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イネが霜害を受けた場合の対処法について。有利な販売を狙って早植えはしたものの、その後の寒波の低温や強風の影響で苗が傷んだ場合の対処法です。ご参考までによろしかったら。 ↓この写真が “3月後半に田植されたあとに寒波の害を受け、その後4月後半になっても、水田の一画のイネの生育が回復しないケース”の典型的な症例ともいえます。 新しい新芽がでてきてはいるものの、生育の遅れは否めないといった状況です。そこで、生育を早める対策が必要になるのですが・・・ こういった植物の生育がこじれた場合には チッソの追肥ではなく、まずは リンサンとマグネシウムを施用するという手を よく使います。まずは地下部に元気を与えてみるといった風情ですが、これがけっこう効果がでたりするんですよね。この写真の場合は、リンサンとマグネシウムの補給するために 被害株を中心に1アール当りに1キロ程度の量のマグホスを散布を施用するという対策をとったのですが、結果としてうまく樹勢を回復させることが 叶いましたよ。ちなみに マグホスの正式名称は「蛇紋岩過リン酸石灰」。過リン酸石灰に蛇紋岩を混ぜて堆積発酵させた、ミネラル肥料です〔50年前から販売されてます〕。対策を施したのちの、1週間後・2週間後・3週間後の株の生長のようすは ↓ こちら 。 同じく 上のイネに対策を施したのちの、1週間後・2週間後・3週間後の、その後の生長のようすは ↓ こちら 。のののののの 肥料分〔チッソ〕はあるはずなのに、なぜか作物の回復が遅くって ・・・などとという場合などには つかえる対処法ですので、よろしかったら お試しくださいませ〔関連記事として小さい面積から試してみるは こちら 〕。そして・・・この方法は、寒害や霜害に効くだけではありません。たとえば除草剤の害が出てしまったときとか、イネミズゾウムシやジャンボタニシなどの虫害被害を受けたあとの〔害虫を駆除したあとの〕樹勢の回復にも効果的ですよ。よろしかったらお試しください。 チッソではなくまずはリンサンやマグネシウムをやるという やり方について・・・“体が弱ったときは胃腸も弱るから、 まずはお粥を食べるよね。そんなかんじで考えたらたらいい よ”というのが、いまはもう亡くなった先輩技師から教わっ た技術解説でした・・・。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 27, 2013

イネが“水稲”とよばれる理由〔わけ〕。田植えをされたイネの株が水田に根をおろし始めることを、“イネが活着する時期”といいます。そしてこのイネの根が活発に動き始めるのに必要な気温は 20度以上、できれば 25~30度ほしいという、植物としてのイネの特性が、まずは あります。そして、そのような さすがに 熱帯原産の作物だなとおもわずにはおられないようなイネの姿をイメージしつつ、「西日本の早場米地方のち、とくに南九州では、3月中下旬にイネを 田植をし、7月末から8月上旬にかけてイネ刈りをするんですよ。」というような早場米栽培に関する話しをした場合に、農業関係者以外の方々や、農業関係者であっても〔西日本の気候を体感されたことのない〕東日本の方々は、 それほど西日本は暖かいのだなぁ、日本はひろいものだなぁなどと かんじられることがほとんどだったように〔わたくしの体験からいえば〕思うのです。しかし、現実はちがいます。たとえば、10日から2週間近くも早く桜が咲いたという 暖かいはずの本年であっても、まとまった量が生産されるの早場米産地の代表地ともいえる宮崎県平野部の3月の気温は 月日 23日 24日 25日 26日 27日 28日 最高 20度 18度 20度 17度 19度 21度 最低 10度 11度 07度 06度 08度 11度と、いった程度でしかないなのです〔例年では最低気温がマイナスになることもあります〕。 早場米地帯であっても、暖かいわけでは けしてないという現実がある。ではなぜ、3月20日や それよりも早くに田植えされている水田のイネの苗が順調に育っていくのでしょうか。その理由ですが・・・それはたくさんの先人達が集積してくださった栽培技術 にあります。 ● 田植前の 健康で丈夫な苗を育てる技術 ● それぞれの水田の性質や、栄養状態に適合した施肥技術そして なによりも、 ● 気温があがる日中には、田の水を浅くして水温をあげる ● 翌朝低温が予想される場合には、夕方から田の水を深くするなどといった、田植え後の水田の水の深さを調節する技術の存在があるからなのです。このような栽培管理、なかでも〔葉枯れや枯死を防ぐのに最も効果的な〕イナ作における田での水の駆け引き をみるにつけ、 イネを 水稲 とよんできた先人たちは さすがなものだなと、おもわずにはおれない自分に気づかされるのです。 「東北で田植えがおこなわれる5月中下旬に25度以上の気温に なることは少ない」などといった話しも耳にします。ということ は・・・・最高気温が20度に届かない早場米地帯の3月中旬の田植えは、 東北よりももっと寒い地方の田植えに匹敵することになりますよね。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 23, 2013

