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前巻に引き続き、冒頭は今巻も夏希は洋上の人。 高校2年生を終える春休み、父の大学時代の友人・赤沢政隆のヨットで、 女子大生の麻由香や男子学生の三上、永原と共に、函館湾をクルージング。 同乗予定の従姉妹・朋花は体調不良で参加せず、その6日後に事故死した。 時は流れ、神奈川県警に復帰した夏希は、織田と共に《芦ノ湖ホテル》へ。 そこでは、従業員の横地吉秋が、支配人の高山重史の腹部をナイフで刺し、 フロント係の向井麻菜と宿泊客2名を人質に立てこもるという事件が発生していた。 そして、現地に到着した夏希は、宿泊客の1人が自分の母親であることに気付く。夏希は、レンタルクルーザーに大型モニターを設置し、湖上から自分と母親との交換を呼びかけ、それを受け入れた横地とホテルロビーで粘り強く対話し、投降へと導くことに成功する。しかし、横地はホテルを出たところで、自身が心配していた通り、何者かに射殺されてしまう。そして、横地の本名が梶川秀則で、武藤朋花を撥ね殺した男だったことが判明する。夏希は、上杉、紗里奈と共に函館に向かい、その事故についての捜査を開始する。すると、夏希のクルージングの3日後に、朋花が赤沢、三上と3人でクルージングをしていたこと、それから3日後に朋花が事故死、5日後に赤沢がバイク事故死していたことが分かる。高山も何者かに刺殺されたという知らせを受け、夏希たちは三上が経営する喫茶店に急行。そして、三上からクルージング時に何が起こったのかを聞き出すと、夏希は、上杉、紗里奈と共に渡島リゾート本社に乗り込む。上杉、紗里奈が、議員殺しの実行犯・延原専務から話を聞く間、夏希は高畠社長と1対1で対峙。そのやり取りの中で、事件の一部始終を明らかにしていくのだった。 ***今回も、残り頁がどんどん減っていく中での、電光石火の見事な事件解決。夏希と犯人とのやりとりは、これまでメールや掲示板上でのものが中心だったのですが、今回の横地や高畠とのやりとりは、相手を目の前にしてのもので、とても迫力がありました。お話が新しいステージへと、一歩進んだ気がします。
2024.09.29
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文庫版で518頁とボリュームはたっぷり。 まるでこれまで読んできたお話の続きを読んでいるかのような、 ごく自然な立ち上がりから、途中も元に戻って読み返す必要”ゼロ”の明快な文章。 稀代のストーリーテラー・東野さんの面目躍如といったところです。 ***中條健太(37)との結婚式が2か月後に迫った神尾真世(30)。しかし、元教員の父・神尾英一が殺害され、実家のある郷里へと向かう。すると、実家に父の弟でアメリカでマジシャンをしていた叔父・神尾武史が現れ、犯人逮捕を警察に任せっきりにせず、自分たちの手で真相を突き止めようということになる。通夜と葬儀の参列者の様子を動画撮影し、警察の持つ情報をあの手この手で入手しつつ、真世の同級生や上級生、下級生で今回の事件に関わりのある者たちに探りを入れていく。英一の遺体の第一発見者でもある酒屋の原口浩平、夫・池永良輔が関西に単身赴任中で、自身は実家に戻っている本間桃子、大ヒット漫画『幻脳ラビリンス』の作者・釘宮克樹、 広告代理店勤務で、釘谷のマネージャー的役割を果たすの九重梨々香、『幻ラビ・ハウス』に代わる町おこしイベントを計画する柏木建設副社長・柏木広大、居酒屋を経営する沼川、地銀『三つ葉銀行』に勤務する牧原悟、IT企業経営者・杉下、そして、亡父の銀行口座から大金が消失してしまった森脇敦美等々。各者各様の事情が複雑に絡まり合っていたため、謎解きは困難を極めるが、武史は、同窓会後に関係者が一堂に会する機会を設け、それを解き明かしていく。そして、事件は釘宮の親友・津久見直也の追悼会に向け英一が用意したサプライズが発端と判明。エピローグでは、真世が結婚に抱いていた不安感の原因も明らかとなる。 ***初期設定に少々無理があり、途中の展開もかなり強引さが感じられます。それでも、読む者をグイグイと引き付けていく筆力は、流石としか言いようがありません。ただ、最後はかなりの失速感。きちんと締めくくることは、とても難しい……
