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センターの脇に止めてある公用車のまわりに紫色の点々がたくさん落ちています。スズメの糞です。 なぜ糞の色が紫色なのか。この時期紫色の実をつけている草木を思い浮かべると、おそらくクワです。クワの実を食べたスズメの糞が紫色になっているのです。 この紫色はアントシアニンという成分です。ポリフェノールの一種で、疲れ目の改善など健康にいいといわれています。鳥の健康に良いか悪いかわかりませんが。 鳥の糞の色は、食べ物の色を反映することがあります。同じくアントシアニンを含んだ、黒っぽいヒシの実を食べたオオヒシクイの糞は紫色ですし、真っ白い大豆を食べたマガンの糞は白色です。
2013年06月25日
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T市の公民館で社会人向けの講話をしていました。ふと外をみるとミサゴが飛んでいます。なんでこんな街中にミサゴがいるのだろうと、しゃべりながら思っていました、いい機会ですので、今外を飛んでいるのはミサゴです、と説明し、またスライドに戻りました。 おおっとどよめきが聞こえたので、外をみると、池に飛び込んだミサゴが目に入りました。公民館の前に市役所があり、そこに鯉を飼っている小さい池があるのです。飛び上がったミサゴは赤い魚(たぶん緋鯉)を掴んで飛び回っています。驚きました。窓のそばでひとしきり実況中継をさせていただきました。 ミサゴが街中にいる理由はわかったのですが、あのような小さい池まで狙っているとは意外でした。たしかに浅い池ですので、魚は常に見えている状態。ミサゴにとっては格好の狩り場なのでしょう。 座学の講義でミサゴの狩りをみるという珍しい体験をしました。
2013年06月19日
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鳥に関する絵の審査をさせていただきました。もちろん私以外に美術的観点から審査する先生はいらっしゃいます。私の役割は生態学的観点から作品を見ることです。 小学生から高校生までの作品です。私は鳥の種類や姿に目が行きますが、美術の先生は、テーマ性やデザイン性で作品をピックアップしていきます。 生態学的にささいな違和感があっても、迫力のあるすばらしい作品がいくつもありました。絵の伝える力の前には、細かい点は気にならないのだと思いました。
2013年06月13日
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昨秋にハクチョウの写真絵本を出版させていただいのですが、おかげさまで、わかりやすいという評価をいただいています。小学生向きに、という指示が出ていましたので、そのつもりで書いたということもありますが、これまでの知見の結果のみを記載していることも理由のひとつだと思います。 論文を書いている本人が言うのもなんですが、論文がまどろっこしいのは、言いたい結論は1、2行くらいとしても、その結論に至る過程をきちんと記述しないとならないからです。論文を読んだ別の研究者が追試するために必要なことで、それが科学なのですが、一般の方には結論がわかることがまず大切です。 ハクチョウの本では、観察し続けたことで明らかになった、一般的には知られていない情報(結果)のみを記載したことが、わかりやすさにつながったのではないかと思います。そのことは研究内容を翻訳して社会に伝えた、と言えるかもしれません。 幼稚園児から社会人まで幅広い方々に自然のことを話す機会があります。翻訳、を常に意識しています。
2013年06月09日
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放射能対策で妻子が避難している網走に時々行きます。オホーツクの春。たくさんの小鳥がさえずっているのですが、伊豆沼周辺と種構成がまったく違います。 林に入って一番目立つ声はセンダイムシクイ。ゴジュウカラやヒガラも目立ちます。林縁では、ビンズイやベニマシコのさえずり。子供たちが運動会をやった校庭の上では、ショウドウツバメが飛び回り、オオジシギがデイスプレイフライトを盛んにしていました。 この地域では当たり前の光景だと思いますが、なじみのない私には驚きです。そして識別が難しい。鳥を勉強しはじめた頃、節回しではなく、音質で声を覚えなさいと先輩に言われたことを思い出しました。たとえば、ベニマシコは伊豆沼では冬鳥で、地鳴きしか聞いたことがなかったのですが、さえずりを聞いていると合間に地鳴きに似た声がでてくるので、識別のヒントになります。 オホーツクブルーの空と小鳥のさえずり、いい季節です。
2013年06月05日
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この時期、魚を食べるタカの代表はミサゴとトビ。見ているとミサゴは大物狙い、トビは小物狙いのようです。 ミサゴはホバリングして、魚をみつけるとバシャッと水面に突っ込んで、体長の4分の1から3分の1くらいの魚を掴んで飛び去ります。飛去方向がいつも同じなので、その方向に巣があるのでしょう トビは電気ショッカーボートのあとをよくついてきます。オオクチバスやブルーギルの駆除のため、船で移動しながら水中に電気を流して魚を気絶させ、浮いた外来魚だけをすくい取るという作業をしています。外来魚以外の魚ももちろん浮かぶのですが、気絶しているだけなので、また水中に戻っていきます。その水面に浮いているちょっとの間にトビに狙われます。大小さまざまなサイズの魚が浮かぶのですが、ミサゴのように飛び込むことはせず、トビは水面をサッとかすめて、小魚を掴みます。よく見ていないと採ったかどうかもわからないくらいのサイズです。そして飛びながら食べます。 ショッカーの周りには多いときには30羽前後のトビが集まる一方で、ミサゴは単独で狩りをします。また、それぞれの形態に適した魚の採り方もあることでしょう。そうした違いなどが大物狙い、小物狙いの違いを生み出しているのだと思います。
2013年05月25日
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沼周辺の畦でケリが繁殖しています。これはその卵。撮影した2日後に3羽が孵化しました。同時孵化が基本なのですが、1個だけ残ってしまったようです。撮影3日後には最後の1羽も孵化したようで、その日の午前中、親が雛をあたためていました。午前中に濡れた体をしていた雛も午後にはフワフワになり、巣立ち間近です。でもまだ立てません。その後仕掛けた小型カメラをみると、遠くで呼んでいる親の声に誘われて、雛が立ち上がって巣からでていくところが撮影されました。ケリの巣立ちのシーンをはじめて見ることができました。