田植えは「虫のしらせ」で。 『収穫時のおコメの値段を考えれば早く田植をしたほうがよいのだが、 田植えの時期が早過ぎると霜害を受ける可能性があり、そうなれば 肝心のおコメの収穫時期や収穫量に影響を受けることにもなりかね ない・・・。はてさて、毎年毎年大きく変動する気象のなかで、田 植えの時期を判断するのは、なかなかにむづかしいことであるな』というところまでが、前回までのおはなしでした。そして今回は、そのような田植えの時期を決定する判断材料についてのおはなしとなります。そして そのはなしの結論ですが・・・ その判断材料のひとつとして昆虫の存在を利用するという手があります。 というのも、昆虫は気温の上昇とともに生命活動を開始するという性質があるからです。たとえば日本に住む昆虫は〔もちろん種類によって差はありますが〕おおむね 5度から10度でうごきだす〔姿をみせる〕という性質がある。そんな虫たちの存在を田植えの時期の判断に活用すればよい・・つまり、水田のまわりに、ある種の昆虫が姿をみせてくれたら、それを田植えを開始しても良い時期だと判断するというわけです。より具体的にいうならば、わたくしの判定材料に使う昆虫は、モンシロチョウとキリギリスであり、たとえば ● 田畑にモンシロチョウが舞い始めている ● 予想より早く、孵化したてのキリギリスが田のまわりの草にいたとなると、田植えを急いでも霜害の心配はない・・・というふうに気象を予想して、田植えを開始するするわけです。はんたいに、暖かいように感じられたとしても ● 越冬していたモンシロチョウの、舞う姿が見受けられない ● 田のまわりの草に、孵化したてのキリギリスの姿がないということであれば、田植えの時期を先延ばしにします。いじょう私論ではありますが、経営的に重要な意味を持つ早期水稲の田植の時期を決定するには「虫のしらせ」を利用していますよというおはなしでした。さてそこで、記録的な高温がつづいている本年の南九州地方においての、昆虫から判断する今年の田植の時期なのですが・・・ ■ 越冬していたモンシロチョウの、舞う姿が見受けられないとはいえ、 ■ 予想より早く、孵化したてのキリギリスが田のまわりの草にいるという、ある意味変則的な年であるようです。そこでわたくしの判断としては 田植え後の田の水位を容易に管理できる水田 であるならば、 田植えを 5日ほど早めても良いというふうに、条件付きで考えることにいたしましたよ。 ちなみにそんな高温が続くようすです・・・「日本列島は9日、 南から暖かい空気が流れ込んだ影響で関東以西を中心に気温が 上昇し、宮崎県高鍋町で28.5度、高知県四万十市で26. 5度など、37地点で3月としては観測史上最高記録となった。 気象庁によると、3月の史上最高気温だったのは、他に宮崎県 西都市の27.5度、熊本県人吉市26.8度、群馬県伊勢崎 市26.3度、和歌山県新宮市26.1度など。高鍋町の28. 5度は、6月下旬並みという。」 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 19, 2013

茶の霜害を防げ・・・こうして生まれた茶畑の扇風機。 3月中旬から5月初旬までの一番茶の葉の収穫が近くなってくる時期において、お茶の農家さんの間でもっとも怖れられていること、それが霜による茶の葉の霜害です。茶の新芽が凍霜害にあうと〔新芽は約-2℃の温度にあうと細胞が凍結により破壊され枯死してしまうために〕、収量は大幅に影響を受け、その年の生産に大きな打撃を受けることになるからなんです。その霜害を防ぐために、お茶の産地ではいろいろな霜害対策がとられてきた歴史があります。たとえばですね、 ● あえて水をかけ茶葉を凍らせて〔0度の状態で〕霜害を防ぐ ● 茶株のまわりを保温性の高い黒い資材で被覆 ● 古タイヤ・まき などを、畑で燃やして気流を起こすといった方法がとられていました。