2024.09.28
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今回は、夏希が小堀沙羅と一緒に客船《ラ・プランセス》で船旅に。 しかし、出航から30分近く経った頃、沙羅に捜査一課の久米係長から 横浜市内の銃砲店で狩猟用散弾銃の実包3箱、合わせて75発が強奪されたので、 次の寄港地・神戸に到着したら、すぐに戻ってくるようにとの電話連絡が入る。 一方、江の島署の加藤巡査部長は、傷害事件の加害者・狭間を追っていたが、 出航前の《ラ・プランセス》船上に狭間を発見、北原巡査と共に洋上の人となっていた。 捜査1課・石田巡査長から、その旨連絡を受けた沙羅は、夏希と共に加藤たちと合流。 さらに、強盗致傷事件の容疑者・江川も《ラ・プランセス》に乗船した可能性が浮上する。そして、ランチタイム、乗船客とクルー全員を人質とするシージャックが発生。レストランは、白シャツの猟銃男と拳銃を持った紺ブレ男、サービススタッフ数名に制圧され、船長、ジャズシンガー・牧村真亜也、沙羅の3人がブリッジに監禁されてしまう事態に。神奈川県警刑事部長に着任したばかりの織田は、海保と連携しながらの対応を迫られる。パーサー・八代尚美の機転で衛星携帯電話端末を入手した夏希は、まず佐竹管理官に連絡。そして、身代金5億円を要求する犯人に投降を呼びかけるが、翻意させるには至らなかった。その後、海保のヘリが《ラ・プランセス》に接近するも、それに気付いた犯人の要求で退避。しかし、ここを好機と見た加藤は、北原と共に客室を後にし、夏希もその後を追う。ブリッジを急襲した3人は、江川、狭間、サービススタッフたちを制圧するが、監禁されていたはずの牧村真亜也が、夏希に銃口を向け、彼らを解放するよう要求。が、そこに警視庁公安部外事3課警部補・大沢と巡査部長・八代が現れ、危機を脱出する。真亜也は北の工作員で、東海村から盗み出された乾式プルトニウムを所持していたのだった。 ***織田が神奈川県警刑事部長になって、夏希も神奈川県警に戻ることに。思っていたより随分早く、お話の舞台が元に戻ることになりましたが、サイバー特捜隊を舞台とするお話を継続することは、やはり簡単ではなかったのか……。そして、織田と夏希の関係が、今後先進展することは難しくなったような気がします。
2024.09.22
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今回の主役は、『シリアス・グレー』同様、根岸分室室長・上杉輝久。 前巻では登場機会がなかったものの、 その存在感は、巻数を重ねる毎にぐんぐん上昇中。 そして、今巻から、あの五条香里奈の18歳年下の妹・紗里奈が登場します。 ***「北アルプスの奥に行ってこれから先のことを考えてみます」機動鑑識第1係巡査・五条紗里奈の残したメッセージを頼りに、上杉は山中を彷徨い歩く。そして、雲ノ平第2雪田で紗里奈を発見すると、彼女の言葉に耳を傾けると共に、辞表を撤回し、根岸分室へ異動するよう説得する。「信二さんと天国で幸せになります。皆さん、ごめんなさい。 美穂」《横浜コーストホテル》705号室には、この遺書と共に、積菱ハウス横浜支社営業部長・勝沼信二(52)と積菱ハウス横浜支社支社長秘書・大月美穂(28)の遺体が残されていた。一方、622号室には、高島総合開発営業部長・安井秀雄(32)の遺体と共に、凶器と思われる大理石の灰皿が残されており、それには大月美穂の指紋が付いていた。現場に駆け付けた高級クラブのママである安井の妻・玲子は、激しく悲しみ、怒る。しかし、紗里奈はその様子に不自然さを感じ取っていた。