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2007.04.20
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カテゴリ: I write
その15【おやじの生霊】


私が小学5年生のとき、おやじが家出した。
前夜、食事の後、いつものように夫婦喧嘩が始まった。
理由は多分、おやじの生活態度が悪いことを
母がなじったというのが相場だろう。
風呂嫌いの上に下着を着替えないといった、
ささいなことだった。

ところが、どういうわけか話がエスカレートし、
「ほんなら、わしが帰ってけぇへんかっても

とおやじが吠え出した。母は
「勝手にしぃ!」
と一喝。おやじは私に助けを求めたのか、それとも
別の意図があったのかはわからないが、
「お前はどうやねん」
と聞いてきた。冗談だろうと思っていたし、
おやじの風呂嫌いには私も辟易していたので
「ええよ」
と言った。そう言えば、改心してくれるのでは、
という淡い期待があった。

果たしておやじは猛然と怒り、

とふて腐れて自室にこもった。

翌朝、いつも不機嫌なのだが、一層不機嫌な顔をして
おやじは出勤した。

「おかあちゃん、おとうちゃん、帰ってくるやろか」
母に聞いた。

母は無関心そうに短くそう言い、いつもどおり、
朝の家事をこなしていた。

翌日、目覚めた私は、おやじの部屋をそぉっとのぞいた。
おやじはいなかった。本来なら、深夜に戻ってきて
眠っているはずである。

「おかあちゃん、おとうちゃんから連絡あった?」
「ないよ」
「帰ってないやんか」
「ほっといたらええ。そのうち帰ってくるわ」

しかし、それから数日もおやじは戻ってこなかった。
学校で「父親参観」のプリントをもらった。
タイミングが悪い。どうせ来てはくれないのだが
(実際は学校に来て、3分くらい授業を見ている。が、
その後、姿を消す。パチンコか何かに行くのだろう。
参観は、家を出る単なる口実なのだ)、
プリントを渡せない事実は、私の心を曇らせていた。

おやじの家出から10日目の朝、その日は日曜日で
私は早くから起きていたのだが、ガサゴソと起き出すと
兄や母に怒られるので、布団の中でじっとしていた。

すると、母とおやじの部屋で寝ていた母が私を呼ぶ声が
する。驚いて、母の元にすっ飛んで行った。

「どうしたん、おかあちゃん」
「見てみ、あれ」
母は布団に入ったままの姿勢で天井方向を指し示した。
指先をたどると……、ハンガーだった。

「な、何? なんで?」
揺れているのだ。窓から風が吹き込んでいるわけでも
なく、もちろん地震でもない。が、かなり激しく
揺れている。横にではなく、前後に。壁に当たって
パンパンと乾いた音をたてている。
「おとうちゃんが仕事の服をかけてるハンガーや」
落ち着いた口調で母が言う。
「なんで揺れてるの?」
「もうすぐおとうちゃん、帰ってきはるわ」
にわかに信じ難い言葉だ。

『ピンポ~ン』

玄関の呼び鈴だ。
「まさか」
と思いながら解錠し、ドアを開けた。そこにはおやじが
立っている。
「どうしたん、おとうちゃん」
「会社の仮眠室の布団、臭いんや」
そう言うと、即座に脱衣所に行き、服を脱ぎ捨てている。
風呂嫌いのおやじが「たまらん」と思うのは一体
どういう仮眠室かと思い巡らせた。

私は母の元に行った。

「な、帰ってきたやろ」
母はニヤッと笑った。

母の霊感が発揮された瞬間である。なぜ、ハンガーが
揺れていることとおやじがが戻ってくることが
結びついたのかはいまもってわからない。しかし、
自信あり気な母の表情は、忘れられない記憶となっている。

余談だが、私におやじが「お前はどうや」と聞いたのは、
出て行く口実を私につくらせたかったのではないかと
思う。おやじ一流の計算があってのことだろう。
1日だけ家に帰りたくない事情があったが、理由は
家族に言えない。【家出】という大げさな話にし、
数日戻らなかったら、言い訳がきく、というふうに
考えたように思う。

この結末に導いたのは、母の生霊だったのかもしれない。
母が自らの生霊をおやじの元に放ち、おやじを導いた
ということかもしれないといまになって思う。






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Last updated  2007.04.21 18:41:45
コメント(4) | コメントを書く


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今日は早い・・。  
primera3919  さん
書き込みで驚きました。芭沙羅さんの霊感は御母様譲りでしょうか。生霊を放てると言うのはかなり強い霊力があると思います。若干読ませて頂きながら背筋が寒くなったのは偶然ではないと思います。しかし、親御様はそんな計算をされるのでしょうか?私には純粋に止めて欲しかったように感じます。男親は娘が可愛くて可愛くてしょうがないのです。その娘に「ええよ」と言われるとかなりショックです。でも、芭沙羅さんの見方はすべてをご存知のことですから間違いないと思いますが、私は単純にそう思いました。親御様も御母様もどちらもお互いを愛してらっしゃるとお見受けいたしました。そして、芭沙羅さんも御二人を、御家族を愛してらっしゃるのが手に取るように感じます。よい御家族ですね!私はもう両親が居ませんので、孝行は出来ませんが芭沙羅さんは御両親を大事にして下さいね!大変面白い内容でした。また一気に読んでしまいました。御母様は親御様とは違うスター☆彡です。またお願いします。 (2007.04.20 20:38:16)

なんだか、凄い!です。  
こちづ  さん
いつも、コメントありがとうございます。
この、心霊現象な日々のひそかなファンです。
毎回、続々して読んでます。 (2007.04.20 22:25:39)

Re:なんだか、凄い!です。(04/20)  
ske888  さん
こちづさん
書き込み、ありがとうございます。人様のご意見を直接聞けるのは、怖くもあり、うれしくもあり。すべて事実ですが、知り合いから、「よくそんなに突拍子もない出来事が起こるね。怖くないの?」と言われますが、そのときには余り意識せず。最近になって、おもろい家族だなと。ご訪問いただけて、うれしゅうございます。よろしければ、また。 (2007.04.21 00:05:56)

Re:今日は早い・・。(04/20)  
ske888  さん
primera3919さん
私は母ほど霊感がなく中途半端なので、意味のわからない現象が起こるのでしょう。☆うちのおやじは強者です。変な計算をしています。常人には理解できないような。しかも、それが悪いことだとは思っていない。だって、自分のやりたいことややるべきことを達成するためには、一心不乱になれる人種です。今後も、したたかなおやじの一面を垣間見るような出来事を書いていきます。うちの両親をご自分の両親だと思って読んでみてください。背筋がぞっとします。 (2007.04.21 00:15:47)

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