2013年05月22日
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沼にはオジロワシが少なくとも3個体いるようです。成鳥2羽と若鳥1羽です。沼が凍っているこの時期、氷の上に乗っている姿をよく見かけます。 ワシが見られますよ、と望遠鏡に入れて来館者に見せるとけっこう驚かれます。どうもワシは人里離れた奥地にいて、なかなか見られないと思われているようです。 2羽で狩りをしていたところをみたことがあります。相手は水面にいたマガモで、1羽が急襲するとマガモが潜り、浮かんだところを別の1羽が襲っていました。マガモは浮かんでは潜り、浮かんでは潜りを繰り返していました。 だんだん暖かくなってきました。氷の上のオジロワシが見られるのもあとわずかです。
2013年02月10日
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倉庫のそばの公衆電話の中でジョウビタキが飛び回っていました。下のすき間から中に入り込んでしまって出られなくなったようです。 すぐに出したのですが、しばらくするとまた公衆電話の周りを行き交っています。なわばり性の強い鳥なので、ガラスに映った自分の姿をライバルと思い、気になっているのでしょう。 でも何かの拍子に中に入ってしまえば、自分の姿がガラスにたえず映り込むことになります。きっともっとあわてることになるのですが。
2013年01月17日
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昨日は東京出張で、今日は早朝から県下一斉のガンカモカウント。気温差にちょっと参っています。 伊豆沼で記録されたオオハクチョウは2906羽と県内最大数で、次に多かった場所では943羽でした。伊豆沼は県内でオオハクチョウのもっとも多いところです。一方、県全体では10902羽ですので、伊豆沼のオオハクチョウが県全体に占める割合は27%です。 ガンに気をとられがちですが、オオハクチョウも伊豆沼にそれなりに集中しており、その数は年々増加しています。給餌量を3年前から減らしていますので、オオハクチョウの集中、増加は給餌によるものではありません。 そのひとつの要因が年々拡大しているハスと考えられます。ハスのレンコンがオオハクチョウの重要な食物資源となっているのです。
2013年01月10日
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どんな仕事でも目的を達成するためには調整が必要です。対行政の場合は、申請書の作成などそれはそれで大変なのですが、お互いにやり方をわかっていますので、粛々とすすめることができます。 一番大切で一番気を使うのが地元との調整。沿岸被災地でコクガンの調査をしているのですが、地の利がないため、なにかをしようとするときに、誰にどのルートで説明をしたらいいのか、初めはよくわかりませんでした。 それでもなんとかルートを見出し、地元の方に調査についてのご理解をいただくことができました。一安心です。申請書の提出などは不要なのですが、だからといって勝手にやるわけにはいきません。 申請書のような形にならない部分の調整が一番大切なのだと思います。
2013年01月07日
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ねぐらとなる湖沼の凍結と採食場所となる農地の積雪は、ガンカモ類にとって分布を決める大きな要因となります。水面が凍結すると天敵となるキツネなどが容易にねぐらへ接近できますし、積雪は食物を採ることを困難にするからです。伊豆沼にガンカモ類が集まる理由として、沼が凍りにくく、雪が少ないことが挙げられています。 年末年始、北日本を中心に厳しい寒波となりました。伊豆沼は凍結してはいますが、全面結氷ではなく、ところどころに開水面があり、そこでガンたちはねぐらをとっています。 また、年始に青森から宮城へ新幹線で移動する機会がありました。青森県から岩手県にかけてはかなりの積雪があったのですが、岩手県と宮城県の県境のトンネルを越え、宮城県側、すなわちガンたちの分布域に入ると積雪はほとんどなくなりました。 伊豆沼周辺にガンたちが集まる理由が体感できました。
2013年01月05日
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ここのところの寒波で沼はかなり凍結しています。今日は鳥類相のモニタリング。内沼で久しぶりにオスのミヤマホオジロを見ました。雪が積もると反射によって鳥がとてもきれいにみえます。このミヤマホオジロもとてもきれいでした。 沼ではオオハクチョウ、オオヒシクイ、カモ類が賑やか。カモの中にはトモエガモも少し混じっていました。氷上に排泄されたオオハクチョウの繊維質の糞を、カモが食べるという論文を書いたのですが、今日はマガモやカルガモでその行動がみられました。
2012年12月28日
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前項のヨシに引き続き、伊豆沼・内沼における最近の放射能に関するデータです。(空間線量)伊豆沼の堤防路肩17箇所での地上1mと地表面の平均値 地上1mで2011年8月:0.080→2012年3月:0.087(マイクロシーベルト/時) 地表面で2011年8月:0.106→2012年3月:0.127(マイクロシーベルト/時)特に地表面で線量が1.2倍増加しました。調査地点を個別にみると、落ち葉の多い場所や吹き溜まりで線量が増加しました。葉に付着した放射性物質が落ち葉とともに落下したために地表面の線量が上がった可能性があります。(魚類の放射性セシウム)震災前:2011年2~3月採集 ギンブナ1検体、ゲンゴロウブナ1検体、オオクチバス成魚2検体 いずれも1Bq/kg未満震災後:2011年12月採集 オオクチバス成魚4検体で平均110Bq/kg(範囲:93~122) オオクチバス幼魚1検体で148Bq/kg ギンブナ4検体で平均64Bq/kg(範囲:61~66) ゲンゴロウブナ3検体で平均72Bq/kg(範囲:69~74)
2012年03月20日
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伊豆沼・内沼では春に堤防に火入れして、ヨシなどを大規模に焼く野火という作業を行っています。しかし、放射能汚染されているため、焼却灰にどの程度の放射性物質が含まれるか心配です。 渡良瀬遊水地では、ヨシから42Bq/kg、下草の焼却灰から780Bq/kgの放射性セシウムが検出され、安全性の確証が得られないため、ヨシ焼きが中止となりました。なにはともあれ伊豆沼でもデータが必要です。堤防4箇所でヨシを試験的に刈って調べてみました。 4箇所平均でヨシ本体から67.5Bq/kg(範囲:57~102)、その焼却灰から1050Bq/kg(範囲:450~2110)の放射性セシウムが検出されました。このデータをもって再度会議を行ったところ、基準値はないものの渡良瀬遊水地での事例があること、予防原則を適用すべきという観点から、土地改良区の方々など含めた主催者全員一致で野火は中止となりました。 もしデータがなければうやむやのまま野火を行ってしまい、放射能汚染された焼却灰を周辺地域に飛散させることになっていました。あらためて、データの大切さが身に染みました。