上杉と紗里奈は、玲子の店《ラ・フルー・ドゥ・スリジエ》を訪ねる。そして、紗理奈に全ての青写真を見抜かれた玲子は、金沢警察署で取り調べを受けることに。一方、124頁になって登場した夏希は、金曜夜に小川やアリシアと戸塚で暑気払いをするので、上杉と紗理奈もぜひ一緒にと誘い、舞岡八幡宮境内で待ち合わせをすることになる。しかし、夏希と小川は、突然現れた4人組の男たちに略取されてしまう。上杉と紗里奈は、待ち合わせ場所に残されたアリシアと共に近辺を捜索。ここでも、紗里奈が類まれなる才能を発揮して、一行は佐島マリーナへと急行することに。そして、アリシアの活躍で監禁場所を突き止めると、夏希と小川の救出に成功したのだった。 ***今巻は、二つのお話から構成されていましたが、いずれも呆気なく終わってしまった感が強いですね。特に一つ目のお話では、玲子があんなにあっさりとギブアップするとは……もう少し粘らせて、二つ目のお話はまた別の機会でも良かったように思います。
2024.09.21
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久々に夏希のデート・シーンからスタート。 お相手は、夏希の現在の直属の上司・サイバー特捜隊隊長・織田信和。 二人でランチをした後、北鎌倉の明月院でアジサイを見る予定だったが、 刑事部捜査一課の刑事たちに、織田は殺人罪の容疑で逮捕されてしまう。 さらに、神奈川県警の3人の警官が、傷害事件・器物損壊事件・窃盗事案で、 次々に逮捕される事態となっていたが、そのいずれもが否認事件。 サイバー特捜隊IT担当・五島は、防犯カメラの映像がディープフェイク動画だと気付き、 そのコントロールサーバーにクラッキングの痕跡を発見することに成功する。そして、江ノ島署刑事課・加藤は、織田が事件当日に被害者・福原と待ち合わせたバー《オージーヒート》の店長・水谷と、客・中江の証言が嘘であることを突き止める。また、五島は、彼らの狙いが能勢警察庁長官またはギュメット・パリ市警視総監と推察。さらに、夏希は背後に《ディスマス》の存在があると思量されことを黒田刑事部長らに伝える。Xデー当日、襲撃に備え能勢長官とギュメット総監に対する警備が強化されたものの、能勢長官が、夏希たちの目の前で略取されてしまう。しかし、アリシアと冴美率いるがSISの活躍で、能勢長官は無事保護され、《オージーヒート》の店長、客、バイト女店員の3人組が逮捕されたのだった。***残り頁わずかとなったところで、今回も急転直下の一件落着。前巻を読んでから、しばらく時間が経っていたので、事件の背後で《ディスマス》が糸を引いていることに、私は全く思い至りませんでした。でも、今後も色々なところで《ディスマス》は絡んでくるのでしょうね。
2024.09.16
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第20巻が発行されたのが昨年10月。 それから8カ月を経て、今年6月の新刊発行でした。 こうして、お話が続いていくことが、読者にとって一番嬉しいこと。 この先も、ペースが多少遅くなっても、長く続いていってほしいですね。 ***上海出身の実業家で、世界屈指の大富豪・ジウ・ジーフェイの娘・ジウ・イーリン。円生との仲を深めたいイーリンは、10月からの大学院入学を前に、美術について学ぶと共に葵のことを知るため、1か月間『蔵』でアルバイトをすることに。さらに、父・ジウ氏から、高宮宗親が所有する珍しい宝石の調査も依頼されていた。イーリンは、『根付』を通じて高宮との関係を築きつつ、清貴や小松にも相談。その宝石が、中国の元女優・アイリー・ヤンが所有する『サンドロップ』だと見当をつけ、円生の新作『今都』のお披露目パーティーで、高宮自身に確認するが否定されてしまう。そして、ジウ氏の姉・麗明と夫・浩一、妹・珠蘭と夫・博文が会場に現れる。