、と。
だって私は、何者かになりたかったから。
そして今もまだ、遠くその何者かに憧れているから。

それはいったい、何なのだろう。
子供の頃の願い。
誰かの力のもとに置かれないこと。自由であること。
そう、私は今、自分で自分の口を糊し、決定権を持つ大人になった。
それでもなぜ、こんなにも頼りのない子供のように不安になるのだろう?
ただしあわせであることを、なぜ物足りないと感じるのだろう。

考えすぎだよ、と夫はよく、私に言う。
意味なんてない、そんなものを求めてはいけないのだと。
働くことに、そしてきっと、生きていくことに。

けれどそれでは、私はあんまりにもかなしいのだ。
今際の時、私はその問いに自分で答えたい。
だから知りたい。たくさんのことを。

122.失われた賃金を求めて [ イ・ミンギョン ]



失われた賃金を求めて [ イ・ミンギョン ]

"잃어버린 임금을 찾아서"
by 이민경

はじめに 
1. 昇進 止まっているエスカレーター
2. 考課 「ふりだしに戻る」と「3つ前へ」
3. 同一職級 傾いた床 
4. 与えられた条件 ハイヒールと砂袋
5. 雇用安定性 消えていく女性たち
6. 就職 
7. 進路選択 
8. 達成度評価 
9. 資源   
終わりーあるいははじまり
解説 日本で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ  西口想

「韓国で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ」から始まる、女性が置かれた状況についての考察。
韓国は、男女賃金格差がOECD加盟国中ワースト1位。日本はワースト2位なので、まるで日本の話のようだと思いながら読んだ。

何冊か読んだ黒人差別についての本と、重なることが多い。
生まれた時に引いたカードが、たまたまそれだっただけ。
ただ、女だったから。それだけ。

死ぬほど頑張って、何もかもを完璧にこなして、はじめて「女でありながら」昇進できる。
そして言われるのだ、「お子さんはどうしているの?ママは1人しかいないのにね。可哀想」。
あるいは、「旦那さんも働いているんだし、しんどいなら専業主婦になればいいじゃないですか」。
(これは私が実際に昇進してから言われた言葉だ。)
まったく馬鹿馬鹿しくてやっていられない。

ただ、私はその裏返しにある「男性らしさ」の苦しさも思うのだ。
女性がある意味、排除されていたことで免除されていたもの、享受していたこと、がある。
たとえば、家事や育児の「時間」を彼らは奪われていたのではないか?
そもそも、それらは、「労働」だろうか?
労働なんだよ。もちろん、それを誰かが肩代わりしているのなら、それは「労役」だろう。
そうじゃなくて、自分の人生を自分でコントールするという「行為」すら、出来ない勤務状況(男性家長制)に置かれているということが問題なんじゃないのか?

どんな金持ちでも貧乏でも、白人でも黒人でも、男性でも女性でも、「時間」は平等だ。
つまり、「仕事に時間を捧げる」こと、自分の人生を差し出して金に換えること。あるいは金に換えられないが差し出さなければならないこと。
その割合が異なること。それが人種や性別によること。
時間という資源の分配、それが一番の問題なんじゃないか?
ということを、最近考えている。
(その時間の値段が人により異なる、というところに差別があるんだけども…この本はそういう話をしているんだけど…)

みんな、働き過ぎなのだ。
おかしい。絶対にもう、こんなに働かなくてもいいはずなんだ。
ブルシット・ジョブ。時間泥棒。
昇進していくことは、彼らの仲間になることではないのか、という気がしてならない。
けれど、枠組みから外れないのであれば、内部から壊す方がいい?
何十年かかるとしても?

そういうことを考えている。

123.ズボラさんでもできる! はじめての断捨離 [ やましたひでこ ]



ズボラさんでもできる! はじめての断捨離 (TJMOOK) [ やましたひでこ ]

ムック本。シニア向け。
既視感があって、「あれ、これ読んだっけ?」となったけどたぶん読んでない、と思う。
例で出てくる家の「実家じゃん」という感じがすごい。

ところどころ賛成できないけど、「とにかく収納用品をやめよう」というのは同意する。
「最近モノが増えてきて収まりきらないな」から「収納用品を買ったらすっきり収まるかも」の思考回路になったら要注意。
とにかくモノを減らす方に尽力した方が良い。今のスペースで収まるように。
収納用品というモノが増えてるからね…?