2012年03月17日
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今年はお世話になった先生の退官が続きます。昨夜はM先生の最終講義&祝賀会がありました。 M先生は安定同位体比分析という技術をもっています。最終講義では安定同位体比分析を用いた化学的なお話かと思いきや、戊辰戦争に使われた弾薬など当時の歴史的遺物を安定同位体比で分析し、さまざまな遺物の由来をたどっていくと、大英帝国の繁栄に行き着く、という壮大なスケールのお話でした。 先生のもつあらゆる対象の中で、私は鳥という接点で仕事をご一緒させていただくことができました。単に技術力をもっているだけでなく、対象への卓越した視点をお持ちであったことがたくさんの業績を残すことにつながっているのだと思います。 仕事をご一緒させていただくことができた私は幸運でした。
2012年03月10日
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立場上、いろいろな書類をチェックしなくてはなりません。報告書や申請書など多岐にわたりますが、中でも一番大変なのは論文です。 2本の論文を同時並行で指導しているのですが、2人とも論文を書くことが初めてなこともあり、まずは日本語の壁を乗り越えなくてはなりません。毎回原稿を真っ赤にして返すのですが、それでもめげずに書いてきます。だんだんといい原稿になってくるのがわかるので、こちらも励みになります。 でも1日に何度もそれを繰り返すと疲れてしまって自分で論文を書く気が起きなくなります。2本とも共著に入っているからまあいいか、と言い訳しきりです。
2012年02月22日
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伊豆沼・内沼の放射能について、これまで公表されたデータ((1)は環境省、(2)は宮城県による調査)をみると、(1)伊豆沼の沼出口の底質でセシウム合計値で900ベクレル/kg、周辺土壌で790ベクレル/kg検出されました(ちなみにこの数値を65倍するとおおよそのベクレル/m2の数値に変換でき、790×65=51350ベクレル/m2はチェルノブイリ原発事故では放射線管理区域に指定される線量です)。また、伊豆沼上流のダムでは、栗駒ダムの底質、周辺土壌それぞれで1100、840、花山ダムではそれぞれ440、2010のセシウムが検出されました。(2)伊豆沼のオオクチバスから66ベクレル/kg、上流ため池のギンブナから54ベクレル/kg検出されました。同時に発表された水産物20品目の中で突出して高い数値となっています(バス、フナ以外での最大値はヒラメで14.1) 上記に加えて、もともと海抜高度が低く、水が溜まりやすい地形であること、栗原市山間部にホットスポットがあることを考えると、放射性物質を含む土砂が、河川や用水路を流下して沼に蓄積していると考えられます。 一方で、1m高の空間線量では0.08~0.09マイクロシーベルト/時で低く安定しています。ある程度低い空間線量でも底泥や土壌には多くの放射性物質が含まれていることを示す例と思います。
2011年12月25日
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季節柄、学校などで子供たちに渡り鳥の話をすることが多くなります。 発表しながら子供たちの気を引くためにときどき質問をします。どんなにとっぴな答えでもたいてい驚かないのですが、思わずのけぞってしまった答えがありました。 「ガンやカモなどの渡り鳥は北の国から渡ってくるんだけど、なぜ渡ると思う?」「北の国が暑くなるからです。」 ・・・これはちゃんと説明しなくてはならない。ということで、「宮城県と北海道、どっちが寒い?」という身近なところから始めて、北へ行くほど寒くなり、雪や氷に閉ざされて食物をとれないため、北の国では鳥たちは冬越しできないのだ、ということを理解してもらいました。 答えに窮する質問をするのは大人より子どもの方が多いです。
2011年12月18日
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南三陸沿岸でコクガンの仕事を始めました。藻類を採食するコクガンは藻場との関係が深いため、震災後の藻場復活をモニターする上で重要な鳥です。 分布、行動パターンなど多少の知見はありますが、基本的に未知の鳥です。調査に行くたびに新しい発見があります。 しかし、まわりは瓦礫の山。何とも言えない気持ちになります。
2011年12月11日
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宮城県北部でマガンが15万羽を越え、40羽を越えるシジュウカラガンも観察されるようになりました。月2回を基本にマガン羽数合同調査をしていますが、特に塒入りのカウントでは緊張感がみなぎります。 遠くから黒い雲のように沼に向かってくるマガンの群れをいち早く見つけることから仕事は始まります。北から東から沼に向かうターゲットを次々に捕捉し、次々にカウントして数を記録していきます。自己評価をして、数をだいたい抑えられたという実感を持てれば、ひとまず成功です。そして日没後、全体的にきちんとカウントできたと思えたときに満足感とともにミッション終了です。 群れをみたときに、私は数を数えたくなる衝動にかられます。数を数えるという行為は、人間の根元的な行動のひとつではないかと勝手ながら思っています。
2011年11月05日
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たまたまですが、書くべき原稿があれこれ重なってしまいました。対象も専門家から一般の方までさまざまです。 原稿を書くときいつも思うのですが、これを伝える、という核たるものがないと私はまったく筆がすすみません。なんとなく文章を書いているのですが、まったくダメです。図表などですでに論理ができている論文の方がむしろ書きやすいと言えます。しかも論文には、これを伝えたいという自らの明確な意志があるのです。 明確な意志もなく、受け身で頼まれたテーマで、論理を構築して文章を書くということは、私にとってかなりハードルの高いことです。とはいえ、原稿には締め切りがありますので、できるだけ早く書く内容を決めるようにしています。 何度も経験済みですが、それができない度に生みの苦しみを味わいます。今日は長らく心残りだった原稿に一区切りつきました。ビールで乾杯です。