麗明の『人殺しの娘は、父親に取り入るのに必死ね』という言葉に激しく動揺したイーリンは、清貴たちに、自分の母親・ジーリンとジウ氏の正妻・クーチンとの間に起こった事を語り始める。その後、清貴はジウ氏と付き合いの長いアイリーからも話を聞き、クーチンの死に疑念を抱く。そして、ジウ氏の姉妹夫妻にクーチンがジウ氏に買ってもらったという宝石について話し始める。それは、呪いのブラック・ダイヤモンド『ブラック・オルロフ』。これを、さもジウ氏が贈ったように装い、激昂したクーチンを死へと導いた犯人を暴き出す。その一部始終を見ていたジウ氏は、イーリンに母・ジーリンと祖母・ジーファについて明かす。そして、『ブラック・オルロフ』を現在所有しているのは、高宮だったことが分かる。 *** そして今巻は、過去のエピソードに触れる際には、 参考に巻数を入れさせていただきました。(p.300)これは、「あとがき」に記された望月さんによる一文。確かに、あちこちに巻数が示されていました。 「新選組といえば、秋人さん、今度、新選組の映画に出るという話でしたよね?」 「ええ、ちょうど今、撮影中ではないでしょうか」 と葵と清貴が、思い出したように話してる。(※0巻を参照)(p.100) 「京都人スピリット……」 思えば、以前も洗礼を受けたことがあった。 あれは『上洛』に関する話だっただろうか……(18巻を参照)(p.102) どうやら、ここは清貴と円生の出会いの地だったようだ。(※2巻を参照) 葵も思い出した様子で、ああ、と手を打つ。 「ホームズさんがご住職に『深窓の坊』と言われてしまった時ですね」(p.253) 『上海のホテル「天地」でのパーティーでお会いしましたね。 僕はすぐにニューヨークに発ってしまい、ちゃんと挨拶ができなかったのですが……』 あの時か、と小松は大きく相槌をうつ。(※13巻を参照)(p.256) 今回の舞台として書かせていただいた、『壬生寺』、『八木邸』、『京都 清宗根付館』、 それぞれに取材に伺い、『京都 清宗根付館』は一般見学者として拝観させていただき、 『壬生寺』、『八木邸』は大丸京都店の谷口様(※10巻を参照)のご縁で 壬生寺貫主の松浦様、八木邸の八木様をご紹介いただきまして、 直接お話を伺うことができました。(p.301)10巻は、イーリンが初めて登場した巻でもあります。今巻との繋がりがとても深い一冊ですね。
2024.09.15
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マハさんの2017年の作品。 同年の作品には、『サロメ』や『たゆたえども沈まず』がありますが、 2008年の『ランウェイ☆ビート』のような感じで楽しめる作品。 こういう作品もイイですね。 ***『盗まれた名画を盗み返す』謎の窃盗団<アノニム>。そのメンバーは、次の7人。Awesome(オーサム):メンバー最年少の天才エンジニアNego(ネゴ):オークション会社「サザビーズ」の花形オークショニアOblige(オブリージュ):ラグジュアリーブランドのオーナーでファイン・アートの収集家Neverness(ネバネス):フリーランスで活躍する世界屈指の美術品修復家Yummy(ヤミー):ブルックリンのギャラリー経営者Miri(ミリ):香港の巨大美術館のメイン・アーキテクトを務める建築家Epoch(エポック):イスタンブールのトルコ絨毯店経営者で美術史家。Jet(ジェット):IT長者で世界トップ10のアートコレクター。アノニムのボス。今回のターゲットは、ジャクソン・ポロックの『ナンバー・ゼロ』。ロレンダ・ボシュロムが所有するこの作品が、オークションに出品され、サザビーズ香港のメイン・セールの超目玉作品として登場することに。この作品を、誰にも気づかれずに贋作にすり替えよというのが、ジェットからの指令。メンバーたちは、難読症の高校生・張英才に『ナンバー・ゼロ』を描かせると、それをオークションで高額落札された『ナンバー・ゼロ』とすり替えることに成功。さらに、香港文化大学講堂で行われた学生決起集会で見事なスピーチを披露した張英才の背後に、本物の『ナンバー・ゼロ』を高々と掲げたのだった。 ***『オーシャンズ11』を彷彿とさせる、スリリングな展開。紙幅があれば、もっとお話を広げたり、深めたり出来そうな感じがしました。これで終わってしまうのは、もったいないなぁ。ぜひとも、続話を書いて欲しいです。