我が家はとにかくモノがない。
私が、暫く使っていないものはすぐに譲ったり売ったり捨てたりするから。
今、来年の娘の入学に向けて、子供たちのオモチャをどんどん処分していっている。
ランドセルラックや新しい収納用品を買わなくても、今オモチャを収納しているスチールラックのスペースを開けられるはず。
ただ、それが出来るのも子供が成長するまでだろうなあ…。

124.母親を失うということ [ 岡田尊司 ]



母親を失うということ [ 岡田尊司 ]

コロナ禍の2020年5月13日、母が死んだ。
腰が痛いと言って入院してから、わずか5日。84歳だった。
忙しさにかまけて、会いにも行かなかった。
コロナだから、緊急事態だから、感染が怖いからと、言い訳をした。
今、後悔が胸に迫る。
彼女は9つで母を亡くした。嫁ぎ先では苦労のし通しだった。
その人生を、綴る。
思い出を、辿る。

それはきっと、多くの人にとっては何てことはない人生だろう。
どこにでもある話なのだろう。
けれど、これは、私の母の。
懸命に生き抜いた、彼女だけの物語。

母親を失うということの恐ろしさの根源は、自分の人生の始まりからずっと愛着してきた存在からの応答を永久に失うということかもしれない。問いかければ、応えてくれた存在が、もう何の反応も返してくれないということ。やりとりをすることができないということ。その苦しさである。それは呼吸できなくなる苦しさにどこか似ている。母と言う存在が返してくれる言葉や微笑みを、子どもは呼吸しながら生きているに違いない。何の反応も、言葉も微笑みも返ってこないということは、いくら息を吸おうとしても、息が入って来ないような苦しさを催させる。


銀の夜 [ 角田光代 ] を読んでいて、「母が死ぬこと」について考えた。
母を失うこと。彼女がこの世界からいなくなること。
そのタイミングでこの本を読んだ。

息子の視点で語られる、母の物語。
お母さんは晩年、自伝を書いて、それをすべて燃やしてしまったという。
ということは、これを書くことは、本人にとってはどうなんだろうか。
人の口から語られる自分の物語。
それに、納得できるだろうか。
許してほしい、ということは、それ自体が母に対する甘えなのだろう。
ただ、息子が書かなければ、残さなければ、消えてしまう物語だったことも確かで。

2020.08.27「 父と僕の終わらない歌 [ サイモン・マクダーモット ] 」は、息子が認知症の父について書いた自伝だった。
親戚中に聞いてまわって、過去を綴る。
そこに当人の意思は、どこまで尊重されるんだろう。
自伝と言うのはすべてそんなものなのかもしれないのだけれど。

本書は、息子の人生の物語でもある。
自分の幼少期の目を通じて見た母、その思い出。
彼が語らなければ、消えてしまった物語。

内容に、母を、祖母を重ねて読んだ。
苦労のし通し、時折問う、「私の人生はいったい何なんだろう?」。
母はこうだった、こういう人だった。
そう、「母」なんだよな。
Before Mom, After Mom.
そういう人生の描かれ方。

でもさ、それだけじゃないよね。
それを、私は渡したくない。たとえ自分の子どもであっても。
本にする?いいよ。書いてもいい。でもそれで、私を分かった気になるんじゃないよ。
それは、私だけのものだ。

だから、母が、祖母が亡くなったとしても。
そのすべてを暴くことは出来ない。
彼らは彼らだけのものを胸に、眠る。
失われた物語と共に。

125.線は、僕を描く [ 砥上裕將 ]



線は、僕を描く [ 砥上 裕將 ]

事故で両親を失った高校生の僕は、真っ白な空間に閉じ込められた。
エスカレーター式で何とか進学した大学で、無為に過ごす日々。
ある日、設営を頼まれたアルバイトで、僕は不思議な老爺に出会う。
篠田湖山。有名な水墨画家だった。

「それから、何気ない草や木を、どうしてこんなに美しいものに変えることができるのだろうって思いました。それで本当はもっといろんなものが美しいのではないかって思いました。いつも何気なく見ているものが実はとても美しいもので、僕らの意識がただ単にそれを捉えられないだけじゃないかって思って…。絵を描き始めてから僕はようやく何かを見ることができるようになったんだって思いました」


面白かった。
2020年本屋大賞3位。
ずっと「点は、線を描く」というタイトルだと思っていた…。

ふだん自分が知ることができない世界を描いた作品って、どうしてこうも惹かれるのだろう。
すごくよく調べて書いたんだなあ、と思って、読み終わった後に著者略歴を読むと、ご本人が水墨画家でいらした。
自分の世界を広めるのに、自分が見ているものを見せるのに、エンターテイメントというのはかなり有効であるし、それが出来る人は本当にすごいと思う。
水墨画を見に行きたくなったもの。