が、これらの技術はいずれもなかなかに大変な作業や費用を伴うために、農家さんたちの気苦労にはたいへんなものがあったわけです。そのような場面で登場したのが、現在のお茶畑で普通にみかけられるようになった防霜ファンによる霜害防止システムなんですよ・・という話を、 前回おしらせしました。そこで今回は、『この百年間で最も茶産業に貢献した技術 』として評価されている、この防霜ファンシステムを着想し開発された横山俊祐さんについて、その開発にまつわる話しをお伝えしたいと思います。横山さんは、三重県農林専門学校(現・三重大)卒業後、県農林水産部農業改良課を経て、県農林試験場茶業分場、そして三重県亀山市羽若町の茶業センター場長を務められた方・・・その防霜ファンシステム開発にあたっては、つぎのような話が伝えられていますよ。 前日が無風快晴で、夜気温が低くなって起こる「放射冷却現象」 のとき、夜露が凍るのが霜の発生の原理。そこで横山さんは「地 表の温度を氷点下にしない」方法を模索します。 ↓ ここでヒントになったのが たき火の煙。無風快晴の朝、煙は一 定の高さまで上がると横へたなびくのに、横山さんは着目します。 ↓「これは何んらかの温度の層があるはず」との確信を持った横山さ ん。そこでまずは検証だということで・・真夜中から早朝にかけ て、竿の先に温度計を取り付けた自作の測定器持ってお茶畑の中 を移動しながら温度を計測していく日々を続けていくことにしま す。 ↓ その測定値の結果、地上6メートルから8メートルに暖かい空気 の層である『逆転層』があるのを発見。横山さんは、「この場所 の空気を地面に下ろせばいい!」という確信を持つにいたります。 ↓ 温度の高い層に向かって風を吹き降ろせば、この技術は成功する と確信・・・苦労の末に、直径約六十センチのファン一号機を完 成させ、そのファンのベストの効果をあげるための角度を見い出 しすことで、霜害を防ぐことに成功した。・・ということなんです。 この横山さんの 観察と着想、そして開発された技術のおかげ で、現在のお茶農家の霜害に対する労力と経費、そして気苦労は大幅に軽減されることとなりました。と、同時に日本の農業の生産性向上やその後の茶産業の発展に大きく寄与されたことになります。お話の最後に、横山さんの研究開発当初の〔当時の〕メンバーの談話をご紹介して、今回のお話はおしまいです。「横山さんは、研究室にこもるのではなく、いつも現場に出る“現 場第一主義”。研究に対する姿勢は非常に厳しく、妥協を許さな い人だった」「早朝というよりも、むしろ深夜の2時・3時に起きて調査をする のはつらく、さらには真っ暗な茶畑のなかでは転んだり、畑から 転げ落ちたメンバーも多々あった。 それでも、研究グループのメンバーは、横山さんの“技術者魂” に脱帽し、ついていきました」・・・農業というものは、先人たちの努力とその努力の技術集積のおかげで発展していくものなのだとあらためて実感いたした次第です。 いまでは日本の茶園のどこにいってもみられるほどに普及した、この 防霜ファンシステム。今後は通常の霜外防止の役目に加えて、〔前回の 茶畑に関するジョークとしてご紹介した〕風力発電用のプロペラとして の利用が研究されています。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 13, 2013

お茶の霜害を防ぐ茶畑の扇風機のおはなし。 3月中旬から5月初旬までの一番茶の 新芽の萌芽から摘採までの時期に発生しやすいのが、お茶の霜によ被害です。お茶の新芽は約―2℃の温度にあうと、細胞が凍結により破壊され枯死してしまうのです。〔凍結した時期や程度により差がありますが〕摘採/茶摘が近くなって、この凍霜害にあうと、当然のことながら一番茶の収量は大幅に影響を受けるために経営上の大きな打撃となってしまいます。・・・ということで、今回はそのような霜害をふせぐだめの技術についてのおはなしとなります。 ↓お茶畑に物干し竿の先に取り付けた扇風機みたいなもの・・・あれが「防霜ファン」です。ちょうどいまごろからの春先の霜による茶の葉の凍害を防いでくれるという、ありがたい機械なんですよ。 「広い茶園の・しかもあのような高い場所に・数台しか設置されていないはずの扇風機」が、なぜに霜の害を防いでくれるのかと、不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。 これにはつぎのような、自然現象が関係しています。それは 霜が降りるような寒い朝。しかしそこには、高さによる空気の層の 温度の違いがあり、『地上6メートル付近の空気層は、地表の空気 層に比較して、4度~5度も温度が高い』 というもの。