2011年10月06日
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学会やらなにやらでバタバタしているうちにあっという間にマガンが渡ってきました。もう2000~3000羽くらいにはなっているでしょうか。 今年の鳥学会では、震災や放射能問題にかかわる自由集会もあり、私も参画させていただきました。放射能の鳥への影響について、いろいろな方と議論させていただき、今の自分の能力でどうかかわることができるか、あれこれ考えていました。 チェルノブイリではツバメのさまざまな形質に放射能による影響が認められています。これらのうち、部分白化個体の割合の増加と繁殖成功率の低下の2つについては、家族構成のはっきりとわかる大型の種で、羽色が白色でない種であれば、比較的簡便にモニターできるのではないかと思いました。繁殖成功率は幼鳥数や幼鳥率で代表できますし、部分白化個体も目立つからです。 マガンはそれにふさわしいテーマの鳥ではないかと思っています。今、渡ってきているマガンはこれから被曝します。今年と来年、また被曝地とそうでない地域で比較してみる価値はあると思います。 ハクチョウも!と思いましたが、部分白化個体をたぶん見つけられないので無理でしょう。
2011年09月28日
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研究者仲間のMさんに久しぶりに会いました。気心の知れた鳥仲間と研究の話をすることほど楽しいことはありません。 お互いにしっかりと認識し合ったのが、無理をしてでもバードウオッチングする時間を作らないとダメだ、ということです。理由その1)常に見ていないと勘が鈍る。理由その2)研究のアイデアを出すためには、日頃からいろいろな鳥をみて観察の幅を拡げておく必要がある。 私自身、あの鳥はあんな行動してて面白い、みたいなことが会話の中であまり言えず、愕然としました。現場にいる研究者ならば、そういうことをたくさん言えなければならないのです。鳥を見ているようで見ていない、まずいなと強く思いました。
2011年08月28日
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伊豆沼周辺の放射線量をみると、外部被曝だけを積算すれば国の基準値である年間積算1ミリを越えないが、原発爆発時の初期被曝や水、食料を通した内部被曝をさらに加えれば、基準値を超える可能性がある、という状況だと思います。また、栗原市の山間部にはホットスポットがあります。多量に降り積もった放射性物質が河川を通じて平野部を汚染するでしょうから、伊豆沼もその影響をまぬがれないと思います。そして、伊豆沼は低い土地にあるため、水の流れがほとんどなく、一度入った放射性物質が溜まりやすい場所になります。 伊豆沼での保全対策やイベントを行う際にはこの認識が前提となってきます。沼の水質を向上させるために導水を行うが、それには放射性物質が含まれていないかどうか、清掃活動をするが、それに子供を参加させるかどうか、伊豆沼のほとりに衛生センターがあるが、その放流水に放射性物質が含まれていないかどうか、とにかく何をするにも放射能のことが問題となります。 まったく余分な仕事です。放射線問題にかける時間が増えたことによって、ずっと忙しくなり、そして仕事への投資配分が大きく変わってしまいました。また、こうしたことを説明して、人に理解してもらうための忍耐力が必要で、精神的にも疲れます。 鳥をのんびり、ゆっくりと見たいものです。
2011年08月21日
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8月12日に伊豆沼・内沼周辺の放射線量を測定しました。測定機器はCLAER-PULSE社製のMr.Gamma A2700というシンチレーション式の線量計です。沼の堤防道路路肩17地点で、地上1m、地表面それぞれについて15秒ごとに8回測定し、最小、最大値を除く6回の測定値を平均しました。 17地点の放射線量をみると、地上1mで平均0.08マイクロシーベルト毎時(範囲:0.064~0.109)、地表面で平均0.106マイクロシーベルト毎時(範囲:0.088~0.167)でした。バックグラウンド(自然放射線)だけと思われる地域で同機種を用いて測定すると、地上1mの空間線量がおよそ0.02~0.03程度ですので、全体的に高い放射線量であること、また地表面では放射性物質が降り積もっているため、地上1mよりも線量が高いことがわかりました。 0.08マイクロシーベルト毎時の外部被曝だけでは国の基準値である年間積算1ミリを越えません。しかし、この外部被曝に加え、原発爆発時の初期被曝、水や食物からの内部被曝(外部被曝よりもずっと影響が大きい)を積算すると、安全な数字とは言えないでしょう。
2011年08月13日
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最近、新聞記事をみると、放射能記事が一時期よりも減った気がします。放射能問題が解決に向かい、そのために減ってきているならば歓迎なのですが、現実的には深刻さを増していると思います。 たとえば、首都圏の土壌汚染が深刻で、150地点のうち35地点でチェルノブイリと同程度の汚染レベルであることがわかった、といった情報はネットでしか流れていません。少なくとも私は新聞やテレビで報道したのを目にしていません(見ていないだけなのかもしれませんが)。 深刻な問題ほど情報を出さないというのが、行政や東電の姿勢であることは理解しています。本当に放射能記事が減少しているならば(私の思いこみであればいいのですが)、その裏を考えるととても不気味です。放射能問題は命にかかわる問題です。すべてに優先して情報を出してもらいたいと思います。
2011年08月10日
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夏休みを利用して、放射線からの避難先である北海道に滞在しています。家族はこちらに住んでいますので、いろいろと案内をしてもらっています。 せっかくの機会、あちこちの自然を見て回っています。とにかく自然のスケールが大きくて、どこへ行っても圧倒されます。保全とか管理とか、そういう次元の話ではありません。それ以前にこの自然の中でどうやって人が生活して生きていくのか、を問われているように感じます。 このフィールドで何かテーマを見つけられたら、どんなに楽しいことでしょう。
