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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2021.03.21
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​ 副題は「薬剤師、官僚、医師会のインサイドストーリー」。
 著者は医療医薬関係業界紙を渡り歩き、記事を執筆してきた玉田慎二氏。
 医薬分業が事実上スタートした1974年から2020年までの変遷を
 その時々に議論されていた事柄や舞台裏を描きながら辿っていきます。

   ***

  もともと医薬分業という制度は、歴史を研究すれば「毒殺防止法」だ。
  中世ヨーロッパにおける時の宰相が、もっとも恐れていたのが「暗殺」だったそうだ。
  なかでも、毒殺は防ぐことの難しい暗殺手段とされていた。

  暗殺は見破られず、いともたやすく完遂される。
  当時、医師は一国の宰相の命すら操れる「力」を持っていたのである。
  政権側からすれば、たまったものではない。
  どこかでディスクロージャー(情報公開)しなければ、危険極まりないと考えた。
  そこで、処方せんという「証拠物」となる公的文書を医師の権限の「外」に出し、
  薬局が保管する。
  その薬局、薬剤師は独立させる。
  毒殺から身を守るため政権が考えだしたのが、毒殺防止法であり、
  制度としての医薬分業だった。(p.274)

本著も、クロージングに差し掛かった中での一節ですが、
「なるほど……」と唸らされてしまいました。

そして、この文章は次のように続いていきます。  

  言い換えると、医師からクスリを切り離すというのは、
  医師の「力」を削ぎ落とすコトにつながる。
  分業は、医師や医師会の「力」を低下させる制度でもあった訳だ。
  この点を歴史から学び、実践したのではないだろうか。

  おそらく、こんな感じで。
  「そうだ、分業だ。分業を始めよう」
  ポンと机を叩いて、制度開始にハンコを捺す。

要は、現在の「医薬分業」は、医師や医師会の「力」を低下させるべく始められた。
そして、それは厚生省による「処方箋料」の大幅引き上げや
「薬価算定方式」のRゾーン方式への変更といった政策誘導で推進されてきた。
故に、医師や医師会が事あるごとに、この制度に異を唱えるのは当たり前。

本著では、日本薬剤師会会長の椅子を巡る争いや、
大手調剤薬局チェーンと地方薬剤師会とのバトル、
「調剤ポイント」で急成長を続けるドラッグストア業界の姿も描かれています。
医療医薬関係業界やその裏に潜む闇について知ることが出来る一冊です。





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Last updated  2021.03.21 19:28:33
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