主人公は、両親を亡くし、生きる気力をなくした大学生。
2021.01.20「 ひと [ 小野寺史宜 ] 」を思い出したけど、彼よりかなり恵まれている。
金銭的にも環境的にもだけど、何より運と才能と実力がチートであんまり感情移入できなかった。
墨を使う=「ばらかもん」くらいしか思い浮かばなかったけど、主人公の雰囲気は「3月のライオン」の零くんにも近い。
脇役の面子が魅力的。こちらのほうに魅了された。
とくに古前くんは、森見登美彦作品の小津に似てて好きだ。

水墨画って、すごいね。
白と黒だけで、瞬時に生命を描き出す。
小説の中の描写で「そうなのか」と思ったのが、型というようなものがあって、それを描いていくんだっていうこと。
洋画だと、対象があって、時間をかけてそれを描いていく。
でも、水墨画はその瞬間に切り取ったものを、その刹那の生命を写し取る。
モノクロームの中に色と香りを閉じ込める。

今まで地味だから素通りしていた水墨画。
美術館で、あらためて見てみたくなった。
著者のように若い人が描いた水墨画も見てみたい。

126.「よそ者リーダー」の教科書 [ 吉野哲 ]



「よそ者リーダー」の教科書 [ 吉野 哲 ]

出向、二世、中継ぎ。
何かしらの「よそ者」として社長に就任することになったリーダーは、どのような姿勢で何をすべきなのか?

「よそ者リーダー」に求められる謙虚さ・4つの姿勢
1 役職や年齢に関係なくすべての人に等しく接し、その声に耳を傾ける姿勢
2 自分と違う意見や相反する考え方を批判せず、真摯に受け止める姿勢
3 知らないことはもちろん、多少知っていることでも、改めて教えを請う姿勢
4 常に自分を振り返り、自分に足りない部分を知り、認める姿勢


自分が悩んでいることって、ちっぽけなんじゃないかと思って。
より大きな視点で物事を見て見たくなって、読んでみた。
なあんだ。
みんな、失敗して、悩んで、学んで、進んでいるんだね。
「「よそ者リーダー」の実務 着任後100日までの仕事」なんか、担当レベルでも新しい仕事をやるときに参考になる。

今年、係長になって、これまで散々言われてきた「ひとつ上の役職の目線で物事を見なさい」ということは、こういうことなのかと分かった。
だからきっと、私は次の視点をまた、手に入れないといけないんだ。
その立場にならなきゃ分からない。でも、疑似体験は出来る。本を読んで、話を聞いて。

127.ミニマリスト、41歳で4000万円貯める [ 森秋子 ]



ミニマリスト、41歳で4000万円貯める そのきっかけはシンプルに暮らすことでした。 [ 森 秋子 ]

うーん、よくわからなかった。
タイトルからお金に特化した内容だと思ったんだけど、そうじゃなくて、ミニマリストのライフスタイルが結果的にお金をそんなに必要としない(これはミニマリストあるあるだな)という話でした。
家計簿とかも載ってなくて、収支がよく分からない。
いつからいつまでで4,000万円貯まったんだろう。個人?世帯?
収入が多いのかなあ。
なんて考える。

中学生のお子さんを塾に通わせていないってのがすごい。
私、たぶん自分をそこまで強く持てないから。

「夫を愛人だと思う」「塾代のかわりにディズニーランド」「宝くじは寄付」
など、発想が面白かった。

これから読みたい本


実力も運のうち 能力主義は正義か? [ マイケル・サンデル ]

2021年6月5日 日経新聞 朝刊 書評
「ハーバード白熱教室」のマイケル・サンデルさんの新作。
知人がその昔言ったことを、思い出す。
「私は努力した。私のことを妬むなら、あなたも同じ努力をすればよいのだ」
それは、努力できる環境だった、ということだけなのかもしれない。


向田邦子ベスト・エッセイ (ちくま文庫 むー13-1) [ 向田 邦子 ]

2021年6月5日 朝日新聞 朝刊 広告
有名だけど(だからこそ)ちゃんと読んだことがないので、読んでみたいな。 


ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか? [ ロビン・ディアンジェロ ]

2021年6月5日 朝日新聞 朝刊 広告
人種差別をするマジョリティ(白人)の脆弱性についての本らしい。
読んでみたい。


チャリング・クロス街84番地 増補版 (中公文庫 ハ6-2) [ ヘレーン・ハンフ ]