2011年08月05日
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韓国に行って来ました。両国のガンカモ類の調査方法や個体数、分布などを韓国の鳥類研究者と紹介し合い、それをもとに意見交換をしてきました。ネイテイブではない英語なので、聞き取りやすく、英語の拙い私でもなんとかコミュニケーションをとることができました。 海外に行ったからには、できるだけその国に浸かりたいものです。せめて韓国語でありがとうを言おうと思って、”コマッスンミダ”とカタカナを手の平に書いて、それを見ながらお礼を言っていました。Thank youよりも親近感をもってくれたようです。 韓国語、記号のように見えてまったくわからなかったのですが、少し勉強してみると語順は日本語と同じですし、ルールさえわかればなんとか読めます。次回は韓国語でもう少しコミュニケーションをとれるようになりたいと思います。
2011年07月30日
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知りあいから一流国際誌に受理されたという連絡をいただいたり、学会誌をみて掲載論文の著者に知っている人がいたりすると、なんともいえない焦燥感にかられます。 焦燥感だけでいい論文を書けるわけはないのですが、気持ちを抑えるために少しずつですが、さまざまなデータを片っ端からグラフにして眺める作業をしています。 データをグラフにする重要性をあらためて感じます。グラフによって論理的に考えやすくなり、また気づかなかった新たな発見もあります。そしてそれをもとに次の展開を考えることができます。数字の羅列だけではそうはいきません。 基準値の何倍もの放射性セシウムが出た、という報道がよくあります。ぜひとも基準値と検出された値を棒グラフにして明示していただきたいと思います。グラフにすれば、いかに大変なことか視聴者にさらに明確に伝わると思います。
2011年07月18日
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登米、栗原市内の稲藁から基準値を超える放射性セシウムが検出されました。また、栗原市のある小学校の刈草集積場からは毎時1.3マイクロシーベルトという高い数値がでたとの報道もありました。 一関から金成付近はホットスポットのひとつと言われていますので、その周辺地域で高い数値が検出されるのは予想できます。そして、そこには放射性物質が降り積もっているわけです。降り積もっているわけですから、空間線量が低いから安心というわけでなく、地表面や土壌中の放射性物質が一番問題なわけです。稲藁の例がまさにその証拠です。 宮城県では4月1日のただ1回しか土壌検査をしていません。放射性物質は稲藁だけを狙って降り積もるわけでありません。地域によって程度の差はあれ、宮城県北部の広い範囲に降り積もっているでしょう。牛は稲藁を餌にし、農産物は土壌から栄養をとります。そして土壌から放射性物質を取り込んだ農産物を人が食べることによって内部被曝します。 放射性セシウムは植物の栄養源のひとつであるカリウムと同じような挙動をすると言われています。農産物が放射性物質を取り込めば、その分土壌から放射性物質は減少します。収穫期まで待って、農産物に放射性物質を十分に取り込んでもらい、その後に土壌検査をして安全です、と言うつもりでしょうか?そして流通した放射性物質を含んだ農産物で多くの人が内部被曝する。ブラックユーモアを越えていると思います。
2011年07月16日
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避難先の空間線量は、避難前の4分の1から3分の1です。バックグラウンドのみのようです。ここであれば年間積算1ミリシーベルトという国の基準値を超えることもないでしょう。 ひとつだけ不安があります。汚染肉の流通が問題になっていますが、流通にともなう放射能汚染です。行きのフェリーでも乳牛を積んだトラックを見ました。運ばれてしまえば、その地域の牛になりますので、もしこれが内部被曝した牛ならば、非汚染地域から汚染牛乳が出回ることになります。 報道によると汚染肉は外部被曝の検査しかしていなかったようです。外部被曝より内部被曝の方がより深刻な事態を引き起こすことは多くの専門家が指摘していますし、放射性セシウムによって内部被曝しているかどうかは尿からでもある程度推測できるそうです。 なぜ簡易に内部被曝の検査ができるのに、外部被曝の検査しかしないで肉を流通させ、防げたはずの被曝を強いるのでしょう。
2011年07月14日
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放射線対策で、悩みに悩んだ末、家族を避難させることにしました。今住んでいる場所は小さい集落で家族的な暖かみのある地域です。子供たちもとても楽しく過ごしていました。 私は残りますが、家族がこの地域を出ていかざるをえないこと、本当に悔しく、断腸の思いです。震災前の暮らしがとても懐かしいです。
2011年07月07日
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6月28日に上り東北新幹線で、線量を測ってみました。機種はクリアーパルスのミスターガンマです。単位はマイクロシーベルト/時。 仙台0.043、福島トンネル内0.03、福島0.224、福島ー郡山最大値0.426、郡山0.281、新白河0.132、那須0.125、宇都宮0.046、大宮0.041、上野0.043、東京0.047。 その日は学術会議主催の大震災を考えるフォーラムでした。放射能問題ももちろん出ました。当代一流の生態学者間でも放射能問題の見解に相違がありました。生態学者のはしくれとしては、せめて生態学者の集まる会議ではどなたからも原発反対の見解を聞きたかったのですが、甘い認識でした。 問題の深刻さを感じると同時に、個々人がしっかりと自分の頭で考えることを求められているとあらためて思いました。
2011年06月29日
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新聞報道によると、海や湖で遊泳可能かどうか判断する指針値は、1kgあたりセシウム50ベクレル以下となったそうです。現在、200ベクレルとなっている飲料水の暫定基準値より厳しい設定です。 環境省の説明として、「日常生活に不可欠な飲料水などと違い、海水浴などのレジャーは余暇を楽しむ選択的行為だから、被ばくは可能な限り小さく抑えるのが望ましい」とのことです。 不可欠な行為より選択的行為の方で基準値が厳しくなることがどうしても理解できません。選択的行為は行動を選択できるのですから、遊泳しなければ、被ばくしないだけの話です。しかし、飲料など不可欠な行為はそうはいきません。そのため、被ばく量を減らすためには、選択的行為より不可欠な行為の基準値を厳しくして、それに向けて努力することの方が重要になります。 どうしたらこういう論理になるのでしょうか。