2024.09.08
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日本版刊行についても様々な議論や批判が起こり、一度は発売中止に。 しかし、今年4月に産経新聞出版より現在のタイトルで刊行されました。 どの項目についても、丁寧な取材に基づいて事細かく記述されており、 読み進めるのに随分時間がかかりましたが、読むべき価値のある一冊でした。 本著で述べられていることのポイントについては、 岩波明さんによる「解説」を読めば、凡そ理解出来るようになっています。 本書に記載されているように、米国のトランスジェンダーの推進者、活動家たちは、 当事者本人が「性別違和」を自覚し認識していれば「性別違和」と「診断」され、 希望があれば、その後の医療的処置を受けることは当然の権利であると主張している。 (p.328)この後、岩波さんは、「本書に登場したルーシーや他のトランスジェンダーの少女たちは、長期経過という視点から言うと、思春期になって性別違和を自認しているので、本来の性別違和と診断することは難しい。」と述べています。素直に頷くことの出来る指摘でした。 本書の著者によれば、トランスジェンダーの急増という状況を引き起こした原因として、 教育現場と精神保健の問題をあげている。 多くのハイスクールや大学では、性別違和を訴える少女を擁護し、 時には親に知らせることなく、男性名の使用を認め、 積極的にホルモン療法や手術に誘導することも行われているという。 また多くのケースでは、精神保健の専門家(医師やカウンセラー)も、 当事者の訴えをそのまま受け入れ、「性別違和」のお墨付きを与えている。 医師のお墨付きを得た患者は、思春期抑制のためのホルモン療法やテストステロンの投与、 さらにトップ手術にまで至ってしまう。(p.328)著者による本文では、このあたりの状況について逐一詳細に記しています。公立校で5年生の担任が、親だからといって望むものが常に手に入るとはかぎらないと説明し、「親が学校に来て、『うちの子をそんな名前で呼んでほしくありません』と言ったとしても、 親としての権利は、子供が公立校に入学した時点でなくなるのです」(p.125)という発言は驚き。また、女性から男性へ医療処置で性別移行した有名なトランスセクシャルによる「16歳で乳房を取り去って、ホルモン投与を受けて、10年後に『やっぱりやらないほうがよかったんじゃないか』と悔やむなんて想像できるか?考えるだけでもいたたまれない」(p.292)という言葉には、強い衝撃を受けました。 現在のトランスジェンダーの問題は、医療的な問題よりは、 差別と少数者の権利擁護の問題という側面がクローズアップされている。 これは米国でも、日本でも同様である。 そのため、どうしても、社会的、あるいは政治的な視点から語られることが多く、 反応も先鋭化しやすい。この本の著者に対しても厳しい批判が行われた。 しかしながら、この問題は、本来医療の問題である。 多数の症例を集めた客観的なデータに基づいて性別違和の定義を確立し、 標準的な治療方針を得ることが何よりも求められている。(p.332)最後の3行については、頷くしかありません。また、トランスジェンダーをめぐる問題と「偽の記憶」あるいは「抑圧された記憶」に関する問題との類似性も興味深いものでした。『抑圧された記憶の神話』も、機会があれば読んでみたいと思います。
2024.09.08
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