2021/6/12(土)朝日新聞 朝刊書評
ロンドンの古書店と、ニューヨークの愛書家の手紙のやり取り、らしい。
何それ面白そう。


私がフェミニズムを知らなかった頃 [ 小林エリコ ] ​​

2021/6/12(土)朝日新聞 朝刊書評
男女平等を信じていた著者が、そうではないことに気付いた話、のよう。
フェミニズムという名の鎧と武器を、どう受け止めれば/知ればいいのか、私の中でモヤモヤしているので、読んでみたい。


きみは知らない (韓国文学セレクション) [ チョン・イヒョン(鄭梨賢) ]

2021/6/12(土)朝日新聞 朝刊書評
韓国小説がたくさん入ってきているけど、どれを読めばいいか分からないので、紹介されているものから読んでいこうと思う。
そしてお気に入りの作家を見つけたい。


彼女は頭が悪いから (文春文庫) [ 姫野 カオルコ ]

2021/6/12(土)朝日新聞 朝刊書評
2016年に起きた東大生による強制猥褻をモチーフにした作品らしい。
ジェンダーの格差についても描かれているらしく、読みたい。

2021年に読んだ本

2021年1月に読んだ本まとめ/これから読みたい本
001. 後悔病棟 [ 垣谷美雨 ]
002. 希望病棟 [ 垣谷美雨 ]
003. 恐ろしくきれいな爆弾 [ 越智月子 ]
004. ひと [ 小野寺史宜 ]
005. 三体 [ 劉慈欣 ]
006. 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(4) [ 山口悟 ]
007. 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(5) [ 山口悟 ]
008. 同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか [ 鴻上尚史/佐藤直樹 ]
009. 宝石商リチャード氏の謎鑑定 久遠の琥珀 [ 辻村七子 ]
010. オタク女子が、4人で暮らしてみたら。 [ 藤谷千明 ]
011. 扇物語 [ 西尾維新 ]
012. 最後の晩ごはん 閉ざした瞳とクリームソーダ [ 椹野道流 ]
013. 自由もお金も手に入る! 勝間式超スローライフ [ 勝間和代 ]
014. Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる [ 近藤麻理恵 ]
015. 子育てはもう卒業します [ 垣谷美雨 ]
016. 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(6) [ 山口悟 ]
017. 一人称単数 [ 村上春樹 ]
018. 去年の雪 [ 江國香織 ]
019. そして、バトンは渡された [ 瀬尾まいこ ]
020. 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(7) [ 山口悟 ]

2021年2月に読んだ本まとめ/これから読みたい本
021. 男ふたりで12ヶ月おやつ [ 椹野道流 ]
022. 汚れた手をそこで拭かない [ 芦沢央 ]
023. エデュケーション 大学は私の人生を変えた [ タラ・ウェストーバー ]
024. 本好きの下剋上 第五部「女神の化身」(3) [ 香月美夜 ]
025. 〈あの絵〉のまえで [ 原田マハ ]
026. 百年と一日 [ 柴崎友香 ]
027. 最後の晩ごはん 地下アイドルと筑前煮 [ 椹野道流 ]
028. なんで私が適応障害!? 暗闇の中で光を見つけた私。 [ 乃樹愛 ]
029. 本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ [ コウケンテツ ]
030. がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた [ 藍原育子 ]
031. ぼく自身のノオト [ ヒュー・プレイサー ]
032. 火のないところに煙は [ 芦沢央 ]
033. medium 霊媒探偵 城塚翡翠 [ 相沢沙呼 ]
034. マンガ&あらすじでつかむ!60分でわかるカミュの「ペスト」 [ 大竹稽 ]
035. デイリーすごろくノート術 毎日を「理想の1日」にする! [ 原麻衣子 ]
036. モノが私を助けてくれる 10年先も使いたい暮らしに投資するモノ選び [ 本多さおり ]
037. 英語独習法 [ 今井むつみ ]
038. 忘れじのK 半吸血鬼は闇を食む [ 辻村七子 ]
039. 女性差別はどう作られてきたか [ 中村敏子 ]
040. 子育てがプラスを生む「逆転」仕事術 [ 小室淑恵 ]
041. これが私の生きる道! [ 世界文化社 ]
042. ほぼ日手帳公式ガイドブック2021 [ ほぼ日刊イトイ新聞 ]

