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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2009.08.08
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カテゴリ: 文芸

 第3巻に入った途端、これでもかと言うほどに、
 次から次へと村上春樹というものが、読む者の心の中へと押し寄せて来る。
 その息つく暇もない怒濤の攻撃は、完膚無きまでに読者を叩きのめすのだ。

 「鳥刺し男」は、モーツアルトの『魔笛』に登場する人物。
 王子と共に、雲に乗った三人の童子に導かれて城へ行き、
 魔法の笛と魔法の鐘で、囚われたお姫様を救い出す。
 夜の国と昼の国とが戦い、途中で善悪が入れ替わってしまうお話し。

主人公である「僕」オカダ・トオルが一人称で語る本流に、

時間と場所が次々に転換・交錯しながらテンポ良く話は進む。
なかでも、この第3巻で重要な地位を占めるのがナツメグ・シナモンの母と息子。

   ***

5歳の少年の真夜中の出来事。
部屋の窓から見える松の木に、登っていったまま下りてこない小柄な男は、
何となく少年の父に似ていた。
そして、もう一人の背の高い奇妙な男は木の根本に穴を掘り、そこに何かを埋める。

そして、夢の中で少年はシャベルでその穴を掘り起こす。
そこにあったのは強く脈打つ心臓。
ベッドに戻ると、もう一人の自分がそこに寝ている……。
翌朝目覚めると、少年は声を失っていた。


   彼の言葉はその物語の迷路の中に呑み込まれて消えてしまったのよ。
   その物語から出てきたものが彼の舌を奪って持っていってしまったのよ。
   そしてそれは、その数年後に私の夫を殺すことになった」(p.191)

1975年の年末、ナツメグ40歳、シナモン11歳の時、ナツメグの夫は殺される。
その頃、ナツメグと夫との関係は疎遠であり、夫には付き合っている女性が何人かいた。

そして、死体からは心臓と胃と肝臓と二つの腎臓と膵臓が消え失せていた。

  ***

終戦間際、満州国首都新京動物園での動物たちの虐殺について語るナツメグ。
その指揮に当たった若い中尉と右頬に青黒いあざのある獣医・ナツメグの父のお話し。
そして、間宮中尉からは、立派な毛筆の字で書かれた手紙が送られてくる。
シベリアの炭坑での出来事、そしてあの皮剥ボリスとの再会。

コンピューター、その迷宮はシナモンにとって本当の現実。
それを使って妻のクミコと、そして綿谷ノボルとコミュニケートする主人公。
そして、主人公の前で唐突に開始された『ねじまき鳥クロニクル』。
それは、コンピューターの向こうからシナモンによって語られる物語。

#8は、満州の動物園での虐殺物語の続編。
満州国軍士官学校から脱走した生徒が、バット一振りで処刑される。
そして、#17は妻・クミコからの手紙。
そこで、初めて明かされる真実。

   ***

今年5月『1Q84』が出版されると、その異常人気に世間が騒ぎ始め、
書店では簡単に手に入りにくい状況にまでなった。
その頃、とりあえず、村上作品を何か一つ読んでみようと手にしたのが 『海辺のカフカ』(上)
そして (下) を読み終えたときには、すっかりその世界観に魅了されてしまっており、
『1Q84』を読む前に、村上さんの長編小説を全て読んでしまおうと決めた。

そして、これまでに
『風の歌を聴け』 『1973年のピンボール』 『羊をめぐる冒険』(上) (下)
『ノルウェイの森』(上) (下) 『ダンス・ダンス・ダンス』(上) (下)
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(上) (下)
『ねじまき鳥クロニクル』第1部 第2部 、そして、この第3部と読み進めてきた。

これまでに読んだ村上作品の中で、最も好きなものは何かと聞かれたら、
私が最初に出会った作品であったこともあって『海辺のカフカ』と答えてきた。
実際、これまでに私が読んだ村上作品の中では、最も後に書かれたものであり、
そこに至るまでの執筆活動の積み重ねを十分に発揮した、素晴らしい作品だったからである。

しかし、今回読んだ『ねじまき鳥クロニクル』は、
これまでに読んだ村上さんの長編小説の中でも最長のものであると同時に、
村上さんお得意の様々な技法が最大限に駆使され、どこを取ってもこれ村上ワールド。
現時点での私の中では『海辺のカフカ』を脇に追いやり、村上作品ナンバーワンである。

村上さんの長編では、まだ『国境の南、太陽の西』『スプートニクの恋人』
それに『アフターダーク』を、私は読んでいない。
そして、それらの作品は、すでに目の前にあるテーブルに積まれている。
さて、『ねじまき鳥クロニクル』を凌ぐ作品が、この中から出てくるのだろうか。





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Last updated  2009.08.09 12:02:23
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