2011年06月24日
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前ブログの続きですが、栗原市はHPで放射線量を開示すると言う点で私は評価します。教育現場において1m高で0.4マイクロシーベルト/時という数字を公表するのですから、放射線量を取り巻く現在の状況をみるとある意味すごいことと思います。 しかし、公表の仕方に問題があります。年間20ミリシーベルトのことしか触れていません。法的根拠のある数値は年間1ミリであること、今回の20ミリシーベルト基準となっているICRPの勧告では、現在のような進行中の状況で被ばくを減らす目安は1~20ミリであり、それでも最終的に1ミリ以下を目指すことを不可欠としています。 そういうことを書かずに、20ミリ以下だから野外活動していいという、安全だという印象を与える注釈には問題があります。これでは、子供たちの被ばくを無用に増やすばかりです。 行政には数値の意味をきちんと明示して、市民に考える材料を十分に提供する責務があると思います。
2011年06月21日
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栗原市のHPに、6月10前後に計測された栗原市内の小中幼保育園の放射線量測定数値が出ていました。高い場所をみると地表面では0.47マイクロシーベルト/時、1m高で0.40マイクロシーベルト/時でした。その数値の高さにとても驚きました。しかし、その注釈には文部科学省が示した小・中学校の屋外活動の利用制限基準は年間20ミリシーベルトだから、積算してもそれを下回るため、問題ないとありました。 法的根拠のある国の基準は年間1ミリ=1000マイクロシーベルトです。文部科学省も1ミリシーベルトをめざすとしています。仮に計算すると、1000マイクロシーベルト/8時間(野外活動時間)/0.4=およそ313日。空間線量だけでも1年足らずで1ミリに達します。これに内部被ばく、さらに対象が大人より感受性の高い子供であることを考えれば、確実に1ミリを超えるでしょう。 平常どおり野外活動して差し支えないレベル、ということでは決してないと思います。
2011年06月19日
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以下仮説です。宮城県北部では福島原発1号機の爆発の影響がもっとも大きく、3月13日に女川原発で21マイクロシーベルト/時という極めて高い放射線量が記録されています。 ずっと気がかりだったのは、この放射性物質の固まりが宮城県北部のどの辺りまで汚染したか、でした。知人に14日に宮城県で計測した環境モニタリング結果があることを教えていただきました。 それをみると,14日夕方に石巻から西南西に位置する利府でほぼ正常値の0.06マイクロシーベルト/時だったこと、石巻市沢田地区で0.2マイクロシーベルト/時だったことがわかりました。沢田地区は、万石浦の海のそばにあって山に挟まれているため、南から流れてきた放射性物質の通り道になるだろうと考えられます。女川で13日に21マイクロを記録した放射性物質が、同程度の濃度で沢田地区を通過したならば、その翌日にも高い線量が出ると思われますが、実際の値は0.2マイクロと意外に低い数字でした。 一方で、(株)ヴィジブルインフォーメーションセンターの放射性物質拡散図のデータを時系列にみると、12日夜から石巻や女川を含む宮城県北東部の広い範囲に放射性物質の分布が拡がっていることがわかります。放射性物質がきていたはずの石巻でなぜ数値が低かったのか?もしかしたら放射性物質の飛来高度が関係しているかもしれません。宮城県北東部に拡がって飛来してきた放射性物質は、より高濃度のものは高い高度を移動してきて、山合いにある女川原発のモニタリングポストで捕そくされ、低地の石巻市では低い濃度だったのかもしれません。こう考えると、宮城県北部で平地よりも山合いで線量が高くなっていることも納得できます。繰り返しますが、あくまで仮説です。
2011年06月01日
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大崎市田尻に加護坊山という標高224mの山があります。山が風を遮る壁の役割を果たして、放射性物質の分布に影響を及ぼすと考えている私は、加護坊山でそのことを調べてみようと思いました。低い山ですし、山頂まで道路があるため、測定しながら移動するのが容易だろうと思ったからです。山が壁の役割を果たすならば、南側(原発側)と北側で放射線量に差がでるはずです。(5月26日のお昼頃、南~南東風、線量計:中国製DP802i、地上1m高) 南から南東向きの斜面:0.20~0.27マイクロシーベルト/時 北向き斜面:0.12~0.14マイクロシーベルト/時予測通り、福島原発のある方向から来た風の当たる斜面で空間線量が高い傾向がありました。また、加護坊山の北側のふもとでは、 風の抜けない山合いの道路沿い:0.20~0.27マイクロシーベルト/時 風の吹き抜ける水田脇の道路沿い:0.14~0.18マイクロシーベルト/時風が抜けない斜面の下では放射性物質が留まって高い数値になるのかもしれません。
2011年05月26日
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ネット上の情報によると、私の線量計は低線量で誤差が多いという評価です。しかし、他の方のデータと比較すると、他の方が線量が高いと言うところでは高い数値がでるため、それなりの傾向をみることはできると思います。 これまで宮城県北部や岩手県などで計測してきた結果、線量の高い場所を愚考すると以下のようになります。(1)原発から遠いからといって線量が低いわけではない(1m高の空間線量では、仙台より登米、栗原の方が高く、前沢から一関付近はさらに高い)(2)山のふもとで線量が高い(放射性物質が溜まる?(1)にも関係しますが、岩手県一戸町のスキー場で雨水が集まって溜まっていそうな場所の地表面を計測すると高い値がでました)(3)橋の上で線量が高い(放射性物質を含んだ水が川に流れ込む?雨どいのようなものか) 以上をまとめると、空気中の放射性物質が流れてきたときに、山が壁となってそこに放射性物質が滞留し、その後雨によって斜面を流れ落ちるため、山のふもとで線量が高くなるということなのかもしれません。
2011年05月23日