2021年3月に読んだ本まとめ/これから読みたい本
043. 世界と僕のあいだに [ タナハシ・コーツ ]
044. 言葉が思いつかない人のための「語彙トレ55」 [ 近藤勝重 ]
045. 子どもも自分もラクになる「どならない練習」 [ 伊藤徳馬 ]
046. 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(8) [ 山口悟 ]
047. スペースエイジ・インテリア [ グラフィック社編集部 ]
048. Seven Stories 星が流れた夜の車窓から
049. 今夜 [ 小野寺史宜 ]
050. 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(9) [ 山口悟 ]
051. かがみの孤城 [ 辻村深月 ]
052. 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 [ F太 ]
053. 彼女の名前は [ チョ ナムジュ ]
054. 推し、燃ゆ [ 宇佐見りん ]
055. かんたん&かわいい!和気文具の手描き文字レッスン [ 今田里美 ]
056. ジブン手帳公式ガイドブック2021 [ 佐久間英彰 ]
057. ブルースだってただの唄 黒人女性の仕事と生活 [藤本和子]
058. 「グレート・ギャツビー」を追え [ ジョン・グリシャム ]
059. 欲が出ました [ ヨシタケシンスケ ]

2021年4月に読んだ本まとめ/これから読みたい本
060. デリバリールーム [ 西尾維新 ]
061. この本を盗む者は [ 深緑野分 ]
062. 会社で「生きづらい」と思ったら読む本 [ 岩谷泰志 ]
063. ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント [ 小尻美奈 ]
064. 今日の人生2 世界がどんなに変わっても [ 益田ミリ ]
065. ものは捨てても、ワタシは「好き」を捨てられない [ mami ]
066. お金とモノに支配されない暮らしかた [ リムベアー ]
067. マナーはいらない 小説の書きかた講座 [ 三浦しをん ]
068. オルタネート [ 加藤シゲアキ ]
069. 羊は安らかに草を食み [ 宇佐美まこと ]
070. ある男 [ 平野啓一郎 ]
071. 暮らしのムダをなくしてシンプルに なくす家事 [ マキ ]
072. 面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本 [ 内藤誼人 ]
073. 捨てない片づけ術 [ 宙花こより ]
074.傲慢と善良 [ 辻村深月 ]
075.やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。 [ 梅田悟司 ]

2021年5月に読んだ本まとめ/これから読みたい本
076.新築戸建て買っちゃった!年収300万 しあわせ生活 かのんこ家の家事と家計の工夫 [ かのんこ ]
077.「ねぇ、これ捨ててみない?」 ふたり暮らしの片付け&掃除物語 [ ゆるりまい ]
078.少ない物ですっきり暮らす [ やまぐちせいこ ]
079.「書くだけ」で夢を引き寄せる!家事ノート&手帳術
080.揺れ動く今 みつけたい わたしの真ん中 [ Emi ]
081.ミニマリストの部屋づくり [ おふみ ]
082.ほぼ日手帳公式ガイドブック2021 [ ほぼ日刊イトイ新聞 ]
083.無意識のバイアス 人はなぜ人種差別をするのか [ ジェニファー・エバーハート ]
084.心淋し川 [ 西條奈加 ]
085.小学生のおかたづけ育 子どもも私もラクになる暮らしのヒント[ Emi ]
086.詩人になりたいわたしX [ エリザベス・アセヴェド ]
087.ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ [ アンジー・トーマス ]
088.娘のトリセツ [ 黒川伊保子 ]
089.店長がバカすぎて [ 早見和真 ]
090.天使と悪魔のシネマ [ 小野寺史宜 ]
091.本好きの下剋上 第五部「女神の化身4」 [ 香月美夜 ]
092.どんなずぼらさんでも「これなら絶対!」片づく技術 「たった1つの習慣」で人生が変わる [ ダナ・K・ホワイト ]
093.52ヘルツのクジラたち [ 町田 そのこ ]
094.「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 [ 藤吉豊 ]
095.ハグとナガラ [ 原田マハ ]
096.社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? [ 池上彰 ]
097.旦那が突然死にました。 [ せせらぎ ]
098.時間がなくてもやりたいことがすぐに叶う! CITTA式 人生が輝く手帳タイム [ 青木千草 ]
099.東大理3 スピード読書術 超一級の思考力&情報処理力を身につける [ 佐々木京聖 ]
100.小説版 韓国・フェミニズム・日本 [ チョ・ナムジュ ]

2020年・2019年に読んだ本

2021.01.11「 2020年に読んだ本255冊まとめ/ベスト10冊
2020.01.02「 2019年に読んだ本213冊まとめ/ベスト10冊




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最終更新日  2021.07.01 05:35:48
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