これが「気温の逆転現象」とよばれているものなんです。 したがって地上6メートル付近の暖かい空気層を、地表に送ることができれば、お茶の凍害はおこらない。ということで、茶畑の物干し竿の先に取り付けた扇風機である この扇風機は、地上6メートル付近にある 暖かい空気を地表部分に移動させるための道具 ということになります。 この画期的な発想から生まれた技術・システムは、昭和54年・55年におこった全国的なお茶の大霜被害の際に歴然とした効果を発揮し、その効果が認められたあと急速に各地に普及していったという経緯があります。 現在での普及面積は、全国で2万ヘクタール。くぼ地のような不適地を除けば、 日本の茶園のほぼ100パーセントに普及したといってよいすぐれた技術となっていますよ。 そして余談ですが・・・防霜ファンといえば「あれは暑い夏場の作業時に作業する人を涼しくしてくれる扇風機」であるとか、「自家用風力発電用のプロペラ」などといったジョークが、つきものの機械でもあります/笑。防霜ファンの技術開発のはなしにつづく・・・。 この送風による防霜技術は、最近では茶園以外でも サクランボ・リンゴ・ナシなどでも利用され、果樹栽培にとっ ても、なくてはならない技術のひとつ となっております。 また、日本の開発した技術として、海外にも輸出されていると とで、そんな話しを聞くとなんだか誇らしい気分になるもので すね。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 11, 2013

凍霜害があっても、田植えを急ぐ理由〔わけ〕。3月下旬から4月上旬の気象は、気まぐれ。たとえ南九州とはいえど、いちど寒波が襲来すれば、早朝から午前中にかけて気温が氷点下になることも ままあります。このような低温及び強風といった気象条件のなかに、田植されたばかりのイネの苗が、あったとしたらどうでしょう。ご存知のように、なんといっても イネは熱帯が起源の作物 ですから12度以下の気温下になると、まずはじめに生育が止まります。さらに続けて寒波が続くと〔遭遇した時間の長さにもよりますが〕悪くすれば イネは葉先から枯れはじめ、最悪の場合は枯死してしまうのです。ちなみに昨年の2012年は、とくに寒さと風が厳しく、わたくしも田植作業の終了した田に氷が張った光景を2度・3度と目撃しました。このような田んぼで、苗が枯死した場合には、後日あらためて田の代かきをおこない新たな苗を田植えしなおすことになります〔枯死した苗は代かきと同時に土中に鋤きこまていきます〕。さて、そこでです。なぜに農家さんは、寒波がくるかもしれないというリスクをかかえてまでも、3月中下旬に〔ある意味無茶をして〕田植えを急ぐのでしょうか。その答えは・・・じつは とれたおコメの価格にあります。8月15日のお盆前、なかでも7月中にとれたおコメの価格は高いのです。そこには、 お盆前の、なるべく早い時期に、まとまった量の新米がほしいという市場のリクエストが存在するのです。というわけで、田植えをしたあとに寒波がきて、田に植えられたイネが枯れてしまうかもしれないというリスクをかかえてまでも、南九州の沿岸部の農家さんが3月中下旬に早期イナ作の田植えをするのは、 農家さんが市場原理にのっとってイナ作をしているがためということになります〔需要があるというのは、ほんとにありがたいことだとおもいますし〕。→ 農家は買ってもらってなんぼ の回は こちら。そして、もうひとつ。そこには、〔30年以上にもわたって〕早期におコメを収穫する作型で培われてきた“技術”の存在も あります。そう、たとえ激しい寒波がきたとしても、田植されたばかりのイネの苗を枯らさないための技術の集積が〔いまは〕ある のです。次回は、そんな冷害対策の技術についてのおはなし です。 おコメの低温貯蔵の技術が発達していなかった時代の話し、 ですが、今回ご紹介したお盆前の宮崎コシヒカリの買取価格は、 30キロ当り 12000円することもある といった経営的には じつに“おいしい”時代でした。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 5, 2013