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文部科学省が決めた年間20ミリシーベルトまで大丈夫という数値は、放射線に対する感受性の高い子どもの場合、25人に1人が癌で亡くなる数値です。仮に50人学級ならば、そのうち2人の子どもが原発事故の放射線による癌によって亡くなってもいい、と文科省は言っているわけです。 いろいろなエラーはあるものの、原発事故までは私は国をある程度信じていました。少なくとも子どもの命を粗末にすることはないだろうと思っていました。今回、そうではないことがよくわかりました。楽観的すぎた自分を恥じています。 市にいろいろと言っても20ミリシーベルトの壁に阻まれます。文科省の基準にあてはめれば問題ない、ということです。計測もせずになぜ問題ない数値とわかるのでしょう。今、国内のあちこちで基準値を超える農産物が発表されています。宮城県でも基準値を超えるセシウムを含む牧草が検出されました。それはある意味想定内なわけで、それ以前に宮城県の土壌にセシウムが含まれることがすでに発表されています。 間違いなく宮城県北部の土壌には放射性物質が含まれています。そして子どもに対しては基準値がどうこうではなく、それがあるかないかが重要と私は思います。被曝は積算値が重要なのですから。もし文科省が20ミリと言わずに1ミリと言えば、校庭の土壌を剥ぐなどもっと弾力的な対応ができたのではないでしょうか。 私は原発や放射線の専門家ではありません。しかし、研究者のはしくれとして、論理というものが何たるかはわかります。文科省には論理はありません。
2011年05月18日
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次号の鳥学会誌に拙総説が掲載されます。農業施策にともなうマガンの食物資源、分布の変化について議論したものです。今後、この総説の視点で数年おきにマガンの動向をモニタリングしていくつもりでいました。 しかし、それももうできなくなりました。現在、水田土壌を剥ぐことなく作付けがすすんでいますので、放射性物質を含んだ土壌が未来永劫水田に残ることになります。すなわち、しゃがんで食物資源を採集することは被曝することを意味するのです。あらためて言いますが、被曝量と癌発生率は正比例しますので、安全な基準値は存在しません。放射性物質があるかないか、が重要なのです。 放射能は私から研究テーマを奪おうとしています。福島の避難区域の方々は家も仕事も失うわけですから、研究テーマぐらいたいしたことはありません。私が思ったことは、原発問題が解決しない限り、研究に限らず、いろいろなことを前にすすめることができないということです。研究よりも先にしなくてはならないことがあるのでは、という思いに毎日とらわれています。 放射能は人の生活の基盤をゆさぶります。
2011年05月16日
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あるMLに書いた拙文を下記に記します.宮城県北部の栗原市や登米市の水田地帯はご存知の通りマガンなど水鳥の重要な越冬地ですが、これまでほとんど放射能測定がなされていません。しかし放射性物質がないわけではなく、いくつかの数少ない資料があります。たとえば宮城県が4月8日に発表した資料をみると、土壌中の放射性セシウム濃度では登米市と栗原市で196~511ベクレル/kg乾土の値が検出され、栗原市での511という値は県南部地域に匹敵する値となっています。また3月13日には登米市からおよそ30km東の女川で21マイクロシーベルト/時という極めて高い値を記録しています(通常は0.0××くらいが普通なようです)。私の線量計をみると、携帯線量計では低線量域では誤差は大きいとはいえ、登米市の自宅と栗原市の職場では0.1~0.2マイクロシーベルト/時で変動しています。以上のことから栗原市、登米市で放射性物質が拡散していることは間違いなく、土壌にもそれが含まれていることがわかります。現在、両市の水田では放射性物質を含む表土を剥ぐことなく作付けがすすめられています(農家の方が悪いと言っているのではありません。むしろ被害者です。放射性物質を含む場所で農業を行うならば、その作物は国がすべて買い取るべきと私は考えています)。広瀬隆著「原子炉時限爆弾」によれば、アメリカのコロンビア川においてプルトニウム再処理工場の工場排水の放射能を調べたところ、川の水の放射能を1とすると、食物連鎖をとおして水鳥(種不明)には50万倍、その卵には100万倍の放射能濃縮があったとされています。農薬でも食物連鎖をとおした濃縮が起きますので、それが放射能物質でも起きることは十分にありえることと思います。落ちモミや落ち大豆など農作物残滓や畔の草本などを採食するマガンを始め、魚類を採食するサギ類など、栗原市や登米市の水田に依存する鳥類の多くは、多かれ少なかれ放射性物質を含んだ食物を口にすることになります。鳥類に食物連鎖を通して放射性物質がどのような影響があるか、いまのところわかりませんが、注視しておかなければならないことと考えています.食物網の上位に位置する鳥類は環境指標に用いられることが多いのですが、こういう問題で観察せざるをえなくなるとは思ってもいませんでした。また、ガンを炭鉱のカナリアのように見なければならないときがくるとは思ってもいませんでした。少々神経質かもしれません。上記のことが私の杞憂ですむことを願っています。
2011年05月14日
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いろいろな数値があります。 不確かな情報もあるかもしれませんが、HPから数値を拾ってみると、放射性物質を含む水を安全とする基準が、WHOで1ベクレル、アメリカで0.1ベクレル、チェルノブイリ10ベクレル、日本で300ベクレル。 放射性物質を含む食べ物を安全とする基準が、WHOで10ベクレル、アメリカで170ベクレル、チェルノブイリで37ベクレル、日本で2000ベクレル。 日本の安全基準値は同じ事故レベルのチェルノブイリよりもはるかに甘くなっています。子どもたちはどうなってしまうのでしょうか。
2011年05月12日
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新潟にいたのですが,明日は仕事なので私だけ高速バスを利用して宮城に戻りました.高速バスの中で線量計の記録をとった報告です.線量計は中国製のDP802iでネットでは良い,悪いの評価の分かれているものです.目安としてご覧ください(単位:マイクロシーベルト/時). 新潟0.12(14時30発),西会津0.2,磐梯山0.27,本宮0.4,安達太良0.46,二本松0.52,二本松過ぎたところで0.71,福島0.21,白石0.14,仙台0.12,古川0.14,若柳0.14,迫0.12(20時46分着).
2011年05月07日
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盛岡で自主避難中、ネットで下記情報を得ました。***5月1日の政府・東電統合本部全体会合の議事録。『このままいくと8日にも高濃度の放出が行われる。』『細野補佐官から,本件は熱交換機の設置といった次のステップに進む上で非常に重要である,また,(今後,放射性物質が外に排出され得るという点で,)汚染水排出の際の失敗を繰り返さないよう,関係者は情報共有を密に行い,高い感度を持って取り組んで欲しい,とする発言があった。』*** 気象条件をみると風は南から南東で放射性物質は北日本にきます。一部報道ではこの放出はたいしたことはない、としているようですが、原発事故も最初はたいしたことはないと言っていて最終的にレベル7になりました。報道で言うたいしたことはないというのは、私の中ではたいしたことになるという言葉に今では変換されます。 そして19時からの総理の浜岡原発を止める要請をしたとの会見。私もそうですが、多くの方が評価しています。でもこうした花火を打ち上げている隙に議事録のようなよからぬことをするのではないか、という不安があります。 議事録の信頼性は高いと判断した私はできるだけ西へ移動しようと思いました。移動でかなり疲れました。さて明日はどうしよう。
2011年05月06日
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気象庁のSPEEDIのデータの一部がようやく公開されました。放射線量の拡がりには風速、風向だけでなく、地形(山の位置)も大きく影響しているだろうと私は思っていました。SPEEDIにもとづく放射線量の広がり、通常(震災前)よりも高い放射線量を示している都市の位置、それに地形図を合わせてみると私の推測はそれほど大きくは間違っていないように思います。 仙台市の放射線量は通常の値よりも高い値でずっと推移しています。数値そのものは低いのですが、震災後の数値が通常の値よりも高いということは原発事故の影響だと思います。そして仙台市から続く宮城県北部の低地は東は奥羽山脈、西は北上山地、北は県境の丘陵地で囲まれています。仙台よりも北の栗原市の野菜や登米市の水田で県南部に匹敵する高い放射性濃度が出ていることがずっと疑問でしたが、宮城県北部を大きな盆地と考えれば納得できます。山に囲まれていて放射性物質が逃げにくい地形なのかもしれません。 宮城県北部の市町村では放射線量は現在計測されていませんが、計測すれば通常よりも高い数値がでる可能性があります。しかし、おそらくその数値は通常より高いが、健康に影響する値ではないとされるでしょう。あらためて言いますが、線量の積算値と発がんの発生率は正比例します。しきい値はありません。通常よりも高いこと自体が問題なのです。 緊急事態では、懸念される最大限の可能性での対処が求められると思います。懸念が実際になければ心配し過ぎたね~で笑えるのですが、最小限の可能性で対処してそれを超える懸念が実際に起きた場合、後悔しか残りません。 政府は最小限の可能性で対応しているとしか思えません。
2011年05月03日
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自主非難で岩手の盛岡以北にしばらく滞在してきました。我が家では0.2マイクロシーベルト/時が通常の値でしたが、盛岡以北では0.12マイクロシーベルト/時、ときには0.08まで下がりました。数値の絶対値には信用を置いていませんが、北へ行くと数値が下がることをみると、ある程度の目安にはなるようです。約0.1の差は極めて大きいです。 小佐古教授の涙ながらの抗議の記者会見を拝見しました。行政側の立場からのこうした発言は極めて重いと思います。福島の20ミリシーベルト基準はありえないと思っていた私にとって、こうした発言はたいへんありがたいことです。教授が辞任する前、私は市へ放射能問題について質問状を送りましたが、測定さえしていないのに20ミリシーベルト基準にもとづいて安全ですという回答を市からいただきました。市はこの教授の辞任を今、どう見ているのでしょうか。宮城県南ではある企業の協力で市町村に線量計が配布され、線量が計測されることになったようです。宮城県北はこのまま測定しないままなのでしょうか。 60億人以上がすむ世界の中で1億数千万しかしない日本人。次世代の日本を築く子どもたちを守らないで何を守るというのでしょう。しかし日本では国が率先して20ミリシーベルト基準を決めました。国みずから亡国をすすめる施策をとる国なんてあるのでしょうか?
2011年05月02日
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原発事故問題についてなぜ自衛せざるをえないかというと報道の数字が信用できないからです。ひとつの例をあげると、前便でも書きましたが、赤ん坊や子供を含めた一般人の1年間の被ばく限度量は1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)で、原発事故前から国際基準にしたがって国が決めていたものでした。また、何ミリまでは大丈夫という敷居値はなく、被ばく量と発ガン率は正比例の関係があります。したがってできるだけ被ばくしないことが大切です。 一方で17日付けK新報では影響がでるのは100ミリシーベルトからという記事が出ました。また、福島県の学校では子供の1年間の被ばく限度量20ミリシーベルトという基準ができ、3.8マイクロシーベルト/時まで通常の学校生活をして大丈夫ということになりました。3.8マイクロシーベルト/時だと、外部と内部被ばくを合わせて7.6マイクロシーベルト/時となり、1000(マイクロシーベルト)÷(7.6×24)=5.4ということになり、5日ちょっとで1年間の被ばく限度量になります。 しかも、この値は空気中の放射性物質から受ける放射線の値であり、この他にも、水や食べ物に含まれる放射性物質の影響を考慮に入れていません。この上、校庭の土に付着した放射性物質を土ぼこりとともに吸い込むことで、さらに内部被ばくの危険が高まります。このように考えるとこの基準値がいかに危険な値かわかります。24時間外にいるわけではないという考えもありますが、購入した私の簡易線量計では野外と家の中で数値に差はありませんでした。 原子力や放射線の専門家ではない私のような素人でもこの程度の情報を集めることができ、それにもとづいて簡単な分析もできます。原発事故後、空気中や野菜などからの被ばく限度量の基準値が大きくなったこと、福島県の学校での基準などをみると、国は国民を馬鹿にしていて、そして子どもを守る気はないのだと考えざるをえないのです。 ちなみに私の簡易線量計によると我が家や沼周辺では0.1~0.2マイクロシーベルト/時でした。その値の高さにギョッとしました。低線量の場合は誤差範囲が大きく、目安として使った方がいいという考えもあるようですが、それにしても嫌な値がでました。
2011年04月22日
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原発事故に関するネットを含めたあらゆる報道を私なりに総合的に判断した結果、自衛するしかないと思い至りました。自衛するためにはデータが必要です。そのため、線量計を注文しました。 毎日の被ばく量を積算することで、積算の被ばく量を知ることができます。ちなみに一般の人の被ばく限度量の国際的な基準値は1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)です。たとえば時間あたりの空気中の放射能濃度を測定したとします。その測定値は外部被ばくだけですので、内部被ばくも考えるとその数値を2倍にする必要があるそうです。空気中の放射能濃度が0.2マイクロシーベルト/時だとすると、1日あたりの外部被ばく量は0.2×24=4.8マイクロシーベルトとなります。内部被ばくも合わせて考えると9.6マイクロシーベルト/日となります。それを単純に被ばく限度量の1000マイクロシーベルトで割ると、その地域では104日の滞在で1年間の被ばく限度量に達するということになります。これは何もしなくても呼吸するだけで被ばくする量ということです。放射性物質は空気中だけでなく、土壌表面や食料、水などにも含まれていますので、それを積算すれば滞在できる日数はもっと短くなります。 研究者の性として線量計の計測値と風向風速などをきっと分析することになると思います。それが住めるか住めないかに直結する結果をともなうことになるかもしれないと思うと気が重いです。しかし、子をもつ親として、私が被ばくするのはともかく、幸運にも震災を生き延びた子だけはなんとか守ってやりたいと思います。
2011年04月17日
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