おコメを、7月中に収穫するために。南九州・宮崎の沿岸部の早期イナ作農家では、7月末のイネ刈り を目指して、イナ作の準備がはじまっています。ののの ちなみにこちらは、昨年7月末時点でのイネ刈り直前の田んぼです。この作型のイネづくりのスケジュールですが・・・ 7月下旬に 成熟期を迎えるためには ↓ 6月下旬に 穂が揃う必要があるので ↓ 5月中旬に イネの花芽がつくような管理を はじめる必要があります。こちらが同じく昨年の 5月中旬のイネ。身体づくりの栄養生長から、 花が咲いて実になるための生殖成長に転換する時期のイネのようす です。ののの そして上の写真の「5月中旬に花芽がつくようなイネ」の姿にするためには、3月下旬には田植をおわらせておく必要があります。下の写真が 昨年の「田植えから10日ほどたったイネ」の姿 です。田植直後には遠めには目にとまらないほどだったイネの苗に、ほのかな緑が、さしてきたところとなります。ののの というわけで南九州の早期イナ作農家では、昨年同様に 3月下旬の田植えをめざして、苗つくりと田んぼの準備〔水まわりを整備したり、肥料を撒いたり〕が はじめられているというおはなしでした。今年も、〔努力が実って〕豊作になると といいなあ。。 それにつけても・・・イネっていう作物は素晴らしいですよね。 3月下旬10アール/300坪にうえられた 3キロほどタネが 7月の末には〔うまく管理すれば〕 600キロ以上のおコメに なる というのですから。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 5, 2013

円安と、このシーズンの異常な寒さで。ハウストマト栽培に限らず、ハウスキュウリ栽培やハウスピーマン栽培をおこなうにあたって、どうしても削れない経費に「施設の暖房費」があります。それはそうですよね、日照時間が少なく・気温や地温が最も下がる冬の時期に暖かい季節の作物を作るわけですから。当然のことながら暖房は不可欠な必要経費であるのです。気になるのは、その暖房に必要不可欠な施設の暖房費を含めた施設野菜農家の光熱動力費の金額です。その気になる金額の所得に占める割合は農水省の戸別経営統計〔2006年〕によると、 所得のうちの 21パーセント近くになるとされています。と書くと、読者の皆様方の中には 意外に少ないな と思われる方がいるかもしれません。しかしこれはあくまで平均値。たとえば生育にあたって、高い気温が要求されるピーマンやナス栽培などにおいては 所得のうちの 39パーセントも占めるということになってしまいます。こうなると経費のうちの半分近くにもなりますので、こうなるとほとんどの方が 高い金額なのだな と感じられるのではいでしょうか。そしてこの「施設の暖房費」。この数字は、暖房機のエネルギーに主として使われる 農業用のA重油の単価が高くなればなるほど増大するのです。そしていま、生産現場ではそのA重油の単価が高騰し続けています。〔昨年の秋に定植され現在も収穫されつづけてている施設栽培に使用されている〕この農業用のA重油の単価が、おりからの円安という状況のなかで値上がりしているという状況があるのです。ちなみに当地区の10月のA重油の単価は、1リットルあたり90円前後でしたが、 12月にはいって 92円。そして 2月の末では 97円という声も聞かれるほど〔2004年までは1リットル40円台!〕。・・・経営規模や栽培品目がはっきりとはわからないという前提のもとでのはなしではありますが、施設栽培農家さんたちのあいだでの話題は、やはりこの燃料費高騰となりがちで 「できた農産物の販売価格が上らない中での燃料費高騰は痛い」 「重油価格が1円上がれば暖房費は毎月2万円づつ高くなる」 「これ以上暖房の経費が上がれば、栽培の採算割れになるかも・・・」といった声まで 聞かれるようになっていますよ。 ← 地元紙記事さらにその状況を悪化させているのが、このシーズンの異常な寒さ。例年2月後半ともなれば日射量も増え、朝方の最低気温もすこしづつ高くなってくるのが常なのに、本年は真冬である1月並の気温が続いたのです。当然のことながら、 暖房機が運転し続けるほど燃料の使用量が増えるのですから、さらに施設の暖房費が増大し続けているのです。ということで今回は、施設栽培をおこなうにあたって必要不可欠な経費である「施設の暖房費」が、円安とこのシーズンの異常な寒さで増え続けているという生産現場のおはなし をお伝えしました。次回は、そんな事態の対策です。。 農業にかぎらずどんな商売であっても収益を確保して利益を得る ためには、「売り上げ高を上げて支出となる経費を節約すること」 が必要になってくるものです。 経費が増大するなら、せめて できた農産物の価格が上ってくれ ないかなと考えるのは、経営者としての人情なのでしょうが、現 実には 農産物価格は下がり続けて います。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Mar 2, 2013
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